(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】規制解除装置
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20241106BHJP
B62D 21/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B62D21/00 Z
(21)【出願番号】P 2023014059
(22)【出願日】2023-02-01
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関内 陵博
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-70661(JP,U)
【文献】実開平3-109268(JP,U)
【文献】実開昭61-71517(JP,U)
【文献】実開平1-158322(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規制位置と、非規制位置との間を回動する回動部を用いて、車両の内側位置から外側位置へのバッテリーの移動を規制する規制装置の規制を解除する規制解除装置であって、
前記規制位置に位置する前記回動部に向けて移動可能な移動部と、
前記移動部に支持される解除部と、
を備え、
前記解除部は、
前記移動部が前記回動部に向けて移動することによって前記回動部と接触可能になる位置に配置され、前記回動部と接触することで、前記回動部を前記規制位置から前記非規制位置に回動させるピン部材と、
前記ピン部材が前記回動部と接触する位置を含む範囲で前記ピン部材を回動可能に支持する支持部を含む被固定部と、
を含む、
規制解除装置。
【請求項2】
前記ピン部材は、前記回動部と接触する位置である第1位置と、前記ピン部材の先端の向きが前記第1位置における前記先端の向きとは異なる向きとなる第2位置との間を回動可能であり、
前記解除部は、
前記第2位置から前記第1位置に向けて前記ピン部材を付勢する付勢部材、を含む、
請求項1に記載の規制解除装置。
【請求項3】
前記被固定部は、前記ピン部材の回動範囲と重なる位置に配置され、前記ピン部材の前記回動範囲に対応する位置に形成された貫通孔を有する、
請求項1に記載の規制解除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、規制解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド車両等、バッテリーを備える車両においては、車両の内側でバッテリーが車体に固定される。例えば、特許文献1には、メインロック装置と、メインロック装置が誤作動等でアンロック状態になってバッテリーが落下することを防ぐための、フェールセーフロック装置とを有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の中には、スライド部を介して、車両の内側と外側の間でバッテリーを引出、収納可能な構成が存在するが、当該構成では、車両の停車時の傾斜状態に起因して、作業者が意図しないタイミングでバッテリーが引き出されてしまうおそれがある。そのため、バッテリーが引き出されることを規制する規制機構を設けることが好ましい。
【0005】
しかしながら、作業者のマニュアル操作で規制装置による規制を解除する場合、作業者の負担が増大する可能性があるので、簡易に当該規制を解除可能とすることが望まれる。
【0006】
本開示の目的は、規制装置による規制を簡易に解除することが可能な規制解除装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る規制解除装置は、
規制位置と、非規制位置との間を回動する回動部を用いて、車両の内側位置から外側位置へのバッテリーの移動を規制する規制装置の規制を解除する規制解除装置であって、
前記規制位置に位置する前記回動部に向けて移動可能な移動部と、
前記移動部に支持される解除部と、
を備え、
前記解除部は、
前記移動部が前記回動部に向けて移動することによって前記回動部と接触可能になる位置に配置され、前記回動部と接触することで、前記回動部を前記規制位置から前記非規制位置に回動させるピン部材と、
前記ピン部材が前記回動部と接触する位置を含む範囲で前記ピン部材を回動可能に支持する支持部を含む被固定部と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、規制装置による規制を簡易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る規制解除装置が適用される取付装置を備えた車両を示す図である。
【
図3A】内側位置と外側位置との間におけるバッテリーの移動を説明するための図である。
【
図3B】内側位置と外側位置との間におけるバッテリーの移動を説明するための図である。
【
図6A】回動部の回動について説明するための図である。
【
図6B】回動部の回動について説明するための図である。
【
図7A】外側位置から内側位置に移動する際の回動部材の動作について説明するための図である。
【
図7B】外側位置から内側位置に移動する際の回動部材の動作について説明するための図である。
【
図7C】外側位置から内側位置に移動する際の回動部材の動作について説明するための図である。
【
図8】本実施の形態に係る規制解除装置の斜視図である。
【
図10A】解除部の解除動作を説明するための図である。
【
図10B】解除部の解除動作を説明するための図である。
【
図11A】バッテリー交換時の解除部の挙動を説明するための図である。
【
図11B】バッテリー交換時の解除部の挙動を説明するための図である。
【
図11C】バッテリー交換時の解除部の挙動を説明するための図である。
【
図12A】規制解除装置を取り外す際の解除部の挙動を説明するための図である。
【
図12B】規制解除装置を取り外す際の解除部の挙動を説明するための図である。
【
図12C】規制解除装置を取り外す際の解除部の挙動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係る規制解除装置が適用される取付装置を備えた車両を示す図である。
【0011】
本実施の形態の規制装置に関する構造を説明するにあたり、直交座標系(X,Y,Z)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。X方向は、規制装置が搭載される車両1の左右方向を示し、Y方向は車両1の前後方向を示し、Z方向は車両1の上下方向を示す。
【0012】
図1に示すように、車両1は、電気自動車、ハイブリッド車両等、バッテリー2で走行可能な車両である。また、車両1は、トラック等の大型車両であり、荷台1Aを搭載している。また、車両1における、荷台1Aが搭載された車体1Bには、バッテリー2を取り付けるための取付装置10が設けられている。
【0013】
バッテリー2は、取付装置10により車両1の内側位置で、車両1の外側位置への移動を規制された状態で固定されている。バッテリー2を交換する際には、バッテリー2の移動の規制を解除する規制解除装置20が用いられる。
【0014】
以下の説明では、本実施の形態に係る規制解除装置20の詳細説明の前に、まず、規制解除装置20が適用される取付装置10の構成について説明する。
【0015】
図2に示すように、取付装置10は、本体部11と、スライド部12と、載置部13とを備える。
【0016】
本体部11は、荷台1Aの下方(Z方向の-側)に対応する位置に配置され、壁部111および支持部112を有する。
【0017】
壁部111は、Z方向に沿って配置される壁であり、例えば、車体1Bの側面(X方向の+側)に固定される。壁部111には、バッテリー2の側面に設けられるストライカ2Aと係合するラッチ111Aが設けられる(
図3B参照)。ラッチ111Aとストライカ2Aとが係合することで、バッテリー2が車両1に固定される。
【0018】
支持部112は、壁部111のZ方向の-側の端部からX方向の+側に向かって延びる部材であり、Y方向に並んで2つ設けられる。支持部112は、車両1にバッテリー2が固定された際に、載置部13およびバッテリー2をZ方向の-側から支持するように配置される。
【0019】
また、支持部112には、車両1の内側位置(
図3Aに示す位置)から外側位置(
図3Bに示す位置)へのバッテリー2の移動を規制するための規制部材113が設けられている。
【0020】
規制部材113は、例えば、2つの支持部112のうち、Y方向の-側に位置する支持部112から、Y方向の+側に延びて構成されている。なお、規制部材113は、支持部112に設けられていなくても良く、例えば、車体1Bの任意の箇所に設けられていても良い。
【0021】
規制部材113は、支持部112のX方向の+側の端部に配置されており、車両1の内側位置にバッテリー2が位置した際、後述する回動部130よりもX方向の+側に位置する。
【0022】
スライド部12は、バッテリー2を車両1の内側位置と外側位置との間を移動させるための伸縮式のスライドレールである。スライド部12は、例えば、支持部112に固定されている。
【0023】
図3Aに示すように、スライド部12は、最も縮んだ状態である場合、X方向において、車両1の内側の範囲に位置する。上記の内側位置は、X方向において車両1より外側にバッテリー2が位置しない位置であり、例えば、スライド部12が最も縮んだ状態のときのバッテリー2(載置部13)の位置であっても良い。
【0024】
図3Bに示すように、スライド部12は、最も伸ばした状態である場合、先端部が荷台1AよりもX方向の+側、つまり、車両1の外側の範囲に位置する。上記の外側位置は、X方向において車両1より外側であって載置部13からバッテリー2が着脱可能な位置であり、例えば、スライド部12が最も伸びた状態のときのバッテリー2(載置部13)の位置であっても良い。
【0025】
載置部13は、バッテリー2を載置する部分であり、スライド部12に取り付けられている。載置部13のZ方向の+側の面には、バッテリー2の底面に設けられるストライカ2Bと係合するラッチ13Aが設けられる。ラッチ13Aとストライカ2Bとが係合することで、バッテリー2が載置部13に固定される。
【0026】
また、載置部13が車両1の外側の範囲に位置した際に、ラッチ13Aとストライカ2Bとの係合を解除すると、バッテリー2を取り外して、交換することが可能となる。
【0027】
また、
図4に示すように、載置部13のZ方向の-側の面には、支持部13Bが設けられている。支持部13Bは、載置部13におけるX方向の+側の端部に対応する位置に配置されており、載置部13から突出して設けられる。
【0028】
支持部13Bは、車両1の内側位置から外側位置へのバッテリー2の移動を規制するための回動部130を支持する。支持部13Bは、Z方向の-側の端部においてX方向に間隔をあけて並ぶ2つの筒状部13Dを有しており、筒状部13Dで回動部130を支持する(
図5A参照)。
【0029】
また、載置部13は、X方向の+側の端部における、支持部13Bに対応する位置に設けられた切欠き13Cを有する。
【0030】
図5Aおよび
図5Bに示すように、回動部130は、載置部13の外側端部(X方向の+側の端部)に配置され、操作部材131と、回動部材132と、付勢部材133とを有する。
【0031】
操作部材131は、棒状に構成されたピンで構成されており、被支持部131Aと、操作部131Bとを有する。
【0032】
被支持部131Aは、載置部13の支持部13Bの筒状部13Dに軸支される部分であり、X方向に沿って配置される。被支持部131Aが筒状部13Dに軸支されることで、操作部材131は、被支持部131Aを回動中心として回動する(
図6Aおよび
図6B参照)。
【0033】
操作部131Bは、作業者または、規制解除装置により、回動部130を回動操作するためのものであり、被支持部131AのX方向の+側の端部から、X方向に直交する方向に延びて構成されている。
図5A等に示す例では、操作部131Bは、被支持部131AのX方向の+側の端部からY方向の-側に向けて延びている。
【0034】
操作部131Bは、回動部130において最も外側(載置部13の外側端部に対応する位置)に位置、つまり、上記の切欠き13Cに対応する位置に配置されている。
【0035】
回動部材132は、規制部材113と接触可能な位置に配置され、操作部材131の被支持部131Aに取り付けられている。回動部材132は、操作部材131を回動操作することで、操作部材131とともに回動する。回動部材132は、被取付部132Aと、延出部132Bと、接触部132Cとを有する。
【0036】
被取付部132Aは、被支持部131Aに取付可能な2つの爪部で構成されている。2つの爪部は、X方向に間隔をあけて並んでおり、支持部13Bの2つの筒状部13Dと交互に並ぶように、被支持部131Aに取り付けられる。つまり、被取付部132Aおよび支持部13Bがヒンジ構造を構成する。
【0037】
延出部132Bは、被取付部132AからY方向の-側に延出しており、被取付部132Aが設けられた範囲よりも広い板状に構成される。
【0038】
また、2つの筒状部13Dのうち、X方向の-側の筒状部13Dには、回動部材132の回動を規制するストッパ13Eが設けられている。ストッパ13Eは、筒状部13DからY方向の-側に突出して設けられており、延出部132BのZ方向の-側に位置するように配置される。
【0039】
これにより、延出部132BがXY平面に沿って配置された際の、回動部材132のZ方向の-側への回動が規制される。
【0040】
接触部132Cは、規制部材113と接触する部分であり、XY平面に沿って配置された場合の延出部132BのY方向の+側の端部からZ方向の-側に延びている。
【0041】
接触部132CのZ方向の-側の端面は、傾斜面となっている。具体的には、接触部132CのZ方向の-側の端面は、接触部132CがZ方向に沿って配置された場合、X方向の+側に向かうにつれ、Z方向の-側に位置するように傾斜している(
図7A参照)。
【0042】
接触部132CのZ方向の-側の端面のうち、最もX方向の-側に位置する部分は、規制部材113よりもZ方向の+側に位置する。接触部132CのZ方向の-側の端面のうち、最もX方向の+側に位置する部分は、規制部材113のZ方向の+側の端面よりも、Z方向の-側に位置する。
【0043】
つまり、接触部132Cは、Z方向に沿って配置された場合、外側位置から内側位置に載置部13が移動した際に、傾斜面の部分で規制部材113と接触する(
図7B参照)。
【0044】
また、接触部132Cは、Z方向に沿って配置された場合、載置部13が内側位置に位置した際、接触部132CのX方向の+側の端面で規制部材113と接触する。
【0045】
付勢部材133は、例えば、回動部材132を付勢するバネ部材であり、被支持部131Aにおける、被取付部132Aの2つの爪部の間に取り付けられる。付勢部材133は、延出部132Bをストッパ13Eに向けて付勢する。
【0046】
これにより、回動部材132は、外力が加わらない限り、延出部132BがX方向に沿い、かつ、接触部132CがZ方向に沿うように配置される。つまり、回動部材132は、外力が加わらない場合、規制部材113によりバッテリー2の移動を規制される規制位置に配置される。
【0047】
そのため、載置部13が内側位置に位置した場合、回動部材132は、接触部132CのX方向の+側の端面で規制部材113と接触するので、内側位置から外側位置への移動を規制されるようになっている。
【0048】
また、載置部13が外側位置から内側位置へ移動する場合、回動部材132は、接触部132Cの傾斜面で規制部材113と接触するので、載置部13の移動により規制部材113に押し上げられるように回動して、規制部材113によりバッテリー2の移動を規制されない非規制位置に位置する(
図7B参照)。その結果、載置部13が外側位置から内側位置へ移動する場合、回動部材132の部分が規制部材113の位置を通過できるようになっている。
【0049】
また、回動部材132が規制部材113の位置を通過した後、付勢部材133により、回動部材132が非規制位置から規制位置に戻るようになっている(
図7C参照)。
【0050】
次に、規制解除装置20の詳細について説明する。
【0051】
図1に示すように、規制解除装置20は、バッテリー2を交換するために、取付装置10上のバッテリー2を搬出入可能な装置であり、バッテリー2の一連の搬出入作業でバッテリー2の移動規制を解除することが可能に構成されている。規制解除装置20は、本体部21と、移動部22と、解除部23(
図8参照)とを有する。
【0052】
本体部21は、規制解除装置20の本体部分であり、移動部22をZ方向に移動できるように支持する。例えば、本体部21には、作業者が操作可能な操作部が設けられており、作業者が操作部を操作することで、移動部22をZ方向に移動させることが可能である。
【0053】
図8に示すように、移動部22は、例えば、X方向に延びる一対のアームであり、Z方向に移動可能に構成される。移動部22は、載置部13の載せられたバッテリー2をZ方向の-側から支持するように先端部分が配置されることで(
図2参照)、バッテリー2をZ方向に移動させることが可能である。
【0054】
また、移動部22にバッテリー2が配置された場合、作業者が本体部21をX方向の+側に移動させることで、バッテリー2をスライド部12を介して、内側位置から外側位置に引き出すことが可能となる。
【0055】
また、移動部22の先端部分には、一対のアームを架橋する架橋部221が設けられている。架橋部221は、移動部22の先端部分でバッテリー2を支持した際に、回動部130の操作部材131に対応する位置に配置されている。
【0056】
解除部23は、規制部材113および回動部材132によるバッテリー2の移動の規制を解除する部分であり、移動部22の架橋部221に配置される。
図9Aおよび
図9Bに示すように、解除部23は、被固定部材231と、ピン部材232と、付勢部材233とを有する。
【0057】
被固定部材231は、架橋部221に固定される板状に構成された部材であり、被固定部231Aと、支持部231Bとを有する。被固定部231Aは、XY平面に沿って配置されており、架橋部221に固定される。
【0058】
支持部231Bは、ピン部材232を支持する部分であり、被固定部231AのX方向の-側の端部から、Z方向の+側に延びて構成されている。また、支持部231Bにおけるピン部材232の支持部分付近には、貫通孔231Cが形成されている。
【0059】
ピン部材232は、支持部231Bの貫通孔231Cを通され、支持部231BからX方向の-側に突出するように配置されている。ピン部材232は、支持部231BのZ方向の-側の端部付近に設けられた回動軸232Aに支持されている。具体的には、ピン部材232は、X方向に沿って配置された位置である第1位置(
図9Aの実線位置)と、第1位置よりも被固定部材231に近い第2位置(
図9Aの破線位置)との間を回動可能に構成されている。なお、ピン部材232は、
図9A等に例示されている棒状の部材であっても良いし、回動可能な構成である限り、どのような形状の部材であっても良い。
【0060】
第1位置は、回動部130を回動するための位置である。第1位置のピン部材232は、バッテリー2を移動部22で支持した際に、ピン部材232の先端部が操作部材131と接触可能な位置に配置されることになる。
【0061】
第2位置は、例えば、ピン部材232がZ方向に沿って配置された位置である。第2位置のピン部材232は、被固定部材231におけるX方向の+側に位置する。上記の貫通孔231Cは、第1位置と第2位置との間でピン部材232が回動できるように、ピン部材232の回動範囲に対応した長さで形成されている。
【0062】
付勢部材233は、ピン部材232を第1位置に向けて付勢するバネであり、例えば回動軸232Aの部分に設けられる。この付勢部材233により、ピン部材232が常時第1位置に配置された状態となる。
【0063】
次に、規制解除装置20の動作について説明する。
【0064】
バッテリー2を交換する際、取付装置10に取り付けられたバッテリー2が車両1の内側位置から外側位置に引き出される。この場合、まず、バッテリー2のストライカ2Aと、本体部11の壁部111のラッチ111Aとの係合が解除される。
【0065】
ストライカ2Aとラッチ111Aとの係合が解除された後、作業者は、規制解除装置20の移動部22を、載置部13よりもZ方向の-側の位置に設定し、移動部22が載置部13に対応した位置になるように規制解除装置20を配置する(
図1および
図2参照)。
【0066】
そして、作業者は、移動部22がバッテリー2のZ方向の-側の面を支持する位置まで移動部22をZ方向の+側に向けて移動させる。この際に、
図10Aおよび
図10Bに示すように、ピン部材232が、操作部材131をZ方向の-側から押し上げる。
【0067】
具体的には、載置部13よりもZ方向の-側の位置に配置されたピン部材232が(
図10A参照)、移動部22の移動に伴う被固定部材231のZ方向の+側への移動により、Z方向の+側に移動して、操作部材131を押し上げる(
図10B参照)。
【0068】
これにより、操作部材131がZ方向の+側に回動することで、回動部材132の接触部132Cと規制部材113との接触が解除される。
【0069】
これにより、回動部材132と規制部材113とによる、バッテリー2の内側位置から外側位置への移動の規制が解除され、スライド部12を介して載置部13を引き出すことができる。
【0070】
そして、載置部13のラッチ13Aと、バッテリー2のストライカ2Bとの係合を解除することで、バッテリー2を取り外すことが可能となる。
【0071】
具体的には、載置部13が外側位置に位置した際、移動部22をさらにZ方向の+側に移動させることで、バッテリー2が移動部22に支持された状態で持ち上がる。この際、
図11Aに示すように、ピン部材232は、操作部材131を押し上げた位置からさらにZ方向の+側に移動する。これにより、
図11Bに示すように、操作部材131との接触が解除されるので、操作部材131および回動部材132は、付勢部材133の付勢力により、規制位置に戻る。
【0072】
また、載置部13の操作部材131の回動範囲に切欠き13Cが設けられているので、ピン部材232と載置部13とが干渉することが抑制される。
【0073】
そして、新たなバッテリー2が移動部22に置かれ、移動部22を再びZ方向の-側に移動させることで、新たなバッテリー2を載置部13に載置することができる。
【0074】
この際、
図11Cに示すように、ピン部材232は、移動部22がZ方向の-側に移動し、規制位置に位置した操作部材131の、Z方向の+側に位置した状態となる。これにより、回動部材132が非規制位置に維持されないので、内側位置にバッテリー2が位置した際に、バッテリー2の外側位置への移動が回動部130および規制部材113により規制される。
【0075】
新たなバッテリー2を載置部13に載置した後、作業者は規制解除装置20を車両1側に押す。これにより、スライド部12を介してバッテリー2が外側位置から内側位置に移動して、壁部111に取り付けられる。
【0076】
バッテリー2が内側位置に配置された後、作業者は、規制解除装置20をバッテリー2(取付装置10)から取り外す。具体的には、作業者は、移動部22をZ方向の-側に移動させる。これにより、移動部22がバッテリー2から離れるので、規制解除装置20を車両1から離れる側に移動させることでバッテリー2の交換作業を終了させることができる。
【0077】
また、
図12Aに示すように、ピン部材232は、移動部22がZ方向の-側に移動することで、操作部材131にZ方向の+側から接触する。この際、
図12Bに示すように、ピン部材232は、操作部材131により、第1位置から第2位置に向けて押し上げられる。これにより、ピン部材232と操作部材131とが干渉して破損することが抑制される。
【0078】
そして、さらにピン部材232がZ方向の-側に移動することで、
図12Cに示すように、ピン部材232が操作部材131に対応する位置を通過して、規制解除装置20が取付装置10から取り外される。
【0079】
以上のように構成された本実施の形態によれば、回動部130を用いて、バッテリー2の移動を規制する規制装置の規制を解除する際に、移動部22を介して、回動部130に向けて被固定部材231(支持部231B)が移動する。つまり、支持部231Bが回動部130の回動方向(Z方向の+側)に移動することで、解除部23が回動部130を規制位置から非規制位置に回動させる。
【0080】
これにより、規制解除装置20によるバッテリー2の搬出動作の中で、回動部130による規制を解除することができる。すなわち、本実施の形態では、回動部130を含む規制装置による規制を簡易に解除することができる。
【0081】
また、回動部130と接触することで、回動部130を回動させるピン部材232により、規制装置による規制を解除することができるので、簡易な構成とすることができる。
【0082】
また、ピン部材232が第1位置と第2位置との間を回動するので、例えば、規制解除装置20を取り外す際等において、操作部材131とピン部材232とが干渉した際にピン部材232を操作部材131から逃がすことができる。その結果、操作部材131とピン部材232とが干渉して破損することを抑制することができる。
【0083】
また、付勢部材233がピン部材232を第1位置に付勢するので、何らかの外力が加わらない限り、ピン部材232の位置が第1位置に維持される。その結果、回動部130を回動させる際に、確実にピン部材232を第1位置とすることができる。
【0084】
また、被固定部材231の支持部231Bにおいて、第1位置と第2位置との間における、ピン部材232の回動範囲に対応する位置に貫通孔232Cが設けられているので、ピン部材232が回動した際に、ピン部材232が被固定部材231と干渉することを抑制することができる。
【0085】
なお、上記実施の形態では、ピン部材232が回動可能に構成されていたが、本開示はこれに限定されず、ピン部材が回動しなくても良い。この場合、
図11A~
図11Cの例のようなピン部材と操作部材との位置関係の変化が、発生しないような構成とすれば良い。
【0086】
また、上記実施の形態では、ピン部材232が付勢部材233により、第1位置に向けて付勢されていたが、本開示はこれに限定されず、付勢部材が設けられていなくても良い。この場合、自重等により、ピン部材を第1位置に位置させるような構成にすれば良い。
【0087】
また、上記実施の形態では、ピン部材232の回動範囲に貫通孔231Cが設けられていたが、本開示はこれに限定されず、貫通孔が設けられていなくても良い。
【0088】
また、上記実施の形態では、一例として、
図4等に示す回動部を含む規制装置に適用されていたが、本開示はこれに限定されず、その他の回動部を含む規制装置に適用されても良い。
【0089】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示の規制解除装置は、規制装置による規制を簡易に解除することが可能な規制解除装置として有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 車両
1A 荷台
1B 車体
2 バッテリー
2A ストライカ
2B ストライカ
10 取付装置
11 本体部
12 スライド部
13 載置部
13A ラッチ
13B 支持部
13C 切欠き
13D 筒状部
13E ストッパ
20 規制解除装置
21 本体部
22 移動部
23 解除部
111 壁部
111A ラッチ
112 支持部
113 規制部材
130 回動部
131 操作部材
131A 被支持部
131B 操作部
132 回動部材
132A 被取付部
132B 延出部
132C 接触部
133 付勢部材
221 架橋部
231 被固定部材
231A 被固定部
231B 支持部
231C 貫通孔
232 ピン部材
232A 回動軸
233 付勢部材