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特許7582461測定条件最適化システム、三次元データ測定システム、測定条件最適化方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】測定条件最適化システム、三次元データ測定システム、測定条件最適化方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20241106BHJP
【FI】
G01S17/89
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023522135
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2021019226
(87)【国際公開番号】W WO2022244206
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】辻 聡
(72)【発明者】
【氏名】小野 善将
(72)【発明者】
【氏名】安倍 次朗
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-212264(JP,A)
【文献】特開2008-241609(JP,A)
【文献】特開2000-088551(JP,A)
【文献】特開2010-218173(JP,A)
【文献】特開2020-005186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0356092(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111175769(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106680798(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G01B 11/00 - 11/30
G01C 1/00 - 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力する三次元データ入力部と、
前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する重複部分判定部と、
前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する測定ポリシー取得部と、
前記測定ポリシー取得部で取得した前記測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分判定部で判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する測定条件調整部と、を備える、
測定条件最適化システム。
【請求項2】
前記測定ポリシーには、前記測定対象設備に入射するビームの入射角の範囲が含まれており、
前記測定条件には、前記測定装置が前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定範囲が含まれており、
前記測定条件調整部は、前記測定対象設備に入射するビームの入射角の範囲が前記測定ポリシーの範囲となるように、かつ、前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定装置の測定範囲を調整する、
請求項1に記載の測定条件最適化システム。
【請求項3】
前記重複部分判定部は更に、前記ビームが入射した前記測定対象設備の面の向きを前記三次元データを用いて算出し、当該算出された面の向きと前記ビームを照射した測定位置の座標とを用いて、前記測定対象設備に入射するビームの入射角を算出する、
請求項2に記載の測定条件最適化システム。
【請求項4】
前記測定条件には、前記測定装置が前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置が含まれており、
前記測定条件調整部は、前記測定ポリシーを満たすように、かつ、前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定装置の測定位置を調整する、
請求項1または2に記載の測定条件最適化システム。
【請求項5】
前記測定ポリシーには、前記測定装置で測定された三次元データが満たすべき分解能が含まれており、
前記測定条件調整部は、前記測定装置で測定された三次元データの分解能が前記測定ポリシーを満たすように、かつ、前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定装置の測定条件を調整する、
請求項1または2に記載の測定条件最適化システム。
【請求項6】
前記重複部分判定部は、前記位置合わせ処理後の三次元データのうち、互いに隣り合う測定位置の各々において取得された三次元データに含まれる点群同士が互いに隣接している場合、当該隣接している点群を含む部分を重複部分と判定する、請求項1または2に記載の測定条件最適化システム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の測定条件最適化システムと、
前記施設内の前記測定対象設備の三次元データを取得する測定装置と、を備え
前記測定装置は、前記測定条件調整部で調整された測定条件を用いて、前記施設内の前記測定対象設備の三次元データを新たに取得する、
三次元データ測定システム。
【請求項8】
前記測定装置で新たに取得された三次元データの座標を変換する座標変換部を更に備え、
前記座標変換部は、前記三次元データ入力部に入力された三次元データの各々に対して前記重複部分判定部が位置合わせ処理を実施した際に用いた座標変換パラメータを用いて、前記測定装置で新たに取得された三次元データの座標を変換する、
請求項7に記載の三次元データ測定システム。
【請求項9】
測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力し、
前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定し、
前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得し、
前記取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分と判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する、
測定条件最適化方法。
【請求項10】
測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力する処理と、
前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する処理と、
前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する処理と、
前記取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分と判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する処理と、を備える測定条件最適化処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定条件最適化システム、三次元データ測定システム、測定条件最適化方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LIDAR(Light Detection And Ranging)等の三次元距離センサを用いて、測定対象の三次元データを取得する技術が開発されている。また、このような三次元距離センサを自律移動手段に搭載して巡回させ、社会インフラ施設の三次元データを取得し、取得した三次元データを用いて施設内の設備を自動で点検する技術が開発されている。
【0003】
特許文献1には、点検対象の構造物に関するデータを適切に収集し、要点検箇所の検出を適切に簡易な手段により行うことが可能な点検計画立案支援システムに関する技術が開示されている。特許文献2には、カメラで撮影した画像群から所定の用途のための画像を選択する際に、好適な画像を容易に選択することができ、ユーザの作業の手間を低減するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-023901号公報
【文献】特開2020-005186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術で説明したように、LIDAR等の三次元距離センサを自律移動手段に搭載して巡回させ、社会インフラ施設の三次元データを取得し、取得した三次元データを用いて施設内の設備を自動で点検する技術が開発されている。
【0006】
このような三次元データ測定システムでは、測定装置(三次元距離センサを搭載した自律移動手段)の測定条件(巡回ルート、測定位置、測定条件等)が適切に設定されていない場合、取得された三次元データに含まれる重複部分が多くなるという問題がある。このように、取得された三次元データに含まれる重複部分が多くなると、三次元データを取得するのに時間がかかり、また、取得した三次元データのデータ量が膨大になる等の問題がある。
【0007】
本開示の目的は、測定装置を用いて施設内の測定対象設備の三次元データを測定する際の測定条件を最適化することが可能な測定条件最適化システム、三次元データ測定システム、測定条件最適化方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる測定条件最適化システムは、測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力する三次元データ入力部と、前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する重複部分判定部と、前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する測定ポリシー取得部と、前記測定ポリシー取得部で取得した前記測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分判定部で判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する測定条件調整部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様にかかる三次元データ測定システムは、上述の測定条件最適化システムと、前記施設内の前記測定対象設備の三次元データを取得する測定装置と、を備え、前記測定装置は、前記測定条件調整部で調整された測定条件を用いて、前記施設内の前記測定対象設備の三次元データを新たに取得する。
【0010】
本開示の一態様にかかる測定条件最適化方法は、測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力し、前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定し、前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得し、前記取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分と判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する。
【0011】
本開示の一態様にかかる非一時的なコンピュータ可読媒体は、測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力する処理と、前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する処理と、前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する処理と、前記取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分と判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する処理と、を備える測定条件最適化処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本開示により、測定装置を用いて施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定条件を最適化することが可能な測定条件最適化システム、三次元データ測定システム、測定条件最適化方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1にかかる測定条件最適化システムの構成例を示すブロック図である。
図2】測定装置を用いて施設内の測定対象設備を測定する際の巡回ルートの一例を説明するための平面図である。
図3】実施の形態1にかかる測定条件最適化システムの重複部分判定処理を説明するための図である。
図4】実施の形態1にかかる測定条件最適化システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図5】測定条件最適化処理の一例を説明するための図である。
図6】測定条件最適化処理の他の例を説明するための図である。
図7】測定条件最適化処理の他の例を説明するための図である。
図8】実施の形態2にかかる三次元データ測定システムの構成例を示すブロック図である。
図9】実施の形態3にかかる三次元データ測定システムの構成例を示すブロック図である。
図10】本開示にかかる測定条件最適化システム、及び三次元データ測定システムを含むハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる測定条件最適化システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる測定条件最適化システム1は、三次元データ入力部11、重複部分判定部12、測定ポリシー取得部13、及び測定条件調整部14を備える。本実施の形態にかかる測定条件最適化システム1は、例えば、測定装置を巡回させて社会インフラ施設等の所定の施設の三次元データを取得する際の、測定装置の測定条件を最適化するシステムである。
【0015】
本実施の形態において測定装置は、LIDAR等の三次元距離センサを自律移動手段に搭載した装置である。一例を挙げると、LIDARを搭載した自律移動可能な車両、LIDARを搭載した自律移動可能なドローン、LIDARを搭載した自律移動可能なロボットなどである。なお、本実施の形態において測定装置はこれらに限定されることはなく、三次元距離センサを自律移動手段に搭載した装置であればどのような装置であってもよい。
【0016】
図2は、測定装置を用いて施設内の測定対象設備を測定する際の巡回ルートの一例を説明するための平面図である。図2に示すように、所定の施設20内には、測定対象設備21~23が設けられている。例えば、所定の施設20は発電所や変電所などの社会インフラ施設である。所定の施設20が変電所である場合、測定対象設備21~23は、変圧器、碍子、鉄構、リード線などである。また、施設20内には測定装置15が設けられている。例えば、測定装置15は、図2に示す巡回ルート25に沿って移動することで、施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを順番に取得することができる。なお、本開示の適用範囲は、発電所や変電所などの社会インフラ施設に限定されることはなく、他のあらゆる施設の設備の測定条件の最適化に適用することができる。
【0017】
図1に示す三次元データ入力部11は、所定の施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを入力する。所定の施設20内の測定対象設備21~23の三次元データは、測定装置15を用いて測定対象設備21~23を所定の測定条件で測定することで取得することができる。このときの測定条件は最適化する前の測定条件であり、任意の測定条件とすることができる。例えば、施設20内の測定対象設備21~23全体の三次元データを漏れなく取得できる測定条件(つまり、多めの測定位置を設けた測定条件)としてもよい。
【0018】
本実施の形態において三次元データとは、例えば、点群データや三次元CADデータ等である。例えば、点群データはLIDAR等の三次元距離センサを用いて取得することができ、施設や設備をデジタル空間上で表現するための互いに直交する三軸(XYZ座標、距離、アジマス角、エレベーション角などの軸)上のデータ群である。三次元データである点群データには、少なくとも測定対象設備の形状データ(典型的にはXYZ座標)が含まれており、更に輝度情報等の付帯情報が含まれていてもよい。
【0019】
三次元データ入力部11は、測定装置15で測定された三次元データを入力する。例えば、三次元データ入力部11は、測定装置15で測定された三次元データを入力して保持する記憶装置であってもよい。
【0020】
図1に示す重複部分判定部12は、三次元データ入力部11に入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する。例えば、重複部分判定部12は、位置合わせ処理後の三次元データのうち、互いに隣り合う測定位置の各々において取得された三次元データに含まれる点群同士が互いに隣接している場合、当該隣接している点群を含む部分を重複部分と判定してもよい。
【0021】
図3は、本実施の形態にかかる測定条件最適化システムの重複部分判定処理を説明するための図である。図3では、2つの三次元データ31、32の各々に対して重複部分判定処理を実施した場合の例を示している。なお、2つの三次元データ31、32は、各々異なる測定位置(例えば、図5の測定位置P1、P2)で測定された三次元データである。
【0022】
図3に示すように、三次元データ31には点群41が含まれており、三次元データ32には点群42が含まれている。各々の点群41、42は、測定対象設備の特徴点を示している。図3に示す例では、三次元データ31、32の各々に対して位置合わせ処理を実施した後の状態を示している。図3に示すように、三次元データ31の測定範囲35と三次元データ32の測定範囲36は、互いに重複している重複部分37が存在する。重複部分37では、三次元データ31の点群41と三次元データ32の点群42とが互いに隣接している箇所43が存在する。重複部分判定部12は、このように三次元データ31の点群41と三次元データ32の点群42とが互いに隣接している箇所43を検出し、この点群41、42が互いに隣接している箇所43を含む部分を重複部分37と判定する。つまり、三次元データ31の点群41と三次元データ32の点群42とが互いに隣接している箇所43は、測定対象設備の同じ特徴点を表現している点群に対応している。
【0023】
また、重複部分判定部12は、重複部分37における点群41、42の情報を用いることで、各々の点群41、42を取得する際の測定位置・ビーム方向を算出してもよい。つまり、重複部分判定部12は、各々の点群41、42の情報に基づいて、当該点群41、42を取得する際に用いられた測定装置15の測定位置やビーム方向の情報を算出してもよい。
【0024】
また、重複部分判定部12は更に、ビーム(LIDARから照射されたビーム)が入射した測定対象設備の面の向きを三次元データを用いて算出し、当該算出された面の向きとビームを照射した測定位置の座標とを用いて、測定対象設備に入射するビームの入射角を算出してもよい。
【0025】
つまり、重複部分判定部12は、三次元データ(点群データ)を用いて、測定位置(LIDARの位置)に対する測定対象設備の面の向きを算出する。そして、重複部分判定部12は、算出された測定対象設備の面の向きと、測定位置(LIDARの位置)の座標とを用いることで、測定対象設備に入射するビームの入射角を算出することができる。
【0026】
図1に示す測定ポリシー取得部13は、測定装置15を用いて施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する。例えば、測定ポリシーは、測定対象設備21~23に入射するビームの入射角の範囲、測定装置15で測定された三次元データが満たすべき分解能等が含まれている。測定ポリシー取得部13は、入力部160(図10参照)を用いてユーザが入力した測定ポリシーに関する情報を取得してもよい。また、測定ポリシー取得部13が測定ポリシーに関する情報を予め格納するようにしてもよい。なお、測定ポリシーは、測定対象設備21~23毎に設定してもよく、また、施設20内の測定対象設備21~23に対して一括で設定してもよい。
【0027】
図1に示す測定条件調整部14は、測定ポリシー取得部13で取得された測定ポリシーを満たすように、かつ、重複部分判定部12で判定された三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定条件を調整する。つまり、測定条件調整部14は、重複部分判定部12で判定された三次元データに含まれる重複部分に関する情報と、測定ポリシー取得部13で取得された測定ポリシーに関する情報とを入力する。そして、測定条件調整部14は、入力された重複部分に関する情報と測定ポリシーに関する情報とに基づいて、測定装置15の測定位置、測定範囲、分解能などの測定条件を調整する。このとき、測定条件調整部14は、三次元データに含まれる重複部分が減少するように測定装置15の測定条件を調整する。
【0028】
例えば、測定ポリシーには、測定対象設備に入射するビームの入射角の範囲が含まれており、測定装置15の測定条件には、測定装置15が測定対象設備の三次元データを取得する際の測定範囲が含まれている。この場合、測定条件調整部14は、測定対象設備に入射するビームの入射角の範囲が測定ポリシーの範囲となるように、かつ、三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定装置15の測定範囲を調整する。
【0029】
また、例えば、測定条件には、測定装置15が測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置が含まれていてもよい。この場合、測定条件調整部14は、測定ポリシーを満たすように、かつ、三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定装置15の測定位置を調整してもよい。
【0030】
また、例えば、測定ポリシーには、測定装置15で測定された三次元データが満たすべき分解能が含まれていてもよい。この場合、測定条件調整部14は、測定装置15で測定された三次元データの分解能が測定ポリシーを満たすように、かつ、三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定装置15の測定条件を調整してもよい。
【0031】
ここで、「三次元データに含まれる重複部分が減少するように」とは、図3に示した三次元データ31と三次元データ32の重複部分37が減少するようにという意味である。例えば、三次元データ31の測定範囲35に占める重複部分37の面積が所定の割合以下(例えば、5%以下など)となるように重複部分を減らしてもよい。また、三次元データ全体のデータサイズが所定のデータサイズ以下となるように重複部分を減らしてもよい。本実施の形態において重複部分は少ないほど好ましく、重複部分が存在しないことが最も好ましい。なお、三次元データに含まれる重複部分が減少するように測定装置15の測定条件を調整する場合の具体例については後述する。
【0032】
次に、本実施の形態にかかる測定条件最適化システムの動作(測定条件最適化方法)について説明する。図4は、本実施の形態にかかる測定条件最適化システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、三次元データ入力部11(図1参照)は、所定の施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを入力する(ステップS1)。所定の施設20内の測定対象設備21~23の三次元データは、測定装置15を用いて測定対象設備21~23(図2参照)を所定の測定条件で測定することで取得することができる。このときの測定条件は最適化する前の測定条件であり、任意の測定条件とすることができる。
【0034】
図5は、測定条件最適化処理の一例を説明するための図である。図5では一例として、測定装置15が巡回ルート25に沿って移動しながら、各々の測定位置P1~P3において測定対象設備21の三次元データを取得している状態を示している。なお、本実施の形態において、測定装置15は測定対象設備21の三次元データを取得する際に、測定位置P1~P3において停止して測定するものとする。他の測定位置においても同様である。
【0035】
図5の上図に示すように、測定装置15は測定位置P1~P3において測定対象設備21を測定することで、測定対象設備21の三次元データを取得する。このとき、測定位置P1における測定装置15の測定範囲はθ1、測定位置P2における測定装置15の測定範囲はθ2、測定位置P3における測定装置15の測定範囲はθ3である。三次元データ入力部11(図1参照)は、このようにして測定された測定対象設備21の三次元データを入力する。
【0036】
次に、重複部分判定部12(図1参照)は、三次元データ入力部11に入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する(ステップS2)。図5に示す例では、測定装置15を用いて測定された測定対象設備21の三次元データには、重複部分D1、D2が含まれる。重複部分判定部12は、これらの重複部分D1、D2を判定する。
【0037】
つまり、測定位置P1で測定された三次元データおよび測定位置P2で測定された三次元データには、重複部分D1が含まれる。また、測定位置P2で測定された三次元データおよび測定位置P3で測定された三次元データには、重複部分D2が含まれる。重複部分判定部12は、三次元データ入力部11に入力された三次元データに含まれるこのような重複部分D1、D2を判定する。
【0038】
例えば、重複部分判定部12は、位置合わせ処理後の三次元データのうち、互いに隣り合う測定位置の各々において取得された三次元データに含まれる点群同士が互いに隣接している場合、当該隣接している点群を含む部分を重複部分と判定することができる(図3参照)。
【0039】
次に、測定ポリシー取得部13(図1参照)は、測定装置15を用いて施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する(ステップS3)。例えば、測定ポリシーは、測定対象設備21~23に入射するビームの入射角の範囲、測定装置15で測定された三次元データが満たすべき分解能等が含まれている。
【0040】
次に、測定条件調整部14(図1参照)は、測定ポリシー取得部13で取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、重複部分判定部12で判定された三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定条件を調整する(ステップS4)。
【0041】
例えば、測定ポリシーには、測定対象設備に入射するビームの入射角の範囲が含まれており、測定装置15の測定条件には、測定装置15が測定対象設備の三次元データを取得する際の測定範囲が含まれている。この場合、測定条件調整部14は、測定対象設備に入射するビームの入射角の範囲が測定ポリシーの範囲となるように、かつ、三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定装置15の測定範囲を調整する。
【0042】
具体的には、図5の下図に示すように、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置P1における測定範囲がθ1からθ1aとなるように、測定位置P2における測定範囲がθ2からθ2aとなるように、測定位置P3における測定範囲がθ3からθ3aとなるように、測定装置15の測定範囲をそれぞれ調整する。なお、測定範囲θ1a~θ3aは互いに同一の角度であってもよく、また、異なる角度であってもよい。また、測定範囲θ1a~θ3aは、測定ポリシー取得部13で取得した測定ポリシーを満たすものとする。このように、各々の測定位置P1、P2、P3における測定範囲をそれぞれθ1a、θ2a、θ3aとすることで、三次元データに含まれる重複部分51、52を減少させることができる。よって、測定装置15を用いて施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定条件を最適化することができる。
【0043】
図6は、測定条件最適化処理の他の例を説明するための図である。図6の上図に示す例では、測定装置15が巡回ルート25に沿って移動しながら、各々の測定位置P11~P14において測定対象設備21の三次元データを取得している状態を示している。図6の上図に示すように、測定装置15は測定位置P11~P14において測定対象設備21を測定することで、測定対象設備21の三次元データを取得する。このとき、測定位置P11における測定装置15の測定範囲はθ11、測定位置P12における測定装置15の測定範囲はθ12、測定位置P13における測定装置15の測定範囲はθ13、測定位置P14における測定装置15の測定範囲はθ14である。三次元データ入力部11(図1参照)は、このようにして測定された測定対象設備21の三次元データを入力する(ステップS1)。
【0044】
次に、重複部分判定部12(図1参照)は、三次元データ入力部11に入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分D11、D12、D13を判定する(ステップS2)。具体的には、図6の上図に示すように、測定位置P11で測定された三次元データおよび測定位置P12で測定された三次元データには、重複部分D11が含まれる。また、測定位置P12で測定された三次元データおよび測定位置P13で測定された三次元データには、重複部分D12が含まれる。また、測定位置P13で測定された三次元データおよび測定位置P14で測定された三次元データには、重複部分D13が含まれる。重複部分判定部12は、三次元データ入力部11に入力された三次元データに含まれるこのような重複部分D11、D12、D13を判定する。
【0045】
次に、測定ポリシー取得部13(図1参照)は、測定装置15を用いて施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する(ステップS3)。
【0046】
次に、測定条件調整部14(図1参照)は、測定ポリシー取得部13で取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、重複部分判定部12で判定された三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定条件を調整する(ステップS4)。
【0047】
図6に示す例では、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置P11~P14(図6の上図)を測定位置P11a~P13a(図6の下図)に調整する。また、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置P11aにおける測定範囲がθ11aとなるように、測定位置P12aにおける測定範囲がθ12aとなるように、測定位置P13aにおける測定範囲がθ13aとなるように、測定装置15の測定範囲をそれぞれ調整する。なお、測定範囲θ11a~θ13aは互いに同一の角度であってもよく、また、異なる角度であってもよい。また、測定範囲θ11a~θ13aは、測定ポリシー取得部13で取得した測定ポリシーを満たすものとする。このように、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置と測定範囲を調整することで、三次元データに含まれる重複部分53、54を減少させることができる。よって、測定装置15を用いて施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定条件を最適化することができる。
【0048】
図7は、測定条件最適化処理の他の例を説明するための図である。図7の上図に示す例では、測定装置15が巡回ルート25に沿って移動しながら、各々の測定位置P21~P24において測定対象設備21の三次元データを取得している状態を示している。図7の上図に示すように、測定装置15は測定位置P21~P24において測定対象設備21を測定することで、測定対象設備21の三次元データを取得する。このとき、測定位置P21における測定装置15の測定範囲はθ21、測定位置P22における測定装置15の測定範囲はθ22、測定位置P23における測定装置15の測定範囲はθ23、測定位置P24における測定装置15の測定範囲はθ24である。三次元データ入力部11(図1参照)は、このようにして測定された測定対象設備21の三次元データを入力する(ステップS1)。
【0049】
次に、重複部分判定部12(図1参照)は、三次元データ入力部11に入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分D21、D22、D23を判定する(ステップS2)。具体的には、図7の上図に示すように、測定位置P21で測定された三次元データおよび測定位置P22で測定された三次元データには、重複部分D21が含まれる。また、測定位置P22で測定された三次元データおよび測定位置P23で測定された三次元データには、重複部分D22が含まれる。また、測定位置P23で測定された三次元データおよび測定位置P24で測定された三次元データには、重複部分D23が含まれる。重複部分判定部12は、三次元データ入力部11に入力された三次元データに含まれるこのような重複部分D21、D22、D23を判定する。
【0050】
次に、測定ポリシー取得部13(図1参照)は、測定装置15を用いて施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する(ステップS3)。
【0051】
次に、測定条件調整部14(図1参照)は、測定ポリシー取得部13で取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、重複部分判定部12で判定された三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定条件を調整する(ステップS4)。
【0052】
図7に示す例では、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置P21~P24(図7の上図)を測定位置P21a~P24a(図7の下図)に調整する。つまり、図7に示す例では、図7の上図に示すように、測定装置15の測定位置P21~P24は、測定対象設備21から距離d1離れており、測定装置15と測定対象設備21との距離が離れすぎているので、測定ポリシーの分解能の要件を満たしていない。
【0053】
この場合、測定条件調整部14は、測定ポリシーの分解能の要件を満たすように、測定装置15の測定位置が測定対象設備21に近づくように調整する。つまり、測定条件調整部14は、図7の下図に示すように、測定装置15と測定対象設備21との距離が距離d2(d2<d1)となるように、測定装置15の測定位置を測定位置P21a~P24aに調整する。また、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置P21aにおける測定範囲がθ21aとなるように、測定位置P22aにおける測定範囲がθ22aとなるように、測定位置P23aにおける測定範囲がθ23aとなるように、測定位置P24aにおける測定範囲がθ24aとなるように、測定装置15の測定範囲をそれぞれ調整する。
【0054】
なお、測定範囲θ21a~θ24aは互いに同一の角度であってもよく、また、異なる角度であってもよい。また、測定範囲θ21a~θ24aは、測定ポリシー取得部13で取得した測定ポリシーを満たすものとする。このように、測定条件調整部14は、測定装置15の測定位置と測定範囲を調整することで、三次元データに含まれる重複部分55、56、57を減少させることができる。よって、測定装置15を用いて施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定条件を最適化することができる。
【0055】
以上で説明したように、本実施の形態では、取得された三次元データに含まれる重複部分が減少するように、測定装置の測定条件を最適化している。このように、測定装置の測定条件を最適化することで、測定装置が三次元データを取得する際の測定時間を短くすることができ、また、取得した三次元データのデータ量を減少させることができる。更に、測定装置の測定時間を短くすることができるので、測定装置の消費電力量を抑えることができる。
【0056】
<実施の形態2>
次に本開示の実施の形態2について説明する。図8は、実施の形態2にかかる三次元データ測定システムの構成例を示すブロック図である。図8に示すように、本実施の形態にかかる三次元データ測定システム2は、三次元データ入力部11、重複部分判定部12、測定ポリシー取得部13、測定条件調整部14、及び測定装置15を備える。本実施の形態にかかる三次元データ測定システム2は、実施の形態1で説明した測定条件最適化システム1に加えて、測定装置15を備える点が異なる。これ以外の構成及び動作については、実施の形態1で説明した場合と同様であるので重複した説明を省略する。
【0057】
本実施の形態にかかる三次元データ測定システム2において、測定装置15は、施設20内の測定対象設備21~23(図2参照)の三次元データを取得するように構成されている。測定装置15は、測定条件調整部14で調整された測定条件を用いて、施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを新たに取得する。例えば、測定条件調整部14は、測定条件を調整した後、調整後の測定条件を測定装置15に供給する。測定装置15は、次に施設20内を巡回ルート25に沿って移動して測定対象設備21~23の三次元データを取得する際、測定条件調整部14から供給された調整後の測定条件を用いて、測定対象設備21~23の三次元データを取得する。
【0058】
このように測定装置15は、調整後の測定条件、すなわち、三次元データに含まれる重複部分が減少するように最適化された測定条件を用いて、測定対象設備21~23の三次元データを新たに取得する。したがって、測定装置15の測定時間を短くすることができ、また、取得した三次元データのデータ量を減少させることができる。更に、測定装置15の測定時間を短くすることができるので、測定装置15の消費電力量を抑えることができる。
【0059】
また、測定装置15は、図1に示した三次元データ入力部11に入力される三次元データを取得してもよい。すなわち、測定装置15は、最適化する前の測定条件で施設20内の測定対象設備21~23の三次元データを取得し、この取得した三次元データを三次元データ入力部11に供給してもよい。例えば、測定装置15は最初に、施設20内の測定対象設備21~23全体の三次元データを漏れなく取得できる測定条件(つまり、多めの測定位置を設けた測定条件)で取得する。その後、測定装置15は、最適化された測定条件を用いて、測定対象設備21~23の三次元データを新たに取得してもよい。
【0060】
本実施の形態にかかる三次元データ測定システム2は、三次元データ入力部11、重複部分判定部12、測定ポリシー取得部13、測定条件調整部14、及び測定装置15が同一の装置として一体で構成されていてもよい。この場合は、測定装置15を含む三次元データ測定システム2が測定対象設備21~23の三次元データを取得する。
【0061】
また、本実施の形態にかかる三次元データ測定システム2は、測定装置15が他の構成要素である三次元データ入力部11、重複部分判定部12、測定ポリシー取得部13、及び測定条件調整部14と別に設けられていてもよい。すなわち、本実施の形態にかかる三次元データ測定システム2は、実施の形態1にかかる測定条件最適化システム1(図1参照)と、当該測定条件最適化システム1と別に設けられた測定装置15とを用いて構成してもよい。この場合は、測定装置15が測定対象設備21~23の三次元データを取得する。
【0062】
<実施の形態3>
次に本開示の実施の形態3について説明する。図9は、実施の形態3にかかる三次元データ測定システムの構成例を示すブロック図である。図9に示すように、本実施の形態にかかる三次元データ測定システム3は、三次元データ入力部11、重複部分判定部12、測定ポリシー取得部13、測定条件調整部14、測定装置15、及び座標変換部16を備える。本実施の形態にかかる三次元データ測定システム3は、実施の形態2で説明した三次元データ測定システム2に加えて、座標変換部16を備える点が異なる。これ以外の構成及び動作については、実施の形態1、2で説明した場合と同様であるので重複した説明を省略する。
【0063】
本実施の形態にかかる三次元データ測定システム3において、座標変換部16は、測定装置15で新たに取得された三次元データの座標を変換するように構成されている。具体的には、座標変換部16は、測定装置15で新たに取得された三次元データの座標を、座標変換パラメータを用いて変換する。このとき用いる座標変換パラメータは、三次元データ入力部11に入力された三次元データの各々に対して重複部分判定部12が位置合わせ処理を実施した際に用いた座標変換パラメータである。
【0064】
具体的には、重複部分判定部12は、三次元データ入力部11に入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施する際、各々の三次元データ同士を結合するために座標変換パラメータを決定する。重複部分判定部12は、このとき決定された座標変換パラメータに関する情報を座標変換部16に出力する。例えば、座標変換パラメータは、各々の測定位置における点群データに対する変換パラメータ(並進、回転)である。
【0065】
座標変換部16は、重複部分判定部12から供給された座標変換パラメータを用いて、測定装置15で新たに取得された三次元データの座標を変換する。この場合、三次元データ入力部11に入力された三次元データの測定位置と、測定装置15で新たに取得された三次元データの測定位置は各々同じ位置である。つまり、三次元データ入力部11に入力された三次元データの測定位置と、測定装置15で新たに取得された三次元データの測定位置が各々同じなので、座標変換部16は、重複部分判定部12で用いた座標変換パラメータと同一の座標変換パラメータを用いることができる。
【0066】
なお、三次元データ入力部11に入力された三次元データの測定位置と、測定装置15で新たに取得された三次元データの測定位置とが異なる場合(つまり、測定位置の測定条件を変更した場合)は、次のようにして処理をする。すなわち、重複部分判定部12は、位置合わせ処理を実施した後の三次元データ(つまり結合後の三次元データ)を座標変換部16に供給する。そして、座標変換部16は、重複部分判定部12から供給された結合後の三次元データと、測定装置15で新たに取得された三次元データとの位置合わせを実施して、測定装置15で新たに取得された三次元データの座標変換を実施し、また座標変換パラメータを決定する。以降、測定装置15を用いて新たに三次元データを取得する場合は同じ測定位置なので、座標変換部16は、測定装置15で新たに取得された三次元データの座標を変換する際に、このようにして決定された座標変換パラメータを用いることができる。
【0067】
本実施の形態では、上述のように、測定装置15で新たに取得された三次元データの座標を変換する際に、既に得られた座標変換パラメータを用いているので、座標変換処理の負荷を軽減できる。
【0068】
なお、上述した実施の形態は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0069】
つまり、測定装置を用いて所定の測定条件で測定した、所定の施設内の測定対象設備の三次元データを入力する処理と、前記入力された三次元データの各々に対して位置合わせ処理を実施し、当該位置合わせ処理後の三次元データに含まれる重複部分を判定する処理と、前記測定装置を用いて前記施設内の測定対象設備の三次元データを取得する際の測定ポリシーを取得する処理と、前記取得した測定ポリシーを満たすように、かつ、前記重複部分と判定された前記三次元データに含まれる重複部分が減少するように、前記測定条件を調整する処理と、を備える測定条件最適化処理のプログラムをコンピュータに実行させることで、実現してもよい。
【0070】
図10は、本実施の形態にかかる測定条件最適化システムを含むハードウェア構成例を説明するためのブロック図である。図10に示すように、本実施の形態にかかる測定条件最適化システムは、CPU(101)とメモリ102とを備える演算処理装置100を用いて構成することができる。本実施の形態では、上述の測定条件最適化処理のプログラムをCPU(101)で実行させることで測定条件最適化システム1を構成することができる。演算処理装置100には、表示部150および入力部160が接続されている。
【0071】
表示部150は、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等を用いて構成されている。表示部150には、測定装置15の測定条件、位置合わせ処理後の三次元データ、測定装置15で測定した測定対象設備21~23の三次元データ等が表示されるようにしてもよい。
【0072】
また、例えば、ユーザは入力部160(キーボードやマウス等)を操作することで、測定ポリシーや測定条件を入力してもよい。
【0073】
また、演算処理装置100(測定条件最適化システム1)は、調整後の測定条件(最適化された測定条件)を測定装置15に送信可能に構成されていてもよい。測定装置15は、演算処理装置100から調整後の測定条件が供給されると、供給された調整後の測定条件に基づいて測定を実施する。
【0074】
測定条件最適化システム1(演算処理装置100)は、各々の施設20に設けられていてもよい。また、測定条件最適化システム1(演算処理装置100)は、アプリケーションサーバとして構成されていてもよい。測定条件最適化システム1をアプリケーションサーバとして構成した場合は、複数のユーザ(施設)が測定条件最適化システム1にアクセスして、各々の施設の測定装置15の測定条件を最適化することができる。
【0075】
また、上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0076】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 測定条件最適化システム
2、3 三次元データ測定システム
11 三次元データ入力部
12 重複部分判定部
13 測定ポリシー取得部
14 測定条件調整部
15 測定装置
16 座標変換部
20 施設
21、22、23 測定対象設備
25 巡回ルート
31、32 三次元データ
35、36 測定範囲
37 重複部分
41、42 点群
100 演算処理装置
101 CPU
102 メモリ
150 表示部
160 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10