(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】色選択用表示装置、色選択用表示方法、及び色選択用表示プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/62 20060101AFI20241106BHJP
H04N 1/54 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04N1/62
H04N1/54
(21)【出願番号】P 2023141579
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2024-08-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聖矢
(72)【発明者】
【氏名】岩淵 敏文
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-10085(JP,A)
【文献】特開2014-238788(JP,A)
【文献】特開2004-297741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/62
H04N 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して用いられる複数の色のインキの各色を示す色番号と各色番号に対応して前記各色を特定する色情報とを含み、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色を特色として登録している調色用データを、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせごとに設定している調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの前記色番号及び前記色情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色に対応する複数の単位区画を前記色番号に従った順番で表示部に表示し、各単位区画を前記各色の前記色情報に従った色で表示する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、前記複数の単位区画を前記表示部に並び替えて表示する
色選択用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記複数の色のうち、最低彩度から最高彩度までの全彩度範囲のうちの一部の彩度範囲と、最低明度から最高明度までの全明度範囲のうちの一部の明度範囲とのうちの少なくとも一方で色を絞り込む指示に応答して、前記複数の単位区画のうちの絞り込まれた色に対応する一部の単位区画を前記表示部に表示する請求項1に記載の色選択用表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記複数の色のうち、色の種別を選択する指示に応答して、前記複数の単位区画のうちの選択された種別の色に対応する一部の単位区画を前記表示部に表示する請求項1に記載の色選択用表示装置。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して、前記組み合わせごとの前記プロセス印刷の色域を示す色域情報を設定しているプロセス印刷用カラーテーブルのうち、前記選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する色域情報を記憶しており、
前記表示制御部は、設定された1またはそれ以上の選択色を示す前記色番号に対応して、前記記憶部に記憶されている前記プロセス印刷用カラーテーブルの前記色域情報に基づいて、各選択色が前記プロセス印刷の色域内の色であるか色域外の色であるかを識別する識別情報を前記表示部に表示する請求項1~3のいずれか1項に記載の色選択用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記プロセス印刷の色域外の1またはそれ以上の選択色が設定されたとき、前記プロセス印刷の色域外の前記1またはそれ以上の選択色のうちの指定された選択色に近似する色を有する1またはそれ以上の置換候補色を前記表示部に表示し、
前記1またはそれ以上の置換候補色のうちのいずれかの置換候補色が置換色として決定されると、前記指定された選択色を前記置換色に置換する
請求項4に記載の色選択用表示装置。
【請求項6】
印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して用いられる複数の色のインキの各色を示す色番号と各色番号に対応して前記各色を特定する色情報とを含み、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色を特色として登録している調色用データを、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせごとに設定している調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの前記色番号及び前記色情報を記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色に対応する複数の単位区画を前記色番号に従った順番で表示部に表示し、各単位区画を前記各色の前記色情報に従った色で表示し、
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、前記複数の単位区画を前記表示部に並び替えて表示する
色選択用表示方法。
【請求項7】
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記複数の色のうち、最低彩度から最高彩度までの全彩度範囲のうちの一部の彩度範囲と、最低明度から最高明度までの全明度範囲のうちの一部の明度範囲とのうちの少なくとも一方で色を絞り込む指示に応答して、前記複数の単位区画のうちの絞り込まれた色に対応する一部の単位区画を前記表示部に表示する請求項6に記載の色選択用表示方法。
【請求項8】
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記複数の色のうち、色の種別を選択する指示に応答して、前記複数の単位区画のうちの選択された種別の色に対応する一部の単位区画を前記表示部に表示する請求項6に記載の色選択用表示方法。
【請求項9】
前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して、前記組み合わせごとの前記プロセス印刷の色域を示す色域情報を設定しているプロセス印刷用カラーテーブルのうち、前記選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する色域情報をさらに前記記憶部に記憶させ、
設定された1またはそれ以上の選択色を示す前記色番号に対応して、前記記憶部に記憶されている前記プロセス印刷用カラーテーブルの前記色域情報に基づいて、各選択色が前記プロセス印刷の色域内の色であるか色域外の色であるかを識別する識別情報を前記表示部に表示する請求項6~8のいずれか1項に記載の色選択用表示方法。
【請求項10】
前記プロセス印刷の色域外の1またはそれ以上の選択色が設定されたとき、前記プロセス印刷の色域外の前記1またはそれ以上の選択色のうちの指定された選択色に近似する色を有する1またはそれ以上の置換候補色を前記表示部に表示し、
前記1またはそれ以上の置換候補色のうちのいずれかの置換候補色が置換色として決定されると、前記指定された選択色を前記置換色に置換する
請求項9に記載の色選択用表示方法。
【請求項11】
コンピュータに、
印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して用いられる複数の色のインキの各色を示す色番号と各色番号に対応して前記各色を特定する色情報とを含み、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色を特色として登録している調色用データを、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせごとに設定している調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの前記色番号及び前記色情報を記憶している記憶部にアクセスするステップと、
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色に対応する複数の単位区画を前記色番号に従った順番で表示部に表示し、各単位区画を前記各色の前記色情報に従った色で表示するステップと、
前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、前記複数の単位区画を前記表示部に並び替えて表示するステップと、
を実行させる色選択用表示プログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記複数の色のうち、最低彩度から最高彩度までの全彩度範囲のうちの一部の彩度範囲と、最低明度から最高明度までの全明度範囲のうちの一部の明度範囲とのうちの少なくとも一方で色を絞り込む指示に応答して、前記複数の単位区画のうちの絞り込まれた色に対応する一部の単位区画を前記表示部に表示するステップをさらに実行させる請求項11に記載の色選択用表示プログラム。
【請求項13】
前記コンピュータに、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記複数の色のうち、色の種別を選択する指示に応答して、前記複数の単位区画のうちの選択された種別の色に対応する一部の単位区画を前記表示部に表示するステップをさらに実行させる請求項11に記載の色選択用表示プログラム。
【請求項14】
前記記憶部は、さらに、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して、前記組み合わせごとの前記プロセス印刷の色域を示す色域情報を設定しているプロセス印刷用カラーテーブルのうち、前記選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する色域情報を記憶しており、
前記コンピュータに、設定された1またはそれ以上の選択色を示す前記色番号に対応して、前記記憶部に記憶されている前記プロセス印刷用カラーテーブルの前記色域情報に基づいて、各選択色が前記プロセス印刷の色域内の色であるか色域外の色であるかを識別する識別情報を前記表示部に表示するステップをさらに実行させる請求項11~13のいずれか1項に記載の色選択用表示プログラム。
【請求項15】
前記コンピュータに、
前記プロセス印刷の色域外の1またはそれ以上の選択色が設定されたとき、前記プロセス印刷の色域外の前記1またはそれ以上の選択色のうちの指定された選択色に近似する色を有する1またはそれ以上の置換候補色を前記表示部に表示するステップと、
前記1またはそれ以上の置換候補色のうちのいずれかの置換候補色が置換色として決定されると、前記指定された選択色を前記置換色に置換するステップと、
をさらに実行させる請求項14に記載の色選択用表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色選択用表示装置、色選択用表示方法、及び色選択用表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の色を用いて所定の印刷物をデザインする際、カラーパレットを参考にして各色を選択することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4914834号公報
【文献】特開2006-350066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷物で表現される色は、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせによって異なる。従って、カラーパレットを参考にして各色を選択して印刷物をデザインしても、望みの色が印刷物で表現されるとは限らない。望みの色が印刷物で表現されなければ、調色で色を調整し、改めて印刷して望みの色が表現されているかを確認する必要がある
【0005】
本発明は、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに応じて、印刷物で表現しようとする望みの色を容易に選択することができる色選択用表示装置、色選択用表示方法、及び色選択用表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して用いられる複数の色のインキの各色を示す色番号と各色番号に対応して前記各色を特定する色情報とを含み、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色を特色として登録している調色用データを、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせごとに設定している調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの前記色番号及び前記色情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色に対応する複数の単位区画を前記色番号に従った順番で表示部に表示し、各単位区画を前記各色の前記色情報に従った色で表示する表示制御部とを備え、前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、前記複数の単位区画を前記表示部に並び替えて表示する色選択用表示装置を提供する。
【0007】
本発明は、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して用いられる複数の色のインキの各色を示す色番号と各色番号に対応して前記各色を特定する色情報とを含み、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色を特色として登録している調色用データを、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせごとに設定している調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの前記色番号及び前記色情報を記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色に対応する複数の単位区画を前記色番号に従った順番で表示部に表示し、各単位区画を前記各色の前記色情報に従った色で表示し、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、前記複数の単位区画を前記表示部に並び替えて表示する色選択用表示方法を提供する。
【0008】
本発明は、コンピュータに、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応して用いられる複数の色のインキの各色を示す色番号と各色番号に対応して前記各色を特定する色情報とを含み、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色を特色として登録している調色用データを、前記印刷機の種類と前記被印刷媒体の種類との組み合わせごとに設定している調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの前記色番号及び前記色情報を記憶している記憶部にアクセスするステップと、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色に対応する複数の単位区画を前記色番号に従った順番で表示部に表示し、各単位区画を前記各色の前記色情報に従った色で表示するステップと、前記記憶部に記憶されている前記調色用データにおける前記各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、前記複数の単位区画を前記表示部に並び替えて表示するステップとを実行させる色選択用表示プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の色選択用表示装置、色選択用表示方法、及び色選択用表示プログラムによれば、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに応じて、印刷物で表現しようとする望みの色を容易に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る色選択用表示装置を備えて構成される印刷システムの第1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る色選択用表示装置を備えて構成される印刷システムの第2の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示す印刷システムで用いられる調色用データベースを示す概念図である。
【
図4】
図4は、
図1及び
図2に示す印刷システムで用いられるプロセス印刷用カラーテーブルを示す概念図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る色選択用表示装置が表示部に表示する色選択ウインドウの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す色選択ウインドウにおいて、最初の色を選択した状態の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す色選択ウインドウにおいて、6色を選択した状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7におけるプロセス印刷の色域外の色を置換するために使用される色置換パレットの一例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、
図8に示す色置換パレットによって
図7におけるプロセス印刷の色域外の2色を色域内の色に置換した状態を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、
図8に示す色置換パレットによって
図7におけるプロセス印刷の色域外の2色をプロセス変換した状態を示す図である。
【
図10】
図10は、色選択ウインドウの色表示領域内に表示する単位区画に対するフィルタをオンまたはオフするメインパレットの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、単位区画に対するフィルタをオンして、複数の単位区画を色相でソートするよう設定した状態の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、単位区画に対するフィルタをオンし、色の種別として赤を選択し、プロセス印刷の色域内の色に限定して、複数の単位区画を色相でソートするよう設定した状態の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、単位区画に対するフィルタをオンし、プロセス印刷の色域内の色に限定し、彩度の範囲を低彩度に設定し、明度の範囲を高明度に設定して、複数の単位区画を色相でソートするよう設定した状態の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る色選択用表示装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図15A】
図15Aは、一実施形態に係る色選択用表示方法、または一実施形態に係る色選択用表示プログラムがコンピュータに実行させる処理を示す部分的なフローチャートである。
【
図15B】
図15Bは、
図15Aに続く、一実施形態に係る色選択用表示方法、または一実施形態に係る色選択用表示プログラムがコンピュータに実行させる処理を示す部分的なフローチャートである。
【
図15C】
図15Cは、
図15Bに続く、一実施形態に係る色選択用表示方法、または一実施形態に係る色選択用表示プログラムがコンピュータに実行させる処理を示す部分的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る色選択用表示装置、色選択用表示方法、及び色選択用表示プログラムについて、添付図面を参照して説明する。まず、
図1~
図4を用いて、一実施形態に係る色選択用表示装置を備える印刷システムを説明する。
【0012】
図1は、印刷システムの第1の構成例を示す。
図1において、データサーバ1は、調色用データベース記憶部11、プロセス印刷用カラーテーブル記憶部12、送信部13を備える。調色用データベース記憶部11には、調色用データベースが記憶されている。プロセス印刷用カラーテーブル記憶部12には、プロセス印刷用カラーテーブルが記憶されている。例えば本出願人またはその関連会社が、調色用データベース及びプロセス印刷用カラーテーブルをデータサーバ1にアップロードして、調色用データベース記憶部11及びプロセス印刷用カラーテーブル記憶部12にそれぞれ調色用データベース及びプロセス印刷用カラーテーブルを記憶させる。
【0013】
図3は、調色用データベースを概念的に示す。調色用データベースは、印刷機の種類(印刷方式の種類)と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する複数セットの調色用データを含む。
図3に示すように、複数セットの調色用データは、例えば、フィルム/裏刷用グラビア印刷、コート紙用UVオフセット印刷、ライナー紙用フレキソ印刷、上質紙用油性オフセット印刷それぞれに対応する調色用データを含む。複数セットの調色用データは、
図3では図示していない、フィルム/表刷用グラビア印刷、フィルム/裏刷用フレキソ印刷、フィルム/表刷用フレキソ印刷、コート紙用グラビア印刷、コート紙用UVフレキソ印刷、薄紙用グラビア印刷、薄紙用フレキソ印刷、薄紙用油性オフセット印刷、プラスチック用UVフレキソ印刷、プラスチック用スクリーン印刷、アルミ用グラビア印刷を含んでもよい。調色用データベースは、少なくとも1セットの調色用データを含めばよい。
【0014】
各セットの調色用データには、複数の色のインキの各色を示す色番号に対応して、各色を特定する色情報と、各色のインキ処方が設定されている。色情報は例えば分光値である。色情報を分光値とすることにより、物体の色の見え方が観察条件の違いによって異なって見えるメタメリズムとは無関係に物体の色を表現することができる。インキ処方は、各色を実現するための複数の色成分の配合比率を表しており、複数の色成分の配合比率の合計は100%である。調色用データには、プロセス印刷の色域内の各色及びプロセス印刷の色域外の各色が特色として登録されている。
【0015】
図4は、プロセス印刷用カラーテーブルを概念的に示す。プロセス印刷用カラーテーブルには、例えば、フィルム/裏刷用グラビア印刷、コート紙用UVオフセット印刷、ライナー紙用フレキソ印刷、上質紙用油性オフセット印刷それぞれに対応して、プロセス印刷で表現できる色域を示す色域情報が設定されている。プロセス印刷用カラーテーブルは、
図4では図示していない、フィルム/表刷用グラビア印刷、フィルム/裏刷用フレキソ印刷、フィルム/表刷用フレキソ印刷、コート紙用グラビア印刷、コート紙用UVフレキソ印刷、薄紙用グラビア印刷、薄紙用フレキソ印刷、薄紙用油性オフセット印刷、プラスチック用UVフレキソ印刷に対応する色域情報を含んでもよい。プロセス印刷用カラーテーブルは、調色用データベースに設定されている調色用データに対応するプロセス印刷の色域情報を含めばよい。
【0016】
プロセス印刷用カラーテーブルに設定されている色域情報として、ICC(International Color Consortium)によって策定されたICCプロファイルを用いることができる。色域情報によって色域範囲が分かる。プロセス印刷用カラーテーブルによって、L*a*b*表色系のL*値、a*値、b*値(以下、Lab値と略記する)をC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(黒)の各値(以下、CMYK値)に変換することができる。Lab値を、CMYK値にオレンジ、緑、青のうちの少なくとも1色を加えた5色から7色の値に変換することがあってもよい。
【0017】
図1に戻り、ユーザ端末2は、中央処理装置21(以下、CPU21)、送受信部22、記憶部23、非一時的記憶媒体24、表示部25、操作部26を備える。ユーザ端末2はパーソナルコンピュータ等のコンピュータによって構成することができる。送受信部22は、複数セットの調色用データのうち、操作部26によって選択されて、データサーバ1の送信部13より送信された、調色用データ及びその調色用データに対応するプロセス印刷の色域情報を受信する。送受信部22が受信する調色用データは各色番号と各色番号に対応する色情報のみでよく、送受信部22は各色番号に対応するインキ処方を受信する必要はない。但し、送受信部22は、各色番号、各色番号に対応する色情報、各色番号に対応するインキ処方を受信してもよい。
【0018】
記憶部23は、受信した調色用データ(各色番号及び各色情報)及び色域情報を記憶する。記憶部23は一時的な記憶部でよい。表示部25は例えば液晶パネルである。表示部25は、ユーザ端末2に外付けされた外部の構成であってもよい。操作部26は、マウス、キーボード等である。
【0019】
送信部13及び送受信部22は、調色用データ及び色域情報を電子メールによって送受信してもよいし、送受信部22がインターネット等のネットワークを介して送信部13より調色用データ及び色域情報をダウンロードしてもよい。例えばUSBメモリのような可搬型の記憶媒体に調色用データ及び色域情報を記憶させておき、ユーザ端末2が記憶媒体より調色用データ及び色域情報を読み込んでもよい。ユーザ端末2が調色用データ及び色域情報を取得する方法は任意である。
【0020】
非一時的記憶媒体24には、色選択用表示プログラム、及びDTP(Desktop Publishing)編集プログラムが記憶されている。CPU21は、色選択用表示プログラムを実行して、表示部25に色を選択するための色選択ウインドウを表示する。後に詳述するように、ユーザは、表示部25に表示されている色選択ウインドウ上で、印刷物で用いる複数の色を選択することができる。CPU21は、DTP編集プログラムを実行して、色選択用表示プログラムの実行によって選択された複数の色を用いて、印刷物のデザインデータを制作する。
【0021】
印刷物のデザインデータは、プロセス印刷の色域外の特色においては各色番号に対応する色情報がLab値で表現され、プロセス印刷の色域内の色において特色ではなくプロセス印刷で表現する場合にはCMYK値で表現される。なお、企業のロゴまたはトレードマーク等の印刷においては、印刷時の変動要素を軽減させるために色域内の色であっても特色で印刷することがある。よって、色域内の全ての色がプロセス印刷で印刷されるとは限らない。CPU21は、色選択用表示プログラムを実行して、特色においては分光値をLab値に変換し、色域内の色をプロセス印刷で表現する場合には、分光値をLab値に変換し、さらにCMYK値に変換する。なお、DTP編集プログラムとしては、一例として、アドビ株式会社(Adobe Inc.)が販売するグラフィックデザインソフトであるAdobe Illustratorを用いることができる。
【0022】
調色現場3には、調合機制御端末30及びインキ調合機300が設けられている。調合機制御端末30は、中央処理装置31(以下、CPU31)、受信部32、記憶部33、非一時的記憶媒体34、表示部35、操作部36を備える。調合機制御端末30はパーソナルコンピュータ等のコンピュータによって構成することができる。受信部32は、ユーザ端末2の送受信部22より送信されたデザインデータを受信する。記憶部33は、受信したデザインデータを記憶する。記憶部33は一時的な記憶部でよい。表示部35は、調合機制御端末30に外付けされた外部の構成であってもよい。操作部36は、マウス、キーボード等である。
【0023】
非一時的記憶媒体34には、ファイル作成プログラム及びインキ調合プログラムが記憶されている。CPU31は、ファイル作成プログラムを実行して、インキ調合機300がインキを調合するために用いるインキ調合用ファイルを作成する。CPU31は、インキ調合用ファイルを作成するに際し、データサーバ1の送信部13より、調色用データベース記憶部11に記憶されている、受信したデザインデータにおける複数の色の色番号に対応するインキ処方を受信する。記憶部33は、受信したインキ処方を記憶する。CPU31がデザインデータにおける複数の色の各色番号に対応するインキ処方を受信することにより、インキ調合機300がインキを調合するためのインキ調合用ファイルを作成することができる。
【0024】
CPU31は、インキ調合プログラムを実行して、作成されたインキ調合用ファイルに基づいてインキを調合するようインキ調合機300を制御する。CPU31が、ファイル作成プログラムまたはインキ調合プログラムを実行する際、表示部35に必要な情報が表示されることがあり、操作部36が必要に応じて操作されることがある。
【0025】
図1に示す例では、CPU31がファイル作成プログラムとインキ調合プログラムとの双方を実行しているが、ファイル作成プログラムを実行するCPUとインキ調合プログラムを実行するCPUとが別々に設けられていてもよい。即ち、
図1に示す例では、1つのコンピュータである調合機制御端末30がファイル作成プログラムとインキ調合プログラムとの双方を実行しているが、ファイル作成プログラムを実行するコンピュータとインキ調合プログラムを実行するコンピュータとが別々に設けられていてもよい。この場合、2つのコンピュータは例えばローカルのネットワークで接続されて、互いに連携して動作する。
【0026】
インキ調合機300は、インキ調合プログラムを実行するCPU31による制御に従って、デザインデータを印刷するためのインキを調合する。インキ調合機300で調合されたインキは、印刷機5へと提供される。
【0027】
送受信部22は、製版現場4にデザインデータを送信する。送受信部22は、デザインデータを電子メールによって製版現場4に送信してもよいし、製版現場4が、ネットワークを介してユーザ端末2よりデザインデータをダウンロードしてもよい。ユーザ端末2から製版現場4のデザインデータの受け渡しに可搬型の記憶媒体が用いられてもよい。製版現場4は、取得したデザインデータに基づいて、C、M、Y、Kのプロセス印刷用の版と、例えば2色の特色用の版を製作する。製版現場4で製作された版は印刷機5へと提供される。印刷機5は、プロセス印刷用の4色と最大で2色の特色との6色で印刷することができる印刷機であるとする。
【0028】
印刷機5は、製版現場4より提供された版とインキ調合機300より提供されたインキとを用いてコート紙等の被印刷媒体に印刷を施して印刷物を作成する。
【0029】
図2は、印刷システムの第2の構成例を示す。
図2において、
図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図2において、データサーバ1は、送信部13の代わりに送受信部13’を備え、調合機制御端末30は、受信部32の代わりに送受信部32’を備える。非一時的記憶媒体34には、ファイル作成プログラム及びインキ調合プログラムに加えて、調色用データベース作成プログラムが記憶されている。第2の構成例においては、調色現場3において、CPU31が調色用データベース作成プログラムを実行することにより調色用データベースを作成する。送受信部32’は、調色用データベースを送受信部13’に送信する。このように、第2の構成例においては、調色用データベースは調色現場3からデータサーバ1へとアップロードされる。
【0030】
調色用データベース記憶部11は、送受信部13’が受信した調色用データベースを記憶する。プロセス印刷用カラーテーブル記憶部12に記憶されているプロセス印刷用カラーテーブルは、第1の構成例と同様に例えば本出願人またはその関連会社がデータサーバ1にアップロードしてもよいし、調色現場3からデータサーバ1へとアップロードされてもよい。
【0031】
第1の構成例と同様に、送受信部22は、データサーバ1より、調色用データ及びプロセス印刷の色域情報を受信する。二点鎖線で示すように、ユーザ端末2が調色現場3から調色用データ(または調色用データ及びプロセス印刷の色域情報)を直接取得してもよい。
【0032】
第2の構成例においても、ユーザ端末2は、印刷物のデザインデータを調色現場3及び製版現場4に送信する。調色現場3は、デザインデータを印刷するためのインキを調合して印刷機5に提供する。製版現場4は、デザインデータを印刷するための版を製作して印刷機5に提供する。印刷機5は、製版現場4より提供された版とインキ調合機300より提供されたインキとを用いて被印刷媒体に印刷を施して印刷物を作成する。
【0033】
図5~
図13を用いて、表示部25に表示される色選択ウインドウの詳細、及び、印刷物で用いる複数の色を色選択ウインドウ上でどのように選択するかの詳細を説明する。ユーザ端末2は、データサーバ1よりフィルム/裏刷用グラビア印刷に対応する調色用データの各色番号及び各色情報と色域情報を取得したとする。
【0034】
図5は、表示部25に表示される色選択ウインドウ60の一例を示している。色選択ウインドウ60は、色覚異常者による色の見え方を考慮して色を選択することができるように構成されている。ここで、色覚異常の概略を説明する。人の目の網膜には、人が物体の形や色を識別するために必要な視細胞が存在している。視細胞は、明暗を認識するための杆体と、色を認識するための錐体とを含む。錐体には、R(赤)を認識するためのL錐体と、G(緑)を認識するためのM錐体と、B(青)を認識するためのS錐体とがある。
【0035】
人が、視細胞の錐体としてL錐体とM錐体とS錐体との全てを有していれば、R、G、Bの3原色それぞれを認識することができ、3原色で表現されている色を正常に見ることができる。しかしながら、一部の錐体が存在しないと色を正常に見ることができない。L錐体が存在せずRを認識することができない色覚異常を1型色覚(P型色覚)、M錐体が存在せずGを認識することができない色覚異常を2型色覚(D型色覚)、S錐体が存在せずBを認識することができない色覚異常を3型色覚(T型色覚)と称している。
【0036】
図5に示すように、色選択ウインドウ60は、色覚が正常である一般色覚、P型、D型、T型の色覚を選択する選択部61、選択色を表示する選択色表示領域62、調色用データの各色を単位区画631ごとに表示する色表示領域63を有する。CPU21は、選択部61で一般色覚が選択されていれば、色表示領域63の各単位区画631に、各色の色番号と一般色覚者が見る各色を表示する。CPU21は、選択部61でP型色覚が選択されていれば、色表示領域63の各単位区画631に、各色の色番号とP型の色覚異常者が見る各色を表示する。ここでは、一般色覚が選択されている。調色用データは例えば1000色のような数多くの色を有する。CPU21は、スクロールバー64が操作されれば、色表示領域63内に表示する色を順に送る。
【0037】
CPU21は、調色用データに対応するプロセス印刷の色域情報に基づいて、各単位区画631に表示する色がプロセス印刷の色域内の色であるか色域外の特色であるかを判定する。CPU21は、判定結果に従って、各単位区画631内に、前者であれば第1のマーク632を付し、後者であれば第2のマーク633を付加する。
【0038】
色選択ウインドウ60は、スクロールバー64に隣接して、メインパレット65、ユーザパレット66、色置換パレット67を有する。
図5は、ユーザパレット66が選択されてユーザパレット66が最上位に位置し、ユーザパレット66が見えている状態を示している。ユーザパレット66は、ユーザが色表示領域63において選択した1またはそれ以上の色を列挙する。ユーザパレット66は、色番号を表示する欄、特色に設定するか否かを示す欄、一般色覚の色覚正常者、P型、D型、T型の各色覚異常者が見る各色を表示する欄を有する。
【0039】
CPU21に、印刷機5は最大で2色の特色を印刷することができる印刷機であると設定可能とするのがよい。ここでは、CPU21に印刷機5は最大で2色の特色を印刷することができる印刷機であると設定されている。そこで、CPU21は、色選択ウインドウ60は、例えば、メインパレット65、ユーザパレット66、色置換パレット67の上方に、印刷機5の最大色数(ここでは6)を表示している。CPU21は、ユーザが色表示領域63において色を選択すると現在色数を表示する。
【0040】
図6に示すように、ユーザが、色番号CF10001の色を選択したとする。CPU21は、選択色表示領域62に選択色である色番号CF10001の色を表示する。CPU21は、ユーザパレット66の色番号の欄に、色番号CF10001を表記する。CPU21は、ユーザパレット66内の色番号CF10001に対応して、一般色覚の色覚正常者、P型、D型、T型の各色覚異常者が見る各色を矩形領域661に表示する。
【0041】
CPU21は、ユーザパレット66の特色に設定するか否かを示す欄に、特色に設定するか否かを示すチェックボックス662を表示する。上記のように、調色用データには、プロセス印刷の色域内であるか色域外であるかにかかわらず各色が特色として登録されているので、ユーザがいずれかの色番号の色を選択した初期状態では、チェックボックス662には特色に設定されていることを示すチェックマークが付されている。チェックボックス662を設けることによって、色域内の色であっても特色で印刷するよう設定することが可能である。
【0042】
CPU21は、いずれかの色を選択色として設定すると、P型、D型、T型のいずれかの色覚異常者が選択色と区別することができない色を有する単位区画631を選択不可の単位区画631として表示する。一例として、CPU21は、色覚異常者が選択色と区別することができない色を有する単位区画631に選択不可マーク634を重畳する。
【0043】
CPU21は、選択不可マーク634が重畳された単位区画631を選択不可とするので、ユーザが、2色目以降の色として、色覚異常者が選択色と区別することができない色を選択することを防止することができる。よって、色選択ウインドウ60を用いて印刷物のデザインデータを構成する複数の色を選択すれば、ユニバーサルデザインに対応した印刷物を作成することが可能となる。
【0044】
図7は、色番号CF10001、CF10136、CF10145、CF11365、CF10073をこの順で選択色とした後、最後に色番号CF10192を選択色とした場合のユーザパレット66を示している。ここで、色番号CF10145、CF11365、CF10073、CF10192の4色はプロセス印刷の色域外の色であるとする。CPU21は、色番号CF10145、CF11365、CF10073、CF10192に隣接する位置に、色域外の色であることを示す識別情報663を表示する。
図7に示す例では、識別情報663は感嘆符である。識別情報663は、各選択色がプロセス印刷の色域内の色であるか色域外の色であるかを識別できればよい。よって、色域内の色に色域内の色であることを示す識別情報を表示してもよい。
【0045】
図7に示す例では、色域外の色が4色選択されているため、
図7に示す例においては、現在色数は8であり、印刷機5で印刷することができない。そこで、CPU21は、例えば、「選択された色が色制限を超えています。特色数を減らしてください。」なる警告文664を表示するとよい。この場合、ユーザは、4色の色域外の色のうちの任意の2色を削除して、色表示領域63内から改めて色域内の色を選択してもよいし、
図8に示す色置換パレット67を使って色域外の色を色域内の色に置換してもよい。ユーザは、
図8に示す色置換パレット67を使って、色域外の色をプロセス印刷で印刷可能なCMYK値に変換するプロセス変換を実行してもよい。
【0046】
図8は、
図7において最後に選択した色番号CF10192の色を置換する場合を示している。まず、色番号CF10192の色を近似色に置換する場合を説明する。
図8に示すように、CPU21は、色置換パレット67に、色番号CF10192の色を示す選択色表示領域671と、置換候補色を示す置換候補色表示領域672とを例えば上下に並べて表示する。CPU21は、選択色表示領域671及び置換候補色表示領域672に隣接させて、色番号CF10192の色または置換候補色のLab値、RGB値、CMYK値を示す色情報表示部673を表示する。CPU21は、選択色表示領域671が選択されている状態では色情報表示部673に色番号CF10192の色情報を表示し、置換候補色表示領域672が選択されている状態では色情報表示部673に置換候補色の色情報を表示する。
【0047】
色置換パレット67は、色番号CF10192の色に対して許容する色差を示すΔE値(許容ΔE値)を設定する許容値設定部674を有し、例えば、許容ΔE値が20.000と設定されている。許容ΔE値は一例として色差式CIEDE2000で計算される色差許容値である。CPU21は、調色用データの全ての色から許容ΔE値の20.000以内を満たす色を抽出して、置換候補色リスト675を表示する。置換候補色リスト675には、1またはそれ以上の置換候補色が表示される。置換候補色表示領域672には、置換候補色リスト675のうちの最もΔE値が小さい色番号CF10203の色が表示されている。置換候補色リスト675において色番号CF10203以外の色を選択すれば、置換候補色表示領域672には選択した置換候補色が表示される。
【0048】
ユーザは、選択色表示領域671に表示されている色と置換候補色表示領域672に表示されている色とを比較し、必要に応じて、置換候補色表示領域672に置換候補色リスト675内の他の色を表示し、最終的な置換候補色を選択する。CPU21は、例えば、置換候補色表示領域672がダブルクリックされると、置換候補色を置換色として決定する。ここでは、色番号CF10203の色を置換色としたとする。CPU21は、置換色を決定すると、色番号CF10192の色を置換色に置換する。
【0049】
ユーザは、同様に色置換パレット67を使って、
図7に示す色番号CF10073の色を色番号CF10099の色に置換したとする。すると、
図9Aに示すように、ユーザパレット66に表示される選択色における4色の色域外の色のうちの2色が色域内の色に置換される。加えて、ユーザは、色番号CF10145及びCF11365以外の色番号の色におけるチェックボックス662のチェックマークを解除して、色番号CF10145及びCF11365以外の色番号の色をプロセス印刷とするよう設定する。これにより、印刷機5によって印刷することができる6色の選択色とすることができる。CPU21は、現在色数を6と表示するので、ユーザは、印刷機5によって印刷することができる状態となったことを容易に理解することができる。
【0050】
CPU21に、印刷機5は、最大で2色の特色を印刷することができる印刷機であると設定しない場合には、
図7に示すような警告文664を自動的に表示することはできない。しかしながら、ユーザが印刷機5は最大で2色の特色を印刷することができる印刷機であることを理解していれば、チェックボックス662におけるチェックマークの有無と識別情報663が付加された色番号の数とによって印刷機5で印刷可能か否かを判断することができる。ユーザは、印刷機5で印刷不可能であると判断すれば、
図8にように置換候補色を選択して置換色を決定することが可能である。
【0051】
図8に示すように、CPU21は、色置換パレット67に、色域外の色をプロセス変換することを指示するプロセス変換指示釦676を表示する。ここでは、色番号CF10145の色を選択色とした場合を例として、プロセス変換指示釦676の押下により、色番号CF10145の色をプロセス変換する場合を説明する。選択色表示領域671には、選択色である色番号CF10145の色が表示されている。ユーザがプロセス変換指示釦676を押下すると、CPU21は、色番号CF10145の色をC、M、Y、Kの各値に色分解することにより、色番号CF10145の色をCMYK値にプロセス変換する。CPU21は、置換候補色表示領域672にプロセス変換した色番号CF10145の色を表示する。プロセス変換前の特色である色番号CF10145の色とプロセス変換後の色番号CF10145の色とはわずかに異なる。
【0052】
ユーザは、選択色表示領域671に表示されている色と置換候補色表示領域672に表示されている色とを比較し、プロセス変換した色番号CF10145の色を置換色と決定する場合には置換候補色表示領域672をダブルクリックする。CPU21は、置換色を決定すると、特色である色番号CF10145のプロセス変換した置換色に置換する。
【0053】
ユーザは、同様に、
図7に示す色番号CF11365の色を選択してプロセス変換指示釦676を押下することにより、色番号CF11365の色をプロセス変換したとする。すると、
図9Bに示すように、ユーザパレット66に表示される選択色における4色の色域外の色のうちの色番号CF10145及びCF11365の2色は、チェックボックス662のチェックマークが解除されてプロセス印刷とするよう設定される。加えて、ユーザは、色番号CF10001及びCF10136の2色におけるチェックボックス662のチェックマークを解除して、色番号CF10001及びCF10136の2色をプロセス印刷とするよう設定する。これにより、印刷機5によって印刷することができる6色の選択色とすることができる。
【0054】
図9Bにおいては、選択色を異なる色番号の近似色に置換した
図9Aとは異なり、
図7に示す全ての選択色の色番号がそのまま維持されている。
【0055】
ところで、調色用データベース記憶部11に記憶されている調色用データベースにおける
図3に示すような各調色用データにおいて、複数の色は特定の配列順に並べられて色番号が付されているわけではない。しかも、各調色用データは1000色のような数多くの色を有するので、ユーザが色表示領域63からユニバーサルデザインを考慮して複数の希望する色を選択するのは容易ではない。特に、色相の異なる色が色表示領域63内にランダムに配置されていると、希望する色を選択する作業が煩雑となる。そこで、色選択ウインドウ60は、メインパレット65によって色表示領域63内の色(単位区画631)をソートしたり、色表示領域63内の表示する色を制限したりすることができるように構成されている。
【0056】
図10に示すように、メインパレット65は、フィルタをオンまたはオフするフィルタ設定部651、色表示領域63内の色を並び替えるソート設定部652、色の種別を選択する色選択部653を含む。また、メインパレット65は、彩度の範囲を設定する彩度範囲設定部654、明度の範囲を設定する明度範囲設定部655、色域を設定する色域設定部656を含む。ソート設定部652は、色を色相の順に並び替える選択肢と、色を彩度の順に並び替える選択肢と、色を明度の順に並び替える選択肢とを含む。色選択部653は、色の種別として、赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫の選択肢を含む。
【0057】
図10において、彩度範囲設定部654及び明度範囲設定部655は左右方向にスライド自在の互いに内向きの三角形よりなるスライダを含む。彩度範囲設定部654において左右のスライダが左右端部に位置している状態は、最低彩度から最高彩度までの全彩度範囲を示す。明度範囲設定部655において左右のスライダが左右端部に位置している状態は、最低明度から最高明度までの全明度範囲を示す。彩度範囲設定部654及び明度範囲設定部655においてスライダを移動させることによって、それぞれ、全彩度範囲のうちの一部の彩度範囲及び全明度範囲のうちの一部の明度範囲を設定することができる。
【0058】
ユーザが、フィルタ設定部651でフィルタのオフを選択すれば、CPU21は、調色用データにおける全ての色を色表示領域63内の色番号に従った順番で表示する。
図11に示すように、ユーザが、フィルタ設定部651でフィルタのオンを選択し、ソート設定部652で色相を選択し、色選択部653で全ての色の種別を選択したとする。この場合、CPU21は、色表示領域63内の全ての単位区画631を色相の順に並び替える。色相の順とは、L
*C
*h色空間におけるh(位相角)の順である。なお、
図11~
図13においては、色表示領域63内の単位区画631に表示されること
がある選択不可マーク634の表示を省略している。
【0059】
なお、フィルタ設定部651においてフィルタをオフからオンへと切り替えた初期状態では、ソート設定部652は色相、彩度、明度のいずれも非選択であり、色選択部653は全ての色の種別が選択された状態である。また、初期状態では、彩度範囲設定部654は最低彩度から最高彩度までの彩度範囲、明度範囲設定部655は最低明度から最高明度までの彩度範囲とされている。さらに、色域設定部656は、色域内及び色域外が選択された状態である。
【0060】
図12に示すように、ユーザが、フィルタ設定部651でフィルタのオンを選択し、ソート設定部652で色相を選択し、色選択部653で色の種別として赤のみを選択し、色域設定部656によって色域を色域内に制限したとする。この場合、CPU21は、色表示領域63内の全ての単位区画631のうち、色域内の色であって、色の種別が赤である単位区画631のみを抽出して色相の順に並び替える。
【0061】
図11または
図12に示す色表示領域63によれば、ユーザが希望する色を選択するのが容易であり、調和のとれた配色が可能となる。特に図示しないが、ソート設定部652で彩度または明度を選択して、色の種別が赤である単位区画631のみを抽出して彩度または明度の順に並び替えた場合も同様に、ユーザが希望する色を選択するのが容易であり、調和のとれた複数の色を選択した配色が可能となる。なお、彩度の順とは低彩度から高彩度の順であってもよいし、高彩度から低彩度の順であってもよい。彩度の昇順と降順とが選択できるように構成されていてもよい。明度の順とは低明度から高明度の順であってもよいし、高明度から低明度の順であってもよい。明度の昇順と降順とが選択できるように構成されていてもよい。
【0062】
図13に示すように、ユーザが、彩度範囲設定部654によって彩度の範囲を低彩度に設定し、明度範囲設定部655によって明度の範囲を高明度に設定したとする。
図13においては、ソート設定部652で色相が選択され、色選択部653で全ての色の種別が選択され、色域設定部656によって色域が色域内に制限されている。この場合、CPU21は、色表示領域63内の全ての単位区画631のうち、彩度範囲設定部654で設定されている彩度の範囲であり、かつ明度範囲設定部655で設定されている明度の範囲の色であり、色域内の色を有する単位区画631のみを抽出して色相の順に並び替える。
【0063】
図13に示す色表示領域63によれば、彩度の範囲及び明度の範囲が制限されているため、統一感のある見やすい配色が可能となる。特に図示しないが、彩度範囲設定部654によって彩度の範囲を高彩度に設定し、明度範囲設定部655によって明度の範囲を低明度に設定してもよい。彩度範囲設定部654によって彩度の範囲を高彩度に設定し、明度範囲設定部655によって明度の範囲を高明度に設定してもよい。彩度範囲設定部654によって彩度の範囲を低彩度に設定し、明度範囲設定部655によって明度の範囲を低明度に設定してもよい。
【0064】
以上のように、フィルタ設定部651によってフィルタをオンに設定すると、ソート設定部652、色選択部653、彩度範囲設定部654、明度範囲設定部655、色域設定部656による任意の組み合わせで、色表示領域63内の単位区画631を制限したり、並び替えたりすることができる。
【0065】
ユーザ端末2においてCPU21が色選択用表示プログラムを実行すると、ユーザ端末2は、
図14に示すような色選択用表示装置20として機能する。表示制御部211は、CPU21が色選択用表示プログラムを実行することによって得られる機能的な構成である。上記のように、記憶部23は、調色用データベースのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの色番号及び色情報を記憶している。また、記憶部23は、プロセス印刷用カラーテーブルのうち、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する色域情報を記憶している。
【0066】
表示制御部211は、記憶部23に記憶されている調色用データにおける各色に対応する複数の単位区画631を色番号に従った順番で表示部25に表示し、各単位区画631を各色の色情報に従った色で表示する。表示制御部211は、操作部26によって、記憶部23に記憶されている調色用データにおける各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示がなされると、その指示に応答して、複数の単位区画631を表示部25に並び替えて表示する。この構成により、色選択用表示装置20によれば、印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに応じて、印刷物で表現しようとする望みの色を容易に選択することができる。
【0067】
図12に示すように、ユーザは、操作部26によって、調色用データにおける複数の色のうち、色の種別を選択するよう指示することができる。表示制御部211は、色の種別を選択する指示に応答して、複数の単位区画631のうちの選択された種別の色に対応する一部の単位区画631を表示部25に表示する。このようにすれば、ユーザが希望する色を選択するのが容易となり、調和のとれた配色が可能となる。
【0068】
図13に示すように、ユーザは、操作部26によって、全彩度範囲のうちの一部の彩度範囲と、全明度範囲のうちの一部の明度範囲とのうちの少なくとも一方で色を絞り込むよう指示することができる。表示制御部211は、彩度範囲または明度範囲を絞り込む指示に応答して、複数の単位区画631のうちの絞り込まれた色に対応する一部の単位区画631を表示部25に表示する。このようにすれば、統一感のある見やすい配色が可能となる。
【0069】
表示制御部211は、複数の単位区画631または一部の単位区画631のうちのいずれかの単位区画631が選択されて所定の色が選択色として設定されたとき、色覚異常者がその選択色と区別することができない色を有する単位区画631を選択不可の単位区画631として表示するとよい。一例として、選択不可の単位区画631に選択不可マーク634を重畳することにより、ユーザは、色覚異常者が選択色と区別することができる色を有する単位区画631から2色目以降の色を選択することが可能となる。これによって、ユニバーサルデザインに対応した印刷物のデザインデータを制作することができる。
【0070】
表示制御部211は、設定された1またはそれ以上の選択色を示す色番号に対応して、各選択色がプロセス印刷の色域内の色であるか色域外の色であるかを識別する識別情報663を表示するのがよい。一例として、表示制御部211は、プロセス印刷の色域外の色を示す色番号に対応して識別情報663を表示する。なお、選択色が色域内の色であるか色域外の色であるかは、プロセス印刷用カラーテーブルの色域情報に基づいて判定できる。このようにすれば、選択色をプロセス印刷で印刷できるか、特色として印刷しなければならないかを容易に判断することができる。
【0071】
表示制御部211は、次のようにして選択色を置換色に置換することができるように構成されているとよい。
図8に示すように、表示制御部211は、プロセス印刷の色域外の1またはそれ以上の選択色が設定されたとき、色域外の1またはそれ以上の選択色のうちの指定された選択色に近似する色を有する1またはそれ以上の置換候補色を表示部25に表示する。表示制御部211は、1またはそれ以上の置換候補色のうちのいずれかの置換候補色が置換色として決定されると、指定された選択色を置換色に置換する。表示制御部211は、指定された選択色に対して設定された色差許容値以内の置換候補色をリストとして表示部25に表示するのがよい。
【0072】
図15A~
図15Cに示すフローチャートを用いて、一実施形態に係る色選択用表示方法、または一実施形態に係る色選択用表示プログラムがコンピュータに実行させる処理を説明する。
【0073】
図15Aにおいて、ユーザ端末2が動作を開始すると、CPU21は、ステップS1にて、選択された調色用データの色番号及び色情報と、プロセス印刷の色域情報を記憶部23に記憶させる。CPU21は、ステップS2にて、色選択ウインドウ60を表示する指示がなされたか否かを判定する。色選択ウインドウ60を表示する指示がなされなければ(NO)、CPU21はステップS2の処理を繰り返す。色選択ウインドウ60を表示する指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS3にて、記憶部23にアクセスして情報(調色用データの色番号及び色情報、及びプロセス印刷の色域情報)を取得する。CPU21は、ステップS4にて、表示部25に色選択ウインドウ60を表示させる。
【0074】
CPU21は、ステップS5にて、単位区画631のフィルタがオンされたか否かを判定する。単位区画631のフィルタがオンされなければ(NO)、CPU21は処理を
図15CのステップS22に移行させる。単位区画631のフィルタがオンされれば(YES)、CPU21は、ステップS6にて、単位区画631を色相の順に並び替える指示がなされたか否かを判定する。単位区画631を色相の順に並び替える指示がなされなければ(NO)、CPU21は処理をステップS8に移行させる。単位区画631を色相の順に並び替える指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS7にて、単位区画631を色相の順に並び替えて、処理をステップS8に移行させる。
【0075】
CPU21は、ステップS8にて、単位区画631を彩度の順に並び替える指示がなされたか否かを判定する。単位区画631を彩度の順に並び替える指示がなされなければ(NO)、CPU21は処理をステップS10に移行させる。単位区画631を彩度の順に並び替える指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS9にて、単位区画631を彩度の順に並び替えて、処理をステップS10に移行させる。
【0076】
CPU21は、ステップS10にて、単位区画631を明度の順に並び替える指示がなされたか否かを判定する。単位区画631を明度の順に並び替える指示がなされなければ(NO)、CPU21は処理を
図15BのステップS12に移行させる。単位区画631を明度の順に並び替える指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS11にて、単位区画631を明度の順に並び替えて、処理をステップS12に移行させる。
【0077】
図15Bにおいて、CPU21は、ステップS12にて、色の種別を選択する指示がなされたか否かを判定する。色の種別を選択する指示がなされなければ(NO)、CPU21は処理をステップS14に移行させる。色の種別を選択する指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS13にて、色表示領域63に選択された種別の色に対応する単位区画631のみを表示させて、処理をステップS14に移行させる。
【0078】
CPU21は、ステップS14にて、彩度範囲を限定する指示がなされたか否かを判定する。彩度範囲を限定する指示がなされなければ(NO)、CPU21は処理をステップS16に移行させる。彩度範囲を限定する指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS15にて、色表示領域63に限定された彩度範囲の色に対応する単位区画631のみを表示させて、処理をステップS16に移行させる。
【0079】
CPU21は、ステップS16にて、明度範囲を限定する指示がなされたか否かを判定する。明度範囲を限定する指示がなされなければ(NO)、CPU21は処理をステップS18に移行させる。明度範囲を限定する指示がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS17にて、色表示領域63に限定された明度範囲の色に対応する単位区画631のみを表示させて、処理をステップS18に移行させる。
【0080】
CPU21は、ステップS18にて、プロセス印刷の色域内の選択が解除されたか否かを判定する。プロセス印刷の色域内の選択が解除されなければ(NO)、CPU21は処理をステップS20に移行させる。プロセス印刷の色域内の選択が解除されれば(YES)、CPU21は、ステップS19にて、色表示領域63にプロセス印刷の色域外の色に対応する単位区画631のみを表示させて、処理をステップS20に移行させる。
【0081】
CPU21は、ステップS20にて、プロセス印刷の色域外の選択が解除されたか否かを判定する。プロセス印刷の色域外の選択が解除されなければ(NO)、CPU21は処理を
図15CのステップS22に移行させる。プロセス印刷の色域外の選択が解除されれば(YES)、CPU21は、ステップS21にて、色表示領域63にプロセス印刷の色域内の色に対応する単位区画631のみを表示させて、処理をステップS22に移行させる。
【0082】
図15Cにおいて、CPU21は、ステップS22にて、いずれかの単位区画631が選択されたか否かを判定する。いずれかの単位区画631が選択されなければ(NO)、CPU21は処理をステップS31に移行させる。いずれかの単位区画631が選択されれば(YES)、CPU21は、ステップS23にて、ユーザパレット66に選択色を追加する。
図15Cにおいては、チェックボックス662の表示及びチェックマークの解除に関する処理を省略している。続けて、CPU21は、ステップS24にて、選択色はプロセス印刷の色域外の色であるか否かを判定する。選択色がプロセス印刷の色域外の色でなければ(NO)、CPU21は処理をステップS26に移行させる。選択色がプロセス印刷の色域外の色であれば(YES)、CPU21は、ステップS25にて、例えば色番号の近傍に識別情報663を表示する。
【0083】
CPU21は、ステップS26にて、色域外のいずれかの選択色が指定されたか否かを判定する。色域外のいずれかの選択色が指定されれば(YES)、CPU21は、ステップS27にて、選択色を置換色に置換する決定がなされたか否かを判定する。選択色を置換色に置換する決定がなされなければ(NO)、CPU21は処理をステップS29に移行させる。選択色を置換色に置換する決定がなされれば(YES)、CPU21は、ステップS28にて、選択色を置換色に置換して、処理をステップS26に戻す。
【0084】
ステップS26にて、色域外のいずれかの選択色が指定されなければ(NO)、CPU21は、ステップS29にて、単位区画631の選択を終了するか否かを判定する。単位区画631の選択を終了しなければ(NO)、CPU21は処理をステップS22に戻す。単位区画631の選択を終了すれば(YES)、CPU21は、ステップS30にて、選択色をDTP編集プログラムの使用色に設定して、処理を終了させる。DTP編集プログラムの使用色に設定された選択色は、記憶部23に記憶される。これによって、CPU21がDTP編集プログラムを実行させると、色選択用表示プログラムの実行による複数の選択色を用いて、印刷物のデザインデータを制作することができる。
【0085】
CPU21は、ステップS31にて、色選択ウインドウ60を終了させるか否かを判定する。色選択ウインドウ60を終了させなければ(NO)、CPU21は処理を
図15AのステップS5に戻す。色選択ウインドウ60を終了させれば(YES)、CPU21は処理を終了させる。
【0086】
なお、ステップS6及びS7の組、ステップS8及びS9の組、ステップS10及びS11の組、ステップS12及びS13の組、ステップS14及びS15の組、ステップS16及びS17の組、ステップS18及びS19の組、ステップS20及びS21の組の順番は任意である。
【0087】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 データサーバ
2 ユーザ端末
3 調色現場
4 製版現場
5 印刷機
11 調色用データベース記憶部
12 プロセス印刷用カラーテーブル記憶部
13 送信部
13’,22,32’ 送受信部
20 色選択用表示装置
21,31 中央処理装置
23,33 記憶部
24,34 非一時的記憶媒体
25,35 表示部
26,36 操作部
32 受信部
60 色選択ウインドウ
61 選択部
62,671 選択色表示領域
63 色表示領域
64 スクロールバー
65 メインパレット
66 ユーザパレット
67 色置換パレット
211 表示制御部
300 インキ調合機
631 単位区画
632 第1のマーク
633 第2のマーク
634 選択不可マーク
651 フィルタ設定部
652 ソート設定部
653 色選択部
654 彩度範囲設定部
655 明度範囲設定部
656 色域設定部
661 矩形領域
662 チェックボックス
663 識別情報
672 置換候補色表示領域
673 色情報表示部
674 許容値設定部
675 置換候補色リスト
676 プロセス変換指示釦
【要約】
【課題】印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに応じて、印刷物で表現しようとする望みの色を容易に選択することができる色選択用表示装置を提供する。
【解決手段】記憶部23は、選択された印刷機の種類と被印刷媒体の種類との組み合わせに対応する調色用データの色番号及び色情報を記憶する。表示制御部211は、調色用データにおける各色に対応する複数の単位区画を色番号に従った順番で表示部25に表示し、各単位区画を各色の色情報に従った色で表示する。表示制御部211は、各色の色相、彩度、明度のうちのいずれかの順に並び替える指示に応答して、複数の単位区画を表示部25に並び替えて表示する。
【選択図】
図14