(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電子カード
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20241106BHJP
G06F 1/3231 20190101ALI20241106BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20241106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241106BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241106BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20241106BHJP
【FI】
G06K19/07 230
G06K19/07 180
G06K19/07 040
G06F1/3231
G06F1/3287
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2022561848
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(86)【国際出願番号】 JP2021040476
(87)【国際公開番号】W WO2022102483
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2020190090
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
(72)【発明者】
【氏名】山田 清和
【審査官】高橋 克
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-031877(JP,A)
【文献】米国特許第10402712(US,B1)
【文献】国際公開第2009/008411(WO,A1)
【文献】特開2016-115028(JP,A)
【文献】特表2004-535640(JP,A)
【文献】特開平05-333966(JP,A)
【文献】特開2016-118029(JP,A)
【文献】特開2006-178770(JP,A)
【文献】特開2018-157430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07-077
H02J 7/00
H02J 50/10ー12
H02J 50/80
G06F 1/3231
G06F 1/3287
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスと、当該蓄電デバイスを充電する充電回路と、外部装置との間で無線通信する無線通信回路と、前記無線通信回路に電気的に接続されて信号処理を行うプロセッサと、当該プロセッサに接続されて信号の入出力を行う電子機能回路と、各部への電力供給を管理する電力管理回路と、外部トリガを受けて前記電力管理回路を起動させるウェイクアップ回路と、を備え、
前記電力管理回路は、前記無線通信を開始する前に前記ウェイクアップ回路による起動後に前記蓄電デバイスの電力を前記プロセッサ及び前記電子機能回路へ供給し、
前記プロセッサは、前記蓄電デバイスからの電力供給を受けて起動した後に、前記蓄電デバイスの電力での動作による前記電子機能回路の動作状態又は出力結果を、前記無線通信を開始する前に保持し、前記電子機能回路の動作処理後、前記無線通信回路による無線通信を開始させる、
電子カード。
【請求項2】
前記ウェイクアップ回路は、圧力を感知する圧力センサを備え、当該圧力センサによる検出信号を前記外部トリガとする、
請求項1に記載の電子カード。
【請求項3】
前記ウェイクアップ回路は、振動を感知する振動センサを備え、当該振動センサによる検出信号を前記外部トリガとする、
請求項1に記載の電子カード。
【請求項4】
前記ウェイクアップ回路は、温度を感知する温度センサを備え、当該温度センサによる検出信号を前記外部トリガとする、
請求項1に記載の電子カード。
【請求項5】
前記ウェイクアップ回路は、静電気を感知する静電センサを備え、当該静電センサによる検出信号を前記外部トリガとする、
請求項1に記載の電子カード。
【請求項6】
前記ウェイクアップ回路は、機械スイッチを備え、当該機械スイッチによる信号を前記外部トリガとする、
請求項1に記載の電子カード。
【請求項7】
外部リーダライタの電極が接するコンタクトを備え、
前記充電回路は前記コンタクトに電気的に接続され、前記コンタクトを通して前記外部リーダライタから供給される電力を受けて前記蓄電デバイスを充電する、
請求項1から6のいずれかに記載の電子カード。
【請求項8】
外部リーダライタのコイルに磁気結合し、前記無線通信回路の通信アンテナと別体で形成された受電コイルと、当該受電コイルに電気的に接続され、前記受電コイルに誘導される電力を受けて直流電圧を出力する受電回路と、を備え、
前記充電回路は、前記受電回路の出力電力で前記蓄電デバイスを充電する、
請求項1から7のいずれかに記載の電子カード。
【請求項9】
前記ウェイクアップ回路は、前記外部リーダライタのコイルが発生する磁場で起動する、
請求項8に記載の電子カード。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記電力管理回路の起動後に、所定時間において前記無線通信回路による前記外部リーダライタとの間でのダミー通信を継続させる、
請求項8又は9に記載の電子カード。
【請求項11】
前記受電回路は、整流回路を備え、
前記
無線通信回路による前記外部リーダライタとの間でのダミー通信の開始後、前記整流回路の動作を有効化して、前記蓄電デバイスの充電を開始する、
請求項8から10のいずれかに記載の電子カード。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記
無線通信回路による前記外部リーダライタとの間でのダミー通信の開始後、前記
外部リーダライタからのワイヤレス電力で動作を継続する、
請求項8から11のいずれかに記載の電子カード。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記電子機能回路が動作を終了した後、前記電子機能回路の動作を停止させる、
請求項1から12のいずれかに記載の電子カード。
【請求項14】
前記電子機能回路は、使用者の生体的特徴情報を検出する生体センサと、当該生体センサが検出した前記生体的特徴情報によって生体認証を行う生体認証回路とを含む、
請求項1から13のいずれかに記載の電子カード。
【請求項15】
前記生体センサは指紋センサである、
請求項14に記載の電子カード。
【請求項16】
前記電子機能回路は各種情報を表示する表示装置である、
請求項1から15のいずれかに記載の電子カード。
【請求項17】
前記無線通信回路は、近距離無線通信を利用した回路である、
請求項1から16のいずれかに記載の電子カード。
【請求項18】
前記無線通信回路は、近距離無線通信技術であるBluetooth(登録商標)規格、Bluetooth(登録商標) Low Energy規格を利用した回路である、
請求項1から16のいずれかに記載の電子カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス、電子機能回路及びプロセッサ等を備えた電子カードに関する。
【背景技術】
【0002】
NFC(近距離無線通信)を搭載した電子カードにおいて、電子機能回路を搭載して、セキュリティを向上させる生体認証機能や表示機能を実行するプロセッサなどを備えた、インテリジェントな電子カードが近年提案されている。また、ワイヤレス受電では、例えば、NFCなどの外部磁界を利用する技術がある。
【0003】
蓄電デバイス及び電子機能回路を備える電子カードの例として、指紋認証付電子カードが特許文献1に示されている。この電子カードは、指紋読取りセンサを備え、リーダーから供給される電力を蓄電回路で蓄電し、蓄電回路の出力電圧が既定値に達すると装置制御回路と指紋処理回路に放電し、指紋認証が成功した場合に、リーダーとの間の送受信を許可し、その後は、リーダーとの間の送受信を禁止し、装置制御回路及び指紋処理回路への放電をオフするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、NFC送信装置等の通信装置から発生される外部磁界は強くなく、十分なワイヤレス受電電力を得ることが難しい。そのため、大きな電力を消費する電子機能回路を動作させられない、ワイヤレス受電と無線通信が電磁干渉して安定した無線通信ができない、通信距離が確保できない、動作処理時間を短縮化できない、動作処理を円滑化できない、といった各種問題が生じる。
【0006】
具体的には、
・安定した通信性能と使い勝手とセキュリティとを同時に向上させることが難しい。
【0007】
・リーダライタから十分な電力が得られない場合に、電子機能回路の動作時間(認証通信時間など)が長くなって、リーダライタに電子カードをかざす時間が長くなるなど、電子カードの利用勝手が悪い。
【0008】
・ワイヤレス受電回路と無線通信回路とが同時に動作することにより、相互に電磁干渉したり誤動作したりする。また、無線通信距離が短く、安定した無線通信ができない。
【0009】
・電子カードを使用しない状態でも電子機能回路における電力消費があるので、待機電力が大きく、電子カードの蓄電デバイスによる稼働時間が短い。
【0010】
・電子機能回路の動作状態が維持されたままとなって、セキュリティ機能を備えたセキュリティカードなどでは、セキュリティが低下する、また、表示機能を備えた電子表示カードなどでは、表示状態が維持されて消費電力が増大する、といった課題が生じる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、電子機能回路の動作処理時間を短縮化かつ円滑化し、待機電力を低減させて稼働時間を長くし、使い勝手とセキュリティ、または使い勝手と消費電力量の低減を共に向上させた、プロセッサを備える電子カードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一例としての電子カードは、蓄電デバイスと、当該蓄電デバイスを充電する充電回路と、外部装置との間で無線通信する無線通信回路と、前記無線通信回路に接続されて信号の入出力を行うプロセッサと、当該プロセッサに接続されて信号の入出力を行う電子機能回路と、各部へ電力を供給する電力管理回路と、外部トリガを受けて前記電力管理回路を起動させるウェイクアップ回路と、を備え、前記電力管理回路は、起動後に前記蓄電デバイスの電力を前記プロセッサ及び前記電子機能回路へ供給し、前記プロセッサは、前記蓄電デバイスの電力での動作による前記電子機能回路の動作状態又は出力結果を、前記無線通信を開始する前に保持し、前記電子機能回路の動作を終了させた後、前記無線通信回路による無線通信を開始させる、ことを特徴する。
【0013】
上記構成により、ウェイクアップ回路が外部トリガを受けて電力管理回路が起動し、この起動によってプロセッサ及び電子機能回路が蓄電デバイスの電力で動作する。そして、プロセッサは、蓄電デバイスの電力での動作による電子機能回路の動作状態又は出力結果を所定時間保持する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機能回路の動作処理時間が短縮化かつ円滑化され、待機電力が低減されて稼働時間が長くなって、使い勝手とセキュリティ、または使い勝手と消費電力量の低減が共に向上した、プロセッサを備える電子カードが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電子カード101及び電子カードシステム201の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る電子カード101及び電子カードシステム201の構成を示す、
図1とは別のブロック図である。
【
図3】
図3は電子カード101の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は電子カード101の動作シーケンスを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、
図2は、第1の実施形態に係る電子カード101及び電子カードシステム201の構成を示すブロック図である。この電子カードシステム201は、電子カード101とリーダライタ40とで構成される。また、電子カードシステム201は、電子カード101とワイヤレス給電装置50とで構成される。
【0017】
図1において、電子カード101内の構成は一部のみを表している。電子カード101は、受電コイル21と、この受電コイル21に接続された受電回路20と、通信アンテナ11と、この通信アンテナ11に接続された通信回路12と、を備える。ワイヤレス給電装置50はワイヤレス給電コイル51とワイヤレス給電回路52とで構成されている。
【0018】
ワイヤレス給電装置50は、例えば直流共鳴技術のワイヤレス給電装置や、NFC通信機能を有するスマートフォン等を充電装置として利用する場合のスマートフォンである。
【0019】
ワイヤレス給電回路52は、6.78MHz、13.56MHzの周波数帯などのISMバンド(産業科学医療用バンド)の周波数帯、または2.4GHz帯、5.7GHz帯、920MHz帯などでワイヤレス給電コイル51に交番電力を供給する。
【0020】
図1に示す例では、受電コイル21はワイヤレス給電コイル51と磁気結合して、電子カード101は、ワイヤレス給電装置50からワイヤレスで電力を受電する。
【0021】
図2において、リーダライタ40はリーダライタアンテナ41とリーダライタ回路42とで構成されている。
【0022】
図2に示す例では、リーダライタアンテナ41は通信アンテナ11と磁気結合して、電子カード101は、リーダライタ40とワイヤレスで通信する。例えば13.56MHz帯の周波数で通信回路12とNFC通信(近距離無線通信)を行う。
【0023】
また、受電コイル21はリーダライタアンテナ41と磁気結合して、電子カード101は、リーダライタ40からワイヤレスで電力を受電する。
【0024】
電子カード101は例えば厚み0.76mmのクレジットカードサイズの電子機器である。この電子カード101は、例えばカードサイズのスマートフォン(モバイル向けオペレーティングシステムを備えた携帯電話)、残高表示を行う交通系電子カード、ワンタイムパスワードカード、生体認証カード等である。
【0025】
図3は電子カード101の構成を示すブロック図である。電子カード101は、受電コイル21と、この受電コイル21を含む受電回路20と、蓄電デバイス30と、受電回路20と蓄電デバイス30との間に接続された充電回路24と、を備える。また、電子カード101は、通信アンテナ11と通信回路12とで構成される無線通信回路10と、通信回路12に接続されたプロセッサ16と、プロセッサ16に接続された電子機能回路15と、蓄電デバイス30と電子機能回路15との間に接続された電力管理回路14と、ウェイクアップ回路13と、を備える。プロセッサ16はマイコン又はマイコンを備える回路で構成される。電子カード101は、蓄電デバイス30を電源としてアクティブ動作する。
【0026】
また、電子カード101は、複数の接触電極で構成されるコンタクト1を備える。リーダライタ回路42には電子カード101のコンタクト1に当接するピン端子を備えていて、電子カード101がリーダライタ回路42のスロットに挿入された状態で、リーダライタ回路42のピン端子は電子カード101のコンタクト1に当接する。この状態では無線通信やワイヤレス受電は行われず、通信及び受電はコンタクト1を通して行われる。
【0027】
受電回路20は、受電コイル21に接続された受電共振キャパシタC1と整流回路22とを含む。受電コイル21と受電共振キャパシタC1とは共振回路を構成する。
【0028】
電圧変換回路23は、受電回路20の出力電圧(受電電圧)を、蓄電デバイス30の充電に要する電圧に変換する。
【0029】
本実施形態では、コンタクト1を通したコンタクト充電と、受電回路20を用いるワイヤレス充電とを併用することもできる。
【0030】
本発明は、電子機能回路の動作処理時間を短縮化かつ円滑化し、待機電力を低減させて稼働時間を長くし、使い勝手とセキュリティ、または使い勝手と消費電力量の低減を共に向上させようとするものであり、ワイヤレス受電(充電)の状態又はコンタクトを通したコンタクト受電(充電)の状態にかかわらず適用できる。
【0031】
電力管理回路14は電子機能回路15及びプロセッサ16に対して電源電圧を供給する。
【0032】
ウェイクアップ回路13は、外部トリガを受けたとき電力管理回路14を起動させる。このウェイクアップ回路13は、例えば次のとおりである。
【0033】
・圧力を感知する圧力センサを備え、その圧力センサによる検出信号を外部トリガとする。
【0034】
・振動を感知する振動センサを備え、その振動センサによる検出信号を外部トリガとする。
【0035】
・温度を感知する温度センサを備え、その温度センサによる検出信号を外部トリガとする。
【0036】
・静電気を感知する静電センサを備え、その静電センサによる検出信号を外部トリガとする。
【0037】
・機械スイッチを備え、その機械スイッチによる信号を外部トリガとする。
【0038】
プロセッサ16は無線通信回路10を介してリーダライタ40と通信を行う。また、プロセッサ16は電子機能回路15の制御及び電子機能回路15の処理結果の入力を行う。
【0039】
電子機能回路15は例えば指紋センサであり、電子カード101は電子機能回路15の動作により、利用者の生体認証を行う。
【0040】
また、電子機能回路15が例えばポイントカードのポイントや識別コード等、各種データを表示する表示装置である場合は、電子カード101の利用状況を表示させる。
【0041】
図4は電子カード101の動作シーケンスを示すタイミングチャートである。先ず、タイミングt0で外部トリガを受けると、ウェイクアップ回路13は電力管理回路14へ起動信号を与える。これにより、電力管理回路14は起動し、電力管理回路14は、電子機能回路15、プロセッサ16及び通信回路12へ電源電圧を供給する。
【0042】
電子機能回路15が生体認証回路である場合、電子機能回路15で生体情報をインプットし、電子機能回路15の出力データを基にプロセッサ16が生体認証を行う。プロセッサ16はこの認証を完了した後も認証状態を保持する。
【0043】
電子機能回路15が表示装置である場合、プロセッサ16の出力により、例えば施設利用カードでは料金や識別コード等、また社員証カードでは、個人や組織の情報など各種データを表示する。プロセッサ16はこの表示状態を保持する。このように、電子機能回路15が表示装置である場合、電子回路が発する電磁雑音(電磁ノイズ)により無線通信回路が電磁干渉を受けて、それが問題になる場合がある。
【0044】
上記認証が完了したタイミングt1で電子機能回路15の動作を停止させる。これにより、電子機能回路15による電力消費はほぼ0となる。
【0045】
プロセッサ16は、通信回路12を動作させ、生体認証の結果がOKであるかNGであるかを通信回路12へ返す。そして、通信回路12は外部のリーダライタ回路42へ認証結果を返す。これにより認証動作が完了する。
【0046】
電子機能回路15が表示装置である場合は、プロセッサ16は、通信回路12を動作させ、所定時間において表示装置を動作させる。そして、通信回路12は外部のリーダライタ回路42との通信を実行する。これにより通信動作が完了する。
【0047】
その後、タイミングt2でNFC通信が完了すれば、ダミーの通信を継続して行う。例えば、NFC通信の開始時に行われる認証のための通信を繰り返し行う。このダミーの通信を開始するとともに、整流回路22の動作を有効化する。これにより、蓄電デバイス30への充電を開始させる。そしてプロセッサ16はリーダライタ40からのワイヤレス電力で動作を継続する。
【0048】
その後、タイミングt3で電子カード101がリーダライタ40から取り除かれることにより、電力管理回路14はNFC通信及び蓄電デバイス30への充電は終了する。
【0049】
蓄電デバイス30からプロセッサ16への電力供給は、ウェイクアップ回路をトリガとして動作する。そのため、ワイヤレス受電が無くなった後は、ウェイクアップ回路の起動が必要であり、ウェイクアップ回路の起動後に蓄電デバイス30からプロセッサ16へ電力が供給される。
【0050】
以上に示したように、プロセッサ16は、蓄電デバイス30の電力での動作による電子機能回路15の動作状態又は出力結果を、無線通信を開始する前に保持し、電子機能回路15の動作を終了させた後、無線通信回路10による無線通信を開始させるので、無線通信回路10に対する受電回路20の電磁干渉が生じることがなく、誤動作が抑止される。その結果、次のような効果を奏する。
【0051】
・安定した通信性能と使い勝手とセキュリティとを同時に向上させることができる。
【0052】
・無線通信回路10はリーダライタ40から十分な電力が得られるので、電子機能回路15の動作時間(認証通信時間など)が長くならず、リーダライタ40に電子カード101をかざす時間が長くなることもなく、電子カード101の利便性が良好となる。
【0053】
・ワイヤレスの受電回路20と無線通信回路とが同時に動作することによる相互の電磁干渉による誤動作が生じないので、無線通信距離が短くならず、安定した無線通信ができる。
【0054】
・電子カード101を使用しない状態では電子機能回路15における電力消費が生じないので、待機電力が抑制され、電子カード101の蓄電デバイス30による稼働時間が長くなる。
【0055】
最後に、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。当業者によって適宜変形及び変更が可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変形及び変更が含まれる。
【0056】
以上に示した例では、施設利用カードや社員証カード等として用いられる電子カードを示したが、その他に、電子カードとして、セキュリティカード、電子交通カードなど、様々な機能回路を備える電子カードへも応用可能である。
【0057】
また、以上に示した例では、無線通信回路10が、既存の近距離無線通信(NFC, Near Field Communication)を行う回路である例を示した。このように、既存の近距離無線通信を用いて、電子カードを動作させることができる。特に、外部リーダライタの電極が接するコンタクトを備え、コンタクトに電気的に接続され、コンタクトを通して外部リーダライタから供給される電力を受けて蓄電デバイスを充電する充電回路を備える、従来のICカードにはない構成の電子カードにおいても、既存の近距離無線通信を用いることができる。
【0058】
また、既存のBluetooth(登録商標)規格、Bluetooth(登録商標) Low Energy規格を用いて、電子カードを動作させることもできる。特に、外部リーダライタの電極が接するコンタクトを備え、コンタクトに電気的に接続され、コンタクトを通して外部リーダライタから供給される電力を受けて蓄電デバイスを充電する充電回路を備える、従来のICカードにはない構成の電子カードにおいても、Bluetooth(登録商標)規格、Bluetooth(登録商標) Low Energy規格を用いることができる。この構成によれば、既存の近距離無線通信(NFC, Near Field Communication)と比べて、通信距離が長く、電子カードを外部装置に近づけたり、かざす必要がなく、利便性が高い。
【符号の説明】
【0059】
C1…受電共振キャパシタ
1…コンタクト
10…無線通信回路
11…通信アンテナ
12…通信回路
13…ウェイクアップ回路
14…電力管理回路
15…電子機能回路
16…プロセッサ
20…受電回路
21…受電コイル
22…整流回路
23…電圧変換回路
24…充電回路
30…蓄電デバイス
40…リーダライタ
41…リーダライタアンテナ
42…リーダライタ回路
50…ワイヤレス給電装置
51…ワイヤレス給電コイル
52…ワイヤレス給電回路
101…電子カード
201…電子カードシステム