(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】スパンボンド不織布、テープ、およびスパンボンド不織布の製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20241106BHJP
D01F 8/14 20060101ALI20241106BHJP
D04H 3/011 20120101ALI20241106BHJP
D04H 3/147 20120101ALI20241106BHJP
【FI】
D04H3/16
D01F8/14 B
D04H3/011
D04H3/147
(21)【出願番号】P 2024520907
(86)(22)【出願日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2024012232
【審査請求日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2023053073
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹光 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】松浦 博幸
(72)【発明者】
【氏名】池尻 祐希
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-537068(JP,A)
【文献】特開2008-163538(JP,A)
【文献】特開2007-162186(JP,A)
【文献】特開2014-037644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 3/16
D01F 8/14
D04H 3/011
D04H 3/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有し、エンボス圧着率が5面積%以上30面積%以下である、スパンボンド不織布。
【請求項2】
非圧着部における単位面積あたりの繊維爛れ率が5.0%以上50.0%以下である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスパンボンド不織布を含む、テープ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のスパンボンド不織布を製造する方法であって、下記の工程(a)~(c)をこの順に含む、スパンボンド不織布の製造方法。
工程(a):融点250℃以上270℃以下の高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の周りに、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下低い固有粘度(IV)を有する融点250℃以上270℃以下の低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を配した芯鞘型複合繊維を紡出する工程。
工程(b):紡出された前記芯鞘型複合繊維をエジェクターにより牽引、延伸し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する工程。
工程(c):前記繊維ウェブをエンボス圧着率5面積%以上30面積%以下の範囲内で熱圧着する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパンボンド不織布およびテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、建築材料用途や車両用途、医療用途等、様々な分野で使用されており、テープ基材には紙や布、不織布、フィルムなどが使用されている。中でも、テープ使用時に作業者が容易に手で切断することのできる、いわゆる手切れ性が求められ分野においては、テープ基材として紙が多く使用されている。一方、この紙基材のテープでは、強度が不足することがあるため、不織布を用いられることもある。しかし、不織布を用いる場合、引裂強力が高く、手切れ性に劣ることが課題となっている。
【0003】
特許文献1では、繊維径、見かけ密度、目付、部分熱圧着率が特定の範囲にあり、長手方向の引張強力および破断伸度が一定以上であり、熱圧着部とは異なる長手方向に対して直行する線状または破線状の圧着部を有する合繊長繊維不織布からなることを特徴とする不織布テープ基材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるような不織布では、熱圧着した後に付与する線状または破線状の圧着部により、引き裂き強力を下げることができ手切れ性を向上させることができる。しかしながら、上記圧着加工が施された不織布では、圧着部分増加に伴い、表面の凹凸が増えるためテープ基材として使用した場合に設置面との密着性が悪化してしまう。また、圧着部増加により手切れ性を向上させるためには、不織布をフィルム化するまで圧着させる必要がある。フィルム化部分が多くなると不織布は機械的強度(引張強力)が低下するため、機械的強度と手切れ性の両立という面では十分とは言えない。
【0006】
そこで本発明の目的は、優れた機械的強度を有しながら、手切れ性に優れる不織布ひいてはテープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、スパンボンド不織布の示差走査型熱量測定法における結晶化ピークおよび融解ピークを特定の温度範囲内とすることで、機械的強度に優れ、かつ、手切れ性に優れるスパンボンド不織布にできるという知見を得た。本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものである。
【0008】
本発明およびその好ましい態様として、以下の構成が示される。
【0009】
[1] ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有し、エンボス圧着率が5面積%以上30面積%以下である、スパンボンド不織布。
【0010】
[2] 非圧着部における単位面積あたりの繊維爛れ率が5.0%以上50.0%以下である、上記[1]に記載の不織布。
【0011】
[3] 上記[1]または[2]に記載のスパンボンド不織布を含む、テープ
[4] 上記[1]または[2]に記載のスパンボンド不織布を製造する方法であって、下記の工程(a)~(c)をこの順に含む、スパンボンド不織布の製造方法。
工程(a):融点250℃以上270℃以下の高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の周りに、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上、0.25以下低い固有粘度(IV)を有する融点250℃以上270℃以下の低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を配した芯鞘型複合繊維を紡出する工程。
工程(b):紡出された前記芯鞘型複合繊維をエジェクターにより牽引、延伸し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する工程。
工程(c):前記繊維ウェブをエンボス圧着率5面積%以上30面積%以下の範囲内で熱圧着する工程。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機械的強度に優れ、かつ、手切れ性に優れる不織布が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のスパンボンド不織布における、爛れている繊維を含む非圧着部の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のスパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下に単一の融解ピークを有し、エンボス圧着率が5面積%以上30面積%以下である。以下にその構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではなく、そして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0015】
[ポリエチレンテレフタレート系樹脂]
まず、本発明のスパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなる。
【0016】
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点は、250℃以上270℃以下であることが好ましい。前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点を250℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性を得やすくなる。また、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点を270℃以下とすることで、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し細い繊維径でも安定した紡糸が行い易くなる。ここでポリエチレンレレフタレート系樹脂の融点とは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を示差走査型熱量測定法(DSC)によって測定して得られる、最大の融解ピーク温度を指す。
【0017】
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)は、0.40以上0.70以下であることが好ましい。前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.40以上、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.50以上とすることにより、前記不織布を構成する繊維の強度の低下を抑制することができる。一方、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.70以下とすることにより、細い繊維径でも安定して紡糸することができ、地合が均一であり、かつ、実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0018】
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、金属酸化物、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミド、そして、親水剤等の添加剤を添加することができる。なかでも、酸化チタン等の金属酸化物は、繊維の表面摩擦を低減し繊維同士の融着を防ぐことにより紡糸性を向上し、また不織布の熱ロールによる融着成形の際、熱伝導性を増すことにより不織布の融着性を向上させる効果があるため、より機械的強度に優れたスパンボンド不織布とすることができる。
【0019】
[繊維]
前記不織布を構成する前記繊維としては、芯鞘型複合繊維であることが好ましい。
【0020】
さらに、鞘成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)が、芯成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下の範囲内で低いことが好ましい。以降、この態様における、鞘成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂を「低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂」、芯成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂を「高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂」とも呼ぶ。前記低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度が前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度よりも0.05以上、より好ましくは0.08以上、さらに好ましくは0.10以上低いことにより、紡糸時に芯成分に紡糸応力を集中させ、芯成分の配向を促進させるとともに、鞘成分の配向を抑制させることができる。その結果、単繊維強度が高く、かつ、熱接着性にも優れた繊維とすることができるため、優れた機械的強度を有する不織布が得られやすくなる。一方、前記低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度が、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度よりも0.25以下、好ましくは0.20以下低いことにより、芯鞘型複合繊維の単繊維強度を向上させることができる。
【0021】
また、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)は0.55以上0.70以下であることが好ましい。前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.55以上とすることで、単繊維強度の低下を防ぐことができる。また、高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.70以下とすることで、細い繊維径でも安定して紡糸することができ、地合が均一であり、かつ実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0022】
前記芯鞘型複合繊維における鞘成分の質量比率としては、10質量%以上80質量%以下が好ましい。前記鞘成分の質量比率が10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることにより、熱接着時に鞘成分同士が強固に融着し、実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。一方、前記鞘成分の比率が80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下であることにより、高配向である芯成分の割合を増やし、芯鞘型複合繊維の単繊維強度を向上させ、実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0023】
前記芯鞘型複合繊維における複合形態としては、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型などを用いることができる。中でも、紡糸性に優れ、熱接着により繊維同士を均一に接着させることにより機械的強度に優れたスパンボンド不織布とすることができることから、芯鞘型の複合形態とすることが好ましく、同心芯鞘型の複合形態とすることがより好ましい。
【0024】
前記繊維は、平均単繊維径が6.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。前記平均単繊維径を6.0μm以上、より好ましくは7.0μm以上、さらに好ましくは8.0μm以上とすることにより、紡糸性の低下を防ぎ、生産安定性を向上させることができると共に、機械的強度にも優れたスパンボンド不織布とすることができる。一方、前記平均単繊維径を20.0μm以下とし、より好ましくは18.0μm以下、さらに好ましくは16.0μm以下とすることにより、地合が均一であり、かつ実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0025】
本発明において、平均単繊維径(μm)は、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布からランダムに10mm×10mmの小片サンプル10個を採取する。
(ii)採取した小片サンプルの表面を走査型電子顕微鏡等で500~2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真から10本ずつ、計100本の繊維を任意に選び出して、その太さを測定する。繊維は断面が円形と仮定し、太さを繊維直径とする。
(iv)それらの算術平均値の小数点以下第二位を四捨五入して算出した値を平均単繊維径とする。
【0026】
[スパンボンド不織布]
本発明のスパンボンド不織布は、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲に結晶化ピークを有する。前記スパンボンド不織布が上記範囲内に結晶化ピーク温度を有することで、エンボス圧着時の繊維同士の融着が促進され、引張強力に優れたスパンボンド不織布となり、更に、非圧着部の繊維が熱で爛れるため、引裂強力は低く、手切れ性に優れたスパンボンド不織布となる。一方、結晶化ピークを有さないスパンボンド不織布の場合は、繊維同士の融着が生じにくく、引張強力の低い不織布となるだけでなく、非圧着部の繊維が爛れないため、繊維が引き裂きにくく、手切れ性に劣ったスパンボンド不織布となってしまう。
【0027】
さらに、前記スパンボンド不織布は、示差走査型熱量測定法で250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有する。上記範囲内に単一の融解ピークを有することにより、熱接着時に低融点成分が溶融し熱ロールに貼り付くなどの操業上の問題を発生させることなく、繊維同士を十分な温度で強固に熱接着させることができるため、実用に供しうる強度を有するスパンボンド不織布が得られる。
【0028】
ここで、スパンボンド不織布の結晶化ピークの温度Tc(℃)および融解ピークの温度Tm(℃)は、示差走査型熱量測定法(DSC)により得られ、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(1)スパンボンド不織布の小片を試料量0.5~5mgサンプリングする。
(2)示差走査型熱量測定法(DSC)を用い、昇温速度16℃/分で、常温から温度280℃まで昇温しDSC曲線を得る。
(3)DSC曲線から結晶化発熱ピークのピークトップ温度を読み取り、スパンボンド不織布の結晶化ピークの温度Tc(℃)とし、融解吸熱ピークのピークトップ温度を読み取り、スパンボンド不織布の融解ピークの温度Tm(℃)とする。
【0029】
前記スパンボンド不織布は、エンボス圧着率が5面積%以上30面積%以下である。当該エンボス圧着率を5面積%以上、より好ましくは8面積%以上、さらに好ましくは10面積%以上することにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、当該エンボス圧着率を30面積%以下、より好ましくは25面積%以下、さらに好ましくは20面積%以下とすることにより、不織布表面の凹凸を減らし、テープとして使用した場合に十分な密着性を得ることができる。
【0030】
ここでいうエンボス圧着率とは、圧着部がスパンボンド不織布全体の面積に占める割合のことを言う。具体的には、一対の凹凸を有するロールにより熱圧着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって繊維ウェブに当接する部分(圧着部)のスパンボンド不織布全体に占める面積の割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱圧着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が繊維ウェブに当接する部分(圧着部)のスパンボンド不織布全体に占める面積の割合のことを言う。
【0031】
前記スパンボンド不織布は、非圧着部における単位面積あたりの繊維爛れ率が5.0%以上50.0%以下であることが好ましい。繊維爛れ率が5.0%以上、より好ましくは7.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上であることで、引裂強力が低下し、テープ基材として実用に供しうる十分な手切れ性とすることができる。一方、繊維爛れ率を50.0%以下、より好ましくは40.0%以下、さらに好ましくは30.0%以下とすることで、過度な繊維の爛れを抑制し、引張強力が低下することを抑えることができる。本発明において、繊維爛れ率は、以下の方法によって測定・算出された値のことを指す。
(i)不織布から小片サンプルを表面観察用、裏面観察用に各10個採取する(合計20個)。
(ii)採取した小片サンプルを、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス製「VHX-D500」など)を用いて、倍率2000倍で面積22000μm
2の写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真において、全繊維本数(N)および、
図1に例示されるような爛れている箇所(3)が繊維の長さ方向に10μm以上である繊維本数(n)をそれぞれカウントし、以下の式で繊維爛れ率を算出する。
繊維爛れ率(%)=(n/N)×100
(iv)表面、裏面それぞれで10個の小片サンプルの算術平均値を算出し、小数点以下第二位で四捨五入し、表面裏面の爛れ率を比較し、大きい値をスパンボンド不織布の繊維爛れ率とする。
【0032】
本発明のスパンボンド不織布は、目付当たりの引張強力が5.00(N/5cm)/(g/m2)以上であることが好ましい。引張強力を5.00(N/5cm)/(g/m2)以上、より好ましくは5.50(N/5cm)/(g/m2)以上、さらに好ましくは5.80(N/5cm)/(g/m2)以上とすることで、テープ基材としての最低限の引張強度を有することができ、テープ加工性の面から好ましい。
【0033】
本発明において、スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m2))は、JIS L1913:2010「一般長繊維不織布試験方法」の6.3「引張強さおよび伸び率」に準拠して、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)不織布から30cm×5.0cm幅のサンプルを、MD方向、CD方向にそれぞれ等間隔で3枚採取する。
(ii)つかみ間隔20cm、引張速度100±10mm/minの条件で、サンプルが切断するまで荷重を加える。
(iii)サンプルの最大荷重時の強さを引張強力(N/5cm)とし、MD方向、CD方向それぞれ3点の平均値を算出し、それぞれの平均値の合計をスパンボンド不織布の引張強力とする。
(iv)次の式に基づいてスパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m2))を算出し、小数点以下第三位を四捨五入する。
スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m2))=[スパンボンド不織布の引張強力(N/5cm)]/目付(g/m2) 。
【0034】
本発明のスパンボンド不織布は、目付当たりの引裂強力が0.10N/(g/m2)以上1.00N/(g/m2)以下であることが好ましい。引裂強力を0.10N/(g/m2)以上、より好ましくは0.15N/(g/m2)以上とすることで、テープ基材としての最低限の引裂強度を有することができ、テープ加工性の面から好ましい。一方、引裂強力は1.00N/(g/m2)以下、より好ましくは0.90N/(g/m2)以下、さらに好ましくは0.80N/(g/m2)以下とすることで、テープ加工後の手切れ性をより効果的に向上させることができる。
【0035】
本発明において、スパンボンド不織布の目付当たりの引裂強力は、定速伸長型引張試験機(例えば、ボールドウィン社製「RTG-1250」)を用い、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の6.4「引裂強さ」のa)トラペゾイド法に準拠して、以下のように測定される値を採用するものとする。
(i)不織布から25cm×5.0cm幅のサンプルを、MD方向にそれぞれ等間隔で3枚採取する。
(ii)試験片に等脚台形の印をつけ、この印の短辺の中央に短辺と直角に1.0cmの切り込みを入れる。
(iii)試験片を定速伸長型引張試験機にて、つかみ間隔10cmとして台形の短辺は張り、長辺は緩めて、印に沿ってつかみ具に取り付ける。
(iv)引張速度100±10mm/minの条件で、引き裂くときの最大荷重を引裂強力(N)とし、3点の平均値を算出し、スパンボンド不織布の引裂強力(N)とする。
(v)次の式に基づいてスパンボンド不織布の目付あたりの引裂強力(N/(g/m2))を算出し、小数点以下第三位を四捨五入する。
スパンボンド不織布の目付あたりの引裂強力(N/(g/m2))=[スパンボンド不織布の引裂強力(N)]/目付(g/m2) 。
【0036】
[スパンボンド不織布の製造方法]
本発明のスパンボンド不織布は、本発明のスパンボンド不織布の製造方法により好ましく製造することができる。すなわち本発明のスパンボンド不織布の製造方法は、本発明のスパンボンド不織布を製造する方法であって、下記の工程(a)~(c)をこの順に含む。
【0037】
[工程(a):繊維を紡出する工程]
工程(a)において、融点250℃以上270℃以下の高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の周りに、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下低い固有粘度(IV)を有する融点250℃以上270℃以下の低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を配した芯鞘型複合繊維を紡出する。
【0038】
すなわち、前記芯鞘型複合繊維において、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を芯成分、前記低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を鞘成分とすることが好ましい。前記芯成分の固有粘度と前記鞘成分の固有粘度との差を0.05以上、より好ましくは0.10以上とすることにより、紡糸時に前記芯成分に紡糸応力を集中させ、前記芯成分の配向を促進させるとともに、前記鞘成分の配向を抑制させることができる。一方、前記芯成分の固有粘度と前記鞘成分の固有粘度との差を0.25以下、好ましくは0.20以下とすることで、前記芯鞘型複合繊維の単繊維の強度を向上させることができるとともに、熱接着時の急激な軟化を抑制して、製造時においても熱ロールへの貼りつきを抑制できる。
【0039】
前記芯鞘型複合繊維は、その融点以上、融点+70℃以下で溶融し、その融点以上、融点+70℃以下の温度の紡糸口金から溶融押出することが好ましい。
【0040】
前記芯鞘型複合繊維が押出される紡糸口金の吐出孔の形状は、前記繊維の断面形状に合わせ、円形、楕円形、多角形、多葉形、あるいは、これらの組み合わせの形状を採用することができる。なかでも、円形の形状が、効率的に繊維同士の接着点を得られ、熱圧着により繊維同士を強固に接着させる観点からより好ましい態様である。
【0041】
[工程(b):繊維ウェブを形成する工程]
工程(b)において、紡出された前記芯鞘型複合繊維をエジェクターにより牽引、延伸し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する。
【0042】
工程(b)において、上記の紡出された繊維を、エジェクターにより牽引、延伸し、その繊維を移動するネットコンベアー上に堆積させ繊維ウェブを形成することが好ましい。この際、繊維を牽引する紡糸速度は、3000m/分以上6000m/分以下とすることが好ましい。
【0043】
[工程(c):繊維ウェブを熱圧着する工程]
工程(c)において、前記繊維ウェブをエンボス圧着率5面積%以上30面積%以下の範囲内で熱圧着する。
【0044】
前記繊維ウェブを熱圧着することにより、意図するスパンボンド不織布を得ることができる。
【0045】
前記繊維ウェブを熱圧着する方法としては例えば、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールなど、各種ロールにより熱圧着する方法が挙げられる。なかでも、生産性に優れ、部分的な熱圧着部で強度を付与し、かつ非圧着部で不織布ならではの風合いを保持することができることから、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、または片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールを用いることが好ましい。
【0046】
前記熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
【0047】
前記熱エンボスロールによるエンボス圧着率は、5面積%以上30%面積以下である。エンボス圧着率を5面積%以上、好ましくは8面積%以上、より好ましくは10面積%以上とすることにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、エンボス圧着率を30面積%以下、好ましくは25面積%以下、より好ましくは20面積%以下とすることにより、不織布表面の凹凸を減らし、テープとして使用した場合に十分な密着性を得ることができる。
【0048】
熱エンボスロールによる圧着部の形状としては例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。
【0049】
また前記圧着部は、スパンボンド不織布の長手方向(搬送方向)と幅方向にそれぞれ一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、スパンボンド不織布の強度のばらつきを低減することができる。
【0050】
熱圧着時の前記熱エンボスロールの表面温度は、使用しているポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点(以降、Tm(℃)と記載することがある)に対し10℃~100℃低い温度(すなわち、(Tm-100)℃~(Tm-10)℃)とすることが好ましい。熱ロールの表面温度を、(Tm-100)℃以上、より好ましくは(Tm-90)℃以上とすることにより、適度に熱圧着させ実用に供しうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの表面温度を、(Tm-10)℃以下、より好ましくは(Tm-15)℃以下とすることにより、過度な熱圧着を抑制し、スパンボンド不織布が部分的にフィルムのようなシート形態となることを抑制できる。
【0051】
熱圧着時の前記熱エンボスロールの線圧は、90N/cm以上1000N/cm以下であることが好ましい。熱圧着するための線圧を90N/cm以上とすることにより、機械的強度に優れたスパンボンド不織布とすることができる。熱圧着するための線圧を1000N/cm以下とすることにより、繊維同士の過度な融着を防ぐことができる。
【0052】
[テープ]
本発明のテープは、前記不織布を含む。そうすることで、機械的強度に優れ、かつ、手切れ性に優れたテープとすることができる。なお、ここで言うテープとは、不織布基材の少なくとも一方の面に粘着層を有しており、幅が150mm以下のものを指す。
【0053】
本発明のテープは例えば、建築材料用途や車両用途、医療用途等、様々な分野に用いることができる。特に、手切れ性が必要となる建築材料用途で好適に使用することができる。本発明のテープの例としては具体的には、粘着テープ、養生テープ、マスキングテープ、シーリングテープなどを挙げることができる。
【実施例】
【0054】
次に、実施例に基づき本発明の不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0055】
[測定方法]
実施例で用いた評価方法とその測定条件について説明する。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
【0056】
(1)ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点(℃)
示差走査型熱量計(株式会社パーキンエルマー製「DSC-2型」)を用い、昇温速度16℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
【0057】
(2)ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)は次の方法で測定した。
【0058】
オルソクロロフェノール100mLに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、d0はオルソクロロフェノールの密度(g/cm3)をそれぞれ表す。
次いで、相対粘度ηrから、下記式により固有粘度(IV)を算出した。
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634 。
【0059】
(3)繊維の平均単繊維直径(μm)
繊維の平均単繊維直径は、走査型電子顕微鏡として、株式会社キーエンス製「VHX-D500」を用いて前述の方法で算出した。
【0060】
(4)スパンボンド不織布の結晶化ピークの温度(Tc)
スパンボンド不織布の結晶化ピーク温度は、示差走査型熱量計として株式会社パーキンエルマー製「DSC-2型」を用い、前述の方法で算出した。
【0061】
(5)スパンボンド不織布の融解ピークの温度(Tm)
スパンボンド不織布の融解ピーク温度は、示差走査型熱量計として株式会社パーキンエルマー製「DSC-2型」を用い、前述の方法で算出した。
【0062】
(6)繊維爛れ率(%)
スパンボンド不織布における繊維爛れ率は走査型電子顕微鏡として株式会社キーエンス製「VHX-D500」を用いて、前述の方法で算出した。
【0063】
(7)スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m2))
スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力は、定速伸長型引張試験機としてボールドウィン社製「RTG-1250」を用いて前述の方法で測定した。
【0064】
(8)スパンボンド不織布の目付あたりの引裂強力(N/(g/m2))
スパンボンド不織布の目付当たりの引裂強力は、定速伸長型引張試験機としてボールドウィン社製「RTG-1250」を用いて前述の方法で測定した。
【0065】
[使用した樹脂]
実施例・比較例において使用した樹脂について、その詳細を以下に記載する。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂A(PET_A):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.65で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂B(PET_B):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.51で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂C(PET_C):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.70で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂D(PET_D):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.56で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂E(PET_E):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.45で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂F(PET_F):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.62で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂G(CO-PET):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.64、イソフタル酸共重合率が11mol%で融点が230℃の、共重合ポリエチレンテレフタレート。
【0066】
[実施例1]
(繊維を紡出する工程)
ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aおよびポリエチレンテレフタレート系樹脂Bを、それぞれ295℃の温度で溶融させた。次いで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bを鞘成分として、口金温度295℃で、芯:鞘の質量比率を80:20として、同心芯鞘型の複合繊維を円形の吐出孔から紡出した。
【0067】
(繊維ウェブを形成する工程)
上記の工程により紡出した繊維について、紡糸速度5000m/分にて牽引し、得られる不織布の目付を80.0g/m2となるように移動速度が調整されたネットコンベアー上に堆積させることで、繊維径12.1μmの繊維からなる繊維ウェブを形成した。
【0068】
(繊維ウェブを熱圧着する工程)
引き続き、形成した繊維ウェブを、以下の上ロール、下ロールから構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、熱エンボスロールの表面温度:170℃、線圧:686N/cmの条件で熱圧着し、スパンボンド不織布を得た。
上ロール:金属製、接着面積率16%のエンボスロール
下ロール:金属製フラットロール。
【0069】
得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
【0070】
[実施例2]
繊維ウェブを熱圧着する工程において、上ロールとして接着面積率8%のエンボスロールを用いた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0071】
[実施例3]
繊維ウェブを熱圧着する工程において、上ロールとして接着面積率20%のエンボスロールを用いた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0072】
[実施例4]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aをポリエチレンテレフタレート系樹脂Cに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0073】
[実施例5]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aをポリエチレンテレフタレート系樹脂Dに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0074】
[実施例6]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aをポリエチレンテレフタレート系樹脂Cに、またポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Eに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0075】
[実施例7]
繊維ウェブを熱圧着する工程において熱エンボスロールの表面温度を180℃とした。それ以外は実施例6と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0076】
[実施例8]
繊維ウェブを熱圧着する工程において熱エンボスロールの表面温度を190℃とした。それ以外は実施例6と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0077】
[比較例1]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Aとして単成分繊維とした。また、繊維ウェブを熱圧着する工程において熱エンボスロールの表面温度を250℃とした。それら以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0078】
[比較例2]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Gに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0079】
[比較例3]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Fに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0080】
【0081】
実施例1~8のスパンボンド不織布は、引張強力が高く機械的強度に優れ、かつ、引裂強力は低く手切れ性にも優れており、テープ基材として良好な特性を示すものであった。
【0082】
一方で、比較例1~3のスパンボンド不織布は、引裂強力が高く手切れ性に優れないもの(比較例1~3)や、引張強力が低く機械的強度が不足しているもの(比較例1)となった。
【符号の説明】
【0083】
1:爛れが発生していない繊維
2:爛れが発生している繊維
3:爛れている箇所
【要約】
本発明は、機械的強度に優れ、かつ、手切れ性に優れる不織布を提供することを課題としてなされたものである。
本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなる不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有しており、エンボス圧着率が5面積%以上30面積%以下である、スパンボンド不織布である。