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  • 特許-駐車支援装置及び駐車支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】駐車支援装置及び駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241106BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241106BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241106BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20241106BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08G1/00 X
B60W30/06
B60W50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023082791
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2018050863の分割
【原出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2023107791
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0197636(US,A1)
【文献】特開2016-185745(JP,A)
【文献】特開2010-089716(JP,A)
【文献】特開2008-015839(JP,A)
【文献】特開2015-230641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を自動的に目標駐車位置に駐車させる駐車制御を実行可能な駐車支援装置であって、
前記車両の外にいるユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方を検出可能な車両外部センサの信号を取得し、前記ユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方が、駐車指示行動として予め設定されたものと合致するか否かを判定することにより、前記ユーザの特定の駐車指示行動を検出する第1の検出手段と、
前記ユーザの特定の駐車指示行動が検出されなかった場合、前記車両の外にいる前記ユーザの端末による操作が検出されたか否かを判定することにより、前記ユーザの駐車指示操作を検出する第2の検出手段と、
前記駐車指示行動又は前記駐車指示操作が検出された場合に、前記駐車制御を開始させる開始手段と、
を備える駐車支援装置。
【請求項2】
前記駐車制御の予約を受け付ける予約手段を更に備え、
前記第1の検出手段は、前記予約が受け付けられた状態では前記駐車指示行動を検出し、前記予約が受け付けられていない状態では前記駐車指示行動を検出しない
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
車両を自動的に目標駐車位置に駐車させる駐車制御を実行可能な駐車支援方法であって、
前記車両の外にいるユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方を検出可能な車両外部センサの信号を取得し、前記ユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方が、駐車指示行動として予め設定されたものと合致するか否かを判定することにより、前記ユーザの特定の駐車指示行動を検出する第1の検出工程と、
前記ユーザの特定の駐車指示行動が検出されなかった場合、前記車両の外にいる前記ユーザの端末による操作が検出されたか否かを判定することにより、前記ユーザの駐車指示操作を検出する第2の検出工程と、
前記駐車指示行動又は前記駐車指示操作が検出された場合に、前記駐車制御を開始させる開始工程と、
を含む駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車動作を支援する駐車支援装置及び駐車支援方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、車両の走行を制御して自動的に駐車動作を行うものが知られている。例えば特許文献1では、駐車場内の構内路を自動運転させることで、無人の車両を自動的に駐車スペースに駐車させるという技術が提案されている。この装置のユーザは、車両の外から遠隔操作端末を操作して、車両の自動駐車制御を開始させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-99953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の技術では、自動駐車制御を開始させる場合、ユーザが遠隔操作端末を取り出して所定の操作を行う必要がある。このような動作は、ユーザにとって煩わしさを感じさせてしまう原因となり得る。即ち、特許文献1に記載の技術には、自動駐車制御を好適に開始させるという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、車両の駐車制御を好適に開始させることが可能な駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駐車支援装置の一態様では、車両を自動的に目標駐車位置に駐車させる駐車制御を実行可能な駐車支援装置であって、前記車両の外にいるユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方を検出可能な車両外部センサの信号を取得し、前記ユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方が、駐車指示行動として予め設定されたものと合致するか否かを判定することにより、前記ユーザの特定の駐車指示行動を検出する第1の検出手段と、前記ユーザの特定の駐車指示行動が検出されなかった場合、端末による操作が検出されたか否かを判定することにより、前記ユーザの駐車指示操作を検出する第2の検出手段と、前記駐車指示行動又は前記駐車指示操作が検出された場合に、前記駐車制御を開始させる開始手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る駐車支援方法の一態様では、車両を自動的に目標駐車位置に駐車させる駐車制御を実行可能な駐車支援方法であって、前記車両の外にいるユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方を検出可能な車両外部センサの信号を取得し、前記ユーザのジェスチャー及び音声の少なくとも一方が、駐車指示行動として予め設定されたものと合致するか否かを判定することにより、前記ユーザの特定の駐車指示行動を検出する第1の検出工程と、前記ユーザの特定の駐車指示行動が検出されなかった場合、端末による操作が検出されたか否かを判定することにより、前記ユーザの駐車指示操作を検出する第2の検出工程と、前記駐車指示行動又は前記駐車指示操作が検出された場合に、前記駐車制御を開始させる開始工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
図2】車両外部センサの具体例を示す概略構成図である。
図3】駐車指示行動として検出される動き及びその他の行動として検出される動きの具体例を示す表である。
図4】本実施形態に係る駐車支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して駐車支援装置及び駐車支援方法の実施形態について説明する。
【0010】
<装置構成>
まず、本実施形態に係る駐車支援装置が搭載される車両の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両10は、車室内UI(ユーザインタフェース)110、車両外部センサ120、端末信号受信部130、及び駐車支援装置200を備えて構成されている。
【0012】
車室内UI110は、例えばスイッチやタッチパネル等を備えて構成されており、車室内にいるユーザによる各種操作を受け付けることが可能に構成されている。本実施形態に係る車室内UI110は特に、車両10を自動的に駐車させるための駐車制御の予約操作(詳細は後述)を受け付けることが可能であり、その操作に関する情報は、駐車支援装置200における駐車制御予約部210に出力される構成となっている。
【0013】
車両外部センサ120は、車両10の外にいるユーザの動き及び音声の少なくとも一方を検出可能に構成されている。具体的には、車両外部センサ120は、車両10の駐車制御を開始するための特定の動きや音声である駐車指示行動を検出するために設けられている。車両外部センサ120で検出されたユーザの動きや音声に関する情報は、駐車支援装置200における駐車指示行動検出部220に出力される構成となっている。
【0014】
ここで、車両外部センサ120の具体的な構成例について、図2を参照して説明する。図2は、車両外部センサの具体例を示す概略構成図である。
【0015】
図2に示すように、車両外部センサ120は、サイドミラーに搭載されたカメラ121、ドアノブに搭載されたドアノブセンサ122、車両10の後方付近に設置されたキックセンサ123、及び音声センサ124等を含んで構成される。
【0016】
カメラ121は、車両10の外にいるユーザを撮像可能に設置されており、例えばユーザによるジェスチャー等の動きを検出するためのものである。ドアノブセンサ122は、例えば接触センサ等として構成されており、ユーザによるドアノブ操作を検出するためのものである。キックセンサ123は、車両10の後方付近におけるユーザの足の動きを検出するためのものである。音声センサ124は、車両10の外にいるユーザの音声を検出するためのものである。
【0017】
なお、車両外部センサ120としてのカメラ121、ドアノブセンサ122、キックセンサ123、及び音声センサ124は、その全てが車両10に備えられる必要はなく、少なくとも1つが設けられていればよい。また、カメラ121、ドアノブセンサ122、キックセンサ123、及び音声センサ124の各々は、駐車指示行動以外のユーザの動きや音声を検出するものであってもよい。即ち、駐車指示行動を検出する機能だけでなく、駐車指示行動以外の操作を検出する機能を有していてもよい。
【0018】
図1に戻り、端末信号受信部130は、ユーザ端末50から送信された信号を受信可能に構成されている。なお、ユーザ端末50は、端末信号受信部130との通信するための専用端末であってもよいし、スマートフォン等の汎用端末であってもよい。本実施形態に係る端末信号受信部130は特に、ユーザ端末50から駐車制御の開始を指示するための信号を受信するために設けられている。端末信号受信部130が受信した信号が示す情報は、駐車支援装置200における駐車指示操作検出部230に出力される構成となっている。
【0019】
駐車支援装置200は、車両10の各部を制御可能なコントローラユニットであり、車両10を自動的に駐車スペースに駐車させるための駐車制御を実行可能に構成されている。駐車支援装置200は、その機能を実現するための処理ブロック又は物理的な処理回路として、駐車制御予約部210、駐車指示行動検出部220、駐車指示操作検出部230、駐車制御開始判断部240、及び駐車制御実行部250を備えている。
【0020】
駐車制御予約部210は、車室内UI110から入力されたユーザによる操作に関する情報に基づいて、駐車制御の予約状態を設定する。具体的には、駐車制御予約部210は、車室内UI110から入力されたユーザによる操作に関する情報が、駐車制御の予約を設定するためものであった場合には、駐車制御の予約状態をオン(即ち、駐車制御が予約されている状態)にする。一方、駐車制御予約部210は、車室内UI110から入力されたユーザによる操作に関する情報が、駐車制御の予約を設定するためのものでない場合には、駐車制御の予約状態をオフのまま(即ち、駐車制御が予約されていない状態)にする。なお、駐車制御予約部210は、車室内UI110から入力されたユーザによる操作に関する情報が、駐車制御の予約を解除するためのものである場合には、駐車制御の予約状態をオンからオフに切り替えるようにしてもよい。また、駐車制御予約部210は、車室内UI110以外(例えば、ユーザ端末50等)から入力される情報に基づいて、予約の設定及び解除を行ってもよい。駐車制御予約部210によって設定された駐車制御の予約状態に関する情報は、駐車制御開始判断部240に出力される構成となっている。駐車制御予約部210は、後述する付記における「予約手段」の一具体例である。
【0021】
駐車指示行動検出部220は、車両外部センサ120で検出されたユーザの動き及び音声の少なくとも一方から、駐車制御の開始を指示するための駐車指示行動を検出する。具体的には、駐車指示行動検出部220は、車両外部センサ120で検出されたユーザの動き及び音声の少なくとも一方が、駐車指示行動として予め設定されたものと合致するか否かを判定する。より具体的には、駐車指示行動検出部220は、例えばカメラ121によって検出されたユーザの動きが特定のジェスチャーであるか否か、ドアノブセンサ122に対するユーザの操作が特定の操作であるか否か、キックセンサ123で検出されたユーザの足の動きが特定の動きであるか否か、音声センサ124で検出されたユーザの音声が特定の音声であるか否かを判定する。なお、駐車指示行動検出部220が検出する「特定の動き」は、車両外部センサ120によって検出可能な動作であり、例えばユーザ端末50からの送信された信号によって検出可能な操作動作を含まない。駐車指示行動検出部220による各センサを用いたより具体的な判定方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、詳細な説明は省略するものとする。
【0022】
駐車指示行動検出部220は、車両外部センサ120として複数種類のセンサが備えられる場合は、それぞれのセンサにおける複数の検出結果を別々に判定に利用してもよいし、複数の検出結果を合わせて判定に利用してもよい。例えば、複数種類のセンサのうち、いずれかのセンサで駐車指示行動と合致する行動が検出されれば、駐車指示行動を検出したと判定してもよいし、複数種類のセンサの全てで駐車指示行動と合致する行動が検出された場合に限り、駐車指示行動を検出したと判定してもよい(この場合、駐車指示行動が複数種類のセンサに対する複合的な行動として設定されればよい)。駐車指示行動検出部220は、駐車指示行動を検出した場合、その旨を駐車制御開始判断部240へと出力する。駐車指示行動検出部220は、後述する付記における「検出手段」の一具体例である。
【0023】
ちなみに、車両外部センサ120が駐車指示行動を検出する機能以外の他の機能を有している場合、駐車指示行動として設定される特定の動き又音声は、他の機能に対応する動き又は音声とは別のものとして設定される。以下では、その具体例について、図3を参照して説明する。図3は、駐車指示行動として検出される動き及びその他の行動として検出される動きの具体例を示す表である。
【0024】
図3(a)に示すように、ドアノブセンサ122でユーザの操作が1回だけ検出された場合、その操作はドアロックのオン及びオフを相互に切り替えるための操作であると判断される。一方で、ドアノブセンサ122でユーザの操作が2回連続して検出された場合(即ち、極めて短い期間で連続して操作が行われた場合)、その操作は駐車指示行動であると判断される。ただし、駐車制御が予約されている場合(即ち、予約状態がオンの場合)には、ユーザの操作が1回だけ検出された場合でも、その操作が駐車指示行動であると判断してもよい。
【0025】
図3(b)に示すように、キックセンサ123でユーザの足が検出されている時間が所定閾値未満であった場合、その操作はリアハッチを開閉するための操作であると判断される。一方で、キックセンサ123でユーザの足が検出されている時間が所定閾値以上であった場合、その操作は駐車指示行動であると判断される。なお、所定閾値は、それぞれの操作を区別するために最適な値として求められたものであればよい。また、駐車制御が予約されている場合には、ユーザの足が検出されている時間が所定閾値未満であった場合でも、その操作が駐車指示行動であると判断してもよい。
【0026】
以上のように、車両外部センサ120が駐車指示行動を検出する機能以外の他の機能を有している場合であっても、駐車指示行動とその他の行動とが別々に設定されていれば、それぞれの行動が混同されることを防止できる。言い換えれば、駐車指示行動を、その他の機能に対応する操作と区別可能な行動として設定することで、既存の車両外部センサ120を利用して、車両指示行動を検出することが可能となる。
【0027】
再び図1に戻り、駐車指示操作検出部230は、端末信号受信部130から入力された情報(即ち、ユーザ端末50の操作内容に関する情報)に基づいて、ユーザによって駐車指示操作(即ち、駐車制御の開始を指示するための操作)が行われたことを検出する。駐車指示操作検出部230は、駐車指示操作が検出された場合、その旨を駐車制御開始判断部240へと出力する。
【0028】
駐車制御開始判断部240は、駐車制御予約部210、駐車指示行動検出部220、及び駐車指示操作検出部230の各々から入力される情報に基づいて、駐車制御を開始するか否かを判断する。具体的には、駐車制御開始判断部240は、駐車制御が予約されている状態で、駐車指示行動又は駐車指示操作のいずれかが検出された場合に、駐車制御を開始すると判断する。駐車制御開始判断部240は、駐車制御を開始すると判断した場合、駐車制御実行部250に対して駐車制御を開始するように指令を出力する。駐車制御開始判断部240は、後述する付記における「開始手段」の一具体例である。
【0029】
駐車制御実行部250は、駐車制御開始判断部240が駐車制御を開始すると判断した場合に、車両10を自動的に駐車させるための駐車制御を実行する。具体的には、駐車制御実行部250は、車両10における各部(例えば、アクセルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、操舵アクチュエータ等)を制御して、駐車目標となる駐車スペースへの駐車が完了するように、車両10の走行を制御する。ここでの駐車制御の具体的な制御内容については、既存の技術を適宜採用することが可能であるため、詳細な説明は省略するものとする。なお、駐車目標となる駐車スペースについては、車両10の位置や空き状況に応じて自動的に決定されてもよいし、駐車制御予約部210において、駐車制御の予約設定時に設定された駐車スペース(即ち、車室内UI100の操作に応じて設定された駐車スペース)であってもよい。
【0030】
<動作説明>
次に、本実施形態に係る駐車支援装置200の動作の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る駐車支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0031】
図4に示すように、本実施形態に係る駐車支援装置200の動作時には、まずユーザが車両10から降車したか否かを判定する(ステップS101)。なお、ユーザの降車は、車両10が駐車制御を開始してもよい状態になったか否かを判定するための条件として設定されているものであり、例えば車両10のイグニッションオフ等の他の条件の成立が判定されてもよい。なお、このような条件の判定方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0032】
ユーザが車両10から降車していないと判定された場合(ステップS101:NO)、以降の処理は省略され、一連の動作は終了する。この場合、駐車支援装置200は、所定期間経過後にステップS101から処理を再開してもよい。一方、ユーザが車両10から降車したと判定された場合(ステップS101:YES)、駐車制御開始判断部240は、車両10における駐車制御の予約状態を確認する(ステップS102)。即ち、車両制御予約部210によって設定された駐車制御の予約状態がオンであるのか、それともオフであるのか確認する。
【0033】
続いて、駐車制御開始判断部240は、確認した駐車制御の予約状態がオンである否か(即ち、駐車制御の予約が受け付けられた状態であるか否か)を判定する(ステップS102)。そして、駐車制御の予約状態がオンでない(言い換えれば、オフである)と判定された場合(ステップS103:NO)、以降の処理は省略され、一連の動作は終了する。駐車制御の予約が受け付けられていない状態であれば、駐車制御を実行する必要はないからである。一方、駐車制御の予約状態がオンであると判定された場合(ステップS103:YES)、車両外部センサ120によるユーザの監視を開始させる(ステップS104)。即ち、車両外部センサ120によってユーザの動きや音声を検出可能な状態とする。
【0034】
続いて、駐車制御開始判断部240は、ユーザ監視の結果、ユーザによる駐車指示行動が検出されたか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、駐車指示行動検出部220において、駐車指示行動に合致する動き及び音声の少なくとも一方が検出されたか否かを判定する。ユーザによる駐車指示行動が検出されたと判定された場合(ステップS105:YES)、駐車制御開始判断部240は、駐車制御を開始するように駐車制御実行部250に指令を出力する(ステップS106)。このように、駐車制御の予約が受け付けられた状態で、ユーザによる駐車指示行動が検出されると、車両10を自動的に駐車させるための駐車制御が開始されることになる。
【0035】
ちなみに、図4には記載されていないが、駐車指示行動が検出されてから、実際に駐車制御が開始されるまでの間には、駐車制御を適切に実行するための制御が実行されてもよい。例えば、駐車した車両10からはユーザがしばらく離れることになるので、駐車制御時にはドアロックがオンされている(即ち、ロックされた状態である)ことが好ましい。このため、駐車指示行動が検出されたら、自動的にドアロックをオンにするような制御が実行されてもよい。この場合、ドアロックをオンにしてから駐車制御が開始されてもよいし、駐車制御が開始されてから(即ち、駐車制御の実施中や駐車制御の完了後に)ドアロックをオンにする制御が実行されてもよい。なお、車両外部センサ120としてドアノブセンサ122を備える場合、既に図3(a)を参照して説明したように、ドアロックに関する操作が駐車指示行動とは別の操作として設定される。このような場合、ドアロックのオン及びオフを切り替える行動が検出されずとも、駐車指示行動が検出された時点でドアロックをオンにするような制御が実施されてもよい。これにより、操作の二度手間を回避することができる。
【0036】
一方、ユーザによる駐車指示行動が検出されていないと判定された場合(ステップS105:NO)、駐車制御開始判断部240は、ユーザ端末50による駐車指示操作が検出されたか否かを判定する(ステップS107)。そして、駐車指示操作が検出された場合(ステップS107:YES)、駐車制御開始判断部240は、駐車制御を開始するように駐車制御実行部250に指令を出力する(ステップS106)。このように、駐車指示行動が検出されなかった場合であっても、ユーザ端末50による駐車指示操作が検出されると、駐車制御は開始されることになる。言い換えれば、ユーザは、駐車制御を開始させるための方法として、駐車指示行動をするのか、それともユーザ端末50で駐車指示操作をするのか適宜選択することができる。
【0037】
駐車指示操作が検出されない場合(ステップS107:NO)、駐車制御を開始するまでの待機期間が所定値以上となったか否かを判定する(ステップS108)。なお、ここでの待機時間は、例えばユーザが降車したと判定された時点(即ち、ステップS101:YESと判定された時点)からカウントされればよい。また、待機時間に対する閾値である所定値は、本来であれば実行されるべき駐車制御が開始されないままの状態であること(即ち、駐車指示行動も駐車指示操作も検出されない異常な状態)を判定するための時間として設定されればよい。
【0038】
待機期間が所定値以上でない場合(ステップ108:NO)、これからユーザが駐車指示行動又は駐車指示操作を行う可能性があると判断し、ステップS104以降の処理が繰り返される。よって、この場合には、ユーザの監視が続行されることになる。一方で、待機期間が所定値以上である場合(ステップ108:YES)、これからユーザが駐車指示行動又は駐車指示操作を行う可能性は極めて低いと判断し、ユーザ端末50に駐車制御が開始されなかった旨を通知して(ステップS109)、一連の処理が終了する。よって、この場合には、ユーザの監視が中止され、駐車制御は行われないままとなる。
【0039】
上記のように、待機時間に応じて一連の処理を終了するようにすれば、ユーザに駐車制御を開始する意図がないにもかかわらず、ユーザの監視が実行され続けることを防止できる。また、ユーザ端末50への通知が行われることにより、駐車制御を忘れてしまったユーザに対して注意喚起を行うことができる。なお、待機時間が所定値以上であると判定された後においては、ユーザは、ユーザ端末50による駐車指示操作によって駐車制御を開始させればよい。あるいは、ユーザによる所定の操作によって、駐車指示行動を検出するためのユーザ監視(即ち、車両外部センサ120の動作)が再開されるようにしてもよい。
【0040】
<技術的効果>
次に、本実施形態に係る駐車支援装置200によって得られる技術的効果について説明する。
【0041】
図1から図3を用いて説明したように、本実施形態に係る駐車支援装置200によれば、ユーザ端末50を操作せずとも、駐車指示行動によって、車両10の駐車制御を開始させることが可能である。このため、車両10から降車したユーザは、ユーザ端末50を取り出す等の手間をかけることなく、駐車制御を開始させることができる。従って、本実施形態に係る駐車支援装置200によれば、ユーザに煩わしさを感じさせることなく、好適に駐車制御を開始させることが可能である。
【0042】
なお、上記のような駐車指示行動を利用した方法には、単に指示操作を簡略化するだけでなく、ユーザ端末50が利用できない状況であっても、駐車制御を開始させることができるという効果がある。例えば、ユーザ端末50の電池が切れている場合や故障している場合、或いはユーザの両手が塞がっておりユーザ端末50の操作を行えない場合等でも、駐車指示行動によって、確実に駐車制御を開始させることができる。
【0043】
<付記>
以上説明した実施形態から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0044】
(付記1)
付記1に記載の駐車支援装置は、車両を自動的に目標駐車位置に駐車させる駐車制御を実行可能な駐車支援装置であって、前記車両の外にいるユーザの特定の動き及び音声の少なくとも一方を駐車指示行動として検出する検出手段と、前記駐車指示行動が検出された場合に、前記駐車制御を開始させる開始手段とを備える。
【0045】
付記1に記載の駐車支援装置によれば、車両の外にいるユーザの特定の動き及び音声の少なくとも一方が駐車指示行動として検出されることを条件に、車両を自動的に駐車させるための駐車制御が開始される。これにより、例えば専用の端末を操作して駐車制御を開始させるような手間が省けるため、より好適に駐車制御を開始させることが可能である。
【0046】
(付記2)
付記2に記載の駐車支援装置では、前記車両は、前記ユーザによるドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作が可能な操作部を有しており、前記検出手段は、前記操作部に対する前記ドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作とは異なる操作を前記駐車指示行動として検出する。
【0047】
付記2に記載の駐車支援装置によれば、ドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作が可能な操作部(例えば、ドアノブ)を用いて、好適に駐車指示行動を検出することができる。なお、駐車指示行動は、ドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作とは異なる操作として設定されているため、ドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作及び駐車制御の開始操作が互いに混同されるおそれはなく、1つの操作部によって、ドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作及び駐車制御の開始操作の2つの操作が行える。
【0048】
(付記3)
付記3に記載の駐車支援装置では、前記開始手段は、前記ドアロックがオフである状態で、前記操作部に対する前記ドアロックのオン及びオフを相互に切り替える操作とは異なる操作が前記駐車指示行動として検出された場合には、前記ドアロックをオンにすると共に前記駐車制御を開始させる。
【0049】
付記3に記載の駐車支援装置によれば、駐車指示行動を検出した時点ではドアロックがオフの状態(即ち、ロックされていない状態)であっても、駐車制御がドアロックをオンした状態(即ち、ロックされた状態)で開始される、あるいは駐車制御の実施中又は駐車制御の完了後にドアロックをオンした状態とされるため、ロック忘れを防止することができ、車両のセキュリティを向上させることができる。また、ドアロックをオンに切り替える操作及び駐車制御の開始操作が同時に行えるため、操作の二度手間を回避することもできる。
【0050】
(付記4)
付記4に記載の駐車支援装置では、前記駐車制御の予約を受け付ける予約手段を更に備え、前記検出手段は、前記予約が受け付けられた状態では前記駐車指示行動を検出し、前記予約が受け付けられていない状態では前記駐車指示行動を検出しない。
【0051】
付記4に記載の駐車支援装置によれば、駐車制御の予約が受け付けられた状態でなければ、駐車指示行動が検出されないため、意図せず駐車制御が開始されてしまうことを防止できる。また、予約が受け付けられた状態でのみ、駐車指示行動を検出するようにすればよいため、例えば駐車指示行動を検出するためのセンサ等における電力消費を抑制することも可能である。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車支援装置及び駐車支援方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 車両
50 ユーザ端末
110 車室内UI
120 車両外部センサ
121 カメラ
122 ドアノブセンサ
123 キックセンサ
124 音声センサ
130 端末信号受信部
200 駐車支援装置
210 駐車制御予約部
220 駐車指示行動検出部
230 駐車指示操作検出部
240 駐車制御開始判断部
250 駐車行動実行部
図1
図2
図3
図4