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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】搬送システム、制御装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241106BHJP
【FI】
G05D1/43
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022579252
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004228
(87)【国際公開番号】W WO2022168253
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 太一
(72)【発明者】
【氏名】安田 真也
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/021457(WO,A1)
【文献】特開2004-171430(JP,A)
【文献】特開平11-237916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0129440(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00346537(EP,A1)
【文献】特開平05-265552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の走行経路に基づいて、物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車の位置に関する情報を、ネットワークを介して送信するセンサと、
前記搬送車及び前記センサと通信可能な通信部と、
前記通信部を介して前記搬送車を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、前記搬送車の位置を示す位置情報を生成し、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記第1の走行経路に含まれるカーブした区間を前記搬送車が走行していると判断した場合に、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車が走行した第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路と比較し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正するための制御情報を生成し、
前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車が走行する第3の走行経路を予測し、
前記第1の走行経路と前記第3の走行経路とに基づいて、前記制御情報を生成する、
請求項に記載の搬送システム。
【請求項3】
第1の走行経路に基づいて物品を搬送する搬送車と通信可能な通信部と、
前記通信部を介して前記搬送車を制御する制御部と、
を含み、
前記通信部は、
ネットワークを介してセンサから、前記搬送車の位置に関する情報を受信し、
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、前記搬送車の位置を示す位置情報を生成し、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記第1の走行経路に含まれるカーブした区間を前記搬送車が走行していると判断した場合に、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車が走行した第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路と比較し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正するための制御情報を生成し、
前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車が走行する第3の走行経路を予測し、
前記第1の走行経路と前記第3の走行経路とに基づいて、前記制御情報を生成する、
請求項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記搬送車は、
第1の搬送車と、
前記第1の搬送車と協調して前記物品を搬送する第2の搬送車と、を含み、
前記制御部は、
前記第1の搬送車に、前記通信部を介して、前記制御情報を送信する、
請求項又はに記載の制御装置。
【請求項6】
制御装置が実行する制御方法であって、
第1の走行経路に基づいて物品を搬送する搬送車の位置に関する情報を、ネットワークを介してセンサから受信する受信ステップと、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、前記搬送車の位置を示す位置情報を生成し、前記搬送車の位置情報に基づいて、前記第1の走行経路に含まれるカーブした区間を前記搬送車が走行していると判断した場合に、前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車が走行した第2の走行経路を特定し、前記第1の走行経路と前記第2の走行経路と比較し、前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正するための制御情報を生成し、前記制御情報を、前記搬送車に送信する制御ステップと、を含む、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システム、制御装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などでは、部品、資材などの物品を移動させるために搬送車が活用されている。搬送車の走行方式の一例としては、磁気テープなどの誘導体によって搬送車を誘導する走行方式が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、走行経路に敷設された誘導体によって無人搬送車が誘導されることで、無人搬送車が所定の走行経路を走行し、無人搬送車の位置が所定の走行経路からずれたことを検知した場合には、無人搬送車の走行を補正する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-224903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術のように、走行経路に敷設された誘導体によって搬送車が誘導されることで、搬送車が所定の走行経路を走行する場合、自由度の高い走行経路を生成することができない。例えば、工場内の資材の位置の変更により、搬送車が走行可能な走行経路に変更が生じた場合、誘導体を敷設しなおす必要が生じる。
【0006】
搬送車の走行方式の他の例として、誘導体を用いずに、搬送車を走行させる走行方式が挙げられる。この走行方式では、自由度の高い経路を生成することが可能となる。しかし、この走行方式では、誘導体がないことから、搬送車の走行は、車輪の摩耗、床の滑らかさ、物品の質量などの影響を受けやすくなる。そのため、搬送車がカーブした区間を走行する場合などに、走行経路から搬送車が逸れて走行してしまうことがある。
【0007】
そこで、本開示の目的は、上述した課題を解決し、走行経路から逸れた搬送車の走行軌道を修正することができる搬送システム、制御装置、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様による搬送システムは、
第1の走行経路に基づいて、物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車の位置に関する情報を、ネットワークを介して送信するセンサと、
前記搬送車及び前記センサと通信可能な通信部と、
前記通信部を介して前記搬送車を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とに基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正する。
【0009】
一態様による制御装置は、
第1の走行経路に基づいて物品を搬送する搬送車と通信可能な通信部と、
前記通信部を介して前記搬送車を制御する制御部と、
を含み、
前記通信部は、
ネットワークを介してセンサから、前記搬送車の位置に関する情報を受信し、
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とに基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正する。
【0010】
一態様による制御方法は、
制御装置が実行する制御方法であって、
第1の走行経路に基づいて物品を搬送する搬送車の位置に関する情報を、ネットワークを介してセンサから受信する受信ステップと、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路を特定し、前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とに基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正する制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
上述の態様によれば、走行経路から逸れた搬送車の走行軌道を修正できる搬送システム、制御装置、及び制御方法を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る搬送システムの構成例を示す図である。
図2】搬送車の位置に関する情報の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る制御装置の構成例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る搬送システムの概略的な動作の流れの例を示すフロー図である。
図5】実施の形態2に係る搬送システムの構成例を示す図である。
図6】実施の形態2に係る予測部が予測する、搬送車が今後走行する第3の走行経路の例を示す図である。
図7】実施の形態2に係る予測部が予測する、搬送車が今後走行する第3の走行経路の例を示す図である。
図8】実施の形態2に係る搬送システムの概略的な動作の流れの例を示すフロー図である。
図9】実施の形態3に係る搬送システムの構成例を示す図である。
図10】実施の形態1に係る制御装置を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
<実施の形態1>
まず、図1を参照して、本実施の形態1に係る搬送システム1の構成例について説明する。図1に示されるように、本実施の形態1に係る搬送システム1は、搬送車10、センサ20、制御部31及び通信部32を備えている。
【0015】
搬送車10は、物品Xを搬送する。搬送車10の走行方式は、誘導体を用いずに、搬送車10を走行させる走行方式であるとする。例えば、搬送車10は、工場などにおいて、部品、資材などの物品Xを搬送するために使用される。
【0016】
また、搬送車10の搬送方式は、任意の搬送方式で良い。例えば、搬送車10は、物品Xを上に載せる搬送車、物品Xを載せた台車であって牽引器具がついた台車を引っ張る搬送車、搬送車10の前方に物品Xを固定し、その物品Xを押す搬送車、物品Xを載せた台車ごと持ち上げる搬送車などで良い。
【0017】
また、図1では、搬送車10は1台であることを想定しているが、2台以上の搬送車10で物品Xの搬送を実行しても良い。なお、2台の搬送車10で物品Xを搬送する例は、後述する実施の形態3において説明する。
【0018】
センサ20は、搬送車10の位置に関する情報を、不図示のネットワークを介して制御部31に送信する。例えば、センサ20は、カメラ(デプスカメラ、ステレオカメラ、及びToF(Time of Flight)カメラなど)、レーザセンサ(2D-LiDAR(Light Detection and Ranging)、3D-LiDARなど)、レーダセンサなどで良い。
【0019】
また、センサ20は、搬送車10の位置に関する情報を定期的に送信しても良いし、制御部31からの送信要求を、通信部32を介して受信した場合に、搬送車10の位置に関する情報を送信しても良い。
【0020】
また、センサ20が送信する搬送車10の位置に関する情報は、搬送車10及びその周辺の画像、搬送車10の絶対座標、所定位置(例えば、目的位置など)に対する搬送車10の相対座標などで良い。図2に、搬送車10の位置に関する情報が、搬送車10の絶対座標である例を示す。図2は、平面視において、4つの頂点1~4を有する搬送車10の絶対座標の例を示している。図2の例では、搬送車10の位置に関する情報は、搬送車10が有する4つの頂点1~4の各々の絶対座標を示している。
【0021】
上述したネットワークは、2つ以上の機器が有線又は無線で接続された通信網である。無線通信網の例としては、4G(Generation)、ローカル5G、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、LTE(Long Term Evolution)などのネットワークが挙げられる。
【0022】
通信部32は、搬送車10及びセンサ20と通信可能である。通信部32は、センサ20との間では、上述したネットワークを介して通信すれば良い。また、上述したネットワークが無線通信網である場合には、通信部32は、搬送車10との間では、上述したネットワークを介して通信すれば良い。また、上述したネットワークが有線通信網である場合には、通信部32は、搬送車10との間では、上述したネットワークとは異なる他のネットワークであって無線通信網である他のネットワークを介して通信すれば良い。
【0023】
制御部31は、通信部32を介して、搬送車10を制御する。このとき、制御部31は、以下の(1)~(3)のような制御情報の少なくとも1つを、通信部32を介して、搬送車10に送信する。
【0024】
(1)左右車輪の回転速度[m/s]
(2)経路情報と位置情報
経路情報は、例えば、目標点列( (x1,y1,z1)→(x2,y2,z2)→ (x3,y3,z3) )の座標情報などで良い。なお、(2)の場合、左右車輪の回転速度は、搬送車10側で計算することになる。また、(2)の場合、搬送車10は、目標点列の座標情報と、搬送車10が走行する工場などの施設内のマップ(壁、通路、その他の障害物の位置などを示すマップ)と、を紐づけて走行しても良い。
(3)車輪を駆動させる情報
車輪を駆動させる情報は、速度a[cm/s]で距離b[cm]進んだら車輪の角度をc[rad]にして進む、などの情報で良い。
【0025】
ここで、制御部31は、第1の走行経路R1を走行するように、搬送車10を制御する。第1の走行経路R1は、例えば、搬送車10が物品Xを目的位置に搬送するために生成される走行経路、搬送車10を待機位置に戻すために生成される走行経路などである。なお、第1の走行経路R1は、制御部31が、搬送車10が走行する施設内のマップ、目的位置、出発位置などに基づいて、生成しても良いし、ユーザが生成し、制御部31に入力しても良い。
【0026】
このように、搬送車10は、第1の走行経路R1に基づいて、物品Xを搬送する。しかし、搬送車10の走行方式は、誘導体を用いない走行方式である。そのため、搬送車10の走行は、車輪の摩耗、床の滑らかさ、物品Xの質量などの影響を受けやすくなる。その結果、例えば、図1に示されるように、第1の走行経路R1がカーブした区間を含む場合に、そのカーブした区間を搬送車10が走行する際に、第1の走行経路R1から搬送車10が逸れて走行してしまうことがある。具体的には、カーブした区間では、搬送車10が予定の経路よりも膨らんで走行してしまうことがある。図1は、搬送車10が、第1の走行経路R1から逸れて、第2の走行経路R2を走行してしまっている例である。そのため、第2の走行経路R2は、車輪の摩耗などの影響を受けた場合の搬送車10の走行経路であり、第1の走行経路R1は、車輪の摩耗や床の摩擦などの影響がない場合の搬送車10の走行経路であると言える。
【0027】
本実施の形態1においては、制御部31は、搬送車10が第1の走行経路R1から逸れてしまった場合に、搬送車10の走行軌道を修正すべく、以下のような動作を行う。
すなわち、制御部31は、通信部32がセンサ20から受信した、搬送車10の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定する。
【0028】
そして、制御部31は、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とに基づいて、搬送車10の走行軌道を修正する。詳細には、制御部31は、搬送車10が第1の走行経路R1に沿って走行するように、又は、第1の走行経路R1上を走行するように、搬送車10の走行軌道を修正する。このとき、制御部31は、上述した(1)~(3)のような制御情報の少なくとも1つを搬送車10に送信することで、搬送車10の走行軌道を修正しても良い。また、制御部31は、搬送車10がカーブした区間を走行するときの走行軌道を修正する場合には、左右車輪の回転速度差を示す制御情報を搬送車10に送信しても良い。
【0029】
なお、制御部31による搬送車10の走行軌道の修正は、搬送車10の第1の走行経路R1からのずれ量が所定値以上になったことを制御部31が判断した場合に、実行しても良い。例えば、搬送車10の位置が第1の走行経路R1から所定距離以上ずれた場合や、第1の走行経路R1で搬送車10が走行した場合の搬送車10の角速度との差が所定値以上になった場合に、ずれ量が所定値以上になったと判断すれば良い。又は、制御部31による搬送車10の走行軌道の修正は、搬送車10が特定区間を走行していること又は特定区間に近付いたことを制御部31が判断した場合に、実行しても良い。特定区間は、第1の走行経路R1に含まれる、カーブした区間などである。
【0030】
なお、制御部31及び通信部32は、それぞれ独立して設けられても良く、例えば、クラウド上に設けられていても良い。ただし、これには限定されず、制御部31及び通信部32は、図3に示されるように、同じ装置(制御装置30)内に設けられていても良い。
【0031】
続いて、図4を参照して、本実施の形態1に係る搬送システム1の概略的な動作の流れの例について説明する。
図4に示されるように、まず、通信部32は、第1の走行経路R1に基づいて物品Xを搬送する搬送車10の位置に関する情報を、ネットワークを介してセンサ20から、受信する(ステップS101)。
【0032】
次に、制御部31は、搬送車10の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定する(ステップS102)。
その後、制御部31は、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とに基づいて、搬送車10の走行軌道を修正する(ステップS103)。
【0033】
上述したように本実施の形態1によれば、通信部32は、第1の走行経路R1に基づいて物品Xを搬送する搬送車10の位置に関する情報を、ネットワークを介してセンサ20から、受信する。制御部31は、搬送車10の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定し、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とに基づいて、搬送車10の走行軌道を修正する。
【0034】
そのため、搬送車10が、車輪の摩耗、床の滑らかさ、物品Xの質量などの影響を受けたために、第1の走行経路R1から逸れて走行してしまっている場合にも、搬送車10の走行軌道を修正することができる。
【0035】
<実施の形態2>
本実施の形態2は、上述した実施の形態1に係る制御部31の構成及び動作をより具体化した例である。
【0036】
まず、図5を参照して、本実施の形態2に係る搬送システム2の構成例について説明する。図5に示されるように、本実施の形態2に係る搬送システム2は、上述した実施の形態1に係る搬送システム1と比較して、全体的な構成は同様であるが、制御部31の構成が異なる。すなわち、本実施の形態2に係る制御部31は、位置情報生成部311、評価部312、予測部313、及び制御情報生成部314を備えている。なお、位置情報生成部311、評価部312、予測部313、及び制御情報生成部314は、不図示のバスなどにより、互いに接続されているものとする。
【0037】
位置情報生成部311は、通信部32によりセンサ20から受信された搬送車10の位置に関する情報(例えば、搬送車10及びその周辺の画像)に基づいて、搬送車10の位置を示す位置情報(例えば、搬送車10の絶対座標、所定位置に対する搬送車10の相対座標など)を生成し、生成された位置情報を評価部312に出力する。
【0038】
評価部312は、位置情報生成部311により生成された搬送車10の位置情報に基づいて、搬送車10の第1の走行経路R1からのずれ量が所定値以上になったか否かを評価する。例えば、搬送車10の位置が第1の走行経路R1から所定距離以上ずれた場合や、第1の走行経路R1で搬送車10が走行した場合の搬送車10の角速度との差が所定値以上になった場合に、ずれ量が所定値以上になったと判断すれば良い。搬送車10の第1の走行経路R1からのずれ量が所定値以上になったと判断した場合、評価部312は、位置情報生成部311により生成された搬送車10の位置情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定する。そして、評価部312は、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とを比較し、その比較結果を示す評価情報を生成し、生成された評価情報を予測部313に出力する。評価情報とは、例えば、第1の走行経路R1で搬送車10が走行した場合の位置と第2の走行経路R2で搬送車10が走行した場合の位置のずれ量の差、第1の走行経路R1で搬送車10が走行した場合の搬送車10の角速度と第2の走行経路R2で搬送車10が走行した場合の搬送車10の角速度の差などである。
【0039】
又は、評価部312は、位置情報生成部311により生成された搬送車10の位置情報に基づいて、搬送車10が特定区間(例えば、第1の走行経路R1に含まれる、カーブした区間)を走行しているか若しくは特定区間に近付いたかを判断する。搬送車10が特定区間を走行しているか若しくは特定区間に近付いた場合、評価部312は、位置情報生成部311により生成された搬送車10の位置情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定する。そして、評価部312は、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とを比較し、その比較結果を示す評価情報を生成し、生成された評価情報を予測部313に出力する。
【0040】
なお、第1の走行経路R1は、位置情報生成部311が保持することを想定しているが、不図示の走行経路管理部が保持することとしても良い。また、第1の走行経路R1は、位置情報生成部311が、搬送車10が走行する工場などの施設内のマップ(壁、通路、その他の障害物の位置などを示すマップ)、目的位置、出発位置などに基づいて、生成しても良いし、不図示の経路生成部が生成しても良いし、ユーザが生成し、位置情報生成部311に入力しても良い。また、経路生成部は、制御部31の内部に設けても良いし、外部に設けても良い。また、施設内のマップは、位置情報生成部311が保持することを想定しているが、不図示のマップ管理部が保持することとしても良い。
【0041】
予測部313は、評価部312により生成された評価情報の時系列データに基づいて、搬送車10が今後走行する第3の走行経路R3を予測し、予測された第3の走行経路R3を含む予測情報を生成し、生成された予測情報を制御情報生成部314に出力する。つまり、予測部313は、後述する第1の制御情報に従って、このまま搬送車10が走行した場合の経路(第3の走行経路R3)を予測している。例えば、評価情報の時系列データを回帰分析することで第3の走行経路R3を予測する。
【0042】
このとき、予測部313は、搬送車10の第1の走行経路R1からのずれ量が所定値以上になった場合、又は、搬送車10が特定区間を走行している場合若しくは特定区間に近付いた場合に、第3の走行経路R3を予測していることになる。
【0043】
ここで、図6及び図7を参照して、搬送車10が特定区間を走行している場合若しくは特定区間に近付いた場合に、予測部313が第3の走行経路R3を予測する例について説明する。
【0044】
図6の例では、搬送車10が、第1の走行経路R1に含まれる特定区間R11(図6では、カーブした区間)を走行している場合において、予測部313は、特定区間R11の評価情報に基づいて、特定区間R11で搬送車10が今後走行する第3の走行経路R3を予測している。
【0045】
図7の例では、搬送車10が、第1の走行経路R1に含まれる特定区間R12(図7では、カーブした区間)を走行し、第1の走行経路R1に含まれる別の特定区間R13(図7では、カーブした区間)に近付いた場合において、特定区間R12の評価情報に基づいて、特定区間R13で搬送車10が今後走行する第3の走行経路R3を予測している。
【0046】
制御情報生成部314は、意図した走行経路で搬送車10を走行させるための制御情報を生成し、生成された制御情報を、通信部32を介して、搬送車10に送信する。
ここで、制御情報生成部314は、搬送車10を第1の走行経路R1を走行させる場合には、第1の走行経路R1に基づいて、制御情報(以下、第1の制御情報と適宜称す)を生成する。
【0047】
また、制御情報生成部314は、搬送車10の走行軌道を第1の走行経路R1に向けて修正する場合には、第1の走行経路R1と、予測部313により生成された予測情報に含まれる第3の走行経路R3と、に基づいて、制御情報(以下、第2の制御情報と適宜称す)を生成する。例えば、カーブ区間において、第1の走行経路R1のカーブ半径よりも第3の走行経路R3のカーブ半径が大きい場合、搬送車10がより小さくカーブするように左右車輪の回転速度差を大きくする制御情報を生成する。
【0048】
続いて、図8を参照して、本実施の形態に係る搬送システム2の概略的な動作の流れの例について説明する。なお、図8は、搬送車10の位置が第1の走行経路R1から所定距離以上ずれた場合に、搬送車10の走行軌道を修正する例である。また、図8では、通信部32の図示は省略されている。
【0049】
図8に示されるように、センサ20は、第1の走行経路R1に基づいて物品Xを搬送する搬送車10の位置に関する情報を、不図示のネットワーク及び通信部32を介して、制御部31に送信する(ステップS201)。また、位置情報生成部311は、搬送車10の位置に関する情報に基づいて、搬送車10の位置を示す位置情報を生成し(ステップS202)、生成された位置情報を評価部312に出力する(ステップS203)。以降、ステップS201~S203は、一定の間隔で繰り返し行われるものとする。
【0050】
次に、評価部312は、搬送車10の位置情報に基づいて、搬送車10の位置が第1の走行経路R1から所定距離以上ずれたか否かを評価する(ステップS204)。
【0051】
ステップS204において、搬送車10の位置が第1の走行経路R1から所定距離以上ずれていない場合には(ステップS204のNo)、評価部312は、その旨を示す正常通知を生成し(ステップS205)、生成された正常通知を制御情報生成部314に出力する(ステップS206)。制御情報生成部314は、評価部312から正常通知が出力されている間は、第1の走行経路R1に基づいて、第1の制御情報を生成し(ステップS207)、生成された第1の制御情報を、通信部32を介して、搬送車10に送信する(ステップS208)。
【0052】
一方、ステップS204において、搬送車10の位置が第1の走行経路R1から所定距離以上ずれている場合には(ステップS204のYes)、評価部312は、搬送車10の位置情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定する(ステップS209)。そして、評価部312は、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とを比較し、その比較結果を示す評価情報を生成し(ステップS210)、生成された評価情報を予測部313に出力する(ステップS211)。
【0053】
次に、予測部313は、評価情報に基づいて、搬送車10が今後走行する第3の走行経路R3を予測し、予測された第3の走行経路R3を含む予測情報を生成し(ステップS212)、生成された予測情報を制御情報生成部314に出力する(ステップS213)。
【0054】
その後、制御情報生成部314は、第1の走行経路R1と第3の走行経路R3とに基づいて、第2の制御情報を生成し(ステップS214)、生成された第2の制御情報を、通信部32を介して、搬送車10に送信する(ステップS215)。
【0055】
上述したように本実施の形態2によれば、評価部312は、搬送車10の位置情報に基づいて、第2の走行経路R2を特定し、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とを比較する。
そのため、搬送車10が第1の走行経路R1に基づいて走行した場合に、第2の走行経路R2が第1の走行経路R1からどの程度ずれたのかを特定することができる。
【0056】
また、本実施の形態2によれば、予測部313は、第1の走行経路R1と第2の走行経路R2との比較結果に基づいて、搬送車10が今後走行する第3の走行経路R3を予測し、制御情報生成部314は、第1の走行経路R1と第3の走行経路R3とに基づいて、搬送車10の走行軌道を修正するための制御情報(第2の制御情報)を生成する。
そのため、車輪の摩耗、床の滑らかさ、物品Xの質量などの影響を考慮して、搬送車10の今後の走行経路(第3の走行経路R3)に合わせた走行軌道の修正を行うことができる。
なお、本実施の形態2のその他の効果は、上述した実施の形態1と同様である。
【0057】
<実施の形態3>
上述した実施の形態1,2では、1台の搬送車10で物品Xを搬送することを想定していた。
これに対して、本実施の形態3は、2台の搬送車10で物品Xを搬送する例である。
【0058】
まず、図9を参照して、本実施の形態3に係る搬送システム3の構成例について説明する。図9に示されるように、本実施の形態3に係る搬送システム3は、上述した実施の形態2に係る搬送システム2と比較して、2台の搬送車10(第1の搬送車10A及び第2の搬送車10B)が設けられている点が異なる。
【0059】
第1の搬送車10Aは、先導車である。
第2の搬送車10Bは、後続車であり、第1の搬送車10Aとの間に物品Xを挟み込み、物品Xを押すことで、物品Xを搬送する。以下、この搬送を、協調搬送と適宜称する。
【0060】
本実施の形態3では、制御部31は、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bのそれぞれについて、第1の制御情報及び第2の制御情報を生成し、第1の制御情報及び第2の制御情報を、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bのそれぞれに送信する。
【0061】
そのため、センサ20は、第1の搬送車10Aの位置に関する情報、及び、第2の搬送車10Bの位置に関する情報を、通信部32を介して、制御部31に送信する。
位置情報生成部311は、第1の搬送車10Aの位置に関する情報に基づいて、第1の搬送車10Aの位置を示す位置情報を生成すると共に、第2の搬送車10Bの位置に関する情報に基づいて、第2の搬送車10Bの位置を示す位置情報を生成する。そして、位置情報生成部311は、生成された第1の搬送車10Aの位置情報及び第2の搬送車10Bの位置情報を評価部312に出力する。
【0062】
評価部312は、第1の搬送車10Aの位置情報に基づいて、第1の搬送車10Aの第2の走行経路R2を特定し、第1の搬送車10Aの第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とを比較し、その比較結果を示す評価情報を生成すると共に、第2の搬送車10Bの位置情報に基づいて、第2の搬送車10Bの第2の走行経路R2を特定し、第2の搬送車10Bの第1の走行経路R1と第2の走行経路R2とを比較し、その比較結果を示す評価情報を生成する。そして、評価部312は、生成された第1の搬送車10Aの評価情報及び第2の搬送車10Bの評価情報を予測部313に出力する。
【0063】
予測部313は、第1の搬送車10Aの評価情報に基づいて、第1の搬送車10Aが今後走行する第3の走行経路R3を予測し、予測された第3の走行経路R3を含む予測情報を生成すると共に、第2の搬送車10Bの評価情報に基づいて、第2の搬送車10Bが今後走行する第3の走行経路R3を予測し、予測された第3の走行経路R3を含む予測情報を生成する。そして、予測部313は、生成された第1の搬送車10Aの予測情報及び第2の搬送車10Bの予測情報を制御情報生成部314に出力する。
【0064】
制御情報生成部314は、第1の搬送車10Aを第1の走行経路R1を走行させる場合には、第1の搬送車10Aの第1の走行経路R1に基づいて、第1の搬送車10Aの第1の制御情報を生成し、生成された第1の搬送車10Aの第1の制御情報を、通信部32を介して、第1の搬送車10Aに送信する。
【0065】
また、制御情報生成部314は、第2の搬送車10Bを第1の走行経路R1を走行させる場合には、第2の搬送車10Bの第1の走行経路R1に基づいて、第2の搬送車10Bの第1の制御情報を生成し、生成された第2の搬送車10Bの第1の制御情報を、通信部32を介して、第2の搬送車10Bに送信する。
【0066】
また、制御情報生成部314は、第1の搬送車10Aの走行軌道を第1の走行経路R1に向けて修正する場合には、第1の搬送車10Aの第1の走行経路R1及び第3の走行経路R3に基づいて、第1の搬送車10Aの第2の制御情報を生成し、生成された第1の搬送車10Aの第2の制御情報を、通信部32を介して、第1の搬送車10Aに送信する。
【0067】
また、制御情報生成部314は、第2の搬送車10Bの走行軌道を第1の走行経路R1に向けて修正する場合には、第2の搬送車10Bの第1の走行経路R1及び第3の走行経路R3に基づいて、第2の搬送車10Bの第2の制御情報を生成し、生成された第2の搬送車10Bの第2の制御情報を、通信部32を介して、第2の搬送車10Bに送信する。
【0068】
なお、上記の説明では、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bの双方の第2の走行経路R2を特定したが、第1の搬送車10A又は第2の搬送車10Bのどちらか一方の第2の走行経路R2を特定すれば良い。この場合、特定された第2の走行経路R2に基づいて、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bの走行の予測や制御を行っても良い。
【0069】
また、上記の説明では、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bの位置情報を生成しているが、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bの位置情報の代わりに、物品Xの位置情報を生成しても良い。この場合、物品Xの位置情報に基づいて、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bの双方の第2の走行経路R2を特定するか、又は、第1の搬送車10A又は第2の搬送車10Bのどちらか一方の第2の走行経路R2を特定しても良い。
【0070】
ただし、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bで物品Xを協調搬送する場合、後続車となる第2の搬送車10Bが物品Xを押すことで物品Xを搬送する。その結果、先導車となる第1の搬送車10Aは、後方から第2の搬送車10Bに押されながら走行することになるため、第2の搬送車10Bと比較して、第1の走行経路R1から逸れやすい。
【0071】
そのため、制御部31は、第1の制御情報及び第2の制御情報については、第1の搬送車10Aに送信する。
【0072】
この場合、制御部31は、第2の搬送車10Bに対しては、第1の制御情報を継続して送信し、第1の制御情報で第2の搬送車10Bを制御しても良い。又は、第2の搬送車10Bは、制御部31の制御の元で走行しなくても良い。例えば、第2の搬送車10Bは、第1の搬送車10Aを検知するセンサを搭載し、センサ結果に基づいて第1の搬送車10Aに追従して走行しても良いし、第1の搬送車10Aがマスタとなって、スレーブとなる第2の搬送車10Bを制御しても良い。また、第1の搬送車10Aがマスタとなる場合は、第1の搬送車10Aは、制御部31からの第1の搬送車10Aの第1の制御情報及び第2の制御情報を、第2の搬送車10Bのために修正し、修正した第1の制御情報及び第2の制御情報を第2の搬送車10Bに転送しても良い。
【0073】
ただし、制御部31は、第1の制御情報及び第2の制御情報を第1の搬送車10Aに送信することに限られない。制御部31は、第1の制御情報及び第2の制御情報を第2の搬送車10Bに送信してもよい。また、制御部31は、第1の制御情報及び第2の制御情報を第1の搬送車10A及び第2の搬送車10B双方に送信してもよい。
【0074】
上述したように本実施の形態3によれば、制御部31は、第1の制御情報及び第2の制御情報を、第1の搬送車10A及び第2の搬送車10Bの双方に送信するか、又は、第1の搬送車10Aのみに送信する。
そのため、第2の搬送車10Bが後方から第1の搬送車10Aを押すことにより、第1の搬送車10Aが、第1の走行経路R1から逸れて走行してしまっている場合にも、第1の搬送車10Aの走行軌道を修正することができる。
【0075】
なお、本実施の形態3においては、協調搬送を、先導車である第1の搬送車10Aと後続車である第2の搬送車10Bとで物品Xを挟み込んで搬送するものと定義したが、これには限らない。協調搬送は、物品Xを、進行方向に対して、左右の搬送車で挟み込んで搬送するものであっても良い。
【0076】
<他の実施形態>
上述した実施の形態では、センサ20は、搬送車10が物品Xを搬送する際に、搬送車10の位置に関する情報を検知していたが、物品Xの重さや大きさをさらに検知しても良い。そして、本開示に係る搬送システムには、搬送車10が物品Xを搬送したときのデータ(例えば、物品Xの重さや大きさなどの物品情報、物品Xを搬送した第1の走行経路R1、制御情報など)を保管する不図示の保管部を構成に加えても良い。この場合、制御部31は、搬送車10が次回に別の物品X1を第1の走行経路R1で搬送する際に、保管部から、物品X1に類似した物品を、第1の走行経路R1と同じ走行経路で搬送したときのデータを読み出し、読み出されたデータを用いて、搬送車10の制御を行っても良い。このデータを用いれば、過去に搬送車10の走行軌道を修正した区間が分かる。そのため、その区間を特定区間に設定し、その特定区間を走行している又は特定区間に近付いたタイミングで、搬送車10の走行軌道を修正しても良い。
【0077】
また、上述した実施の形態では、制御部31が、搬送車10の位置に関する情報から搬送車10の位置情報を生成する役割を担っていたが、この役割をセンサ20が担っても良い。この場合、センサ20は、制御部31に対し、搬送車10の位置に関する情報を送信するのではなく、搬送車10の位置情報を送信することになる。
【0078】
また、搬送車10に角速度を検知するジャイロセンサを搭載し、制御部31は、搬送車10から収集した角速度を用いて、制御情報を生成しても良い。
また、制御部31は、物品Xの搬送前に搬送車10に模擬走行を行わせ、事前に走行軌道の修正のためのデータを取得してから、実際に搬送車10に物品Xを搬送させても良い。
【0079】
<実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成>
続いて、図10を参照して、上述した実施の形態1に係る制御装置30を実現するコンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
【0080】
図10に示されるように、コンピュータ90は、プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース(入出力I/F)94、及び通信インタフェース(通信I/F)95などを備える。プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース94、及び通信インタフェース95は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0081】
プロセッサ91は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。ストレージ93は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ93は、RAMやROMなどのメモリであっても良い。
【0082】
ストレージ93は、制御装置30が備える構成要素の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ91は、これら各プログラムを実行することで、制御装置30が備える構成要素の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ91は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ92上に読み出してから実行しても良いし、メモリ92上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ92やストレージ93は、制御装置30が備える構成要素が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0083】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ90を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0084】
入出力インタフェース94は、表示装置941、入力装置942、音出力装置943などと接続される。表示装置941は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニターのような、プロセッサ91により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置942は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサなどである。表示装置941及び入力装置942は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置943は、スピーカのような、プロセッサ91により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0085】
通信インタフェース95は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース95は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0086】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0087】
また、上述した実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1の走行経路に基づいて、物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車の位置に関する情報を、ネットワークを介して送信するセンサと、
前記搬送車及び前記センサと通信可能な通信部と、
前記通信部を介して前記搬送車を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とに基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正する、
搬送システム。
(付記2)
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、前記搬送車の位置を示す位置情報を生成し、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とを比較し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正するための制御情報を生成し、
前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
付記1に記載の搬送システム。
(付記3)
前記制御部は、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車が走行する第3の走行経路を予測し、
前記第1の走行経路と前記第3の走行経路とに基づいて、前記制御情報を生成する、
付記2に記載の搬送システム。
(付記4)
前記制御部は、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車の前記第1の走行経路からのずれ量が所定値以上となったと判断した場合には、前記制御情報を生成し、前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
付記2又は3に記載の搬送システム。
(付記5)
前記制御部は、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車が特定区間を走行していると判断した場合には、前記制御情報を生成し、前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
付記2又は3に記載の搬送システム。
(付記6)
前記搬送車は、
第1の搬送車と、
前記第1の搬送車と協調して前記物品を搬送する第2の搬送車と、を含む、
付記1から5のいずれか1項に記載の搬送システム。
(付記7)
前記制御部は、前記第1の搬送車に、前記通信部を介して、前記制御情報を送信する、
付記6に記載の搬送システム。
(付記8)
第1の走行経路に基づいて物品を搬送する搬送車と通信可能な通信部と、
前記通信部を介して前記搬送車を制御する制御部と、
を含み、
前記通信部は、
ネットワークを介してセンサから、前記搬送車の位置に関する情報を受信し、
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とに基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正する、
制御装置。
(付記9)
前記制御部は、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、前記搬送車の位置を示す位置情報を生成し、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とを比較し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正するための制御情報を生成し、
前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
付記8に記載の制御装置。
(付記10)
前記制御部は、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車が走行する第3の走行経路を予測し、
前記第1の走行経路と前記第3の走行経路とに基づいて、前記制御情報を生成する、
付記9に記載の制御装置。
(付記11)
前記制御部は、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車の前記第1の走行経路からのずれ量が所定値以上となったと判断した場合には、前記制御情報を生成し、前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
付記9又は10に記載の制御装置。
(付記12)
前記制御部は、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車が特定区間を走行していると判断した場合には、前記制御情報を生成し、前記制御情報を、前記通信部を介して、前記搬送車に送信する、
付記9又は10に記載の制御装置。
(付記13)
前記搬送車は、
第1の搬送車と、
前記第1の搬送車と協調して前記物品を搬送する第2の搬送車と、を含み、
前記制御部は、
前記第1の搬送車に、前記通信部を介して、前記制御情報を送信する、
付記9から12のいずれか1項に記載の制御装置。
(付記14)
制御装置が実行する制御方法であって、
第1の走行経路に基づいて物品を搬送する搬送車の位置に関する情報を、ネットワークを介してセンサから受信する受信ステップと、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、第2の走行経路を特定し、前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とに基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正する制御ステップと、を含む、
制御方法。
(付記15)
前記制御ステップでは、
前記搬送車の位置に関する情報に基づいて、前記搬送車の位置を示す位置情報を生成し、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記第2の走行経路を特定し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路とを比較し、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車の走行軌道を修正するための制御情報を生成し、
前記制御情報を、前記搬送車に送信する、
付記14に記載の制御方法。
(付記16)
前記制御ステップでは、
前記第1の走行経路と前記第2の走行経路との比較結果に基づいて、前記搬送車が走行する第3の走行経路を予測し、
前記第1の走行経路と前記第3の走行経路とに基づいて、前記制御情報を生成する、
付記15に記載の制御方法。
(付記17)
前記制御ステップでは、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車の前記第1の走行経路からのずれ量が所定値以上となったと判断した場合には、前記制御情報を生成し、前記制御情報を、前記搬送車に送信する、
付記15又は16に記載の制御方法。
(付記18)
前記制御ステップでは、
前記搬送車の位置情報に基づいて、前記搬送車が特定区間を走行していると判断した場合には、前記制御情報を生成し、前記制御情報を、前記搬送車に送信する、
付記15又は16に記載の制御方法。
(付記19)
前記搬送車は、
第1の搬送車と、
前記第1の搬送車と協調して前記物品を搬送する第2の搬送車と、を含む、
付記15から18のいずれか1項に記載の制御方法。
【符号の説明】
【0088】
1,2,3 搬送システム
10 搬送車
10A 第1の搬送車
10B 第2の搬送車
20 センサ
30 制御装置
31 制御部
311 位置情報生成部
312 評価部
313 予測部
314 制御情報生成部
32 通信部
90 コンピュータ
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ストレージ
94 入出力インタフェース
941 表示装置
942 入力装置
943 音出力装置
95 通信インタフェース
X 物品
R1 第1の走行経路
R2 第2の走行経路
R3 第3の走行経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10