(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】二次電池および二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241106BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20241106BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241106BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241106BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241106BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241106BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20241106BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241106BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20241106BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241106BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20241106BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20241106BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241106BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M4/66 A
H01M10/052
H01M10/058
H01M10/0585
H01M50/103
H01M50/119
H01M50/434
H01M50/534
H01M50/54
H01M50/545
(21)【出願番号】P 2022572195
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2021046083
(87)【国際公開番号】W WO2022138334
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2020215522
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-312824(JP,A)
【文献】米国特許第04830940(US,A)
【文献】特開2016-062659(JP,A)
【文献】特開昭62-126566(JP,A)
【文献】特開平10-021953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01M 50/10-198
H01M 50/50-598
H01M 4/02-84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極および正極と負極との間に配置されたセパレータを備えて成る電極組立体と、
該電極組立体を収納する外装体と、を有して成る二次電池であって、
前記正極および前記負極のうちの一方の電極は、その複数が互いに束ねられて集電されており、他方の電極はそれぞれ
延伸しており、それぞれが離隔した状態で
延伸した前記電極の端部で直接集電されている、二次電池。
【請求項2】
前記他方の電極それぞれを離隔した状態は、前記電極のそれぞれを互いに束ねない状態である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記正極、前記負極、および前記セパレータは、積層方向に積層されている、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記他方の電極の端部を各々接触させて集電する出力部材を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
平面視において前記他方の電極の外周縁の少なくとも2辺が前記出力部材と接触されている、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記出力部材は、金属製の外装体である、請求項4または5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記出力部材は、前記外装体とは異なる
箔状の導電性部材である、請求項4
または5に記載の二次電池。
【請求項8】
前記他方の電極は、少なくとも一部を前記セパレータから突出させて互いに集電させる突出部を備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記他方の電極は、活物質で覆われた活物質部と、電極が露出する露出部と、を備えており、
前記露出部は、前記電極の外周縁に有しており、互いに接触させずに直接集電されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記一方の電極の材料はアルミニウム、ステンレスおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも1種を含み、前記他方の電極はニッケル、銅、ニッケルメッキした銅およびステンレスから成る群から選択される少なくとも1種を含んで成る、請求項1~9のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項11】
前記一方の電極は正極であり、前記他方の電極は負極である、請求項1~10のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記正極および前記負極が重複する重複領域について、前記重複の方向から見たときの最大投影面積Aと、前記外装体の前記重複の方向から見たときの最大投影面積Sの比A/Sは、S=200mm
2以上650mm
2以下の範囲において、75%以上である、請求項1~11のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項13】
前記外装体には、前記電極組立体が位置決めされる、位置決め部を有している、請求項1~12のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項14】
前記位置決め部は、前記外装体の内壁面から突出している、請求項13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記位置決め部は、前記外装体の外周縁から内側に窪ませた凹部分である、請求項13に記載の二次電池。
【請求項16】
前記他方の電極を互いに離隔して集電される状態を保持する導電性接着剤を更に有している、請求項1~15のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項17】
前記セパレータはセラミックを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項18】
前記正極または負極はリチウムイオンを吸蔵放出可能とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法であって、
前記正極および前記負極を形成する電極形成工程と、
前記正極および前記負極のうちの一方の電極は、その複数を互いに束ねて集電し、他方の電極はそれぞれを離隔した状態で直接集電する集電工程と、を含む、二次電池の製造方法。
【請求項20】
前記電極形成工程は、電極に活物質を塗布するステップと、外周縁に電極が露出する露出部を形成するステップと、を含む、請求項19に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池および二次電池の製造方法に関する。特に、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層から成る電極組立体を備えた二次電池および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、いわゆる蓄電池ゆえ充電および放電の繰り返しが可能であり、様々な用途に用いられている。例えば、携帯電話、スマートフォンおよびノートパソコンなどのモバイル機器に二次電池が用いられている。近年では電池のさらなる高容量化のため、エネルギー密度がさらに高い二次電池の開発が望まれている。
【0003】
エネルギー密度を向上させる二次電池として特許文献1には、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された電極体を備え、正極板はセパレータ端縁から突出させず、負極板はセパレータから突出する突出部を有して成る蓄電素子が記載されている。この蓄電素子によれば、負極板をセパレータ端縁から突出させ、負極板のサイズを大きくすることによってエネルギー密度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、従前の二次電池では克服すべき課題があることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
【0006】
電池の容量及びエネルギー密度を向上させるためには負極面積だけでなく、正極および負極が対向する対向面積を増やし、電気化学反応を生じさせる面積を増やすことが重要である。
【0007】
特許文献1に記載された発明は、負極板をセパレータ端縁から突出させることにより電極面積を大きくする構造とするものの、正極および負極の集電は、集電体およびガスケットを介して間接的に電気的に接続されているため、集電体およびガスケットの大きさの分、正極および負極の面積を大きくすることができる余地がある。つまり、正極面積および負極面積をより大きくすることによって、対向面積を大きくする余地がある。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、正極及び負極の対向面積を増加させ、電池容量およびエネルギー密度を向上させた二次電池および二次電池の製造方法に関する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された二次電池の発明に至った。
【0010】
本発明に係る二次電池は、正極、負極および正極と負極との間に配置されたセパレータを備えて成る電極組立体と、
該電極組立体を収納する外装体と、を有して成り、
前記正極および前記負極のうちの一方の電極は、その複数が互いに束ねられて集電されており、他方の電極はそれぞれを離隔した状態で直接集電されている。
【0011】
また、本発明に係る二次電池の製造方法は、
正極、負極および正極と負極との間に配置されたセパレータを備えて成る電極組立体と、
該電極組立体を収納する外装体と、を有して成る二次電池の製造方法であって、
正極および負極を形成する電極形成工程と、
前記正極および前記負極のうちの一方の電極は、その複数を互いに束ねて集電し、他方の電極はそれぞれを離隔した状態で直接集電する集電工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る二次電池は、正極および負極のうちの一方の電極は、その複数が互いに束ねられて集電されており、他方の電極はそれぞれを離隔した状態で直接集電されているため、正極面積および負極面積をより大きくすることができる。つまり、従来技術のような集電体およびガスケットを必要とせず、その分、正極および負極の対向面積を増加させることができる。したがって、二次電池の電池容量およびエネルギー密度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、電極組立体を模式的に示しており、
図1(a)は、平面積層構造を示した断面図、
図1(b)は、巻回構造を示した断面図である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施形態の二次電池に係る正極の平面図、
図2(b)は、第1実施形態の二次電池に係る正極の断面図である。
【
図3】
図3(a)は、第1実施形態の二次電池に係る負極の平面図、
図3(b)は、第1実施形態の二次電池に係る負極の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る二次電池の平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態の変形例に係る二次電池の平面図である。
【
図7】
図7は、本発明における投影面積を説明する説明図である。
【
図8】
図8は、面積比(A/S)と外装体投射面積Sの関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、二次電池の例示形態を模式的に示しており、
図9(a)は、角型の二次電池の斜視図、
図9(b)は、ボタン型またはコイン型の二次電池の斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る二次電池の平面図である。
【
図11】
図11(a)は、第3実施形態の二次電池に係る負極の平面図、
図11(b)は、第3実施形態の二次電池に係る負極の断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施形態に係る二次電池の平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4実施形態に係る二次電池の平面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第4実施形態の変形例に係る二次電池の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の一実施態様に係る二次電池をより詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観または寸法比などは実物と異なり得る。なお、本明細書で用いる「平面視」とは、二次電池を構成する電極組立体における正極と負極とが対向する方向に沿って対象物を上側または下側からみた場合の見取図に基づいている。
【0015】
[本発明の二次電池の説明]
本明細書でいう「二次電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な電池のことを指している。従って、本発明に係る二次電池は、その名称に過度に拘泥されるものでなく、例えば蓄電デバイスなども対象に含まれ得る。
【0016】
-二次電池の第1実施形態-
本発明の第1実施形態に係る二次電池について
図1~
図9を参照しながら説明する。
図1は、電極組立体を模式的に示しており、
図1(a)は、平面積層構造を示した断面図、
図1(b)は、巻回構造を示した断面図、
図2(a)は、第1実施形態の二次電池に係る正極の平面図、
図2(b)は、第1実施形態の二次電池に係る正極の断面図、
図3(a)は、第1実施形態の二次電池に係る負極の平面図、
図3(b)は、第1実施形態の二次電池に係る負極の断面図、
図4は、本発明の第1実施形態に係る二次電池の平面図、
図5は、
図4のVI-VI断面図、
図6は、本発明の第1実施形態の変形例に係る二次電池の平面図、
図7は、本発明における投影面積を説明する説明図、
図8は、面積比(A/S)と外装体投射面積Sの関係を示すグラフ、
図9は、二次電池の例示形態を模式的に示しており、(a)は、角型の二次電池の斜視図、(b)は、ボタン型またはコイン型の二次電池の斜視図である。
【0017】
本発明に係る二次電池は、正極1、負極2およびセパレータ3を含む電極構成層5を備える電極組立体を有して成る。
図1(a)および
図1(b)には電極組立体10を例示している。図示されるように、正極1と負極2とはセパレータ3を介して積み重なって電極構成層5を成しており、かかる電極構成層5を少なくとも1つ以上積層して電極組立体10が構成されている。
図1(a)では、電極構成層5が巻回されずに平面状に積層した平面積層構造を有してよい。つまり、電極組立体10は、電極構成層5が互いに積み重なるように積層した構成を有していてよい。一方、
図1(b)では、帯状に比較的長く延在する電極構成層5が巻回状に巻かれた巻回構造を有してよい。つまり、
図1(b)では、正極1、負極2および正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3を含む帯状に比較的長く延在する電極構成層5がロール状に巻回された巻回構造を有してよい。二次電池ではこのような電極組立体10が電解質(例えば非水電解質)と共に外装体50に封入されてよい。なお、電極組立体10の構造は必ずしも平面積層構造または巻回構造に限定されず、例えば、電極組立体10は、正極1、セパレータ3および負極2を長いフィルム上に積層してから折り畳んだ、いわゆるスタック・アンド・フォールディング型構造を有していてもよい。
【0018】
正極1は、略矩形状の金属箔を切り欠いて形成した正極本体1aと、正極本体1aに電極活物質が被覆された正極活物質層1bと、を有してよい(
図2参照)。また、例えば
図2の平面図に示すように、正極1は、一部が正極活物質層1bから正極本体1aが露出する正極集電部1cを有してよい。
【0019】
負極2は、負極本体2aと、負極本体2aに電極活物質が被覆された負極活物質層2bと、を有してよい(
図3参照)。一例として示す
図3において、負極本体2aは、平面視形状が略L字状であり、負極2を正極1と対向させたときに正極集電部1cに対応する位置が切欠かれた形状としてよい(
図11参照)。負極2の外周縁には、負極本体2aが露出する負極露出部2cを有してよい。また、負極2の面積は、電界析出を防止するため正極1の面積よりも大きくすることが好ましい。
【0020】
正極1および負極2に備えられた電極活物質、即ち、正極活物質および負極活物質は、二次電池において電子の受け渡しに直接関与する物質であり、充放電、すなわち電池反応を担う正負極の主物質である。より具体的には、正極活物質および負極活物質に起因して電解質にイオンがもたらされ、かかるイオンが正極と負極との間で移動して電子の受け渡しが行われて充放電がなされる。正極1および負極2は特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であってよい。つまり、本発明に係る二次電池は、非水電解質を介してリチウムイオンが正極と負極との間で移動して電池の充放電が行われる非水電解質二次電池となっていることが好ましい。充放電にリチウムイオンが関与する場合、本発明に係る二次電池は、いわゆる“リチウムイオン電池”に相当し、正極および負極がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有してよい。
【0021】
正極活物質層1bは例えば粒状体から構成されるところ、粒子同士のより十分な接触と形状保持のためにバインダーが含まれていてよい。更には、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が含まれていてもよい。同様にして、負極活物質層2bは例えば粒状体から構成されるところ、粒子同士のより十分な接触と形状保持のためにバインダーが含まれてよく、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が含まれていてもよい。このように、複数の成分が含有されて成る形態ゆえ、正極活物質層1bおよび負極活物質層2bはそれぞれ“正極合材層”および“負極合材層”などと称すこともできる。
【0022】
正極活物質層1bにおける正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であってよい。かかる観点でいえば、正極活物質は例えばリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。より具体的には、正極活物質は、リチウムと、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄から成る群から選択される少なくとも1種の遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物であることが好ましい。つまり、本発明に係る二次電池の正極1においては、そのようなリチウム遷移金属複合酸化物が正極活物質として好ましくは含まれている。例えば、正極活物質はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、または、それらの遷移金属の一部を別の金属で置き換えたものであってよい。このような正極活物質は、単独種として含まれてよいものの、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0023】
正極活物質層1bに含まれ得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体およびポリテトラフルオロエチレンなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。正極活物質層1bに含まれ得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0024】
正極活物質層1bの厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上300μm以下であってよく、例えば5μm以上200μm以下であってよい。正極材層の厚み寸法は二次電池内部での厚みであり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0025】
負極活物質層2bにおける負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であってよい。かかる観点でいえば、負極活物質は例えば各種の炭素材料、酸化物および/またはリチウム合金などであることが好ましい。
【0026】
負極活物質の各種の炭素材料としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、ハードカーボン、ソフトカーボン、ダイヤモンド状炭素などを挙げることができる。特に、黒鉛は電子伝導性が高く、金属箔との接着性が優れる。負極活物質の酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化リチウムなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極活物質のリチウム合金は、リチウムと合金形成され得る金属であればよく、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、ZnまたはLaなどの金属とリチウムとの2元、3元または、それ以上の合金であってよい。このような酸化物は、その構造形態としてアモルファスとなっていることが好ましい。結晶粒界または欠陥といった不均一性に起因する劣化が引き起こされにくくなるからである。
【0027】
負極活物質層2bに含まれ得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極活物質層2bに含まれ得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、負極活物質層2bには、電池製造時に使用された増粘剤成分(例えばカルボキシルメチルセルロース)に起因する成分が含まれていてもよい。
【0028】
負極活物質層2bの厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上300μm以下であってよく、例えば、5μm以上200μm以下であってよい。負極材層の厚み寸法は二次電池内部での厚みであり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0029】
正極本体1aおよび負極本体2aに用いられる金属箔は電池反応に起因して電極活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する部材である。金属箔は、シート状の金属部材であってよく、多孔または穿孔の形態を有していてよい。例えば、金属箔に代えてパンチングメタル、網またはエキスパンドメタル等であってよい。正極1に用いられる金属箔は、アルミニウム、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えばアルミニウム箔であってよい。一方、負極2に用いられる金属箔は、ニッケル、銅、ニッケルメッキした銅およびステンレス等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものであってよく、例えば銅箔が好ましい。
【0030】
セパレータ3は、正負極の接触による短絡防止および電解質保持などの観点から設けられる部材である。換言すれば、セパレータ3は、正極1と負極2との間の電子的接触を防止しつつイオンを通過させる部材であるといえる。好ましくは、セパレータ3は多孔性または微多孔性の絶縁性部材であり、その小さい厚みに起因して膜形態を有している。
【0031】
セパレータ3は、正負極の接触による短絡防止のため、正極1または負極2のいずれかの面積よりも広く設計されてよい。例えば、
図4を参照すると、セパレータ3は、平面視で正極活物質層1bの面積よりも広くされてよい。さらに、好ましいセパレータ3として、正極と負極との短絡をより防止するため、例えば、
図5に示されるセパレータ3の端子部材60側(つまり、負極2が外装体50と接触しない側)に、正極1および負極2いずれの端部よりも突出する突出部3aを設けてよい。
【0032】
セパレータ3として用いられる微多孔膜は、例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレン(PE)のみ、または、ポリプロピレン(PP)のみを含んだもの、または、“PE製の微多孔膜”と“PP製の微多孔膜”とから構成される積層体であってもよい。また、セパレータの表面が無機粒子コート層および/または接着層等により覆われていてもよい。セパレータの表面が接着性を有していてもよい。
【0033】
さらに、セパレータ3は、二次電池の動作中に異常が生じ発熱すると熱収縮し、セパレータ3の上下に配置された正極1および負極2の間隔が狭まって短絡を引き起こす可能性がある。このセパレータの熱収縮に起因する正極および負極の短絡を防止するため、セパレータ3を熱収縮し難い材料としてもよい。あくまでも例示にすぎないが、アルミナ等の酸化物系のセラミック、炭化ケイ素等の炭化物系セラミック、窒化ケイ素等の窒化物系のセラミックを用いてよい。なお、本発明において、セパレータは、その名称によって特に拘泥されるべきでなく、同様の機能を有する固体電解質、ゲル状電解質、および/または絶縁性の無機粒子などであってもよい。
【0034】
セパレータの厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上100μm以下であってよく、例えば2μm以上20μm以下であってよい。セパレータの厚み寸法は二次電池内部での厚み(特に正極と負極との間での厚み)であり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0035】
本発明の二次電池では、正極1、負極2およびセパレータ3を含む電極構成層5から成る電極組立体10が電解質と共に外装体50に封入されてよい。電解質は電極(正極1および/または負極2)から放出された金属イオンの移動を助力することができる。電解質は有機電解質および有機溶媒などの“非水系”の電解質であってよく、または水を含む“水系”の電解質であってもよい。正極1および負極2がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有する場合、電解質は有機電解質または有機溶媒などを含んで成る“非水系”の電解質であることが好ましい。すなわち、電解質が非水電解質となっていることが好ましい。電解質では電極(正極および/または負極)から放出された金属イオンが存在することになり、それゆえ、電解質は電池反応における金属イオンの移動を助力することになる。なお、電解質は液体状またはゲル状などの形態を有していてよい。
【0036】
非水電解質は、溶媒と溶質とを含む電解質である。具体的な非水電解質の溶媒としては、少なくともカーボネートを含んで成るものであってよい。かかるカーボネートは、環状カーボネート類および/または鎖状カーボネート類であってもよい。特に制限されるわけではないが、環状カーボネート類としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニレンカーボネート(VC)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジプロピルカーボネート(DPC)から成る群から選択される少なくも1種を挙げることができる。あくまでも例示にすぎないが、非水電解質として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組合せが用いられてよく、例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物を用いてよい。また、具体的な非水電解質の溶質としては、例えば、LiPF6および/またはLiBF4などのLi塩が用いられてよい。
【0037】
二次電池の外装体50は、正極1、負極2およびセパレータ3を含む電極構成層5を備える電極組立体10を収納する又は包み込むことができる部材であってよい。外装体50は、非ラミネート構成を有する金属外装体であることが好ましい。金属外装体は、ステンレス鋼(SUS)および/またはアルミニウムなどの金属から成る単一部材であってよい。ここでいう「金属単一部材」とは、広義には、外装体50がいわゆるラミネート構成を有さないことを意味しており、狭義には、外装体50が実質的に金属のみから成る部材となることを意味している。したがって、実質的に金属のみから成る部材となるのであれば、金属外装体の表面に適当な表面処理がなされていてもよい。例えば、そのような金属外装体をその厚み方向に切断した切断面においては、表面処理などが為されている部分を除き、単一の金属層を確認できる。なお、本明細書における「ステンレス鋼」は、例えば「JIS G 0203 鉄鋼用語」に規定されているステンレス鋼のことを指しており、クロムまたはクロムとニッケルとを含有させた合金鋼であってよい。
【0038】
外装体50は、容易に電極組立体10を収納する観点から、蓋状部材と、カップ状部材と、を有してよく、蓋状部材とカップ状部材は、溶接によって接合されてよい。また、本実施形態では、カップ状部材に端子部材60が設けられており、端子部材60とカップ状部材との間には、絶縁材70が配置されてよい(
図4および
図5参照)。なお、本明細書における「カップ状部材」は、胴部に相当する側面部とそれに連続する主面部(典型的な態様では、例えば底部)を有して成り、内側に中空部が形成されるような部材を意味している。本明細書における「蓋状部材」は、そのようなカップ状部材に対して蓋をするように設けられる部材を意味している。蓋状部材は、例えば同一平面状に延在する単一部材(典型的には平板状の部材)であってよい。外装体においては、蓋状部材の外縁部分とカップ状部材の外周縁部の上端部分とが互いに合わさるように蓋状部材とカップ状部材とが組み合わされてよい。
【0039】
絶縁材70は、カップ状部材と端子部材60との隙間を埋めるように設けられるところ、“封止”に資すると解すこともできる。例えば
図4および
図5に示すように、絶縁材70は、端子部材60の外側の領域まで広がるような形状となっていてよい。つまり、端子部材60から外側へとはみ出すように絶縁材70が外装体50に設けられてよい。絶縁材70は、“絶縁性”を呈すのであればその種類に特に制限はない。好ましくは、絶縁材は“絶縁性”だけでなく、“接着性”を有することが好ましい。例えば、絶縁材70は熱可塑性樹脂を含んで成るものであってよい。あくまでも1つの具体的な例示にすぎないが、絶縁材70はポリエチレンおよび/またはポリプロピレンなどのポリオレフィンを含んで成るものであってよい。なお、本明細書において、「絶縁性」とは、電流を流しにくい性質であり、抵抗率で10
6Ω・m以上の範囲を意味する。
【0040】
端子部材60は、二次電池において外部機器との接続に供する出力端子を意味している。端子部材60は、例えば平板状の形態を有してよい。平板状の端子部材60は、例えば金属板であってよい。端子部材60は、その材質に特に制限はなく、アルミニウム、ニッケルおよび銅から成る群から選択される少なくとも1種の金属を含んでよく、異なる金属材質から成る複数の層を有していてもよい。端子部材60の側面視(
図4および
図5のX方向から視て)形状は特に制限はなく、例えば円形であってよく、あるいは四角形などを含む矩形であってもよい。
【0041】
端子部材60は、電極組立体10の正極1または負極2の一方と電気的に接続されてよい。一方で、電極組立体10の正極1または負極2の他方は、金属製の外装体50と電気的に接続されてよい。本実施形態では、端子部材60は、電極組立体10の正極1と電気的に接続され、電極組立体10の負極2は、金属製の外装体50と電気的に接続されている。
【0042】
端子部材60は、一例を示す
図4の形態では、正極集電部1cの位置に対応させて外装体50の中央位置よりもY方向にオフセットして形成されている。なお、端子部材60の形成位置は、
図4に示す形態に限定されるものではなく、正極集電部1cの位置に対応させて例えば、
図6に示す形態のようにオフセットさせずに形成してもよい。つまり、端子部材60の形成位置は自由な位置に形成可能である。
【0043】
端子部材60には、正極1を束ねて集電させ、電気的に接続されている。一方、負極2は、それぞれを離隔した状態で直接集電させて電気的に接続されている。一実施形態として例えば、
図4および5では、複数の正極集電部1cを束ねて端子部材60と電気的に接続されてよく、負極本体2aおよび負極活物質層2bは、セパレータ3から突出してそれぞれを離隔した状態で金属製の外装体50と電気的に接続されてよい。
【0044】
ここで、本明細書における「それぞれを離隔した状態」とは、負極本体2aそれぞれの離隔状態が保持されて延伸されている状態、より具体的には、負極本体2a同士が物理的に接触していない状態、つまりは、負極本体2a同士が正極集電部1cのように互いに束ねられていない状態を意味する。また、本明細書における「直接集電されている」とは、負極本体2aが直接的に外部に接触して集電された状態を意味しており、集電体およびガスケットを介して間接的に集電されている従来技術(例えば、特開2020-064723号公報)とは異なる。また、正極の集電態様(束ねられた状態での集電)と負極の集電態様(それぞれを離隔した状態での直接集電)が異なっている点も、従来技術と異なっている。なお、
図4および
図5に示した実施形態では、正極は、その複数を束ねずに集電させ、負極それぞれを離隔した状態で直接集電する態様を説明したが、この態様に限定されず、負極の集電態様と正極の集電態様を逆にしてもよい。つまり、負極の複数を互いに束ねずに集電させ、正極それぞれを離隔した状態で直接集電する態様としてもよい。
【0045】
本実施形態によれば、正極および負極のうちの一方の電極は、その複数が互いに束ねられて集電されており、他方の電極はそれぞれを離隔した状態で直接集電されているため、従来技術のような集電体およびガスケット等を使用する「間接的に集電された手法」と比較して、集電体およびガスケット等の部材を必要とせず、集電体およびガスケットの大きさの分だけ、正極および負極の対向面積を増加させることができる。したがって、二次電池の電池容量およびエネルギー密度を向上させることができる。
【0046】
次に、本実施形態の電極における電気的な接続について、より具体的な集電態様を説明する。好適な実施形態において、負極のそれぞれを離隔した状態は、負極のそれぞれを互いに束ねない状態としてよい。つまり、負極のそれぞれは互いに物理的な接触がなされていない状態としてよい。このように負極のそれぞれを互いに束ねずに直接集電する場合は、電極を束ねる工程を省略できるため、製造工程を簡素化することができる。
【0047】
好適な実施形態において、電極の端部を各々接触させることによって集電するように構成されてよい。つまり、
図4および
図5では、負極を構成する負極本体2aの端部および負極活物質層2bの端部を、外部に出力する出力部材と接触させることによって電気的な接続を図ってよい。電極の端部を接触させることで電気的接続が得られるため、簡易な手法で電気的接続を行うことができる。
【0048】
負極と電気的な接続を図る際の出力部材の具体的な態様として、
図4および
図5では、金属製の外装体50と負極を接触させて集電させてよい。このように電極を直接的に金属製の外装体50と接触させて電気的に接続することにより、何らかの導電性の部材を介在させることがなく、電極面積を大きくすることができる。
【0049】
好適な実施形態において、電極と外装体との電気的な接続は、平面視において電極の外周縁の少なくとも2辺を接触させることによって構成されてよい。つまり、
図4を参照すると、負極2の外周縁の4辺が外装体50に直接的に接触されて電気的に接続されてよい。このような接続手法によれば、電極と外装体50との間の接触位置をより多くすることができ、電池反応を推進する電子の伝達をより円滑に行うことができる。また、複数の辺で電気的に接続されているため、電気的接続の信頼性の向上を図ることができる。なお、
図4に示す形態に代えて、負極2の外周縁の3辺(例えば、端子部材60側の辺を除いた負極2の外周縁の3辺など)を外装体50に直接的に接触させてもよいし、外周縁のいずれか2辺を外装体に直接的に接触させてもよい。
【0050】
また、
図4および
図7では、正極1および負極2が重複する重複領域について、重複方向(
図7におけるZ方向)から見たときの重複領域の最大投影面積は、外装体50の重複の方向から見たときの外装体50の最大投影面積の75%以上としてよい。本明細書でいう「投影面積」とは、被投影体に対して垂直に光を投影した場合に影とされる面積を意味している。具体的には、
図4および
図7の態様において、重複領域の最大投影面積は、正極1と負極2とが重複する重複領域を投影したときの最大面積Aを示し、外装体50の最大投影面積Sは、外装体50を投影しときの最大平面積Sを示している。なお、外装体50の最大平面積Sは、当該二次電池を搭載する電子機器の大きさに依存しており、例えば、200mm
2以上650mm
2以下とされている。このような外装体50の最大平面積Sにおいて、例えば、正極および負極の両方が束ねられて集電された従来の形態と、本実施形態とを比較した場合、従来の形態の重複領域のA/Sが75%未満であるのに対し、本実施形態の重複領域のA/Sは75%以上とすることができ、このような構成によれば、正極および負極が対向する対向面積が増え、電気化学反応を生じさせる面積を増やすことができる(
図8参照)。
【0051】
好適な実施形態において、他方の電極のそれぞれを離隔して集電される状態を保持する導電性接着剤を更に有してよい。つまり、
図4および
図5に示す態様において、外装体50と負極2との直接集電の際、負極2を強固に外装体50に接触させるために導電性接着剤を用いてよい。導電性接着剤を用いることによって、電極のそれぞれを離隔して集電される状態を保持することができる。
【0052】
なお、かかる態様では、二次電池の端子部材側から視て形状が略矩形となっている。つまり、二次電池100が外形の点で角型となっている(
図9(a)参照)。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、ボタン型またはコイン型の二次電池であってもよい(
図9(b)参照)。つまり、二次電池100は、その端子部材側から視て、矩形に限らず、円形または楕円形などの形状を有していてもよい。
【0053】
-二次電池の第2実施形態-
次に、本発明の第2実施形態に係る二次電池について
図10を参照しながら説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る二次電池の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0054】
本実施形態に係る二次電池は、正極1は、その複数が互いに束ねられて集電されており、負極2はそれぞれを離隔した状態で外装体50とは異なる導電性部材80に対して直接集電されている。なお、この実施形態に限定されず、負極の集電態様と正極の集電態様を逆にしてもよい。つまり、負極2のそれぞれを互いに束ねて集電し、正極1はそれぞれを互いに離隔した状態で導電性部材80に直接集電してもよい。
【0055】
本実施形態では、導電性部材80は、負極2を集電するものであるため、負極2用の材料である、ニッケル、銅、ニッケルメッキした銅およびSUSから成る群から選択される少なくとも1種を含んだ材料を用いてよい。このように負極を集電する導電性部材80として、負極2用の材料を用いることにより、外装体50内の非水電解質に影響を及ぼさずに集電することができる。また、導電性部材80の厚みは、負極2の電極面積を広くする観点から、比較的に薄いものが好ましい。例えば、箔状のものが好ましい。なお、変形例として正極1それぞれを離隔した状態で導電性部材80に直接集電する場合は、導電性部材80は、正極1用の材料である、アルミニウム、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択されてよい。
【0056】
このような第2実施形態によれば、負極2それぞれを離隔した状態で導電性部材80に対して直接集電され、正極1のそれぞれは、互いに束ねられて集電されるため、正極1のそれぞれを互いに束ねて集電させた分だけ、正極と負極との間の対向面積が増え、電気化学反応を生じさせる面積を増やすことができる。特に、箔状の導電性部材80であれば、より電極面積を大きくすることができる。
【0057】
-二次電池の第3実施形態-
次に、本発明の第3実施形態に係る二次電池100について
図11~
図13を参照しながら説明する。
図11(a)は、第3実施形態の二次電池に係る負極の平面図、
図11(b)は、第3実施形態の二次電池に係る負極の断面図、
図12は、本発明の第3実施形態に係る二次電池の平面図、
図13は、
図12のXI-XI断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0058】
第3実施形態に係る二次電池の負極2は、
図11に示すように、負極本体2aが負極活物質で覆われた負極活物質層2bと、負極本体2aが露出する負極露出部2cと、を備えており、負極露出部2cは、負極2の外周縁に有し、負極露出部2cが負極活物質層2bよりも突出してよい。この負極2を備えた電極組立体10が外装体50に収容されてよい。
【0059】
第3実施形態に係る二次電池は、負極活物質層2bよりも突出する負極露出部2cのそれぞれを互いに接触せずに直接集電させてよい(
図12および
図13参照)。つまり、負極露出部2cは、負極活物質層2bと比較して電子の伝達を円滑に行えるため、負極露出部2cのみを外装体50に接触させてよい。
【0060】
ここで、
図13に示す態様では、負極露出部2cは、X方向およびY方向に沿って伸びるようにして外装体50と接触する態様を示しているが、外装体50との接触を点接触ではなく面接触で強固に接触させてもよい。つまり、突出する負極露出部2cを折り曲げる態様、または、突出する負極露出部2cを丸めた態様としてもよい。
【0061】
このような第3実施形態によれば、露出部それぞれを離隔した状態で直接集電されるため、正極と負極との間の対向面積が増え、電気化学反応を生じさせる面積を増やすことができる。
【0062】
-二次電池の第4実施形態-
次に、本発明の第4実施形態に係る二次電池について
図14および
図15を参照しながら説明する。
図14は、本発明の第4実施形態に係る二次電池の平面図、
図15は、本発明の第4実施形態の変形例に係る二次電池の平面図である。なお、第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0063】
第4実施形態に係る二次電池は、外装体50には、電極組立体10が位置決めされる、位置決め部を備えている。位置決め部を備えているため、外装体50に収容された電極組立体10の位置が固定される。よって、衝撃および/または振動により電極の電気的接続が図れなくなることを防止することができる。
【0064】
例えば、
図14に示すように、位置決め部は、外装体50の内壁面から突出された凸状部51としてよい。当該凸状部51に電極組立体10を接触させることによって、電極組立体10の位置を固定することができる。なお、本実施形態では、外装体50の底面から凸状部51が延設されているが、この例に限らず、外装体50の側面から延設されていてもよいし、外装体50における蓋状部材から延設されていてもよい。
【0065】
また、本実施形態の位置決め部の変形例として、
図15に示すように、外装体50を内側に向けて窪ませた凹部分52を位置決め部としてもよい。当該凹部分に電極組立体10を接触させることによって、電極組立体10の位置を固定することができる。
【0066】
[本発明の二次電池の製造方法の説明]
次に、本発明の二次電池の製造方法について説明する。本発明の二次電池の製造方法は、正極1および負極2を形成する電極形成工程と、正極1および負極2のうちの一方の電極のそれぞれを互いに束ねて集電し、他方の電極それぞれを離隔した状態で直接集電する集電工程と、を含む。以下、工程に沿って説明する。
【0067】
-電極形成工程-
電極形成工程では、電極組立体10の構成する正極1および負極2を形成する工程である。まず、正極1を構成する正極本体1aを準備する。正極本体1aは、アルミニウム、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔とすることが好ましく、金属箔を打ち抜き用の金型を用いることにより、例えば、
図2に示された形状が形成される。次に、正極本体1aの両面に対して、正極活物質層1bを形成してよい。正極活物質層1bは、正極活物質をバインダーおよび溶剤等と混合したものを塗工することによって形成される。
【0068】
ここで、
図2に示した正極集電部1cには、正極活物質が塗工されていない。このように、活物質が塗工されない未塗工部分を形成する手法としては、例えば、金属箔にパターン印刷する手法、未塗工部分をマスキングする手法、または、金属箔全面に活物質層を形成した後に正極集電部1cに対応する部分をレーザー加工する手法のいずれかを採用してよい。
【0069】
上述した電極形成手法は、負極2の形成手法にも採用することができ、例えば、
図11に示すような外周縁に電極が露出する負極露出部2cを備えた負極を形成することができる。正極1および負極2の形成後には、正極1、負極2、および、セパレータ3を、積層させて電極組立体10が形成される。なお、本実施形態では、正極1、負極2、およびセパレータ3は、積層方向に積層されてよい。つまり、電極組立体10は、平面積層構造としてよい。このような積層構造であれば、正極、負極、セパレータの積層数によって電池容量の調整を可能とすることができる。なお、積層構造に代えて、正極1、負極2およびセパレータ3を含む電極構成層がロール状に巻回した巻回構造としてもよい。巻回構造であれば、巻回機等で電極構成層を巻くことによって電極組立体を製造でき、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0070】
-集電工程-
電極組立体10を形成した後、電極組立体10を外装体50に収容し、正極1および負極2をそれぞれ外部出力させるように電気的に接続する。一例として本実施形態では、正極1は、正極集電部1cによって束ねられ端子部材60と電気的に接続される。正極の集電には、正極1のそれぞれを接触させることができれば、どのような手法を用いてもよいが、一例として、超音波溶着の手法が挙げられる。
【0071】
一方で、負極2は、電極それぞれを離隔した状態で金属製の外装体50に直接集電される。本実施形態では、負極2それぞれを離隔した状態で金属製の外装体50に直接接触させることで負極2と外装体50とを電気的に接続している。なお、上述したとおり、負極2と外装体50とを強固に接触させるために、導電性接着剤を用いることおよび/または、電極組立体10を位置決め部に接触させて固定することを採用してもよい。
【0072】
以上説明したとおり、本発明の二次電池の製造方法によれば、正極および負極のうちの一方の電極のそれぞれは、互いに束ねられて集電されており、他方の電極それぞれを離隔した状態で直接集電されているため、正極および負極の対向面積を増加させることができ、電池容量およびエネルギー密度を向上させた二次電池を製造することができる。
【0073】
なお、今回開示した実施態様は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施態様のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る二次電池は、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の二次電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパー、ウェアラブルデバイス等または、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、ならびに、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などにも本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 正極
1a 正極本体
1b 正極活物質層
1c 正極集電部
2 負極
2a 負極本体
2b 負極活物質層
2c 負極露出部
3 セパレータ
3a 突出部
5 電極構成層
10 電極組立体
50 外装体
51 凸状部
52 凹部分
60 端子部材
70 絶縁材
80 導電性部材
100 二次電池