(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】インパクト検出装置、インパクト検出方法
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20241106BHJP
A63B 60/46 20150101ALI20241106BHJP
【FI】
A63B69/36 541Z
A63B60/46
(21)【出願番号】P 2022581199
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2021042870
(87)【国際公開番号】W WO2022172556
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2021019524
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】能澤 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】古樋 知重
(72)【発明者】
【氏名】川野 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴志
(72)【発明者】
【氏名】牧野 純
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健太
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-187749(JP,A)
【文献】米国特許第05951410(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B69/00-A63B69/40
A63B60/00-A63B60/64
JSTPlus(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状部と、前記柱状部に接続される打撃部とを有するスポーツ用具に対して、前記打撃部には接続されず、前記柱状部に取り付けられ、前記スポーツ用具がスイングされることによって得られるセンサ信号を出力するセンサと、
前記センサ信号を用いて、前記打撃部が外部から圧力を受けることによって出力される前記センサ信号の時間変化から、前記打撃部が外部から圧力を受けるタイミングを検出する特徴データ抽出部と、
を備え、
前記特徴データ抽出部は、
前記センサによって検出された前記センサ信号から得られる前記柱状部の捻れ成分に応じた前記タイミングをインパクトのタイミングとして判定する、
インパクト検出装置。
【請求項2】
前記センサは、前記捻れ成分を検出し、前記センサ信号を出力する、請求項1に記載のインパクト検出装置。
【請求項3】
前記特徴データ抽出部は、
前記センサ信号に対する閾値を記憶しており、
前記センサ信号が前記閾値を超えた時点を基準として、前記タイミングを抽出する、請求項1に記載のインパクト検出装置。
【請求項4】
前記タイミングを送信する通信部を備えた、請求項3に記載のインパクト検出装置。
【請求項5】
前記タイミングを解析することによって得られた結果を通知する通知部を備えた、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインパクト検出装置。
【請求項6】
前記センサは、前記柱状部の曲げ成分を検出し、前記センサ信号を出力する、請求項1に記載のインパクト検出装置。
【請求項7】
前記特徴データ抽出部は、
前記センサ信号の所定時間あたりの電圧の変化量が前記閾値以上であることに基づいて、前記タイミングの特徴点を抽出する、請求項3に記載のインパクト検出装置。
【請求項8】
前記特徴点は、
所定時間内において、前記タイミングの値の微分値が正から負に変わる点、または負から正に変わる点である、請求項7に記載のインパクト検出装置。
【請求項9】
柱状部と、前記柱状部に接続される打撃部とを有するスポーツ用具に対して、前記打撃部には接続されず、前記柱状部に取り付けられたセンサが、前記スポーツ用具がスイングされることによって得られるセンサ信号を出力するステップと、
前記センサ信号を用いて、前記打撃部が外部から圧力を受けることによって出力される前記センサ信号の時間変化から、前記打撃部が外部から圧力を受けるタイミングを検出するステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記タイミングを検出するステップは、
前記センサによって検出された前記センサ信号から得られる前記柱状部の捻れ成分に応じた前記タイミングをインパクトのタイミングとして判定する、
インパクト検出方法。
【請求項10】
前記タイミングを検出ステップにおいて、
前記コンピュータは、
前記センサ信号に対する閾値を超えた時点を基準として、前記タイミングを抽出する、
請求項9に記載のインパクト検出方法。
【請求項11】
前記タイミングを検出ステップにおいて、
前記コンピュータは、
前記センサ信号の所定時間あたりの電圧の変化量が前記閾値以上であることに基づいて、前記タイミングの特徴点を抽出する、請求項10に記載のインパクト検出方法。
【請求項12】
前記特徴点は、
所定時間内において、前記タイミングの値の微分値が正から負に変わる点、または負から正に変わる点である、請求項11に記載のインパクト検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用具が所望の物体へインパクトするタイミングを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シャフトにセンサ装置を取り付けることによって、利用者のゴルフクラブをスイングする動作を解析する装置が記載されている。
【0003】
特許文献1のセンサ装置には、複数のセンサが含まれている。具体的には、加速度センサ、角速度センサ、および歪みセンサである。当該装置は、加速度センサ、および角速度センサから得られる情報と、シャフトの歪みから得られる情報に基づいて使用者のゴルフクラブのスイングを解析している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の構成では、複数のセンサを用いる必要があり、それらのセンサから得られる情報を統合的に解析することによって使用者のスイングを検出している。すなわち、装置の構造が複雑になり、処理が煩雑になる虞があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、簡素な構造でゴルフクラブがゴルフボールへインパクトするタイミングをより精度よく検出できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のインパクト検出装置は、柱状部と、柱状部に接続される打撃部とを有するスポーツ用具に対して、打撃部には接続されず、柱状部に取り付けられ、スポーツ用具がスイングされることによって得られるセンサ信号を出力するセンサと、センサ信号を用いて、打撃部が外部から圧力を受けることによって出力されるセンサ信号の時間変化から、打撃部が外部から圧力を受けるタイミングを検出する特徴データ抽出部とを備える。
【0008】
この構成では、簡素な構造を用いて、スポーツ用具が所望物体へインパクトするタイミングを検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、簡素な構造でスポーツ用具の柱状部が所望物体へインパクトするタイミングをより精度よく検出できる。例えば、スポーツ用具がゴルフクラブであれば、ゴルフクラブがゴルフボールへインパクトするタイミングをより精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の概要図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10のブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の特徴データ抽出部130のブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10を動作させることによって検出される電圧を示すグラフである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10を動作させることによって検出される電圧の特徴点を抽出した結果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の送信側装置11の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の受信側装置12の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係るインパクト検出装置10Aのブロック図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るインパクト検出装置10Aを動作させることによって検出される電圧を示すグラフである。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係るインパクト検出装置10Bのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るインパクト検出装置について、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の概要図である。
図2は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10のブロック図である。
図3は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の特徴データ抽出部130のブロック図である。
図4は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10を動作させることによって検出される電圧を示すグラフである。
図5は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10を動作させることによって検出される電圧の特徴点を抽出した結果を示すグラフである。
図6は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の動作を示すフローチャートである。
図7は、第1の実施形態に係るインパクト検出装置10の受信側装置12の動作を示すフローチャートである。なお、各図は、インパクト検出装置の構成を分かり易くするため、それぞれの構成要素の形状を部分的または全体として誇張して記載している。
【0012】
(インパクト検出装置の概要)
図1を用いて、インパクト検出装置10の概要を示す。インパクト検出装置10は、送信側装置11と受信側装置12を備える。
図1に示すように、送信側装置11は、ゴルフクラブ200のシャフト201の表面に取り付けられている。
【0013】
ゴルフクラブ200は例えば、ドライバーである。ゴルフクラブ200はドライバーに限らず、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、パターのいずれであってもよい。なお、ゴルフクラブ200が本発明の「スポーツ用具」に対応し、シャフト201が本発明の「柱状部」に対応し、ヘッド202が本発明の「打撃部」に対応する。
【0014】
利用者は、ゴルフクラブ200を用いて、ゴルフボールを打つ(スイング動作)。この時、センサ素子110は、このスイング動作による捻れを検出する。送信側装置11は、この捻れから算出したセンサ信号を用いて、解析を行う。
【0015】
送信側装置11は、当該結果を受信側装置12に送信する。受信側装置12は、当該結果を受信する。受信側装置12は、当該結果を用いて、グラフ化等の処理を行う。利用者は、グラフ化等のGUI表示された特徴を確認する。なお、この特徴とは利用者のスイングの強弱、タイミング、癖などである。さらに、利用者のスイングに対するアドバイスが表示されているとよい。
【0016】
(インパクト検出装置の詳細)
次に、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7を用いて、インパクト検出装置10の詳細な構成について説明する。インパクト検出装置10の送信側装置11は、センサ素子110、センサ信号生成部120、特徴データ抽出部130、通信部140を備える。特徴データ抽出部130は、AD変換部131、インパクトタイミング検出部132、および、特徴点抽出部133を備える。
【0017】
センサ信号生成部120、特徴データ抽出部130、通信部140は、例えば、回路基板等に実装されたIC等の複数の電子回路素子によって実現される。
【0018】
インパクト検出装置10の受信側装置12は、通信部150、波形処理部160、スイング検出部170、通知部180を備える。なお、受信側装置12は、例えばスマートフォン、タブレット等の通信手段および表示手段等を備えた装置であればよい。
【0019】
インパクト検出装置10の詳細な構成、および処理の流れを説明する。利用者は、ゴルフクラブ200を用いて、ゴルフボールを打つ(スイング動作)。
【0020】
利用者がゴルフボールを打つことで、ゴルフクラブ200のヘッド202にゴルフボールが衝突(インパクト)する。このことによって、ゴルフボールは前方へ飛ぶ。この際、ヘッド202には、インパクトの瞬間に反発力が伝わり、この反発力がシャフト201に伝わる。この反発力によって、シャフト201には捻れが発生する。なお、反発力とはヘッド202が外部から圧力を受けることによって発生する力である。
【0021】
センサ素子110は、この捻れを検出する。より具体的には、センサ素子110は、圧電性を有する膜状の主体と、検出用電極とを備える。主体は、例えば、ポリ乳酸を主成分としており、曲げおよび捻れに応じて分極する。検出用電極は、シャフト201の表面に取り付けられている。検出用電極は、曲げによる電荷、および、捻れによる電荷を出力可能なように、シャフト201に取り付けられている。
【0022】
このセンサ素子110を用いた場合、曲げの方向および捻れの方向に応じて分極方向が変化する。また、曲げの大きさおよび捻れの大きさに応じて分極によって生じる電荷の大きさが異なる。すなわち、利用者がゴルフクラブ200をスイングした際に、インパクトのような強い衝撃時には大きな電荷が発生し、インパクトがない小さい衝撃時には小さな電荷が発生する。
【0023】
センサ信号生成部120は、センサ素子110で発生した電荷から電圧信号を生成する。センサ信号生成部120は、所定の電子回路によって実現される。センサ信号生成部120は、例えば、積分回路を含み、センサ素子110で発生した電荷から電圧信号であるセンサ信号を生成する。
【0024】
センサ信号生成部120は、センサ信号を特徴データ抽出部130に出力する。AD変換部131は、センサ信号をAD変換(アナログデジタル変換)する。AD変換部131は、デジタル化されたセンサ信号を、インパクトタイミング検出部132に出力する。
【0025】
インパクトタイミング検出部132は、例えば、センサ信号が閾値を超えたタイミングを検出し、この検出タイミングをインパクトのタイミング(以下、インパクトタイミング)として検出する。インパクトタイミング検出部132は、センサ信号とインパクトタイミングとを、特徴点抽出部133に出力する。
【0026】
なお、インパクトタイミング検出部132が閾値として用いる値は、任意に設定できる。閾値は、例えばゴルフクラブ200の種類によって決定されるものでも、利用者の性別や体型によって決定されるものであってもよい。
【0027】
このように、インパクト検出装置10はシャフト201に取り付けたセンサ素子110からの出力(センサ信号)だけで、インパクトタイミングを検出することができる。
【0028】
特徴点抽出部133は、インパクトタイミングから所定時間長のセンサ信号を抽出して、特徴点抽出部133として出力する。より具体的には、特徴点抽出部133は、インパクトタイミングの前後数秒間(例えば2秒間)を切り出す。特徴点抽出部133は、
図5のグラフに示すように、特徴データ抽出部130は、この切り出した結果から複数の特徴点を抽出する。
【0029】
図5における特徴点とは、例えばF1,F2,F3,F4などである。この特徴点は、所定時間内において各値の微分値が正から負に変わる点、または負から正に変わる点などを用いる。特徴点抽出部133は、特徴点F1,F2,F3,F4を8bitのデータ(以下、特徴点データ)に変換する。特徴点データには、インパクトタイミングを含んでもよい。
【0030】
なお、特徴データ抽出部130は、所定時間あたりの電圧の変化量が閾値以上(閾値は例えば、2.0V~2.5V、もしくは3V)である点や、大きさ、方向性を持つ値の変化を用いて、特徴点を抽出してもよい。
【0031】
特徴データ抽出部130は、通信部140を介して、特徴点データを受信側装置12に送信する。通信部140は無線通信を行う。この無線通信は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)である。BLEを用いることによって、省電力かつスマートフォンなどのデバイスとの親和性が向上し、利便性が高い通信を実現できる。
【0032】
受信側装置12の通信部150は、特徴点データを受信する。通信部150は、特徴点データを波形処理部160に出力する。波形処理部160は、特徴点データをフーリエ変換し、各周波数成分で比較する。
【0033】
この比較方法を詳しく説明する。まず、フーリエ変換後の固有振動数を低周波数側、高周波数側の2つの領域に分けて解析を行う。具体的には、波形処理部160は、低周波数側、高周波数側のそれぞれの範囲で発生する最大スペクトルの周波数を取得する。例えば、低周波数側は3~10Hzであり、高周波数側は10~100Hzである。なお、低周波数側と高周波数側の周波数は適宜決定できる。
【0034】
波形処理部160は、利用者のスイングの強弱、タイミング、癖などの解析結果から得られたデータをスイング検出部170に出力する。スイング検出部170は、解析結果から得られたデータを数値化する。このとき、スイング検出部170は、当該数値がシャフト201の種別(ゴルフクラブ200の種別)に依存する値であるか、利用者に依存する値であるかを判定する。
【0035】
さらに、スイング検出部170は、人工知能AI(Artificial Intelligence)を用いて解析するとよい。この場合、AIは実験データで得られたデータとターゲットであるラベル付けがされたデータに近いものに分類する学習データ(教師データ)を用いてもよいし、波形の特徴からK-means法を用いて、任意のN個に分類してもよい。このようにAIを用いることによって、利用者のスイングの特徴(利用者のスイングの強弱、タイミング、癖など)を比較することができる。
【0036】
スイング検出部170は、数値化した結果を通知部180に出力する。通知部180は、
図1に示す通知部180のようにグラフ等を用いて、当該結果をGUI表示する。利用者は、自身のスイング動作から得られた特徴を確認する。通知部180には、利用者のスイングの強弱、タイミング、癖などがグラフで表示されており、さらには利用者のスイングに対するアドバイスが表示されているとよい。このとき、通知部180には、スイングの特徴がグラフを用いて表示されているため、利用者にとって視覚的に分かりやすいというメリットが得られる。
【0037】
図6、
図7を用いて、インパクト検出装置10の処理の流れを説明する。まず、
図6を用いて、送信側装置11の処理の流れを説明する。
【0038】
センサ素子110は、スイング動作によって発生する、捻れを検出する(S101)。
【0039】
センサ信号生成部120は、センサ素子110で発生した電荷から電圧信号を生成する。センサ信号生成部120は、電圧信号を特徴データ抽出部130に出力する(S102)。
【0040】
特徴データ抽出部130は、AD変換後の電圧の絶対値を算出し、この電圧の絶対値が閾値を超えたタイミングから、ゴルフクラブ200のヘッド202がゴルフボールにインパクトしたタイミングを検出する(S103)。
【0041】
特徴データ抽出部130は、インパクトのタイミングの前後数秒間から特徴点を抽出する(S104)。
【0042】
特徴データ抽出部130は、通信部140を介して、特徴点データを受信側装置12に送信する(S105)。
【0043】
次に、
図7を用いて、受信側装置12の処理の流れを説明する。
受信側装置12の通信部150は、特徴点データを受信する(S111)。
【0044】
通信部150は、特徴点データを波形処理部160に出力する。波形処理部160は、当該特徴点データをフーリエ変換し、各周波数成分で比較する(S112)。
【0045】
波形処理部160は、解析を行った結果をスイング検出部170に出力する。スイング検出部170は、解析結果から得られたデータを数値化する(S113)。
【0046】
スイング検出部170は、数値化した結果を通知部180に出力する。通知部180は、当該結果をGUI表示する(S114)。
【0047】
このように構成することで、シャフトにのみ取り付けられた簡素な構造であっても、インパクトタイミングを含む、利用者自身のスイング時の特徴を精度よく検出できる。また、シャフトに取り付けられたインパクト検出装置は非常に軽量であるため、利用者の使用感を損なわない。
【0048】
上述の構成では、インパクト検出装置10の送信側装置11の取り付け位置を特に既定していない。このことによって、使用者は取り付け位置を意識する必要がなく、利便性が高い。
【0049】
なお、上述の構成において、送信側装置11を取り付ける位置は任意である。しかしながら、利用者がパター(ゴルフクラブ200)をスイングする場合には、ヘッド202に近い位置に取り付けるとよい。この場合、センサ素子110は、ゴルフボールからの反発力が小さくてもシャフト201の捻れを精度よく検出できる。逆に言えば、ゴルフクラブ200の種類が異なっていた場合に送信側装置11を取り付ける位置を同じにすると、ゴルフクラブ200の種類を判定できる。
【0050】
また、上述の構成では、受信側装置12に波形処理部160、スイング検出部170を備える構成を示した。しかしながら、送信側装置11に波形処理部160、スイング検出部170を備える構成であってもよい。この場合、受信側装置12は、結果を表示するのみでよい。このように構成することで、受信側装置12の種別、スペックに影響されない構成を提供できる。
【0051】
また、上述の構成では、センサ素子110はシャフト201の捻れを検出している。しかしながら、センサ素子110はシャフト201の曲げを検出してもよい。
【0052】
また、第1の実施形態におけるインパクト検出装置10は、利用者の履歴データを保存できる記憶部を備えている構成であってもよい。この場合、通知部180に出力するデータを履歴表示することが可能である。この構成であれば、インパクト時を含めた前回までのスイングと今回のスイングの比較等を行うことができる。
【0053】
さらに、この記憶部にゴルフの見本となるプレイヤーのスイング時の特徴を記憶させておくことにより、自身のスイングと見本となるプレイヤーのスイングとの比較を行うことができる構成であってもよい。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るインパクト検出装置について、図を参照して説明する。
図8は、第2の実施形態に係るインパクト検出装置10Aのブロック図である。
図9は、第2の実施形態に係るインパクト検出装置10Aを動作させることによって検出される電圧を示すグラフである。
【0055】
図8、
図9に示すように、第2の実施形態に係るインパクト検出装置10Aは、送信側装置11Aの構成において、第1の実施形態係るインパクト検出装置10と異なる。インパクト検出装置10Aの他の構成は、インパクト検出装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、インパクト検出装置10Aは、送信側装置11Aと受信側装置12を備える。送信側装置11Aは、センサ素子110、センサ信号生成部120、特徴データ抽出部130、誤検知判定部135、通信部140を備える。
【0057】
誤検知判定部135は、特徴点に異常が発生しているかどうかを判定する。より具体的な処理の流れを
図8、
図9を用いて説明する。
図9に示すように、特徴データ抽出部130は、複数の特徴点F5,F6,F7,F8を抽出する。
【0058】
誤検知判定部135は、基準となる電圧(この場合は基準電圧V3)を用いて、各特徴点の大きさを判定する。誤検知判定部135は、特徴点F5,F6においては、基準電圧V3に対する電圧の振幅が小さすぎると判定する(V2-V4の間)。この場合、誤検知判定部135は、インパクト検出装置10Aの接触不良が発生していると判定する。また、特徴点F8においては、基準電圧V3における電圧の振幅が大きすぎると判定する(V1)。この場合、誤検知判定部135は、電圧が飽和すると判定する。一方、特徴点F7においては、誤検知判定部135は正常であると判定する。
【0059】
誤検知判定部135は、複数の特徴点において少なくとも1つの異常値が発生していると判定した場合、判定結果を特徴データ抽出部130に出力する。
【0060】
特徴データ抽出部130は、当該判定結果に基づいて、以降の処理を継続するかどうかを判定する。このとき、少なくとも1つの異常値が発生している場合には、特徴データ抽出部130は、処理を中断し、警告メッセージ等を表示するとよい。
【0061】
このように構成することでも利用者自身のスイングおよびインパクト時の特徴を精度よく検出できる。さらには、インパクト検出装置10Aに異常が発生した場合には、異常データを用いて判定を行うことがなくなるため、より精度の高いスイングおよびインパクト時の特徴を検出できる。
【0062】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るインパクト検出装置について、図を参照して説明する。
図10は、第3の実施形態に係るインパクト検出装置10Bのブロック図である。
【0063】
図10に示すように、第3の実施形態に係るインパクト検出装置10Bは、第1の実施形態における送信側装置11と受信側装置12の構成を備えている点において、第1の実施形態係るインパクト検出装置10と異なる。インパクト検出装置10Bの他の構成は、インパクト検出装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0064】
図10に示すように、インパクト検出装置10Bは、センサ素子110、センサ信号生成部120、演算部190、通知部180を備える。演算部190は、特徴データ抽出部130、波形処理部160、スイング検出部170を備える。通知部180は、例えばLEDのような簡素な通知機能を備えている。この通知部180は、利用者がスイングした結果を色や表示等で通知する。
【0065】
演算部190(スイング検出部170)は、解析結果から得られたデータを数値化する。スイング検出部170は、数値化した結果から、例えばゴルフボールに正常にインパクトしたかどうかを判定するようなOK,NG等の簡易結果を算出する。スイング検出部170はこの簡易結果を通知部180に出力する。通知部180は、簡易結果に基づいて、LEDの色を変える。このことによって、利用者はスイングした結果が正常かどうかを視覚的に判断できる。
【0066】
このように構成することでも利用者自身のスイングおよびインパクト時の特徴を精度よく検出できる。さらには、インパクト検出装置10Bは、通信部を備えない構成を用いた場合、通信不良等で結果が表示されないなどの不具合を解消できる。
【0067】
なお、上述の説明では、スポーツ用具として、ゴルフクラブを用いる態様を示した。しかしながら、柱状部を有し、ボールやシャトル等の所望物体がインパクトした際に、柱状部に変位が生じるスポーツ用具(例えば、野球等のバット、テニスやバドミントン等のラケット)であれば、本願発明の構成を適用し、同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0068】
F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8…特徴点
10,10A,10B…インパクト検出装置
11,11A…送信側装置
12…受信側装置
110…センサ素子
120…センサ信号生成部
130…特徴データ抽出部
131…AD変換部
132…インパクトタイミング検出部
133…特徴点抽出部
135…誤検知判定部
140,150…通信部
160…波形処理部
170…スイング検出部
180…通知部
190…演算部
200…ゴルフクラブ
201…シャフト
202…ヘッド