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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20241106BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241106BHJP
   B60M 7/00 20060101ALN20241106BHJP
   B60L 5/00 20060101ALN20241106BHJP
   B60L 53/12 20190101ALN20241106BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/10
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023514346
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2022003832
(87)【国際公開番号】W WO2022219882
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021067586
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢二
(72)【発明者】
【氏名】徳良 晋
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-50163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H02J 50/10
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を非接触で送電又は受電するコイル、前記コイルを収容すると共に設置対象に設置されるメインハウジング及び前記コイルに関する第1磁路部を形成する第1磁性部材を有するメインユニットと、
気部品及び電子部品の少なくとも一方によって奏される電気的機能を前記メインユニットに提供する電気機能部、前記メインハウジングに着脱可能に取り付けられると共に、前記電気機能部を収容するサブハウジング及び前記第1磁路部に磁気的につながる第2磁路部を形成する第2磁性部材を有するサブユニットと、を備え、
前記メインユニットは、前記サブユニットを着脱可能に収容する収容部を有し、
前記メインハウジングは、前記設置対象に設置されるメインベースと、前記メインベースと共に前記コイルを収容する領域を形成するメインカバーと、を有し、
前記サブハウジングは、前記メインハウジングに取り付けられるサブベースと、前記サブベースと共に前記電気機能部を収容する領域を形成するサブカバーと、を有し、
前記第1磁性部材は、前記メインベースと前記コイルとの間に配置されて、前記メインベースと前記コイルとの間に前記第1磁路部を形成し、
前記第2磁性部材は、前記電気機能部と前記サブカバーとの間に配置されて、前記電気機能部と前記サブカバーとの間に前記第2磁路部を形成する、コイル装置。
【請求項2】
記収容部は、前記メインカバーに形成された開口を含む凹部である、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられた状態において、前記メインカバーの法線方向に対して直交する方向から見たとき、前記電気機能部は、前記第1磁性部材と前記メインベースとの間に配置されている、請求項に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられた状態において、前記メインカバーの法線方向に対して直交する方向から見たとき、前記コイルは、前記第2磁性部材と前記サブカバーとの間に配置されている、請求項に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第1磁性部材は、前記コイルと対面する平板部と、前記平板部において前記第2磁性部材と対面する端部から延びる接続部と、を含み、
前記接続部は、前記第2磁性部材と前記サブベースとの間に配置された部分を含む、請求項のいずれか一項に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を非接触で送電又は受電する技術が検討されている。電力を非接触で送電又は受電する装置は、いわゆる非接触給電装置と呼ばれている。非接触給電装置は、電力を送電又は受電する構成物として、コイル装置を備えている。送電側の装置が備えるコイルに交流電力を提供すると、その結果、コイルの周囲に電磁場が発生する。この電磁場が受電側の装置に達すると、その結果、受電側のコイルに誘導電流が発生する。
【0003】
特許文献1、2は、コイル装置を開示する。例えば、特許文献1は、非接触給電装置に用いられるコイルユニットを開示する。特許文献1の非接触給電装置は、対向配置されたコイル間の相互誘導により発生する誘導起電力を用いる。特許文献1は、送電側から受電側にワイヤレスで電力供給がなされる一対のコイルユニットを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-176898号公報
【文献】特開2015-186410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触での送電及び受電に用いるコイル装置は、様々な場所に設置される。例えば、コイル装置は、地上面に設置されることがある。この場合、コイル装置は、車両によって踏みつけられ、又は、天候の影響等を受けることが考えられる。このような条件下でも、コイル装置は、長期的に使用可能な状態を維持することが要求される。したがって、コイル装置を長期的に使用可能な状態を維持するためには、コイル装置を構成する部品を必要に応じて交換するなどの保守作業を要する。
【0006】
そこで、本開示は、保守が容易なコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態であるコイル装置は、電力を非接触で送電又は受電するコイルが設置対象に固定されるメインハウジングに収容されたメインユニットを備える。本開示の一形態であるコイル装置は、メインハウジングに着脱可能に取り付けられるサブハウジングに、電気部品及び電子部品の少なくとも一方によって奏される電気的機能をメインユニットに提供する電気機能部が収容されたサブユニットを備える。メインユニットは、サブユニットを着脱可能に収容する収容部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、保守が容易なコイル装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るコイル装置を備える非接触給電システムを示す側面図である。
図2図2は、一実施形態に係るコイル装置の分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係るサブユニットの分解斜視図である。
図4図4は、一実施形態に係るコイル装置の断面図である。
図5図5(a)は、サブユニットをメインユニットから取り外した状態におけるコイル装置の断面図である。図5(b)は、サブユニットをメインユニットに装着した状態におけるコイル装置の断面図である。
図6図6は、一実施形態に係るコイル装置における磁場禁止領域を示す断面図である。
図7図7は、一実施形態に係るメインフェライト及びサブフェライトを示す概略的な断面図である。
図8図8は、一実施形態に係るメインフェライト及びサブフェライトを示す概略的な断面図である。
図9図9は、一実施形態に係るメインユニットの斜視図である。
図10図10は、一実施形態に係るサブユニットの斜視図である。
図11図11は、図2に示したコイル装置の防水構造を拡大して示す断面図である。
図12図12は、図2に示したコイル装置の別の防水構造を拡大して示す断面図である。
図13図13は、図2に示したコイル装置の水抜き構造を示す断面図である。
図14図14は、図2に示したコイル装置の着脱機構によってメインユニットにサブユニットが固定されている様子を示す断面図である。
図15図15は、図2に示したコイル装置の着脱機構によってメインユニットからサブユニットが取り外される様子を示す断面図である。
図16図16は、図2に示したコイル装置の着脱機構の別の部位を示す断面図である。
図17図17(a)はメインユニットにサブユニットを取り付ける前の様子を示す断面図である。図17(b)はメインユニットにサブユニットを取り付けている途中の様子を示す断面図である。図17(c)はメインユニットにサブユニットを取り付けた後の様子を示す断面図である。
図18図18(a)は、第1変形例に係るコイル装置を示す断面図である。図18(b)は、第2変形例に係るコイル装置を示す断面図である。図18(c)は、第3変形例に係るコイル装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一形態であるコイル装置は、電力を非接触で送電又は受電するコイルが設置対象に固定されるメインハウジングに収容されたメインユニットを備える。本開示の一形態であるコイル装置は、メインハウジングに着脱可能に取り付けられるサブハウジングに、電気部品及び電子部品の少なくとも一方によって奏される電気的機能をメインユニットに提供する電気機能部が収容されたサブユニットを備える。メインユニットは、サブユニットを着脱可能に収容する収容部を有する。
【0011】
このコイル装置は、複数の電気部品及び/又は電子部品を含む電気機能部がサブハウジングに収容されている。そして、サブハウジングは、コイルを収容するメインハウジングに対して着脱可能に収容される。この構成によると、サブハウジングをメインハウジングから取り外すことによって、電気機能部を取り外すことができる。つまり、電気機能部を取り外すためにコイルを収容したメインハウジングを開く必要がない。従って、コイル装置は保守が容易である。
【0012】
一形態のコイル装置のメインハウジングは、設置対象に固定されるメインベースと、メインベースと共にコイルを収容する領域を形成するメインカバーと、を含んでもよい。収容部は、メインカバーに形成された開口を含む凹部であってもよい。この構成によれば、渦巻き状のサーキュラー型コイルの内側に形成される領域に、サブユニットを収容することができる。
【0013】
一形態のコイル装置のメインユニットは、メインベースとコイルとの間に配置される第1磁性部材を有してもよい。第1磁性部材は、コイルとメインベースとの間にコイルに関する第1磁路部を形成してもよい。サブハウジングは、メインベースに取り付けられるサブベースと、サブベースと共に電気機能部を収容する領域を形成するサブカバーと、を含んでもよい。サブユニットは、電気機能部とサブカバーとの間に配置される第2磁性部材を有してもよい。第2磁性部材は、電気機能部とサブカバーとの間に、第1磁路部に磁気的につながる第2磁路部を形成してもよい。この構成によれば、第1磁性部材及び第2磁性部材を通る磁路が形成される。コイルが発する電磁場は、この磁路をとおる。その結果、第1磁性部材とメインベースとの間にコイルが発する電磁場が漏れることを抑制できる。さらに、第2磁性部材とサブベースとの間にコイルが発する電磁場が漏れることを抑制できる。
【0014】
一形態のコイル装置のサブユニットがメインユニットに取り付けられた状態において、メインカバーの法線方向に対して直交する方向から見たとき、電気機能部は、第1磁性部材とメインベースとの間に配置されてもよい。この配置によれば、コイルが発する電磁場が電気機能部に及ぶことを抑制できる。
【0015】
一形態のコイル装置のサブユニットがメインユニットに取り付けられた状態において、メインカバーの法線方向に対して直交する方向から見たとき、コイルは、第2磁性部材とサブカバーとの間に配置されてもよい。この配置によれば、コイルが発する電磁場が電気機能部に及ぶことをさらに抑制できる。
【0016】
一形態のコイル装置の第1磁性部材は、コイルと対面する平板部と、平板部において第2磁性部材と対面する端部から延びる接続部と、を含んでもよい。接続部は、第2磁性部材とサブベースとの間に配置された部分を含んでもよい。この配置によれば、第1磁性部材と第2磁性部材との隙間から、コイルが発する電磁場が電気機能部に及ぶことを抑制できる。
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、あるい、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0018】
まず、図1を用いて本実施形態に係る非接触給電システム1について説明する。
【0019】
図1に示すように、コイル装置10は、非接触給電システム1に用いられる。非接触給電システム1は、移動体Vに搭載されたバッテリを非接触で充電する。移動体Vは、一例として、乗用車等の車両である。非接触給電システム1は、受電装置12と、送電装置11と、を含む。コイル装置10は、受電装置12及び送電装置11の少なくとも一方に用いられる。なお、コイル装置10は、受電装置12及び送電装置11の両方に用いられてもよい。本実施形態において、コイル装置10は、送電装置11に用いられている。
【0020】
送電装置11として用いられるコイル装置10は、例えば屋外の路面G(設置対象)に固定されている。コイル装置10は、路面Gに固定されておらず、路面Gに載置されていてもよい。コイル装置10の送電コイルC1には、高周波電源(不図示)が接続されている。なお、コイル装置10が受電装置12として用いられる場合、コイル装置10は、例えば移動体Vのシャシー等に固定される。この場合、受電装置12の受電コイルC2は、受電回路及び充電回路等を介して、移動体Vに搭載されたバッテリに接続されている。
【0021】
送電装置11は、受電装置12と移動体Vの高さ方向に対向する。送電コイルC1は、受電コイルC2と電磁気的に結合する。送電コイルC1と受電コイルC2との電磁気的な結合によって、送電コイルC1から受電コイルC2へと非接触の送電が行われる。送電コイルC1が受電コイルC2に対して電磁的に結合することにより、いわゆる電磁結合回路が形成される。電磁結合回路は、「電磁誘導方式」によって送電及び受電を行う回路であってもよい。電磁結合回路は、「磁界共鳴方式」によって送電及び受電を行う回路であってもよい。
【0022】
以下、コイル装置10について詳細に説明する。以下の説明において、送電装置11が受電装置12と対向する方向をZ方向といい、Z方向と直交する面内方向の一方向をX方向といい、Z方向と直交する面内方向のうち、X方向と直交する方向をY方向という。X方向は、図1における左右方向と一致する。Y方向は、図1において紙面と垂直な方向と一致する。Z方向は、図1における上下方向と一致する。
【0023】
図2に示すように、コイル装置10は、メインユニット2と、サブユニット3と、を有する。メインユニット2は、一例として、扁平な箱状を呈する。メインユニット2は、メインベース21と、メインカバー22と、送電コイルC1と、メインフェライト23(第1磁性部材)と、メインセンサ24と、メイン補強板25と、を有する。メインユニット2は、上述した送電コイルC1を収容する。メインユニット2は、サブユニット3が収容される収容部Pを有する。本実施形態では、収容部Pは、Z方向から見てメインユニット2の略中央に形成された凹部である。
【0024】
メインベース21は、略矩形状且つ平板状の部材である。メインベース21は、一例として路面G(図1参照)に設置されている。メインベース21は、路面Gに固定されていてもよい。メインベース21は、路面Gに固定されておらず、単に路面Gに載置されていてもよい。メインベース21は、樹脂材料又は金属材料等の様々な材料で構成される。また、メインベース21の全体もしくは一部は、アルミニウム又は銅等の透磁率の低い金属材料によって構成されてもよい。透磁率の低い金属材料を採用することより、メインユニット2の外部に電磁波が漏えいすることを抑制することができる。メインベース21の略中央には、凹部21aが形成されている。
【0025】
メインカバー22は、メインベース21の上部を覆う。メインベース21とメインカバー22とは、メインハウジング20Hを構成する。メインカバー22は、メインベース21に取り付けられる。すなわち、メインカバー22は、送電コイルC1、メインフェライト23、メインセンサ24、及びメイン補強板25を覆う。メインカバー22の略中央には、凹部22aが形成されている。凹部22aは、メインユニット2の収容部Pを構成する。送電コイルC1が受電コイルC2と電磁気的に結合する際には、メインカバー22を透過して電磁気的な結合が行われる。このため、メインカバー22は、電磁気的な結合に影響しない材料により構成される。電磁気的な結合に影響しない材料として、非磁性且つ非導電性の材料を採用してよい。非磁性且つ非導電性の材料は、一例として、繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)等の樹脂材料である。
【0026】
送電コイルC1は、一例として、同一平面内で渦巻き状に巻回された導線CLによって構成される。送電コイルC1は、いわゆるサーキュラー型のコイルである。送電コイルC1は、Z方向と垂直な平面内で、収容部Pを囲む。なお、送電コイルC1は、サーキュラー型には限定されない。例えば、送電コイルC1は、ソレノイド型であってもよい。
【0027】
メインフェライト23は、送電コイルC1に配置されている。メインフェライト23は、メインカバー22と反対側に配置されている。換言すると、メインフェライト23は、送電コイルC1の下部であって、且つ、メインベース21と送電コイルC1との間に配置されている。メインフェライト23は、一例として磁性材料によって構成された板状の部材である。
【0028】
メインセンサ24は、送電コイルC1の上部であって、且つ、メインカバー22と送電コイルC1との間に配置されている。メインセンサ24は、メインカバー22に載った金属製の異物を検知する。また、例えばメインカバー22に移動体Vのタイヤが乗り上げた場合等に、メインセンサ24は、荷重の検知を行ってもよい。
【0029】
メイン補強板25は、メインベース21の上部に配置される。メイン補強板25は、矩形状且つ環状の部材である。メイン補強板25は、メインベース21とメインフェライト23との間に配置される。メイン補強板25は、低い透磁率を有する材料によって構成されている。低い透磁率を有する材料は、一例としてアルミニウム合金等である。
【0030】
サブユニット3は、メインユニット2の収容部Pに収容される。サブユニット3は、メインユニット2の上部から着脱可能である。図3に示すように、サブユニット3は、サブベース31と、サブカバー32と、サブフェライト33(第2磁性部材)と、サブセンサ34と、サブ補強板35と、制御基板36(電気機能部)と、を有する。
【0031】
サブベース31は、上部が開口した箱状の部材である。サブベース31は、制御基板36と、サブフェライト33と、サブセンサ34と、サブ補強板35と、を収容する。
【0032】
サブカバー32は、矩形状の部材である。サブカバー32は、サブベース31に取り付けられている。サブベース31とサブカバー32とは、サブハウジング30Hを構成する。サブカバー32は、サブベース31の上部の開口を覆う。すなわち、サブカバー32は、サブベース31に収容された制御基板36等を覆う。
【0033】
サブフェライト33は、制御基板36とサブカバー32との間に配置されている。換言すると、制御基板36は、サブベース31とサブフェライト33との間に配置されている。サブフェライト33は、矩形状の部材である。サブフェライト33は、例えばメインフェライト23と同じ材料によって構成されてもよい。サブフェライト33は、メインフェライト23と協働する。メインフェライト23と協働することにより、サブフェライト33は、送電コイルC1が発生する電磁場のための磁路を構成する。
【0034】
サブセンサ34は、サブカバー32とサブフェライト33との間に配置される。サブセンサ34は、サブカバー32に載った金属製の異物を検知するためのセンサを含む。サブ補強板35は、制御基板36とサブフェライト33との間に配置されている。サブ補強板35は、矩形状の部材である。
【0035】
制御基板36は、種々の電気機能をメインユニット2に提供する。つまり、制御基板36は、所定の処理を行う。制御基板36は、一例として、送電コイルC1に供給される電力を制御する。高周波電源は、制御基板36を介して送電コイルC1に交流電力を供給する。制御基板36は、高周波電源から供給された交流電力を、送受電に最適な周波数の交流電力に変換する。制御基板36は、必要に応じて交流電力を直流電力に変換してもよい。制御基板36は、再度直流電力を交流電力に変換してもよい。制御基板36は、電圧変換や電流変換をしてもよい。制御基板36は、高周波電源の機能を含んでもよい。この場合、商用電源と制御基板36とを備えるコイル装置10との間には、高周波電源等の筐体装置は存在しない。従って、商用電源を制御基板36に直接接続することができる。また、制御基板36は、メインセンサ24及びサブセンサ34による異物検知の制御処理を行ってもよい。
【0036】
制御基板36は、パターン配線が設けられた電気基板と、電気基板に取り付けられた複数の電気部品E1および電子部品E2を有する。なお、制御基板36を構成する部品は、電力変換のための電気部品E1のみであってもよい。制御基板36を構成する部品は、制御機能のための電子部品E2のみであってもよい。
【0037】
図4に示すように、コイル装置10は、軸AXに対して対称に構成されている。図4に示す例では、軸AXの一方側のみ図示されている。本実施形態では、メインベース21、メイン補強板25、メインフェライト23、送電コイルC1、メインセンサ24、及びメインカバー22は、この順にZ方向に積層される。
【0038】
メインカバー22の凹部22aは、収容部Pとして構成されている。メインカバー22は、凹部22aにおいて、第1壁部41と、当接部42と、第2壁部43と、底部44と、を有する。第1壁部41は、メインカバー上面22bの内側の端部からメインベース21側(下方側)に向かって延びる。当接部42は、第1壁部41のメインベース21側の端部からメインベース21の内側に向かって延びる。第2壁部43は、当接部42の先端部からメインベース21側に向かって延びる。底部44は、第2壁部43の先端部同士を繋ぐ。メインカバー22の底部44は、メインベース21の凹部21aに嵌め込まれている。
【0039】
送電コイルC1の内側において、送電コイルC1を構成する導線CLは、メインベース21側に向かって延びる。導線CLは、Z方向に延びると共に、メインフェライト23及びメイン補強板25を貫通する。導線CLは、メインベース21の内部に挿通される。導線CLは、Z方向から見てメインベース21の内側に向かって屈曲される。導線CLは、メイン防水コネクタ27に接続される。
【0040】
メインフェライト23は、平板部61と、第1部分62と、第2部分63と、を有する。第1部分62及び第2部分63は、接続部65を構成する。平板部61は、メイン補強板25上に配置される。また、平板部61は、送電コイルC1と対面する。第1部分62は、平板部61の内側の端部61cからメイン補強板25の側に向かって突出する。第2部分63は、第1部分62の先端から内側に向かって突出する。平板部61、第1部分62、及び第2部分63のそれぞれは、一体として形成されている。なお、平板部61、第1部分62、及び第2部分63のそれぞれは、別体として形成されてもよい。第1部分62は、第1壁部41に沿っており、第2部分63は、当接部42に沿う。
【0041】
サブベース31、制御基板36、サブ補強板35、サブフェライト33、サブセンサ34、及びサブカバー32は、この順にZ方向に積層される。サブベース31は、第1壁部51と、当接部52と、第2壁部53と、底部54と、を有する。第1壁部51は、サブベース31の開口を形成する。第1壁部51は、メインベース21側に向かって延びる。当接部52は、第1壁部51におけるメインベース21側の端部からサブベース31の内側に向かって延びる。第2壁部53は、当接部52の先端部からメインベース21側に向かって延びる。底部54は、第2壁部53の先端部同士を繋ぐ。サブベース31の底部54は、メインカバー22の底部44と接する。
【0042】
制御基板36は、サブベース31内に収容される。制御基板36には、サブ防水コネクタ37が接続される。サブ防水コネクタ37は、メイン防水コネクタ27に着脱可能に接続される。これにより、サブユニット3の制御基板36は、メインユニット2の送電コイルC1に接続されている。より詳細には、高周波電源は、メイン防水コネクタ27及びサブ防水コネクタ37を介して送電コイルC1に交流電力を供給する。
【0043】
上述したようにコイル装置10では、サブユニット3は、メインユニット2の収容部Pに収容される。より具体的には、サブユニット3がメインユニット2に収容された状態では、メインカバー22の第1壁部41は、サブベース31の第1壁部51に沿う。メインカバー22の当接部42は、サブベース31の当接部52に沿う。メインカバー22の第2壁部43は、サブベース31の第2壁部53に沿う。メインカバー22の底部44は、サブベース31の底部54に沿う。
【0044】
第1壁部41は、第1壁部51と離間する。当接部42は、当接部52と離間する。第2壁部43は、第2壁部53と離間する。しかし、第1壁部41は、第1壁部51と接してもよい。当接部42は、当接部52と接してもよい。第2壁部43は、第2壁部53と接してもよい。
【0045】
図5(a)に示すように、メイン防水コネクタ27は、メインカバー22の底部44から露出する。また、サブ防水コネクタ37は、サブベース31の底部54から露出する。図5(b)に示すように、メインユニット2にサブユニット3が収容された状態であるとき、メインユニット2側のメイン防水コネクタ27は、サブユニット3側のサブ防水コネクタ37と電気的に接続される。
【0046】
送電コイルC1が発生する電磁場の一部は、メインフェライト23がサブフェライト33と離間している部分から、路面G側に向かって入り込む可能性がある。この場合、送電装置11から受電装置12に向かう電磁場の大きさが小さくなる。その結果、送電コイルC1から受電コイルC2への送電の効率が低下する可能性がある。
【0047】
したがって、電磁場が路面G側に向かって漏れ出ないようにコイル装置10を構成することが望まれる。より具体的には、図6に示すように、コイル装置10は、電磁場を磁場禁止領域DAに生じさせない構成を備える。磁場禁止領域DAとは、メインユニット2のメイン補強板25及びサブユニット3の制御基板36よりもZ方向において路面G側の領域を言う。
【0048】
続いて、図7、8を用いて、メインフェライト23及びサブフェライト33について詳細に説明する。図7には、メインフェライト23、サブフェライト33、及び送電コイルC1のみ図示する。図7では、コイル装置10を構成するその他の部品は、図示を省略する。また、図7は、メインフェライト23の平板部61のみを図示する。図7は、メインフェライト23の第1部分62及び第2部分63の図示を省略する。メインフェライト23は、送電コイルC1とメインベース21との間に磁路B1(第1磁路部)を形成する。メインフェライト23は、送電コイルC1側を向くメインフェライト主面23aと、メインフェライト主面23aと反対側のメインフェライト裏面23bと、を有する。サブフェライト33は、制御基板36とサブカバー32との間に磁路B2(第2磁路部)を形成する。サブフェライト33は、Z方向において送電コイルC1側を向くサブフェライト主面33aと、サブフェライト主面33aと反対側のサブフェライト裏面33bと、を有する。
【0049】
メインフェライト23及びサブフェライト33は、磁気回路の視点からすれば、物理的な隙間を形成しないことが望ましい。メインフェライト23は、サブフェライト33に接触していることが望ましい。従って、メインフェライト23は、サブフェライト33に接触していてもよい。
【0050】
しかし、メインフェライト23は、サブフェライト33に磁気的につながっていればよい。磁気的につながるとは、メインフェライト23の磁路B1とサブフェライト33の磁路B2とが、ひとつの磁気回路BSを形成することであると定義してもよい。つまり、メインフェライト23は、サブフェライト33に必ずしも直接に接触してなくてもよい。例えば、メインフェライト23とサブフェライト33との間には、空気が存在する隙間や、メインハウジング20H、サブハウジング30Hなどが存在する。メインフェライト23とサブフェライト33との間に、これらの要素がある場合でも、メインフェライト23からサブフェライト33までの距離によっては、メインフェライト23はサブフェライト33と磁気的につながり得る。したがって、メインフェライト23からサブフェライト33までの距離が重要である。以下、メインフェライト23からサブフェライト33までの距離について説明する。
【0051】
メインフェライト主面23aから路面Gまでの距離Hman[mm]は、サブフェライト主面33aから路面Gまでの距離Hsub[mm]以上である。この構成によると、サブユニット3におけるZ方向の高さをメインユニット2におけるZ方向の高さよりも小さくすることができる。サブユニット3におけるZ方向の高さをメインユニット2におけるZ方向の高さよりも小さくすることにより、歩行者又は乗用車等の通行の障害となりにくいようにコイル装置10を構成できる。メインフェライト23における平板部61の内側の端部61cからサブフェライト33の内側の端部33cまでの距離ΔD[mm]は、5mm以下である。要するに、コイル装置10は、Hman≧Hsub、かつ、ΔD≧5mmの関係式を満たす。図7は、一例としてメインフェライト主面23aは、サブフェライト主面33aと面一である構成を図示する。すなわち、Hman=Hsubである。
【0052】
なお、上記の説明では、距離Hman及び距離Hsubは、路面Gを基準としていた。例えば、距離Hman及び距離Hsubを規定する要素は、路面Gに限定されない。例えば、路面Gに代えてメインベース21のメインベース裏面21bを採用してもよい。この場合には、距離Hmanは、メインフェライト主面23aからメインベース裏面21bまでの距離と定義してもよい。距離Hsubは、サブフェライト主面33aからメインベース裏面21bまでの距離と定義してもよい。
【0053】
図8は、メインフェライト23、サブフェライト33、及び送電コイルC1のみ図示する。図8は、コイル装置10を構成するその他の部品の図示を省略する。メインフェライト23の第2部分63は、Z方向において送電コイルC1側を向く表面63aを有する。
【0054】
距離ΔH[mm]を定義する。距離ΔH[mm]は、メインフェライト23の第2部分63の表面63aからサブフェライト33のサブフェライト裏面33bまでの距離である。距離ΔH[mm]は、5mm以下である。また、距離Dmanを定義する。距離Dmanは、メインフェライト23の平板部61の内側の端部61cから第2部分63の先端部63cまでの距離である。距離Dmanは、距離ΔH[mm]よりも大きい。コイル装置10は、0[mm]≦ΔH≦5[mm]、かつ、0[mm]≦ΔD<Dmanの関係式を満たす。そして、第2部分63の先端部の表面63aでは、サブフェライト裏面33bと対面する。つまり、第2部分63は、サブフェライト裏面33bに対面する領域と、サブフェライト裏面33bに対面しない領域と、を含む。
【0055】
上記実施形態のようにメインフェライト23とサブフェライト33とを配置することにより、メインフェライト23の磁路B1と、サブフェライト33の磁路B2が磁気的につながっているといえる構成を実現できる。
【0056】
続いて、図9及び図10を用いて、本実施形態に係るコイル装置10に関して、メインユニット2に対するサブユニット3の位置決めを行うための構成について説明する。
【0057】
図9に示すように、メイン防水コネクタ27は、メインユニット2の収容部P内で、Y方向の一方側に配置される。メイン防水コネクタ27は、メインカバー22の底部44から露出する。また、メインユニット2の収容部P内で、Y方向の他方側には、位置決め部28が設けられる。位置決め部28は、2分割された略円柱状を呈する突起である。位置決め部28は、メインカバー22の底部44に接する。
【0058】
図10に示すように、サブ防水コネクタ37は、サブベース31の底部54において、Y方向の一方側に配置される。サブ防水コネクタ37は、サブベース31の底部54から露出する。また、サブベース31の底部54において、Y方向の他方側には、位置決め溝38が設けられる。位置決め溝38の形状は、位置決め部28の形状と対応する。メインユニット2の位置決め部28は、サブユニット3の位置決め溝38に嵌め込まれることが可能である。
【0059】
続いて、図11図12及び図13を用いて、コイル装置10が備える防水のための構成について説明する。
【0060】
図11に示すように、メインユニット2は、メイン防水パッキン29を有する。メイン防水パッキン29の外形は、メインベース21の外形に対応する。メイン防水パッキン29は、メインベース21の周縁部に配置される。メイン防水パッキン29は、メインベース21とメインカバー22とに挟まれる。より詳細には、メイン防水パッキン29は、メインベース21のメイン主面21sとメインカバー22のカバー裏面22cに設けられたパッキン溝22dとに挟まれる。メイン防水パッキン29の形状は、矩形状且つ環状である(図2参照)。メイン防水パッキン29が配置されていることにより、メインカバー22は、メインベース21に対して水密に取り付けられている。さらに、メイン防水パッキン29によれば、メインハウジング20Hの内部に、ほこりや砂といった微小な異物が侵入することも抑制できる。つまり、メイン防水パッキン29は、防水性及び防塵性を発揮する。
【0061】
なお、メイン防水パッキン29は、独立した1個の部品である。例えば、防水性及び防塵性を発揮する構成として、メイン防水パッキン29を、樹脂製の接着剤に置き換えることも可能である。特に、コイル装置10では、制御基板36の保守のために、少なくともメインハウジング20Hを開くことを必要としない。メインハウジング20Hを開くとは、メインベース21からメインカバー22を取り外すことである。この取り外しを行う視点からすれば、防水性及び防塵性のための構成として、メイン防水パッキン29に限定されてしまう。しかし、取り外す必要性が低いので、メインベース21とメインカバー22とを接着材によって接合する構成も採用することが可能になる。
【0062】
図12に示すように、サブユニット3は、サブ防水パッキン39を有する。サブ防水パッキン39の外形は、サブベース31の外形に対応する。サブ防水パッキン39は、サブベース31の第1壁部51とサブカバー32との間に配置される。サブ防水パッキン39の形状は、矩形状且つ環状である。サブ防水パッキン39が配置されていることにより、サブカバー32は、サブベース31に対して水密に取り付けられている。サブ防水パッキン39も、メイン防水パッキン29のように、防水性及び防塵性を発揮する。
【0063】
メインカバー22の当接部42と、サブベース31の当接部52との間には、防水パッキン49が配置される(図2参照)。防水パッキン49が配置されていることにより、サブベース31は、メインカバー22に対して水密に装着される。サブベース31がメインカバー22に対して水密に装着されることにより、メインカバー22とサブベース31との間に水が入り込むことを抑制できる。
【0064】
図13に示すように、メインユニット2には、水抜き穴81が形成される。水抜き穴81は、貫通孔である。水抜き穴81は、収容部P内に侵入した液体を排出する。より具体的には、水抜き穴81は、メインカバー22の底部44から、メインベース裏面21bへ向かってZ方向に延びる。換言すると、水抜き穴81は、メインカバー22の底部44及びメインベース21を貫通する。つまり、水抜き穴81は、メインベース21に設けられた孔81aと、メインカバー22に設けられた穴81bと、により構成される。これにより、収容部P内に例えば雨水等の液体が侵入した場合、液体は、水抜き穴81を通ることによりコイル装置10の外部に排出される。メインカバー22の底部44は、水抜き穴81に向かって傾斜してもよい。この場合、収容部P内に侵入した液体が水抜き穴81に導かれる。これにより、収容部P内の水はけをより良好に保つことができる。
【0065】
続いて、図14図15図16及び図17を用いて、メインユニット2に対してサブユニット3を着脱可能に収容するための構成について説明する。
【0066】
図14に示すように、サブカバー32の内部には、着脱ボタン71と、ロックバー72と、が配置される。着脱ボタン71及びロックバー72は、サブカバー32のX方向の一端側に配置される。
【0067】
着脱ボタン71は、ボタン本体71aと、ボタンフランジ71bと、を有する。ボタン本体71aは、サブカバー32のカバー上面32bから露出する。ボタンフランジ71bは、ボタン本体71aにおけるZ方向の端部から略垂直に張り出す。ボタンフランジ71bとサブカバー32との間には、可撓性を有するジャバラ76が配置されてもよい。ボタン上面71abは、カバー上面32bと面一であってもよい。ボタン上面71abに対して反対側のボタン下面71cには、ボタン斜面71acが形成される。ボタン斜面71acが形成されていることにより、ボタン本体71aの厚さは、メインカバー22側に向かうにつれて厚くなる。厚さとは、Z方向の長さを言う。また、ボタン下面71cとサブカバー32との間には、Z方向に伸縮可能なバネ73が配置される。バネ73は、例えば圧縮ばねである。
【0068】
ロックバー72は、X方向に沿って延びる。ロックバー72は、サブカバー32からメインカバー22に向かって摺動可能である。ロックバー72はバー先端72aと、バー後端72bと、を有する。バー先端72aは、メインカバー22側を向く。バー後端72bは、バー先端72aと反対側に形成される。バー先端72aは、サブカバー32の側面32cから露出する。バー先端72aは、メインカバー22の第1壁部41に設けられた差込孔H1に差し込まれる。バー後端72bは、ボタン斜面71acと接する。より具体的には、バー後端72bには、ボタン斜面71acと同方向に形成されたバー斜面72bcが形成される。バー斜面72bcは、ボタン斜面71acに接する。バー後端72b側には、X方向に伸縮可能なバネ74が配置される。バネ74は、例えば圧縮ばねである。バー先端72aは、バネ74の弾性力によって、第1壁部41の差込孔H1に差し込まれる。これにより、サブユニット3は、メインユニット2に対して固定される。
【0069】
図15は、コイル装置10の管理者等によって着脱ボタン71を押下された状態を図示する。着脱ボタン71は、バネ73の弾性力に逆らって押下されることによって、Z方向に移動する。着脱ボタン71を押下すると、ロックバー72は、リンク機構によってメインカバー22から離れる方向へ移動する。より具体的には、バー斜面72bcは、ボタン斜面71acと接する。この状態で、着脱ボタン71を押下すると、バー後端72bは、ボタン斜面71acに沿ってメインカバー22から離れる方向へ摺動する。これにより、バー先端72aは、メインカバー22における第1壁部41の差込孔H1から引き抜かれる。その結果、サブユニット3は、メインユニット2に対して取り外しが可能となる。
【0070】
図16に示すように、サブカバー32におけるX方向の他端側には、突起75が設けられている。突起75は、サブカバー32の側面32cからメインカバー22に向かって突出する。突起75は、メインカバー22の第1壁部41に設けられた差込孔H2に差し込まれる。
【0071】
図17(a)に示すように、例えば管理者等のユーザがサブユニット3をメインユニット2に収容する際には、サブユニット3におけるロックバー72側を差込孔H1側に配置する。そして、ユーザは、サブユニット3における突起75側を差込孔H2側に配置する。続いて、図17(b)に示すように、サブユニット3は、Y方向に沿った軸周りに回転されながら、突起75は、差込孔H2に差し込まれる。続いて、図17(c)に示すように、ロックバー72は、差込孔H1に差し込まれる。これにより、サブユニット3は、メインユニット2に収容される。また、ユーザがサブユニット3をメインユニット2から取り外す際には、例えばコイル装置10の管理者等のユーザが着脱ボタン71を押下する。その結果、ロックバー72は、差込孔H1から引き抜かれる。この状態で、図17(a)~(c)に示した手順と逆の手順により、ユーザは、サブユニット3をメインユニット2から取り外すことができる。
【0072】
以上説明したコイル装置10は、電力を非接触で送電する送電コイルC1が路面Gに固定されるメインハウジング20Hに収容されたメインユニット2を備える。コイル装置10は、メインハウジング20Hに着脱可能に取り付けられるサブハウジング30Hに、電気部品E1及び電子部品E2の少なくとも一方によって奏される電気的機能をメインユニット2に提供する制御基板36が収容されたサブユニット3を備える。メインユニット2は、サブユニット3を着脱可能に収容する収容部Pを有する。
【0073】
コイル装置10は、複数の電気部品E1及び電子部品E2を含む制御基板36がサブハウジング30Hに収容されている。そして、サブハウジング30Hは、送電コイルC1を収容するメインハウジング20Hに対して着脱可能に収容される。この構成によると、サブハウジング30Hをメインハウジング20Hから取り外すことによって、制御基板36を取り外すことができる。つまり、制御基板36を取り外すために送電コイルC1を収容したメインハウジング20Hを開く必要がない。従って、コイル装置10は保守が容易である。
【0074】
つまり、制御基板36を修理する又は交換する場合に、メインハウジング20Hを設置場所から取り外す必要がない。さらに、メインハウジング20Hを開く必要がないので、メインユニット2を反転させたりする必要もない。そのうえ、制御基板36の修理が現場で行えない場合には、サブユニット3のみをサービス拠点などに輸送するだけでよく、送電コイルC1を収容するメインユニット2を輸送する必要もない。
【0075】
コイル装置10のメインハウジング20Hは、路面Gに固定されるメインベース21と、メインベース21と共に送電コイルC1を収容する領域を形成するメインカバー22と、を含む。収容部Pは、メインカバー22に形成された開口22eを含む凹部22aである。この構成によれば、渦巻き状のサーキュラー型の送電コイルC1の内側に形成される領域に、サブユニット3を収容することができる。
【0076】
コイル装置10のメインユニット2は、メインベース21と送電コイルC1との間に配置される。メインユニット2は、送電コイルC1とメインベース21との間に送電コイルC1に関する磁路B1を形成するメインフェライト23を有する。サブハウジング30Hは、メインベース21に取り付けられるサブベース31と、サブベース31と共に制御基板36を収容する領域を形成するサブカバー32と、を含む。サブユニット3は、制御基板36とサブカバー32との間に配置されるサブフェライト33を有する。この構成によれば、メインフェライト23及びサブフェライト33を通る磁路B1,B2が形成される。送電コイルC1が発する電磁場は、この磁路B1,B2をとおる。その結果、メインフェライト23とメインベース21との間で送電コイルC1が発する電磁場が漏れることを抑制できる。さらに、サブフェライト33とサブベース31との間で送電コイルC1が発する電磁場が漏れることを抑制できる。
【0077】
コイル装置10のサブユニット3がメインユニット2に取り付けられた状態で、メインカバー22の法線方向に対して直交するZ方向から見たとき、制御基板36は、メインフェライト23とメインベース21との間に配置される。この配置によれば、送電コイルC1が発する電磁場が制御基板36に及ぶことを抑制できる。
【0078】
コイル装置10のサブユニット3がメインユニット2に取り付けられた状態で、メインカバー22の法線方向に対して直交するZ方向から見たとき、送電コイルC1は、サブフェライト33とサブカバー32との間に配置される。この配置によれば、送電コイルC1が発する電磁場が制御基板36に及ぶことをさらに抑制できる。
【0079】
コイル装置10のメインフェライト23は、送電コイルC1と対面する平板部61と、平板部61においてサブフェライト33と対面する端部から延びる接続部65と、を含む。接続部65は、サブフェライト33とサブベース31との間に配置された第2部分63を含む。この配置によれば、メインフェライト23とサブフェライト33との隙間から、送電コイルC1が発する電磁場が制御基板36に及ぶことを抑制できる。
【0080】
電気的な機能を奏する部品を容易に取り外せる構成によれば、保守とは異なる有利な効果を奏することもできる。
【0081】
例えば、複数のサブユニット3を準備する。複数のサブユニット3は、それぞれ電気的特性及び定数が互いに異なっている。そして、コイル装置10に要求される仕様に応じて、メインユニット2は共通としながら、適するサブユニット3を取り付けることによって、様々な仕様に対応することができる。つまり、仕様に対応するためには、複数の種類のサブユニット3を準備すればよく、メインユニット2は、複数の種類のサブユニット3に共通の構成を採用することができる。また、コイル装置10の特性を変更する場合でも、サブユニット3だけを交換すればよい。つまり、コイル装置10の設置後に、コイル装置10に要求される仕様が変更された場合でも、メインユニット2に手を加えることなく、サブユニット3の交換だけで対応できる。
【0082】
また、移動体Vに配置された受電装置12の種類に応じて、サブユニット3を適宜変更したい場合がある。サブユニット3を適宜変更したい場合、受電装置12の種類に合わせて、適切なサブユニット3を選択すると共に、メインユニット2に装着することが望まれる。したがって、このコイル装置10によれば、給電の対象となる受電装置12の種類に応じて、コイル装置10の構成を容易に変更することが可能となる。
【0083】
続いて、図18を用いて、本実施形態に係るコイル装置10の変形例について説明する。
【0084】
図18(a)に示すように、第1変形例のコイル装置10Aは、メインフェライト23Aを有する。メインフェライト23Aは、平板部61、第1部分62、第2部分63に加え、第3部分64を含む。第3部分64は、第2部分63の先端部63cからサブフェライト33に向かって延びる。第3部分64を含むことによって、第2部分63からサブフェライト33までの隙間を小さくすることができる。また、図18(b)に示すように、第2変形例のコイル装置10Bは、サブフェライト33Bを有する。サブフェライト33Bは、第1部分82を含む。第1部分82は、サブフェライト33Bの内側の端部33cからメインフェライト23の第2部分63に向かって突出する。
【0085】
さらに、図18(c)に示すように、第3変形例のコイル装置10Cは、メインフェライト23Aと、サブフェライト33Bと、を有する。メインフェライト23Aとサブフェライト33Bとが互いに離間している部分から、送電コイルC1から生じた電磁場が上述した磁場禁止領域DA(図6参照)に入り込むことをより確実に抑制できる。
【0086】
位置決め部28及び位置決め溝38の形状は、実施形態に示す形状に限定されない。この場合、位置決め溝38の形状は、位置決め部28の形状と対応すればよい。
【0087】
収容部Pの態様は、上述したものに限られない。例えば、収容部Pは、メインカバー22の周縁部に形成された凹部によって構成されていてもよい。また、収容部Pは、送電コイルC1の外側に設けられていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、メインフェライト主面23aから路面Gまでの距離Hman[mm]は、サブフェライト主面33aから路面Gまでの距離Hsub[mm]以上である。しかし、メインフェライト主面23aから路面Gまでの距離Hman[mm]は、サブフェライト主面33aから路面Gまでの距離Hsub[mm]以下であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 コイル装置
2 メインユニット
3 サブユニット
20H メインハウジング
21 メインベース
22 メインカバー
22e 開口
23 メインフェライト(第1磁性部材)
30H サブハウジング
27 メイン防水コネクタ
31 サブベース
32 サブカバー
33 サブフェライト(第2磁性部材)
36 制御基板(電気機能部)
37 サブ防水コネクタ
63c 先端部
65 接続部
C1 送電コイル(コイル)
B1 磁路(第1磁路部)
B2 磁路(第2磁路部)
E1 電気部品
E2 電子部品
G 路面(設置対象)
P 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18