(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】撮像装置、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20241106BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20241106BHJP
【FI】
H04L9/32 200B
H04L9/32 200E
G06F21/64
(21)【出願番号】P 2022511806
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010490
(87)【国際公開番号】W WO2021200092
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2020060928
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】今西 将之
【審査官】塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022121(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/115074(WO,A1)
【文献】特開2020-022150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/32
G06F 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を
生成するハッシュ値生成部と、
生成された前記ハッシュ値を含む電子署名を生成する電子署名生成部と、
生成された前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付ける紐付け部
と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記一部分は、前記撮像画像の合焦部分である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記一部分は、前記撮像画像の所定の位置の部分領域である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記一部分は、前記撮像画像の一部の画素を間引いた部分である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記一部分は、前記撮像画像の画像解析結果に基づいて特定される部分である
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部をさらに備える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記抽出部は、フォーカス情報に基づいて、前記撮像画像の合焦部分を抽出する
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記抽出部は、前記撮像画像の画像解析結果に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記部分特定情報
を用いて、
前記撮像画像のメタデータを更新する更新部をさらに備え、
前記紐付け部は、
前記更新部により更新された前記メタデータを、前記撮像画像に付与することで、前記撮像画像に
前記メタデータを紐付ける
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記紐付け部は、
電子署名の生成に用いられた公開鍵および前記公開鍵の証明書を、前記撮像画像に紐付ける
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像画像は動画像であり、
前記紐付け部は、
前記動画像のIフレームについてのみ、前記撮像画像の一部分と前記部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像
に紐付ける
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮像画像は動画像であり、
前記紐付け部は、
前記動画像の動きが閾値より高いフレームについてのみ、前記撮像画像の一部分と前記部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記紐付け部は、
連写モードの場合、前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付け、
前記連写モードでない場合、前記撮像画像全体のハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付ける
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を生成することと、
生成された前記ハッシュ値を含む電子署名を生成することと、
生成された前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付けることと
を含む情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、
生成された前記ハッシュ値を含む電子署名を生成する電子署名生成部と、
生成された前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付ける紐付け部
として機能させるプログラム。
【請求項16】
撮像画像に紐付けられた電子署名を復号し、前記撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得る電子署名復号部と、
前記電子署名とともに前記撮像画像に紐付けられた前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部と、
抽出された前記一部分と前記部分特定情報との第2のハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、
前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とを比較する比較部と
を備える情報処理装置。
【請求項17】
撮像画像に紐付けられた電子署名を復号し、前記撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得ることと、
前記電子署名とともに前記撮像画像に紐付けられた前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出することと、
抽出された前記一部分と前記部分特定情報との第2のハッシュ値を生成することと、
前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とを比較することと
を含む情報処理方法。
【請求項18】
コンピュータを、
撮像画像
に紐付けられた
電子署名を復号し、前記撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得る電子署名復号部と、
前記電子署名とともに前記撮像画像に紐付けられた前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部と、
抽出された前記一部分
と前記部分特定情報との
第2のハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、
前記第1のハッシュ値と
前記第2のハッシュ値とを比較する比較部
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、負荷の増大を抑制することができるようにした撮像装置、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等において撮像画像等をハッシュ値に変換し、そのハッシュ値を用いた電子署名を撮像画像に紐付けることにより、改ざんの検知に利用する方法が提案された(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、このような電子署名の紐付けによる負荷の増大を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の一側面の撮像装置は、撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、生成された前記ハッシュ値を含む電子署名を生成する電子署名生成部と、生成された前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付ける紐付け部とを備える撮像装置である。
【0006】
本技術の一側面の情報処理方法は、撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を生成することと、生成された前記ハッシュ値を含む電子署名を生成することと、生成された前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付けることとを含む情報処理方法である。
【0007】
本技術の一側面のプログラムは、撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、生成された前記ハッシュ値を含む電子署名を生成する電子署名生成部と、生成された前記ハッシュ値および前記電子署名を前記撮像画像に紐付ける紐付け部として機能させるプログラムである。
【0008】
本技術の他の側面の情報処理装置は、撮像画像に紐付けられた電子署名を復号し、前記撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得る電子署名復号部と、前記電子署名とともに前記撮像画像に紐付けられた前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部と、抽出された前記一部分と前記部分特定情報との第2のハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とを比較する比較部とを備える撮像装置である。
【0009】
本技術の他の側面の情報処理方法は、撮像画像に紐付けられた電子署名を復号し、前記撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得ることと、前記電子署名とともに前記撮像画像に紐付けられた前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出することと、抽出された前記一部分と前記部分特定情報との第2のハッシュ値を生成することと、前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とを比較することとを含む情報処理方法である。
【0010】
本技術の他の側面のプログラムは、コンピュータを、撮像画像に紐付けられた電子署名を復号し、前記撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得る電子署名復号部と、前記電子署名とともに前記撮像画像に紐付けられた前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部と、抽出された前記一部分と前記部分特定情報との第2のハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とを比較する比較部として機能させるプログラムである。
【0011】
本技術の一側面の撮像装置、情報処理方法、およびプログラムにおいては、撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を生成することと、その生成されたハッシュ値を含む電子署名を生成することと、その生成されたハッシュ値および電子署名を撮像画像に紐付けることとが行われる。
【0012】
本技術の他の側面の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムにおいては、撮像画像に紐付けられた電子署名を復号し、その撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報との第1のハッシュ値を得ることと、その電子署名とともにその撮像画像に紐付けられた部分特定情報に基づいて、その撮像画像からその一部分を抽出することと、その抽出された一部分と部分特定情報との第2のハッシュ値を生成することと、その第1のハッシュ値と第2のハッシュ値とを比較することとが行われる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】改ざん検知システムの主な構成例を示す図である。
【
図2】装置間で授受される情報の例を説明する図である。
【
図3】撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図4】撮像装置において実現される機能を示す機能ブロック図である。
【
図5】撮像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図6】検証装置等の主な構成例を示すブロック図である。
【
図7】検証装置において実現される機能を示す機能ブロック図である。
【
図8】検証に関する処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図9】撮像装置において実現される機能を示す機能ブロック図である。
【
図10】撮像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図11】撮像装置において実現される機能を示す機能ブロック図である。
【
図12】撮像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図13】検証装置において実現される機能を示す機能ブロック図である。
【
図14】検証に関する処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図15】撮像装置において実現される機能を示す機能ブロック図である。
【
図16】撮像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.部分画像のハッシュ生成
2.第1の実施の形態(フォーカス情報に基づく部分領域特定)
3.第2の実施の形態(画像解析結果に基づく部分領域特定)
4.第3の実施の形態(動画像の場合)
5.第4の実施の形態(撮像モードに応じた制御)
6.付記
【0015】
<1.部分画像のハッシュ生成>
<ハッシュの生成>
例えば、特許文献1には、デジタルカメラ等において撮像画像全体のハッシュを生成し、そのハッシュを用いた電子署名を撮像画像に関連付けることにより、改ざんの検知に利用する方法が記載されている。例えば撮像装置の情報もこの電子署名に含めることができる。
【0016】
しかしながら、近年、情報処理技術の向上に伴い、撮像画像のデータ量は増大する傾向にある。このような撮像画像のデータ量の増大に伴い、撮像画像全体のハッシュを生成する処理の負荷も増大する傾向にあった。そのため、この電子署名の生成に関する処理時間が増大し、特に連写撮像モードや動画像撮像モードのように、短期間において複数の撮像画像を生成する場合、この電子署名の生成処理が間に合わなくなるおそれがあった。
【0017】
そこで、撮像画像の一部分のハッシュを生成し、改ざんの検知に利用するようにする。このようにすることにより、ハッシュを生成する対象(画像)のデータ量の増大を抑制することができるので、電子署名の生成に関する負荷の増大を抑制することができる。
【0018】
例えば、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値をその撮像画像に紐付けるようにする。このようにすることにより、電子署名の生成に関する負荷の増大を抑制し、その処理時間の増大を抑制することができる。
【0019】
このハッシュを生成する一部分は、撮像画像の任意の部分としてよい。例えば、撮像画像のより重要な部分をその一部分としてもよい。つまり、撮像画像の重要な部分を特定し、その特定した部分を撮像画像から抽出し、その抽出した画像のハッシュを生成し、そのハッシュを電子署名の生成に用いることにより、負荷の増大を抑制しながら、撮像画像の重要な部分について真正性を保証することができる。
【0020】
この撮像画像の重要な一部分とする基準は任意である。例えば、撮像画像の、被写体に合焦している部分(合焦部分とも称する)をこの重要な一部分としてもよい。例えば、撮像画像の焦点位置を示すフォーカス情報(例えば、デプスマップや測距情報等よりなるデプスデータ)を用いてその合焦部分を特定し、その特定した合焦部分を抽出してハッシュを生成するようにしてもよい。このようにすることにより、負荷の増大を抑制しながら、撮像画像の合焦部分について真正性を保証することができる。
【0021】
また、例えば、撮像画像の所定の位置の部分領域をこの重要な一部分としてもよい。例えば、重要な被写体が存在する可能性の高そうな位置の部分領域をこの重要な一部分としてもよい。例えば、撮像画像の中央付近の部分領域をこの重要な一部分としてもよい。また、撮像画像の4隅付近の部分領域をこの重要な一部分としてもよい。さらに、撮像画像の中央付近や4隅付近等、互いに異なる位置の複数の部分領域の中からランダムに選択した部分領域をこの重要な一部分としてもよい。このようにすることにより、負荷の増大を抑制しながら、撮像画像の所定の位置の部分領域について真正性を保証することができる。
【0022】
また、例えば、撮像画像の一部の画素を間引いた部分をこの重要な一部分としてもよい。例えば、撮像画像より任意の画素を所定の割合で間引いた画像をこの重要な一部分としてもよい。例えば、4K解像度の撮像画像の画素を間引いてHD解像度とした画像をこの重要な一部分としてもよい。また、例えば、撮像画像の任意の画素列(または画素行)を所定の割合で間引いた画像をこの重要な一部分としてもよい。このようにすることにより、負荷の増大を抑制しながら、撮像画像全体と略同様の範囲について真正性を保証することができる。
【0023】
また、撮像画像を画像解析して重要な一部分を特定するようにしてもよい。例えば、撮像画像を画像解析して重要な被写体が存在する部分を特定し、その特定した部分を重要な一部分として抽出し、ハッシュを生成してもよい。例えば、画像解析により被写体(人物)を検知し、撮像画像の、その人物が存在する領域を重要な一部分としてもよい。もちろん、検知する被写体は任意であり、人物に限定されない。例えば、検知する被写体は、人物の顔であってもよいし、顔以外の部位であってもよい。また、動物であってもよいし、植物であってもよい。さらに、建築物等のような無機物であってもよい。このようにすることにより、負荷の増大を抑制しながら、撮像画像の、重要な被写体が写っている部分について真正性を保証することができる。
【0024】
また、撮像画像が動画像の場合、その動画像のIフレームについてのみ、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を撮像画像に関連付けるようにしてもよい。このようにすることにより、負荷の増大を抑制しながら、よりデータ量が多いIフレームについて、その重要な部分の真正性を保証することができる。
【0025】
さらに、撮像画像が動画像の場合、その動画像の動きの激しいフレーム(例えば、フレーム間(前フレームから)の動きが所定の閾値よりも大きい(閾値よりも高い)フレーム)についてのみ、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を撮像画像に関連付けるようにしてもよい。このようにすることにより、負荷の増大を抑制しながら、より重要な動きの激しいフレームについて、その重要な部分の真正性を保証することができる。
【0026】
また、撮像モードが連写モードの場合、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を撮像画像に関連付け、連写モードでない場合、撮像画像全体のハッシュ値を撮像画像に関連付けるようにしてもよい。このようにすることにより、処理時間の短い連写モードについて、処理時間の増大を抑制することができる。
【0027】
なお、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とを用いて、ハッシュ値を生成するようにしてもよい。また、その生成されたハッシュ値を撮像画像に紐付けるようにしてもよい。また、ハッシュ値を含む電子署名を生成し、その生成された電子署名を撮像画像に紐付けるようにしてもよい。
【0028】
また、一部分を特定するための部分特定情報を用いて、撮像画像のメタデータを更新し、その更新されたメタデータを、撮像画像に紐付けるようにしてもよい。さらに、電子署名の生成に用いられた公開鍵およびその公開鍵の証明書を、撮像画像に関連付けるようにしてもよい。
【0029】
また、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値とともに撮像画像に紐付けられた、その部分特定情報に基づいて、その撮像画像からその一部分を抽出し、その抽出された一部分と、その部分特定情報とのハッシュ値を生成し、その生成されたハッシュ値と、その撮像画像に紐付けられたハッシュ値とを比較するようにしてもよい。このようにすることにより、撮像画像の一部分のハッシュを用いて生成された電子署名の検証に関する負荷の増大を抑制することができる。
【0030】
<2.第1の実施の形態>
<改ざん検知システム>
図1は、本技術を適用した情報処理システムの一実施の形態である改ざん検知システムの主な構成例を示す図である。
図1に示される改ざん検知システム100は、撮像画像等の改ざんを検知するシステムである。
図1に示されるように、この改ざん検知システム100は、例えば、撮像装置101、検証装置102、および認証局103を有する。なお、
図1においては、撮像装置101、検証装置102、および認証局103がそれぞれ1台ずつ示されているが、改ざん検知システム100を構成する、撮像装置101、検証装置102、および認証局103の数は、それぞれ任意である。例えば撮像装置101、検証装置102、および認証局103が複数であってもよい。
【0031】
撮像装置101、検証装置102、および認証局103は、例えば図示せぬネットワークを介して互いに通信可能に接続される。撮像装置101は、被写体の撮像(撮像画像の生成)、その撮像画像のハッシュの生成、その撮像画像に関連付ける署名の生成等に関する処理を行う。また、撮像装置101は、認証局103に対して証明書の発行申請を行い、認証局103にその証明書を発行させ、その証明書を取得する。さらに、撮像装置101は、検証装置102に対して撮像画像(写真)やそのメタデータ等を送付することができる。
【0032】
検証装置102は、撮像装置101において生成された撮像画像の改ざんの検知に関する処理を行う。例えば、検証装置102は、撮像装置101から供給される撮像画像(写真)やそのメタデータを取得し得る。また、検証装置102は、電子署名の検証を行うことができる。
【0033】
認証局103は、撮像画像に対して証明書を発行することができる。また、認証局103は、検証装置102に対して認証局の証明書や証明書失効リストの配布を行うことができる。検証装置102は、その認証局の証明書と証明書失効リストを基に、撮像装置101が使用している証明書の検証を行うことができる。なお、本明細書において、データの「紐付け」とは、データ同士の「関連付け」のことである。ここで、「関連付ける」という用語は、例えば、一方のデータを処理する際に他方のデータを利用し得る(リンクさせ得る)ようにすることを意味する。つまり、互いに関連付けられたデータは、1つのデータとしてまとめられてもよいし、それぞれ個別のデータとしてもよい。例えば、互いに関連付けられた複数の情報が、互いに異なる伝送路上で伝送されるようにしてもよい。また、例えば、互いに関連付けられた複数の情報が、互いに異なる記録媒体(または同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されてもよい。なお、この「関連付け」は、データ全体でなく、データの一部であってもよい。例えば、画像とその画像に対応する情報とが、複数フレーム、1フレーム、またはフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられるようにしてもよい。なお、本明細書においては、上述した「紐付ける」以外にも、例えば「合成する」、「多重化する」、「付加する」、「一体化する」、「含める」、「格納する」、「入れ込む」、「差し込む」、「挿入する」等の用語は、複数の物を1つにまとめることを意味し、上述の「関連付ける」の1つの方法を意味する。
【0034】
<データ>
図2は、撮像装置101から検証装置102に供給されるデータの例を示す図である。
図2のAに示されるように、撮像画像111には、メタデータ112、電子署名113、および証明書/公開鍵114等の情報が関連付けられる。
【0035】
このメタデータ112の例を
図2のBに示す。
図2のBに示されるように、メタデータ112には、カメラのシリアル番号、撮影者、撮影時刻、焦点距離、絞り値、シャッタースピード、および撮影場所等の情報が含まれる。さらに、このメタデータ112には、抽出領域情報も含まれる。
【0036】
<撮像装置>
図3は、本技術を適用した情報処理装置の一実施の形態である撮像装置101の主な構成例を示す図である。
図3に示される撮像装置101は、撮像(撮像画像の生成)や電子署名の生成等に関する処理を行うアプリケーションプログラム(ソフトウエア)をインストールし、実行するコンピュータである。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。つまり、撮像装置101は、アプリケーションプログラムを実行することにより、撮像(撮像画像の生成)や電子署名の生成等に関する処理を行う。
【0037】
図3に示される撮像装置101において、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203は、バス204を介して相互に接続されている。
【0038】
バス204にはまた、入出力インタフェース210も接続されている。入出力インタフェース210には、入力部211、出力部212、記憶部213、通信部214、およびドライブ215が接続されている。
【0039】
入力部211は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部212は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部213は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部214は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ215は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体221を駆動する。
【0040】
また、入出力インタフェース210には、さらに、撮像部231やセンサ232が接続されている。
【0041】
撮像部231は、例えばレンズや絞り等の光学系とイメージセンサとを有し、被写体を撮像し、撮像画像を生成する。なお、撮像部231が、生成された撮像画像に対する画像処理を行う画像処理部や撮像画像のデータを記憶するメモリ等、上述した以外の構成をさらに有するようにしてもよい。
【0042】
センサ232は、例えば、測距センサ等を有し、被写体までの距離を測距する。なお、センサ232がデプスマップ等を生成するようにしてもよい。
【0043】
以上のように構成される撮像装置101では、CPU201が、例えば、記憶部213に記憶されているアプリケーションプログラムを、入出力インタフェース210およびバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM203にはまた、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0044】
撮像装置101が実行するアプリケーションプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体221に記録して適用することができる。その場合、アプリケーションプログラムは、リムーバブル記録媒体221をドライブ215に装着することにより、入出力インタフェース210を介して、記憶部213にインストールすることができる。
【0045】
また、このアプリケーションプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、このアプリケーションプログラムは、通信部214で受信し、記憶部213にインストールすることができる。
【0046】
その他、このアプリケーションプログラムは、ROM202や記憶部213に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0047】
撮像装置101においてアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能を機能ブロックとして
図4に示す。
図4に示されるように、撮像装置101は、アプリケーションプログラムを実行することにより、撮像制御部251、部分データ抽出部252、メタデータ更新部253、ハッシュ生成部254、電子署名生成部255、紐付け部256、および出力制御部257を有することができる。
【0048】
撮像制御部251は、撮像部231を制御し、撮像に関する処理を実行させる。部分データ抽出部252は、撮像画像の部分データ(撮像画像の部分画像のデータ)の抽出に関する処理を行う。メタデータ更新部253は、撮像画像に関連付けられるメタデータの情報更新に関する処理を行う。ハッシュ生成部254は、ハッシュの生成に関する処理を行う。電子署名生成部255は、電子署名の生成に関する処理を行う。紐付け部256は、撮像画像と、その他のデータの紐付けに関する処理を行う。出力制御部257は、データ出力の制御に関する処理を行う。
【0049】
<撮像処理の流れ>
この撮像装置101により実行される撮像処理の流れの例を、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
撮像処理が開始されると、撮像制御部251は、ステップS101において、撮像部231を制御して被写体を撮像させ、その撮像画像を生成させる。また、撮像制御部251は、センサ232を制御して被写体までの距離を測距させ、フォーカス情報(デプスデータ)を生成させる。そして撮像制御部251は、生成させた撮像画像およびフォーカス情報を取得する。
【0051】
ステップS102において、部分データ抽出部252は、ステップS101において取得したフォーカス情報に基づいて、同じく取得した撮像画像の合焦部分を抽出する。ステップS103において、メタデータ更新部253は、ステップS102において抽出した領域を示す抽出領域情報(すなわち、撮像画像の一部分を特定するための部分特定)をメタデータに含める。つまり、
図2のBに示されるように、メタデータ112に「抽出領域情報」が付与される。そして、そのように更新されたメタデータが撮像画像の部分画像(合焦部分)に付与される。つまり、メタデータと部分画像とが紐付けられる(関連付けられる)。
【0052】
ステップS104において、ハッシュ生成部254は、ステップS102において抽出された部分画像とステップS103において更新されたメタデータとを合わせたデータのハッシュを生成する。つまり、互いに紐づけられた部分画像とメタデータとのハッシュが生成される。
【0053】
ステップS105において、電子署名生成部255は、ステップS104において生成されたハッシュ(互いに紐づけられた部分画像とメタデータとのハッシュ)を秘密鍵で暗号化して、電子署名を生成する。
【0054】
ステップS106において、紐付け部256は、ステップS101において取得された撮像画像、ステップS103において更新されたメタデータ、ステップS105において生成された電子署名、証明書、およびステップS105において用いられた秘密鍵に対応する公開鍵を互いに紐付ける(関連付ける)。
【0055】
ステップS107において、出力制御部257は、ステップS106の処理により互いに紐付けられた(関連付けられた)撮像画像、メタデータ、電子署名、証明書、および公開鍵を出力する。
【0056】
ステップS107の処理が終了すると撮像処理が終了する。以上のように撮像処理を行うことにより、撮像画像の一部分を用いて電子署名を生成することができる。つまり、撮像画像の一部分とその一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を撮像画像に紐付けることができる。したがって、負荷の増大を抑制することができる。
【0057】
以上においては、フォーカス情報に基づいて、撮像画像の一部分を特定し、そのハッシュを生成するように説明したが、この一部分の特定方法は任意であり、フォーカス情報の例に限定されない。例えば、撮像画像の所定の位置の部分画像を、この「一部分」としてもよい。また、撮像画像の一部の画素を間引いた画像を、この「一部分」としてもよい。
【0058】
<検証装置等>
図6は、本技術を適用した情報処理装置の一実施の形態である検証装置102の主な構成例を示す図である。
図6に示される検証装置は、電子署名の検証に関する処理を行うアプリケーションプログラム(ソフトウエア)をインストールし、実行するコンピュータである。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。検証装置102は、アプリケーションプログラムを実行することにより、電子署名の検証に関する処理を行う。
【0059】
図6に示される検証装置102において、CPU301、ROM302、RAM303は、バス304を介して相互に接続されている。
【0060】
バス304にはまた、入出力インタフェース310も接続されている。入出力インタフェース310には、入力部311、出力部312、記憶部313、通信部314、およびドライブ315が接続されている。
【0061】
入力部311は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部312は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部313は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部314は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ315は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体321を駆動する。
【0062】
以上のように構成される検証装置102では、CPU301が、例えば、記憶部313に記憶されているアプリケーションプログラムを、入出力インタフェース310およびバス304を介して、RAM303にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM303にはまた、CPU301が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0063】
検証装置102が実行するアプリケーションプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体321に記録して適用することができる。その場合、アプリケーションプログラムは、リムーバブル記録媒体321をドライブ315に装着することにより、入出力インタフェース310を介して、記憶部313にインストールすることができる。
【0064】
また、このアプリケーションプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、このアプリケーションプログラムは、通信部314で受信し、記憶部313にインストールすることができる。
【0065】
その他、このアプリケーションプログラムは、ROM302や記憶部313に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0066】
なお、認証局103も、
図3に示される検証装置102と同様の構成を有する。つまり、
図3に示されるブロック図は、認証局103の説明にも利用し得る。
【0067】
検証装置102においてアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能を機能ブロックとして
図7に示す。
図7に示されるように、検証装置102は、アプリケーションプログラムを実行することにより、取得制御部351、証明書検証部352、電子署名復号部353、部分データ抽出部354、ハッシュ生成部355、比較部356、出力制御部357を有することができる。
【0068】
取得制御部351は、例えば通信部314を制御する等して、撮像画像や電子署名等のデータの取得に関する処理を行う。証明書検証部352は、証明書の検証に関する処理を行う。電子署名復号部353は、電子署名の復号に関する処理を行う。部分データ抽出部354は、部分データの抽出に関する処理を行う。ハッシュ生成部355は、ハッシュの生成に関する処理を行う。比較部356は、電子署名の比較に関する処理を行う。出力制御部357は、データ出力に関する処理を行う。
【0069】
<検証処理の流れ>
次に、
図8のフローチャートを参照して、検証装置102および認証局103により実行される検証処理の流れの例を説明する。
【0070】
検証処理が開始されると、検証装置102の取得制御部351は、ステップS201において、通信部314を制御する等して、撮像装置101から供給される、互いに紐づけられた撮像画像、メタデータ、電子署名、証明書、および公開鍵を取得する。つまり、撮像画像の一部分を用いて生成された電子署名(メタデータの抽出領域情報に対応する撮像画像の一部分(部分画像)とその部分画像を特定するための部分特定情報(つまりメタデータ)とのハッシュ値を含む電子署名)が取得される。
【0071】
ステップS202において、証明書検証部352は、通信部314を介して、証明書失効リストを認証局103に対して要求する。認証局103は、ステップS221において、検証装置102からの要求を受け付ける。そして、認証局103は、その要求に基づいて、証明書失効リストを検証装置102に供給する。検証装置102の取得制御部351は、ステップS203において、通信部314を介してその証明書失効リストを取得する。
【0072】
ステップS204において、証明書検証部352は、ステップS203において取得した証明書失効リストを用いて、証明書の有効性を確認する。
【0073】
ステップS205において、電子署名復号部353は、ステップS201において取得された電子署名を公開鍵で復号する。つまり、メタデータの抽出領域情報に対応する撮像画像の部分画像とそのメタデータ(部分特定情報)とのハッシュ値が得られる。ステップS206において、部分データ抽出部354は、メタデータの抽出領域情報に基づいて、撮像画像から部分画像を抽出する。
【0074】
ステップS207において、ハッシュ生成部355は、抽出した部分画像とメタデータのハッシュを生成する。
【0075】
ステップS208において、比較部356は、ステップS205の処理により得られるハッシュと、ステップS207の処理により生成されるハッシュとを比較し、その比較結果に基づいて、改ざんが行われたか否かを判定する。
【0076】
ステップS209において、出力制御部357は、ステップS208において得られた検証結果を出力する。ステップS209の処理が終了すると、検証処理が終了する。
【0077】
以上のように検証処理を行うことにより、検証装置102は、撮像画像の部分画像のハッシュを用いた電子署名の検証を行うことができる。したがって、負荷の増大を抑制することができる。
【0078】
<3.第2の実施の形態>
<画像解析結果に基づく部分領域特定>
なお、撮像画像に対して画像解析を行い、その解析結果に基づいてハッシュを生成する撮像画像の「一部分」を特定してもよい。例えば、画像解析を行うことにより、撮像画像の人物(や顔)の領域を特定し、その領域を上述の「一部分」とし、その領域のハッシュを生成するようにしてもよい。
【0079】
<機能ブロック>
その場合の撮像装置101においてアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能を機能ブロックとして
図9に示す。
図9に示されるように、この場合、撮像装置101は、
図4の場合の機能ブロックに加え、画像解析部401を有する。画像解析部401は、撮像画像等に対する画像解析に関する処理を行う。
【0080】
<撮像処理の流れ>
この場合の撮像処理の流れの例を、
図10のフローチャートを参照して説明する。撮像処理が開始されると、撮像制御部251は、ステップS301において、撮像部231を制御して被写体を撮像させ、その撮像画像を生成させる。また、撮像制御部251は、センサ232を制御して被写体までの距離を測距させ、フォーカス情報(デプスデータ)を生成させる。そして撮像制御部251は、生成させた撮像画像およびフォーカス情報を取得する。
【0081】
ステップS302において、画像解析部401は、その撮像画像を画像解析し、人物が写っている領域(人物領域)を特定する。ステップS303において、部分データ抽出部252は、撮像画像の特定した人物領域を抽出する。
【0082】
ステップS304乃至ステップS308の各処理は、
図5のステップS103乃至ステップS107の各処理と同様に実行される。
【0083】
以上のように撮像処理を行うことにより、撮像装置101は、画像解析結果に応じた撮像画像の一部分を用いて電子署名を生成することができる。つまり、撮像画像のより重要な部分のハッシュを生成し、撮像画像に関連付けることができる。したがって、負荷の増大を抑制することができる。
【0084】
なお、以上においては、画像解析により人物領域を特定するように説明したが、画像解析により特定される領域は任意であり、人物領域以外であってもよい。
【0085】
また、この場合の検証処理は、第1の実施の形態の場合と同様であるのでその説明を省略する。
【0086】
<4.第3の実施の形態>
<動画像>
なお、電子署名を関連付ける撮像画像は動画像であってもよい。この場合、一部のフレームについてのみ、上述のように部分画像のハッシュを撮像画像に紐付けるようにしてもよい。例えば、Iフレームのみ、部分画像のハッシュを撮像画像に紐付けるようにしてもよい。
【0087】
<機能ブロック>
その場合の撮像装置101においてアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能を機能ブロックの例を
図11に示す。
図11に示されるように、この場合、撮像装置101は、
図4の場合の機能ブロックに加え、並べ替えバッファ411および符号化部412を有する。並べ替えバッファ411は、符号化される動画像の複数のフレームを保持し、そのフレームの順を再生順から復号順に並べ替える。符号化部412は、例えば、AVC(Advanced Video Coding)やHEVC(High Efficiency Video Coding)等の2次元動画像用の符号化方式を用いて撮像画像(動画像)の符号化に関する処理を行う。
【0088】
<撮像処理の流れ>
この場合の撮像処理の流れの例を、
図12のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、一例として、ハッシュを生成する部分領域を、フォーカス情報を用いて設定する場合を例に説明する。
【0089】
撮像処理が開始されると、撮像制御部251は、ステップS341において、撮像部231を制御して被写体を撮像させ、その撮像画像を生成させる。また、撮像制御部251は、センサ232を制御して被写体までの距離を測距させ、フォーカス情報(デプスデータ)を生成させる。そして撮像制御部251は、生成させた撮像画像およびフォーカス情報を取得する。
【0090】
ステップS342において、並べ替えバッファ411は、複数のフレーム画像を保持し、そのフレーム順を再生順から符号化順に並べ替える。
【0091】
ステップS343において、部分データ抽出部252は、処理対象フレームがIフレームであるか否かを判定する。Iフレームであると判定された場合、処理はステップS344に進む。
【0092】
ステップS344乃至ステップS347の各処理は、ステップS102乃至ステップS105の各処理と同様に実行される。ステップS348において、符号化部412は、処理対象の撮像画像を符号化し、符号化データを生成する。
【0093】
ステップS349において、紐付け部256は、撮像画像の符号化データ、メタデータ、電子署名、証明書、および公開鍵を互いに紐付ける。ステップS350において、出力制御部257は、それらのデータを出力する。
【0094】
ステップS350の処理が終了すると、処理はステップS353に進む。また、ステップS343において、処理対象フレームがIフレームでないと判定された場合、処理はステップS351に進む。
【0095】
ステップS351において、符号化部412は、撮像画像を符号化し、符号化データを生成する。ステップS352において、出力制御部257は、その符号化データを出力する。ステップS352の処理が終了すると処理はステップS353に進む。
【0096】
ステップS353において、撮像制御部251は、全フレームを処理したか否かを判定する。未処理のフレームが存在すると判定された場合、処理はステップS341に戻り、それ以降の処理が行われる。また、ステップS353において全フレームが処理されたと判定された場合、撮像処理が終了する。
【0097】
以上のように撮像処理を行うことにより、動画像のIフレームについてのみ、撮像画像の一部分のハッシュを生成し、電子署名の生成に用いることができる。したがって、負荷の増大を抑制することができる。
【0098】
<検証装置の機能ブロック>
また、この場合の検証装置102においてアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能を機能ブロックの例を
図13に示す。
図13に示されるように、この場合、検証装置102は、
図7の場合の機能ブロックに加え、復号部421を有する。復号部421は、動画像の符号化データの復号に関する処理を行う。並べ替えバッファ411は、符号化される動画像の複数のフレームを保持し、そのフレームの順を再生順から復号順に並べ替える。符号化部412は、例えば、AVC(Advanced Video Coding)やHEVC(High Efficiency Video Coding)等の2次元動画像用の符号化方式を用いて撮像画像(動画像)の符号化に関する処理を行う。
【0099】
<検証処理の流れ>
次に、
図14のフローチャートを参照して、この場合の検証装置102および認証局103により実行される検証処理の流れの例を説明する。
【0100】
検証処理が開始されると、検証装置102の取得制御部351は、ステップS371において、通信部314を制御する等して、互いに紐づけられた撮像画像の符号化データ、メタデータ、電子署名、証明書、および公開鍵を取得する。
【0101】
ステップS372において、復号部421は、その符号化データを復号し、フレーム画像を生成する。
【0102】
ステップS373において、復号部421は、処理対象フレームがIフレームであるか否かを判定する。Iフレームであると判定された場合、処理はステップS374に進む。
【0103】
ステップS374乃至ステップS381の各処理は、
図8のステップS202乃至ステップS209の各処理と同様に実行される。また、認証局103によるステップS391およびステップS392の各処理は、
図8のステップS221およびステップS222の各処理と同様に実行される。
【0104】
ステップS381の処理が終了すると、処理はステップS382に進む。また、ステップS373において、処理対象フレームがIフレームでないと判定された場合、処理はステップS382に進む。
【0105】
ステップS382において、出力制御部357は、全フレームを処理したか否かを判定する。未処理のフレームが存在すると判定された場合、処理はステップS371に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS382において全フレームを処理したと判定された場合、検証処理が終了する。
【0106】
以上のように検証処理を行うことにより、検証装置102は、動画像のIフレームについてのみ、撮像画像の部分画像のハッシュを用いた電子署名の検証を行うことができる。したがって、負荷の増大を抑制することができる。
【0107】
<5.第4の実施の形態>
<撮像モードに応じた制御>
なお、撮像モードに応じて、電子署名の生成方法を制御するようにしてもよい。例えば、動画像を撮像する撮像モードや、所謂連写を行う撮像モードの場合、上述のように部分画像のハッシュを用いて電子署名を生成し、通常の静止画撮像モードの場合、撮像画像全体のハッシュを用いて電子署名を生成するようにしてもよい。
【0108】
<機能ブロック>
その場合の撮像装置101においてアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能を機能ブロックの例を
図15に示す。
図15に示されるように、この場合、撮像装置101は、
図11の場合の機能ブロックに加え、撮像モード制御部431を有する。撮像モード制御部431は、撮像モードに応じた電子署名生成に関する制御を行う。
【0109】
<撮像処理の流れ>
この場合の撮像処理の流れの例を、
図16のフローチャートを参照して説明する。撮像処理が開始されると、撮像モード制御部431は、ステップS401において、撮像モードを設定する。ステップS402において、撮像モード制御部431は、撮像モードが動画像を撮像する動画撮像モードであるか否かを判定する。動画撮像モードであると判定された場合、処理はステップS403に進む。
【0110】
ステップS403において、撮像装置101は、動画撮像モードで撮像処理を行う。つまり、撮像装置101は、
図12のフローチャートを参照して説明した場合と同様の撮像処理を行う。ステップS403の処理が終了すると撮像処理が終了する。
【0111】
また、ステップS402において、動画撮像モードでないと判定された場合、処理はステップS404に進む。ステップS404において、撮像モード制御部431は、静止画像の撮像画像を短期間に複数回撮像する(所謂連写を行う)連写撮像モードであるか否かを判定する。連写撮像モードであると判定された場合、処理はステップS405に進む。
【0112】
ステップS405において、撮像装置101は、連写撮像モードで撮像処理を行う。つまり、撮像装置101は、
図5や
図10のフローチャートを参照して説明した場合と同様の撮像処理を行い、部分画像のハッシュを用いて電子署名を生成する。ステップS405の処理が終了すると撮像処理が終了する。
【0113】
また、ステップS404において、連写撮像モードでないと判定された場合、処理はステップS406に進む。この場合は、撮像画像全体のハッシュを用いて電子署名が生成される。
【0114】
したがって、ステップS406において、撮像制御部251は、撮像部231を制御して被写体を撮像させ、その撮像画像を生成させる。そして撮像制御部251は、生成させた撮像画像を取得する。
【0115】
ステップS407において、ハッシュ生成部254は、撮像画像全体のハッシュを生成する。ステップS408において、電子署名生成部255は、ステップS407において生成されたハッシュを秘密鍵で暗号化して、電子署名を生成する。
【0116】
ステップS409において、紐付け部256は、取得された撮像画像、ステップS408において生成された電子署名、証明書、および公開鍵を互いに紐付ける。
【0117】
ステップS410において、出力制御部257は、ステップS409の処理により互いに関連付けられた撮像画像、電子署名、証明書、および公開鍵を出力する。ステップS410の処理が終了すると撮像処理が終了する。
【0118】
このように撮像処理を行うことにより、撮像モードに応じて適切な撮像処理を行うことができる。したがって、負荷の増大をより抑制することができる。
【0119】
<6.付記>
<ハードウエア>
上述した一連の処理は、ソフトウエア(アプリケーションプログラム)により実行させることもできるし、ハードウエアにより実行させることもできる。
【0120】
<本技術の適用対象>
本技術は、任意の構成に適用することができる。例えば、本技術は、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、または、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等、装置の一部の構成として実施することもできる。
【0121】
また、例えば、本技術は、複数の装置により構成されるネットワークシステムにも適用することもできる。例えば、本技術を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングとして実施するようにしてもよい。例えば、コンピュータ、携帯型情報処理端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の任意の端末に対してサービスを提供するクラウドサービスにおいて本技術を実施するようにしてもよい。
【0122】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、および、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0123】
<本技術を適用可能な分野・用途>
本技術を適用したシステム、装置、処理部等は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野に利用することができる。また、その用途も任意である。
【0124】
<その他>
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0125】
例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0126】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行されるようにしてもよい。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0127】
また、例えば、1つのフローチャートの各ステップを、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合、その複数の処理を、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0128】
また、例えば、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0129】
また、例えば、本技術に関する複数の技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0130】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける紐付け部
を備える撮像装置。
(2) 前記一部分は、前記撮像画像の合焦部分である
(1)に記載の撮像装置。
(3) 前記一部分は、前記撮像画像の所定の位置の部分領域である
(1)に記載の撮像装置。
(4) 前記一部分は、前記撮像画像の一部の画素を間引いた部分である
(1)に記載の撮像装置。
(5) 前記一部分は、前記撮像画像の画像解析結果に基づいて特定される部分である
(1)に記載の撮像装置。
(6) 前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部をさらに備える
(1)乃至(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7) 前記抽出部は、フォーカス情報に基づいて、前記撮像画像の合焦部分を抽出する
(6)に記載の撮像装置。
(8) 前記抽出部は、前記撮像画像の画像解析結果に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する
(6)に記載の撮像装置。
(9) 前記撮像画像の一部分と前記部分特定情報とを用いて、前記ハッシュ値を生成するハッシュ値生成部をさらに備え、
前記紐付け部は、前記ハッシュ値生成部により生成された前記ハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける
(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10) 前記ハッシュ値を含む電子署名を生成する電子署名生成部をさらに備え、
前記紐付け部は、前記電子署名生成部により生成された前記電子署名を前記撮像画像に紐付ける
(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像装置。
(11) 前記部分情報を用いて、前記撮像画像のメタデータを更新する更新部をさらに備え、
前記紐付け部は、前記更新部により更新された前記メタデータを、前記撮像画像に付与することで、前記撮像画像に前記メタデータを紐付ける
(10)に記載の撮像装置。
(12) 前記紐付け部は、電子署名の生成に用いられた公開鍵および前記公開鍵の証明書を、前記撮像画像に紐付ける
(1)乃至(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13) 前記撮像画像は動画像であり、
前記紐付け部は、前記動画像のIフレームについてのみ、前記撮像画像の一部分と前記部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける
(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像装置。
(14) 前記撮像画像は動画像であり、
前記紐付け部は、前記動画像の動きが閾値より高いフレームについてのみ、前記撮像画像の一部分と前記部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける
(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像装置。
(15) 前記紐付け部は、
連写モードの場合、前記撮像画像の前記一部分と前記部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付け、
前記連写モードでない場合、前記撮像画像全体のハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける
(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像装置。
(16) 撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける
情報処理方法。
(17) コンピュータを、
撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値を前記撮像画像に紐付ける紐付け部
として機能させるプログラム。
【0131】
(18) 撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値とともに前記撮像画像に紐付けられた、前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記一部分と、前記部分特定情報とのハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、
前記ハッシュ値生成部により生成された前記ハッシュ値と、前記撮像画像に紐付けられた前記ハッシュ値とを比較する比較部と
を備える情報処理装置。
(19) 撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値とともに前記撮像画像に紐付けられた、前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出し、
抽出された前記一部分と、前記部分特定情報とのハッシュ値を生成し、
生成された前記ハッシュ値と、前記撮像画像に紐付けられた前記ハッシュ値とを比較する
情報処理方法。
(20) コンピュータを、
撮像画像の一部分と前記一部分を特定するための部分特定情報とのハッシュ値とともに前記撮像画像に紐付けられた、前記部分特定情報に基づいて、前記撮像画像から前記一部分を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記一部分と、前記部分特定情報とのハッシュ値を生成するハッシュ値生成部と、
前記ハッシュ値生成部により生成された前記ハッシュ値と、前記撮像画像に紐付けられた前記ハッシュ値とを比較する比較部
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0132】
100 改ざん検知システム, 101 撮像装置, 102 検証装置, 103 認証局, 231 撮像部, 232 センサ, 251 撮像制御部, 252 部分データ抽出部, 253 メタデータ更新部, 254 ハッシュ生成部, 255 電子署名生成部, 256 紐付け部, 257 出力制御部, 351 取得制御部, 352 証明書検証部, 353 電子署名復号部, 354 部分データ抽出部, 355 ハッシュ生成部, 356 比較部, 357 出力制御部, 401 画像解析部, 411 並べ替えバッファ, 412 符号化部, 421 復号部, 431 撮像モード制御部