(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】プロトコルアナライザ、プロトコルエラー検出プログラム及びプロトコルエラー検出方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20241106BHJP
H04L 43/0823 20220101ALI20241106BHJP
【FI】
H04W24/08
H04L43/0823
(21)【出願番号】P 2023505021
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009897
(87)【国際公開番号】W WO2022190329
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度 総務省「5Gの普及・展開のための基盤技術に関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】荻原 雄介
(72)【発明者】
【氏名】中田 昌志
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 隆
(72)【発明者】
【氏名】下山 裕司
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/042731(WO,A1)
【文献】特表2014-508469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/0823
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットとの間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出を行いながら前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間で前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを中継するプロトコルチェック回路と、
前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じて前記プロトコルチェック回路で生成されるエラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する障害検出パケット生成部と、を有し、
前記プロトコルチェック回路は、前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間での前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを解釈するプロトコルアナライザ。
【請求項2】
前記障害検出パケット生成部が前記エラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及び前記タイムスタンプを記録する記録領域を有する請求項1に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項3】
前記障害検出パケット生成部は、前記記録領域に記録された情報から生成した前記障害検出パケットを、パケットキャプチャ装置からの要求に応じて前記パケットキャプチャ装置に送信する請求項2に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項4】
前記障害検出パケット生成部は、一定の周期内に受信した前記エラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及び前記タイムスタンプを多重化して前記記録領域に記録する請求項2に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項5】
前記障害検出パケット生成部は、同一のタイミングで複数のエラーが前記プロトコルチェック回路で検出された場合、エラーの個数だけ前記障害検出パケットを生成する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項6】
前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンにエラーが検出されない場合、
前記プロトコルチェック回路は、前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及び前記タイムスタンプを周期的に前記障害検出パケット生成部に送信し、
前記障害検出パケット生成部は、前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及び前記タイムスタンプを用いて周期的にタイムスタンプパケットを生成する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項7】
前記プロトコルチェック回路は、前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを受信した順にパケットキャプチャ装置に送信する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項8】
前記制御プレーン、前記ユーザプレーン及び管理プレーンは、O-RAN(Open Radio Access Network)アライアンスにおいて規定される信号である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプロトコルアナライザ。
【請求項9】
プログラムを実行する演算部を有するプロトコルアナライザの前記演算部で実行されるエラー検出プログ
ラムであって、
無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットとの間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出を行いながら前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間で前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを中継するプロトコルチェック処理と、
前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じて前記プロトコルチェック処理で生成されるエラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する障害検出パケット生成処理と、を有し、
前記プロトコルチェック処理において、前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間での前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを解釈するプロトコルエラー検出プログ
ラム。
【請求項10】
無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットとの間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出方法であって、
前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーの検出を行いながら前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間で前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを中継するプロトコルチェック処理と、
前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じて前記プロトコルチェック処理で生成されるエラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する障害検出パケット生成処理と、を有し、
前記プロトコルチェック処理において、前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間での前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを解釈するプロトコルエラー検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロトコルアナライザ、プロトコルエラー検出プログラム及びプロトコルエラー検出方法に関し、特に、O-RAN(Open Radio Access Network)で用いられるプロトコルの解析に用いられるプロトコルアナライザ、プロトコルエラー検出プログラム及びプロトコルエラー検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは、基地局側において、無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットを別の装置として設け、無線ユニットとベースバンドユニットとの間を通信回線で結ぶ例がある。このような通信システムに関するルールは、O-RAN(Open-Radio Access Network)アライアンス等で策定されている。また、O-RANでは、無線ユニットをO-RU(O-RAN Radio Unit)と呼ばれ、ベースバンドユニットをO-DU(O-RAN Distributed Unit)と呼ばれる。このような通信システムでは、無線ユニットとベースバンドユニットとの間で管理プレーン(M-Plane:Management Plane)、同期プレーン(S-Plane:Synchronization Plane)、制御プレーン(C-Plane:Control Plane)、ユーザプレーン(U-Plane:User Plane)が送受信される。そして、無線ユニットとベースバンドユニットとの間で送受信される情報を中間ノードを介して行う技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の通信装置は、無線周波数処理を行う無線ユニットを介して1以上のユーザ装置と通信する無線アクセスネットワークノードと前記無線ユニットとの間で信号を伝送する中間ノードが制御/ユーザプレーンの通信のために前記無線ユニットとの接続する前記中間ノードのアドレスと、前記無線ユニットが制御/ユーザプレーンの通信のために前記中間ノードとの接続に使用する無線ユニットのアドレスと、の対応関係を示す管理情報を取得する情報取得部と、前記無線ユニットのコンフィギュレーションを制御するコントローラへ前記管理情報を送信する通信処理部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、O-RANでは、管理プレーンは暗号化プロトコルにより暗号化されており、中間ノードでパケットを取得しても管理プレーンの情報の内容を閲覧することができない。また、同期/制御/ユーザプレーンは管理プレーンで送受信された設定情報に基づいたパケットフォーマットとなるため、中間ノードでパケット取得しても管理プレーンの設定情報がなければ内容を解析できない。特許文献1に記載の技術では、このようなパケット情報の内容解析については触れられておらず、特許文献1に記載の中間ノードでは、制御/ユーザプレーンのエラーを検出できない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるプロトコルアナライザの一態様は、無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットとの間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出を行いながら前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間で前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを中継するプロトコルチェック回路と、前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じて前記プロトコルチェック回路で生成されるエラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する障害検出パケット生成部と、を有し、前記プロトコルチェック回路は、前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間での前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを解釈する。
【0007】
本発明にかかるプロトコルエラー検出プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体の一態様は、プログラムを実行する演算部を有するプロトコルアナライザの前記演算部で実行されるエラー検出プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であって、無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットとの間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出を行いながら前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間で前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを中継するプロトコルチェック処理と、前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じて前記プロトコルチェック処理で生成されるエラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する障害検出パケット生成処理と、を有し、前記プロトコルチェック処理において、前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間での前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを解釈する。
【0008】
本発明にかかるプロトコルエラー検出方法の一態様は、無線周波数処理を行う無線ユニットとベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニットとの間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出方法であって、前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーの検出を行いながら前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間で前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを中継するプロトコルチェック処理と、前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じて前記プロトコルチェック処理で生成されるエラー要因情報、前記エラーが検出された前記制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する障害検出パケット生成処理と、を有し、前記プロトコルチェック処理において、前記無線ユニットと前記ベースバンドユニットとの間での前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき前記制御プレーン及び前記ユーザプレーンを解釈する。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるプロトコルアナライザ、プロトコルエラー検出プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体及びプロトコルエラー検出方法によれば、制御/ユーザプレーンのエラーを検出してエラー解析を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる通信システムのブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる
プロトコルアナライザのブロック図である。
【
図3】実施の形態1にかかる
プロトコルアナライザで生成される障害検出パケットのフォーマットを説明する図である。
【
図4】実施の形態1にかかるプトトコルアナライザで生成される障害検出パケットに複数のエラー要因を含ませる場合の障害検出パケットのフォーマットを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0013】
実施の形態1
図1に実施の形態1にかかる通信システム1のブロック図を示す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる通信システム1は、プロトコルアナライザ10、無線ユニット20、ベースバンドユニット30、パケットキャプチャ装置40を有する。
【0014】
無線ユニット20は、O-RAN(Open-Radio Access Network)アライアンスにおいて規定されたO-RU(O-RAN Radio Unit)である。ベースバンドユニット30は、O-RANアライアンスにおいて規定されたO-DU(O-RAN Distributed Unit)である。パケットキャプチャ装置40は、プロトコルアナライザ10においてエラー評価されたパケット(例えば、Etherパケット)を取り込み可視化する装置である。そして、実施の形態1にかかる通信システム1では、無線ユニット20とプロトコルアナライザ10との間で送受信される管理プレーン(M-Plane:Management Plane)、同期プレーン(S-Plane:Synchronization Plane)、制御プレーン(C-Plane:Control Plane)、ユーザプレーン(U-Plane:User Plane)を中継するプロトコルアナライザ10を配置する。プロトコルアナライザ10は、各プレーンの信号を無線ユニット20とベースバンドユニット30との間で中継しながら、制御プレーンとユーザプレーンの内容を解析して、これらプレーンのエラーを検出する。
【0015】
実施の形態1にかかる通信システム1では、プロトコルアナライザ10を用いることで、無線ユニット20とベースバンドユニット30との間に送受信される管理/制御/ユーザ/同期プレーンにおいて、プロトコルエラーを検知した場合にエラー要因/タイムスタンプをもとに障害検出パケットを生成し出力する。そして、そのパケットを確認することによって、膨大な量のパケットをキャプチャした複数のログデータを解析することなく、エラー要因の特定が可能にする。そこで、プロトコルアナライザ10の詳細について説明する。
【0016】
なお、プロトコルアナライザ10は、専用ハードウェア、或いは、プログラムを実行可能な演算部を備えるマイクロコントローラにおいてプロトコルエラー検出プログラムを実行することできる。以下の説明では、専用ハードウェアによりプロトコルアナライザ10を構成する例について説明する。
【0017】
図2に実施の形態1にかかるプロトコルアナライザ10のブロック図を示す。
図2に示すように、プロトコルアナライザ10は、プロトコルチェック回路11、障害検出パケット生成部12、記録領域13、フロントホールインタフェース14、15、モニタインタフェース16を有する。フロントホールインタフェース14は、無線ユニット20との通信インタフェースであり、フロントホールインタフェース15は、ベースバンドユニット30との通信インタフェースである。また、モニタインタフェース16は、パケットキャプチャ装置40との通信インタフェースである。
【0018】
また、プロトコルチェック回路11は、エラー検出を行いながら無線ユニット20とベースバンドユニット30との間で制御プレーン及びユーザプレーンを中継する。また、プロトコルチェック回路11は、無線周波数処理を行う無線ユニット20とベースバンド周波数処理を行うベースバンドユニット30との間で送受信される制御プレーン及びユーザプレーンのエラーの検出を行う。このエラー検出処理では、プロトコルチェック回路11は、無線ユニット20とベースバンドユニット30との間での制御プレーン及びユーザプレーンの送受信条件を決定する管理プレーンの情報に基づき制御プレーン及びユーザプレーンを解釈する。
【0019】
より具体的には、プロトコルチェック回路11は、管理プレーンにより示される設定情報を用いて制御プレーン及びユーザプレーンに関する信号処理を行う。また、プロトコルチェック回路11は、制御プレーン及びユーザプレーンC/U-Planeのヘッダを見てエラー検出を行う。このエラー処理をより具体的に説明すると、プロトコルチェック回路11は、eCPRI(evolved Common Public Radio Interface)フォーマットの、TransportLayer、ApplicationLayerの値を確認する。ここでは、データの順番、サイズ、フォーマット、パラメータ設定値の正常性確認を行う。そして、プロトコルチェック回路11は、エラーを検出した場合に障害検出パケット生成部12へエラー要因、エラーが検出された制御プレーン又はユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプを通知する。実施の形態1にかかる通信システム1では、イーサヘッダ及びタイムスタンプを同一の障害検出パケット内に含むことで解析精度の向上を図っている。
【0020】
障害検出パケット生成部12は、制御プレーン及びユーザプレーンのエラーが検出されたことに応じてプロトコルチェック回路11で生成されるエラー要因情報、エラーが検出された制御プレーン又はユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプから障害検出パケットを生成する。そして、障害検出パケット生成部12は、モニタインタフェース16を介して生成した障害検出パケットをパケットキャプチャ装置40に送信する。
【0021】
また、プロトコルアナライザ10には、記録領域13が設けられている。そして、障害検出パケット生成部12は、エラー要因情報、エラーが検出された制御プレーン又はユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプを記録領域13に記録する。
【0022】
また、プロトコルチェック回路11は、制御プレーン及び前記ユーザプレーンにエラーが検出されない場合、制御プレーン又はユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプを周期的に障害検出パケット生成部12に送信する。そして、障害検出パケット生成部12は、制御プレーン又は前記ユーザプレーンのイーサヘッダ及び前記タイムスタンプを用いて周期的にタイムスタンプパケットを生成する。このタイムスタンプパケットに関しても、モニタインタフェース16を介してパケットキャプチャ装置40に送信される。このタイムスタンプパケットにより、プロトコルアナライザ10内のタイムスタンプとパケットキャプチャ装置40の時刻の差分を明らかにすることができる。
【0023】
ここで、実施の形態1にかかるプロトコルアナライザ10では、障害検出パケット及びタイムスタンプパケットの送信方法にいくつかの態様を考えることができる。そこで、以下で障害検出パケット及びタイムスタンプパケットの送信方法の例を説明する。
【0024】
第1の例は、障害検出パケット生成部12がプロトコルチェック回路11からエラー要因情報を受信する毎に障害検出パケットを生成し、パケットキャプチャ装置40に送信するものである。この場合における故障検出パケットのフォーマットの一例を
図3に示す。
図3に示すように、故障検出パケットは、その故障検出パケット固有のイーサヘッダと、障害検出パケットであることを示すパケットヘッダ、エラー要因、エラーが検出されたプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプ情報が格納されるエラー情報、通信途上でデータに誤りが生じていないか調べるため、送信時にデータに付加される誤り検出符号であるFCS(Frame Check Sequence)により構成される。また、
図3に示したフォーマットでは、パケットヘッダとエラー情報が障害検出パケットのデータ部分となる。
【0025】
第2の例は、同一のタイミングで複数のエラーが前記プロトコルチェック回路で検出された場合に、同一のタイミングで発生したエラーの個数だけ障害検出パケットを生成するものである。このとき障害検出パケット生成部12が生成する障害検出パケットは、
図3に示したものと同じである。
【0026】
第3の例は、パケットキャプチャ装置40からの要求に応じて障害検出パケット生成部12が故障検出パケットを生成するものである。この場合、障害検出パケット生成部12は、故障検出パケットの元となるエラー要因等の情報を記録領域13に逐次記録し、パケットキャプチャ装置40から要求があった場合に記録領域13に記録したエラー要因情報等に基づき障害検出パケットを生成して、パケットキャプチャ装置40に送信する。
【0027】
第4の例は、障害検出パケット生成部12が一定の周期内に受信したエラー要因情報、エラーが検出された制御プレーン又はユーザプレーンのイーサヘッダ及びタイムスタンプを多重化して記録領域13に記録するものである。この場合、障害検出パケット生成部12は、周期的、或いは、パケットキャプチャ装置40からの要求に応じて、複数のエラー要因等の情報を多重化した障害検出パケットを生成し、パケットキャプチャ装置40に送信する。
図4に実施の形態1にかかる
プロトコルアナライザで生成される障害検出パケットに複数のエラー要因を含ませる場合の障害検出パケットのフォーマットを説明する図を示す。
図4に示す場合、複数のエラー要因を多重化する場合、エラー要因毎にパケットヘッダとエラー情報の組からなるパケット(例えば、パケットA~パケットC)を生成し、1つのイーサヘッダとFCSとの組に挟まれる領域に多重化する複数のパケットのデータを入れる。
【0028】
なお、第1の例~第4の例で説明したパケット生成方法は、タイムスタンプパケットにも適用することができる。また、タイムスタンプパケットと障害検出パケットを1つのパケットに多重化することもできる。
【0029】
上記説明より、実施の形態1にかかるプロトコルアナライザ10では、通信障害の原因となったプレーンを、エラー要因、イーサヘッダ及びタイムスタンプを含む障害検出パケットの履歴として記録することができる。これにより、実施の形態1にかかる通信システム1では、膨大な量のパケットをキャプチャした複数のログデータからエラー発生箇所を特定することを短時間で行うことが可能になる。
【0030】
プロトコルアナライザ10を用いない場合において障害の原因を解析するときは多くの手間がかかる。プロトコルアナライザ10を用いない場合、まずエラー事象情報を元に、無線ユニット20の装置設定と内部障害情報ログとフロントホールログの突合せ、ベースバンドユニット30の装置設定と内部障害情報ログとフロントホールログの突合せ、を行う。その後さらに、無線ユニット20とベースバンドユニット30の動作の不整合を発見しなければならない。このような作業を、膨大な量のパケットをキャプチャした複数のログデータを参照して行う場合数時間要していた。
【0031】
一方、実施の形態1にかかるプロトコルアナライザ10を用いることで、事象発生前後に障害検出パケットを入れることで調査範囲を限定することができる。また、障害検出パケットにPTP同期した時刻を入れることで、無線ユニット20とベースバンドユニット30のベンダが統一の時間軸(時刻がずれているならばその差までわかる)での解析が可能になる。
【0032】
さらに、近年では、最大25Gbpsと非常に高レートのインタフェースを使用するため、パケット量が膨大でありエラー発生タイミングを見分けるのが困難であるが、実施の形態1にかかるプロトコルアナライザ10を用いることで、このようなエラー解析が容易になる。
【0033】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 通信システム
10 プロトコルアナライザ
11 プロトコルチェック回路
12 障害検出パケット生成部
13 記録領域
14 フロントホールインタフェース
15 フロントホールインタフェース
16 モニタインタフェース
20 無線ユニット
30 ベースバンドユニット
40 パケットキャプチャ装置