(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】通信装置、及び通信制御装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20241106BHJP
H04W 72/56 20230101ALI20241106BHJP
H04W 74/0833 20240101ALI20241106BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W72/56
H04W74/0833
(21)【出願番号】P 2023198152
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2020565640の分割
【原出願日】2019-12-11
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2019002220
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 裕昭
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230246(WO,A1)
【文献】MediaTek Inc.,Enhancements on multi-beam operations[online],3GPP TSG RAN WG1 #95 R1-1812350,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_95/Docs/R1-1812350.zip>,2018年11月03日,[検索日 2024.09.26]
【文献】MediaTek Inc.,Summary 2 on Remaing issues on Beam Failure Recovery[online],3GPP TSG RAN WG1 #92 R1-1803441,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92/Docs/R1-1803441.zip>,2018年03月01日,[検索日 2024.09.26]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間のビームの回復リクエストに使用するビームの優先度の設定を取得する取得部と、
前記優先度に基づいて回復リクエストに使用するビームを選択する通信制御部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記基地局との間のリンクの切断を検出したビームと異なるビームの中にあるランダムアクセス用のリソースで前記回復リクエストを前記基地局へ送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記異なるビームは2つ以上である、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、複数のリンクの切断に対するビームの回復リクエストを一つのランダムアクセス用のリソースの中で1つのメッセージとして纏めて実行する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記1つのメッセージで1つのビームの回復リクエストを出力することができるための、リンクの切断の検出時間の閾値が設定される、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、2つ以上のリンクの切断を検出するリソースのために使われる1つのランダムアクセス用のリソースで前記回復リクエストを前記基地局へ送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
端末装置との間のビームの回復リクエストに使用するビームの優先度の設定を送信する通信制御部と、
前記優先度に基づいて回復リクエストに使用するよう選択されたビームに関する情報を取得する取得部と、
を備える、通信制御装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記端末装置との間のリンクの切断を検出したビームと異なるビームの中にあるランダムアクセス用のリソースで送信された前記回復リクエストを取得する、請求項7に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記異なるビームは2つ以上である、請求項8に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記取得部は、複数のリンクの切断に対し、一つのランダムアクセス用のリソースの中で1つのメッセージとして纏めて実行されたビームの回復リクエストを取得する、請求項8に記載の通信制御装置。
【請求項11】
前記通信制御部は、前記1つのメッセージで1つのビームの回復リクエストを出力することができるための、リンクの切断の検出時間の閾値を前記端末装置に設定する、請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項12】
前記取得部は、2つ以上のリンクの切断を検出するリソースのために使われる1つのランダムアクセス用のリソースで送信された前記回復リクエストを取得する、請求項7に記載の通信制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、及び通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー移動通信の無線アクセス方式および無線ネットワーク(以下、「Long Term Evolution(LTE)」、「LTE-Advanced(LTE-A)」、「LTE-Advanced Pro(LTE-A Pro)」、「5G(第5世代)」「New Radio(NR)」、「New Radio Access Technology(NRAT)」、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(EUTRA)」、または「Further EUTRA(FEUTRA)」とも称する。)が、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project: 3GPP)において検討されている。なお、以下の説明において、LTEは、LTE-A、LTE-A Pro、およびEUTRAを含み、NRは、NRAT、およびFEUTRAを含む。LTEおよびNRでは、基地局装置(基地局)はLTEにおいてeNodeB(evolved NodeB)およびNRにおいてgNodeBとも称され、端末装置(移動局、移動局装置、端末)はUE(User Equipment)とも称される。LTEおよびNRは、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置するセルラー通信システムである。単一の基地局は複数のセルを管理してもよい。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のビームフォーミングアンテナを使用する無線通信システムにおいて、ビームフォーミングを使用して通信するためのフレームについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の基地局からビームフォーミングで送信される環境において、複数の基地局との間で、ビームリンクを保つことは端末装置にとって負担であった。従って、端末装置には無駄なビームリンクを保ち続けないようにする仕組みが求められていた。
【0006】
そこで本開示では、無駄なビームリンクを保ち続けないようにすることで負荷を低減させることが可能な、新規かつ改良された通信装置及び通信制御装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また本開示によれば、基地局との間のビームの回復リクエストに使用するビームの優先度の設定を取得する取得部と、前記優先度に基づいて回復リクエストに使用するビームを選択する通信制御部と、を備える、通信装置が提供される。
【0008】
また本開示によれば、端末装置との間のビームの回復リクエストに使用するビームの優先度の設定を送信する通信制御部と、前記優先度に基づいて回復リクエストに使用するよう選択されたビームに関する情報を取得する取得部と、を備える、通信制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの全体構成の一例を示す図である。
【
図3】ビームスィーピングについて説明するための図である。
【
図4】基地局と端末装置とにより実行される典型的なビーム選択手続き及びCSI取得手続きの流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図5】基地局と端末装置とにより実行される典型的なビーム選択手続き及びCSI取得手続きの流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャの一例を説明するための図である。
【
図7】端末装置に配置されるアンテナパネルの配置例を示す説明図である。
【
図8】本実施形態に係る基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】本実施形態に係る端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】ビームレポートとビームリンクとのリンケージの例を示す説明図である。
【
図11】本実施形態に係る基地局と端末装置の動作例を示す流れ図である。
【
図12】基地局と端末装置との間のビームについて示す説明図である。
【
図13】ビームリンク失敗をモニターするリソースがビーム毎に用意される様子を示す説明図である。
【
図14】端末装置によるビームリカバリリクエストの様子を示す説明図である。
【
図15】端末装置によるビームリカバリリクエストの様子を示す説明図である。
【
図16】端末装置が複数のビームリカバリのリクエストを同時に送信する様子を示す説明図である。
【
図17】本実施形態に係る基地局と端末装置の動作例を示す流れ図である。
【
図18】端末装置によるビームリカバリリクエストの様子を示す説明図である。
【
図19】eNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。
【
図20】eNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。
【
図21】スマートフォンの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】カーナビゲーション装置の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.はじめに
1.1.システム構成
1.2.関連技術
1.3.提案技術の概要
2.構成例
2.1.基地局の構成例
2.2.端末装置の構成例
3.第1の実施形態
4.第2の実施形態
5.応用例
6.まとめ
【0012】
<<1.はじめに>>
<1.1.システム構成>
図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の全体構成の一例を示す図である。
図1に示したように、システム1は、基地局100(100A及び100B)、端末装置200(200A及び200B)、コアネットワーク(Core Network)20、及びPDN(Packet Data Network)30を含む。
【0013】
基地局100は、セル11(11A及び11B)を運用し、セル11の内部に位置する1つ以上の端末装置へ無線サービスを提供する通信装置である。例えば、基地局100Aは、端末装置200Aに無線サービスを提供し、基地局100Bは端末装置200Bに無線サービスを提供する。セル11は、例えばLTE又はNR(New Radio)等の任意の無線通信方式に従って運用され得る。基地局100は、コアネットワーク20に接続される。コアネットワーク20は、PDN30に接続される。
【0014】
コアネットワーク20は、例えばMME(Mobility Management Entity)、S-GW(Serving gateway)、P-GW(PDN gateway)、PCRF(Policy and Charging Rule Function)及びHSS(Home Subscriber Server)を含み得る。MMEは、制御プレーンの信号を取り扱う制御ノードであり、端末装置の移動状態を管理する。S-GWは、ユーザプレーンの信号を取り扱う制御ノードであり、ユーザデータの転送経路を切り替えるゲートウェイ装置である。P-GWは、ユーザプレーンの信号を取り扱う制御ノードであり、コアネットワーク20とPDN30との接続点となるゲートウェイ装置である。PCRFは、ベアラに対するQoS(Quality of Service)等のポリシー及び課金に関する制御を行う制御ノードである。HSSは、加入者データを取り扱い、サービス制御を行う制御ノードである。
【0015】
端末装置200は、基地局100による制御に基づいて基地局100と無線通信する通信装置である。端末装置200は、いわゆるユーザ端末(User Equipment:UE)であってもよい。例えば、端末装置200は、基地局100にアップリンク信号を送信して、基地局100からダウンリンク信号を受信する。
【0016】
<1.2.関連技術>
(1)BWP(Bandwidth Part)
図2は、BWPについて説明するための図である。
図2に示すように、CC#1は、複数のBWP(#1及び#2)を含み、CC#2は、複数のBWP(#1及び#2)を含む。なお、本明細書において、#の後の数字は、インデックスを示すものとする。異なるCCに含まれるBWPは、インデックスが同一であっても、異なるBWPを示している。BWPは、ひとつのオペレーション周波数帯域幅(operation band width)であるCCを複数の周波数帯域幅に分けたものである。各々のBWPにおいては、異なるサブキャリア間隔(Subcarrier spacing)を設定することができる。
【0017】
3GPP Rel15のNRの基本フレームフォーマットとして、このBWPが規格化された。LTEについてRel8で規格化されたOFDM変調方式では、サブキャリア間隔は15kHzに固定されていた。他方、Rel15では、サブキャリア間隔を60kHz、120kHz又は240kHzにすることが可能である。サブキャリア間隔が長くなると、その分OFDMシンボル長が短くなる。例えば、LTEでは、サブキャリア間隔が15kHzであるから、1msあたりに1スロット送信可能であり、換言すると、14OFDMシンボルを送信可能であった。他方、NRでは、サブキャリア間隔が60kHzである場合には2スロット、120kHzである場合には4スロット、240kHzである場合には8スロットを送信可能である。このように、サブキャリアを長くすることで、OFDMシンボル長が短くなる。その分、低遅延通信に適したフレーム構成を提供することが可能となる。
【0018】
NRでは、異なるサブキャリア間隔が設定されたBWPを同時に提供することができる。そのため、NRでは、異なるユースケースに対応する、複数のBWPを同時に提供することができる。
【0019】
(2)アクティブBWPの数
送受信を行うことが可能なBWPは、アクティブBWPとも称される。そして、同時に送受信を行うことが可能なBWPの数は、アクティブBWPの数とも称される。基地局100のアクティブBWPの数は複数である。他方、端末装置200のアクティブBWPの数は1つである場合がある。もちろん、アクティブBWPの数が複数の端末装置200も、将来的には登場すると考えられる。これらのシナリオを、下記の表1に示す。
【0020】
【0021】
なお、本開示にかかる技術では、端末装置200のアクティブBWPの数が1つである場合が想定される。
【0022】
(3)CCとBWPとの関係
本実施形態では、複数のBWPに焦点を当てて説明している。しかし、後述する、本開示のアンテナスイッチングの方法は、複数のCC(Component Carrier)の場合にも適用可能である。CCとは、オペレーションしている周波数バンドである。実際には、隣接したBWPの方が適用される場合が多いことが考えられる。隣接したBWPの方が周波数的に近いからである。従って、本開示においてBWPとして説明している箇所は、基本的にCCに入れ替えても良い。複数のBWPは同時刻に使用できることを想定しているが、CCの場合も、複数のCCを同時刻に使うことを想定する。
【0023】
(4)コードブックベースビームフォーミング
基地局100は、ビームフォーミングを行って端末装置200と通信することで、例えば通信品質を向上させることができる。ビームフォーミングの手法としては、端末装置200に追従するようなビームを生成する手法と、候補のビームの中から端末装置200に追従するようなビームを選択する手法とがある。前者の手法は、ビームを生成する度に計算コストがかかることから、将来の無線通信システム(例えば、5G)において採用されることは考えづらい。一方で、後者の手法は、3GPP(Third Generation Partnership Project)のリリース13のFD-MIMO(Full Dimension Multiple Input Multiple Output)でも採用されている。後者の手法は、コードブックベースビームフォーミング(codebook based beam forming)とも称される。
【0024】
コードブックベースフォーミングでは、基地局100は、あらゆる方向に向けたビームを事前に準備(即ち、生成)しておき、その事前に準備しておいたビームの中から対象の端末装置200に適するビームを選択して、選択したビームを用いて端末装置200と通信する。例えば、基地局100は、水平方向の360度での通信が可能である場合、例えば1度刻みで360種類のビームを準備する。ビーム同士が半分重なるようにする場合、基地局100は、720種類のビームを準備する。垂直方向に関しては、基地局100は、例えば-90度から+90度までの180度分のビームを準備する。
【0025】
なお、端末装置200は、ビームを観測するだけなので、基地局100側のコードブックの存在を知っておく必要性は低い。
【0026】
基地局100が事前に準備しておいた複数のビームを、以下ではビーム群とも称する。ビーム群は、例えば、周波数帯域毎に定義され得る。また、ビーム群は、Rx/Txビームごとに、またダウンリンク/アップリンクごとに定義され得る。
【0027】
(5)ビームスィーピング
NRでは、通信に用いるべき最適なビームを選択するために、ビーム群に属する複数のビームの各々を用いて、測定用信号(既知信号)を送信する又は受信する、ビームスィーピングについて検討されている。測定用信号は、参照信号(Reference Signal)とも称される場合がある。ビームスィーピングしながら送信された測定用信号の測定結果に基づいて、最適な送信用(以下、Txビームとも称する)を選択することができる。その一例を、
図3を参照して説明する。
【0028】
図3は、ビームスィーピングについて説明するための図である。
図3に示した例では、基地局100が、ビーム群40を用いてビームスィーピングしながら(即ち、Txビームを切り替えながら)測定用信号を送信する。なお、ビームスィーピングしながら送信することを、以下ではビームスィーピング送信とも称する。そして、端末装置200は、ビームスィーピング送信された測定用信号を測定し、どのTxビームが最も受信しやすいかを決定する。このようにして、基地局100の最適なTxビームが選択される。なお、基地局100と端末装置200とを入れ替えて同様の手続きを実行することで、基地局100は、端末装置200の最適なTxビームを選択することができる。
【0029】
他方、測定用信号をビームスィーピングしながら受信することで得た測定結果に基づいて、最適な受信用ビーム(以下、Rxビームとも称される)を選択することもできる。例えば、端末装置200が、測定用信号をアップリンクで送信する。そして、基地局100は、ビームスィーピングしながら(即ち、Rxビームを切り替えながら)測定用信号を受信し、どのRxビームが最も受信しやすいかを決定する。このようにして、基地局100の最適なRxビームが選択される。なお、基地局100と端末装置200とを入れ替えて同様の手続きを実行することで、端末装置200は、端末装置200の最適なRxビームを選択することができる。また、ビームスィーピングしながら受信することを、以下ではビームスィーピング受信とも称する。
【0030】
ビームスィーピング送信された測定用信号を受信及び測定する側は、測定結果を測定用信号の送信側に報告する。測定結果は、どのTxビームが最適かを示す情報を含む。最適なTxビームとは、例えば、受信電力が最も大きいTxビームである。測定結果は、受信電力が最も大きい1つのTxビームを示す情報を含んでいてもよいし、受信電力が大きい上位K個のTxビームを示す情報を含んでいてもよい。測定結果は、例えば、Txビームの識別情報(例えば、ビームのインデックス)、及びTxビームの受信電力の大きさを示す情報(例えば、RSRP(Reference Signal Received Power))を、対応付けて含む。
【0031】
ビームスィーピングのためのビームは、既知信号であるリファレンス信号に指向性を持たせて送信するものである。従って端末装置200はリファレンス信号というリソースでビームを判別することができる。
【0032】
基地局100は、一つのリファレンス信号のリソースを使って、一つのビームを提供できる。すなわち、リソースを10個用意すれば、基地局100は異なる10方向に対応したビームスィーピングを行うことができる。10個のリソースをまとめてリソースセットと呼ぶことができる。10個のリソースで構成された1つのリソースセットは、10方向に対応したビームスィーピングを提供することができる。
【0033】
(6)CSI取得手続き
CSI(Channel State Information)取得手続きは、上述したビームスィーピングを伴うビーム選択手続きにより、最適なビームが選択された後に実行される。CSI取得手続きにより、選択されたビームを用いた通信におけるチャネル品質が取得される。例えば、CSI取得手続きにおいて、CQI(Channel Quality Indicator)が取得される。
【0034】
チャネル品質は、変調方式等の通信パラメータを決定するために用いられる。チャネルの品質が良いのに、少ないビットしか送ることができない変調方式、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)が採用されると、低スループットになってしまう。一方、チャネルの品質が悪いのに、多くのビットを送ることができる変調方式、例えば256QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が採用されると、受信側でデータの受信に失敗して低スループットになってしまう。このように、チャネル品質を正しく取得することが、スループット向上のために重要である。
【0035】
図4は、基地局と端末装置とにより実行される典型的なビーム選択手続き及びCSI取得手続きの流れの一例を示すシーケンス図である。
図4に示すように、基地局は、ビーム選択のための測定用信号をビームスィーピング送信する(ステップS11)。次いで、端末装置は、ビーム選択のための測定用信号の測定を行い、ビームの測定結果(ビームレポート)を基地局に報告する(ステップS12)。かかる測定結果は、例えば、基地局の最適なTxビームの選択結果を示す情報を含む。次に、基地局は、選択された最適なビームを用いてチャネル品質取得のための測定用信号を送信する(ステップS13)。次いで、端末装置は、測定用信号の測定結果に基づいて取得されたチャネル品質を基地局に報告する(ステップS14)。そして、基地局は、報告されたチャネル品質に基づく通信パラメータを用いて、ユーザデータを端末装置に送信する(ステップS15)。以上から、ビームレポートは、基地局または端末が受信した、ビーム選択のための測定用信号の測定結果が、端末または基地局に対して送信される。
【0036】
ダウンリンクのチャネル品質は、ダウンリンクで送信される測定用信号に基づいて測定される。一方、ダウンリンクのチャネル品質は、アップリンクで送信される測定用信号に基づいて測定することもできる。これは、アップリンクのチャネルとダウンリンクのチャネルとが可逆性を有しており、これらのチャネルの品質は基本的に同一なためである。このような可逆性は、チャネルレセプロシティとも称される。
【0037】
ダウンリンクの測定用信号に基づいてダウンリンクのチャネル品質を測定する場合、
図4のステップS14に示したように、チャネル品質取得のための測定用信号の測定結果の報告が行われる。この測定結果の報告は、大きなオーバーヘッドになり得る。チャネルは、送信アンテナ数がMであり、受信アンテナ数がNである場合には、N×Mの行列で表すことができる。行列の各要素は、IQに対応した複素数となる。例えば、各I/Qが10bitで表され、送信アンテナ数が100本であり、受信アンテナ数が8本である場合、チャネル品質の測定結果の報告には、8×100×2×10=16000ビットが費やされ、大きなオーバーヘッドになる。
【0038】
これに対し、アップリンクの測定用信号に基づいてダウンリンクのチャネル品質を測定する場合、測定主体が基地局であるから、測定結果の報告は不要である。そのため、アップリンクの測定用信号に基づいてダウンリンクのチャネル品質を測定することで、測定結果の報告に関するオーバーヘッドを削減し、スループットを向上させることが可能である。アップリンクの測定用信号に基づいてダウンリンクのチャネル品質を測定する場合の処理の流れを、
図5を参照して説明する。
【0039】
図5は、基地局と端末装置とにより実行される典型的なビーム選択手続き及びCSI取得手続きの流れの他の一例を示すシーケンス図である。
図5に示すように、端末装置は、ビーム選択のための測定用信号をビームスィーピング送信し、基地局はビームスィーピングしながら測定用信号を受信する(ステップS21)。その際、基地局は、測定結果に基づいて、端末装置の最適なTxビーム、及び基地局の最適なRxビームを選択する。次いで、基地局は、ビームの測定結果(ビームレポート)を端末装置に報告する(ステップS22)。かかる測定結果は、端末装置の最適なTxビームの選択結果を示す情報を含む。次に、端末装置は、選択されたTxビームを用いてチャネル品質取得のための測定用信号を送信する(ステップS23)。基地局は、測定結果に基づいて、アップリンクのチャネル品質を取得し、アップリンクのチャネル品質に基づいてダウンリンクのチャネル品質を取得する。そして、基地局は、取得したダウンリンクのチャネル品質に基づく通信パラメータを用いて、ユーザデータを端末装置に送信する(ステップS24)。以上から、ビームレポートは、基地局または端末が受信した、ビーム選択のための測定用信号の測定結果が、端末または基地局に対して送信される。
【0040】
(7)アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャ
アンテナの指向性を制御するために、アナログ回路ですべての処理を行うアーキテクチャが考えられる。そのようなアーキテクチャは、フルデジタルアーキテクチャとも称される。フルデジタルアーキテクチャでは、アンテナの指向性を制御するために、アンテナ(即ち、アンテナ素子)と同じ数だけのアンテナ重みがデジタル領域で(即ち、デジタル回路により)適用される。アンテナ重みとは、振幅及び位相を制御するための重みである。しかし、フルデジタルアーキテクチャでは、デジタル回路が大きくなってしまうという短所があった。このような、フルデジタルアーキテクチャの欠点を解消するアーキテクチャとして、アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャがある。
【0041】
図6は、アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャの一例を説明するための図である。
図6に示すアーキテクチャは、デジタル回路50、アナログ回路60(60A及び60B)及びアンテナパネル70(70A及び70B)を含む。デジタル回路は、複数のアンテナ重み51(51A及び51B)を適用可能である。そして、アナログ回路60及びアンテナパネル70は、デジタル回路50で適用可能なアンテナ重み51の数と同数、設けられる。アンテナパネル70には、複数のアンテナ72(72A~72F)、及びアンテナ72の数と同数のフェイズシフター71(71A~71F)が設けられる。フェイズシフター71は、アナログ領域で、位相のみ制御可能なアンテナ重みを適用する装置である。
【0042】
デジタル領域のアンテナ重みとアナログ領域のアンテナ重みとの特性を、下記の表2に示す。
【0043】
【0044】
デジタル領域におけるアンテナ重みは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式が利用される場合、周波数領域において適用される。例えば、デジタル領域におけるアンテナ重みは、送信時にはIFFT(inverse fast Fourier transform)の前に適用され、受信時にはFFT(fast Fourier transform)後に適用される。
【0045】
デジタル領域のアンテナ重みは、周波数領域において適用される。そのため、デジタル領域のアンテナ重みを適用することで、同一の時間リソースであっても、異なる周波数リソースを用いて異なる方向へビームを送信することができる。一方で、アナログ領域のアンテナ重みは、時間領域において適用される。そのため、アナログ領域のアンテナ重みを適用しても、同一時間リソースでは、全ての周波数リソースに渡って同じ方向にしかビームを向けることができない。
【0046】
つまり、アンテナパネル70ごとに、同一の時間リソースであっても、異なる周波数リソースを用いて異なる方向へビームを送信することができる。一方で、ひとつのアンテナパネル70は、同一の時間リソース及び周波数リソースを用いて、ひとつの方向にしかビームを向けることができない。よって、アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャでは、同一の時間リソースにおいて送受信することができるビームの方向は、アンテナパネル70の数に対応する。さらに言えば、アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャでは、同一の時間リソースにおいてビームスィーピング送信又はビームスィーピング受信することが可能なビーム群の数は、アンテナパネル70の数に対応する。
【0047】
このようなアナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャは、基地局100及び端末装置200の双方において採用され得る。
【0048】
(8)アンテナパネル
図6では、一つのデジタル領域の重みに3つのアナログ領域のフェイズシフターが接続されている。この一つのデジタル領域の重みと、3つのアナログ領域のフェイズシフターとの組をアンテナパネルとして纏めて配置することができる。
図6に示したのは、アンテナ素子3つでアンテナパネルを構成し、このアンテナパネルが2つある場合の例になっている。表2で説明したが、通常は、一つのパネルでは、同じ時間に別の周波数を使って別の方向のビームを作ることができない。しかし、2つのパネルを使えば、同一時間であっても、別の方向のビームを作ることができる。このアンテナパネルの構成は、基地局側と端末側の両方で使用される。
【0049】
図7は、端末装置200に8つのアンテナパネルが配置されている例を示す説明図である。
図7には、端末装置200の表面と裏面にそれぞれ4個、計8個のアンテナパネルが配置されている例が示されている。一つのアンテナパネルに搭載されるアンテナ素子の数は特定のものに限定されないが、例えば一つのアンテナパネルには4本のアンテナ素子が搭載されている。
【0050】
(9)リファレンス信号とユーザデータのリソース
ビームスィーピングやCSI取得手続きを実施するためには、基地局装置100と端末装置200との間でリファレンス信号の送受信が必要となる。また、基地局装置100と端末装置200との間でユーザデータを送受信する場合にも、リファレンス信号の送受信が必要となる。これらのリファレンス信号は、基本的は、周波数と時間のリソースで指定され、一部、直交するシーケンスを使用してリソースを指定する場合も含まれる。一方、ユーザデータは、制御信号に含まるスケジューラーがユーザデータの周波数と時間リソースを指定する。ユーザデータの場合は、直交するシーケンスをリソースとして割り当てることはない。周波数と時間リソースのみである。
【0051】
【0052】
(10)受信側のアンテナパネルとビームの選択
(10-1)ビームマネジメント段階でのアンテナパネルとビームの選択
ビームマネジメント中は、基地局100から到来するビームを端末装置200側で、試行錯誤しながら、どのアンテナパネルのどのビームで受信すべきかを決定する。異なるアンテナパネルは、基本的に同時に動作することが可能であるので、例えば4つのリソースがダウンリンクビーム用の同一のビームに対するリファレンス信号のリソースとして設定されている場合には、端末装置200は、アンテナパネル毎に、異なる4つの受信ビームを使用し、どれが望ましい受信ビームであるかを決定することができる。このような動作を基地局100側の異なる方向に対応するダウンリンクビームの本数分行う。ダウンリンクビームの本数が10本の場合には、10×4=40個のリソースを使って、端末装置200が受信ビームを観測することにより、基地局100からの望ましいビームと端末装置200側のアンテナパネルと望ましいビームとを決定することができる。
【0053】
(10-2)CSI手続き段階でのアンテナパネルとビームの選択
CSI手続き段階は、基地局100で送信用のプリコーディング(より細かいアンテナ制御)を使った上で、チャネルの品質をより詳しく確認する段階である。CSI手続き段階では、先のビームマネジメント段階で同定した端末装置200のアンテナパネルと、そのアンテナパネルの中で一番望ましいと判断したビームで、CSI手続き用のリファレンス信号の受信を行う。
【0054】
(11)マルチ基地局
以上は、1つの基地局100に複数のアンテナパネルが搭載されていることを前提としていた。しかし、端末装置200の周りに複数の基地局100が配置されている場合も考えられる。端末装置200は、その複数の端末装置200(マルチ基地局)の複数のアンテナパネルとの間で同期を取得する必要がある。この同期は、周波数同期と時間同期の両方の同期である。この場合のマルチ基地局は、セルIDが同一であるものを想定している。従って、端末装置200から見ると同一のセルであるが、実際に信号を送受信するのは、物理的には、異なる基地局100となる。
【0055】
(12)ビームリカバリ
ビームリカバリとは、基地局100と端末装置200との間のビームが何らかの理由(車や人、建物などによるブロッキング等)で使えなくなった際に、端末装置200が新たな別のビームを探し出して使用することである。ビームリカバリが必要な理由は概ね以下の通りである。
【0056】
まずブロッキングによりビームが使えなくなった状態からの回復である。基地局100と端末装置200との間に車や人、建物などが入り込むと、ビームが遮られるため、制御信号やユーザデータが基地局100と端末装置200の間で通信できなくなる状態がブロッキングである。
【0057】
次に干渉によりビームが使えなくなった状態からの回復である。つまり、他の基地局100や他の端末装置200からの信号が干渉となり、基地局100と端末装置200の間で目的の信号の送受信ができなくなる状態である。
【0058】
ブロッキングは、完全に信号が無くなってしまうことから、その障害物である車や人がいなくならない限りは、その同じビームでの復帰はのぞめない。データを送信している周波数を若干変えても、近隣の周波数帯全てでその方向を使ったビームの送受信が出来なくなっている可能性が高い。また時間方向においても、障害物が居なくなるまでの数秒の間通信が出来なくなる可能性が高い。
【0059】
一方、干渉は、全ての時間・周波数リソースにおいて起きるのではく、他の基地局100や他の端末装置200が送信を停止することにより無くなる。一つのビームから制御信号やユーザデータを提供していたLTEと異なり、複数のビームで制御信号やユーザデータを送受信すると、この特性を考慮した干渉に対する耐性の向上が求められる。一方、ブロッキングの方は、基本的にビームを変更することが求められる。ビームを変更するにあたって、早急な復帰、つまり新しいビームを早急に同定することが求められる。アプリケーションによっては、継続的に低遅延で通信することが求められる車の制御やドローンの制御、遠隔医療機器の制御等があるからである。
【0060】
以上の観点から、複数のビームリンクのリカバリを効率的に行う方法が求められている。また、ビームをメンテナンスするリンクの数は、端末装置200の内部状態により変わるため、同じ数のビームリンクを一律にメンテナンスするためにビームリカバリを繰り返すのは非効率的であった。
【0061】
<<2.構成例>>
<2.1.基地局の構成例>
図8は、本実施形態に係る基地局100の構成の一例を示すブロック図である。
図8を参照すると、基地局100は、アンテナ部110、無線通信部120、ネットワーク通信部130、記憶部140及び制御部150を備える。
【0062】
(1)アンテナ部110
アンテナ部110は、無線通信部120により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部110は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部120へ出力する。
【0063】
とりわけ、本実施形態では、アンテナ部110は、複数のアンテナ素子を有し、ビームを形成することが可能である。
【0064】
(2)無線通信部120
無線通信部120は、信号を送受信する。例えば、無線通信部120は、端末装置へのダウンリンク信号を送信し、端末装置からのアップリンク信号を受信する。
【0065】
とりわけ、本実施形態では、無線通信部120は、アンテナ部110により複数のビームを形成して端末装置と通信することが可能である。
【0066】
ここで、本実施形態では、アンテナ部110及び無線通信部120は、
図6を参照して上記説明した、アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャのアンテナパネル70を複数含んで構成される。例えば、アンテナ部110は、アンテナ72に相当する。また、例えば、無線通信部120は、デジタル回路50、アナログ回路60、及びフェイズシフター71に相当する。
【0067】
(3)ネットワーク通信部130
ネットワーク通信部130は、情報を送受信する。例えば、ネットワーク通信部130は、他のノードへの情報を送信し、他のノードからの情報を受信する。例えば、上記他のノードは、他の基地局及びコアネットワークノードを含む。
【0068】
(4)記憶部140
記憶部140は、基地局100の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
【0069】
(5)制御部150
制御部150は、基地局100全体の動作を制御して、基地局100の様々な機能を提供する。本実施形態では、制御部150は、設定部151と、通信制御部153と、を含んで構成される。
【0070】
設定部151は、基地局100と端末装置200との間の無線通信に関する種々の設定を行う。特に本実施形態では、設定部151は、以下で説明するように、基地局100からの同期信号を端末装置200で効率良く測定するための様々な設定を行う。通信制御部153は、設定部151の設定に基づいて無線通信部120から信号を送出するための通信制御処理を実行する。
【0071】
制御部150は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、制御部150は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
【0072】
<2.2.端末装置の構成例>
図9は、本実施形態に係る端末装置200の構成の一例を示すブロック図である。
図9を参照すると、端末装置200は、アンテナ部210、無線通信部220、記憶部230及び制御部240を備える。
【0073】
(1)アンテナ部210
アンテナ部210は、無線通信部220により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部210は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部220へ出力する。
【0074】
とりわけ、本実施形態では、アンテナ部210は、複数のアンテナ素子を有し、ビームを形成することが可能である。
【0075】
(2)無線通信部220
無線通信部220は、信号を送受信する。例えば、無線通信部220は、基地局からのダウンリンク信号を受信し、基地局へのアップリンク信号を送信する。
【0076】
とりわけ、本実施形態では、無線通信部220は、アンテナ部210により複数のビームを形成して基地局と通信することが可能である。
【0077】
ここで、本実施形態では、アンテナ部210及び無線通信部220は、
図6を参照して上記説明した、アナログ-デジタルハイブリットアンテナアーキテクチャのアンテナパネル70を複数含んで構成される。例えば、アンテナ部210は、アンテナ72に相当する。また、例えば、無線通信部220は、デジタル回路50、アナログ回路60、及びフェイズシフター71に相当する。
【0078】
(3)記憶部230
記憶部230は、端末装置200の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
【0079】
(4)制御部240
制御部240は、端末装置200全体の動作を制御して、端末装置200の様々な機能を提供する。本実施形態では、制御部240は、取得部241と、通信制御部243と、を含んで構成される。
【0080】
取得部241は、基地局100と端末装置200との間の無線通信によって基地局100から送信される情報を取得する。特に本実施形態では、取得部241は、以下で説明するように、基地局100からの同期信号を端末装置200で効率良く測定するための様々な情報を取得する。通信制御部243は、取得部241が取得した情報に基づいて無線通信部220から信号を送出するための通信制御処理を実行する。
【0081】
制御部240は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、制御部240は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
【0082】
<<3.第1の実施形態>>
同時にメンテナンスしている複数のビームリンクが、端末装置200の都合でメンテナンス不可能になる場合がある。例えば、端末装置200が実行するアプリケーションの計算負荷による温度上昇等の理由で、ビームリンクの数を減らしたいといった要求が起きる場合がある。その場合、端末装置200からネットワーク側にどのように報告するかを決めるべきである。
【0083】
そこで本実施形態では、端末装置200は、ビームレポートと1対1でマッピングされるビームリンクIDを用いて、停止するビームリンクを指定する。また本実施形態では、端末装置200は、ビームリンクのメンテナンスを行う最大の数をビームレポートとともに報告する。端末装置200は、この最大のビームリンク数を、Band width part毎に報告してもよい。
【0084】
具体例を示す。メンテナンス(本実施形態では、端末装置200が最適なビームを選択しつづける動作をいう)を行うビームの数が3個であった場合に、端末装置200でその数を減らしたいという要求が生じた場合、端末装置200は、ビームレポートに対して、レポートの最大数を2に減少するとともに、どのビームリンクを停止するかを指定する。その指定は、レポート中のビームリンクでなくても良い。これは、緊急にビームリンク数を減らしたいが、そのビームリンクを減らすことを宣言するビームレポートのビームリンクが、減らしたいビームリンクは限らないからである。
【0085】
以下に、従来のビームレポートの内容とともに、レポートの最大数と、停止したいビームリンクの指定を含む例を示す。
【0086】
図10は、ビームレポートとビームリンクとのリンケージの例を示す説明図である。
図10に示すように、ビームリンクIDは、beam reporting configurationと1対1マッピングで特定するようにする。端末装置200は、ここで定義されるビームリンクIDを使って、SBI(Stop Beam link ID)としてメンテナンスを停止するビームリンクを指定する。
【0087】
図11は、本開示の実施の形態に係る基地局100と端末装置200の動作例を示す流れ図である。基地局100は、端末装置200へ、CSI-RSのリソースのコンフィギュレーション、ビームレポートのコンフィギュレーション及びビームリンクIDのコンフィギュレーションを設定する(ステップS101)。
【0088】
その後、基地局100はビームスィーピングを実行する(ステップS102)。端末装置200は、基地局100から放射されたビームに対するレポートを実行する(ステップS103)。この際、レポートするビームの数を減少させる必要が生じた場合には、端末装置200は、ビームリンクIDを使って、SBIとしてメンテナンスを停止するビームリンクを指定する。
【0089】
【0090】
Maximum beam link数の報告は、ビームリンクIDに関連づけられたCSI-RSのコンフィギュレーションに対するビームリンクである。このCSI-RSのコンフィギュレーションが、Band width part毎に設定される場合には、このMaximum beam link数の報告は、Band width part毎に行うことが自然である。
【0091】
このような動作を実行することで、端末装置200は、自装置の都合でメンテナンスするビームリンク数を減らすことが可能になり、例えば端末装置200は、自装置の温度が高いような状況において、メンテナンスするビームリンク数を減らすことで、自装置の温度を下げることができるようになる。また例えば端末装置200は、自装置の電力消費が増え、バッテリの残量が所定値以下となったような状況において、メンテナンスするビームリンク数を減らすことで消費電力を抑えることが可能となる。
【0092】
端末装置200に割り当てられたビームリンクのリカバリ用のリソースは、ランダムアクセスでbeam link failureを通知するためのリソースである。端末装置200は、Maximum beam link数の変更が生じた場合に、このランダムアクセスの手続きを用いて、基地局100にMaximum beam link数の増減を通知しても良い。特に、Maximum beam link数を増やしたいという要求は、リームリカバリで、0個を1個に増やすのと同様に、2個あるものを3個にしたいという要求であるため、ビームリンクのリカバリ用のランダムアクセスのリソース、すなわち、シーケンス部のプリアンブルに続くメッセージ部を用いて要求を行うことと親和性がある。すなわち、
図11のステップS103において、端末装置200は、シーケンス部のプリアンブルに続くメッセージ部を用いて、基地局100にMaximum beam link数の増減を通知してもよい。表5は、メッセージ部に格納される情報の内容の例を示す表である。
【0093】
【0094】
ランダムアクセスのリソースを用いて、最大のビームメンテナンス数を通知することにより、端末装置200の温度が高くなった時等に、メンテナンスする数を迅速に減らすことができる。
【0095】
<<4.第2の実施形態>>
一度ビームリンク失敗(beam link failure)を起こした時に、端末装置200は、同じビームを使って、ビームリンク失敗とビームリカバリリクエストのメッセージをランダムアクセスのリソースにより送信したとしても、そのビームはブロッキングされているために、そのメッセージが基地局100に届かない場合がある。
【0096】
そこで本実施形態では、端末装置200は、ビームリカバリリクエストに使用する送信ビームの優先度の設定をネットワークから受けて、ビームの優先度に従って動作する。また本実施形態では、端末装置200は、ビームリンク失敗を検出したビームと異なるビームの中にあるランダムアクセスのリソースでビームリカバリリクエストを送信するよう動作しても良い。この異なるビームは、2つ以上でもよい。端末装置200は、複数のビームリンク失敗に対するビームリカバリのリクエストを一つのランダムアクセスのリソースの中で1つのメッセージとして、まとめて行っても良い。また、どれくらいの期間でビームリンク失敗を検出したら一つのメッセージでビームリカバリリクエストを出せるかは、その時間の閾値をネットワーク側から端末装置200に設定しておき、端末装置200は、その設定に従って動作してもよい。また端末装置200は、2つ以上のビームリンク失敗の検出のために使われる1つのランダムアクセスのリソースでビームリカバリリクエストを送信してもよい。
【0097】
具体例を示す。例えば、N個のビームの内、ビームリンク失敗を端末装置200が検出した場合、端末装置200は、そのビームリンク失敗に対するビームリカバリのリクエストを、ビームリンク失敗を起こしたビームと異なるビームを用いて、ランダムアクセスを使って基地局100に送信すべきである。異なるビームの選択は、端末装置200への実装として行うことが可能であるが、その実装で行ったビーム自体がリンクに失敗していないかどうかを、端末装置200は知る方法が無かった。
【0098】
そこで、本実施形態では、リンクに失敗しているか否かをビーム毎に判別するためにビームリンク失敗をモニターするリソースがビーム毎に用意される。
図12は、基地局100と端末装置200との間のビームについて示す説明図である。そして
図13は、ビームリンク失敗をモニターするリソースがビーム毎に用意される様子を示す説明図である。
【0099】
さらに端末装置200は、ビームリンク失敗を検出したあと、すぐにビームリカバリのリクエストを送る必要がある。従って、そのビームリカバリのリクエストのためのランダムアクセスのリソースは、
図13に示すように、各ビームリンク失敗検出用のリソース毎に用意する必要がある。
図13では、4つのビームリンク失敗検出用のリソースとビームリカバリリクエスト用のリソースが同じ時間上にあるように見えているが、この4つのリソースは、異なる時間に配置されているものである。それが、ランダムアクセス用のリソースを4つ用意する理由でもあるからである。
【0100】
ビームリンク失敗を検出した端末装置200は、その失敗したビームにリンクされているアップリンクのランダムアクセスのリソースでビームリカバリのリクエストを送る。端末装置200が使用するビームは、予め、基地局100が設定していたものであり、端末装置200は、その設定されたビームを用いて送信する。
図14は、端末装置200によるビームリカバリリクエストの様子を示す説明図である。優先度が高いビームであっても、ビームリンク失敗を起こしているビームは使えないのは言うまでもない。この設定は、ビームリンク毎にそれぞれ設定される。
図14には、ビームIDが0のビームリンクの設定のみが描かれている。
【0101】
これにより、端末装置200は、適切なビームを使って、ビームリカバリのリクエストを送ることができ、そのビームリカバリのリクエストの通知を確実にネットワーク側に届けることができる。
【0102】
端末装置200は、URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications、超高信頼低遅延通信)のような、特に早急な復旧が求められるユーザデータが使われていたビームがビームリンク失敗を起こした時には、複数のビームのランダムアクセスのリソースを使用してビームリカバリのリクエストを行う。
図15は、端末装置200が複数のビームのランダムアクセスのリソースを使用してビームリカバリのリクエストを行う様子を示す説明図である。複数のビームのランダムアクセスのリソースを使用してビームリカバリのリクエストを行うことにより、端末装置200は、基地局100に確実に報告を行うことができる。ランダムアクセスのリソースは、他の端末装置200のアップリンク信号と衝突する場合があるからである。
【0103】
このように、複数のビームのランダムアクセスのリソースを使用してビームリカバリのリクエストを行うことで、コンテンションでビームリカバリのリクエストが失敗しうるような場合において特に効果がある。
【0104】
端末装置200は、1つの報告に複数のビームリカバリのリクエストを含めることができる。端末装置200は、N個のビームの内、M個のビームが同時期にビームリンク失敗を起こした時に、そのM個のビームリカバリのリクエストを同時に送信することができる。
図16は、端末装置200が複数のビームリカバリのリクエストを同時に送信する様子を示す説明図である。
【0105】
図17は、本実施形態に係る基地局100及び端末装置200の動作例を示す流れ図である。基地局100は、端末装置200へ、CSI-RSのリソースのコンフィギュレーション、ビームレポートのコンフィギュレーション及びビームリンクIDのコンフィギュレーションを設定する(ステップS111)。
【0106】
その後、基地局100はビームスィーピングを実行する(ステップS112)。端末装置200は、ビームリンク失敗を検出し、ビームリカバリのリクエストを送信するためのランダムアクセスのリソースを選択する(ステップS113)。そして端末装置200は、選択したランダムアクセスのリソースを用いて、ビームリカバリのリクエストを送信する(ステップS114)。この際、端末装置200は、ビームリンクのリカバリ用のランダムアクセスのリソース、すなわち、シーケンス部のプリアンブルに続くメッセージ部を用いて、ビームリンク失敗を検出したビームID及びリカバリのリクエストを送信する。
【0107】
このように動作することで、ランダムアクセスで衝突が起きる確率を減らすことができ、端末装置200から基地局100へ、ビームリカバリのリクエストを確実にネットワーク側に伝えることができる。
【0108】
ブロッキングにより、同時に2本以上ビームリンクが失敗してしまうことがある。その時に、端末装置200からビームリカバリのリクエストを個別に送っていると、ランダムアクセスのためのリソースが不足する可能性がある。また、同時に複数のビームリカバリのために、ビームスィーピングのためのダウンリンクのリファレンス信号を割り当てることができない場合がある。例えば、2個のビームのリカバリ程度ならリソースが不足する可能性はほとんど無いが、10個のビームのリカバリを同時に行うようなケースでは、ダウンリンク及びアップリンクの周波数リソースや時間リソースが不足してしまう可能性がある。
【0109】
そこで、本実施形態では、端末装置200は、複数のビームリカバリのリクエストを一つのランダムアクセスのリソースで送信しても良い。
図18は、端末装置200が複数のビームリカバリのリクエストを一つのランダムアクセスのリソースで送信する様子を示す説明図である。このように、複数のビームリカバリのリクエストを一つのランダムアクセスのリソースで送信することで、端末装置200によるランダムアクセスの機会を減らすことができる。
【0110】
更にこの場合には、ランダムアクセスのリソースは、ビームリンク毎に用意されるのではなく、共通のリソースが用意される。複数のビームリカバリのリクエストを一つのランダムアクセスのリソースで送信する際に、共通のリソースが用意されることで、ランダムアクセスのリソースを減らすことができる。
【0111】
ビームリンク失敗を観測するためのビームスィーピングのリソースと、それに対応するビームリカバリのリクエストを送信するためのランダムアクセスのリソースとのリンケージは、事前にネットワーク側から端末に設定しておく。
図18において、beam link(0)がリンクに失敗した場合、または、beam link (1)がfailしたリンクに失敗には、0番のリソース(random access resource for beam recovery request(0))を使用する。リンクの失敗の時期がほぼ同時期な場合には、
図16のように1つのメッセージの中に複数ビームリカバリのリクエストを含めることができる。この時間のしきい値は、ネットワーク側から端末装置200に予め設定しておいてもよい。
【0112】
これにより、端末装置200のアップリンクに占めるオーバーヘッドを減らすことができる。そのため、端末装置200のアップリンクのスループットが向上する効果がもたらされる。
【0113】
<<5.応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。
【0114】
例えば、基地局100は、マクロeNB又はスモールeNBなどのいずれかの種類のeNB(evolved Node B)として実現されてもよい。スモールeNBは、ピコeNB、マイクロeNB又はホーム(フェムト)eNBなどの、マクロセルよりも小さいセルをカバーするeNBであってよい。その代わりに、基地局100は、NodeB又はBTS(Base Transceiver Station)などの他の種類の基地局として実現されてもよい。基地局100は、無線通信を制御する本体(基地局装置ともいう)と、本体とは別の場所に配置される1つ以上のRRH(Remote Radio Head)とを含んでもよい。また、後述する様々な種類の端末が一時的に又は半永続的に基地局機能を実行することにより、基地局100として動作してもよい。
【0115】
また、例えば、端末装置200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末、携帯型/ドングル型のモバイルルータ若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、端末装置200は、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、端末装置200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
【0116】
<5.1.基地局に関する応用例>
(第1の応用例)
図19は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。eNB800は、1つ以上のアンテナ810、及び基地局装置820を有する。各アンテナ810及び基地局装置820は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。
【0117】
アンテナ810の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、基地局装置820による無線信号の送受信のために使用される。eNB800は、
図19に示したように複数のアンテナ810を有し、複数のアンテナ810は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、
図19にはeNB800が複数のアンテナ810を有する例を示したが、eNB800は単一のアンテナ810を有してもよい。
【0118】
基地局装置820は、コントローラ821、メモリ822、ネットワークインタフェース823及び無線通信インタフェース825を備える。
【0119】
コントローラ821は、例えばCPU又はDSPであってよく、基地局装置820の上位レイヤの様々な機能を動作させる。例えば、コントローラ821は、無線通信インタフェース825により処理された信号内のデータからデータパケットを生成し、生成したパケットをネットワークインタフェース823を介して転送する。コントローラ821は、複数のベースバンドプロセッサからのデータをバンドリングすることによりバンドルドパケットを生成し、生成したバンドルドパケットを転送してもよい。また、コントローラ821は、無線リソース管理(Radio Resource Control)、無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、移動性管理(Mobility Management)、流入制御(Admission Control)又はスケジューリング(Scheduling)などの制御を実行する論理的な機能を有してもよい。また、当該制御は、周辺のeNB又はコアネットワークノードと連携して実行されてもよい。メモリ822は、RAM及びROMを含み、コントローラ821により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、送信電力データ及びスケジューリングデータなど)を記憶する。
【0120】
ネットワークインタフェース823は、基地局装置820をコアネットワーク824に接続するための通信インタフェースである。コントローラ821は、ネットワークインタフェース823を介して、コアネットワークノード又は他のeNBと通信してもよい。その場合に、eNB800と、コアネットワークノード又は他のeNBとは、論理的なインタフェース(例えば、S1インタフェース又はX2インタフェース)により互いに接続されてもよい。ネットワークインタフェース823は、有線通信インタフェースであってもよく、又は無線バックホールのための無線通信インタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース823が無線通信インタフェースである場合、ネットワークインタフェース823は、無線通信インタフェース825により使用される周波数帯域よりもより高い周波数帯域を無線通信に使用してもよい。
【0121】
無線通信インタフェース825は、LTE(Long Term Evolution)又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、アンテナ810を介して、eNB800のセル内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース825は、典型的には、ベースバンド(BB)プロセッサ826及びRF回路827などを含み得る。BBプロセッサ826は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、各レイヤ(例えば、L1、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol))の様々な信号処理を実行する。BBプロセッサ826は、コントローラ821の代わりに、上述した論理的な機能の一部又は全部を有してもよい。BBプロセッサ826は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を含むモジュールであってもよく、BBプロセッサ826の機能は、上記プログラムのアップデートにより変更可能であってもよい。また、上記モジュールは、基地局装置820のスロットに挿入されるカード若しくはブレードであってもよく、又は上記カード若しくは上記ブレードに搭載されるチップであってもよい。一方、RF回路827は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ810を介して無線信号を送受信する。
【0122】
無線通信インタフェース825は、
図19に示したように複数のBBプロセッサ826を含み、複数のBBプロセッサ826は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。また、無線通信インタフェース825は、
図19に示したように複数のRF回路827を含み、複数のRF回路827は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、
図19には無線通信インタフェース825が複数のBBプロセッサ826及び複数のRF回路827を含む例を示したが、無線通信インタフェース825は単一のBBプロセッサ826又は単一のRF回路827を含んでもよい。
【0123】
図19に示したeNB800において、
図8を参照して説明した制御部150に含まれる1つ以上の構成要素(設定部151、及び/又は通信制御部153)は、無線通信インタフェース825において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ821において実装されてもよい。一例として、eNB800は、無線通信インタフェース825の一部(例えば、BBプロセッサ826)若しくは全部、及び/又はコントローラ821を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB800にインストールされ、無線通信インタフェース825(例えば、BBプロセッサ826)及び/又はコントローラ821が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB800、基地局装置820又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0124】
また、
図19に示したeNB800において、
図10を参照して説明した無線通信部120は、無線通信インタフェース825(例えば、RF回路827)において実装されてもよい。また、アンテナ部110は、アンテナ810において実装されてもよい。また、ネットワーク通信部130は、コントローラ821及び/又はネットワークインタフェース823において実装されてもよい。また、記憶部140は、メモリ822において実装されてもよい。
【0125】
(第2の応用例)
図20は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。eNB830は、1つ以上のアンテナ840、基地局装置850、及びRRH860を有する。各アンテナ840及びRRH860は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。また、基地局装置850及びRRH860は、光ファイバケーブルなどの高速回線で互いに接続され得る。
【0126】
アンテナ840の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、RRH860による無線信号の送受信のために使用される。eNB830は、
図20に示したように複数のアンテナ840を有し、複数のアンテナ840は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、
図20にはeNB830が複数のアンテナ840を有する例を示したが、eNB830は単一のアンテナ840を有してもよい。
【0127】
基地局装置850は、コントローラ851、メモリ852、ネットワークインタフェース853、無線通信インタフェース855及び接続インタフェース857を備える。コントローラ851、メモリ852及びネットワークインタフェース853は、
図19を参照して説明したコントローラ821、メモリ822及びネットワークインタフェース823と同様のものである。
【0128】
無線通信インタフェース855は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、RRH860及びアンテナ840を介して、RRH860に対応するセクタ内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース855は、典型的には、BBプロセッサ856などを含み得る。BBプロセッサ856は、接続インタフェース857を介してRRH860のRF回路864と接続されることを除き、
図19を参照して説明したBBプロセッサ826と同様のものである。無線通信インタフェース855は、
図20に示したように複数のBBプロセッサ856を含み、複数のBBプロセッサ856は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、
図20には無線通信インタフェース855が複数のBBプロセッサ856を含む例を示したが、無線通信インタフェース855は単一のBBプロセッサ856を含んでもよい。
【0129】
接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)をRRH860と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)とRRH860とを接続する上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
【0130】
また、RRH860は、接続インタフェース861及び無線通信インタフェース863を備える。
【0131】
接続インタフェース861は、RRH860(無線通信インタフェース863)を基地局装置850と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース861は、上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
【0132】
無線通信インタフェース863は、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、典型的には、RF回路864などを含み得る。RF回路864は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、
図20に示したように複数のRF回路864を含み、複数のRF回路864は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、
図20には無線通信インタフェース863が複数のRF回路864を含む例を示したが、無線通信インタフェース863は単一のRF回路864を含んでもよい。
【0133】
図20に示したeNB830において、
図8を参照して説明した制御部150に含まれる1つ以上の構成要素(設定部151、及び/又は通信制御部153)は、無線通信インタフェース855及び/又は無線通信インタフェース863において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ851において実装されてもよい。一例として、eNB830は、無線通信インタフェース855の一部(例えば、BBプロセッサ856)若しくは全部、及び/又はコントローラ851を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB830にインストールされ、無線通信インタフェース855(例えば、BBプロセッサ856)及び/又はコントローラ851が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB830、基地局装置850又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0134】
また、
図20に示したeNB830において、例えば、
図10を参照して説明した無線通信部120は、無線通信インタフェース863(例えば、RF回路864)において実装されてもよい。また、アンテナ部110は、アンテナ840において実装されてもよい。また、ネットワーク通信部130は、コントローラ851及び/又はネットワークインタフェース853において実装されてもよい。また、記憶部140は、メモリ852において実装されてもよい。
【0135】
<5.2.端末装置に関する応用例>
(第1の応用例)
図21は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912、1つ以上のアンテナスイッチ915、1つ以上のアンテナ916、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
【0136】
プロセッサ901は、例えばCPU又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM及びROMを含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
【0137】
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
【0138】
無線通信インタフェース912は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース912は、典型的には、BBプロセッサ913及びRF回路914などを含み得る。BBプロセッサ913は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路914は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ916を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース912は、BBプロセッサ913及びRF回路914を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース912は、
図21に示したように複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含んでもよい。なお、
図21には無線通信インタフェース912が複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含む例を示したが、無線通信インタフェース912は単一のBBプロセッサ913又は単一のRF回路914を含んでもよい。
【0139】
さらに、無線通信インタフェース912は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ913及びRF回路914を含んでもよい。
【0140】
アンテナスイッチ915の各々は、無線通信インタフェース912に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ916の接続先を切り替える。
【0141】
アンテナ916の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース912による無線信号の送受信のために使用される。スマートフォン900は、
図21に示したように複数のアンテナ916を有してもよい。なお、
図21にはスマートフォン900が複数のアンテナ916を有する例を示したが、スマートフォン900は単一のアンテナ916を有してもよい。
【0142】
さらに、スマートフォン900は、無線通信方式ごとにアンテナ916を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ915は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
【0143】
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、
図21に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
【0144】
図21に示したスマートフォン900において、
図9を参照して説明した制御部240に含まれる1つ以上の構成要素(取得部241及び/又は通信制御部243)は、無線通信インタフェース912において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。一例として、スマートフォン900は、無線通信インタフェース912の一部(例えば、BBプロセッサ913)若しくは全部、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがスマートフォン900にインストールされ、無線通信インタフェース912(例えば、BBプロセッサ913)、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてスマートフォン900又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0145】
また、
図21に示したスマートフォン900において、例えば、
図9を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース912(例えば、RF回路914)において実装されてもよい。また、アンテナ部210は、アンテナ916において実装されてもよい。また、記憶部230は、メモリ902において実装されてもよい。
【0146】
(第2の応用例)
図22は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、1つ以上のアンテナスイッチ936、1つ以上のアンテナ937及びバッテリー938を備える。
【0147】
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
【0148】
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
【0149】
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
【0150】
無線通信インタフェース933は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、典型的には、BBプロセッサ934及びRF回路935などを含み得る。BBプロセッサ934は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路935は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ937を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース933は、BBプロセッサ934及びRF回路935を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、
図22に示したように複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含んでもよい。なお、
図22には無線通信インタフェース933が複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含む例を示したが、無線通信インタフェース933は単一のBBプロセッサ934又は単一のRF回路935を含んでもよい。
【0151】
さらに、無線通信インタフェース933は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ934及びRF回路935を含んでもよい。
【0152】
アンテナスイッチ936の各々は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ937の接続先を切り替える。
【0153】
アンテナ937の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送受信のために使用される。カーナビゲーション装置920は、
図22に示したように複数のアンテナ937を有してもよい。なお、
図22にはカーナビゲーション装置920が複数のアンテナ937を有する例を示したが、カーナビゲーション装置920は単一のアンテナ937を有してもよい。
【0154】
さらに、カーナビゲーション装置920は、無線通信方式ごとにアンテナ937を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ936は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
【0155】
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、
図22に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
【0156】
図22に示したカーナビゲーション装置920において、
図9を参照して説明した制御部240に含まれる1つ以上の構成要素(取得部241及び/又は通信制御部243)は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。一例として、カーナビゲーション装置920は、無線通信インタフェース933の一部(例えば、BBプロセッサ934)若しくは全部及び/又はプロセッサ921を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがカーナビゲーション装置920にインストールされ、無線通信インタフェース933(例えば、BBプロセッサ934)及び/又はプロセッサ921が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてカーナビゲーション装置920又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0157】
また、
図22に示したカーナビゲーション装置920において、例えば、
図9を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース933(例えば、RF回路935)において実装されてもよい。また、アンテナ部210は、アンテナ937において実装されてもよい。また、記憶部230は、メモリ922において実装されてもよい。
【0158】
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
【0159】
<<6.まとめ>>
以上説明したように本開示の第1の実施形態によれば、ビームレポートと1対1でマッピングされるビームリンクIDを用いて、停止するビームリンクを指定する端末装置200、及び、ビームレポートと1対1でマッピングされるビームリンクIDを端末装置200に通知する基地局100が提供される。
【0160】
また、本開示の第2の実施形態によれば、ビームリカバリリクエストに使用する送信ビームの優先度の設定をネットワークから受けて、ビームの優先度に従って動作する端末装置200、及び、そのような優先度の設定を端末装置200に通知する基地局100が提供される。
【0161】
本明細書の各装置が実行する処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図またはフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、各装置が実行する処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0162】
また、各装置に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した各装置の構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供されることが可能である。また、機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【0163】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0164】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0165】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
基地局から送信されるビームに関するビームの測定結果に1対1で対応するビームリンク識別子を取得する取得部と、
前記ビームリンク識別子を用いて、停止する前記基地局とのビームリンクを指定する通信制御部と、
を備える、通信装置。
(2)
前記通信制御部は、ビームリンクのメンテナンスを行う最大数を、前記ビームの測定結果とともに前記基地局に報告する、前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記通信制御部は、前記最大数を、Bandwidth part(BWP)毎に報告する、前記(2)に記載の通信装置。
(4)
基地局との間のビームの回復リクエストに使用するビームの優先度の設定を取得する取得部と、
前記優先度に基づいて回復リクエストに使用するビームを選択する通信制御部と、
を備える、通信装置。
(5)
前記通信制御部は、前記基地局との間のリンクの切断を検出したビームと異なるビームの中にあるランダムアクセス用のリソースで前記回復リクエストを前記基地局へ送信する、前記(4)に記載の通信装置。
(6)
前記異なるビームは2つ以上である、前記(5)に記載の通信装置。
(7)
前記通信制御部は、複数のリンクの切断に対するビームの回復リクエストを一つのランダムアクセス用のリソースの中で1つのメッセージとして纏めて実行する、前記(5)または(6)に記載の通信装置。
(8)
前記1つのメッセージで1つのビームの回復リクエストを出力することができるための、リンクの切断の検出時間の閾値が設定される、前記(7)に記載の通信装置。
(9)
前記通信制御部は、2つ以上のリンクの切断を検出するリソースのために使われる1つのランダムアクセス用のリソースで前記回復リクエストを前記基地局へ送信する、前記(4)~(8)のいずれかに記載の通信装置。
(10)
送信するビームに関する端末装置からのビームの測定結果に1対1で対応するビームリンク識別子を設定する通信制御部と、
前記ビームリンク識別子を用いて前記ビームを受信する前記端末装置が停止するビームリンクに関する情報を取得する取得部と、
を備える、通信制御装置。
(11)
前記取得部は、ビームリンクのメンテナンスを行う最大数を、前記ビームの測定結果とともに前記端末装置から取得する、前記(10)に記載の通信制御装置。
(12)
前記取得部は、前記最大数を、Bandwidth part(BWP)毎に取得する、前記(11)記載の通信制御装置。
(13)
端末装置との間のビームの回復リクエストに使用するビームの優先度の設定を送信する通信制御部と、
前記優先度に基づいて回復リクエストに使用するよう選択されたビームに関する情報を取得する取得部と、
を備える、通信制御装置。
(14)
前記取得部は、前記端末装置との間のリンクの切断を検出したビームと異なるビームの中にあるランダムアクセス用のリソースで送信された前記回復リクエストを取得する、前記(13)に記載の通信制御装置。
(15)
前記異なるビームは2つ以上である、前記(14)に記載の通信制御装置。
(16)
前記取得部は、複数のリンクの切断に対し、一つのランダムアクセス用のリソースの中で1つのメッセージとして纏めて実行されたビームの回復リクエストを取得する、前記(14)または(15)に記載の通信制御装置。
(17)
前記通信制御部は、前記1つのメッセージで1つのビームの回復リクエストを出力することができるための、リンクの切断の検出時間の閾値を前記端末装置に設定する、前記(16)に記載の通信制御装置。
(18)
前記取得部は、2つ以上のリンクの切断を検出するリソースのために使われる1つのランダムアクセス用のリソースで送信された前記回復リクエストを取得する、前記(13)~(17)のいずれかに記載の通信制御装置。
(19)
基地局から送信されるビームに関するビームの測定結果に1対1で対応するビームリンク識別子を取得することと、
前記ビームリンク識別子を用いて、停止する前記基地局とのビームリンクを指定することと、
を備える、通信方法。
(20)
送信するビームに関する端末装置からのビームの測定結果に1対1で対応するビームリンク識別子を設定することと、
前記ビームリンク識別子を用いて前記ビームを受信する前記端末装置が停止するビームリンクに関する情報を取得することと、
を備える、通信制御方法。
【符号の説明】
【0166】
100 基地局
200 端末装置