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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241106BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241106BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/52 E
H01L21/60 321E
H01L23/48 G
H01L29/78 652T
H01L29/91 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022511830
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2021010735
(87)【国際公開番号】W WO2021200138
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020061725
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】野津 浩史
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-64362(JP,A)
【文献】特開2006-40926(JP,A)
【文献】特開2000-164800(JP,A)
【文献】特開2013-125889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 21/52
H01L 21/60
H01L 23/48
H01L 29/12
H01L 29/861
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する基板と、
前記基板上に配置され、導電性を有する第1接合部と、
前記第1接合部上に配置されるSiCダイオードチップと、
前記SiCダイオードチップ上に配置され、導電性を有する第2接合部と、
前記第2接合部上に配置されるトランジスタチップと、を備え、
前記SiCダイオードチップは、厚さ方向の一方側の端部に配置されるカソードパッドと、厚さ方向の他方側の端部に配置されるアノードパッドと、を含み、
前記カソードパッドは、前記第1接合部により前記基板と接合されており、
前記トランジスタチップは、厚さ方向の一方側の端部に配置されるドレイン電極を含み、
前記ドレイン電極は、前記第2接合部により前記アノードパッドと接合されており、
前記基板の厚さ方向に見て、前記アノードパッドは、前記SiCダイオードチップの外縁によって囲まれた領域内に配置されており、
前記基板の厚さ方向に見て、前記アノードパッドの面積は、前記トランジスタチップの面積よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記基板の厚さ方向に見て、前記SiCダイオードチップの外縁から前記トランジスタチップの外縁に至るまでの最短の距離は、前記SiCダイオードチップの厚さよりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トランジスタチップは、SiCトランジスタチップである、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記SiCダイオードチップを構成するSiC結晶は、4H構造を有し、
前記SiCトランジスタチップを構成するSiC結晶は、4H構造を有し、
前記SiCダイオードチップを構成するSiC結晶の(0001)面と、前記SiCトランジスタチップを構成するSiC結晶の(0001)面とは、平行である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記SiCダイオードチップを構成するSiC結晶の(11-20)面と、前記SiCトランジスタチップを構成するSiC結晶の(11-20)面とは、平行である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2接合部は、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2接合部は、前記SiCダイオードチップの厚さの30%以上である第1金属板を含み、
前記第1金属板は、前記基板の厚さ方向に見て、前記トランジスタチップと重ならない領域を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記アノードパッド上に配置され、前記アノードパッド上の領域を分割するソルダレジスト部をさらに備え、
前記第2接合部は、はんだ部を含み、
前記ソルダレジスト部は、前記基板の厚さ方向に見て、前記アノードパッド上の領域を前記はんだ部および前記トランジスタチップが配置される第1領域と、前記第1領域外となる第2領域とに分割する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トランジスタチップが配置される領域外の領域に接合される第2金属板をさらに備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関するものである。
【0002】
本出願は、2020年3月31日出願の日本出願第2020-61725号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0003】
複数の半導体チップが基板上に配置されたパワーモジュール半導体装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-117944号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示に従った半導体装置は、導電性を有する基板と、基板上に配置され、導電性を有する第1接合部と、第1接合部上に配置されるSiCダイオードチップと、SiCダイオードチップ上に配置され、導電性を有する第2接合部と、第2接合部上に配置されるトランジスタチップと、を備える。SiCダイオードチップは、厚さ方向の一方側の端部に配置されるカソードパッドと、厚さ方向の他方側の端部に配置されるアノードパッドと、を含む。カソードパッドは、第1接合部により基板と接合されている。トランジスタチップは、厚さ方向の一方側の端部に配置されるドレイン電極を含む。ドレイン電極は、第2接合部によりアノードパッドと接合されている。基板の厚さ方向に見て、アノードパッドは、SiCダイオードチップの外縁によって囲まれた領域内に配置されている。基板の厚さ方向に見て、アノードパッドの面積は、トランジスタチップの面積よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施の形態1における半導体装置の外観を示す概略平面図である。
図2図2は、図1に示す半導体装置の一部を示す図である。
図3図3は、図1に示す半導体装置の一部を示す概略断面図である。
図4図4は、図3に示す半導体装置の一部を拡大して示す概略断面図である。
図5図5は、SiCダイオードチップ上に配置されたSiCトランジスタチップを示す概略断面図である。
図6図6は、図1に示す半導体装置の製造方法の一例において、銅板を加工した状態を示す概略平面図である。
図7図7は、図1に示す半導体装置の製造方法の一例において、加工した銅板上にSiCダイオードチップを接合した状態を示す概略平面図である。
図8図8は、図1に示す半導体装置の製造方法の一例において、SiCダイオードチップ上にSiCトランジスタチップを接合した状態を示す概略平面図である。
図9図9は、図1に示す半導体装置の製造方法の一例において、ワイヤにより各部材を接合した状態を示す概略平面図である。
図10図10は、図1に示す半導体装置の製造方法の一例において、封止材により封止した状態を示す概略平面図である。
図11図11は、実施の形態2における半導体装置の一部を示す概略断面図である。
図12図12は、実施の形態3における半導体装置の一部を示す概略断面図である。
図13図13は、図12に示す半導体装置の一部を拡大して示す概略断面図である。
図14図14は、実施の形態4における半導体装置の一部を示す概略断面図である。
図15図15は、実施の形態5における半導体装置の一部を示す概略断面図である。
図16図16は、実施の形態6における半導体装置の一部を示す概略断面図である。
図17図17は、実施の形態7における等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1によると、パワーモジュール半導体装置において、半導体層がSiCからなり、大電流を流すことが可能な半導体チップを採用している。特許文献1では、基板上にダイオードチップとトランジスタチップとをそれぞれ別の領域に配置し、ダイオードチップとトランジスタチップとをワイヤで接続している。しかし、このような構成では、基板の厚さ方向に見て、ダイオードチップを配置する領域およびトランジスタチップを配置する領域をそれぞれ基板上に確保しなければならない。そうすると、各チップの占める面積が大きくなってしまい、半導体装置の小型化を実現することが困難となる。また、大電流を流す際に発熱するトランジスタチップの放熱性を確保することが求められる。
【0008】
そこで、トランジスタチップの放熱性を確保しながら、小型化を図ることができる半導体装置を提供することを目的の1つとする。
【0009】
[本開示の効果]
上記半導体装置によれば、トランジスタチップの放熱性を確保しながら、容易に小型化を図ることができる。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る半導体装置は、導電性を有する基板と、基板上に配置され、導電性を有する第1接合部と、第1接合部上に配置されるSiCダイオードチップと、SiCダイオードチップ上に配置され、導電性を有する第2接合部と、第2接合部上に配置されるトランジスタチップと、を備える。SiCダイオードチップは、厚さ方向の一方側の端部に配置されるカソードパッドと、厚さ方向の他方側の端部に配置されるアノードパッドと、を含む。カソードパッドは、第1接合部により基板と接合されている。トランジスタチップは、厚さ方向の一方側の端部に配置されるドレイン電極を含む。ドレイン電極は、第2接合部によりアノードパッドと接合されている。基板の厚さ方向に見て、アノードパッドは、SiCダイオードチップの外縁によって囲まれた領域内に配置されている。基板の厚さ方向に見て、アノードパッドの面積は、トランジスタチップの面積よりも大きい。
【0011】
本開示の半導体装置は、SiCダイオードチップを含む。上記半導体装置は、SiCダイオードチップ上にトランジスタチップを積み重ねて、電気的に直列に接続する構成を採用する。よって、基板の厚さ方向に見て、トランジスタチップが配置される領域をSiCダイオードチップが配置される領域と重ならせて、それぞれのチップを並べて配置するよりもチップの占める面積を小さくすることができる。
【0012】
SiCダイオードチップは、低オン抵抗かつ高耐圧であり、高温でも使用可能である。動作時においては、SiCダイオードチップとトランジスタチップとは電気的に直列で接続されているため、大電流を流すことによりトランジスタチップの発熱量が多くなる。ここで、SiCダイオードチップは、熱伝導率が高い。また、アノードパッドの面積は、トランジスタチップの面積よりも大きい。よって、動作時にトランジスタチップにおいて発生した熱を効率的にSiCダイオードチップ側に伝え、基板側へ放熱させることができる。
【0013】
したがって、上記半導体装置は、トランジスタチップの放熱性を確保しながら、容易に小型化を図ることができる。
【0014】
上記半導体装置において、基板の厚さ方向に見て、SiCダイオードチップの外縁からトランジスタチップの外縁に至るまでの最短の距離は、SiCダイオードチップの厚さよりも大きくてもよい。トランジスタチップで発生した熱は、SiCダイオードチップを経由して基板側に伝えられる。ここで、SiCダイオードチップの厚さ方向の熱拡散の速度と、厚さ方向に垂直な方向の熱拡散の速度は同等程度である。よって、トランジスタチップで発生した熱の多くは、厚さ方向に対して45度の角度をなす範囲を放熱経路としてSiCダイオードチップ内に伝えられる。上記構成を採用することにより、SiCダイオードチップ内におけるトランジスタチップから基板に至る放熱の経路が狭くなることを抑制し、SiCダイオードチップを介してトランジスタチップで発生した熱を効率的に基板に伝えることができる。したがって、効率的な放熱が可能になる。
【0015】
上記半導体装置において、トランジスタチップは、SiCトランジスタチップであってもよい。SiCトランジスタチップは、低オン抵抗かつ高耐圧であり、高温でも使用可能である。また、熱伝導率も高い。よって、よりトランジスタチップの放熱性を確保することができる。
【0016】
上記半導体装置において、SiCダイオードチップを構成するSiC結晶は、4H構造を有してもよい。SiCトランジスタチップを構成するSiC結晶は、4H構造を有してもよい。SiCダイオードチップを構成するSiC結晶の(0001)面と、SiCトランジスタチップを構成するSiC結晶の(0001)面とは、平行であってもよい。SiCは面方位によって物性が異なり、発熱時における熱膨張や反りの挙動が異なる。このようにすることにより、SiCダイオードチップとSiCトランジスタチップとの面方位を合わせることができ、動作時における熱応力の発生を抑制することができる。よって、長期的な信頼性を向上することができる。
【0017】
上記半導体装置において、SiCダイオードチップを構成するSiC結晶の(11-20)面と、SiCトランジスタチップを構成するSiC結晶の(11-20)面とは、平行であってもよい。このようにすることによっても、SiCダイオードチップとSiCトランジスタチップとの面方位を合わせて、動作時における熱応力の発生を抑制することができる。よって、長期的な信頼性を向上することができる。
【0018】
上記半導体装置において、第2接合部は、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含んでもよい。このような焼結接合材は、熱伝導率が高いため、より効率的な放熱が可能になる。
【0019】
上記半導体装置において、第2接合部は、SiCダイオードチップの厚さの30%以上である第1金属板を含んでもよい。第1金属板は、基板の厚さ方向に見て、トランジスタチップと重ならない領域を有してもよい。このようにすることにより、第1金属板のうちのトランジスタチップと重ならない領域を利用して、電気的な接続を確保することができる。また、第1金属板は、熱伝導率が高い。よって、第1金属板によってもトランジスタチップの放熱性を確保することができる。
【0020】
上記半導体装置において、アノードパッド上に配置され、アノードパッド上の領域を分割するソルダレジスト部をさらに備えてもよい。第2接合部は、はんだ部を含んでもよい。ソルダレジスト部は、基板の厚さ方向に見て、アノードパッド上の領域をはんだ部およびトランジスタチップが配置される第1領域と、第1領域外となる第2領域とに分割してもよい。このようにすることにより、第2接合部に含まれるはんだ部を接合時に溶融させた際に、ソルダレジスト部によって第2領域側にはんだ部が濡れ広がることを抑制することができる。
【0021】
上記半導体装置において、トランジスタチップが配置される領域外の領域に接合される第2金属板をさらに備えてもよい。第2金属板は、例えばワイヤと比較して大電流を流しやすい。このようにすることにより、トランジスタチップが配置される領域外の領域に接合される第2金属板を、電気的な接続に有効に利用することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の半導体装置の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0023】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係る半導体装置について説明する。図1は、実施の形態1における半導体装置の外観を示す概略平面図である。図2は、図1に示す半導体装置の一部を示す図である。図2においては、図1に示す半導体装置における封止材の図示を省略している。図3は、図1に示す半導体装置の一部を示す概略断面図である。なお、図3において、基板の厚さ方向を矢印Zで示している。
【0024】
図1図2および図3を参照して、実施の形態1に係る半導体装置11aは、導電性を有する基板13と、基板13と一体となって形成される第1電極端子14と、基板13と間隔をあけて配置される第2電極端子15と、基板13および第2電極端子15と間隔をあけて配置される第3電極端子16と、基板13と間隔をあけて配置されるゲート端子17と、基板13と間隔をあけて配置されるケルビンソース端子18と、を含む。基板13、第1電極端子14、第2電極端子15、第3電極端子16、ゲート端子17およびケルビンソース端子18は、は、具体的には例えば銅製である。基板13を封止する後述する封止材19の位置については、図2において破線で示している。
【0025】
半導体装置11aは、例えばエポキシ樹脂からなる封止材19を含む。封止材19は、基板13上の領域を覆い、後述するSiCダイオードチップ21およびSiCトランジスタチップ31を含む電子回路を封止する。第1電極端子14、第2電極端子15、第3電極端子16、ゲート端子17およびケルビンソース端子18のそれぞれの一部は、封止材19から露出しており、半導体装置11aの外部との電気的な接続を確保している。
【0026】
半導体装置11aは、導電性を有する第1接合部41を含む。第1接合部41は、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含む。金属微粒子は、具体的には例えば、銀や銅、ニッケルの微粒子である。第1接合部41は、基板13上に配置される。
【0027】
半導体装置11aは、カソードパッド22およびアノードパッド23を含むSiCダイオードチップ21を含む。SiCダイオードチップ21は、SiCからなる半導体層を含む半導体チップである。カソードパッド22は、SiCダイオードチップ21の厚さ方向の一方側の端部に配置される。アノードパッド23は、SiCダイオードチップ21の厚さ方向の他方側の端部に配置される。基板13の厚さ方向に見て、アノードパッド23は、SiCダイオードチップ21の外縁によって囲まれた領域内に配置される。本実施形態においては、基板13の厚さ方向に見て、アノードパッド23は、図2に示すように、SiCダイオードチップ21の外縁から距離をあけて設けられている。SiCダイオードチップ21においては、基板13の厚さ方向に電流が流れる。SiCダイオードチップ21の外形形状は、厚さ方向に見て、長方形の形状である。SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶は、4H構造を有する。
【0028】
第1接合部41は、基板13とSiCダイオードチップ21とを電気的に接合する。具体的には、第1接合部41により基板13とSiCダイオードチップ21に含まれるカソードパッド22とが接合される。すなわち、カソードパッド22は、第1接合部41により基板13と接合されている。
【0029】
半導体装置11aは、導電性を有する第2接合部42を含む。第2接合部42は、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含む。金属微粒子は、具体的には例えば、銀や銅、ニッケルの微粒子である。第2接合部42は、SiCダイオードチップ21上に配置される。具体的には、第2接合部42は、SiCダイオードチップ21のアノードパッド23上に配置される。
【0030】
半導体装置11aは、ドレイン電極32、ソースパッド33、ゲートパッド34およびケルビンソースパッド35を含むトランジスタチップであるSiCトランジスタチップ31を含む。SiCトランジスタチップ31は、SiCからなる半導体層を含む半導体チップである。ドレイン電極32は、SiCトランジスタチップ31の厚さ方向の一方側の端部に配置される。ソースパッド33、ゲートパッド34およびケルビンソースパッド35は、SiCトランジスタチップ31の厚さ方向の他方側の端部に配置される。ソースパッド33、ゲートパッド34およびケルビンソースパッド35は、互いに間隔をあけて配置される。SiCトランジスタチップ31は、縦型のトランジスタチップである。SiCトランジスタチップ31においては、基板13の厚さ方向に電流が流れる。SiCトランジスタチップ31の外形形状は、厚さ方向に見て、長方形の形状である。SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶は、4H構造を有する。なお、ケルビンソースパッド35およびケルビンソース端子18は必ずしも必須ではなく、省略することもできる。すなわち、半導体装置11aは、ケルビンソースパッド35およびケルビンソース端子18を含まなくてもよい。
【0031】
第2接合部42は、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31とを電気的に接合する。具体的には、第2接合部42によりSiCダイオードチップ21に含まれるアノードパッド23とSiCトランジスタチップ31に含まれるドレイン電極32とが接合される。すなわち、ドレイン電極32は、第2接合部42によりアノードパッド23と接合されている。SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31とは、電気的に直列に接続される。
【0032】
ここで、SiCダイオードチップ21に対するSiCトランジスタチップ31の配置について、基板13の厚さ方向に見て、SiCダイオードチップ21の外縁からSiCトランジスタチップ31の外縁に至るまでの最短の距離は、SiCダイオードチップ21の厚さよりも大きい。これについては、後述する。
【0033】
また、SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶の(0001)面と、SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶の(0001)面とは、平行である。すなわち、SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶の(0001)面と、SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶の(0001)面とが平行になるように、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31とが接合される。また、SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶の(11-20)面と、SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶の(11-20)面とは、平行である。すなわち、SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶の(11-20)面と、SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶の(11-20)面とが平行になるように、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31とが接合される。
【0034】
半導体装置11aは、複数のワイヤ43,44,45,46を含む。第2電極端子15とSiCダイオードチップ21のアノードパッド23とは、複数のワイヤ43により電気的に接合される。第3電極端子16とSiCトランジスタチップ31のソースパッド33とは、複数のワイヤ44により電気的に接合される。ゲート端子17とSiCトランジスタチップ31のゲートパッド34とは、ワイヤ45により電気的に接合される。ケルビンソース端子18とSiCトランジスタチップ31のケルビンソースパッド35とは、ワイヤ46により電気的に接合される。
【0035】
ここで、基板13の厚さ方向に見て、アノードパッド23の面積は、SiCトランジスタチップ31の面積よりも大きい。具体的には、SiCトランジスタチップ31の面積は、アノードパッド23の面積の半分よりもやや大きい大きさである。
【0036】
上記半導体装置11aは、SiCダイオードチップ21を含む。上記半導体装置11aは、SiCダイオードチップ21上にSiCトランジスタチップ31を積み重ねて、電気的に直列に接続する構成を採用する。よって、基板13の厚さ方向に見て、SiCトランジスタチップ31が配置される領域をSiCダイオードチップ21が配置される領域と重ならせて、それぞれのチップを並べて配置するよりもチップの占める面積を小さくすることができる。
【0037】
SiCダイオードチップ21は、低オン抵抗かつ高耐圧であり、高温でも使用可能である。動作時においては、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31とは電気的に直列で接続されているため、大電流を流すことによりSiCトランジスタチップ31の発熱量が多くなる。ここで、SiCダイオードチップ21は、熱伝導率が高い。また、アノードパッド23の面積は、SiCトランジスタチップ31の面積よりも大きい。よって、動作時にSiCトランジスタチップ31において発生した熱を効率的にSiCダイオードチップ21側に伝え、基板13側へ放熱させることができる。
【0038】
したがって、上記半導体装置11aは、SiCトランジスタチップ31の放熱性を確保しながら、容易に小型化を図ることができる。
【0039】
なお、SiCトランジスタチップ31は、第2接合部42によりSiCダイオードチップ21に接合されている。このような構成によると、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31との間の電流経路が短くなるため、インダクタンスの低減を図ることができる。
【0040】
本実施形態においては、基板13の厚さ方向に見て、SiCダイオードチップ21の外縁からSiCトランジスタチップ31の外縁に至るまでの最短の距離は、SiCダイオードチップ21の厚さよりも大きい。よって、SiCトランジスタチップ31の効率的な放熱が可能になる。
【0041】
図4は、図3に示す半導体装置11aの一部を拡大して示す概略断面図である。図4を参照して、SiCトランジスタチップ31で発生した熱は、第2接合部42、SiCダイオードチップ21および第1接合部41を経由して基板13側に伝えられる。ここで、トランジスタチップ31からSiCダイオードチップ21へ伝えられる熱について考える。SiCダイオードチップ21の厚さ方向の熱拡散の速度と、厚さ方向に垂直な方向の熱拡散の速度は同じである。よって、SiCトランジスタチップ31で発生した熱の多くは、厚さ方向に対してSiCトランジスタチップ31の外縁36から図4中の角度θで示す45度の角度をなす範囲を放熱経路としてSiCダイオードチップ21に伝えられる。図4中において、放熱経路の一部を矢印Eで示している。
【0042】
ここで、SiCダイオードチップ21の外縁24からSiCトランジスタチップ31の外縁36に至るまでの最短の距離Wは、SiCダイオードチップ21の厚さTよりも大きい。このようにすることにより、SiCダイオードチップ21内におけるSiCトランジスタチップ31から基板13に至る放熱の経路が狭くなることを抑制し、SiCダイオードチップ21を介してSiCトランジスタチップ31で発生した熱を効率的に基板13に伝えることができる。したがって、上記半導体装置11aは、効率的な放熱が可能な半導体装置となっている。
【0043】
なお、SiCトランジスタチップ31の断面形状が、基板13の厚さ方向に対して垂直な平面に沿って見た際の角が丸められた四角形状である場合の外縁については、以下の通りである。図5は、SiCダイオードチップ21上に配置されたSiCトランジスタチップ31を示す概略断面図である。図5を参照して、基板13の厚さ方向に対して垂直な平面に沿って見た際に、SiCトランジスタチップ31の角部71が丸められている場合、角部71を構成する第1の辺72と角部71を構成する第2の辺73をそれぞれ延ばして交わる交点74の位置を、SiCトランジスタチップ31の外縁36の位置とする。SiCダイオードチップ21の外縁24についても、同様とする。
【0044】
本実施形態において、トランジスタチップは、SiCトランジスタチップ31である。SiCトランジスタチップ31は、低オン抵抗かつ高耐圧であり、高温でも使用可能である。また、熱伝導率も高い。よって、上記半導体装置11aは、よりトランジスタチップの放熱性を確保することができる半導体装置となっている。
【0045】
本実施形態において、SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶は、4H構造を有する。SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶は、4H構造を有する。SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶の(0001)面と、SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶の(0001)面とは、平行である。よって、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31との面方位を合わせることができ、動作時における熱応力の発生を抑制することができる。したがって、上記半導体装置11aは、長期的な信頼性を向上することができる半導体装置となっている。
【0046】
本実施形態において、SiCダイオードチップ21を構成するSiC結晶の(11-20)面と、SiCトランジスタチップ31を構成するSiC結晶の(11-20)面とは、平行である。よって、SiCダイオードチップ21とSiCトランジスタチップ31との面方位を合わせて、動作時における熱応力の発生を抑制することができる。したがって、上記半導体装置11aは、長期的な信頼性を向上することができる半導体装置となっている。
【0047】
本実施形態において、第2接合部42は、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含む。このような焼結接合材は、熱伝導率が高い。よって、上記半導体装置11aは、より効率的な放熱が可能な半導体装置となっている。なお、本実施形態においては、第1接合部41についても、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含む。よって、上記半導体装置11aは、さらに効率的な放熱が可能な半導体装置となっている。
【0048】
ここで、実施の形態1における半導体装置11aの製造方法の一例について、簡単に説明する。まず、平板状であって、厚さ方向に見て外形形状が長方形である銅板を準備する。この銅板の厚さとしては、例えば1mmのものが用いられる。準備した銅板の所定の箇所を打ち抜き、半導体装置に含まれる基板、第1電極端子、第2電極端子および第3電極端子の外形形状を形成する。
【0049】
図6は、図1に示す半導体装置11aの製造方法の一例において、銅板を加工した状態を示す概略平面図である。図6を参照して、銅板80は、空間83に相当する部分が厚さ方向に打ち抜かれている。銅板80は、第1部分82a、第2部分82b、第3部分82cおよび第4部分82dから構成されるリードフレーム81を含む。第1部分82aおよび第2部分82bが長方形における一対の短辺に相当する位置に配置される。第3部分82cおよび第4部分82dが長方形における一対の長辺に相当する位置に配置される。第1部分82aと第2部分82bとが対向して配置され、第3部分82cと第4部分82dとが対向して配置される。第2部分82bには、後に第1電極端子14および基板13を構成する領域84a、後に第2電極端子15を構成する領域84bおよび後に第3電極端子16を構成する領域84cが接続されている。第1部分82aには、後にゲート端子17を構成する領域84dおよび後にケルビンソース端子18を構成する領域84eが接続されている。なお、リードフレーム81と各領域84a~84eとの境界はそれぞれ、一点鎖線によって示されている。
【0050】
次に、基板13に相当する領域上にSiCダイオードチップ21が接合される。図7は、図7は、図1に示す半導体装置11aの製造方法の一例において、加工した銅板上にSiCダイオードチップ21を接合した状態を示す概略平面図である。図7を参照して、基板13に相当する領域上に第1接合部41によってSiCダイオードチップ21が接合される。
【0051】
次に、SiCダイオードチップ21上にSiCトランジスタチップ31が接合される。図8は、図1に示す半導体装置11aの製造方法の一例において、SiCダイオードチップ21上にSiCトランジスタチップ31を接合した状態を示す概略平面図である。図8を参照して、SiCトランジスタチップ31のアノードパッド23上に第2接合部42によってSiCトランジスタチップ31が接合される。
【0052】
次に、ワイヤにより各部材を接合する。図9は、図1に示す半導体装置11aの製造方法の一例において、ワイヤにより各部材を接合した状態を示す概略平面図である。図9を参照して、ワイヤ43により領域84bとSiCダイオードチップ21のアノードパッド23とが接続される。ワイヤ44により領域84cとSiCトランジスタチップ31のソースパッド33とが接続される。ワイヤ45により領域84dとSiCトランジスタチップ31のゲートパッド34とが接続される。ワイヤ46により領域84eとSiCトランジスタチップ31のケルビンソースパッドとが接続される。この場合、例えば、ワイヤ43~46は、例えば超音波接合を利用したワイヤボンディングにより接続される。
【0053】
次に、封止材により、所定の箇所を封止する。図10は、図1に示す半導体装置11aの製造方法の一例において、封止材19により封止した状態を示す概略平面図である。図10を参照して、銅板80は、領域84a~84eの一部が露出し、基板13およびワイヤ43~46によって接続された箇所を覆うようにして封止材19により封止される。
【0054】
その後、銅板80は、一点鎖線で示す境界において切断され、リードフレーム81が分離される。このようにして、実施の形態1における半導体装置11aを得る。実施の形態1における半導体装置11aは、例えば上記のようにして製造される。
【0055】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図11は、実施の形態2における半導体装置の一部を示す概略断面図である。実施の形態2の半導体装置は、アノードパッド上に配置されるソルダレジスト部を含む点および第2接合部がはんだ部を含む点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0056】
図11を参照して、実施の形態2に係る半導体装置11bは、アノードパッド23上に配置されるソルダレジスト部47を含む。ソルダレジスト部47は、ポリイミド等の樹脂から構成されている。ソルダレジスト部47は、例えば、SiCトランジスタチップ31の製造工程においてパターニング成膜をすることにより形成される。また、第2接合部42は、はんだ部48を含む。
【0057】
ソルダレジスト部47は、アノードパッド23上の領域をはんだ部48およびSiCトランジスタチップ31が配置される第1領域51と、第1領域51外となる第2領域52とに分割する。第2領域52には、ワイヤ43の一方側の端部が接続される。
【0058】
このような半導体装置11bによると、第2接合部42に含まれるはんだ部48を接合時に溶融させた際に、ソルダレジスト部47によって第2領域52側にはんだ部48が濡れ広がることを抑制することができる。よって、このような半導体装置11bは、ボンディングにより第2領域52にワイヤ43を接続する際のはんだ部48の影響を低減することができる。
【0059】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図12は、実施の形態3における半導体装置の一部を示す概略断面図である。実施の形態3の半導体装置は、第2接合部が第1金属板を含む点において実施の形態2の場合とは異なっている。
【0060】
図12を参照して、実施の形態3に係る半導体装置11cに含まれる第2接合部42は、第1金属板53と、第3接合部54と、第4接合部55と、を含む。第3接合部54は、金属微粒子の焼結体である焼結接合材を含む。第3接合部54は、アノードパッド23上に配置される。
【0061】
第1金属板53は、平板状である。第1金属板53は、SiCダイオードチップ21の厚さの30%以上である。本実施形態においては、第1金属板53は、基板13よりも薄い。第1金属板53は、第3接合部54上に配置される。すなわち、第3接合部54により第1金属板53とSiCダイオードチップ21のアノードパッド23とが接合される。第1金属板53は、基板13の厚さ方向に見て、SiCトランジスタチップ31と重ならない領域59を有する。
【0062】
第4接合部55は、はんだ部56を含む。第4接合部55は、第1金属板53上に配置される。具体的には、第4接合部55は、第1金属板53の厚さ方向において、第3接合部54と接合する一方側の面57と反対側の面58上に配置される。ソルダレジスト部47は、面58上に配置される。ソルダレジスト部47により、第4接合部55およびSiCトランジスタチップ31が配置される第1領域51と第1領域51外となる第2領域52とに分割される。第4接合部55上にSiCトランジスタチップ31が配置される。すなわち、第4接合部55により第1金属板53とSiCトランジスタチップ31のドレイン電極32とが接合される。領域59は、第2領域52内に配置される。ワイヤ43の一方側の端部は、領域59内の面58に接合される。
【0063】
このような半導体装置11cによると、第1金属板53のうちのSiCトランジスタチップ31と重ならない領域を利用して、電気的な接続を確保することができる。また、第1金属板53は、熱伝導率が高い。よって、第1金属板53によってもSiCトランジスタチップ31の放熱性を確保することができる。また、上記の実施の形態においては、第1金属板53は、基板13よりも薄いため、半導体装置11cの小型化を図ることができる。なお、第1金属板53の厚さは、基板13の厚さと同程度とすることもできる。ここで、同程度の厚さとは、±20%の範囲に入る厚さである。また、第1金属板53は、基板13よりも厚くすることもできる。このようにすることにより、SiCトランジスタチップ31の熱が第1金属板53で広がり、その熱がSiCダイオードチップ21へ均一に伝わる。
【0064】
図13は、図12に示す半導体装置11cの一部を拡大して示す概略断面図である。図13を参照して、SiCトランジスタチップ31で発生した熱は、第1金属板53およびSiCダイオードチップ21を経由して基板13側に伝えられる。ここで、トランジスタチップ31からSiCダイオードチップ21へ伝えられる熱について考える。第1金属板53の厚さ方向の熱拡散の速度と、厚さ方向に垂直な方向の熱拡散の速度は同等程度である。よって、SiCトランジスタチップ31で発生した熱の多くは、厚さ方向に対して第1金属板53の外縁36から図4中の角度θで示す45度の角度をなす範囲を放熱経路として第1金属板53に伝えられる。図13中において、放熱経路の一部を矢印Eで示している。
【0065】
ここで、第1金属板53の外縁60からSiCトランジスタチップ31の外縁36に至るまでの最短の距離Wは、第1金属板53の厚さTよりも大きい。このようにすることにより、第1金属板53内におけるSiCトランジスタチップ31から基板13に至る放熱の経路が狭くなることを抑制し、第1金属板53およびSiCダイオードチップ21を介してSiCトランジスタチップ31で発生した熱を効率的に基板13に伝えることができる。したがって、上記半導体装置11cは、効率的な放熱が可能な半導体装置となっている。
【0066】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図14は、実施の形態4における半導体装置の一部を示す概略断面図である。実施の形態4の半導体装置は、SiCトランジスタチップが配置される領域外の領域に接合される第2金属板をさらに備える点において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0067】
図14を参照して、実施の形態4に係る半導体装置11dは、SiCトランジスタチップ31が配置される領域外の領域に接合される第2金属板61を備える。第2金属板61は、例えば、平板状の金属板を折り曲げて形成される。第2金属板61は、帯状である。第2金属板61の一方側の端部は、導電体製の第5接合部62によりSiCトランジスタチップ31が配置される領域外の領域、具体的には、SiCダイオードチップ21のアノードパッド23に接合される。第2金属板61の他方側の端部は、導電体製の第6接合部63により第2電極端子15に接合される。
【0068】
第2金属板61は、例えばワイヤ43と比較して大電流を流しやすい。このようにすることにより、SiCトランジスタチップ31が配置される領域外の領域に接合される第2金属板61を、SiCダイオードチップ21と第2電極端子15とを接続するバスバーとして用い、電気的な接続に有効に利用することができる。なお、第2金属板61は、複数の板状の部材から構成されていてもよい。
【0069】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図15は、実施の形態5における半導体装置の一部を示す概略断面図である。実施の形態5の半導体装置は、第2接合部が第1金属板を含む点において、実施の形態4の場合とは異なっている。
【0070】
図15を参照して、実施の形態5に係る半導体装置11eに含まれる第2接合部42は、第1金属板53を含む。第2接合部42の構成については、実施の形態3に示す場合と同様である。
【0071】
このような半導体装置11eによると、第1金属板53のうちのSiCトランジスタチップ31と重ならない領域を利用し、第2金属板61を有効に利用して、電気的な接続を確保することができる。また、第1金属板53は、熱伝導率が高い。よって、第1金属板53によってもSiCトランジスタチップ31の放熱性を確保することができる。
【0072】
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。図16は、実施の形態6における半導体装置の一部を示す概略断面図である。実施の形態6の半導体装置は、第1金属板が第2電極端子と一体となっている点において、実施の形態5の場合とは異なっている。
【0073】
図16を参照して、実施の形態6に係る半導体装置11fに含まれる第2接合部42は、第1金属板64を含む。第1金属板64は、例えば、平板状の金属板を折り曲げて形成される。第1金属板64の一部は、基板13の厚さ方向に見て、基板13から突出している。突出した部分は、第2電極端子15を構成する。
【0074】
このような半導体装置11fによると、接合材を介さないで第2電極端子15に電気的に接続することができる。よって、製造工程を削減することができる。また、接合材を介さない構造であるため、長期的な信頼性も向上することができる。
【0075】
(実施の形態7)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態7について説明する。図17は、実施の形態7における等価回路を示す図である。図2および図17を参照して、実施の形態7における等価回路66は、上記した半導体装置11aと、第1コンデンサ67と、第2コンデンサ68と、を含む。第1コンデンサ67は、第2電極端子15と第3電極端子16との間に配置される。第2コンデンサ68は、第1電極端子14と第3電極端子16との間に配置される。このような等価回路66は、昇圧回路用のモジュールとして利用される。上記した半導体装置11aを含む等価回路66はSiCダイオードチップ21にかかる負荷とSiCトランジスタチップ31に係る負荷とを均等にして、昇圧比を2倍とした回路を組むことができる。もちろん、上記した半導体装置11b~11fを用いてもよい。
【0076】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、トランジスタチップは、SiCトランジスタチップ31であることとしたが、これに限らず、トランジスタチップは、例えば、半導体層がSiからなるトランジスタチップであってもよい。さらに、トランジスタチップは、他の半導体層、例えば半導体層がSiよりもバンドギャップの大きい材料、GaNからなるトランジスタチップであってもよい。
【0077】
また、上記の実施の形態において、導電性を有する基板を、絶縁性を有する基板上に配置することにしてもよい。すなわち、絶縁性を有する基板上に導電性を有する上記した基板13を配置し、その上に第1接合材等を配置する。このようにすることにより、例えば製造時において、導電性を有する基板の厚さが薄い場合でも、絶縁性を有する基板によって導電性を有する基板を支持することができる。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
11a,11b,11c,11d,11e,11f 半導体装置
13 基板
14 第1電極端子
15 第2電極端子
16 第3電極端子
17 ゲート端子
18 ケルビンソース端子
19 封止材
21 SiCダイオードチップ
22 カソードパッド
23 アノードパッド
24,36,60 外縁
31 SiCトランジスタチップ
32 ドレイン電極
33 ソースパッド
34 ゲートパッド
35 ケルビンソースパッド
41 第1接合部
42 第2接合部
43,44,45,46 ワイヤ
47 ソルダレジスト部
48,56 はんだ部
51 第1領域
52 第2領域
53,64 第1金属板
54 第3接合部
55 第4接合部
57,58 面
59,84a,84b,84c,84d,84e 領域
61 第2金属板
62 第5接合部
63 第6接合部
66 等価回路
67 第1コンデンサ
68 第2コンデンサ
71 角部
72,73 辺
74 交点
80 銅板
81 リードフレーム
82a 第1部分
82b 第2部分
82c 第3部分
82d 第4部分
83 空間
E 経路
,T 厚さ
,W 距離
θ,θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17