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特許7582567円筒状容器内に収容された充填層の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】円筒状容器内に収容された充填層の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 5/00 20060101AFI20241106BHJP
   F27D 3/16 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C21B5/00 316
F27D3/16 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024539882
(86)(22)【出願日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2024012485
【審査請求日】2024-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2023073877
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用/高炉を用いた水素還元技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】澤木 直美
(72)【発明者】
【氏名】内田 誠治
(72)【発明者】
【氏名】原田 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】松谷 康平
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特公平6-19088(JP,B2)
【文献】特開昭58-42706(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112668148(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 3/00 - 5/06
C21B 11/00 - 15/04
F27D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状容器内に収容された充填層の処理方法であって、
前記円筒状容器内に前記充填層を収容した状態で、前記円筒状容器の下部に設けられた供給口からガスを供給することで前記円筒状容器内を上昇する第1ガスを生成しつつ、前記円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズルから前記円筒状容器内に第2ガスを供給する工程を、以下の式(1)で表されるガス流れ均一性指標Dが0.60以上である条件下にて行うことを特徴とする方法。
【数1】
ここで、
:前記第1ガスの流量[NL/min]
:前記n本のノズルから供給される前記第2ガスの合計流量[NL/min]
:前記n本のノズルの高さ位置における前記円筒状容器の内径[m]
z:前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さ[m]
:前記n本のノズルのノズル口の水平方向長さ[m]
である。
【請求項2】
前記ガス流れ均一性指標Dが1.00以上である、請求項1に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【請求項3】
前記第1ガスの流量V、前記n本のノズルから供給される前記第2ガスの合計流量V、前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さz、前記n本のノズルのノズル口の水平方向長さD、及び前記ノズルの本数nの選定にあたり、前記ガス流れ均一性指標Dが0.60以上であることを確認する、請求項に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【請求項4】
前記ガス流れ均一性指標Dが0.60以上となるように、前記第1ガスの流量V、前記n本のノズルから供給される前記第2ガスの合計流量V、前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さz、前記n本のノズルのノズル口の水平方向長さD、及び前記ノズルの本数nの少なくとも一つを調整する、請求項に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【請求項5】
前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さzと前記n本のノズルの高さ位置における前記円筒状容器の内径Dとの比z/Dが0.25以下である、請求項に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【請求項6】
前記円筒状容器が高炉である、請求項1~5のいずれか一項に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉を含む円筒状容器内に収容された充填層の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスの一つであるCOガス(二酸化炭素ガス)の排出量削減の動きが高まっており、高炉操業における石炭由来の還元材の削減が急務となっている。還元材は、炉内で熱となって装入物を昇温させる役割と、炉内の鉄系原料(鉄鉱石、鉄鉱石の焼結鉱、鉄鉱石のペレットなど)を還元する役割がある。COガスの排出量削減を目的とした還元材として、水素が注目されている。水素による還元速度はCOガスによる還元速度よりも速いので、高炉への水素系ガス吹き込みにより、COガスの排出量削減及び還元効率の上昇を同時に図ることが可能となる。
【0003】
水素による鉄系原料の還元は吸熱反応であるため、高炉内において装入物の昇温が遅れ、順調な還元が達成されなくなるという課題があった。そこで、炉上部での装入物の昇温不良の影響を回避するための操業方法が開示されている。特許文献1には、酸素高炉でシャフトからガスを吹込む際に、予熱ガス吹き込みノズルの一部もしくは全部を、炉内方向への前後進自在とすることで予熱ガスを炉心まで到達させる方法が開示されている。特許文献2には、シャフトガス吹込み角度を45°以下とすることで、普通高炉の操業において、低還元材比操業時の炉上部での装入物の昇温不良を防止できるとともに、炉頂温度低下による水分凝縮や亜鉛化合物の壁付き等も効果的に抑えることができ、これらにより、低還元材比操業を安定的に実施する方法が開示されている。特許文献3には、装入原料の一部としてフェロコークスを使用する高炉操業の際に、炉頂ガス温度に応じて、シャフト部からのシャフトガスの吹き込み温度、吹き込み量、及び吹き込み高さ位置の何れか又は2種又は3種を組合せて制御することにより、大規模な設備投資を必要とせず、炉頂部の昇温不良を低コストで回避する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平6-19088号公報
【文献】特開2011-214022号公報
【文献】特開2011-32584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の高炉の操業方法においては、高炉内の周方向のガス流れ均一性を確保することが可能なガスの流量、ノズルの突き出し長さ、ノズルの口径、ノズル本数等について十分に考慮されておらず、改善の余地があった。従来の高炉の操業方法のままでは、高炉内の周方向での温度が不均一となることで、周方向で還元率分布が不均一となり、高炉内の平均的な還元効率が悪化し、最適な低還元材比操業が実施できないという問題がある。また、高炉内の周方向での不均一な温度分布は、ガス通気性の偏りを生み、炉内通気抵抗を増加させ、吹き抜けを誘発することが懸念される。同様の課題は、高炉に限らず、円筒状容器内に収容された充填層を処理する場合全般に当てはまる。
【0006】
上記事情を鑑みて、本発明は、円筒状容器内の周方向のガス流れ均一性を確保することが可能な、円筒状容器内に収容された充填層の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。円筒状容器内に収容された充填層を処理するにあたり、円筒状容器内を上昇するガスの流量と、円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズルから供給されるガスの合計流量と、ノズルの高さ位置における円筒状容器の内径と、ノズルの円筒状容器の内周面からの突出長さと、ノズルの口径と、ノズルの本数nと、によって表されるガス流れ均一性指標が所定の範囲にあることで、円筒状容器内の周方向のガス流れ均一性を確保し、容器内でバランスのとれたガス流れを実現することが可能になる。この知見を円筒状容器としての高炉に適用することで、装入物昇温不良、還元効率悪化及び通気性悪化を防止できるとともに、炉頂温度低下による水分凝縮も効果的に抑えることができ、安定した高炉の操業を実現することができる。
【0008】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
【0009】
[1]円筒状容器内に収容された充填層の処理方法であって、
前記円筒状容器内に前記充填層を収容した状態で、前記円筒状容器の下部に設けられた供給口からガスを供給することで前記円筒状容器内を上昇する第1ガスを生成しつつ、前記円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズルから前記円筒状容器内に第2ガスを供給する工程を、以下の式(1)で表されるガス流れ均一性指標Dが0.60以上である条件下にて行うことを特徴とする方法。
【数1】
ここで、
:前記第1ガスの流量[NL/min]
:前記n本のノズルから供給される前記第2ガスの合計流量[NL/min]
:前記n本のノズルの高さ位置における前記円筒状容器の内径[m]
z:前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さ[m]
:前記n本のノズルのノズル口の水平方向長さ[m]
である。
【0010】
[2]前記ガス流れ均一性指標Dが1.00以上である、上記[1]に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【0011】
[3]前記第1ガスの流量V、前記n本のノズルから供給される前記第2ガスの合計流量V、前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さz、前記n本のノズルのノズル口の水平方向長さD、及び前記ノズルの本数nの選定にあたり、前記ガス流れ均一性指標Dが0.60以上であることを確認する、上記[1]又は[2]に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【0012】
[4]前記ガス流れ均一性指標Dが0.60以上となるように、前記第1ガスの流量V、前記n本のノズルから供給される前記第2ガスの合計流量V、前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さz、前記n本のノズルのノズル口の水平方向長さD、及び前記ノズルの本数nの少なくとも一つを調整する、上記[1]又は[2]に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【0013】
[5]前記n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さzと前記n本のノズルの高さ位置における前記円筒状容器の内径Dとの比z/Dが0.25以下である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【0014】
[6]前記円筒状容器が高炉である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の円筒状容器内に収容された充填層の処理方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の充填層の処理方法によれば、円筒状容器内の周方向のガス流れ均一性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例で使用した円筒状容器の(a)外部構造及び(b)内部構造の模式図である。
図2】本発明の一実施形態で用いる円筒状容器の、ノズルが設けられた高さ位置における水平断面図である。
図3】本発明の一実施形態で用いる円筒状容器の、(a)ノズル径が小さい場合及び(b)ノズル径が大きい場合における、ノズルが設置された高さ位置における水平断面図である。
図4】本発明の実施例で使用した円筒状容器の、ノズルが設置された箇所を拡大した模式縦断面図である。
図5】本発明の実施例における温度分布測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る円筒状容器内に収容された充填層の処理方法の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0018】
本発明の一実施形態で用いる円筒状容器は、内部に充填層が収容され、下部に供給口が設けられており、側部に周方向に間隔をもって複数本のノズル(ノズル本数nは2以上の整数)が設けられている。図1に、本発明の実施例で使用した円筒状容器100の(a)外部構造及び(b)内部構造の模式図を示す。円筒状容器100の内部に充填層30を収容した状態で、円筒状容器100の下部に設けられた供給口40から円筒状容器100内にガスを供給することで、円筒状容器内を上昇する第1ガス42を生成しつつ、円筒状容器100の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズル20から円筒状容器100内に第2ガス24を供給する。各ノズル20から、円筒状容器100内部の中心へ向けて第2ガス24が供給され、第2ガス24はノズル口を中心として周囲に拡散する。
【0019】
円筒状容器100の内部に収容された充填層30の積み上がった最大高さの位置を基準高さとして、基準高さよりも低い位置にノズル20が設置されているものとする。基準高さからノズル20の設置高さまでの距離を、基準高さから供給口40の位置までの距離で割った値が0.1~0.9となる高さであることが好ましい。当該値を0.1以上とすることで、充填層30の表面の粒子が流動化して吹き抜けてしまうことを好適に抑制することができる。当該値を0.9以下とすることで、第1ガス42が円筒状容器100の炉壁まで拡がる前に第2ガス24が導入されることを好適に抑制することができる。なお、円筒状容器100は、円筒状容器100の高さ方向の軸が鉛直方向と平行になるように設置されていることが好ましい。
【0020】
図2に、本発明の一実施形態で用いる円筒状容器100の、ノズル20が設けられた高さ位置における水平断面図を示す。図2においては、円筒状容器100の側部10にノズル20が6本設置された場合を示している。第2ガス拡散範囲22は円筒状容器100の水平断面において、ノズル20の先端を中心とした半円又は半楕円として表される。図2においては、複数本のノズル20は全て円筒状容器100の同じ高さの位置に設置され、円筒状容器100の側部10の周方向に設置され、ノズル口は円筒状容器100内部の中心を向くように設置されている。また、図2においては、ノズル20の角度は、円筒状容器100の高さ方向に対して垂直である。
【0021】
このような構造を備える円筒状容器としては、高炉が挙げられる。本発明の一実施形態で用いる円筒状容器は、高炉であることが好ましい。なお、高炉以外にも、円筒状容器の側部及び下部からガスを吹き込む構造を有するシャフト炉等を用いて処理を行う場合であれば、本発明を適用できる。
【0022】
円筒状容器の内部に収容される充填層は、円筒状容器の種類や用途に応じて実施者が適宜選択することができる。なお、式(1)に示すとおり、ガス流れ均一性指標Dは粒子の性状(粒径、粒子密度、粒子形状係数等)の影響を受けない。したがって、充填層を構成する粒子の種類によらず、本発明を適用することができる。円筒状容器が高炉である場合、充填層としては、鉄系原料(鉄鉱石、鉄鉱石の焼結鉱、鉄鉱石のペレット、還元鉄など)及び還元材(コークス等)とすることができる。充填層を構成する原料の粒径は、円筒状容器の大きさに合わせて適宜選択され、例えば高さ10m、内寸炉径3mの高炉であれば粒径10~50mmとすることができる。また、円筒状容器が高炉である場合、充填層の原料密度は、900~1810kg/mであることが好ましい。
【0023】
一般的に、物理現象は具体的な物理量そのもの(ガス流量V(Nm/t)、ノズルのノズル口の水平方向長さD等)ではなく、適切に無次元化したパラメータ(V/(V+V)、D/D等)を用いることによって、装置のサイズや物性値、運転条件(流量、温度、圧力等)によらない、幅広い対象に適用可能な一般化した現象として記述できることが知られている。これは相似則と呼ばれ、測定が困難な高炉などの大型設備を冷間縮小模型で再現する際等によく用いられている評価方法である。本発明者らは、円筒状容器を用いた各種実験結果に基づき、無次元化されたパラメータによって装置スケール、ガス物性、又は運転条件等によらないガス流れ均一性指標を記述することができるか検討した。その結果、円筒状容器内を上昇する第1ガスとノズルから供給される第2ガスとの流量比(V/(V+V))、及び模型装置の各長さの比(D/D及びz/D)という3つの無次元化したパラメータを用いてガス流れ均一性指標Dを記述することで、装置スケールやガス物性、運転条件によらず、ガス流れ均一性を評価できることを見出した。
【0024】
以上より、本発明で用いるガス流れ均一性指標Dは装置スケールやガス物性、運転条件の異なる装置に対しても適用可能な指標であり、円筒模型容器に限らず高炉等にも幅広く適用可能である。
【0025】
本発明において、ガス流れ均一性指標Dは、円筒状容器内のノズル先端をつないだ円の円周上において、ノズルから供給されたガスが拡散する範囲の割合を計算した値である。ガス流れ均一性指標Dは式(1)で表される。
【数2】
ここで、
n:ノズルの本数[本]
:第1ガスの流量[NL/min]
:n本のノズルから供給される第2ガスの合計流量[NL/min]
:n本のノズルの高さ位置における円筒状容器の内径[m]
z:n本のノズルの円筒状容器の内周面からの突出長さ[m]
:n本のノズルのノズル口の水平方向長さ[m]
である。
【0026】
円筒状容器が高炉である場合には、高炉の下部に設けられた羽口を円筒状容器の下部に設けられた供給口とみなし、高炉のシャフト部に設けられたSGIノズルを円筒状容器の側部に設けられたノズルとみなす。すなわち、第1ガスの流量Vはボッシュガス流量VBOSH[Nm/溶銑-ton]、第2ガスの合計流量Vはシャフトガス合計流量VSGI[Nm/溶銑-ton]、ノズルのノズル口の水平方向長さDはSGIノズル内径DSGI[m]として、前記式(1)は以下の式(2)で表される。ここで、ボッシュガス流量とは、羽口から吹き込まれたガス等と羽口先のコークスとがレースウェイにて反応して発生した還元ガス(CO、H、N等)の合計流量のことである。
【数3】
【0027】
式(1)又は式(2)はノズルから供給されたガスが半楕円状に広がると仮定して、ノズルのノズル口の水平方向長さDを考慮した式である。すなわち、ガス流れ均一性指標Dは、ノズル径を考慮してガスの拡散範囲を評価している。図3に、本発明の一実施形態で用いる円筒状容器の、(a)ノズル径が小さい場合及び(b)ノズル径が大きい場合における、ノズルが設置された箇所の水平断面図を示す。図3(a)の場合は、第2ガス拡散範囲22が半円状に拡散し、図3(b)の場合は第2ガス拡散範囲22が半楕円状に拡散する。いずれの場合においても、ガス流れ均一性指標Dを用いることで、ガス流れ均一性を精度よく評価することができる。
【0028】
式(1)又は式(2)において、ガス流れ均一性指標Dが0.60以上であることで、円筒状容器内の周方向のガス流れ均一性を確保できる。ガス流れ均一性指標Dが1.00以上であると、ガス流れ均一性をより十分に確保できる。よって、式(1)又は式(2)において、ガス流れ均一性指標Dは0.60以上とし、1.00以上であることが好ましく、1.10以上であることがより好ましい。また、ガス流れ均一性指標Dは、おおむね10.00以下となる。
【0029】
円筒状容器内を上昇する第1ガスの流量V、円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズルから供給される第2ガスの合計流量V、n本のノズルの円筒状容器の内周面からの突出長さz、n本のノズルのノズル口の水平方向長さD、及びノズルの本数nの選定にあたり、ガス流れ均一性指標Dが0.60以上であることを確認することが好ましい。上記のように選定を行い、円筒状容器を設計することで、ガス流れ均一性が好適に確保できる。
【0030】
ガス流れ均一性指標Dが0.60以上となるように、第1ガスの流量V、n本のノズルから供給される第2ガスの合計流量V、n本のノズルの前記円筒状容器の内周面からの突出長さz、n本のノズルのノズル口の水平方向長さD、及びノズルの本数nの少なくとも一つを調整することが好ましい。上記のように調整を行うことで、ガス流れ均一性が好適に確保できる。
【0031】
円筒状容器内を上昇する第1ガスの流量Vと、円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズルから供給された第2ガスの流量Vは、円筒状容器の大きさによって適宜調整される。ここで、VとVの合計流量に対するVの比V/(V+V)は、第2ガス拡散範囲22の形状を好適に(ノズル20の先端を中心とした半円又は半楕円に)形成させる観点から、0.1以上であることが好ましい。また、第1ガスの流量が0であったとしても、第2ガス拡散範囲22の形状は好適に形成されるため、V/(V+V)は1.0以下であることが好ましい。
【0032】
第1ガスの流量Vは、円筒状容器下部の供給口から供給したガス等の組成及び流量、並びに炉内の化学反応による組成変化から算出できる。例えば、化学反応が起こらない円筒状容器の場合は、円筒状容器下部の供給口から流入するガス量を第1ガスの流量Vとすればよい。また、円筒状容器が高炉である場合は、羽口に供給されたガス等が羽口先のコークスとレースウェイにて反応して発生したボッシュガスを第1ガスとすればよい。ボッシュガス流量は羽口から吹込まれるガス等(送風ガス及び羽口吹込み還元材等)の組成と流量がわかれば算出することができる。
【0033】
第1ガス及び第2ガスとしては、空気等を使用することができる。第1ガス及び第2ガスのうち少なくとも一方の温度は、充填層を加熱昇温する観点から、円筒状容器の周囲の大気温度より高い温度、例えば40℃以上であることが好ましい。また、第1ガス及び第2ガスの温度は、装置の保護の観点から、装置の耐熱温度以下、例えば円筒状容器が塩ビ製の場合は60℃以下であることが好ましい。
【0034】
なお、評価を簡便化するため、第1ガスの流量V及び第2ガスの流量Vは、標準状態(0℃、1気圧)のガス流量を用いることができる。これは、第1ガス及び第2ガスが同一温度であれば、式(1)内のV/(V+V)の値は温度によらず同一となるためである。また、第1ガス及び第2ガスの温度が異なる場合であっても、第1ガスと第2ガスとの温度差が絶対温度(K)にて20%以内の差異であれば、本発明への影響は小さいため、標準状態のガス流量を用いることができる。同様に、円筒状容器内の反応により第1ガス又は第2ガスのモル数が増減するとガス体積が変化するが、反応によるモル数変化が20%以下であれば本発明への影響は小さいため、反応前のガス流量を用いて本発明を適用できる。なお、円筒状容器が高炉である場合は、送風ガスを羽口から炉内に吹き込んだ直後の領域(レースウェイ)では大きな体積変化を伴うガス化反応が起こる。しかし、その後の高炉内の主要な反応である還元反応においては、モル数が変化しないため体積変化は小さく、本発明を適用できる。そこで、円筒状容器が高炉である場合は、レースウェイにおけるボッシュガスの流量を第1ガス流量Vとして本発明を適用する。
【0035】
ボッシュガスは、高炉の羽口に供給されたガス等が羽口先のコークスとレースウェイにて反応して発生した還元ガス(CO、H、N等)からなる。鉱石の還元反応を促進する観点から、ノズル高さにおけるボッシュガスの温度は、560℃以上とすることが好ましい。また、軟化溶融した鉱石をノズルに付着させない観点から、ノズル高さにおけるボッシュガスの温度は、1200℃以下とすることが好ましい。
【0036】
高炉の羽口に供給されるガスは、COガスの排出量削減の観点から、空気又は酸素、及び、メタン等の気体還元材であることが好ましい。羽口に供給されるガスの温度は、羽口先のガス温度を確保する観点から、0℃以上であることが好ましい。また、羽口に供給されるガスの温度は、羽口先のガスの過度な温度上昇を防止する観点から、1300℃以下であることが好ましい。
【0037】
高炉のSGIノズルに供給されるガスは、高炉内の鉄系原料の還元を阻害しない観点から、CO、H等が含まれる還元性ガスであることが好ましい。還元性ガスが含まれていれば、CO、HO等の酸化ガスやN等の不活性ガスも含まれていてもよい。また、ボッシュガスがノズル位置まで上昇した時のガス温度以上のガスをSGIノズルから供給する必要があるため、SGIノズルに供給するガスの温度は400℃以上であることが好ましい。また、SGIノズルに供給するガスの温度は、ガス温度の過熱によるエネルギー損失を防ぐ観点から、1000℃以下であることが好ましい。具体的には、例えば高炉から排出された高炉ガスを部分燃焼させて生成した予熱ガスを用いることが好ましい。
【0038】
円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたノズルの本数nが2[本]以上であれば本発明の効果が得られ、3[本]以上であると、ガス流れ均一性がより好適に得られる。よって、ノズルの本数nは、2[本]以上とし、3[本]以上であることが好ましい。一方、ノズルの本数nが50[本]以下であると、設備費用や維持管理費を好適に抑え、効率的に操業することができる。よって、ノズルの本数nは50[本]以下であることが好ましい。ノズルは、円筒状容器の側部に周方向に等間隔に設けられることが好ましい。なお、ノズルの本数が多いほど円筒状容器内のガス流れを均一にすることは容易になるが、ガスの流量等によってはノズル本数が多い場合であっても均一性を確保することができない場合もある。本発明においては、ノズルの本数が少ない場合においても、ガス流れ均一性指標Dが所定範囲であることを満たすことで、円筒状容器内のガス流れの均一性を確保することができる。
【0039】
ノズルのノズル口の水平方向長さDが充填層を構成する全充填粒子の調和平均径以上であると、第2ガス拡散範囲22の形状が好適に形成される。したがって、Dは、充填層を構成する全充填粒子の調和平均径以上であることが好ましい。例えば、原料粒子の調和平均径が0.02[m]である場合、Dは0.02[m]以上であることが好ましい。一方、Dが全充填粒子の調和平均径の10倍以下であると、充填層内の原料粒子のノズルへの逆流を好適に防ぐことができる。したがって、Dは、充填層を構成する全充填粒子の調和平均径の、10倍以下であることが好ましく、5倍以下がより好ましい。例えば、原料粒子の調和平均径が0.02[m]である場合、Dは、0.20[m]以下が好ましく、0.10[m]以下がより好ましい。
【0040】
ノズル口のガス噴射方向に垂直な断面形状(すなわちノズル口形状)は円形に限定されず、例えば矩形であってもよく、形状によらずノズル口の水平方向における最大長さをDとする。また、ノズルは単孔ノズルに限定されず、多孔ノズルを用いてもよい。多孔ノズルとしては等間隔に配置された近接する複数の吐出孔を持つものを使用できる。例えば、複数のパイプを束ねて多孔を形成したもの、単管の配管の先端に多孔形状のノズルチップをつけたもの、単孔ノズルに網を設置して多孔を形成したもの等が使用できる。また、多孔ノズルを用いる場合、ノズル口の水平方向長さDは、水平方向において、多孔ノズルが有する複数の吐出孔のうち、最も右に位置するノズルの最右端から最も左に位置するノズルの最左端までの長さとする。また、多孔ノズルを用いる場合は、ノズル内への原料粒子の侵入を防止できるという効果が得られる。また、ノズルごとにノズル口の水平方向長さが異なる場合は、n本のノズルに対してノズル口の水平方向長さを算術平均した値をノズル口の水平方向長さDとすればよい。
【0041】
また、ノズルは必ずしも水平に配置される必要はなく、円筒状容器の側部に対して斜めに配置されていてもよい。ノズルが円筒状容器の側部に対して斜めに配置される場合、ノズル高さ位置はノズル先端の高さとする。
【0042】
さらに、全てのノズルが同じ高さに配置される必要はなく、ノズル配置を多段としてもよい。例えば、ノズルの配置を2段以上の千鳥配置としてもよい。ノズルを多段配置した場合は、最も高い位置にあるノズルの位置をノズル高さ位置とする。円筒状容器の内径Dには最も高い位置にあるノズルの高さ位置における円筒容器の内径を用い、ノズルの本数nには多段配置したノズルの全数を用いてガス流れ均一性指標Dを算出する。
【0043】
円筒状容器の側部に周方向に間隔をもって設けられたn本のノズルの円筒状容器の内周面からの突出長さzと、ノズルの設置された高さ位置における円筒状容器の内径Dとの比z/Dが0.25以下であると、荷下がりを好適に抑えることができる。よって、z/Dは0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。一方、z/Dの下限は特に限定されず、0.00であってもよい。ただし、z/Dが0.02以上となるようにノズルを円筒状容器の内周面から突き出すことにより、ガス流れ均一性指標Dを所定範囲としやすい。よって、z/Dは0.02以上であることが好ましい。なお、ノズルを円筒状容器の内周面から突き出す場合には、n本のノズルの突出長さは全て同じとすることが好ましい。突出長さが異なる場合は、zは突出し長さが最も短いノズルの値を用いてDを算出することとする。
【0044】
また、円筒状容器が高炉である場合、熱流比が1.0以下であると、高炉操業における還元材比を低減させることができる。よって、熱流比は1.0以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましい。一方、熱流比が0.4以上であると、高炉内の気体と固体の熱交換が効率よく進行するため、原料の昇温に好適である。よって、熱流比は0.4以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。なお、熱流比(Ws/Wg)とは、以下の式(3)で算出される値である。
【数4】
ここで、Cp,c、Cp,o、Cp,gはそれぞれコークス、鉱石、ガスの比熱であり、CRはコークス比(kg/溶銑-ton)、ORは鉱石比(kg/溶銑-ton)、BVはボッシュガス原単位(Nm/溶銑-ton)である。
【0045】
なお、本明細書に記載されていない工程及び条件については、定法を使用することができる。
【実施例
【0046】
<例1 円筒状容器試験>
高炉を模した円筒状容器を用いて、熱処理試験を行った。図1に使用した円筒状容器の(a)外部構造及び(b)内部構造の模式図を示す。円筒状容器100は、実操業における高炉との縮尺比として約1/10相当の大きさであり、内寸炉口半径300mm、炉高1000mmである不透明の塩ビ容器からなる。そして、円筒状容器100は、容器の底面中心に供給口40を有し、側面にガス吹き込みノズル20を有し、容器内部に充填層30を有する。図1(a)においては、ガス吹込みノズル20の一部は図示されていないが、円筒状容器100の周方向に等間隔に、ノズル20を6本又は30本設置した。円筒状容器100の内部の充填層30としては、円筒状容器100の底部の水平位置を0mmとして、0mm~200mmまでは、円筒状容器断面を一様に上昇するガス流れを生成するため、粒径の大きい約φ6mmのBB弾を充填してBB弾充填層36を形成した。さらに、円筒状容器100の底部の水平位置から200mmの位置で、金網34を用いてBB弾充填層36を固定した。また、円筒状容器100の200mm~800mmの位置には、高炉内原料を模擬した約φ3mmのPE粒子を充填してPE粒子充填層32を形成した。なお、ガス吹込みノズル20は円筒状容器100の底部の水平位置を0mmとして、400mmの高さに設置した。また、供給口40からは約60℃に加熱した空気を送風して円筒状容器内を上昇する第1ガス42を生成した。ガス吹込みノズル20からは20℃の空気を第2ガス24として送風しながら、円筒状容器100の上部からサーモグラフィーカメラ50でガス吹込みノズル20の設置高さから400mm上方の容器内の温度分布を観察した。
【0047】
図4に使用した円筒状容器の、ノズルが設置された箇所を拡大した模式縦断面図を示す。ノズル20は、円筒状容器の高さ方向に垂直に円筒状容器の側部10に設置されていて、円筒状容器の内部に収容されたPE粒子充填層32へ第2ガス24を吹き込む。
【0048】
表1に円筒状容器の実験条件を示す。円筒状容器の実験条件として、ノズル本数は6本又は30本とした。また、円筒状容器の送風条件は、充填層内でのガス流れを考慮し、高炉と流量比が一定となるようにした。また、例1で使用したノズルは、SGIノズルを模擬し、外形15mm、内径5mm又は9mmのパイプ(ノズルのノズル口の水平方向長さD:0.005[m]又は0.009[m])とした。なお、実高炉の縮尺比に換算すると、上記ノズルの内径5mmは高炉のSGIノズル径0.050m、上記ノズルの内径9mmは高炉のSGIノズル径0.090mに相当する。
【0049】
【表1】
【0050】
表2に外形15mm、内径5mmのパイプを使用した場合の実験条件、実験結果、及びガス流れ均一性指標Dの計算結果を示す。また、図5に温度分布測定結果を示す。図5(a)~(d)はそれぞれ表2の測定結果を示し、具体的には(a):No.1、(b):No.3、(c):No.2、(d):No.4の結果を示す。図5(a)~(d)の白点線は等温度線を示し、各白点線に対応する数字は対応する白点線の温度を表す。図5(c)、(d)のように、観測した範囲の円の外周において、温度の差異が20℃以内の場合(白点線のうち1本以下が円と交差する場合)、円筒状容器の周方向のガス流れが均一であると判断し、表2に「◎」と記載した。図5(b)のように、観測した範囲の円の外周において、温度の差異が20℃超え30℃以内の場合(白点線のうち2本が円と交差する場合)、円筒状容器の周方向のガス流れがおおよそ均一であると判断し、表2に「○」と記載した。図5(a)のように、炉壁側の温度に30℃を超える差異がある場合(白点線のうち3本以上が円と交差する場合)、円筒状容器の周方向のガス流れが均一でないと判断し、表2に「×」と記載した。以降の試験においても、同様の基準でガス流れの均一性を評価した。
【0051】
No.1及びNo.2より、第2ガスの吹込みガス量が一定の条件下では、ガス吹込みノズルの本数を6本から30本に増加させることで円筒状容器の周方向のガス流れ均一性が改善されることが分かった。また、No.3及びNo.4より、第2ガスの吹込みガス量が増加した際もNo.1及びNo.2と同様の傾向がみられることを確認した。ただし、吹込みガス量が多いNo.3では、ガス吹込みノズル本数が少ないが円筒状容器の周方向のガス流れはおおよそ均一であった。さらに、No.5より、ガス吹込みノズルの本数やガス吹込み量を固定したままノズルを炉内側に突き出した場合も、円筒状容器の周方向のガス流れ均一性が改善することがわかった。
【0052】
【表2】
【0053】
表3に外形15mm、内径9mm(ノズルのノズル口の水平方向長さD:0.009[m])のパイプを使用した場合の実験条件及び実験結果を示す。表2、表3に示すとおり、温度の直接観測結果に基づく円周方向ガス流れの均一性の評価結果は、本発明のガス流れ均一性指標Dによる評価結果(Dが0.60以上である場合が好ましく、1.00以上がさらに好ましい)と一致しており、本発明にてガス流れ均一性を評価できることが確認できた。
【0054】
【表3】
【0055】
<例2 高炉条件試算結果>
前述のとおり、ガス流れ均一性指標Dは装置の大きさやガスの物性によらない無次元化されたパラメータで構成された指標となっているので、本発明は円筒状容器に限らず幅広い対象に適用可能な方法となっている。例2ではガス流れ均一性指標Dを用いて大型高炉におけるガス流れの均一性を評価した。
【0056】
大型高炉においてメタンガスを用いて操業した場合の条件を想定して、ガス流れ均一性を計算した。表1に円筒状容器によって再現した高炉の操業条件を示す。本計算においては、SGIノズル位置の高炉内径D(m)が4.6mの高炉においては、メタンガス200kg/tを羽口から供給することを想定した。SGIノズル位置の高炉内径D(m)が12.4mの高炉においては、メタンガス160kg/tを羽口から供給することを想定した。シャフトガス吹込みノズルは高炉の周方向に30本設置し、ノズル本数を減らすときは等間隔になるようにノズルを間引き、ノズル本数が30本、15本、6本の場合で計算を行った。なお、高炉下部の羽口から高炉内に吹き込まれるガスは酸素ガス及びメタンガスとし、羽口直後のレースウェイにおいて反応して、ボッシュガスとなり高炉内を上昇することを想定した。ノズル径を0.05m又は0.09mとして、二種類の計算を行った。
【0057】
表4及び表5に操業条件及び計算結果を示す。高炉の周方向におけるガス流れの均一性は、例1の結果を踏まえて、ガス流れ均一性指標Dが1.00以上であれば「◎」、1.00未満0.60以上であれば「○」、0.60未満であれば「×」と判定した。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、円筒状容器の周方向のガス流れ均一性を確保することが可能な、円筒状容器内に収容された充填層の処理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 円筒状容器
10 円筒状容器の側部
20 ノズル
22 第2ガス拡散範囲
24 第2ガス
30 充填層
32 PE粒子充填層
34 金網
36 BB弾充填層
40 供給口
42 第1ガス
50 サーモグラフィーカメラ
【要約】
円筒状容器内の周方向のガス流れ均一性を確保することが可能な、円筒状容器内に収容された充填層の処理方法を提供する。円筒状容器内に収容された充填層の処理方法であって、円筒状容器下部の供給口からガスを供給することで円筒状容器内を上昇する第1ガスを生成しつつ、円筒状容器側部のn本のノズルから円筒状容器内に第2ガスを供給する工程を、式(1)で表されるガス流れ均一性指標Dが0.60以上である条件下にて行う。ここで、V:第1ガスの流量、V:n本のノズルから供給される第2ガスの合計流量、D:ノズルの高さ位置における円筒状容器の内径、z:ノズルの円筒状容器の内周面からの突出長さ、D:ノズル口の水平方向長さである。
【数1】
図1
図2
図3
図4
図5