(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】エレベータの制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B66B1/18 P
(21)【出願番号】P 2023201839
(22)【出願日】2023-11-29
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-024765(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/055414(JP,A1)
【文献】特開2020-128279(JP,A)
【文献】特開2021-147187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータにおいて
、利用者についての呼び登録の依頼を受信した場合と、ロボットについての呼び登録の依頼を、そのロボットを識別するロボット情報と共にロボット管理装置又は当該ロボット自身から受信した場合とについて、何れの場合にも、それらの依頼に応じて乗りかごへの乗場呼びの割当てを行う制御装置であり、
前記依頼を受信するごとに、その依頼と共に受信した情報の中に前記ロボット情報が含まれているか否かの判断を行い、当該判断にて含まれていると判断した場合には、受信した依頼は、前記ロボットについての呼び登録の依頼である、と判断し、
前記依頼に応じた前記割当てによって前記乗りかごに生じる停止予定回数を、当該割当てを行うごとにカウントし、その中で、
前記ロボットについての前記割当てを行う際には、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものをカウントし、
前記停止予定回数が上限値に達した場合には、前記乗りかごへの前記割当てを制限する、エレベータの制御装置。
【請求項2】
前記ロボットについての前記割当てを実行しようとした場合において、そのときのカウントによって得られた前記停止予定回数が前記上限値に達してしまい、その割当ての対象になり得る乗りかごを見付けることができなかった場合には、前記上限値を緩和して当該割当ての実行を再度試みる、請求項1に記載のエレベータの制御装置。
【請求項3】
前記ロボットについての前記割当てを行う場合において、そのロボットの行先階又は出発階が、前記乗りかごへの前記割当てが既に行われている利用者の行先階又は出発階に一致する場合には、前記停止予定回数として、当該利用者についての前記割当てに対応したカウント済みの1回分を、前記ロボットについての前記割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものへ置き換えてカウントし直す、請求項1又は2に記載のエレベータの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者とロボットの両方が利用するエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータとして、行先階登録装置において利用者による行先階の登録が行われるごとに、その利用者についての乗りかごへの乗場呼びの割当てを行うものが存在する。そのようなエレベータの制御技術として、乗場呼びの割当てによって乗りかごに生じる停止予定回数(運行区間を周回するときの1周あたりの停止予定回数)をカウントし、その停止予定回数が上限値に達した乗りかごに対しては割当てを制限する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、利用者だけがエレベータを利用するケースにおいては、乗りかごの周回時間(運行区間を1周するときに要する時間)が長くならないように制御することができ、その結果として輸送効率を向上させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、建物内で従来は人が行っていた様々な作業(掃除、監視、搬送など)にロボットが活用されることが多くなってきている。それに伴い、建物内におけるロボットの階間移動にエレベータが利用されることが増えてきており、利用者とロボットの両方がエレベータを利用するケースが増えてきている。
【0005】
一方、ロボットは、利用者に比して乗降に時間を要する。このため、利用者と共にロボットがエレベータを利用する環境下においては、上述した制御技術のように乗りかごの停止予定回数に上限値を設けたとしても、ロボットが乗車した乗りかごでは周回時間が長くなり、それが原因で輸送効率の向上が妨げられることになる。
【0006】
そこで本発明の目的は、利用者と共にロボットがエレベータを利用する環境下であっても輸送効率の向上を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の制御装置は、エレベータにおいて乗りかごへの乗場呼びの割当てを行う制御装置であり、次のような制御処理を行う(態様1)。制御装置は、割当てによって乗りかごに生じる停止予定回数を、当該割当てを行うごとにカウントし、その中で、ロボットについての割当てを行う際には、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものをカウントする。そして、停止予定回数が上限値に達した場合には、制御装置は、乗りかごへの割当てを制限する。
【0008】
上記態様1によれば、停止予定回数に上限値を設けて乗りかごへの割当てを制限することにより、乗りかごの停止回数(運行区間を周回するときの1周あたりの停止回数)の増加を制限することができる。そして、ロボットについての割当てを行う場合には、停止予定回数として、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものをカウントすることにより、ロボットが乗りかごに乗車する場合には、乗りかごの実際の停止回数を、利用者だけが乗車する場合よりも減らすことができる。よって、乗降に時間を要するロボットが乗りかごに乗車する場合でも、乗りかごの周回時間(運行区間を1周するときに要する時間)を適切な範囲内となるように制御することが可能になる。
【0009】
上記態様1に係る制御装置は、ロボットについての割当てを実行しようとした場合において、そのときのカウントによって得られた停止予定回数が上限値に達してしまい、その割当ての対象になり得る乗りかごを見付けることができなかった場合には、上限値を緩和して当該割当ての実行を再度試みてもよい(態様2)。
【0010】
ロボットについての割当てを行う場合には、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものを停止予定回数としてカウントしようとすると、停止予定回数が上限値を超えてしまいやすく、それが故に、そのままでは割当ての対象になり得る乗りかごを見付けることができないといった事態が起こり得る。そのような場合でも、上記態様2によれば、上限値を緩和することにより、ロボットについての割当てを確実に行うことが可能になる。
【0011】
上記態様1又は2に係る制御装置は、ロボットについての割当てを行う場合において、そのロボットの行先階又は出発階が、乗りかごへの割当てが既に行われている利用者の行先階又は出発階に一致する場合には、停止予定回数として、当該利用者についての割当てに対応したカウント済みの1回分を、ロボットについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものへ置き換えてカウントし直してもよい(態様3)。
【0012】
ロボットは乗降に時間を要する一方で、利用者は乗降に殆ど時間を必要としないため、ロボットが乗車又は降車し且つ利用者が乗車又は降車する停止階においては、利用者は、ロボットの乗降時間の範囲内で乗降を完了させることができる。従って、そのような停止階においては、ロボットについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものを停止予定回数としてカウントするだけで、そこには利用者についての割当てに対応した1回分も含まれているものとして考えることができる。そこで、上記態様3によれば、利用者についての割当てに対応したカウント済みの1回分を、ロボットについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものへ置き換えてカウントし直すことにより、停止予定回数についてのカウントの重複を防ぐことができ、その結果として、1回の停止に対して停止回数を必要以上にカウントすることを防ぐことが可能になる。
【0013】
本発明に係る第2の制御装置は、エレベータにおいて乗りかごへの乗場呼びの割当てを行う制御装置であり、次のような制御処理を行う(態様4)。制御装置は、割当てによって乗りかごに生じる停止予定時間を、当該割当てを行うごとに積算し、その中で、ロボットについての割当てを行う際には、その割当てに対応する1回分の停止時間を積算する。そして、停止予定時間が上限値に達した場合には、制御装置は、乗りかごへの割当てを制限する。
【0014】
上記態様4によれば、停止予定時間に上限値を設けて乗りかごへの割当てを制限することにより、乗りかごの停止時間(運行区間を周回するときの1周あたりの停止時間)の増加を制限することができる。そして、ロボットについての割当てを行う場合には、停止予定時間として、その割当てに対応する1回分の停止時間(ロボットの乗車又は降車時に要する停止時間)を積算することにより、ロボットが乗りかごに乗車する場合でも、乗りかごの実際の停止時間を、利用者だけが乗車する場合と同程度になるように制限することができる。よって、乗降に時間を要するロボットが乗りかごに乗車する場合でも、乗りかごの周回時間(運行区間を1周するときに要する時間)を適切な範囲内となるように制御することが可能になる。
【0015】
上記態様4に係る制御装置は、ロボットについての割当てを実行しようとした場合において、そのときの積算によって得られた停止予定時間が上限値に達してしまい、その割当ての対象になり得る乗りかごを見付けることができなかった場合には、上限値を緩和して当該割当ての実行を再度試みてもよい(態様5)。
【0016】
ロボットについての割当てを行う場合には、その割当てに対応する1回分の停止時間(ロボットの乗車又は降車時に要する停止時間)を積算しようとすると、停止予定時間が上限値を超えてしまいやすく、それが故に、そのままでは割当ての対象になる得る乗りかごを見付けることができないといった事態が起こり得る。そのような場合でも、上記態様5によれば、上限値を緩和することにより、ロボットについての割当てを確実に行うことが可能になる。
【0017】
上記態様4又は5に係る制御装置は、ロボットについての割当てを実行する場合において、そのロボットの行先階又は出発階が、乗りかごへの割当てが既に行われている利用者の行先階又は出発階に一致する場合には、停止予定時間として、当該利用者についての割当てに対応した積算済みの1回分の停止時間を、ロボットについての割当てに対応する1回分の停止時間へ置き換えて積算し直してもよい(態様6)。
【0018】
ロボットは乗降に時間を要する一方で、利用者は乗降に殆ど時間を必要としないため、ロボットが乗車又は降車し且つ利用者が乗車又は降車する停止階においては、利用者は、ロボットの乗降時間の範囲内で乗降を完了させることができる。従って、そのような停止階においては、ロボットについての割当てに対応する1回分の停止時間を停止予定時間として積算するだけで、そこには利用者についての割当てに対応した1回分の停止時間も含まれているものとして考えることができる。そこで、上記態様6によれば、利用者についての割当てに対応した積算済みの1回分の停止時間を、ロボットについての割当てに対応する1回分の停止時間へ置き換えて積算し直すことにより、停止予定時間についての積算の重複を防ぐことができ、その結果として、1回の停止に対して停止時間を必要以上に積算することを防ぐことが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、利用者と共にロボットがエレベータを利用する環境下であっても輸送効率の向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係るエレベータの全体構成を示した概念図である。
【
図2】実施形態で用いられる(A)装置管理データDp、(B)かご管理データDq、及び(C)ロボット管理データDrをそれぞれ例示した概念図である。
【
図3】実施形態において群管理制御装置が行う制御処理を示したフローチャートである。
【
図4】実施形態で実行される第1選別処理を示したフローチャートである。
【
図5】実施形態で実行される第2選別処理を示したフローチャートである。
【
図6】第1変形例で実行される第2選別処理を示したフローチャートである。
【
図7】第2変形例で用いられる(A)かご管理データDq及び(B)ロボット管理データDrをそれぞれ例示した概念図である。
【
図8】第2変形例において群管理制御装置が行う制御処理を示したフローチャートである。
【
図9】第2変形例で実行される第1選別処理を示したフローチャートである。
【
図10】第2変形例で実行される第2選別処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係るエレベータの全体構成を示した概念図である。本実施形態では、エレベータは、利用者だけでなく、そのエレベータが設置される建物内で様々な作業(掃除、監視、搬送など)を行うロボットHにも利用される。そして、本実施形態のエレベータは、乗りかごGと、行先階登録装置1と、エレベータ制御装置2と、群管理制御装置3と、ロボット管理装置4と、を備える。以下、各部の構成について具体的に説明する。
【0022】
<行先階登録装置>
行先階登録装置1は、エレベータの利用者が行先階Fdを登録するための装置であり、エレベータの各停止階に設置される。
【0023】
行先階登録装置1において利用者が行先階Fdを登録した場合、その行先階Fdは群管理制御装置3へ送信される。これにより、利用者についての呼び登録(利用者についての乗りかごGへの乗場呼びの割当て)が、群管理制御装置3に対して依頼される。このとき、行先階登録装置1は、行先階Fdの送信元が、ロボットHではなくて行先階登録装置1であり、且つ、どの行先階登録装置1であるのかを群管理制御装置3に認識させるべく、その行先階Fdと共に、自身の装置情報Pdも群管理制御装置3へ送信する。
【0024】
<エレベータ制御装置>
エレベータ制御装置2は、乗りかごGごとに設けられ、自身に対応付けられた乗りかごGの動作を制御する。
【0025】
<群管理制御装置>
群管理制御装置3は、エレベータ制御装置2を通じて乗りかごGを一元的に管理する装置であり、記憶部31と制御部32とを備える(
図1参照)。そして本実施形態では、群管理制御装置3は、利用者と共にロボットHがエレベータを利用する環境下であっても輸送効率を向上させるべく、それを可能にするための制御処理を実行する。尚、群管理制御装置3が行う制御処理の詳細については後述する。
【0026】
記憶部31は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成される部分であり、記憶部31には、群管理制御装置3が行う制御処理に必要な情報が保存される。本実施形態では、そのような情報として装置管理データDp及びかご管理データDqが記憶部31に保存される。装置管理データDpは、行先階登録装置1ごとに、当該行先階登録装置1に関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータベースである。かご管理データDqは、乗りかごGごとに、当該乗りかごGに関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータベースである。
【0027】
図2(A)は、本実施形態で用いられる装置管理データDpを例示した概念図である。この図に例示された装置管理データDpでは、行先階登録装置1ごとに、当該行先階登録装置1を他の装置と識別するための装置情報Pdと、その行先階登録装置1の設置階Fsと、が互いに対応付けられた状態で記録される。
【0028】
これにより、群管理制御装置3は、各行先階登録装置1から行先階Fdと共に装置情報Pdを受信した場合に、その装置情報Pdから、当該行先階登録装置1(行先階Fdの登録があった行先階登録装置1)の設置階Fsを特定することが可能になる。そして本実施形態では、その行先階登録装置1の設置階Fsが、当該行先階登録装置1にて行先階Fdを登録した利用者の出発階Fc(乗車階)として利用される。
【0029】
図2(B)は、本実施形態で用いられるかご管理データDqを例示した概念図である。この図に例示されたかご管理データDqでは、乗りかごGごとに、当該乗りかごGを他のかごと識別するためのかご情報Pgと、その乗りかごGへの乗場呼びの割当てによって生じた停止予定回数Nsと、が互いに対応付けられた状態で記録される。
【0030】
ここで、停止予定回数Nsは、乗りかごGが、特定階(特に限定されるものではないが、例えば1階など)から運行区間を1周して当該特定階に戻ってくるまでに停止する予定回数(既に停止済みのものを含む)をカウントしたものである。本実施形態では、停止予定回数Nsは、特に行先階Fdで停止する予定回数をカウントしたものである。そして、かご管理データDqにおいて乗りかごGごとに記録された停止予定回数Nsの値は、当該乗りかごGへの割当てが実行されるごとに更新される(
図3のステップS130~S131参照)。
【0031】
また、本実施形態においては、輸送効率を向上させるべく、各乗りかごGが運行区間を周回するときの1周あたりの停止予定回数Nsの増加を制限する。そして、それを可能にするために、停止予定回数Nsには上限値Ntが設けられている(
図4のステップS14、
図5のステップS24参照)。そして、記憶部31には、上限値Ntも保存される。
【0032】
制御部32は、群管理制御装置3が行う制御処理を実現する部分である。本実施形態では、制御部32は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成される。そして、その制御部32がプログラムを実行することにより、上記の制御処理がソフトウェアで実現される。
【0033】
ここで、上記のプログラムは、群管理制御装置3にインストールされたものであり、インストール前においては、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存されていてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能な状態で保存されていてもよい。尚、群管理制御装置3が行う制御処理は、プログラムの実行によってソフトウェアで実現される場合に限らず、群管理制御装置3に構築された処理回路(制御部32)によってハードウェアで実現されてもよい。
【0034】
<ロボット管理装置>
ロボット管理装置4は、本実施形態のエレベータが設置される建物内で利用されるロボットHを一元的に管理する装置であり、記憶部41と制御部42とを備える(
図1参照)。
【0035】
記憶部41は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成される部分であり、記憶部41には、ロボット管理装置4が行う制御処理に必要な情報が保存される。本実施形態では、そのような情報としてロボット管理データDrが記憶部41に保存される。ロボット管理データDrは、ロボットHごとに、当該ロボットHに関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータベースである。
【0036】
図2(C)は、本実施形態で用いられるロボット管理データDrを例示した概念図である。この図に例示されたロボット管理データDrでは、ロボットHごとに、当該ロボットHを他のロボットHと識別するためのロボット情報Phと、係数Wcと、そのロボットHの現在階Fpと、が互いに対応付けられた状態で記録される。
【0037】
ここで、ロボットHごとに対応付けられる係数Wcは、乗りかごGの停止予定回数Nsをカウントする中で、そのロボットHを降車させるために予定する1回の停止分をカウントする際に、その1回の停止に対して、当該ロボットHが利用者に比して乗降に時間を要することを考慮して重み付けをするための係数である(Wc≧1)。一例として、ロボットHごとに対応付けられる係数Wcは、そのロボットHが降車に要する平均時間についての、利用者が降車に要する平均時間に対する比率である。ここで、降車に要する平均時間とは、例えば、停止階(ここでは行先階Fd)にて乗りかごGからの降車を開始してから降車を完了するまでに要する平均時間である。また、ロボットHごとに対応付けられる現在階Fpは、そのロボットHが配されている階であり、当該ロボットHが階間移動するごとに更新される。
【0038】
制御部42は、ロボット管理装置4が行う制御処理を実現する部分である。本実施形態では、ロボット管理装置4が行う制御処理の1つとして、以下のような処理が制御部42によって実現される。
【0039】
各ロボットHは、階間移動が必要になった場合、移動先となる行先階Fdをロボット管理装置4へ送信する。このとき、そのロボットHは、行先階Fdの送信元がどのロボットHであるのかをロボット管理装置4に認識させるべく、その行先階Fdと共に、自身のロボット情報Phもロボット管理装置4へ送信する。
【0040】
また、各ロボットHは、階間移動が必要になった場合、現在階Fpから乗りかごGに乗車して行先階Fdへ移動することになる。換言すれば、各ロボットHの現在階Fpは、当該ロボットHが階間移動するときの出発階Fc(乗車階)になる。
【0041】
そこで、ロボット管理装置4が各ロボットHから行先階Fd及びロボット情報Phを受信した場合、ロボット管理装置4は、そのロボットHの出発階Fc(乗車階)を特定するべく、ロボット管理データDrを用いて、受信したロボット情報Phに対応付けられている現在階Fpを抽出する。このとき、ロボット管理装置4は、そのロボットHの係数Wcも抽出する。
【0042】
そして、ロボット管理装置4は、抽出した現在階Fp及び係数Wcを、当該現在階FpについてはロボットHの出発階Fc(=Fp)として、ロボットHから受信した行先階Fd及びロボット情報Phと共に群管理制御装置3へ送信する。これにより、ロボットHについての呼び登録(ロボットHについての乗りかごGへの乗場呼びの割当て)が、群管理制御装置3に対して依頼される。
【0043】
このような制御処理を実現する制御部42は、本実施形態ではCPUやMPUなどの処理デバイスで構成される。そして、その制御部42がプログラムを実行することにより、上述した制御処理がソフトウェアで実現される。
【0044】
ここで、上記のプログラムは、ロボット管理装置4にインストールされたものであり、インストール前においては、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存されていてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能な状態で保存されていてもよい。尚、ロボット管理装置4が行う制御処理は、プログラムの実行によってソフトウェアで実現される場合に限らず、ロボット管理装置4に構築された処理回路(制御部42)によってハードウェアで実現されてもよい。
【0045】
[1-2]群管理制御装置が行う制御処理
図3は、本実施形態において群管理制御装置3が行う制御装置を示したフローチャートである。この制御処理は、行先階登録装置1又はロボット管理装置4から群管理制御装置3に対して呼び登録の依頼があった場合に開始される。
【0046】
以下では、呼び登録の依頼があるごとに群管理制御装置3が受信する情報を纏めて「受信情報Pr」と称す。具体的には、この受信情報Prは、呼び登録の依頼が行先階登録装置1からの依頼(利用者についての呼び登録の依頼)であった場合には、行先階Fd及び装置情報Pdを含んだものになり、呼び登録の依頼がロボット管理装置4からの依頼(ロボットHについての呼び登録の依頼)であった場合には、出発階Fc、行先階Fd、係数Wc、及びロボット情報Phを含んだものになる。また本実施形態では、複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車することはないものとする。尚、複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車することがあり得る場合の制御処理については、後述の第1変形例にて説明する。
【0047】
制御処理が開始されると、群管理制御装置3は、受信した呼び登録の依頼が行先階登録装置1とロボット管理装置4のどちらからの依頼であるのかを判断するべく、装置情報Pdとロボット情報Phのどちらの情報が受信情報Pr内に含まれているのかを判断する(ステップS100)。
【0048】
群管理制御装置3は、ステップS100にて「装置情報Pd」が含まれていると判断した場合には、その判断を以て、受信した呼び登録の依頼は行先階登録装置1からの依頼であると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、利用者についての呼び登録(利用者についての乗りかごGへの乗場呼びの割当て)を行うべく、以下の処理を実行する。
【0049】
群管理制御装置3は、まず、利用者についての呼び登録を行うための一連の処理で使用する3つの変数X~Zを設定する(ステップS110)。具体的には、群管理制御装置3は、装置管理データDpを用いて、受信情報Pr内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fsを抽出し、それを利用者の出発階Fcとして変数Xに代入する(X=Fc)。群管理制御装置3は、受信情報Pr内の行先階Fd(利用者の行先階Fd)を変数Yに代入する(Y=Fd)。また、群管理制御装置3は、記憶部31に保存されている上限値Ntを変数Zに代入する(Z=Nt)。
【0050】
ステップS110の後、群管理制御装置3は、全ての乗りかごGに対してそれぞれに、利用者についての割当ての対象になり得る候補(利用者についての乗場呼びの割当候補)を選別するための第1選別処理を実行する(ステップS111)。
【0051】
図4は、本実施形態で実行される第1選別処理を示したフローチャートである。第1選別処理では、群管理制御装置3は、その処理で着目している乗りかごGを着目かごGkとして、当該着目かごGkについて、その時点まででカウント済みの停止予定回数Nsを取得する(ステップS11)。具体的には、群管理制御装置3は、かご管理データDq(
図2(B)参照)を用いて、着目かごGkのかご情報Pgに対応付けられている停止予定回数Nsを取得する。そして、群管理制御装置3は、取得した停止予定回数Nsを変数R(Pg)に代入する(Pgは、着目かごGkのかご情報Pg)。
【0052】
ステップS11の後、群管理制御装置3は、着目かごGkへの割当て済みの乗場呼び(運行区間の1周分。出発階Fc又は行先階Fdへの到着済みのものを含む)の中に、行先階Fdが変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)と同じものがあるか否かを判断する(ステップS12)。
【0053】
群管理制御装置3は、ステップS12にて「ある(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS11で取得した停止予定回数Ns)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(回数)が既にカウントされていると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、新たなカウントを行うことなく変数R(Pg)の値をそのままにし(ステップS13A)、着目かごGkを、利用者についての乗場呼びの割当候補に加える(ステップS15)。その後、群管理制御装置3は、第1選別処理を終了させる。
【0054】
一方、群管理制御装置3は、ステップS12にて「ない(No)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS11で取得した停止予定回数Ns)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(回数)は未だカウントされていないと判断できる。この場合、群管理制御装置3は、利用者についての割当てに対応した停止分(=1回)を新たにカウントする。具体的には、群管理制御装置3は、変数R(Pg)の値に「1」を加えたものを新たな変数R(Pg)とすることにより、利用者についての割当てに対応した1回の停止分をカウントする(ステップS13B)。
【0055】
ステップS13Bの後、群管理制御装置3は、着目かごGkを割当候補にできるか否かを判断するべく、変数R(Pg)の値が変数Zの値(=上限値Nt)以下であるか否かを判断する(ステップS14)。
【0056】
そして、群管理制御装置3は、ステップS14にて「変数Zの値以下である(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、着目かごGkの停止予定回数Nsには利用者についての割当てを行うだけの余裕があると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、利用者についての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加え(ステップS15)、それから第1選別処理を終了させる。
【0057】
一方、群管理制御装置3は、ステップS14にて「変数Zの値以下でない(No)」と判断した場合には、着目かごGkの停止予定回数Nsの増加を制限して輸送効率の向上を図るべく、着目かごGkが割当ての対象にならないように、利用者についての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加えることなく第1選別処理を終了させる。このようにして、群管理制御装置3は、着目かごGkについての変数R(Pg)の値が上限値Ntに達した場合には、その着目かごGkへの割当てを制限する。
【0058】
ステップS111(
図3参照)の後、群管理制御装置3は、ステップS111の実行によって割当候補を見付けることができたか否かを判断する(ステップS112)。ここで、群管理制御装置3は、ステップS111において何れの乗りかごGに対してもステップS14にて「変数Zの値以下でない(No)」と判断せざるを得なかった場合には、ステップS111を、割当候補を見付けることができずに終えることになる。この場合、群管理制御装置3は、ステップS112にて「見付けることができなかった(No)」と判断することになる。
【0059】
本実施形態では、このような場合でも割当候補を見付けることができるようにするべく、群管理制御装置3は、上限値Ntを緩和し(ステップS113)、それからステップS111を再び実行する。そして、群管理制御装置3は、ステップS14(
図4参照)にて「変数Zの値以下である(Yes)」と判断できる乗りかごGが現れるようになるまで、上限値Ntを緩和する。具体的には、群管理制御装置3は、変数Zの値に「1」を加えたものを新たな変数Zとする。その後、群管理制御装置3は、新たな変数Zを用いて再びステップS111を実行する。そして、群管理制御装置3は、ステップS112にて「見付けることができた(Yes)」と判断できるようになるまで、ステップS113及びS111を繰り返し実行する。
【0060】
群管理制御装置3は、ステップS112にて「見付けることができた(Yes)」と判断できた場合には、変数X及びYの値(出発階Fc及び行先階Fd)を1つの乗場呼びとして、ステップS111で見付けた割当候補内の何れか1つの乗りかごGに対する当該乗場呼びの割当てを実行する(ステップS130)。
【0061】
その後、群管理制御装置3は、かご管理データDqにおいて、ステップS130にて割当ての対象にした乗りかごGについての停止予定回数Nsを、その乗りかごGについてステップS13A又はS13B(
図4参照)で得た変数R(Pg)の値へ更新する(ステップS131)。
【0062】
群管理制御装置3は、ステップS100にて「ロボット情報Ph」が含まれていると判断した場合には、その判断を以て、受信した呼び登録の依頼はロボット管理装置4からの依頼であると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、ロボットHについての呼び登録(ロボットHについての乗りかごGへの乗場呼びの割当て)を行うべく、以下の処理を実行する。
【0063】
群管理制御装置3は、まず、ロボットHについての呼び登録を行うための一連の処理で使用する4つの変数Q、X~Zを設定する(ステップS120)。具体的には、群管理制御装置3は、受信情報Pr内の係数Wc、出発階Fc、及び行先階Fdをそれぞれ変数Q、Y、及びXに代入する(Q=Wc、X=Fc、Y=Fd)。また、群管理制御装置3は、記憶部31に保存されている上限値Ntを変数Zに代入する(Z=Nt)。
【0064】
ステップS120の後、群管理制御装置3は、全ての乗りかごGに対してそれぞれに、ロボットHについての割当ての対象になり得る候補(ロボットHについての乗場呼びの割当候補)を選別するための第2選別処理を実行する(ステップS121)。
【0065】
図5は、本実施形態で実行される第2選別処理を示したフローチャートである。第2選別処理では、群管理制御装置3は、その処理で着目している乗りかごGを着目かごGkとして、当該着目かごGkについて、その時点まででカウント済みの停止予定回数Nsを取得する(ステップS21)。具体的には、群管理制御装置3は、かご管理データDq(
図2(B)参照)を用いて、着目かごGkのかご情報Pgに対応付けられている停止予定回数Nsを取得する。そして、群管理制御装置3は、取得した停止予定回数Nsを変数R(Pg)に代入する(Pgは、着目かごGkのかご情報Pg)。
【0066】
ステップS21の後、群管理制御装置3は、着目かごGkへの割当て済みの乗場呼び(運行区間の1周分。出発階Fc又は行先階Fdへの到着済みのものを含む)の中に、行先階Fdが変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)と同じものがあるか否かを判断する(ステップS22)。
【0067】
群管理制御装置3は、ステップS22にて「ない(No)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS21で取得した停止予定回数Ns)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(回数)は未だカウントされていないと判断できる。この場合、群管理制御装置3は、ロボットHについての割当てに対応した停止分(1回に対して重み付けしたもの)を新たにカウントする。具体的には、群管理制御装置3は、変数R(Pg)の値に変数Qの値(=係数Wc)を加えたものを新たな変数R(Pg)とすることにより、ロボットHについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものをカウントする(ステップS23A)。これにより、ロボットHが利用者に比して乗降に時間を要することを、変数R(Pg)の値に反映させることが可能になる。
【0068】
一方、群管理制御装置3は、ステップS22にて「ある(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS21で取得した停止予定回数Ns)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(回数)が既にカウントされていると判断できる。ここで、本実施形態では複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車することはないものとしているため、既にカウントされている当該停止分は、利用者についての乗場呼びに対応した1回の停止分に相当することになる。
【0069】
また、ロボットHは乗降に時間を要する一方で、利用者は乗降に殆ど時間を必要としないため、ロボットHが乗車又は降車し且つ利用者が乗車又は降車する停止階においては、利用者は、ロボットHの乗降時間の範囲内で乗降を完了させることができる。従って、そのような停止階においては、ロボットHについての割当てに対応する1回の停止に重み付けしたものを停止予定回数Nsとしてカウントするだけで、そこには利用者についての割当てに対応した1回分も含まれているものとして考えることができる。
【0070】
そこで、群管理制御装置3は、ステップS22にて「ある(Yes)」と判断した場合には、変数R(Pg)の値から「1」を減らす一方でそこに変数Qの値(=係数Wc)を加えたものを新たな変数R(Pg)とすることにより、停止予定回数Nsとして、利用者についての割当てに対応したカウント済みの1回分を、ロボットHについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものへ置き換えてカウントし直す(ステップS23B)。
【0071】
ステップS23Bによれば、停止予定回数Nsについてのカウントの重複を防ぐことができ、その結果として、1回の停止に対して停止回数を必要以上にカウントすることを防ぐことが可能になる。
【0072】
ステップS23A又はS23Bの後、群管理制御装置3は、着目かごGkを割当候補にできるか否かを判断するべく、変数R(Pg)の値が変数Zの値(=上限値Nt)以下であるか否かを判断する(ステップS24)。
【0073】
そして、群管理制御装置3は、ステップS24にて「変数Zの値以下である(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、着目かごGkの停止予定回数NsにはロボットHについての割当てを行うだけの余裕があると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、ロボットHについての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加え(ステップS25)、それから第2選別処理を終了させる。
【0074】
一方、群管理制御装置3は、ステップS24にて「変数Zの値以下でない(No)」と判断した場合には、着目かごGkの停止予定回数Nsの増加を制限して輸送効率の向上を図るべく、着目かごGkが割当ての対象にならないように、ロボットHについての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加えることなく第2選別処理を終了させる。このようにして、群管理制御装置3は、着目かごGkについての変数R(Pg)の値が上限値Ntに達した場合には、その着目かごGkへの割当てを制限する。
【0075】
ステップS121(
図3参照)の後、群管理制御装置3は、ステップS121の実行によって割当候補を見付けることができたか否かを判断する(ステップS122)。ここで、群管理制御装置3は、ステップS121において何れの乗りかごGに対してもステップS24にて「変数Zの値以下でない(No)」と判断せざるを得なかった場合には、ステップS121を、割当候補を見付けることができずに終えることになる。この場合、群管理制御装置3は、ステップS122にて「見付けることができなかった(No)」と判断することになる。
【0076】
本実施形態では、このような場合でも割当候補を見付けることができるようにするべく、群管理制御装置3は、上限値Ntを緩和し(ステップS123)、それからステップS121を再び実行する。そして、群管理制御装置3は、ステップS24(
図5参照)にて「変数Zの値以下である(Yes)」と判断できる乗りかごGが現れるようになるまで、上限値Ntを緩和する。具体的には、群管理制御装置3は、変数Zの値に「1」を加えたものを新たな変数Zとする。その後、群管理制御装置3は、新たな変数Zを用いて再びステップS121を実行する。そして、群管理制御装置3は、ステップS122にて「見付けることができた(Yes)」と判断できるようになるまで、ステップS123及びS121を繰り返し実行する。
【0077】
ここで、ロボットHについての割当てを行う場合には、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものを停止予定回数Nsとしてカウントしようとすると、停止予定回数Nsが上限値Ntを超えてしまいやすく、それが故に、そのままでは割当ての対象になり得る乗りかごG(割当候補)を見付けることができないといった事態が起こり得る。そこで、本実施形態では、上述したように上限値Ntを緩和して割当候補の選別を再度試みることにより、ロボットHについての乗場呼びの割当候補を確実に見付けることを可能にし、その結果としてロボットHについての割当てを確実に行うことを可能にしている。
【0078】
群管理制御装置3は、ステップS122にて「見付けることができた(Yes)」と判断できた場合には、変数X及びYの値(出発階Fc及び行先階Fd)を1つの乗場呼びとして、ステップS121で見付けた割当候補内の何れか1つの乗りかごGに対する当該乗場呼びの割当てを実行する(ステップS130)。
【0079】
その後、群管理制御装置3は、かご管理データDqにおいて、ステップS130にて割当ての対象にした乗りかごGについての停止予定回数Nsを、その乗りかごGについてステップS23A又はS23B(
図5参照)で得た変数R(Pg)の値へ更新する(ステップS131)。
【0080】
このような制御処理によれば、停止予定回数Nsに上限値Ntを設けて乗りかごGへの割当てを制限することにより、乗りかごGの停止回数(運行区間を周回するときの1周あたりの停止回数)の増加を制限することができる。そして、ロボットHについての割当てを行う場合には、停止予定回数Nsとして、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものをカウントすることにより、ロボットHが乗りかごGに乗車する場合には、乗りかごGの実際の停止回数を、利用者だけが乗車する場合よりも減らすことができる。よって、乗降に時間を要するロボットHが乗りかごGに乗車する場合でも、乗りかごGの周回時間(運行区間を1周するときに要する時間)を適切な範囲内となるように制御することが可能になる。
【0081】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
第1変形例は、上述した実施形態の変形例である。本変形例では、群管理制御装置3が行う制御処理が、複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車することがあり得る場合にも適用できるように変形される。具体的には、第2選別処理が以下のように変形される。
【0082】
図6は、第1変形例で実行される第2選別処理を示したフローチャートである。上記実施形態で説明したように、群管理制御装置3は、ステップS22にて「ある(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS21で取得した停止予定回数Ns)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(回数)が既にカウントされていると判断できる。
【0083】
一方、本変形例では、複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車することがあり得るとしているため、既にカウントされている当該停止分は、利用者についての乗場呼びに対応した1回の停止分に相当する場合に限らず、別のロボットH(制御処理内での割当ての実行対象になっている対象ロボットHpとは別のロボットH)についての乗場呼びに対応した1回の停止分(重み付けしたもの)に相当していることがあり得る。そして、複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車する場合には、それらのロボットHが順番に乗降を行うため、全てのロボットHの乗降が完了するまでには、それらのロボットHがそれぞれ乗降に要する時間を全て足し合わせた時間が必要になる。
【0084】
そこで本変形例では、群管理制御装置3は、ステップS22にて「ある(Yes)」と判断した場合、既にカウントされている当該停止分が、利用者とロボットHのどちらの乗場呼びに対応した1回の停止分に相当するものであるのかを判断するべく、行先階Fdが変数Yの値と同じである割当て済みの乗場呼びの中に、対象ロボットHpとは別のロボットHについての乗場呼びが含まれているか否かを判断する(ステップS30)。
【0085】
そして、群管理制御装置3は、ステップS30にて「含まれている(Yes)」と判断した場合には、対象ロボットHpについての割当てに対応した停止分(1回に対して重み付けしたもの)を新たにカウントする。具体的には、群管理制御装置3は、ステップS23Aを実行することにより、対象ロボットHpについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものを、別のロボットHについての割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものに加えて、更にカウントする。これにより、複数のロボットHが同じ階で乗降する場合に、それらのロボットHが乗降を完了するまでに要する時間(それらのロボットHがそれぞれ乗降に要する時間を全て足し合わせた時間)を、変数R(Pg)の値に反映させることが可能になる。
【0086】
一方、群管理制御装置3は、ステップS30にて「含まれていない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、既にカウントされている当該停止分は、利用者についての乗場呼びに対応した1回の停止分に相当する、と判断できる。この場合、群管理制御装置3は、上記実施形態と同様、ステップS23Bを実行する。
【0087】
[2-2]第2変形例
第2変形例は、上述した実施形態の変形例である。本変形例では、群管理制御装置3が行う制御処理が、停止予定回数Nsに上限値Ntを設けて輸送効率を向上させるものに代えて、乗りかごGへの割当てによって生じる停止予定時間Tsに上限値Ttを設けて輸送効率を向上させるものに変形される。
【0088】
図7(A)は、第2変形例で用いられるかご管理データDqを例示した概念図である。この図に例示されるように、かご管理データDqでは、乗りかごGごとに、かご情報Pgと、その乗りかごGへの乗場呼びの割当てによって生じた停止予定時間Tsと、が互いに対応付けられた状態で記録される。
【0089】
ここで、停止予定時間Tsは、乗りかごGが、運行区間を1周する間に停止する予定時間(既に停止済みのものを含む)を積算したものである。本変形例では、停止予定時間Tsは、特に行先階Fdで停止する予定時間を積算したものである。そして、かご管理データDqにおいて乗りかごGごとに記録された停止予定時間Tsの値は、当該乗りかごGへの割当てが実行されるごとに更新される(
図8のステップS160~S161参照)。
【0090】
また記憶部31には、上限値Ttが保存され、更には利用者の降車時間Tbが保存される。ここで、この降車時間Tbは、利用者を停止階(ここでは行先階Fd)で乗りかごGから降車させるために必要となる当該乗りかごGの1回分の停止時間(利用者についての割当てに対応した1回分の停止時間)である。一例として、降車時間Tbには、利用者が乗りかごGからの降車を開始してから降車を完了するまでに要する平均時間を用いることができる。
【0091】
図7(B)は、第2変形例で用いられるロボット管理データDrを例示した概念図である。この図に例示されるように、ロボット管理データDrでは、ロボットHごとに、ロボット情報Phと、降車時間Tcと、現在階Fpと、が互いに対応付けられた状態で記録される。
【0092】
ここで、ロボットHごとに対応付けられる降車時間Tcは、そのロボットHを停止階(ここでは行先階Fd)で乗りかごGから降車させるために必要となる当該乗りかごGの1回分の停止時間(そのロボットHについての割当てに対応した1回分の停止時間)である。一例として、ロボットHごとに対応付けられる降車時間Tcには、そのロボットHが乗りかごGからの降車を開始してから降車を完了するまでに要する平均時間を用いることができる。
【0093】
本変形例では、ロボット管理装置4が各ロボットHから行先階Fd及びロボット情報Phを受信した場合、ロボット管理装置4は、ロボット管理データDrを用いて当該ロボットHの現在階Fpを抽出するときに、そのロボットHの降車時間Tcも抽出する。
【0094】
そして、ロボット管理装置4は、抽出した現在階Fp及び降車時間Tcを、当該現在階FpについてはロボットHの出発階Fc(=Fp)として、ロボットHから受信した行先階Fd及びロボット情報Phと共に群管理制御装置3へ送信する。これにより、ロボットHについての呼び登録(ロボットHについての乗りかごGへの乗場呼びの割当て)が、群管理制御装置3に対して依頼される。
【0095】
図8は、第2変形例において群管理制御装置3が行う制御装置を示したフローチャートである。群管理制御装置3は、ステップS100(
図8参照)にて「装置情報Pd」が含まれていると判断した場合、3つの変数X~Zを設定するときに、変数Zについては、上限値Ntに代えて、上限値Ttを変数Zに代入する(ステップS140)。その後、群管理制御装置3は、全ての乗りかごGに対してそれぞれに、利用者についての割当ての対象になり得る候補(利用者についての乗場呼びの割当候補)を選別するための第1選別処理を実行する(ステップS141)。
【0096】
図9は、第2変形例で実行される第1選別処理を示したフローチャートである。第1選別処理では、群管理制御装置3は、その処理で着目している乗りかごGを着目かごGkとして、当該着目かごGkについて、その時点までで積算済みの停止予定時間Tsを取得する(ステップS41)。具体的には、群管理制御装置3は、かご管理データDq(
図7(A)参照)を用いて、着目かごGkのかご情報Pgに対応付けられている停止予定時間Tsを取得する。そして、群管理制御装置3は、取得した停止予定時間Tsを変数R(Pg)に代入する(Pgは、着目かごGkのかご情報Pg)。
【0097】
ステップS41の後、群管理制御装置3は、着目かごGkへの割当て済みの乗場呼び(運行区間の1周分。出発階Fc又は行先階Fdへの到着済みのものを含む)の中に、行先階Fdが変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)と同じものがあるか否かを判断する(ステップS42)。
【0098】
群管理制御装置3は、ステップS42にて「ある(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS41で取得した停止予定時間Ts)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(時間)が既に積算されていると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、新たな積算を行うことなく変数R(Pg)の値をそのままにし(ステップS43A)、着目かごGkを、利用者についての乗場呼びの割当候補に加える(ステップS45)。その後、群管理制御装置3は、第1選別処理を終了させる。
【0099】
一方、群管理制御装置3は、ステップS42にて「ない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS41で取得した停止予定時間Ts)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(時間)は未だ積算されていないと判断できる。この場合、群管理制御装置3は、利用者についての割当てに対応した停止分(=降車時間Tb)を新たに積算する。具体的には、群管理制御装置3は、変数R(Pg)の値に利用者の降車時間Tbを加えたものを新たな変数R(Pg)とすることにより、利用者についての割当てに対応した1回分の停止時間を積算する(ステップS43B)。
【0100】
ステップS43Bの後、群管理制御装置3は、着目かごGkを割当候補にできるか否かを判断するべく、変数R(Pg)の値が変数Zの値(=上限値Tt)以下であるか否かを判断する(ステップS44)。
【0101】
そして、群管理制御装置3は、ステップS44にて「変数Zの値以下である(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、着目かごGkの停止予定時間Tsには利用者についての割当てを行うだけの余裕があると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、利用者についての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加え(ステップS45)、それから第1選別処理を終了させる。
【0102】
一方、群管理制御装置3は、ステップS44にて「変数Zの値以下でない(No)」と判断した場合には、着目かごGkの停止予定時間Tsの増加を制限して輸送効率の向上を図るべく、着目かごGkが割当ての対象にならないように、利用者についての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加えることなく第1選別処理を終了させる。このようにして、群管理制御装置3は、着目かごGkについての変数R(Pg)の値が上限値Ttに達した場合には、その着目かごGkへの割当てを制限する。
【0103】
ステップS141(
図8参照)の後、群管理制御装置3は、ステップS141の実行によって割当候補を見付けることができたか否かを判断する(ステップS142)。そして、群管理制御装置3は、ステップS142にて「見付けることができなかった(No)」と判断した場合には、そのような場合でも割当候補を見付けることができるようにするべく、上限値Ttを緩和し(ステップS143)、それからステップS141を再び実行する。具体的には、群管理制御装置3は、変数Zの値に所定値Zx(時間)を加えたものを新たな変数Zとする。その後、群管理制御装置3は、新たな変数Zを用いて再びステップS141を実行する。そして、群管理制御装置3は、ステップS142にて「見付けることができた(Yes)」と判断できるようになるまで、ステップS143及びS141を繰り返し実行する。
【0104】
群管理制御装置3は、ステップS142にて「見付けることができた(Yes)」と判断できた場合には、変数X及びYの値(出発階Fc及び行先階Fd)を1つの乗場呼びとして、ステップS141で見付けた割当候補内の何れか1つの乗りかごGに対する当該乗場呼びの割当てを実行する(ステップS160)。
【0105】
その後、群管理制御装置3は、かご管理データDqにおいて、ステップS160にて割当ての対象にした乗りかごGについての停止予定時間Tsを、その乗りかごGについてステップS43A又はS43B(
図9参照)で得た変数R(Pg)の値へ更新する(ステップS161)。
【0106】
群管理制御装置3は、ステップS100(
図8参照)にて「ロボット情報Ph」が含まれていると判断した場合、4つの変数Q、X~Zを設定するときに、変数Qについては、係数Wcに代えて、受信情報Pr内の降車時間Tcを変数Qに代入し、変数Zについては、上限値Ntに代えて、上限値Ttを変数Zに代入する(ステップS150)。その後、群管理制御装置3は、全ての乗りかごGに対してそれぞれに、ロボットHについての割当ての対象になり得る候補(ロボットHについての乗場呼びの割当候補)を選別するための第2選別処理を実行する(ステップS151)。
【0107】
図10は、第2変形例で実行される第2選別処理を示したフローチャートである。第2選別処理では、群管理制御装置3は、その処理で着目している乗りかごGを着目かごGkとして、当該着目かごGkについて、その時点までで積算済みの停止予定時間Tsを取得する(ステップS51)。具体的には、群管理制御装置3は、かご管理データDq(
図7(A)参照)を用いて、着目かごGkのかご情報Pgに対応付けられている停止予定時間Tsを取得する。そして、群管理制御装置3は、取得した停止予定時間Tsを変数R(Pg)に代入する(Pgは、着目かごGkのかご情報Pg)。
【0108】
ステップS51の後、群管理制御装置3は、着目かごGkへの割当て済みの乗場呼び(運行区間の1周分。出発階Fc又は行先階Fdへの到着済みのものを含む)の中に、行先階Fdが変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)と同じものがあるか否かを判断する(ステップS52)。
【0109】
群管理制御装置3は、ステップS52にて「ない(No)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS51で取得した停止予定時間Ts)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(時間)は未だ積算されていないと判断できる。この場合、群管理制御装置3は、ロボットHについての割当てに対応した停止分(=降車時間Tc)を新たに積算する。具体的には、群管理制御装置3は、変数R(Pg)の値に変数Qの値(=降車時間Tc)を加えたものを新たな変数R(Pg)とすることにより、ロボットHについての割当てに対応する1回分の停止時間を積算する(ステップS53A)。これにより、ロボットHが利用者に比して乗降に時間を要することを、変数R(Pg)の値に反映させることが可能になる。
【0110】
一方、群管理制御装置3は、ステップS52にて「ある(Yes)」と判断した場合、その判断を以て、変数R(Pg)の値(=ステップS51で取得した停止予定時間Ts)には変数Yの値(=受信情報Pr内の行先階Fd)への停止分(時間)が既にカウントされていると判断できる。ここで本変形例では、上記実施形態と同様、複数のロボットHが同じ階で乗車又は降車することはないものとしているため、既に積算されている当該停止分は、利用者についての乗場呼びに対応した1回分の停止時間に相当することになる。
【0111】
また、ロボットHは乗降に時間を要する一方で、利用者は乗降に殆ど時間を必要としないため、ロボットHが乗車又は降車し且つ利用者が乗車又は降車する停止階においては、利用者は、ロボットHの乗降時間の範囲内で乗降を完了させることができる。従って、そのような停止階においては、ロボットHについての割当てに対応する1回分の停止時間を停止予定時間Tsとして積算するだけで、そこには利用者についての割当てに対応した1回分の停止時間も含まれているものとして考えることができる。
【0112】
そこで、群管理制御装置3は、ステップS52にて「ある(Yes)」と判断した場合には、変数R(Pg)の値から利用者の降車時間Tbを減らす一方でそこに変数Qの値(=降車時間Tc)を加えたものを新たな変数R(Pg)とすることにより、停止予定時間Tsとして、利用者についての割当てに対応した積算済みの1回分の停止時間を、ロボットHについての割当てに対応する1回分の停止時間へ置き換えて積算し直す(ステップS53B)。
【0113】
ステップS53Bによれば、停止予定時間Tsについての積算の重複を防ぐことができ、その結果として、1回の停止に対して停止時間を必要以上に積算することを防ぐことが可能になる。
【0114】
ステップS53A又はS53Bの後、群管理制御装置3は、着目かごGkを割当候補にできるか否かを判断するべく、変数R(Pg)の値が変数Zの値(=上限値Tt)以下であるか否かを判断する(ステップS54)。
【0115】
そして、群管理制御装置3は、ステップS54にて「変数Zの値以下である(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、着目かごGkの停止予定時間TsにはロボットHについての割当てを行うだけの余裕があると判断できる。この場合、群管理制御装置3は、ロボットHについての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加え(ステップS55)、それから第2選別処理を終了させる。
【0116】
一方、群管理制御装置3は、ステップS54にて「変数Zの値以下でない(No)」と判断した場合には、着目かごGkの停止予定時間Tsの増加を制限して輸送効率の向上を図るべく、着目かごGkが割当ての対象にならないように、ロボットHについての乗場呼びの割当候補に着目かごGkを加えることなく第2選別処理を終了させる。このようにして、群管理制御装置3は、着目かごGkについての変数R(Pg)の値が上限値Ttに達した場合には、その着目かごGkへの割当てを制限する。
【0117】
ステップS151(
図8参照)の後、群管理制御装置3は、ステップS151の実行によって割当候補を見付けることができたか否かを判断する(ステップS152)。そして、群管理制御装置3は、ステップS152にて「見付けることができなかった(No)」と判断した場合には、そのような場合でも割当候補を見付けることができるようにするべく、上限値Ttを緩和し(ステップS153)、それからステップS151を再び実行する。具体的には、群管理制御装置3は、変数Zの値に所定値Zx(時間)を加えたものを新たな変数Zとする。その後、群管理制御装置3は、新たな変数Zを用いて再びステップS151を実行する。そして、群管理制御装置3は、ステップS152にて「見付けることができた(Yes)」と判断できるようになるまで、ステップS153及びS151を繰り返し実行する。
【0118】
ここで、ロボットHについての割当てを行う場合には、その割当てに対応する1回分の停止時間(ロボットHの降車時に要する停止時間)を積算しようとすると、停止予定時間Tsが上限値Ttを超えてしまいやすく、それが故に、そのままでは割当ての対象になり得る乗りかごG(割当候補)を見付けることができないといった事態が起こり得る。そこで、本変形例では、上述したように上限値Ttを緩和して割当候補の選別を再度試みることにより、ロボットHについての乗場呼びの割当候補を確実に見付けることを可能にし、その結果としてロボットHについての割当てを確実に行うことを可能にしている。
【0119】
群管理制御装置3は、ステップS152にて「見付けることができた(Yes)」と判断できた場合には、変数X及びYの値(出発階Fc及び行先階Fd)を1つの乗場呼びとして、ステップS151で見付けた割当候補内の何れか1つの乗りかごGに対する当該乗場呼びの割当てを実行する(ステップS160)。
【0120】
その後、群管理制御装置3は、かご管理データDqにおいて、ステップS160にて割当ての対象にした乗りかごGについての停止予定時間Tsを、その乗りかごGについてステップS53A又はS53B(
図10参照)で得た変数R(Pg)の値へ更新する(ステップS161)。
【0121】
第2変形例によれば、停止予定時間Tsに上限値Ttを設けて乗りかごGへの割当てを制限することにより、乗りかごGの停止時間(運行区間を周回するときの1周あたりの停止時間)の増加を制限することができる。そして、ロボットHについての割当てを行う場合には、停止予定時間Tsとして、その割当てに対応する1回分の停止時間(ロボットHの降車時に要する停止時間)を積算することにより、ロボットHが乗りかごGに乗車する場合でも、乗りかごGの実際の停止時間を、利用者だけが乗車する場合と同程度になるように制限することができる。よって、乗降に時間を要するロボットHが乗りかごGに乗車する場合でも、乗りかごGの周回時間(運行区間を1周するときに要する時間)を適切な範囲内となるように制御することが可能になる。
【0122】
尚、このように停止予定時間Tsに上限値Ttを設けて輸送効率を向上させる構成については、上述した第1変形例にも適用できる。
【0123】
[2-3]第3変形例
上述した実施形態又は第1変形例において、停止予定回数Nsは、行先階Fdで停止する予定回数のみをカウントしたものに限らず、出発階Fcで停止する予定回数のみをカウントしたものや、出発階Fcで停止する予定回数と行先階Fdで停止する予定回数の両方をカウントしたものに適宜変形されてもよい。また、ロボットHごとに対応付けられる係数Wcには、降車する場合と乗車する場合とで異なる値が設定されてもよい。
【0124】
上述した第2変形例において、停止予定時間Tsは、行先階Fdで停止する予定時間のみを積算したものに限らず、出発階Fcで停止する予定時間のみを積算したものや、出発階Fcで停止する予定時間と行先階Fdで停止する予定時間の両方を積算したものに適宜変形されてもよい。また、出発階Fcで停止する予定時間を積算する場合に使用される利用者の乗車時間及びロボットHごとの乗車時間は、利用者の降車時間Tb及びロボットHごとの降車時間Tcとそれぞれ異なる値に設定されてもよい。
【0125】
[2-4]第4変形例
上述した実施形態及び変形例において、群管理制御装置3は、ロボット管理装置4が行う制御処理をも実行するものに適宜変形されてもよい。この場合、群管理制御装置3が、各ロボットHから行先階Fd及びロボット情報Phを受信することになる。
【0126】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0127】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、群管理制御装置3に限らず、当該群管理制御装置3で実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。また、群管理制御装置3を備えたエレベータの一部又は全部が、発明の対象として抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 行先階登録装置
2 エレベータ制御装置
3 群管理制御装置
4 ロボット管理装置
G 乗りかご
H ロボット
31、41 記憶部
32、42 制御部
Dp 装置管理データ
Dq かご管理データ
Dr ロボット管理データ
Fc 出発階
Fd 行先階
Fp 現在階
Fs 設置階
Gk 着目かご
Hp 対象ロボット
Ns 停止予定回数
Nt 上限値
Pd 装置情報
Pg かご情報
Ph ロボット情報
Pr 受信情報
Tb、Tc 降車時間
Ts 停止予定時間
Tt 上限値
Wc 係数
Zx 所定値
【要約】
【課題】利用者と共にロボットがエレベータを利用する環境下であっても輸送効率の向上を可能にする。
【解決手段】第1の制御装置は、割当てによって乗りかごに生じる停止予定回数を、当該割当てを行うごとにカウントし、その中で、ロボットについての割当てを行う際には、その割当てに対応する1回の停止に対して重み付けしたものをカウントする。第2の制御装置は、割当てによって乗りかごに生じる停止予定時間を、当該割当てを行うごとに積算し、その中で、ロボットについての割当てを行う際には、その割当てに対応する1回分の停止時間を積算する。そして、停止予定回数が上限値に達した場合には、これらの制御装置は、乗りかごへの割当てを制限する。
【選択図】
図1