(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】光ファイバセンシングシステム及びセンシング方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G01D5/353 B
(21)【出願番号】P 2022573825
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2021000149
(87)【国際公開番号】W WO2022149199
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】依田 幸英
(72)【発明者】
【氏名】森 洸遥
(72)【発明者】
【氏名】岩野 忠行
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-109004(JP,A)
【文献】特開平11-283136(JP,A)
【文献】特開平06-186091(JP,A)
【文献】特表2020-527236(JP,A)
【文献】特開2002-048517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する第1の光センシング手段と、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する第1のデータ通信手段と、
を備えるホストセンシング装置、及び、
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む前記第2のセンシングデータを出力する第2の光センシング手段と、
前記第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む前記第1の信号光を出力する第2のデータ通信手段と、
を備えるリモートセンシング装置、
を備える光ファイバセンシングシステム。
【請求項2】
前記第1の光センシング手段は、
前記第1のパルス光を間欠的に出力する第1のパルス光送信手段と、
前記第1の光を受信する第1の光受信手段と、
前記第1の光に応じた物理量を含む前記第1のセンシングデータを出力するデータ処理手段と、
前記第1の信号光に含まれる前記第2のセンシングデータを出力する光インタフェースと、
を備える請求項1に記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項3】
前記第1のデータ通信手段は前記リモートセンシング装置へ送信するデータを前記光インタフェースへ出力し、
前記光インタフェースは前記データを含むデータ信号光を前記第1の光ファイバへ出力する、請求項2に記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項4】
前記第2のデータ通信手段は前記第1の光ファイバから受信した前記データ信号光を電気信号に変換して前記第2の光センシング手段へ出力する、請求項3に記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項5】
前記第2の光センシング手段は、
前記第2のパルス光を間欠的に出力する第2のパルス光送信手段と、
前記第2の光を受信する第2の光受信手段と、
前記第2の光に応じた物理量を含む前記第2のセンシングデータを出力する第2のデータ処理手段と、
を備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項6】
前記第1の光及び前記第2の光は、それぞれ、前記第1のパルス光に応じた前記第1の光ファイバの後方散乱光、及び、前記第2のパルス光に応じた前記第2の光ファイバの後方散乱光である、請求項1乃至5のいずれかに1項に記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項7】
前記第1のパルス光、前記第1の光、及び前記第1の信号光のそれぞれの波長は重複しない、請求項1乃至6のいずれかに記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項8】
前記データ信号を前記ホストセンシング装置から受信する受信手段と、
前記データ信号に含まれる前記第1のセンシングデータ及び前記第2のセンシングデータに基づいて前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバのセンシング結果を出力する分析エンジンと、
を備える分析装置をさらに備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載された光ファイバセンシングシステム。
【請求項9】
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力し、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力し、
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む前記第2のセンシングデータを出力し、
前記第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む前記第1の信号光を出力する、
センシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバセンシングシステムに関する。本発明は、特に、光ファイバを用いてセンシングを行うリモートセンシング装置、ホストセンシング装置、光ファイバセンシングシステム、センシング方法及びセンシング装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバにパルス光を入力すると、パルス光は後方散乱光を発生する。後方散乱光は、パルス光とは逆方向に伝搬する光である。後方散乱光を発生させる物理的過程には、例えば、レイリー散乱、ブリュアン散乱、ラマン散乱がある。後方散乱光は、散乱箇所における光ファイバの温度や、散乱箇所において光ファイバに印加される振動や圧力等に応じた物理的特性(例えば、後方散乱光の強度やパルス光からの波長シフト量)が変化する。例えば、レイリー散乱光からは光ファイバに加わる圧力や音響の変動を検出できる。また、ブリュアン散乱光からは光ファイバに加わる圧力の変動を検出でき、ラマン散乱光からは光ファイバの温度変化を検出できることが知られている。従って、単一のパルス光を間欠的に光ファイバに入射させ、後方散乱光の特性の変化量や後方散乱光の受信時刻のデータを分析することで、光ファイバの長手方向の任意の位置における圧力や振動及びそれらの時間的な変化を取得することができる。
【0003】
図9は、一般的な光ファイバセンシングシステム9の構成例を示す図である。ホスト局91に設置されたセンシング装置901は、ホスト局91とリモート局92との間に敷設された光ファイバ93へ光センシング部905からパルス光を送出することで光ファイバ93が敷設された環境のセンシングを行う。また、リモート局92に設置されたセンシング装置902は、光ファイバ93とは異なる光ファイバ94へ光センシング部906からパルス光を送出することで光ファイバ94が敷設された環境のセンシングを行う。パルス光を光ファイバへ送出することによるセンシングの原理についてはよく知られているので詳細な説明は省略する。
【0004】
センシング装置902は、光ファイバ94のセンシング結果を含むデータを、データ通信部904からデータ回線96へ出力する。データ通信部903は、データ回線96を介してセンシング装置902のセンシング結果を受信するとともに、光ファイバ93のセンシング結果を光センシング部905から受信し、これらのセンシング結果を含むデータ回線95へ出力する。
【0005】
分析装置98は、ホスト局91が出力したセンシング結果を含むデータを、データ回線95及びインターネット97を介して受信する。そして、分析装置98は、受信したそれぞれのセンシング結果に基づいて、光ファイバ93及び94が敷設された環境の変化(例えば、振動や温度の分布の時間的変化)をそれぞれ算出する。
【0006】
本発明に関連して、特許文献1には、後方散乱光を検出することで道路を監視するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9に記載された光ファイバセンシングシステム9は、分析装置98を1か所に集約できるため、ホスト局91及びリモート局92は分析装置の機能を必要としない。しかし、リモート局92は分析装置98との間に直接通信可能な回線を持たない。このため、分析装置98と通信可能なホスト局91との間にデータ回線96を設置し、データ回線96、95及びインターネット97を介してセンシングデータを分析装置98へ転送する。すなわち、光ファイバセンシングシステム9では、ホスト局91とリモート局92との間にデータ回線が必要であり、このため。光ファイバセンシングシステム9の構成は容易ではなかった。
(発明の目的)
本発明は、光ファイバセンシングシステムを容易に構築するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ファイバセンシングシステムは、第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する第1の光センシング手段と、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する第1のデータ通信手段と、
を備えるホストセンシング装置、及び、
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む前記第2のセンシングデータを出力する第2の光センシング手段と、
前記第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む前記第1の信号光を出力する第2のデータ通信手段と、
を備えるリモートセンシング装置、
を備える。
【0010】
また、本発明のホストセンシング装置は、第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する第1の光センシング手段と、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する第1のデータ通信手段と、
を備える。
【0011】
また、本発明のリモートセンシング装置は、第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力する第2の光センシング手段と、
第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する第2のデータ通信手段と、
を備える。
【0012】
また、本発明のセンシング方法は、第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力し、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力し、
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む前記第2のセンシングデータを出力し、
前記第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む前記第1の信号光を出力する、
手順を含む。
【0013】
また、本発明のセンシング装置の制御方法は、第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力し、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する、
手順を含む。
【0014】
また、本発明のセンシング装置の制御方法は、第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力し、
第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する、
手順を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、光ファイバセンシングシステムを容易に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態のセンシングシステム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】リモートセンシング装置200の構成例を示すブロック図である。
【
図3】ホストセンシング装置100の構成例を示すブロック図である。
【
図4】光ファイバ130を伝搬する光の波長の例を示す図である。
【
図5】リモートセンシング装置200の動作手順の例を示すフローチャートである。
【
図6】ホストリモートセンシング装置100の動作手順の例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態のホストセンシング装置700の構成例を示すブロック図である。
【
図8】第3の実施形態のリモートセンシング装置800の構成例を示すブロック図である。
【
図9】一般的な光ファイバセンシングシステム9の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。図中に示された矢印は信号の向きあるいは処理の順序を例示するものであり、これらの限定を意図しない。また、実施形態及び図面では既出の要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の光ファイバセンシングシステム1の構成例を示すブロック図である。光ファイバセンシングシステム1は、ホスト局10、リモート局20及び分析装置30を備える。ホスト局10はホストセンシング装置100を備え、リモート局20はリモートセンシング装置200を備える。
【0019】
ホストセンシング装置100は、リモート局20との間に敷設された光ファイバ130にパルス光を送出し、その後方散乱光を検出して光ファイバ130の周辺の環境のセンシングを行う。例えば、光センシング部120は、光ファイバ130の後方散乱光の受信時刻、強度及び波長を検出し、これらの検出結果を示すデータ及びパルス光の送信時刻を含むデータ(以下、「センシングデータ」という。)をデータ通信部110へ出力する。さらに、光センシング部120は、リモート局20が出力した光ファイバ230のセンシングデータを含むデータ信号光を光ファイバ130から受信し、当該データ信号光から光ファイバ230のセンシングデータを抽出してデータ通信部110へ出力する。光ファイバ130はリモート局20においてデータ通信部210に接続されている。ただし、ホストセンシング装置100による光ファイバ130のセンシング範囲は、光ファイバ130とデータ通信部210との接続点に及んでいる必要はない。例えば、ホストセンシング装置100によるセンシング範囲は光ファイバ130のリモート局20の内部との境界点までであってもよい。境界点は
図1の光ファイバ130上に黒丸で示される。
【0020】
データ通信部110はデータ回線150のインタフェースである。データ通信部110は、光ファイバ130のセンシングデータ及び光ファイバ230のセンシングデータを光センシング部120から取得する。そして、データ通信部110は、光ファイバ130及び230のセンシングデータを、データ回線150及びインターネット160を介して分析装置30へ転送する。これらのセンシングデータは、ホスト局10と分析装置30とを接続する専用線によって転送されてもよい。
【0021】
リモートセンシング装置200は、光ファイバ130とは異なる光ファイバ230にパルス光を送出し、その後方散乱光を検出することで光ファイバ230のセンシングデータを取得する。例えば、光センシング部220は、光ファイバ230の後方散乱光の受信時刻、強度、波長を検出し、検出結果を示すデータ及びパルス光の送信時刻を光ファイバ230のセンシングデータとしてデータ通信部210へ出力する。データ通信部210は、光ファイバ230のセンシングデータによって変調された光をデータ信号光として光ファイバ130へ送出する。
【0022】
分析装置30は、データ通信部310及び分析エンジン320を備える。データ通信部310は、光ファイバ130のセンシングデータ及び光ファイバ230のセンシングデータをデータ通信部110から受信し、分析エンジン320へ出力する。分析エンジン320は、これらのセンシングデータに基づいて光ファイバ130及び230に加わる振動や圧力や光ファイバ130及び230の温度、等の物理量を、それぞれの光ファイバの長手方向の位置と関連付けて求める。センシングデータからこれらの物理量を求める手順は既知であるため、詳細な説明は省略する。分析装置30は、求められた物理量を蓄積及び分析することで、光ファイバ130及び230の周辺で発生した現象を推定できる。例えば、分析装置30は、1つ以上の物理量の変動に基づいて、光ファイバ130及び230が敷設された領域における現象を推定する。分析装置30は、光ファイバ130又は230の特定の位置において温度が上昇したとの分析結果が得られた場合は、その位置の近傍で火災が発生した可能性があると判断してもよい。あるいは、光ファイバ130又は230の特定の位置において振動及び圧力が大きくなったとの分析結果が得られた場合は、分析装置30はその位置において落石や移動体の侵入等が発生した可能性があると判断してもよい。分析装置30において求められた物理量による現象の推定例は上記に限定されない。分析装置30は分析結果を蓄積し、光ファイバセンシングシステム1の利用者の要求に応じて分析結果をデータや画面表示等の任意の形式で出力する。
【0023】
図2は、リモート局20に備えられるリモートセンシング装置200の構成例を示すブロック図である。リモートセンシング装置200は、データ通信部210及び光センシング部220を機能ブロックとして備える。データ通信部210は、光送受信部211を備える。光センシング部220は、パルス光送信部221、光サーキュレータ222、後方散乱光受信部224、データ処理部225を備える。
【0024】
リモートセンシング装置200は、光ファイバ230にパルス光を送出し、光ファイバ230の内部で発生した後方散乱光を検出することで光ファイバ230の長手方向の位置における物理量のセンシングを行う。パルス光送信部221は、間欠的にパルス光を生成する。パルス光は、光サーキュレータ222を通過して光ファイバ230へ送出される。パルス光に応じて発生した後方散乱光は光サーキュレータ222を通過して後方散乱光受信部224で受信される。
【0025】
後方散乱光受信部224は、光ファイバ230の後方散乱光を、センシングの対象となる物理量の情報を含む電気信号に変換する。電気信号に変換される後方散乱光の種類は、センシングの対象となる物理量(温度、圧力、振動等)の種類に応じて選択される。例えば、光ファイバ230に沿った方向の圧力の時間的変化が測定される場合には、後方散乱光受信部224は、パルス光のブリュアン散乱光を電気信号に変換してデータ処理部225へ出力する。特定の波長の後方散乱光を電気信号に変換するために、後方散乱光受信部224は、例えば光バンドバスフィルタ及び光電変換素子を備える。複数の物理量が測定される場合には、それぞれの物理量を検出可能な後方散乱光の波長に対応する複数の光バンドパスフィルタが用いられてもよい。光ファイバ230の後方散乱光は、検出された波長帯毎に電気信号に変換されてデータ処理部225へ出力される。
【0026】
データ処理部225は、電気信号に変換された後方散乱光をデジタル信号に変換し、光ファイバ230のセンシングデータとして光送受信部211へ出力する。このセンシングデータは、分析装置30において光ファイバ230のセンシング結果を分析するために必要な物理量のデータを含む。
【0027】
光送受信部211は、データ処理部225から入力されたセンシングデータを信号光(以下、「データ信号光」という。)に変換して光ファイバ130へ出力する。また、光送受信部211は、ホスト局10が送信した信号光を光ファイバ130から受信した場合には、その信号光を電気信号に変換してデータ処理部225へ出力してもよい。ホスト局10から受信した信号光には、例えばリモートセンシング装置200を制御するデータが含まれる。データ処理部225は、このデータに応じてリモートセンシング装置200を制御してもよい。
【0028】
図3は、ホスト局10に備えられるホストセンシング装置100の構成例を示すブロック図である。ホストセンシング装置100は、データ通信部110及び光センシング部120を機能ブロックとして備える。データ通信部110は、データ送受信部111を備える。光センシング部120は、パルス光送信部121、光サーキュレータ122、光合分波部123、後方散乱光受信部124、データ処理部125、光送受信部126を備える。
【0029】
光合分波部123は3ポートの光波長フィルタである。光合分波部123は、パルス光の波長の光及び後方散乱光の波長の光を、光ファイバ130と光サーキュレータ122との間で伝搬させる。また、光合分波部123は、光センシング部120と光センシング部220との間の通信に用いられる信号の波長の光を、光ファイバ130と光送受信部126との間で伝搬させる。
【0030】
ホストセンシング装置100は、光ファイバ130にパルス光を送出し、光ファイバ130の内部で発生した後方散乱光を検出することで光ファイバ130の長手方向の位置における物理量のセンシングを行う。パルス光送信部121は、間欠的にパルス光を生成する。パルス光は、光サーキュレータ122を通過して光ファイバ130へ送出される。パルス光に応じて発生した後方散乱光は光サーキュレータ122を通過して後方散乱光受信部124で受信される。
【0031】
後方散乱光受信部124の機能は、リモートセンシング装置200が備える後方散乱光受信部224と同様である。すなわち、後方散乱光受信部124は、光ファイバ130の後方散乱光を、センシングの対象となる物理量の情報を含む電気信号に変換する。電気信号に変換される後方散乱光の種類は、センシングの対象となる物理量(温度、圧力、振動等)の種類に応じて選択される。光ファイバ130の後方散乱光は、検出された波長帯毎に電気信号に変換されてデータ処理部125へ出力される。
【0032】
データ処理部125は、電気信号に変換された後方散乱光をデジタル信号に変換し、光ファイバ130のセンシングデータとしてデータ送受信部111へ出力する。このセンシングデータは、後述する分析装置30において光ファイバ130のセンシング結果を分析するために必要な物理量のデータを含む。
【0033】
光送受信部126は、光ファイバ130から受信したデータ信号光を電気信号に変換し、データ信号光から抽出された光ファイバ230のセンシングデータをデータ送受信部111へ出力する、光インタフェースである。光送受信部126は、データ送受信部111が出力したリモートセンシング装置200宛のデータを含む電気信号を受信した場合には、当該電気信号を信号光に変換してもよい。この信号光は光合分波部123及び光ファイバ130を介してリモートセンシング装置200へ伝送される。
【0034】
データ送受信部111は、データ回線150と光センシング部120とを接続するインタフェースである。データ送受信部111は、データ処理部125から入力された光ファイバ130のセンシングデータ、及び、光送受信部126から入力された光ファイバ230のセンシングデータを含む信号を、データ回線150へ出力する。データ送受信部111は、分析装置30が送信した信号をデータ回線150から受信した場合には、その信号をデータ処理部125又は光送受信部126へ出力してもよい。ホスト局10がデータ回線150から受信する信号には、例えばホストセンシング装置100及びリモートセンシング装置200の少なくとも一方を制御する制御データが含まれてもよい。受信した信号にホストセンシング装置100を制御する制御データが含まれていた場合、データ処理部125は、当該制御データに応じてホストセンシング装置100を制御する。また、受信した信号にリモートセンシング装置200を制御する制御データが含まれていた場合、光送受信部126は、当該制御データに基づいて、リモートセンシング装置200を制御する信号光を光ファイバ130へ出力してもよい。
【0035】
図4は、光ファイバセンシングシステム1において光ファイバ130を伝搬する光の波長の例を示す図である。光ファイバ130では、パルス光送信部121が生成したパルス光(波長λ0)及びその後方散乱光、並びにホスト局10とリモート局20との間のデータ通信に使用される信号光(波長λ1及びλ2)が伝搬する。後方散乱光の波長はパルス光の波長λ0の近傍に位置するため
図4では斜線(ハッチング)で示される。波長λ1の光は、リモートセンシング装置200の光送受信部211がホストセンシング装置100へ送信する光の波長である。すなわち、この光は、光ファイバ230のセンシングデータを含むデータ信号光である。
【0036】
波長λ2の光は、ホストセンシング装置100の光送受信部126がリモートセンシング装置200の光送受信部211へ送信する信号光の波長である。
図4における波長λ2の信号光は、光ファイバ230のセンシング結果の転送には必須ではない。この波長の光は、上述したホスト局10からリモート局20への制御信号の伝送に使用することができる。波長λ1と波長λ2とは異なる波長であり、また、パルス光の波長λ0及び後方散乱光の波長帯は、波長λ1の信号光及び波長λ2の信号光のいずれの波長帯とも重複しない。なお、波長λ0、λ1、λ2の配置は任意である。
【0037】
ホストセンシング装置100の光合分波部123の波長特性は、波長λ0の光及びその後方散乱光が光ファイバ130と光サーキュレータ122との間を低損失で伝搬するように設定される。また、光合分波部123の波長特性は、波長λ1の光及び波長λ2の光が光ファイバ130と光送受信部126との間を低損失で伝搬するように設定される。光送受信部126及び光送受信部211は、波長λ1とλ2とを多重及び分離する光フィルタをそれらの内部に備えることで、公知の技術によって、光ファイバ130を用いた一芯双方向通信を行うことができる。あるいは、λ1とλ2を同一とし、光送受信部126及び光送受信部211は時分割通信により一芯双方向伝送を行ってもよい。
【0038】
このように、パルス光の波長及びデータ通信で使用される波長を互いに異なるものとすることで、リモート局20は、光ファイバ130のみを伝送路として光ファイバ230のセンシング結果をホスト局10へ転送できる。すなわち、リモート局20は、分析装置30との間に直接通信可能な通信回線を用意したり、光ファイバ130とは別にデータ通信用の回線を用意したりすることなく、光ファイバ230のセンシング結果を分析装置30へ転送できる。さらに、光ファイバ130を用いて一芯双方向通信を行うことで、ホスト局10からリモート局20へのデータ伝送が可能となり、この場合でも光ファイバ130以外に新たな伝送路を用意する必要がない。
【0039】
図5は、リモートセンシング装置200の基本的な動作手順の例を示すフローチャートである。光センシング部220は、光ファイバ230へパルス光を送出し、(
図5のステップS11)、そのパルス光に応じた後方散乱光を受信する(ステップS12)。光センシング部220は、後方散乱光に応じた光ファイバ230のセンシング結果のデータ(センシングデータ)を出力する(ステップS13)。データ通信部210は、光センシング部220から出力されたセンシングデータを含むデータ信号光を光ファイバ130へ出力する(ステップS14)。ここで、光ファイバ130は、ホストセンシング装置100がセンシングを行う光ファイバである。
【0040】
図6は、ホストセンシング装置100の基本的な動作手順の例を示すフローチャートである。光センシング部120は、光ファイバ130へパルス光を送出する(
図6のステップS21)。そして、光センシング部120は、そのパルス光に応じた後方散乱光とリモート局20からのデータ信号光とを受信する(ステップS22)。光センシング部120のデータ処理部125は、後方散乱光に応じた光ファイバ130のセンシングデータを出力する(ステップS23)。一方、光センシング部120の光送受信部126は、データ信号から光ファイバ230のセンシングデータを抽出する(ステップS24)。そして、データ通信部110のデータ送受信部111は、光ファイバ130のセンシングデータと光ファイバ230のセンシングデータとを光センシング部120から受信し、データ回線150へ出力する(ステップS25)。データ回線150は、分析装置30と通信可能に接続されている。
【0041】
以上説明した光ファイバセンシングシステム1は、ホスト局10とリモート局20との間に光ファイバ230のセンシングデータを分析装置30へ転送するための物理的な回線を用意する必要がない。その理由は、リモート局20は、光ファイバ230のセンシングデータをデータ信号光に変換し、そのデータ信号光をホスト局10がセンシングを行う光ファイバ130を介してホスト局10へ転送するからである。
【0042】
すなわち、光ファイバセンシングシステム1は、光ファイバセンシングシステムを容易に構築できるという効果を奏する。
【0043】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態の効果は、以下の構成を備える光ファイバセンシングシステムによっても得られる。各要素の括弧内に、
図1に対応する参照符号を記載する。
【0044】
光センシングシステムは、ホストセンシング装置(100)とリモートセンシング装置(200)とを備える。ホストセンシング装置(100)は、第1の光センシング手段(120)と、第1のデータ通信手段(110)とを備える。
【0045】
第1の光センシング手段(120)は、第1の光ファイバ(130)に入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバ(130)から受信する。そして、第1の光センシング手段(120)は、第1の光に応じた第1の光ファイバ(130)の第1のセンシングデータ及び第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する。
【0046】
第1のデータ通信手段(110)は、第1のセンシングデータと第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する。
【0047】
リモートセンシング装置(200)は、第2の光センシング手段(220)と、第2のデータ通信手段(210)とを備える。
【0048】
第2の光センシング手段(220)は、第2の光ファイバ(230)へ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を第2の光ファイバ(230)から受信する。そして、第2の光センシング手段(220)は、第2の光に応じた第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力する。
【0049】
また、第2のデータ通信手段(210)は、第1の光ファイバ(130)へ第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する。
【0050】
リモートセンシング装置(200)は、第2の光ファイバ(230)のセンシングデータを第1の信号光に変換し、第1の光ファイバ(130)を介して第1の信号光をホストセンシング装置100へ転送する。そして、ホストセンシング装置(100)は、第1のセンシングデータと第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する。従って、第2の光ファイバ(230)のセンシングデータを他の装置へ転送するための物理的な回線を用意する必要がない。すなわち、本変形例の構成によっても、光ファイバセンシングシステムを容易に構築できるという効果が得られる。
【0051】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態のホストセンシング装置700の構成例を示すブロック図である。ホストセンシング装置700は第1の光ファイバ710を用いたセンシングを行う装置である。ホストセンシング装置700は、第1の光センシング部720及び第1のデータ通信部730を備える。
【0052】
第1の光センシング部720は、第1の光ファイバ710に入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を第1の光ファイバから受信する。そして、第1の光センシング部720は、第1の光に応じた、第1の光ファイバ710の第1のセンシングデータ、及び、第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する。
【0053】
第1のデータ通信部730は、第1のセンシングデータと第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する。
【0054】
このような構成を備えるホストセンシング装置700は、第1の光ファイバ710のセンシングデータである第1のセンシングデータに加えて、第1の光ファイバ710から受信した第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを併せて出力できる。従って、ホストセンシング装置700は、第1の信号光を伝送するための伝送路を用意することなく、第1のセンシングデータと第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力できる。従って、ホストセンシング装置700は、光ファイバセンシングシステムを容易に構築できるという効果を奏する。
【0055】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態のリモートセンシング装置800の構成例を示すブロック図である。リモートセンシング装置800は、第2の光ファイバ820を用いたセンシングを行う装置である。リモートセンシング装置800は、第2の光センシング部830及び第2のデータ通信部840を備える。
【0056】
第2の光センシング部830は、第2の光ファイバ820へ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を第2の光ファイバ820から受信し、第2の光に応じた第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力する。
【0057】
第2のデータ通信部840は、第1の光ファイバ810へ前記第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する。
【0058】
このような構成を備えるリモートセンシング装置800は、第2の光ファイバ820のセンシングデータを第1の光ファイバ810へ出力する。このため、第1の光ファイバ810が他の装置によって通信あるいはセンシングに使用されている場合でも、第2の光ファイバ820のセンシングデータの転送のために第1の光ファイバ810以外の物理的な回線を新たに敷設する必要がない。従って、リモートセンシング装置800は、光ファイバセンシングシステムを容易に構築できるという効果を奏する。
【0059】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0060】
(付記1)
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する第1の光センシング手段と、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する第1のデータ通信手段と、
を備えるホストセンシング装置、及び、
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む前記第2のセンシングデータを出力する第2の光センシング手段と、
前記第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む前記第1の信号光を出力する第2のデータ通信手段と、
を備えるリモートセンシング装置、
を備える光ファイバセンシングシステム。
【0061】
(付記2)
前記第1の光センシング手段は、
前記第1のパルス光を間欠的に出力する第1のパルス光送信手段と、
前記第1の光を受信する第1の光受信手段と、
前記第1の光に応じた物理量を含む前記第1のセンシングデータを出力するデータ処理手段と、
前記第1の信号光に含まれる前記第2のセンシングデータを出力する光インタフェースと、
を備える付記1に記載された光ファイバセンシングシステム。
【0062】
(付記3)
前記第1のデータ通信手段は前記リモートセンシング装置へ送信するデータを前記光インタフェースへ出力し、
前記光インタフェースは前記データを含むデータ信号光を前記第1の光ファイバへ出力する、付記2に記載された光ファイバセンシングシステム。
【0063】
(付記4)
前記第2のデータ通信手段は前記第1の光ファイバから受信した前記データ信号光を電気信号に変換して前記第2の光センシング手段へ出力する、付記3に記載された光ファイバセンシングシステム。
【0064】
(付記5)
前記第2の光センシング手段は、
前記第2のパルス光を間欠的に出力する第2のパルス光送信手段と、
前記第2の光を受信する第2の光受信手段と、
前記第2の光に応じた物理量を含む前記第2のセンシングデータを出力する第2のデータ処理手段と、
を備える、付記1乃至4のいずれか1項に記載された光ファイバセンシングシステム。
【0065】
(付記6)
前記第1の光及び前記第2の光は、それぞれ、前記第1のパルス光に応じた前記第1の光ファイバの後方散乱光、及び、前記第2のパルス光に応じた前記第2の光ファイバの後方散乱光である、付記1乃至5のいずれかに1項に記載された光ファイバセンシングシステム。
【0066】
(付記7)
前記第1のパルス光、前記第1の光、及び前記第1の信号光のそれぞれの波長は重複しない、付記1乃至6のいずれかに記載された光ファイバセンシングシステム。
【0067】
(付記8)
前記データ信号を前記ホストセンシング装置から受信する受信手段と、
前記データ信号に含まれる前記第1のセンシングデータ及び前記第2のセンシングデータに基づいて前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバのセンシング結果を出力する分析エンジンと、
を備える分析装置をさらに備える、付記1乃至7のいずれか1項に記載された光ファイバセンシングシステム。
【0068】
(付記9)
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する第1の光センシング手段と、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する第1のデータ通信手段と、
を備えるホストセンシング装置。
【0069】
(付記10)
前記第1の光センシング手段は、
前記第1のパルス光を間欠的に出力する第1のパルス光送信手段と、
前記第1の光を受信する第1の光受信手段と、
前記第1の光に応じた物理量を含む前記第1のセンシングデータを出力するデータ処理手段と、
前記第1の信号光に含まれる前記第2のセンシングデータを出力する光インタフェースと、
を備える付記9に記載されたホストセンシング装置。
【0070】
(付記11)
前記第1のデータ通信手段は他の装置へ送信するデータを前記光インタフェースへ出力し、
前記光インタフェースは前記データを含むデータ信号光を前記第1の光ファイバへ出力する、付記10に記載されたホストセンシング装置。
【0071】
(付記12)
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力する第2の光センシング手段と、
第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する第2のデータ通信手段と、
を備えるリモートセンシング装置。
【0072】
(付記13)
前記第2の光センシング手段は、
前記第2のパルス光を間欠的に出力する第2のパルス光送信手段と、
前記第2の光を受信する第2の光受信手段と、
前記第2の光に応じた物理量を含む前記第2のセンシングデータを出力する第2のデータ処理手段と、
を備える、付記12に記載されたリモートセンシング装置。
【0073】
(付記14)
前記第2のデータ通信手段は前記第1の光ファイバから受信したデータ信号光を電気信号に変換して前記第2の光センシング手段へ出力する、付記13に記載されたリモートセンシング装置。
【0074】
(付記15)
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力し、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力し、
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む前記第2のセンシングデータを出力し、
前記第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む前記第1の信号光を出力する、
センシング方法。
【0075】
(付記16)
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力し、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する、
センシング装置の制御方法。
【0076】
(付記17)
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力し、
第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する、
センシング装置の制御方法。
【0077】
(付記18)
第1の光ファイバに入力した第1のパルス光に応じた第1の光と、第1の信号光と、を前記第1の光ファイバから受信し、前記第1の光に応じた前記第1の光ファイバの第1のセンシングデータ及び前記第1の信号光に含まれる第2のセンシングデータを出力する手順、
前記第1のセンシングデータと前記第2のセンシングデータとを含むデータ信号を出力する手順、
をセンシング装置のコンピュータに実行させるためのプログラムの記録媒体。
【0078】
(付記19)
第2の光ファイバへ入力した第2のパルス光に応じた第2の光を前記第2の光ファイバから受信し、前記第2の光に応じた前記第2の光ファイバのセンシング結果を含む第2のセンシングデータを出力する手順、
第1の光ファイバへ前記第2のセンシングデータを含む第1の信号光を出力する手順、
をセンシング装置のコンピュータに実行させるためのプログラムの記録媒体。
【0079】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0080】
また、それぞれの実施形態に記載された構成は、必ずしも互いに排他的なものではない。本発明の作用及び効果は、上述の実施形態の全部又は一部を組み合わせた構成によって実現されてもよい。
【0081】
以上の各実施形態に記載された機能及び手順は、ホストセンシング装置100、700又はリモートセンシング装置200、800が備える中央処理装置(central processing unit、CPU)がプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムは、固定された一時的でない記録媒体に記録される。記録媒体としては半導体メモリ又は固定磁気ディスク装置が用いられるが、これらには限定されない。CPUはデータ処理部125、データ処理部225、第1の光センシング部720又は第2の光センシング部830の少なくとも1つに備えられるコンピュータであるが、これらには限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1、9 光ファイバセンシングシステム
10 ホスト局
20 リモート局
100 ホストセンシング装置
200 リモートセンシング装置
110、210 データ通信部
111 データ送受信部
120、220 光センシング部
121、221 パルス光送信部
122、222 光サーキュレータ
123 光合分波部
124、224 後方散乱光受信部
125、225 データ処理部
126 光送受信部
130、230 光ファイバ
150 データ回線
160 インターネット
211 光送受信部
30 分析装置
310 データ通信部
320 分析エンジン
700 ホストセンシング装置
710 第1の光ファイバ
720 第1の光センシング部
730 第1のデータ通信部
800 リモートセンシング装置
810 第1の光ファイバ
820 第2の光ファイバ
830 第2の光センシング部
840 第2のデータ通信部
91 ホスト局
92 リモート局
98 分析装置
93、94 光ファイバ
95、96 データ回線
97 インターネット
901、902 センシング装置
903、904 データ通信部
905、906 光センシング部