(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】管制システム、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2022577930
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003129
(87)【国際公開番号】W WO2022162850
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山下 敏明
(72)【発明者】
【氏名】安達 英夫
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090396(JP,A)
【文献】特許第6686242(JP,B1)
【文献】特開2018-166309(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得する通信手段と、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別する識別手段と、を備え、
前記通信手段が前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記識別手段は、前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
管制システム。
【請求項2】
前記飛行体が発信する機体IDの変更パターンを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記識別手段は、異なるタイミングに取得された位置情報間の変化、及び、前記変更パターンに基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
請求項
1に記載の管制システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記飛行体の飛行計画を記憶し、
前記識別手段は、異なるタイミングに取得された位置情報間の変化、前記変更パターン、及び、前記飛行計画に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
請求項
2に記載の管制システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記飛行体の性能情報に基づいて生成された飛行経路を含む前記飛行体の飛行計画を記憶する、
請求項
3に記載の管制システム。
【請求項5】
前記飛行体との通信が切断されたとき、通信切断時の前記飛行体の位置情報及び前記飛行計画に基づき、飛行中の前記飛行体の推定位置を推定する推定手段をさらに備え、
前記識別手段は、通信が復旧したとき、通信復旧時の前記飛行体の位置情報と、前記推定位置との比較結果、及び、前記変更パターンを用いて、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
請求項
3又は4に記載の管制システム。
【請求項6】
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得し、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別し、
前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータが、
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得し、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別し、
前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体、管制システム、飛行体識別方法及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空飛ぶクルマなどの飛行体の研究開発が活発になってきている。例えば、特許文献1には、飛行車両の運航の管制を行う管制システムによる制御の下、飛行車両の第1離発着区間の離陸から第2離発着区間の発着までの動作が自動的に行われる飛行車両運行システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今後、飛行体の台数が増えると、空中における飛行体の密度が高くなるため、飛行体同士での衝突事故が発生する危険性が高まる。安全な飛行のためには、飛行体が管制システムと通信しながら、飛行することが必要である。管制システムが飛行体を識別するためには、飛行体は航空機と同じように機体識別情報である機体IDを発信することが必要である。
【0005】
一方、飛行体が発信する機体IDを受信することによって、だれもが飛行体を識別することができてしまうため、セキュリティ面の危険性が高まる。
【0006】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、飛行体のセキュリティを向上させることが可能な飛行体、管制システム、飛行体識別方法及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる飛行体は、所定の変更パターンに従って変更される自機の機体IDを保持する機体ID制御部と、
前記機体IDを発信する通信部と、を備える。
【0008】
本開示にかかる管制システムは、
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得する通信部と、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別する識別部と、を備え、
前記通信部が前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記識別部は、前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する。
【0009】
本開示にかかる飛行体識別方法は、
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得し、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別し、
前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する方法である。
【0010】
本開示にかかるコンピュータ可読媒体は、
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得し、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別し、
前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、飛行体のセキュリティを向上させることが可能な飛行体、管制システム、飛行体識別方法及びコンピュータ可読媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態にかかる飛行体識別システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる機体IDテーブルの例を示した図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる管制システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態にかかる飛行体識別システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施形態にかかる飛行体の構成を示すブロック図である。
【
図6】第2の実施形態にかかる管制システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態にかかる管制システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態にかかる管制システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態にかかる飛行体識別システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態にかかる管制システムの動作を示すフローチャートである。
【
図11】第4の実施形態にかかる飛行体識別システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】第4の実施形態にかかる権限レベルと飛行体の情報との対応を示した図である。
【
図13】第4の実施形態にかかる管制システムの動作を示すフローチャートである。
【
図14】第5の実施形態にかかる飛行体識別システムの構成を示すブロック図である。
【
図15】第5の実施形態にかかる管制システムの動作を示すフローチャートである。
【
図16】それぞれの実施の形態にかかる飛行体、管制システム、通信端末における制御装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる飛行体識別システム1の構成を示すブロック図である。飛行体識別システム1は、飛行体2、管制システム3を備える。
【0015】
飛行体2は、例えば、回転翼を有する回転翼機であり、ドローン、無人飛行機(Unmanned Aerial Vehicle,UAV)、空飛ぶクルマ、垂直離着陸機(Vertical Take-Off and Landing Aircraft,VTOL)などである。飛行体2は、回転翼が回転駆動することで揚力、及び推力を発生させる。飛行体2は、荷物などを搭載する無人機であってもよく、搭乗者が搭乗する有人機であってもよい。
【0016】
飛行体2は、自身の機体識別情報として機体IDを有する。異なる飛行体2には、異なる機体IDが付され、同一の機体IDを有する飛行体2は存在しない。飛行体2は、通信部14及び機体ID制御部15を有する。通信部14及び機体ID制御部15は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部14及び機体ID制御部15は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0017】
通信部14は、機体IDを発信する。通信部14は、地上側、つまり、管制システム3と無線通信を行う。通信部14は、管制システム3との間において予め定められた周波数及び送信出力等に従って管制システム3と無線通信を行う。例えば、通信部14は、5G、4G等の3GPP(3rd Generation Partnership Project)において定められた通信規格に沿った処理を行ってもよく、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に沿った処理を行ってもよい。通信部14は、無線信号を管制システム3に送信する。通信部14は、管制システム3から無線信号を受信する。これにより、飛行体2と管制システム3との間でデータや情報の送受信が可能となる。通信部14は、管制システム3に飛行体2の機体ID及び位置情報を送信する。
【0018】
また、通信部14は、管制システム3だけでなく、例えばスマートフォンなどの通信端末に機体IDを発信することができる。この場合、スマートフォンに例えば所定のアプリケーションをインストールしておくことで飛行体2が発信している機体IDを取得することができる。また、通信部14は、他の飛行体2に自機の機体IDを送信することや他の飛行体2から機体IDを受信することができ、飛行体2間で機体IDを送受信することが可能である。
【0019】
機体ID制御部15は、機体IDの変更及び発信を制御する。機体ID制御部15は、所定の変更パターンに従って変更される自機の機体IDを保持する。機体IDは、例えば所定の時間ごとに変更されてもよく、任意のタイミングに変更されてもよく、機体IDの変更のタイミングは、ユーザ等の所望のタイミングに設定可能である。例えば、機体IDは、飛行回数が増加するときに変更されてもよく、複数回飛行した後に変更されてもよい。
例えば、機体ID制御部15は、所定の変更パターンとして、
図2の機体IDテーブルに記載しているように、予め複数の機体IDを作成しておき、機体IDを所定の時間ごとに変更してもよい。通信部14は、機体ID制御部15が記憶している機体IDテーブルを管制システム3に送信してもよい。これにより、機体ID制御部15は、自機の飛行を管制する管制システム3との間で機体IDの変更パターンを共有することができる。もしくは、通信部14は、管制システム3から機体IDテーブルを受信してもよい。これらにより、飛行体2と管制システム3とにおいて、飛行体2の機体IDの変更パターンが共有される。
【0020】
図2に示す機体IDテーブルは、飛行開始時(飛行開始0分後)の機体IDを#0、飛行開始10分後の機体IDを#1、飛行開始20分後の機体IDを#2、飛行開始30分後の機体IDを#3としている。なお、
図2の機体IDテーブルは例示であり、任意の機体IDを生成してもよい。例えば、機体ID制御部15もしくは管制システム3は、アルゴリズムや乱数発生関数などを用いて、機体IDを生成してもよい。また、機体IDは、ランダムに生成されるID、又は、自機の飛行回数及び飛行時間のうち少なくともいずれかに応じて変更されるIDであってもよい。
【0021】
飛行体2は、管制システム3と無線通信を行いながら、予め定められた飛行計画に沿って飛行する。飛行体2は、離陸場所から着陸場所までの飛行経路を自律飛行できる。例えば、飛行体2は、離着陸施設から離陸して、飛行計画に基づく飛行経路に沿って飛行する。飛行体2は、目的地に対応する着陸場所まで飛行すると、着陸場所に着陸する。飛行経路は、離陸場所から着陸場所までの3次元経路である。離陸場所及び着陸場所は予め指定された離発着施設を使用することができる。なお、離陸場所及び着陸場所は着陸できるスペースがあれば、任意の場所であってもよい。もちろん、離陸する離着陸場所と着陸する離着陸場所は同じ場所であってもよい。
【0022】
飛行体2の操縦は、自動操縦あるいは操縦者によるマニュアル操縦を切り替え可能である。飛行体2は、例えば市街地等の障害物の多い地域では、操縦者に高度な操縦技術が求められるため、自動操縦とし、緊急時には、マニュアル操縦に切り替えるように構成することもできる。
【0023】
管制システム3は、運航管理・管制システムである。管制システム3は、飛行体2の運航管理及び航空管制を行うためのハードウェア装置(コンピュータ装置)であり、運航管理センターに設置されている。管制システム3は、物理的に単一な装置に限られるものではなく、例えば、複数のプロセッサが協働して、後述する処理を行ってもよい。
【0024】
また、広域の管制を行うために、複数の運航管理センターと通信する航空管制センターに管制システム3が設けられてもよい。これにより、運航管理センターの管制システム3と、航空管制センターの管制システム3とが通信することで、広域で飛行体2を管制することができる。
【0025】
管制システム3は、通信部4及び識別部5を有する。通信部4及び識別部5は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部4及び識別部5は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0026】
通信部4は、飛行体2から発信された機体ID及び飛行体2の位置情報を取得する。また、通信部4は、異なるタイミングに、飛行体2の機体ID及び位置情報を取得する。
【0027】
識別部5は、飛行体2から受信した機体IDを用いて飛行体2を識別する。例えば、識別部5は、機体IDと飛行体とが関連付けられたテーブルを予め保持し、テーブルを参照して、受信した機体IDに関連付けられた飛行体を抽出するように構成されてもよい。
【0028】
ここで、通信部4は、飛行体2から、異なるタイミングに異なる機体IDを取得することがある。この場合、識別部5は、最初の機体IDとともに取得した位置情報と、最初の機体IDとは異なる機体IDとともに取得した位置情報との変化に基づいて、最初の機体IDとは異なる機体IDが、最初の機体IDに関連付けられた飛行体2を示すかを判定する。位置情報の変化とは、例えば、異なるタイミングに取得された位置情報間の距離等を用いて示されてもよい。例えば、識別部5は、位置情報の変化が所定の範囲内であるときに、最初の機体IDとは異なる機体IDが、最初の機体IDに関連付けられた飛行体2を示すと判定してもよい。
【0029】
以下、
図3を用いて、第1の実施形態にかかる管制システム3の動作について説明する。
図3は、第1の実施形態にかかる管制システム3の動作を示したフローチャートである。
はじめに、通信部4は、飛行体2の第1の機体ID及び位置情報を取得する(S1)。ここでは、機体IDを区別するため、最初の機体IDを第1の機体ID、変更後の機体IDを第2の機体IDと呼ぶ。次に、識別部5は、第1の機体IDを用いて飛行体2を識別する(S2)。以降、管制システム3は、第1の機体IDを発信する飛行体2と通信し、飛行体2の運航管理及び航空管制を行う。
【0030】
その後、管制システム3は、通信部4が第2の機体ID及び第2の機体IDを発信している飛行体2の位置情報を取得していないときは(S3、NO)、識別部5で識別した第1の機体IDを発信している飛行体2の運航管理及び航空管制を継続して行う。
【0031】
一方で、通信部4が第2の機体ID及び第2の機体IDを発信している飛行体2の位置情報を取得したとき(S3、YES)、識別部5は、第1の機体IDを取得した際の位置情報と、第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づいて、第2の機体IDを発信している飛行体2が、第1の機体IDを発信した飛行体2と同一であるか否かを判定する。例えば、識別部5は、第1の機体IDを取得した際の位置情報と、第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化が閾値以下であるか否かを判定する(S4)。識別部5は、異なるタイミングで取得された位置情報間の距離が予め設定した閾値(例えば、50m)以下であるとき(S4、YES)、第2の機体IDを発信している飛行体2と、第1の機体IDを発信していた飛行体2とが同一の飛行体2であると判定する(S5)。
【0032】
識別部5は、異なるタイミングで取得された位置情報間の距離が予め設定した閾値よりも大きいとき(S4、NO)、第2の機体IDを発信している飛行体2を、第1の機体IDを発信していた飛行体2と異なる飛行体2として識別する(S6)。管制システム3は、第1の機体IDを発信している飛行体2と、第2の機体IDを発信している飛行体2とをそれぞれ異なる飛行体2として識別し、運航管理及び航空管制を行う。
【0033】
以上説明したように、第1の実施形態にかかる飛行体2は、機体IDを変更することによって、セキュリティを向上させることができる。一方で、飛行体2が機体IDを任意に変更してしまうと、管制システム3が飛行体2を識別できなくなるため、飛行の安全性を失いかねないという問題もあった。これに対して、第1の実施形態にかかる管制システム3は、異なるタイミングに異なる機体IDを取得した場合であっても、飛行体2の位置情報を用いることによって、飛行体2を特定することができる。その結果、管制システム3は、セキュリティを考慮して発信する機体IDを変更する飛行体2を識別もしくは特定することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態にかかる飛行体識別システム100の構成を示したブロック図である。飛行体識別システム100は、飛行体20、管制システム30を備える。
【0035】
図5は、第2の実施形態にかかる飛行体20の構成を示したブロック図である。飛行体20は、飛行制御部11、駆動機構12、センサ13、通信部14、機体ID制御部15、表示部16、バッテリ17を備えている。第2の実施形態にかかる飛行体20において、第1の実施形態と同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜詳細な説明を省略する。
【0036】
飛行制御部11は、飛行体20を構成する各構成要素を制御する。駆動機構12は、回転翼及びそのモータを備えており、飛行するための揚力や推力を発生させる。飛行制御部11は、駆動機構12を制御するための駆動信号を出力する。例えば、飛行体20が複数の回転翼を有する場合、駆動機構12が回転翼をそれぞれ独立に駆動するように、飛行制御部11が駆動機構12を制御する。
【0037】
飛行制御部11は、飛行計画をメモリなどに格納している。飛行制御部11は、管制システム30から受信した飛行計画をメモリに格納してもよく、飛行体20のユーザから入力された飛行計画をメモリに格納してもよい。自動操縦の場合、飛行制御部11は、飛行計画に沿って飛行するように、駆動機構12を制御する。飛行制御部11は、風などにより、自機位置が飛行経路から離れた場合、飛行体20が飛行経路に近づくように駆動機構12を制御し飛行する。飛行制御部11は、飛行体20の位置を、センサ13を用いることにより検出可能である。飛行制御部11は、センサ13における検出結果に基づいて、駆動機構12を制御する。
【0038】
センサ13は、飛行体20の飛行状態に関する情報を検出する。センサ13は、例えば、機体の姿勢を検出するジャイロセンサや機体の位置を検出する位置センサなどを有している。位置センサとしては、例えば、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位センサなどを用いることができる。飛行制御部11は、センサ13が取得した情報に基づいて自機の位置を特定する。具体的には、飛行制御部11は、例えばセンサ13が複数の人工衛星から受信した測位情報に基づいて、飛行体20の3次元位置を特定する。通信部14は、機体ID及び飛行制御部11が特定した位置に関する位置情報を発信する。なお、センサ13は、一つに限られるものでなく、複数のセンサ13であってもよい。
【0039】
飛行体20には、飛行状況、飛行中の混雑状況、機体情報などを乗客に示す表示部16が設けられてもよい。飛行体20に関する情報に応じて、表示部16に表示される表示内容が変わってもよい。例えば、飛行体20が有人機または無人機であるかの情報に応じて、表示部16に表示される表示内容が変更されてもよい。あるいは、飛行体20が自動運転中またはマニュアル運転中であるかの情報に応じて、表示部16に表示される表示内容が変更されてもよい。なお、無人機の場合、表示部16は省略されてもよい。バッテリ17は、飛行体20を構成する各機器に電力を供給する。
飛行体20は、上述の構成要素を備えることで、管制システム30と通信しながら飛行することができる。
【0040】
図6は、第2の実施形態にかかる管制システム30のブロック図である。管制システム30は、通信部4、識別部5、生成部6、記憶部7、推定部8を備える。第2の実施形態にかかる管制システム30において、第1の実施形態と同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜詳細な説明を省略する。
【0041】
通信部4は、飛行体20と無線通信を行い、飛行体20の機体ID及び位置情報を含む機体情報を取得する。機体情報には、飛行体20の性能に関する性能情報を含んでいてもよい。性能情報は、飛行体20の重量、サイズ、飛行可能時間、旋回能力、耐風性、飛行速度、飛行高度に関するデータを含んでいる。性能情報は、飛行中における電池残量や燃料残量に関するデータを含んでいてもよい。さらに、性能情報は、有人機又は無人機であるかを示す情報を含んでいてもよい。機体情報は、警察、消防、救急などの緊急機体であるか否かを示す情報を含んでいてもよい。
【0042】
通信部4は、飛行体20との間において予め定められた周波数及び送信出力等に従って飛行体20と無線通信を行う。例えば、通信部4は、5G、4G等の3GPPにおいて定められた通信規格に沿った処理を行ってもよく、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に沿った処理を行ってもよい。通信部4は、無線信号を飛行体20に送信する。通信部4は、飛行体20から無線信号を受信する。これにより、飛行体20と、管制システム30との間でデータや情報の送受信が可能となる。
【0043】
生成部6は、通信部4が取得した飛行体20の離陸予定時間(離陸予定時刻)、及び目的地に関する移動情報に基づいて、飛行経路及び飛行スケジュールを含む飛行計画を生成する。離陸予定時間は、現在の時刻であってもよく、予めスケジュール登録された時刻であってもよい。離陸予定時間及び目的地は、飛行体20のユーザもしくは管制システム30のユーザによって管制システム30に直接入力された情報であってもよい。なお、目的地は、地名、施設名、住所、座標(緯度及び経度)などであってもよい。また、目的地は、離発着施設自体のIDなどとしてもよく、移動情報は、離陸場所から着陸場所までの間にある経由地を含んでいてもよい。
【0044】
飛行経路は、離陸場所から、目的地に対応する着陸場所までの移動経路である。飛行経路は、飛行体20が経由する目標位置の軌跡を示す情報である。さらに、飛行経路において、目標位置のそれぞれに飛行予定時刻が対応付けられていてもよい。飛行経路は、例えば、目標位置を示す3次元座標の集合であってもよい。具体的には、飛行経路は、3次元座標が時系列に沿って並べられているデータであってもよい。3次元座標を繋ぎ合わせることで、飛行経路が生成される。
【0045】
生成部6は、性能情報に基づいて、飛行経路を生成してもよい。例えば、生成部6は、性能情報が示す性能を満たすように、飛行経路を生成する。性能情報は、飛行体20の重量、サイズ、飛行可能時間、旋回能力、耐風性、飛行速度、飛行高度である。性能情報は、現在の電池残量や燃料残量を含んでいてもよい。例えば、動力が電動モータによる場合は、電池残量が性能情報に含まれ、動力が内燃機関によるものである場合、ガソリンなどの燃料の残量が性能情報に含まれる。あるいは、燃料電池をバッテリ17として用いる場合、水素などの燃料残量が性能情報に含まれる。内燃機関と電動モータとを動力として併用する場合、電池残量と燃料残量との両方が性能情報に含まれてもよい。
【0046】
性能情報として、例えば、飛行可能時間が含まれている場合、生成部6は、飛行可能時間を越えないように飛行経路を生成する。具体的には、生成部6は、飛行可能時間が短い飛行体20に対しては、飛行距離を短くして、飛行可能時間を越えないような飛行経路を生成する。当然のことながら、生成部6は、飛行可能時間以外の他の性能を満たすように、飛行経路を生成することができる。通信部4は、生成した飛行計画を、飛行体20へ送信する。
【0047】
記憶部7は、飛行体20から取得した機体情報、及び生成部6において生成された飛行計画を記憶している。また、記憶部7は、飛行体20が発信する機体IDの変更パターンを示す機体IDテーブルを記憶する。
【0048】
識別部5は、飛行体20の機体IDが変更されたとしても、異なるタイミングに取得された位置情報間の変化に加えて、記憶部7に記憶されている機体IDテーブルに基づき、取得した機体IDに対応付けられている飛行体20を識別する。また、識別部5は、機体ID、位置情報に加え、飛行計画を参照し、飛行体20を識別してもよい。識別部5は、飛行している飛行体20の位置情報を、飛行体20の飛行計画と照らし合わせることで、飛行体20を識別する確度を高めることができる。
【0049】
推定部8は、管制システム30と飛行体20との無線通信が切断されたとき、通信切断時の飛行体20の位置情報及び飛行計画に基づき、飛行中の飛行体20の推定位置を推定する。例えば、推定部8は、通信切断時までの位置情報から飛行体20の速度、方向を算出するとともに、通信が切断した時点より後の飛行計画の飛行経路及び飛行スケジュールを用いて、飛行体20の推定位置を推定する。
【0050】
識別部5は、通信が復旧したとき、推定位置の飛行体20の機体IDと、機体IDテーブルに基づく機体IDとを比較することで、飛行体20を識別する。さらに、識別部5は、通信が復旧したときの飛行体20の位置と、通信が復旧したタイミングの飛行体20の推定位置とを比較することによって、飛行体20を識別する。
【0051】
図7は、第2の実施形態に係る管制システム30の動作を示すフローチャートである。
図7におけるS11~S14は、
図3におけるS1~S4と同様であるため、説明を省略する。
図3と同様に、機体IDを区別するため、最初の機体IDを第1の機体ID、変更後の機体IDを第2の機体IDと呼ぶ。
【0052】
識別部5は、第1の機体IDを取得した際の位置情報と、第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化が閾値以下のとき(S14、YES)、記憶部7が記憶する機体IDの変更パターンを参照する。位置情報間の変化が閾値以下とは、位置情報間の変化量が閾値以下であることを意味する。識別部5は、第2の機体IDが、第1の機体IDを発信していた飛行体20の機体IDの変更パターンによって特定される機体IDと同じであるかを判定する(S15)。
【0053】
識別部5は、第2の機体IDが変更パターンによって特定される機体IDと異なる場合(S15、NO)、第2の機体IDを発信している飛行体20が第1の機体IDを発信した飛行体20とは異なる飛行体20として識別する(S18)。識別部5は、第2の機体IDが変更パターンによって特定される機体IDと同じ場合(S15、YES)、記憶部7が記憶する飛行計画を参照し、第2の機体IDを取得した際の位置が第1の機体IDを発信していた飛行体20の飛行計画上の位置であるかを判定する(S16)。第2の機体IDを取得した際の位置が飛行計画に存在しないとき(S16、NO)、識別部5は、異なる飛行体20として識別する(S18)。第2の機体IDを取得した際の位置が飛行計画に存在するとき(S16、YES)、識別部5は、第2の機体IDを発信している飛行体20と、第1の機体IDを発信していた飛行体20とが同一の飛行体20であると判定する(S17)。また、
図7においては、ステップS14、S15、及びS16の順に処理が実行されることが示されているが、ステップS14、S15、及びS16の順番は、変更されてもよい。例えば、管制システム30は、ステップS15の処理を実行してから、ステップS14もしくはS16の処理を実行してもよく、ステップS16の処理を実行してから、ステップS14もしくはS15の処理を実行してもよい。
【0054】
図8は、飛行体20との通信が復旧した際の管制システム30の動作を示すフローチャートである。
図8におけるS21~S22は、
図3におけるS1~S2と同様であるため、説明を省略する。
図3と同様に、機体IDを区別するため、最初の機体IDを第1の機体ID、変更後の機体IDを第2の機体IDと呼ぶ。
【0055】
推定部8は、通信部4と飛行体20との通信が切断されたとき、通信切断時の飛行体20の位置情報及び記憶部7が記憶する飛行計画に基づき、飛行中の飛行体20の推定位置を推定する(S23)。例えば、推定部8は、通信部4が飛行体20から所定期間無線信号を受信しない場合、もしくは、通信部4が送信した無線信号に対する応答信号を受信しない場合等に、通信部4と飛行体20との通信が切断されたと判定してもよい。通信復旧時に、通信部4が第1の機体IDを取得したときは、識別部5は、第1の機体IDを用いて飛行体20を識別する。
【0056】
一方で、通信復旧時に通信部4が第2の機体ID及び位置情報を取得した場合(S24)、識別部5は、推定部8が推定した飛行体20の推定位置と、第2の機体IDを取得した際の位置情報とを比較する。識別部5は、推定位置と第2の機体IDを取得した際の位置との差が閾値より大きいとき(S25、NO)、異なる飛行体20として識別する(S28)。
識別部5は、推定位置と第2の機体IDを取得した際の位置との差が閾値以下のとき(S25、YES)、記憶部7が記憶する機体IDの変更パターンを参照する。識別部5は、第2の機体IDが、第1の機体IDを発信していた飛行体20の機体IDの変更パターンによって特定される機体IDと同じであるかを判定する(S26)。識別部5は、第2の機体IDが変更パターンによって特定される機体IDと異なる場合(S26、NO)、第2の機体IDを発信している飛行体20が第1の機体IDを発信した飛行体20とは異なる飛行体20として識別する(S28)。識別部5は、第2の機体IDが変更パターンによって特定される機体IDと同じ場合(S26、YES)、第2の機体IDを発信している飛行体20と、第1の機体IDを発信していた飛行体20とが同一の飛行体20であると判定する(S27)。また、
図8においては、ステップS25及びS26の順に処理が実行されることが示されているが、ステップS25及びS26の順番は、変更されてもよい。例えば、管制システム30は、ステップS26の処理を実行してから、ステップS25の処理を実行してもよい。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態にかかる管制システム30は、飛行体20の位置情報間の変化、機体IDの変更パターン、及び、飛行計画を用いることで、飛行体20を識別することができる。さらに、管制システム30は、飛行体20との通信が切断された場合に、飛行体20の機体IDが変更されたとしても、通信復旧時の飛行体20の位置情報と推定位置との比較結果、及び、機体IDの変更パターンを用いて、第2の機体IDが飛行体20を示すか否かを判定することができる。これにより、飛行体20がセキュリティを向上させるために機体IDを変更したとしても、管制システム30は飛行体20を識別することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
図9を用いて、第3の実施形態にかかる飛行体識別システム101について説明する。第3の実施形態にかかる飛行体識別システム101は、飛行体2、管制システム31、通信端末40を備える。飛行体2は、通信部14、機体ID制御部15を備える。管制システム31は、通信部4、識別部5、推定部8を備える。第3の実施形態にかかる飛行体識別システム101は、通信端末40を用いて飛行体2を識別するシステムである。第3の実施形態にかかる飛行体識別システム101において、第1及び第2の実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜詳細な説明を省略する。
【0059】
通信端末40は、例えば、スマートフォンであり、通信機能及び撮影機能を有している。通信端末40は、管制システム31と通信可能である。例えば、通信端末40は、通信事業者が管理するモバイルネットワーク、もしくはインターネットを介して、管制システム31と通信してもよい。通信端末40のユーザは、飛行体2を含む画像と通信端末40の位置情報とを含む問い合わせメッセージを管制システム31に送信することで、飛行体2の情報を取得することができる。例えば、通信端末40のユーザは、飛行体2が騒音を発しているときや不審な飛行体2が飛行しているときなどに、飛行体2を含む画像を撮影し、管制システム31への問い合わせを行う。
【0060】
また、通信端末40は、直接飛行体2と無線通信することで、機体IDを取得することができる。無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの通信方法が用いられてもよい。例えば、通信端末40は、飛行体2に対して、機体IDを要求し、飛行体2からの応答を得ることができない場合、飛行体2を不審な機体として判定し、通信端末40の位置周辺に不審な機体が飛行及び滞在していることを警察に通報するようにしてもよい。
通信端末40は、飛行体2に対して、機体ID要求に加えて、メッセージを伝えるようにしてもよい。メッセージは、例えば、飛行中の騒音が大きくうるさいといった内容や滞在目的等であってよい。通信端末40は、飛行体2から応答があったとき、飛行体2の滞在目的などの事情を取得することができる。一方、通信端末40は、飛行体2から応答を得ることができない場合、飛行体2を不審な機体として判定し、通信端末40の位置周辺に不審な機体が飛行及び滞在していることを警察に通報するようにしてもよい。
【0061】
飛行体2の通信部14は、例えば管制システム31や通信端末40、他の飛行体2などから機体IDの要求信号を受信したとき、要求に応じて、機体IDを含む応答信号を発信する。なお、機体IDの要求に対する応答の可否は、要求元に応じて予め設定していてもよい。また、飛行体2のユーザが機体IDの要求に対する応答の可否や応答内容を決定するようにしてもよい。
【0062】
管制システム31の通信部4は、通信端末40において撮影された飛行体2を含む画像と、通信端末40の位置情報とを通信端末40から受信する。推定部8は、受信した画像に含まれる背景情報及び位置情報を用いて、飛行体2の推定位置を推定する。推定部8は、通信端末40の位置情報から画像撮影時の通信端末40の位置を特定する。さらに、推定部8は、受信した画像に含まれる背景情報から、通信端末40の位置付近における飛行体2の位置を推定する。例えば、推定部8は、背景情報である建物、鉄塔、山、川、もしくは海、等の位置を、地図情報等を用いて推定してもよい。また、推定部8は、受信した背景画像に位置の明らかなランドマークが含まれている場合は、通信端末40の位置情報を用いることなく、背景画像から飛行体2の位置を推定してもよい。さらに推定部8は、画像内の飛行体2と背景情報との距離を推定することによって、飛行体2の位置を推定してもよい。また、推定部8は、通信端末40の撮影方向、すなわち、飛行体2を撮影するために上空に向かって通信端末40をかざしているときの通信端末40の角度等を飛行体2の位置の推定に用いてもよい。なお、通信部4は、通信事業者が管理するモバイルネットワークを介して、所定の領域に存在する通信端末40に対して、所定の領域の上空の撮影画像や画像を撮影した通信端末40の位置情報を要求することもできる。
【0063】
識別部5は、推定部8が推定した飛行体2の推定位置を用いて、飛行体2を識別する。識別部5は、例えば、管制している飛行体2の位置情報と、推定位置とを比較することで、推定位置の飛行体2を識別する。具体的には、識別部5は、管制している飛行体2の位置と、推定位置との間の距離が、予め定められた距離より短い場合に、推定位置に存在する飛行体2が、管制している飛行体2であると識別してもよい。
【0064】
通信部4は、識別された飛行体2の情報を通信端末40へ送信する。例えば、通信部4は、識別された飛行体2の機体ID、機体情報、目的地などの情報を通信端末に送信する。これにより、通信端末40のユーザは、飛行体2の情報を取得することができる。例えば、飛行体2の機体IDは、機体情報、目的地などの情報と予め対応付けられていてもよい。
【0065】
通信部4は、推定部8が推定した飛行体2の推定位置に、指向性のある電波を用いて機体IDを要求する要求信号を飛行体2に送信してもよい。識別部5は、通信部4が要求信号に対する応答信号を受信したときに、応答信号に含まれる機体IDを用いて飛行体2を識別することができる。識別部5は、飛行体2の情報を記憶する記憶部7を参照し、機体IDに対応する飛行体2を識別してもよい。
【0066】
識別部5は、飛行体2の機体IDを識別できなかった場合、推定位置の飛行体2を不審な飛行体2であると判定し、通信部4は、識別部5が飛行体2を不審な飛行体2であることを通信端末40にメッセージ等で送信する。このとき、通信部4は不審な飛行体2が推定位置に飛行及び滞在していることを警察に通報するようにしてもよい。通信部4が飛行体2の機体IDを識別できなかった場合とは、例えば、応答信号に機体IDが含まれていない場合であってもよく、応答信号に含まれる機体IDに飛行体が対応付けられていない場合であってもよい。
【0067】
図10は、第3の実施形態にかかる管制システム31の動作を示すフローチャートである。以下、
図10を用いて、管制システム31の動作について説明する。
はじめに、通信部4は、通信端末40において撮影された飛行体2を含む画像と、通信端末40の位置情報とを通信端末40から受信する(S31)。推定部8は、受信した画像に含まれる背景情報及び位置情報を用いて、飛行体2の推定位置を推定する(S32)。通信部4は、推定部8が推定した飛行体2の推定位置に、指向性のある電波を用いて機体IDを要求する要求信号を飛行体2に送信する(S33)。通信部4が要求信号に対する応答信号を受信したとき(S34、YES)、識別部5は、応答信号に含まれる機体IDを用いて飛行体2を識別する(S35)。通信部4は、識別された飛行体2の情報を通信端末40に送信する(S36)一方で、通信部4が要求信号に対する応答信号を受信できなかったとき(S34、NO)、識別部5は、推定位置の飛行体2を不審な飛行体2であると判定する(S37)。通信部4は、判定結果を通信端末40に送信する(S38)。また、識別部5は、ステップS34において受信した応答信号に含まれる機体IDに対応付けられた飛行体が存在しないと判定した場合、推定位置の飛行体2を不審な飛行体2であると判定してもよい。また、識別部5は、ステップS34において受信した応答信号に機体IDが含まれていない場合、推定位置の飛行体2を不審な飛行体2であると判定してもよい。
【0068】
以上のように、第3の実施形態にかかる管制システム31は、通信端末40から受信した画像及び通信端末40の位置情報に基づき、飛行体2を識別することができる。これにより、管制システム31は、通信端末40のユーザに飛行体2の情報や不審な飛行体2であるかの判定結果を提供することができる。
【0069】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態にかかる飛行体識別システム102の構成を示したブロック図である。第4の実施形態にかかる飛行体識別システム102は、飛行体2、管制システム32、通信端末40を備える。飛行体2は、通信部14、機体ID制御部15を備える。管制システム32は、通信部4、記憶部7、選択部9を備える。第4の実施形態にかかる飛行体識別システム102は、通信端末40の権限レベルに応じて、通信端末40に適切な情報を開示するシステムである。第4の実施形態にかかる飛行体識別システム102において、第1~第3の実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜詳細な説明を省略する。
【0070】
通信端末40は、飛行体2と無線通信することで、機体IDを取得することができる。無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの通信方法が用いられてもよい。通信端末40には、予め権限レベルが割り当てられている。通信端末40は、飛行体2から取得した機体IDと権限レベルを含む問い合わせメッセージを管制システム32に送信することで、管制システム32から飛行体2の情報を取得することができる。
【0071】
第4の実施形態にかかる管制システム32の記憶部7は、飛行体2の機体IDと、機体IDが示す飛行体2に関する複数の情報を対応付けて管理し、記憶する。記憶部7は、飛行体2に関する複数の情報と、複数の権限レベルとを対応付けて管理するようにしてもよい。例えば、
図12に示すように、記憶部7は飛行体2に関する複数の情報を権限レベルに応じて記憶している。権限レベル3の情報には、飛行体2のユーザの個人情報が該当し、権限レベル2の情報には、飛行経路、バッテリ17残量の情報が該当する。権限レベル1の情報には、飛行体2の目的地の情報が該当する。これらはあくまで例示であり、飛行体2の管理者やユーザが飛行体2の情報に対応付ける権限レベルを設定できるようにしてもよい。
【0072】
選択部9は、通信部4が通信端末40から機体ID及び通信端末40に割り当てられた権限レベルを含む問い合わせメッセージを受信した場合、記憶部7を参照する。選択部9は、通信端末40の権限レベルに応じて、機体IDと対応付けられた飛行体2に関する複数の情報の中から通信端末40へ送信すべき情報を選択する。通信部4は、選択部9が選択した飛行体2の情報を通信端末40に送信する。
【0073】
選択部9は、以下のように通信端末40に割り当てられた権限レベルに対応付けられた飛行体2に関する情報を選択することができる。例えば、警察が保有する権限レベル3の通信端末40からの問い合わせに関しては、選択部9は権限レベル3の情報を選択する。同様に、交通情報センターが保有する権限レベル2の通信端末40からの問い合わせに関しては、選択部9は権限レベル2の情報を選択する。また、一般人が保有する権限レベル1の通信端末40からの問い合わせに関しては、選択部9は権限レベル1の情報を選択する。
【0074】
あるいは、選択部9は、通信端末40に割り当てられた権限レベル及び権限レベルよりも低い権限レベルに対応付けられた飛行体2に関する情報を選択するようにしてもよい。具体的には、選択部9は、警察が保有する権限レベル3の通信端末40からの問い合わせに関しては、権限レベル1~3の情報を選択し、交通情報センターが保有する権限レベル2の通信端末40からの問い合わせに関しては、権限レベル1及び2の情報を選択する。一般人が保有する権限レベル1の通信端末40からの問い合わせに関しては、選択部9は権限レベル1の情報を選択する。
選択部9は、通信端末40に割り当てられた権限レベルより高い権限レベルの情報の問い合わせに対しては、飛行体2の情報を選択しない。この場合、通信部4は、飛行体2の情報を提供できないことを通信端末40に通知するようにしてもよい。
これにより、選択部9は、通信端末40の権限レベルに応じて、通信端末40に送信すべき情報を選択することができる。
【0075】
図13は、第4の実施形態にかかる管制システム32の動作を示したフローチャートである。
通信部4は、通信端末40から機体ID及び通信端末40に割り当てられた権限レベルを含む問い合わせメッセージを受信する(S41)。選択部9は、通信端末40の問い合わせメッセージに含まれる権限レベルを確認する(S42)。選択部9は、記憶部7を参照し、通信端末40の権限レベルに対応する飛行体2の情報を選択する(S43)。通信部4は、通信端末40に選択部9で選択した情報を送信する(S44)。
【0076】
以上説明したように、第4の実施形態にかかる管制システム32は、通信端末40の権限レベルに応じて、飛行体2の情報を提供する。これにより、管制システム32は、飛行体2に関する情報の漏洩を抑制することができ、セキュリティを向上させることができる。管制システム32は、セキュリティを向上させつつ、状況に応じて飛行体2の情報を適切に提供することができる。
【0077】
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態にかかる飛行体識別システム103の構成を示すブロック図である。第5の実施形態にかかる飛行体識別システム103は、飛行体21、管制システム33、通信端末40を備える。飛行体21は、通信部14、記憶部18、暗号化部19を備える。管制システム33は、通信部4、記憶部7、選択部9、暗号化部10を備える。第5の実施形態にかかる飛行体識別システム103において、第1~第4の実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜詳細な説明を省略する。第5の実施形態にかかる飛行体21は、自身の保有する情報を権限レベルに応じて暗号化して発信することが可能である。また、第5の実施形態にかかる飛行体識別システム103は、第4の実施形態にかかる飛行体識別システム102と同様に、通信端末40の権限レベルに応じて、通信端末40に適切な情報を開示するシステムである。
【0078】
飛行体21の記憶部18は、飛行体21に関する情報である飛行体情報と、権限レベルとを対応付けて記憶する。例えば、上述した
図12に示すように、記憶部18は飛行体21に関する複数の飛行体情報を権限レベルに応じて記憶する。例えば、権限レベル3の情報には、飛行体21のユーザの個人情報が該当し、権限レベル2の情報には、飛行経路、バッテリ17残量の情報が該当する。権限レベル1の情報には、飛行体21の目的地の情報が該当する。これらはあくまで例示であり、飛行体21の管理者やユーザが飛行体21の飛行体情報に対応付ける権限レベルを設定できるようにしてもよい。すなわち、飛行体21は、発信する情報のうち、どの情報をどの権限レベルに公開するかを設定することができる。また、飛行体21は、どの情報を発信するかを設定することができる。
【0079】
暗号化部19は、所定の権限レベルに対応付けられた飛行体情報を暗号化する。例えば、暗号化部19は、所定の権限レベルが3のとき、権限レベル3に対応付けられた飛行体情報を暗号化する。また、暗号化部19は、所定の権限レベルが1~3のとき、権限レベル1~3に対応付けられた飛行体情報を全て暗号化してもよい。通信部14は、暗号化した飛行体情報を発信する。なお、飛行体情報とは、機体情報であり、例えば、飛行経路、機体所有者や機体管理者の個人情報、搭載物、機体情報、乗り継ぎ情報、不具合の発生有無やエネルギー残量などの機体状況、メンテナンス情報などである。
【0080】
通信端末40は、ユーザの身分に応じた権限レベルを有し、飛行体21から受信した暗号化された飛行体情報を復号化することができる。通信端末40のユーザとしては、例えば、警察、駐機場管理者、一般人などである。例えば、警察は、権限レベル3が割り当てられた通信端末40を保有し、駐機場管理者は、権限レベル2が割り当てられた通信端末40を保有し、一般人は権限レベル1が割り当てられた通信端末40を保有する。
例えば、暗号化部19が権限レベル3に対応付けられた飛行体21の飛行体情報を暗号化し、通信部14が暗号化された飛行体情報を発信しているとき、警察が保有する権限レベル3の通信端末40は、飛行体21の暗号化された権限レベル3の飛行体情報を復号化することができる。この場合、駐機場管理者が保有する権限レベル2の通信端末40や一般人が保有する権限レベル1の通信端末40では、暗号化された権限レベル3の飛行体情報を復号化することができない。また、権限レベル3の通信端末40は、権限レベル1または2に対応付けられた飛行体情報を受信することができる。また、権限レベル3の通信端末40は、暗号化された権限レベル1または2の飛行体情報も復号化することができる。すなわち、通信端末40は、自身の権限レベル及び自身の権限レベルよりも低い権限レベルに対応付けられた飛行体情報を取得することができる。
【0081】
以上説明したように、第5の実施形態にかかる飛行体21は、自身の保有する情報を権限レベルに応じて暗号化して発信することができ、セキュリティを向上させながら、適切な権限レベルの通信端末40の保有者に情報を伝えることができる。
【0082】
第5の実施形態にかかる管制システム33は、通信端末40からの問い合わせに対して、通信端末40の権限レベルに応じて、通信端末40に適切な情報を開示することも可能である。
図14に示すように、第5の実施形態にかかる管制システム33では、第4の実施形態にかかる管制システム32と比べて、暗号化部10が追加されている。
【0083】
管制システム33の暗号化部10は、所定の権限レベルに対応付けられた飛行体21の情報を暗号化する。例えば、暗号化部10は、所定の権限レベルが3のとき、権限レベル3に対応付けられた飛行体21の飛行体情報を暗号化する。なお、暗号化部10は、所定の権限レベルが1~3のとき、権限レベル1~3に対応付けられた飛行体情報を全て暗号化してもよい。通信部4は、暗号化した飛行体21の情報を発信する。権限レベル3の通信端末40は、暗号化された権限レベル3の飛行体21の情報を復号化することで、権限レベル3の飛行体21の情報を取得することができる。以下、管制システム33の動作について、
図15を用いて説明する。
【0084】
図15は、第5の実施形態にかかる管制システム33の動作を示したフローチャートである。まず、通信部4が通信端末40から機体ID及び通信端末40に割り当てられた権限レベルを含む問い合わせメッセージを受信する(S51)。選択部9は、通信端末40の問い合わせメッセージに含まれる権限レベルを確認する(S52)。選択部9が、通信端末40の権限レベルが3であることを確認したとき、選択部9は、記憶部7を参照し、権限レベル3に対応する飛行体21の情報を選択する(S53)。暗号化部10は、所定の権限レベルが3のとき、権限レベル3に対応付けられた飛行体21の情報を暗号化する(S54)。通信部4は、通信端末40に選択部9で選択し、暗号化部10で暗号化した権限レベル3に対応付けられた飛行体21に関する情報を通信端末40に送信する(S55)。
【0085】
以上説明したように、第5の実施形態にかかる管制システム33は、暗号化部10を設けることによって、他の通信端末40による傍受を防ぐことができる。これにより、管制システム33は、飛行体21の情報の漏洩をさらに抑制することができ、通信端末40と管制システム33との通信システムのセキュリティを向上させることができる。管制システム33は、セキュリティを向上させつつ、状況に応じて飛行体21の情報を適切に提供することができる。
【0086】
第4または第5の実施形態において、飛行体2及び飛行体21は、緊急の場合には、管制システム32及び管制システム33を介さず、不具合及び着陸場所を含む緊急情報を直接通信端末40に送信するようにしてもよい。また、飛行体2及び飛行体21は、着陸場所及び着陸経路に存在する地上の通信端末40に緊急情報をブロードキャストするようにしてもよい。着陸経路とは、飛行体2及び飛行体21に不具合等の緊急事態が発生してから、飛行体2及び飛行体21が着陸地点に着陸するまでの飛行経路である。飛行体2及び飛行体21は、管制システム32及び管制システム33を介さず、通信事業者が管理するモバイルネットワークを介して、緊急情報を地上の通信端末40にブロードキャストするようにしてもよい。これにより、飛行体2及び飛行体21は、緊急時に管制システム32及び管制システム33との通信が切断されたとしても、緊急情報を直ちに通信端末40に伝えることができるため、事故による被害を抑えることができる。
【0087】
図16は、それぞれの実施の形態にかかる飛行体2、飛行体20、飛行体21、管制システム3、管制システム30、管制システム31、管制システム32、管制システム33、通信端末40における制御装置の構成例を示すブロック図である。
図16を参照すると、これらの制御装置は、ネットワークインタフェース201、プロセッサ202、及びメモリ203を含む。ネットワークインタフェース201は、ネットワークノード(e.g., eNB、MME、P-GW、)と通信するために使用されてもよい。ネットワークインタフェース201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。ここで、eNBはevolved Node B、MMEはMobility Management Entity、P-GWはPacket Data Network Gatewayを表す。IEEEは、Institute of Electrical and Electronics Engineersを表す。
【0088】
プロセッサ202は、メモリ203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された飛行体2、飛行体20、飛行体21、管制システム3、管制システム30、管制システム31、管制システム32、管制システム33、通信端末40にかかる処理を行う。プロセッサ202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。プロセッサ202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0089】
メモリ203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ203は、プロセッサ202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ202は、図示されていないI/O(Input/Output)インタフェースを介してメモリ203にアクセスしてもよい。
【0090】
図16の例では、メモリ203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された飛行体2、飛行体20、飛行体21、管制システム3、管制システム30、管制システム31、管制システム32、管制システム33、通信端末40にかかる動作及び処理を行うことができる。
【0091】
図16を用いて説明したように、上述の実施形態における飛行体2、飛行体20、飛行体21、管制システム3、管制システム30、管制システム31、管制システム32、管制システム33、通信端末40の制御装置が有するプロセッサの各々は、上述の実施形態にて説明された動作及び処理をコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0092】
上述の例において、各種制御プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0093】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0094】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
所定の変更パターンに従って変更される自機の機体IDを保持する機体ID制御部と、
前記機体IDを発信する通信部と、を備える飛行体。
(付記2)
前記機体IDは、ランダムに生成されるID、又は、自機の飛行回数及び飛行時間のうち少なくともいずれかに応じて変更されるIDである、付記1に記載の飛行体。
(付記3)
前記機体ID制御部は、自機の飛行を管制する管制システムとの間で前記機体IDの変更パターンを共有する、付記1又は2に記載の飛行体。
(付記4)
センサが取得した情報に基づいて自機の位置を特定する飛行制御部をさらに備え、
前記通信部は、前記機体ID及び前記飛行制御部が特定した前記位置に関する位置情報を発信する、付記1乃至3のいずれか一項に記載の飛行体。
(付記5)
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得する通信部と、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別する識別部と、を備え、
前記通信部が前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記識別部は、前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
管制システム。
(付記6)
前記飛行体が発信する機体IDの変更パターンを記憶する記憶部をさらに備え、
前記識別部は、異なるタイミングに取得された位置情報間の変化、及び、前記変更パターンに基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
付記5に記載の管制システム。
(付記7)
前記記憶部は、前記飛行体の飛行計画を記憶し、
前記識別部は、異なるタイミングに取得された位置情報間の変化、前記変更パターン、及び、前記飛行計画に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
付記6に記載の管制システム。
(付記8)
前記記憶部は、前記飛行体の性能情報に基づいて生成された飛行経路を含む前記飛行体の飛行計画を記憶する、
付記7に記載の管制システム。
(付記9)
前記飛行体との通信が切断されたとき、通信切断時の前記飛行体の位置情報及び前記飛行計画に基づき、飛行中の前記飛行体の推定位置を推定する推定部をさらに備え、
前記識別部は、通信が復旧したとき、通信復旧時の前記飛行体の位置情報と、前記推定位置との比較結果、及び、前記変更パターンを用いて、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
付記7又は8に記載の管制システム。
(付記10)
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得し、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別し、
前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
飛行体識別方法。
(付記11)
飛行体から発信された第1の機体ID及び位置情報を取得し、
前記第1の機体IDを用いて前記飛行体を識別し、
前記第1の機体IDを取得した後に、前記第1の機体IDとは異なる第2の機体IDを取得した場合、
前記第1の機体IDを取得した際の位置情報と、前記第2の機体IDを取得した際の位置情報との変化に基づき、前記第2の機体IDが前記飛行体を示すか否かを判定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0095】
1、100、101、102、103 飛行体識別システム
2、20、21 飛行体
3、30、31、32、33 管制システム
4 通信部
5 識別部
6 生成部
7 記憶部
8 推定部
9 選択部
10 暗号化部
11 飛行制御部
12 駆動機構
13 センサ
14 通信部
15 機体ID制御部
16 表示部
17 バッテリ
18 記憶部
19 暗号化部
40 通信端末
201 ネットワークインタフェース
202 プロセッサ
203 メモリ