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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B41J2/175 113
B41J2/175 169
B41J2/175 133
B41J2/175 151
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023025450
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2021002640の分割
【原出願日】2016-06-30
(65)【公開番号】P2023058718
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】川越 政子
(72)【発明者】
【氏名】白野 太一
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051306(JP,A)
【文献】特開2016-000508(JP,A)
【文献】特開2015-212103(JP,A)
【文献】特開2015-058543(JP,A)
【文献】米国特許第06145968(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1337773(KR,B1)
【文献】特開2016-068473(JP,A)
【文献】特開2014-166709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿った第1方向に対向する一対の第1面により区画された液体貯留室、及び当該液体貯留室に液体を供給するための供給口を有する複数のタンクと、
上記複数のタンクを上記第1方向に沿って並んだ状態で保持する結束部材と、を備え、
上記一対の第1面の各々の少なくとも一部は、フィルムで構成されており、
上記結束部材は、
上記複数のタンクと当接して上記複数のタンクを上記第1方向において相互に隙間を空けて位置決めする当接部を備え、
上記タンクは、上記一対の第1面を繋いだ第2面を有しており、
上記第2面は、上記液体貯留室に貯留された液体を視認可能な透光性を有しており、
上記結束部材は、上記複数のタンクの一対の上記第1面を繋いで下方を向く下面側において上記複数のタンクと少なくとも上記当接部を介して係合しており、当該係合により、上記複数のタンクは、上記第1方向に相互に隙間を空けて位置決めされ、かつ水平方向に沿っており且つ上記第1方向と直交する第2方向において上記第2面がそれぞれ同じ位置に並んだ状態に位置決めされる供給装置。
【請求項2】
上記結束部材は、上記複数のタンクの一対の上記第1面を繋いで上方を向く上面側においても上記複数のタンクと係合する請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
水平方向に沿った第1方向に対向する一対の第1面により区画された液体貯留室、及び当該液体貯留室に液体を供給するための供給口を有する複数のタンクと、
上記複数のタンクとは別の部材であって、上記複数のタンクを上記第1方向に沿って並んだ状態で保持する結束部材と、
上記タンクを覆うカバーと、を備え、
上記一対の第1面の各々の少なくとも一部は、フィルムで構成されており、
上記結束部材は、
上記複数のタンクと当接して上記複数のタンクを上記第1方向において相互に隙間を空けて位置決めする当接部を備え、
上記タンクは、上記一対の第1面を繋いだ第2面を有しており、
上記第2面は、上記液体貯留室に貯留された液体を視認可能な透光性を有しており、
上記カバーは、上記第2面の一部を露出する開口を有する供給装置。
【請求項4】
上記第2面には、上記液体貯留室に貯留された液体が第1量であるときの液面に対応する位置に設けられた第1マークと、上記液体貯留室に貯留された液体が上記第1量よりも少ない第2量であるときの液面に対応する位置に設けられた第2マークと、が設けられている請求項1から3のいずれかに記載の供給装置。
【請求項5】
上記結束部材は、上記複数のタンクの上記供給口の周囲を覆っており、且つ上記供給口を露出する開口を有する請求項1から4のいずれかに記載の供給装置。
【請求項6】
上記供給装置は、上記供給口の各々に対応して設けられており、上記供給口を封止した封止位置及び上記供給口から離間した離間位置に移動可能な複数のキャップを備え、
上記結束部材は、上記複数のキャップが取り付けられるキャップ取付部を備える請求項1から5のいずれかに記載の供給装置。
【請求項7】
上記結束部材は、保持した上記複数のタンクのうちの上記第1方向の両端に位置するタンクの上記一対の第1面のうち、上記第1方向の外方に位置する第1面の少なくとも一部を覆う請求項1から6のいずれかに記載の供給装置。
【請求項8】
上記当接部は、上記複数のタンクにおける上記フィルム以外の部分と当接する請求項1から7のいずれかに記載の供給装置。
【請求項9】
上記第1方向は、水平方向と平行であり、
上記複数のタンクの各々の上記第1方向の寸法は、上記第1方向と直交し且つ水平方向と平行である第2方向の寸法、及び鉛直方向の寸法よりも短い請求項1から8のいずれかに記載の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給口を通じて液体を補充可能なタンクを複数備える供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを補充可能な複数のタンクと、各タンクから供給されたインクをノズルから吐出して用紙に画像を記録する記録ヘッドとを有するプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。各タンク内のインクが消費されると、使用者は各タンクに設けられた供給口からボトルに貯留されたインクを各タンクに補充可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-51306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各タンクをプリンタに据え付ける場合、各タンクについて少なくとも公差分の位置ずれが生じる。すると、複数のタンクをプリンタに据え付けたときに、各タンク間の位置ずれの最大値は、各タンクの公差にタンクの数を乗じた値となり、大きくなってしまう。
【0005】
このような位置ずれは、特許文献1に開示されたプリンタのように、複数のタンクを一体化したタンクユニットをプリンタに据え付けることによって小さくすることができる。これにより、生じる位置ずれを1つのタンクユニットの公差の値に抑えることができる。特許文献1に開示されたプリンタでは、各タンクは、一対の面のうちの一方にのみフィルムが貼られた構成であった。このため、複数のタンクを一体化可能な構成とすることが容易であった。
【0006】
しかしながら、一対の面の双方にフィルムが貼られるように各タンクが構成されている場合、フィルムの貼りやすさを維持しつつ、複数のタンクを一体化可能な構成とすることは困難であった。
【0007】
また、上記のような位置ずれは、複数のタンクを隙間なく並べた状態でプリンタに据え付けることによって小さくすることができる。これにより、生じる位置ずれを1つのタンクの公差の値に抑えることができる。
【0008】
しかしながら、一対の面の双方にフィルムが貼られるように各タンクが構成されている場合、複数のタンクを隙間なく並べた状態でプリンタに据え付けると、隣り合うタンクのフィルム同士が接触してフィルムが破損するおそれがあった。
【0009】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一対の面の双方にフィルムが貼られて構成されたタンクを複数並べて配置する場合でも、各タンクの位置ずれを少なくすることができる供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明に係る供給装置は、水平方向に沿った第1方向に対向する一対の第1面により区画された液体貯留室、及び当該液体貯留室に液体を供給するための供給口を有する複数のタンクと、上記複数のタンクを上記第1方向に沿って並んだ状態で保持する結束部材と、上記結束部材を支持する筐体と、を備える。上記一対の第1面の各々の少なくとも一部は、フィルムで構成されている。上記結束部材は、上記複数のタンクと当接して上記複数のタンクを上記第1方向において相互に隙間を空けて位置決めする当接部を備える。
【0011】
上記構成によれば、結束部材が複数のタンクを保持することによって、複数のタンクが一体化される。これにより、結束部材が筐体に支持された状態において、各タンク間の位置ずれを少なくすることができる。
【0012】
また、上記構成によれば、複数のタンクは、第1方向において相互に隙間を空けた状態で結束部材に保持される。これにより、隣り合うタンクのフィルム同士の接触を防止できる。その結果、フィルムの破損の可能性を低くすることができる。
【0013】
(2) 上記筐体は、第1開口を有する側壁を備える。上記複数のタンクの各々は、上記一対の第1面を繋いだ第2面が上記筐体の外部から上記第1開口を通じてアクセス可能に上記筐体内に配置されている。上記結束部材は、上記複数のタンクの各々の上記第2面を覆っている。
【0014】
結束部材は、複数のタンクを第1方向に沿って並んだ状態で保持している。ここで、各タンクの第2面は、筐体の外部から第1開口を通じてアクセス可能である。つまり、各タンクの第2面は、筐体の外部に露出し得る。しかし、上記構成によれば、結束部材が、各タンクの第2面を覆っている。
【0015】
このように、結束部材は、各タンクの第2面を覆っているため、隣り合うタンクの第2面の間の隙間も覆っている。これにより、第1面を構成するフィルムが、当該隙間からはみ出していたり、当該隙間を通じて視認可能であったりしても、当該フィルムは、結束部材によって覆われている。つまり、当該フィルムは、筐体の外部に露出しない。その結果、フィルムの破損の可能性を低くすることができる。
【0016】
(3) 上記結束部材は、上記複数のタンクの各々の上記第2面の一部を露出させる第2開口を備える。
【0017】
上記構成によれば、透光性を有する材質で第2面を有する壁を形成した場合に、第2開口を通じて液体貯留室に貯留された液体が視認可能である。
【0018】
(4) 例えば、上記第2面には、上記液体貯留室に貯留された液体が第1量であるときの液面に対応する位置に設けられた第1マークと、上記液体貯留室に貯留された液体が上記第1量よりも少ない第2量であるときの液面に対応する位置に設けられた第2マークと、が設けられている。
【0019】
(5) 上記結束部材は、上記複数のタンクの各々の上記供給口を露出させる第3開口を備える。
【0020】
上記構成によれば、結束部材が複数のタンクを保持した状態において、第3開口を通じて供給口へアクセスして、液体貯留室への液体の供給を実行することができる。
【0021】
(6) 例えば、上記供給装置は、上記供給口の各々に対応して設けられており、上記供給口を封止した封止位置及び上記供給口から離間した離間位置に移動可能な複数のキャップを備え、上記結束部材は、上記複数のキャップが取り付けられるキャップ取付部を備える。
【0022】
(7) 上記筐体は、第1開口を有する側壁を備える。上記複数のタンクの各々は、上記筐体の外部から上記第1開口を通じてアクセス可能に上記筐体内に配置されている。上記供給装置は、上記第1開口を閉塞する閉塞位置と、当該第1開口を開放する開放位置とに移動可能なカバーを備える。上記カバーは、上記閉塞位置において、上記封止位置の上記複数のキャップにおける隣り合うキャップ間に位置するリブを備える。
【0023】
上記構成によれば、複数のキャップの少なくとも一つが封止位置から第1方向にずれた位置にある場合、このずれたキャップとリブとが接触することによって、カバーを閉塞位置にすることができない。これにより、カバーを閉塞位置に移動できるか否かによって、キャップが不適切な位置にあるか否かを識別することができる。
【0024】
(8) 上記筐体は、第1開口を有する側壁を備える。上記複数のタンクの各々は、上記筐体の外部から上記第1開口を通じてアクセス可能に上記筐体内に配置されている。上記供給装置は、上記第1開口を閉塞する閉塞位置と、当該第1開口を開放する開放位置とに移動可能なカバーを備える。上記カバーは、上記封止位置の上記複数のキャップと当接する位置または上記封止位置の上記複数のキャップの近傍の位置に設けられており、上記複数のキャップの各々の封止位置からの移動を規制する規制部を備える。
【0025】
上記構成によれば、複数のキャップの少なくとも一つが封止位置から離間位置寄りに移動している場合、具体的には複数のキャップの少なくとも一つがきっちり供給口に差し込まれていない場合、このキャップと規制部とが接触することによって、カバーを閉塞位置にすることができない。これにより、カバーを閉塞位置に移動できるか否かによって、キャップが不適切な位置にあるか否かを識別することができる。
【0026】
(9) 上記複数のタンクの各々は、上記結束部材と係合する係合部を備える。上記結束部材は、上記複数のタンクの各々の上記係合部と係合する被係合部を備える。上記係合部と上記被係合部とが係合することによって、上記複数のタンクは、水平方向に沿っており且つ上記第1方向と直交する第2方向に位置決めされる。
【0027】
上記構成によれば、結束部材に保持された各タンクが第2方向に位置ずれすることを防止できる。
【0028】
(10) 上記結束部材は、保持した上記複数のタンクのうちの上記第1方向の両端に位置するタンクの上記一対の第1面のうち、上記第1方向の外方に位置する第1面の少なくとも一部を覆う。
【0029】
上記構成によれば、結束部材が保持した複数のタンクのうち第1方向の両端に位置するタンクの一対の第1面のうち、第1方向の外方に位置する第1面を、結束部材によって覆うことができる。これにより、第1方向の外方に位置する第1面に対応する位置にフィルムが存在していたとしても、結束部材が当該フィルムを覆うため、当該フィルムの破損の可能性を低くすることができる。
【0030】
(11) 上記当接部は、上記複数のタンクにおける上記フィルム以外の部分と当接する。
【0031】
上記構成によれば、当接部と当接することによるフィルムの破損を防止できる。
【0032】
(12) 例えば、上記第1方向は、水平方向と平行であり、上記複数のタンクの各々の上記第1方向の寸法は、上記第1方向と直交し且つ水平方向と平行である第2方向の寸法、及び鉛直方向の寸法よりも短い。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、一対の面の双方にフィルムが貼られて構成されたタンクを複数並べて配置する場合でも、各タンクの位置ずれを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー70が閉塞位置である状態、(B)はカバー70が開放位置である状態を示す。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、キャリッジ23及びタンクセット99の配置を示す平面図である。
図4図4(A)は、インクタンク100の前方斜視図であり、図4(B)は、インクタンク100の後方斜視図である。
図5図5(A)は、インクタンク100Bの前方斜視図であり、図5(B)は、インクタンク100Bの後方斜視図である。
図6図6は、インクタンク100の右側面図である。
図7図7は、タンクセット99と閉塞位置のカバー70の斜視図である。
図8図8は、タンクセット99と開放位置のカバー70の斜視図である。
図9図9(A)は、タンクセット99の前方斜視図であり、図9(B)は、タンクセット99の後方斜視図である。
図10図10(A)は、結束部材120の前方斜視図であり、図10(B)は、結束部材120の後方斜視図である。
図11図11は、インクタンク100と結束部材120の縦断面図である。
図12図12は、インクタンク100と結束部材120とカバー70の縦断面図である。
図13図13(A)は、図9(B)のA-A断面図であり、図13(B)は、図9(B)のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10及び複合機10に据え付けられたインクタンク100が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8(第2方向の一例)が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9(第1方向の一例)が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0036】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(供給装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前壁14Aに開口13が形成された筐体14を有している。図2に示されるように、筐体14の内部には、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、タンクセット99と、結束部材120(図1参照)とが配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0037】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
【0038】
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0039】
[搬送経路65]
図2に示されるように、搬送経路65は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部から後方に延びる経路である。搬送経路65は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。図2及び図3に示されるように、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0040】
[搬送ローラ部54]
図2に示されるように、搬送ローラ部54は、記録部24より搬送向き16の上流に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0041】
[排出ローラ部55]
図2に示されるように、排出ローラ部55は、記録部24より搬送向き16の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0042】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39(液体消費部の一例)とを備えている。
【0043】
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より右方及び左方にまで及ぶ。
【0044】
キャリッジ23からは、インクチューブ32とフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。
【0045】
インクチューブ32は、タンクセット99及び記録ヘッド39を接続するものである。インクチューブ32は、タンクセット99を構成する4つのインクタンク100B、100Y、100C、100M(これらを総称して、「インクタンク100」と表示することがある。)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド39に供給する。インクタンク100は、タンクの一例である。詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32Y、32C、32M(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)が、それぞれインクタンク100B、100Y、100C、100Mから延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23と接続されている。
【0046】
フレキシブルフラットケーブル33は、制御部(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0047】
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載している。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。また、これにより、インクタンク100B、100Y、100C、100Mに貯留されたインクが消費される。
【0048】
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路65を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
【0049】
[カバー70]
図1に示されるように、筐体14の前壁14A(側壁の一例)の右部に、開口22(第1開口の一例)が形成されている。筐体14には、カバー70が、開口22を覆うようにして取り付けられている。カバー70は、開口22を閉塞する閉塞位置(図1(A)及び図7に示される位置)と、開口22を開放する開放位置(図1(B)及び図8に示される位置)との間を回動可能である。
【0050】
筐体14における開口22の下端近傍には、一対の凸部(不図示)が形成されている。一対の凸部は、左右方向9において対向している。一対の凸部のうち右方の凸部は、左方の凸部へ向けて左方へ突出している。一対の凸部のうち左方の凸部は、右方の凸部へ向けて右方へ突出している。
【0051】
図8に示されるように、カバー70には、一対の凸部が形成されている。一対の凸部には、穴が形成されている。なお、図8には、一対の凸部及び穴のうち、左方の凸部83及び穴85のみが示されている。一対の凸部及び穴のうち、右方の凸部及び穴は、側壁88によって隠れた部分に位置している。筐体14の一対の凸部が、穴に挿入される。これにより、カバー70は、筐体14の下端近傍において左右方向9に延びる回動軸線70A周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。
【0052】
図7及び図8に示されるように、カバー70は、主壁87と、一対の側壁88と、上壁89と、突壁90とを備えている。なお、以下のカバー70の構成の説明では、カバー70が閉塞位置であるとして、各方向が示される。
【0053】
主壁87は、上下方向7及び左右方向9に拡がる壁である。図8に示されるように、主壁87の後面には、第1壁91、第2壁92(規制部の一例)、リブ93、及び開口97が形成されている。
【0054】
第1壁91、第2壁92、及びリブ93は、主壁87から後方へ突出している。第1壁91及び第2壁92、左右方向9に沿って延びている。第1壁91は、主壁87の上端部に位置している。第2壁92は、第1壁91よりも下方に位置している。第1壁91及び第2壁92は、上下方向7において対向している。リブ93は、上下方向7に延びている。リブ93は、左右方向9に間隔を空けて5本配置されている。リブ93は、第1壁91及び第2壁92を繋いでいる。これにより、4つの空間94が形成される。各空間94は、主壁87、第1壁91、第2壁92、及びリブ93によって区画されている。各空間94の後端は、開放されている。
【0055】
開口97は、第2壁92よりも下方に位置している。
【0056】
図7及び図8に示されるように、一対の側壁88は、主壁87の右端及び左端から後方へ向けて突出している。一対の側壁88は、左右方向9において対向している。一対の側壁88は、その下端部に、上述した左方の凸部83を含む一対の凸部を備えている。
【0057】
上壁89は、主壁87の上端から後方へ向けて突出している。
【0058】
突壁90は、上壁89から上方へ向けて突出している。突壁90には、後方へ突出した凸部95が形成されている。カバー70が閉塞位置の状態において、凸部95が、筐体14に形成された凹部(不図示)に挿入されている。これにより、カバー70は、閉塞位置に保持される。
【0059】
筐体14の内部のうち開口22の後方に位置する部分には、空間が拡がっている。この空間に、後述するタンクセット99が配置される。空間の前端は、閉塞位置のカバー70によって区画されている。空間の後端は、カバー70の後方にカバー70と対向して配置された奥壁(不図示)によって区画されている。
【0060】
なお、本実施形態において、カバー70は、回動することによって閉塞位置と開放位置とに移動したが、回動以外によって閉塞位置と開放位置とに移動してもよい。例えば、カバー70は、筐体14に対して着脱可能に構成されていてもよい。この場合、カバー70は、筐体14に装着されることによって閉塞位置に位置し、筐体14から脱抜されることによって開放位置に位置する。
【0061】
[タンクセット99]
タンクセット99は、記録ヘッド39に供給されるインクを貯留するものである。図9に示されるように、タンクセット99は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mと、結束部材120とを備える。
【0062】
各インクタンク100には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、インクタンク100Bにはブラックインクが貯留され、インクタンク100Yにはイエローインクが貯留され、インクタンク100Cにはシアンインクが貯留され、インクタンク100Mにはマゼンタインクが貯留される。但し、インクタンク100の数及びインクの色は上記の例に限定されない。各インクタンク100の構成については、後述される。
【0063】
結束部材120は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。結束部材120の構成については、後述される。
【0064】
4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mは、左右方向9に沿って一列に並んで配置されている。4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの中で、インクタンク100Bが最も右に配置され、インクタンク100Mが最も左に配置されている。なお、インクタンク100の配置位置は、前記に限らない。インクタンク100Bは、他のインクタンク100Y、100C、100Mよりもサイズ、特に左右方向9における幅が大きい。なお、インクタンク100のサイズの大小関係は、前記に限らない。インクタンク100Bは、他のインクタンク100Y、100C、100Mよりもインクの許容貯留量が多い。なお、インクタンク100の許容貯留量の大小関係は、前記に限らない。
【0065】
図1に示されるように、タンクセット99は、筐体14の右前部において、筐体14の内部に据え置かれている。換言すれば、タンクセット99は、複合機10から容易に取り外すことができないように、複合機10に固定されている。なお、「容易に取り外すことができない」とは、例えば、使用者が通常の使用状態における複合機10の筐体14からタンクセット99を容易に取り外すことができないことを意味しており、熟練した修理者が複合機10の筐体14からタンクセット99を修理のために取り外すような場合を除く趣旨である。従って、使用者が通常の使用状態における複合機10の筐体14からタンクセット99を容易に取り外すことができなければよい。
【0066】
[インクタンク100]
以下に、インクタンク100の構成が詳細に説明される。インクタンク100Y、100C、100Mは、同構成であるため、以下では、インクタンク100Y、100C、100Mのうちの1つをインクタンク100と称して、それ構成が説明される。また、インクタンク100Bの構成は、インクタンク100Y、100C、100Mの構成と類似しているため、インクタンク100Y、100C、100Mの構成の説明の後で、インクタンク100Y、100C、100Mと異なる部分について、その構成が説明される。この場合、インクタンク100Bと、インクタンク100Y、100C、100Mとの構成において形状が多少異なっていたとしても同様な機能を有する構成には同一の符号が付されている。なお、以下の説明では、特に記載のない限り、複合機10及び複合機10に据え置かれたインクタンク100は使用姿勢である。
【0067】
図4に示されるように、インクタンク100は、インクタンクの外形を形成する筐体140で構成されている。筐体140は、フレーム141と、2枚のフィルム142、143とを備える。
【0068】
フレーム141は、全体として、左右方向9に沿った寸法が短く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が左右方向9に沿った寸法よりも長い扁平の直方体形状である。また、前後方向8の寸法は、上下方向7の寸法よりも長い。
【0069】
フレーム141は、インク室111内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を有する樹脂で形成されている。フレーム141は、例えば、ポリプロピレンで形成されている。フレーム141は、例えば、樹脂材料を射出成型することによって一体成型されている。フレーム141の剛性は、フィルム142、143の剛性よりも高い。
【0070】
なお、フレーム141は、樹脂以外で構成されていてもよい。また、フレーム141は、複数の部材が組み合わされた構成であってもよい。
【0071】
フレーム141は、前壁101と、左壁103と、上壁104と、下壁105と、後壁110と、内壁107とを備える。
【0072】
前壁101は、立壁102と傾斜壁106とで構成されている。立壁102は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁106は、立壁102の上端及び上壁104の前端を連結する壁である。傾斜壁106は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0073】
各インクタンク100における立壁102の前面102A及び傾斜壁106の前面106A、つまり各インクタンク100のフレーム141の前面(第2面の一例)は、カバー70の開口97、及び筐体14の開口22を介して、複合機10の外部に露出している。つまり、各インクタンク100のフレーム141の前面は、筐体14の外方を向いている。すなわち、各インクタンク100は、各インクタンク100のフレーム141の前面が筐体14の外部から開口22及び開口97を通じてアクセス可能に筐体14内に配置されている。このような構成であることにより、各インクタンク100のフレーム141の前面は、複合機10の前方から視認可能であり、ユーザは各インクタンク100に貯留されたインクの残量を確認可能である。
【0074】
左壁103は、前壁101の左端から後方へ延びる壁である。左壁103の上端は、上壁104の前部と接続されている。左壁103の下端は、下壁105の前部と接続されている。換言すれば、左壁103は、前壁101の左端と、上壁104の前部左端と、下壁105の前部左端と、を連結する壁である。つまり、左壁103は、フレーム141の前部のみに設けられており、フレーム141の後部には設けられていない。
【0075】
上壁104は、前壁101の上端(傾斜壁106の後端)から後方へ延びている。上壁104の前部は、左壁103の上端と接続されている。
【0076】
下壁105は、前壁101の下端から後方へ延びる壁である。下壁105は、上壁104から下方に離れて形成されている。上述されたように、下壁105の前部は、左壁103の下端と接続されている。
【0077】
内壁107は、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、及び後壁110に囲まれた空間に、複数配置されている。
【0078】
図4(A)に示されるように、フレーム141の右面は開放されている。前壁101、下壁105、後壁110、上壁104、及び内壁107の右面にフィルム142が溶着されることによって、フレーム141の右面が封止される。
【0079】
図4(B)に示されるように、フレーム141の左面の後部は開放されている。下壁105、後壁110、上壁104、及び内壁107の左面にフィルム143が溶着されることによって、フレーム141の左面が封止される。
【0080】
フレーム141の前面(立壁102の前面102A及び傾斜壁106の前面106A)は、フレーム141の右面の前端と、フレーム141の左面の前端とによって繋がれている。フレーム141の後面(後壁110の後面110A)は、フレーム141の右面の後端と、フレーム141の左面の後端とによって繋がれている。後面110Aは、第3面の一例である。フレーム141の右面と、フレーム141の左面とは、左右方向において対向している。フレーム141の右面及び左面は、一対の第1面の一例である。
【0081】
図4(A)に示されるように、前壁101の立壁102の前面102Aは、第1ライン146(第1マークの一例)と第2ライン147(第2マークの一例)とを備える。
【0082】
第1ライン146は、左右方向9に延びている。第1ライン146の上下方向7の位置は、複合機10が使用姿勢において、貯留が許容される最大量(第1量の一例)のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。つまり、第1ライン146は、インク室111に貯留されたインクが最大量であるときの液面に対応する位置に設けられている。なお、第1ライン146の上下方向7の位置は、当該最大量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さに限らない。
【0083】
第2ライン147は、左右方向9に延びている。第2ライン147は、第1ライン146よりも下方に位置している。詳細には、第2ライン147の上下方向7の位置は、複合機10が使用姿勢において、上記最大量よりも少ない量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。本実施形態において、第2ライン147の上下方向7の位置は、インクタンク100が使用姿勢において、インクの補充が必要となる最小量(第2量の一例)のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。つまり、第2ライン147は、インク室111に貯留されたインクが最小量であるときの液面に対応する位置に設けられている。
【0084】
図4及び図6に示されるように、上壁104には、凸部108が形成されている。図6に示されるように、凸部108は、板部121とリブ122とで構成されている。板部121は、後方へ向かうにしたがって上方へ向かう傾斜面123を有する。リブ122は、板部121と上壁104とを繋ぐように配置されている。リブ122は、板部121よりも左右方向9に短い。このような構成であることにより、凸部108は、後方または下方の少なくとも一方の向きへの力が傾斜面123に作用することによって、下方へ撓む。
【0085】
図6に示されるように、下壁105には、凸部109が形成されている。凸部109は、板部124とリブ125とで構成されている。板部124は、後方へ向かうにしたがって下方へ向かう傾斜面126を有する。リブ125は、板部124と下壁105とを繋ぐように配置されている。リブ125は、板部124よりも左右方向9に短い。このような構成であることにより、凸部109は、後方または上方の少なくとも一方の向きへの力が傾斜面126に作用することによって、上方へ撓む。
【0086】
図4及び図6に示されるように、上壁104には、凸部130が形成されている。凸部130は、凸部108よりも前方に形成されている。凸部130は、前後方向8に沿って延びている。
【0087】
上壁104には、凸部131、132が形成されている。凸部131、132は、凸部130よりも前方に形成されている。凸部132は、凸部131よりも前方に形成されている。凸部131、132は、左右方向9に沿って延びている。
【0088】
図6に示されるように、下壁105には、凸部133が形成されている。凸部133は、サブ下壁105Aに形成されている。サブ下壁105Aは、下壁105の前部に形成されており、下壁105よりも上方に位置する。
【0089】
下壁105には、凸部134が形成されている。凸部134は、凸部109よりも前方に形成されている。凸部134は、左右方向9に沿って延びている。
【0090】
サブ下壁105Aには、凸部135が形成されている。凸部135は、左右方向9に沿って延びている。本実施形態において、凸部135は、凸部133から右方及び左方へ延びている。凸部135の突出長は、凸部133の突出長よりも短い。つまり、凸部135の突出先端は、凸部133の突出先端よりも上方に位置する。
【0091】
[インク室111]
図4に示されるように、筐体140は、その内部にインク室111(液体貯留室の一例)を有する。インク室111は、インクタンク100の内部空間であり、インクが貯留される。インク室111は、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、後壁110、内壁107、フィルム142、及びフィルム143によって区画されている。つまり、インク室111は、フィルム142で構成されるフレーム141の右面、及び左壁103とフィルム143とによって構成されるフレーム141の左面によって区画されている。インク室111は、内壁107によって複数に分割されている。
【0092】
本実施形態では、インク室111の右面は、フィルム142の左面によって区画されている。つまり、インク室111の右面の全部は、フィルム142で構成されている。また、インク室111の左面は、フィルム143の右面及び左壁103の右面によって区画されている。つまり、インク室111の左面の一部は、フィルム143で構成されている。
【0093】
なお、インク室111の右面は、フィルム142と壁とによって区画されていてもよい。つまり、インク室111の右面の一部が、フィルム142で構成されていてもよい。また、インク室111の左面は、フィルム143のみで区画されていてもよい。つまり、インク室111の左面の全部が、フィルム143で構成されていてもよい。
【0094】
図6に示されるように、複合機10が使用姿勢において、換言すると上壁104がインクタンク100の上部を構成し且つ下壁105がインクタンク100の下部を構成した状態において、インク室111に貯留が許容される最大量のインクが貯留されているとき、インクの液面は、図6に破線191で示される位置である。つまり、インクの液面は、上述したように、第1ライン146と同じ高さである。
【0095】
複合機10が使用姿勢において、換言すると上壁104がインクタンク100の上部を構成し且つ下壁105がインクタンク100の下部を構成した状態において、インク室111にインクの補充が必要となる最小量のインクが貯留されているとき、インクの液面は、図6に一点鎖線192で示される位置である。つまり、インクの液面は、上述したように、第2ライン147と同じ高さである。
【0096】
[インク流出路114]
図4(B)に示されるように、筐体140は、インク流出路114を備える。インク流出路114は、インク室111に貯留されているインクをインクタンク100の外部へ流出するための連通路である。
【0097】
インク流出路114の一端は、下壁105と後壁110の境界に形成された開口149、150(図6参照)を介してインク室111と連通している。インク流出路114の他端は、後壁110に形成された開口156を介して突出部157と連通している。開口156は、開口149、150よりも上方に位置している。
【0098】
突出部157は、後壁110の後面110A(第3面の一例)の開口156の周囲部分から後方へ向けて、つまりインクタンク100の外方へ向けて突出している。ここで、タンクセット99が複合機10の筐体14の内部に据え置かれた状態において、後壁110の後面110Aは、筐体14の内方を向いている。つまり、突出部157は、筐体14の内方へ向けて突出している。突出部157は、中空である。突出部157の内部空間の前端は、開口156によってインク流出路114と連通している。突出部157の内部空間の後端は、開口158によってインクタンク100の外部と連通している。
【0099】
インクタンク100が筐体14の内部に据え置かれた状態において、突出部157は、直接、或いは間接的にインクチューブ32と接続されている。これにより、インク流出路114から開口156を通じて突出部157の内部空間へ進入したインクが、インクチューブ32へ流出する。
【0100】
以上より、インク室111に貯留されたインクは、インク流出路114、突出部157の内部空間、及びインクチューブ32を介して記録ヘッド39のノズル40と連通している。なお、突出部157は、インクチューブ32と直接接続されていなくてもよい。例えば、一端部がインクチューブ32と接続されたニードルの他端部が、突出部157に挿入されていてもよい。
【0101】
[大気連通路170]
図4及び図6に示されるように、筐体140は、大気連通路170を有する。大気連通路170は、インク室111とインクタンク100の外部とを連通するための連通路である。換言すると、大気連通路170は、インク室111を大気開放するための連通路である。
【0102】
大気連通路170の一端は、開口144、145を介してインク室111と連通している。大気連通路170の他端は、上壁104に形成された大気開放口187と連通している。
【0103】
大気連通路170の一端と他端との間には、半透膜183が大気連通路170を閉塞するように貼付されている。半透膜183は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜である。例えば、半透膜183は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる。これにより、インク室111に貯留されたインクは、半透膜183によって阻まれて、大気開放口187を通じてインクタンク100の外部へ流出できない。一方、空気は、インク室111内とインクタンク100の外部との間を自由に移動可能である。
【0104】
図4(B)に示されるように、大気連通路170における半透膜183が貼付されている位置と大気開放口187との間には、ラビリンス179が形成されている。ラビリンス179は、上下方向7に延びた隔壁186が前後方向8に並んで複数設けられていることによって、上下方向7のUターンを繰り返しつつ前後方向8に沿って延びる連通路である。
【0105】
[インクタンク100B]
以下、図5を参照しつつ、インクタンク100Bの構成が説明される。図5に示されるように、インクタンク100Bは、インクタンク100Y、100C、100M(図4参照)よりも左右方向9に長い。
【0106】
以下、インクタンク100Bについて、インクタンク100Y、100C、100Mと異なる部分について説明される。なお、インクタンク100Bにおいてインクタンク100Y、100C、100Mと同構成の部分については、図4と同じ参照符号が付された上で、その説明が省略される。また、インクタンク100Bにおける所定部分の構成と、インクタンク100Y、100C、100Mの当該所定部分に対応する部分の構成との相違点が、インクタンク100Bにおける所定部分の構成の方が左右方向9に長いという点のみである場合、インクタンク100Bにおける当該所定部分に対応する部分については、図4と同じ参照符号が付された上で、その説明が省略される。
【0107】
図5に示されるように、インクタンク100Bは、インクタンク100Y、100C、100Mが備えている左壁103(図4(B)参照)を備えておらず、右壁159を備えている。右壁159は、前壁101の右端から後方へ延びる壁である。右壁159の上端は、上壁104の前部と接続されている。右壁159の下端は、下壁105の前部と接続されている。換言すれば、右壁159は、前壁101の右端と、上壁104の前部右端と、下壁105の前部右端と、を連結する壁である。つまり、右壁159は、フレーム141の前部のみに設けられており、フレーム141の後部に設けられていない。
【0108】
[供給口112]
図9(A)に示されるように、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの傾斜壁106の各々には、インク室111にインクを注入するための供給口112B、112Y、112C、112M(これらの総称として「供給口112」と表記することがある。)が形成されている。供給口112は、傾斜壁106を厚み方向に貫通して、インク室111をインクタンク100の外部に連通させる。
【0109】
傾斜壁106及び供給口112は、カバー70を開放位置に位置させることによって、開口22を介して複合機10の外部に露出する。供給口112を通じてインク室111にインクが注入される際のインクタンク100の姿勢(注入姿勢)は、使用姿勢である。すなわち、インクタンク100が使用姿勢にあるときに、供給口112を通じてインク室111にインクが注入される。
【0110】
[結束部材120]
図9に示されるように、結束部材120は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。
【0111】
図10に示されるように、結束部材120は、前壁71と、右壁72と、左壁73と、上壁74と、下壁75とを備える。
【0112】
前壁71は、立壁76と傾斜壁77とで構成されている。立壁76は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁77は、立壁76の上端及び上壁74の前端を連結する壁である。傾斜壁77は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0113】
右壁72は、前壁71の右端から後方へ延びる壁である。左壁73は、前壁71の左端から後方へ延びる壁である。上壁74は、前壁71の上端(詳細には傾斜壁77の上端)から後方へ延びる壁である。上壁74の右端は、右壁72の上端と接続されている。上壁74の左端は、左壁73の上端と接続されている。下壁75は、前壁71の下端から後方へ延びる壁である。下壁75の右端は、右壁72の下端と接続されている。下壁75の左端は、左壁73の下端と接続されている。
【0114】
図11に示されるように、下壁75から下方へ延びる凸部78が形成されている。凸部78は、下壁75の右端部及び左端部に形成されている。凸部78は、プリンタ部11の筐体14の底板161に形成された穴162に挿入される。これにより、結束部材120は、筐体14に固定されるとともに支持される。
【0115】
結束部材120は、インクタンク100を保持した状態(図8に示される状態)で筐体14に固定されるとともに支持される。
【0116】
図10(B)に示されるように、前壁71と、右壁72と、左壁73と、上壁74と、下壁75とによって、結束部材120の内部空間127が形成される。図9に示されるように、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mが、後方から内部空間127へ向けて挿入される。これにより、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの前部が、内部空間127を占める。
【0117】
図10(B)に示されるように、上壁74の後部に複数の開口79が形成されている。各開口79は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口79は4つ形成されている。開口79は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部108(図4図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0118】
下壁75の後部に複数の開口80が形成されている。各開口80は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口80は4つ形成されている。開口80は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部109(図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0119】
上壁74に複数の開口68が形成されている。各開口68は、各開口79から前方へ延びている。つまり、本実施形態において、開口68は4つ形成されている。開口68は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部130(図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0120】
下壁75に複数の開口69が形成されている。各開口69は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口69は4つ形成されている。各開口69は、開口80よりも前方に形成されている。開口69は、前後方向8に沿って延びている。開口69は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部133(図6参照)と対応する位置に形成されている。
【0121】
インクタンク100が内部空間127へ挿入される過程において、凸部108は、上壁74の内部空間127側の面74Aと当接して押圧されて下方へ撓む。また、凸部109は、下壁75の内部空間127側の面75Aと当接して押圧されて上方へ撓む。更にインクタンク100が挿入されると、凸部108は開口79に挿入された状態となり、凸部109は開口80に挿入された状態となる。これにより、凸部108、109の撓みは解消される。
【0122】
当該状態において、図11に示されるように、凸部108は、開口79と係合している。また、当該状態において、凸部109は、開口80と係合している。凸部108及び凸部109は、係合部の一例である。開口79及び開口80は、被係合部の一例である。
【0123】
凸部108と開口79とが係合した状態において、インクタンク100が結合部材120に対して前方へ移動しようとすると、凸部108が開口79の前端を区画する前縁面79Aと当接する。これにより、インクタンク100の結合部材120に対する前方への移動が規制される。また、凸部108と開口79とが係合した状態において、インクタンク100が結合部材120に対して後方へ移動しようとすると、凸部108が開口79の後端を区画する後縁面79Bと当接する。これにより、インクタンク100の結合部材120に対する後方への移動が規制される。
【0124】
凸部109と開口80とが係合した状態において、インクタンク100が結合部材120に対して前方へ移動しようとすると、凸部109が開口80の前端を区画する前縁面80Aと当接する。これにより、インクタンク100の結合部材120に対する前方への移動が規制される。また、凸部109と開口80とが係合した状態において、インクタンク100が結合部材120に対して後方へ移動しようとすると、凸部109が開口80の後端を区画する後縁面80Bと当接する。これにより、インクタンク100の結合部材120に対する後方への移動が規制される。
【0125】
以上のように、凸部108が開口79の縁面と当接し、凸部109が開口80の縁面と当接することによって、インクタンク100は、前後方向8に位置決めされる。
【0126】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、図12に示されるように、凸部131、132は、上壁74の内部空間127側の面74Aと当接しており、凸部134、135は、下壁75の内部空間127側の面75Aと当接している。これにより、インクタンク100は、上下方向7に位置決めされている。なお、凸部131、132と面74Aとの間には、略公差分の隙間があってもよい。
【0127】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、図13(A)に示されるように、凸部130が開口68に挿入されている。凸部130が開口68に挿入された状態において、インクタンク100が結合部材120に対して右方へ移動しようとすると、凸部130が開口68の右端を区画する右縁面68Aと当接する。また、凸部130が開口68に挿入された状態において、インクタンク100が結合部材120に対して左方へ移動しようとすると、凸部130が開口68の左端を区画する左縁面68Bと当接する。
【0128】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、図13(B)に示されるように、凸部133が開口69に挿入されている。凸部133が開口69に挿入された状態において、インクタンク100が結合部材120に対して右方へ移動しようとすると、凸部133が開口69の右端を区画する右縁面69Aと当接する。また、凸部133が開口69に挿入された状態において、インクタンク100が結合部材120に対して左方へ移動しようとすると、凸部133が開口69の左端を区画する左縁面69Bと当接する。
【0129】
以上のように、凸部130が開口68の縁面と当接し、凸部133が開口69の縁面と当接することによって、インクタンク100は、左右方向9に位置決めされる。開口68の各縁面68A、68B、及び開口69の各縁面69A、69Bは、当接部の一例である。
【0130】
図13に示されるように、左右方向9に位置決めされた状態において、隣り合うインクタンク100の間には、隙間98が形成されている。以上のように、結束部材120は、図9に示されるように、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持する。なお、インクタンク100の配置順序は、右から順にインクタンク100B、インクタンク100Y、インクタンク100C、及びインクタンク100Mである。
【0131】
図9に示されるように、結束部材120がインクタンク100を保持した状態において、前壁71は、インクタンク100の前壁101を覆っており、上壁74は、インクタンク100の上壁104の前部を覆っており、下壁75は、インクタンク100の下壁105の前部を覆っている。
【0132】
また、結束部材120がインクタンク100を保持した状態において、右壁72は、4つのインクタンク100のうち最も右に配置されたインクタンク100Bの右面の前部(右壁159)を覆っており、左壁73は、4つのインクタンク100のうち最も左に配置されたインクタンク100Mの左面の前部(左壁103)を覆っている。つまり、結束部材120は、保持した複数のインクタンク100のうちの左右両端に位置するインクタンク100B、100Mの右面及び左面のうち、左右方向9の外方に位置する面(インクタンク100Bの右面、及びインクタンク100Mの左面)の一部を覆っている。
【0133】
以上より、結束部材120は、インクタンク100を保持した状態において、インクタンク100の前部を覆っている。
【0134】
図10(A)に示されるように、結束部材120の前壁71の立壁76には、複数の開口81(第2開口の一例)が形成されている。各開口81は、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各開口81は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口81は4つ形成されている。本実施形態において、各開口81の形状は矩形であるが、矩形以外の形状であってもよい。
【0135】
図9(A)に示されるように、結束部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の前壁101の立壁102が、開口81を介して結束部材120の外部に露出可能である。詳細には、立壁102の前面102A及び当該前面102Aに形成された第1ライン146及び第2ライン147が露出可能である。また、図7に示されるように、結束部材120が各インクタンク100を保持した状態、且つカバー70が閉塞位置の状態において、各インクタンク100の立壁102が、結束部材120の開口81及びカバー70の開口97を介してプリンタ部11の外部に露出可能である。
【0136】
図10に示されるように、結束部材120の前壁71の傾斜壁77には、複数の開口82(第3開口の一例)が形成されている。各開口82は、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各開口82は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口82は4つ形成されている。本実施形態において、各開口82の形状は円形であるが、円形以外の形状であってもよい。
【0137】
図9(A)に示されるように、結束部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の供給口112が、開口82を介して結束部材120の外部に露出可能である。
【0138】
図10に示されるように、結束部材120の上壁74の前部には、後述するキャップ113が取り付けられるキャップ取付部155が形成されている。
【0139】
本実施形態において、キャップ取付部155は、図10(B)に示されるように、左右方向9に延びたリブ151、152と、前後方向8に延びた複数のリブ153とで区画されている。リブ152は、リブ151の後方に形成されている。リブ151の複数箇所に、隙間154が形成されている。各隙間154は、各開口82の後方に形成されている。各隙間154の左右方向9の位置は、各開口82の左右方向9の位置と同じである。各リブ153は、リブ151とリブ152とを接続している。各リブ153は、各隙間154の左右方向9の両外方に形成されている。
【0140】
なお、キャップ取付部155は、キャップ113が取付可能な構成であれば、前述したリブ151、152、153を備えた構成に限らない。
【0141】
[キャップ113]
図9に示されるように、インクタンク100は、キャップ113B、113Y、113C、113M(これらの総称として「キャップ113」と表記することがある。)を備える。インクタンク100は、インクタンク100の4つの供給口112B、112Y、112C、112Mに対応して、4つのキャップ113B、113Y、113C、113Mを備える。
【0142】
各キャップ113は、ゴムやエラストマーのように弾性変形可能な素材によって成型されている。各キャップ113は、キャップ部115と、弾性変形部116と、取付部117とを備えている。なお、各キャップ113の構成は、以下で説明する構成に限らない。
【0143】
キャップ部115は、概ね円盤形状の円盤部115Aの中央から凸部115Bが突出された外形である。
【0144】
弾性変形部116は、帯形状である。弾性変形部116の一端は、キャップ部115に接続されている。弾性変形部116の他端は、取付部117に接続されている。弾性変形部116は、外部から力を付与されていない状態において、図9に示されるように、概ね真っ直ぐに延びた状態である。弾性変形部116の一端には、凸部116Aが形成されている。凸部116Aは、弾性変形部116を挟んでキャップ部115と反対に突出している。
【0145】
取付部117は、概ね直方体形状の矩形部117Aから凸部117Bが突出された外形である。矩形部117Aと凸部117Bとの境界は括れている。凸部117Bは、キャップ取付部155の形状(リブ151、152、153によって区画された領域)と対応した形状である。つまり、凸部117Bは、キャップ取付部155と嵌合可能である。また、凸部117Bとキャップ取付部155とが嵌合した状態において、矩形部117Aと凸部117Bとの境界は、隙間154に入り込んでいる。すなわち、キャップ113は、凸部117Bとキャップ取付部155とが嵌合することによって、結束部材120に取り付けられる。
【0146】
キャップ113は、結束部材120に取り付けられた状態において、図8に示された封止位置と、図9に示された離間位置に移動可能である。
【0147】
封止位置のキャップ113は、キャップ部115の凸部115Bが供給口112の周縁を区画する壁面に密着することによって、供給口112を液密に封止する。図8に示されるように、キャップ113が封止位置に位置する状態において、弾性変形部116は、円弧状に湾曲した状態である。
【0148】
図9に示されるように、キャップ113が離間位置に位置する状態において、キャップ部115は、供給口112から離間している。これにより、供給口112は、開放される。その結果、供給口112を通じてインク室111にインクを注入することが可能となる。キャップ113が離間位置に位置する状態において、弾性変形部116は、弾性復帰して概ね真っ直ぐに延びた状態である。
【0149】
図12に示されるように、キャップ113が封止位置に位置する状態において、カバー70が閉塞位置に回動された場合、カバー70に形成されたリブ93は、左右方向9において、隣り合うキャップ113のキャップ部115の凸部116Aの間に位置している。換言すると、左右方向9に沿った視点において、リブ93と凸部116Aとは、それらの一部同士が重複している。
【0150】
また、キャップ113が封止位置に位置する状態において、カバー70が閉塞位置に回動された場合、カバー70に形成された第2壁92は、キャップ113のキャップ部115の円盤部115Aの上方近傍に位置している。これにより、キャップ113が封止位置から離間位置へ向けての移動する場合、円盤部115Aが第2壁92と当接して、当該移動ができない。つまり、第2壁92は、キャップ113の封止位置からの移動を規制する。
【0151】
[上記実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、結束部材120が複数のインクタンク100を保持することによって、複数のインクタンク100が一体化される。これにより、結束部材120が筐体14に支持された状態において、各インクタンク100間の位置ずれを少なくすることができる。
【0152】
また、上記実施形態によれば、複数のインクタンク100は、図13に示されるように、左右方向9において相互に隙間98を空けた状態で結束部材120に保持される。これにより、隣り合うインクタンク100のフィルム142、143同士の接触を防止できる。その結果、フィルム142、143の破損の可能性を低くすることができる。
【0153】
また、上記実施形態によれば、結束部材120は、複数のインクタンク100を左右方向9に沿って並んだ状態で保持している。ここで、各インクタンク100のフレーム141の前面は、複合機10の筐体14の外部から開口22を通じてアクセス可能である。つまり、各インクタンク100のフレーム141の前面は、複合機10の筐体14の外部に露出し得る。しかし、上記実施形態によれば、結束部材120が、各インクタンク100のフレーム141の前面を覆っている。
【0154】
このように、結束部材120は、各インクタンク100の前面を覆っているため、隣り合うインクタンク100のフレーム141の前面の間の隙間98も覆っている。これにより、各インクタンク100のフレーム141の右面及び左面を構成するフィルム142、143が、隙間98からはみ出していたり、隙間98を通じて視認可能であったりしても、フィルム142、143は、結束部材120によって覆われている。つまり、フィルム142、143は、筐体14の外部に露出しない。その結果、フィルム142、143の破損の可能性を低くすることができる。
【0155】
また、上記実施形態によれば、透光性を有する材質でインクタンク100の前壁101を形成した場合に、開口81を通じてインク室111に貯留されたインクが視認可能である。
【0156】
また、上記実施形態によれば、結束部材120が複数のインクタンク100を保持した状態において、開口82を通じて供給口112へアクセスして、インク室111へのインクの供給を実行することができる。
【0157】
また、上記実施形態によれば、複数のキャップ113の少なくとも一つが封止位置から左右方向9にずれた位置にある場合、このずれたキャップ113とカバー70のリブ93とが接触することによって、カバー70を閉塞位置にすることができない。これにより、カバー70を閉塞位置に移動できるか否かによって、キャップ113が不適切な位置にあるか否かを識別することができる。
【0158】
また、上記実施形態によれば、複数のキャップ113の少なくとも一つが封止位置から離間位置寄りに移動している場合、具体的には複数のキャップ113の少なくとも一つがきっちり供給口112に差し込まれていない場合、このキャップ113とカバー70の第2壁92とが接触することによって、カバー70を閉塞位置にすることができない。これにより、カバー70を閉塞位置に移動できるか否かによって、キャップ113が不適切な位置にあるか否かを識別することができる。
【0159】
また、上記実施形態によれば、凸部108、109と開口79、80とが係合することで結束部材120が位置決めされることにより、結束部材120に保持された各インクタンク100が前後方向8に位置ずれすることを防止できる。
【0160】
また、上記実施形態によれば、結束部材120が保持した複数のインクタンク100のうち右端に位置するインクタンク100Bの右面の前部(右壁159)、及び結束部材120が保持した複数のインクタンク100のうち左端に位置するインクタンク100Mの左面の前部(左壁103)を、結束部材120によって覆うことができる。これにより、インクタンク100Bの右面の後部のフィルム142がインクタンク100Bの右面の前部にまで延出されていたり、インクタンク100Mの左面の後部のフィルム143がインクタンク100Mの左面の前部にまで延出されていたりしても、結束部材120が延出されたフィルム142、143を覆う。そのため、フィルム142、143の破損の可能性を低くすることができる。
【0161】
[変形例]
上記実施形態では、インクタンク100の凸部108、109が係合部の一例であり、結束部材120の開口79及び開口80が被係合部の一例であり、開口68の各縁面68A、68Bと開口69の各縁面69A、69Bとが当接部の一例であった。しかし、インクタンク100を位置決めする機能を有することを条件として、係合部、被係合部、及び当接部は、上記実施形態とは異なる部分であってもよい。
【0162】
例えば、当接部は、上壁74から下方へ突出し且つ前後方向8に延びたリブ、及び下壁75から上方へ突出し且つ前後方向8に延びたリブであってもよい。これらのリブは、左右方向9において、隣り合うインクタンク100の間に位置する。これらのリブがインクタンク100と当接することにより、インクタンク100は左右方向9に位置決めされる。また、インクタンク100が位置決めされた状態において、隣り合うインクタンク100の間には、これらのリブの左右方向9の長さに相当する隙間98が形成される。
【0163】
上記実施形態では、結束部材120の開口68の各縁面68A、68B及び開口69の各縁面69A、69B、つまり当接部は、インクタンク100の凸部130、133と当接した。しかし、当接部が当接するのは、インクタンク100における凸部130、133以外の部分であってもよい。但し、当接部が当接するのは、インクタンク100におけるフィルム142、143以外の部分に限られる。
【0164】
インクタンク100と当接してインクタンク100を左右方向9に位置決めする部分、つまり当接部は、インクタンク100のフィルム142、143と当接しない。そのため、当接部と当接することによるフィルム142、143の破損を防止できる。
【0165】
上記実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等が、液体の一例であってもよい。
【符号の説明】
【0166】
10・・・複合機(供給装置)
14・・・筐体
68・・・開口
68A、68B・・・開口68の縁面(当接部)
69・・・開口
69A、69B・・・開口69の縁面(当接部)
100・・・インクタンク(タンク)
111・・・インク室(液体貯留室)
120・・・結束部材
130・・・凸部
133・・・凸部
142、143・・・フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13