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特許7582558スパンボンド不織布、電線押え巻きテープ、印刷基材、およびスパンボンド不織布の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】スパンボンド不織布、電線押え巻きテープ、印刷基材、およびスパンボンド不織布の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20241106BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20241106BHJP
   D04H 3/011 20120101ALI20241106BHJP
   D04H 3/147 20120101ALI20241106BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
D04H3/16
D01F8/14 B
D04H3/011
D04H3/147
H01B7/18 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024521789
(86)(22)【出願日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2024012233
【審査請求日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2023053074
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹光 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】松浦 博幸
(72)【発明者】
【氏名】池尻 祐希
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-537068(JP,A)
【文献】特開2008-163538(JP,A)
【文献】特開2001-140157(JP,A)
【文献】特開2014-037644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 3/16
D01F 8/14
D04H 3/011
D04H 3/147
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有し、最大高さ粗さRzが40.0μm以下である、スパンボンド不織布。
【請求項2】
見かけ密度が、0.40g/cm以上1.00g/cm以下である、請求項1記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスパンボンド不織布を含む、電線押え巻きテープ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のスパンボンド不織布を含む、印刷基材。
【請求項5】
請求項1または2に記載のスパンボンド不織布を製造する方法であって、下記の工程(a)~(c)をこの順に含む、スパンボンド不織布の製造方法。
工程(a):融点250℃以上270℃以下の高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の周りに、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下低い固有粘度(IV)を有する融点250℃以上270℃以下の低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を配した芯鞘型複合繊維を紡出する工程。
工程(b):紡出された前記芯鞘型複合繊維をエジェクターにより牽引、延伸し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する工程。
工程(c):前記繊維ウェブをフラットロールで熱圧着する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパンボンド不織布、電線押え巻きテープ、および印刷基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線押え巻きテープに使用される不織布に要求される性能は、引張強力、シース材との剥離を容易にする表面平滑性、薄さなどである。また、印刷基材においても、機械的強度に加え、不織布の表面平滑性は、印刷の鮮明さ、インクの均一付着性の点からも重要な性能である。
【0003】
従来、スパンボンド不織布において、機械的強度に優れながら表面平滑性に優れた不織布を得るには、加熱圧着による接合のみでは、強力及び平滑性が不足するため不十分であり、樹脂加工を併用する必要があった(特許文献1、特許文献2)。一方で、加熱圧着による接合のみでこれらの特性を満足させるために種々の検討が行われてきた。
【0004】
特許文献3では、電線押え巻きテープや、印刷基材として適したポリエチレンテレフタレートスパンボンド不織布を得る方法として、ポリエチレンテレフタレートの還元粘度を高くし、繊維自体の強力を高めると共に、特定の扁平度且つ繊度とし、高強力かつ平滑性に優れたスパンボンド不織布が提案されている。
【0005】
特許文献4では、固有粘度を特定の範囲とし、繊維表層と内層の扁平度の比を特定の範囲としたスパンボンド不織布が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭55-32342号公報
【文献】特開昭57-56564号公報
【文献】特開2001-140157号公報
【文献】特開2007-197891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3では、扁平糸とすることで、繊維間の空隙が小さくなり、表面平滑性を向上させることが可能であるものの、加熱圧着による結合のみでは、強力および平滑性の面では十分とは言えない。
【0008】
特許文献4では、固有粘度を特定の範囲することで不織布の強力を高めると共に、不織布表層の繊維のみ扁平化させることで表面平滑性も向上させることが可能であるものの、加熱圧着による結合のみでは、強力および平滑性の面では十分とは言えない。
【0009】
そこで本発明の目的は、熱圧着による接着のみで、機械的強度を有しながら、表面平滑性にも優れるスパンボンド不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、スパンボンド不織布の示差走査型熱量測定法における結晶化ピークおよび融解ピークを特定の温度範囲内とすることで、機械的強度に優れ、かつ、表面平滑性に優れるスパンボンド不織布にできるという知見を得た。本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものである。
【0011】
本発明およびその好ましい態様として、以下の構成が示される。
[1] ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有し、最大高さ粗さRzが40.0μm以下である、スパンボンド不織布。
[2] 見かけ密度が、0.40g/cm以上1.00g/cm以下である、上記[1]に記載のスパンボンド不織布。
[3] 上記[1]または[2]に記載のスパンボンド不織布を含む、電線押え巻きテープ。
[4] 上記[1]または[2]に記載のスパンボンド不織布を含む、印刷基材。
[5] 上記[1]または[2]に記載のスパンボンド不織布を製造する方法であって、下記の工程(a)~(c)をこの順に含む、スパンボンド不織布の製造方法。
工程(a):融点250℃以上270℃以下の高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の周りに、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下低い固有粘度(IV)を有する融点250℃以上270℃以下の低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を配した芯鞘型複合繊維を紡出する工程。
工程(b):紡出された前記芯鞘型複合繊維をエジェクターにより牽引、延伸し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する工程。
工程(c):前記繊維ウェブをフラットロールで熱圧着する工程。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機械的強度に優れ、かつ、表面平滑性の高い不織布が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のスパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなるスパンボンド不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下に単一の融解ピークを有し、最大高さ粗さRzが40.0μm以下である。以下にその構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではなく、そして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0014】
[ポリエチレンテレフタレート系樹脂]
まず、本発明のスパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなる。
【0015】
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点は、250℃以上270℃以下であることが好ましい。前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点を250℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性を得やすくなる。また、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点を270℃以下とすることで、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し細い繊維径でも安定した紡糸が行い易くなる。ここでポリエチレンレレフタレート系樹脂の融点とは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を示差走査型熱量測定法(DSC)によって測定して得られる、最大の融解ピーク温度を指す。
【0016】
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)は、0.40以上0.70以下であることが好ましい。前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.40以上、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.50以上とすることにより、前記不織布を構成する繊維の強度の低下を抑制することができる。一方、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.70以下とすることにより、細い繊維径でも安定して紡糸することができ、地合が均一であり、かつ、実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0017】
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、金属酸化物、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミド、そして、親水剤等の添加剤を添加することができる。なかでも、酸化チタン等の金属酸化物は、繊維の表面摩擦を低減し繊維同士の融着を防ぐことにより紡糸性を向上し、また不織布の熱ロールによる融着成形の際、熱伝導性を増すことにより不織布の融着性を向上させる効果があるため、より機械的強度に優れたスパンボンド不織布とすることができる。
【0018】
[繊維]
前記不織布を構成する前記繊維としては、芯鞘型複合繊維であることが好ましい。
【0019】
さらに、鞘成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)が、芯成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下の範囲内で低いことが好ましい。以降、この態様における、鞘成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂を「低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂」、芯成分の前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂を「高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂」とも呼ぶ。前記低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度が前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度よりも0.05以上、より好ましくは0.08以上、さらに好ましくは0.10以上小さいことにより、紡糸時に芯成分に紡糸応力を集中させ、芯成分の配向を促進させるとともに、鞘成分の配向を抑制させることができる。その結果、単繊維強度が高く、かつ、熱接着性にも優れた繊維とすることができるため、優れた機械的強度を有する不織布が得られやすくなる。一方、前記低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度が、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度よりも0.25以下、好ましくは0.20以下の範囲で小さいことにより、芯鞘型複合繊維の単繊維強度を向上させることができる。
【0020】
また、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)は0.55以上0.70以下であることが好ましい。前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.55以上とすることで、単繊維強度の低下を防ぐことができる。また、高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度を0.70以下とすることで、細い繊維径でも安定して紡糸することができ、地合が均一であり、かつ実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0021】
前記芯鞘型複合繊維における鞘成分の質量比率としては、10質量%以上80質量%以下が好ましい。前記鞘成分の質量比率が10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であることにより、熱圧着時に鞘成分同士が強固に融着し、実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。一方、前記鞘成分の比率が80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下であることにより、高配向である芯成分の割合を増やし、芯鞘型複合繊維の単繊維強度を向上させ、実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0022】
前記芯鞘型複合繊維における複合形態としては、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型などを用いることができる。中でも、紡糸性に優れ、熱圧着により繊維同士を均一に接着させることができ、機械的強度に優れたスパンボンド不織布とすることができることから、芯鞘型の複合形態とすることが好ましく、同心芯鞘型の複合形態とすることがより好ましい。
【0023】
前記繊維は、平均繊維径が6.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。前記平均繊維径を6.0μm以上、より好ましくは7.0μm以上、さらに好ましくは8.0μm以上とすることにより、紡糸性の低下を防ぎ、生産安定性を向上させることができると共に、機械的強度にも優れたスパンボンド不織布とすることができる。一方、前記平均繊維径を20.0μm以下、より好ましくは18.0μm以下、さらに好ましくは16.0μm以下とすることにより、地合が均一であり、かつ実用に供しうる十分な強度を有するスパンボンド不織布とすることができる。
【0024】
本発明において、平均繊維径(μm)は、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布からランダムに10mm×10mmの小片サンプル10個を採取する。
(ii)採取した小片サンプルの表面を走査型電子顕微鏡等で500倍~2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真から10本ずつ、計100本の繊維を任意に選び出して、その太さを測定する。繊維は断面が円形と仮定し、太さを繊維径とする。
(iv)それらの繊維径の算術平均値の小数点以下第二位を四捨五入して算出した値を平均繊維径とする。
【0025】
[スパンボンド不織布]
本発明のスパンボンド不織布は、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲に結晶化ピークを有する。前記スパンボンド不織布が上記範囲内に結晶化ピーク温度を有することで、フラットロール接着時の繊維同士の融着が促進され、不織布表面の平滑性に優れるスパンボンド不織布となるとともに、機械的強度にも優れた不織布となる。一方、結晶化ピークを有さないスパンボンド不織布の場合は、繊維同士の融着が生じにくく、不織布表面の平滑性が低くなってしまうだけでなく、機械的強度も低いスパンボンド不織布となってしまう。
【0026】
さらに、前記スパンボンド不織布は、示差走査型熱量測定法で250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有する。上記範囲内に単一の融解ピークを有することにより、熱圧着時に低融点成分が溶融し熱ロールに貼り付くなどの操業上の問題を発生させることなく、繊維同士を十分な温度で強固に熱圧着させることができるため、実用に供しうる強度を有するスパンボンド不織布が得られる。
【0027】
ここで、スパンボンド不織布の結晶化ピークの温度Tc(℃)および、融解ピークの温度Tm(℃)は、示差走査型熱量測定法(DSC)により得られ、以下の手順によって算出される値を採用するものとする。
(i)スパンボンド不織布の小片を試料量0.5mg~5mgサンプリングする。
(ii)示差走査型熱量測定法(DSC)を用い、昇温速度16℃/分で、常温から温度280℃まで昇温しDSC曲線を得る。
(iii)DSC曲線から結晶化発熱ピークのピークトップ温度を読み取り、スパンボンド不織布の結晶化ピークの温度Tc(℃)とし、融解吸熱ピークのピークトップ温度を読み取り、スパンボンド不織布の融解ピークの温度Tm(℃)とする。
【0028】
前記スパンボンド不織布は、最大高さ粗さRzが40.0μm以下である。最大高さ粗さRzを40.0μm以下、好ましくは35.0μm以下、更に好ましくは、33.0μm以下とすることで、不織布表面から局所的な凹凸をなくすことができ、表面の平滑性に優れた不織布とすることができる。
【0029】
なお、本発明において最大高さ粗さRzは以下の方法によって測定・算出された値のことを指す。
(i)10cm×10cmの長繊維不織布を10箇所任意で採取する。
(ii)任意で採取した不織布において、表面粗さ計(例えば、株式会社ミツトヨ社製「サーフテストSJ―210」)を使用し、JISB0610:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)―表面形状:輪郭曲線方式―転がり円うねりの定義及び表示」の規格に準拠し、λc=2.5mm、λs=8μm、測定速度0.5mm/sの条件で21mmの範囲を長繊維不織布シート幅方向に対し測定し、0.1μm単位で最大高さ粗さRzを各採取サンプル10点の測定をそれぞれの面で実施する。
(iii)上記測定した値を各面で算術平均により値を求め、小数点第2位を四捨五入し、値の高い面の値を最大高さ粗さRzとする。
【0030】
本発明のスパンボンド不織布は、算術平均粗さRaが4.5μm以下であることが好ましい。算術平均粗さRaが4.5μm以下、より好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは3.5μm以下であることで、不織布表面全体が滑らかになり、平滑性に優れた不織布とすることができる。
【0031】
本発明において算術平均粗さRaは以下の方法によって測定・算出された値のことを指す。
(i)10cm×10cmの長繊維不織布を10箇所任意で採取する。
(ii)任意で採取した不織布において、表面粗さ計(例えば、株式会社ミツトヨ社製「サーフテストSJ―210」)を使用し、JISB0610:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)―表面形状:輪郭曲線方式―転がり円うねりの定義及び表示」の規格に準拠し、λc=2.5mm、λs=8μm、測定速度0.5mm/sの条件で21mmの範囲を長繊維不織布シート幅方向に対し測定し、0.1μm単位で算術平均粗さRaを各採取サンプル10点の測定をそれぞれの面で実施する。
(iii)上記測定した両面の値(計20点)を算術平均により値を求め、小数点第2位を四捨五入し、算術平均粗さRaとする。
【0032】
本発明のスパンボンド不織布は、目付当たりの引張強力が5.00(N/5cm)/(g/m)以上であることが好ましい。引張強力を5.00(N/5cm)/(g/m)以上、より好ましくは5.50(N/5cm)/(g/m)以上、さらに好ましくは5.80(N/5cm)/(g/m)以上とすることで、最低限の引張強度を有することができるため好ましい。
【0033】
本発明において、スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m))は、JIS L1913:2010「一般長繊維不織布試験方法」の6.3「引張強さおよび伸び率」に準拠して、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)不織布から30cm×5.0cm幅のサンプルを、長手方向(MD)、幅方向(CD)にそれぞれ等間隔で3枚採取する。
(ii)つかみ間隔20cm、引張速度100±10mm/minの条件で、サンプルが切断するまで荷重を加える。
(iii)サンプルの最大荷重時の強さを引張強力(N/5cm)とし、MD、CDそれぞれ3点の平均値を算出し、それぞれの平均値の合計をスパンボンド不織布の引張強力とする。
(iv)次の式に基づいてスパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m))を算出し、小数点以下第三位を四捨五入する。
【0034】
スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m))=[スパンボンド不織布の引張強力(N/5cm)]/目付(g/m) 。
【0035】
本発明のスパンボンド不織布の見かけ密度は、0.40g/cm以上1.00g/cm以下であることが好ましい。見かけ密度を0.40g/cm以上、好ましくは0.42g/cm以上、より好ましくは0.45g/cm以上とすることで、薄さと機械的強度を兼ね備えたスパンボンド不織布とすることができる。また、見かけ密度を1.00g/cm以下、好ましくは0.95g/cm以下、より好ましくは0.90g/cm以下とすることで、一定の通気性を有させることができ、例えば、印刷基材として用いた場合、インクが不織布内部まで染み込みやすくなるため好ましい。
【0036】
なお、前記のスパンボンド不織布の見掛け密度(g/cm)は、後述するスパンボンド不織布の目付(g/m)を、後述するスパンボンド不織布の厚さ(mm)で単位換算した上で除して、その結果(g/cm)の小数点以下第三位を四捨五入し算出される値を採用するものとする。ここで、スパンボンド不織布の厚さ(mm)については以下の手順によって算出する。
(i)長手方向10cm幅なりのスパンボンド不織布を3個採取する。
(ii)直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaでスパンボンド不織布の幅方向に等間隔に1mあたり10点の厚さを0.01mm単位で測定する。
(iii)上記の得られた測定値の算術平均値を、採取した3個のスパンボンド不織布それぞれで算出し、さらに3個のスパンボンド不織布に対しても算術平均値を小数点以下第三位で四捨五入し、算出する。
【0037】
なお、前記のスパンボンド不織布の目付(g/m)は、以下の手順によって算出する。
(i)30cm×50cmのスパンボンド不織布を3個採取する。
(ii)各試料の質量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりの質量(g/m)に換算し、小数点以下第一位を四捨五入して、目付を算出する。
[スパンボンド不織布の製造方法]
本発明のスパンボンド不織布は、本発明のスパンボンド不織布の製造方法により好ましく製造することができる。すなわち本発明のスパンボンド不織布の製造方法は、本発明のスパンボンド不織布を製造する方法であって、下記の工程(a)~(c)をこの順に含む。
【0038】
[工程(a):繊維を紡出する工程]
工程(a)において、融点250℃以上270℃以下の高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の周りに、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)よりも0.05以上0.25以下低い固有粘度(IV)を有する融点250℃以上270℃以下の低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を配した芯鞘型複合繊維を紡出する。
【0039】
すなわち、前記芯鞘型複合繊維において、前記高粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を芯成分、前記低粘度ポリエチレンテレフタレート系樹脂を鞘成分とすることが好ましい。前記芯成分の固有粘度と前記鞘成分の固有粘度との差を0.05以上、より好ましくは0.10以上とすることにより、紡糸時に前記芯成分に紡糸応力を集中させ、前記芯成分の配向を促進させるとともに、前記鞘成分の配向を抑制させることができる。一方、前記芯成分の固有粘度と前記鞘成分の固有粘度との差を0.25以下、好ましくは0.20以下とすることで、前記芯鞘型複合繊維の単繊維強度を向上させることができるとともに、熱圧着時の急激な軟化を抑制して、製造時においても熱ロールへの貼りつきを抑制できる。
【0040】
前記芯鞘型複合繊維は、その融点以上、融点+70℃以下で溶融し、その融点以上、融点+70℃以下の温度の紡糸口金から溶融押出することが好ましい。
【0041】
前記芯鞘型複合繊維が押出される紡糸口金の吐出孔の形状は、前記繊維の断面形状に合わせ、円形、楕円形、多角形、多葉形、あるいは、これらの組み合わせの形状を採用することができる。なかでも、円形の形状が効率的に繊維同士の接着点を得られ、熱圧着により繊維同士を強固に接着させる観点からより好ましい態様である。
【0042】
[工程(b):繊維ウェブを形成する工程]
工程(b)において、紡出された前記芯鞘型複合繊維をエジェクターにより牽引、延伸し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する。
【0043】
工程(b)において、上記の紡出された繊維を、エジェクターにより牽引、延伸し、その繊維を移動するネットコンベアー上に堆積させ繊維ウェブを形成することが好ましい。この際、繊維を牽引する紡糸速度は、3000m/分以上6000m/分以下とすることが好ましい。
【0044】
[工程(c):繊維ウェブを熱圧着する工程]
工程(c)において、前記繊維ウェブをフラットロールで熱圧着する。
【0045】
前記繊維ウェブを熱圧着することにより、意図するスパンボンド不織布を得ることができる。
【0046】
前記繊維ウェブを熱圧着する方法は一対のフラットロールによるものである。フラットロールにより熱圧着を行うことで、エンボスロールによる圧着とは異なり、局所的な凹凸が無くなり、表面の最大高さ粗さを低くすることができ、表面平滑性に優れた不織布とすることができる。
【0047】
前記フラットロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得るために、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
【0048】
熱圧着時の前記フラットロールの表面温度は、使用しているポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点(以降、Tm(℃)と記載することがある)に対し10℃~100℃低い温度(すなわち、(Tm-100)℃~(Tm-10)℃とすることが好ましい。熱ロールの表面温度を、(Tm-100)℃以上、より好ましくは(Tm-90)℃以上とすることにより、適度に熱圧着させ実用に供しうる強度のスパンボンド不織布を得ることができる。また、フラットロールの表面温度を、(Tm-10)℃以下、より好ましくは(Tm-15)℃以下とすることにより、過度な熱圧着を抑制し、スパンボンド不織布が部分的にフィルムのようなシート形態となることを抑制できる。
【0049】
熱圧着時の前記フラットロールの線圧は、90N/cm以上1000N/cm以下であることが好ましい。熱圧着するための線圧を90N/cm以上とすることにより、機械的強度に優れたスパンボンド不織布とすることができる。熱圧着するための線圧を1000N/cm以下とすることにより、繊維同士の過度な融着を防ぐことができる。
【0050】
[電線押え巻きテープ]
本発明の電線押え巻きテープは、前記不織布を含む。そうすることで、薄さと良好な機械的強度を兼ね備え、且つ表面平滑性にも優れた電線押え巻きテープとすることができる。本発明でいう電線押え巻きテープとは、電線ケーブルとこのケーブルを覆うシースとの間に配置されて前記電線ケーブルを押え巻きするものを指す。本発明の電線押え巻きテープは、不織布に半導電性や吸水性などの機能を持たせるために後加工を施すこともできる。
【0051】
本発明の電線押え巻きテープが使用される用途は、特に限定されるものではなく、様々な分野に用いることができる。本発明の電線押え巻きテープが使用される用途の例としては具体的には、送電用電力ケーブル、通信用ケーブルなどを挙げることができる。
【0052】
[印刷基材]
本発明に係る印刷基材は、前記の不織布を含むものである。このようにすることで、機械的強度に優れ、且つ表面平滑性も良好で印刷性に優れた印刷基材とすることができる。印刷基材としては例えば、インクジェット印刷、レーザー印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、感熱転写印刷などの商業印刷用基材であるものが好ましい。本発明の印刷基材は、難燃性や隠蔽性などの機能を向上させるために後加工を施すこともできる。
【0053】
本発明の印刷基材が使用される用途は、特に限定されるものではなく、様々な分野に用いることができる。本発明の印刷基材が使用される用途の例としては具体的には、壁紙、ポスター、ラベルなどを挙げることができる。
【実施例
【0054】
次に、実施例に基づき本発明の不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0055】
[測定方法]
実施例で用いた評価方法とその測定条件について説明する。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
【0056】
(1)ポリエチレンテレフタレート系樹脂の融点(℃)
示差走査型熱量計(株式会社パーキンエルマー製「DSC-2型」)を用い、昇温速度16℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
【0057】
(2)ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度(IV)は次の方法で測定した。
【0058】
オルソクロロフェノール100mLに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた。
η=η/η=(t×d)/(t×d
ここで、ηはポリマー溶液の粘度、ηはオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、tはオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、dはオルソクロロフェノールの密度(g/cm)をそれぞれ表す。
次いで、相対粘度ηから、下記式により固有粘度(IV)を算出した。
固有粘度(IV)=0.0242η+0.2634 。
【0059】
(3)繊維の平均繊維径(μm)
繊維の平均繊維径は、走査型電子顕微鏡として、株式会社キーエンス製「VHX-D500」を用いて前述の方法で算出した。
【0060】
(4)スパンボンド不織布の結晶化ピークの温度(Tc)
スパンボンド不織布の結晶化ピーク温度は、示差走査型熱量計として株式会社パーキンエルマー製「DSC-2型」を用い、前述の方法で算出した。
【0061】
(5)スパンボンド不織布の融解ピークの温度(Tm)
スパンボンド不織布の融解ピーク温度は、示差走査型熱量計として株式会社パーキンエルマー製「DSC-2型」を用い、前述の方法で算出した。
【0062】
(6)スパンボンド不織布の表面最大高さ粗さRz(μm)
スパンボンド不織布における表面最大高さ粗さは、表面粗さ計として株式会社ミツトヨ社製「サーフテストSJ―210」を用い、前述の方法で算出した。
【0063】
(7)スパンボンド不織布の目付(g/m
スパンボンド不織布における目付は前述の方法で算出した。
【0064】
(8)スパンボンド不織布の厚み(mm)
スパンボンド不織布における厚みは前述の方法で算出した。
【0065】
(9)スパンボンド不織布の見かけ密度(g/cm
スパンボンド不織布における見かけ密度は前述の方法で算出した。
【0066】
(10)スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力((N/5cm)/(g/m))
スパンボンド不織布の目付あたりの引張強力は、ボールドウィン社製「RTG-1250」を用いて前述の方法で測定した。
【0067】
(11)スパンボンド不織布の表面算術平均粗さRa(μm)
スパンボンド不織布における表面算術平均粗さRaは、表面粗さ計として株式会社ミツトヨ社製「サーフテストSJ―210」を用い、前述の方法で測定した。
【0068】
[使用した樹脂]
実施例・比較例において使用した樹脂について、その詳細を以下に記載する。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂A(PET_A):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.65で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂B(PET_B):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.51で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂C(PET_C):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.70で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂D(PET_D):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.56で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂E(PET_E):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.45で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂F(PET_F):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.62で融点が255℃の、ポリエチレンテレフタレート。
・ポリエチレンテレフタレート系樹脂G(CO-PET):水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.64、イソフタル酸共重合率が11mol%で融点が230℃の、共重合ポリエチレンテレフタレート。
【0069】
[実施例1]
(繊維を紡出する工程)
ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aおよびポリエチレンテレフタレート系樹脂Bを、それぞれ295℃の温度で溶融させた。次いで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bを鞘成分として、口金温度295℃で、芯:鞘の重量比率を80:20として、同心芯鞘型の複合繊維を円形の吐出孔から紡出した。
【0070】
(繊維ウェブを形成する工程)
上記の工程により紡出した繊維について、紡糸速度5000m/分にて牽引し、得られる不織布の目付を35.0g/mとなるように移動速度が調整されたネットコンベアー上に堆積させることで、平均繊維径10.1μmの繊維からなる繊維ウェブを形成した。
【0071】
(繊維ウェブを熱圧着する工程)
引き続き、形成した繊維ウェブを、以下の上ロール、下ロールから構成される上下一対の熱フラットロールを用いて、熱フラットロールの表面温度:180℃、線圧:686N/cmの条件で熱圧着し、スパンボンド不織布を得た。
上ロール:金属製フラットロール
下ロール:金属製フラットロール。
【0072】
得られたスパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
【0073】
[実施例2]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aをポリエチレンテレフタレート系樹脂Cに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0074】
[実施例3]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Aをポリエチレンテレフタレート系樹脂Dに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0075】
[実施例4]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Eに替えた。それ以外は実施例2と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0076】
[比較例1]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Aとして単成分繊維とした。また、繊維ウェブを熱圧着する工程において熱フラットロールの表面温度を250℃とした。それら以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0077】
[比較例2]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Gに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0078】
[比較例3]
繊維を紡出する工程において、ポリエチレンテレフタレート系樹脂Bをポリエチレンテレフタレート系樹脂Fに替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0079】
[比較例4]
繊維ウェブを熱圧着する工程において、上ロールを金属製フラットロールから、金属製丸柄エンボスロール(圧着率16%)に替えた。それ以外は実施例1と同じ手順と条件で、スパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
実施例1~4のスパンボンド不織布は、引張強力が高く機械的強度に優れ、かつ、算術平均粗さRaも低く、表面平滑性に優れたものであった。
【0082】
一方で、比較例1~4のスパンボンド不織布は、算術平均粗さRaが高く、表面平滑性に優れないもの(比較例1~4)や、引張強力が低く機械的強度が不足しているもの(比較例1)となった。
【要約】
本発明は、機械的強度に優れ、かつ、表面平滑性に優れる不織布を提供することを課題とする。
本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする繊維で構成されてなる不織布であって、示差走査型熱量測定法で100℃以上150℃以下の範囲内に結晶化ピーク、250℃以上270℃以下の範囲内に単一の融解ピークを有しており、最大高さ粗さRzが40.0μm以下である、スパンボンド不織布である。