(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電力増幅器システム
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20241106BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20241106BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20241106BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241106BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241106BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/24
H03F3/68
H01L23/12 B
H01L27/04 U
H01L27/04 L
H01L27/04 C
H01L27/04 D
(21)【出願番号】P 2020215751
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0118351
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、グニョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、スヨン
(72)【発明者】
【氏名】ピョ、スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジェヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ヒュル、ヨウンシク
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ユサム
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-289428(JP,A)
【文献】特開2012-147352(JP,A)
【文献】特開2001-339077(JP,A)
【文献】特開2011-166464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0186107(US,A1)
【文献】特開平05-095236(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0137033(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00- 3/72
H04B 1/38- 1/58
H04B 1/02- 1/04
H01L 23/12
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
RF入力信号を受信して増幅し、前記ベース基板の内部に位置し、そして第1基板に具現されている駆動段と、
前記駆動段からRF信号を受信して増幅し、前記ベース基板の外部に位置し、そして前記第1基板から独立した第2基板に具現されている電力段と
を含む電力増幅器システム。
【請求項2】
前記ベース基板に実装されており、前記駆動段と前記電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする中間マッチング部をさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器システム。
【請求項3】
前記中間マッチング部は、1個以上の層に位置する複数の中間マッチングパターンで構成されている、請求項2に記載の電力増幅器システム。
【請求項4】
前記中間マッチング部は、インダクタおよびキャパシターで連結されている回路、または変圧器を含む、請求項2または3に記載の電力増幅器システム。
【請求項5】
前記駆動段の内部に具現されており、前記駆動段と前記電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする中間マッチング部をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力増幅器システム。
【請求項6】
前記電力段の内部に具現されており、前記駆動段と前記電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする中間マッチング部をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電力増幅器システム。
【請求項7】
前記ベース基板に実装されており、前記電力段とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする出力マッチング部をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力増幅器システム。
【請求項8】
前記出力マッチング部は、1個以上の層に位置する複数の出力マッチングパターンで構成されている、請求項7に記載の電力増幅器システム。
【請求項9】
前記出力マッチング部は、インダクタおよびキャパシターで連結されている回路、または変圧器を含む、請求項7に記載の電力増幅器システム。
【請求項10】
前記電力段の内部に具現されており、前記電力段とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする出力マッチング部をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の電力増幅器システム。
【請求項11】
前記駆動段の内部に具現されており、前記駆動段とRF入力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする入力マッチング部をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の電力増幅器システム。
【請求項12】
前記駆動段は、非反転RF入力信号を受信して増幅する第1駆動増幅器と、反転RF入力信号を受信して増幅する第2駆動増幅器とを含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載の電力増幅器システム。
【請求項13】
前記電力段は、前記第1駆動増幅器から増幅された非反転RF入力信号を増幅する第1電力増幅器と、前記第1駆動増幅器から増幅された反転RF入力信号を増幅する第2電力増幅器とを含む、請求項
12に記載の電力増幅器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、電力増幅器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、通信規格の進化に伴い多様なデジタル変復調方式を採用している。既存のCDMA(Code Division Multiplele Access)通信システムは、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式を採用しており、IEEEの通信規格による無線LAN(Wireless LAN)は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を採用している。そして最近の3GPPの標準規格であるLTE(Long Term Evolution)、LTE-Advanced、そして5Gは、QPSK、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、そしてOFDM方式を採用している。このような無線通信規格は、送信信号のサイズまたは位相が伝送中に維持されることを要求する線形変調方式を採用している。
【0003】
一方、無線通信システムに使用される送信装置は、伝送距離を高めるために、RF(Radio Frequency)信号を増幅する電力増幅器を含む。このような電力増幅器は、送信装置の最後の部分にある回路として、無線通信システムの出力電力、線形性、そして電力効率に影響を与える重要な回路要素である。
【0004】
3GPPでは、既存のLTE規格から発展した5G NR(New Radio)規格を新たに定義したが、このような5G NR規格を充足するために、電力増幅器が高い線形パワーと高い効率を有することが要求されており、追加的に電力増幅器が高い信頼性を有することも要求されている。また、無線通信システムで電力増幅器が占める面積と価格が大きいため、無線通信システムの小型化に伴い、電力増幅器の面積と価格を減少させることが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態の目的は、電力増幅器の線形パワーと効率を増大させることにある。
【0006】
一実施形態の目的は、電力増幅器の信頼性を増大させることにある。
【0007】
一実施形態の目的は、電力増幅器の面積と価格を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、電力増幅器システムは、ベース基板と、RF入力信号を受信して増幅し、ベース基板の内部に位置し、そして第1基板に具現されている駆動段と、駆動段からRF信号を受信して増幅し、ベース基板の外部に位置し、そして第1基板から独立した第2基板に具現されている電力段とを含む。
【0009】
電力増幅器システムは、ベース基板に実装されており、前記駆動段と前記電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする中間マッチング部をさらに含むことができる。
【0010】
中間マッチング部は、1個以上の層に位置する複数の中間マッチングパターンで構成されていてもよい。
【0011】
中間マッチング部は、インダクタおよびキャパシターで連結されている回路、または変圧器を含むことができる。
【0012】
電力増幅器システムは、駆動段の内部に具現されており、駆動段と電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする中間マッチング部をさらに含むことができる。
【0013】
電力増幅器システムは、電力段の内部に具現されており、駆動段と電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする中間マッチング部をさらに含むことができる。
【0014】
電力増幅器システムは、ベース基板に実装されており、電力段とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする出力マッチング部をさらに含むことができる。
【0015】
出力マッチング部は、1個以上の層に位置する複数の出力マッチングパターンで構成されていてもよい。
【0016】
出力マッチング部は、インダクタおよびキャパシターで連結されている回路、または変圧器を含むことができる。
【0017】
電力増幅器システムは、電力段の内部に具現されており、電力段とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする出力マッチング部をさらに含むことができる。
【0018】
駆動段は、非反転RF入力信号を受信して増幅する第1駆動増幅器と、反転RF入力信号を受信して増幅する第2駆動増幅器とを含むことができる。
【0019】
電力段は、第1駆動増幅器から増幅された非反転RF入力信号を増幅する第1電力増幅器と、第1駆動増幅器から増幅された反転RF入力信号を増幅する第2電力増幅器とを含むことができる。
【0020】
電力増幅器システムは、RF入力信号を受信して増幅し、第1基板に具現されている駆動段と、駆動段からRF信号を受信して増幅し、駆動段と連結されており、そして第1基板から独立した第2基板に具現されている電力段と、駆動段と電力段との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングし、駆動段および電力段から独立的に第3基板に具現されているか、電力段と共に第2基板に具現されている中間マッチング部とを含む。
【0021】
電力増幅器システムは、電力段とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする出力マッチング部をさらに含むことができる。
【0022】
電力増幅器システムは、駆動段とRF入力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする入力マッチング部をさらに含むことができる。
【0023】
RF入力信号は、反転RF入力信号と非反転RF入力信号を含むことができ、駆動段は、反転RF入力信号と非反転RF入力信号の差を増幅することができる。
【発明の効果】
【0024】
一実施形態によれば、電力増幅器の線形パワーと効率を増大させることができ、電力増幅器の信頼性を増大させることができ、これによって、通信システムが5G NR規格を十分に満足するようにすることができる。また、一実施形態によれば、電力増幅器の面積と価格を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【
図2】一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【
図3】一実施形態による電力増幅器システムを示す図面である。
【
図4】一実施形態による電力増幅器システムを示す図面である。
【
図5】一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【
図6】一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【
図7】一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【
図8】一実施形態による電力増幅器システムを示す図面である。
【
図9】一実施形態による通信システムの平面を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付けた。
【0027】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「カップリング(coupling)」されているという時、これは「直接的にまたは物理的にカップリング」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を間に置いて「間接的にまたは非接触カップリング」されている場合を含む。
【0028】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという時、これは「直接的にまたは物理的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を間に置いて「間接的にまたは非接触連結」されている場合、または「電気的に連結」されている場合も含む。
【0029】
明細書全体において、RF信号は、Wi-Fi(IEEE 802.11ファミリーなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリーなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM(登録商標)、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、5Gおよびその後のものに指定された任意の他の無線および有線プロトコルによる形式を有することができるが、これに限定されない。
【0030】
明細書全体において、ある部分が他の部分に「実装」されているという時、これは他の部分の「外部に設置」されている場合だけでなく、他の部分の「内部に設置または集積」されている場合も含む。
【0031】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0032】
以下、一実施形態による電力増幅器システムについて添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【0034】
図1を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号を所定の比率に増幅してRF出力信号を生成する。電力増幅器システム100は、駆動段(drive stage)20と電力段(power stage)40を含む。
【0035】
駆動段20は、電源の供給を受けてRF入力信号RFinを増幅する。駆動段20は、駆動増幅器(drive amplifier)を一つ以上含む。予め設定されている利得(gain)に基づいて駆動増幅器がRF入力信号RFinを増幅する時、駆動増幅器の利得は駆動増幅器の降服電圧(breakdown voltage)に基づいて決定され得る。
【0036】
駆動段20は、シリコン(silicon)を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのIC(Integrated Circuit)で具現され得る。例えば、駆動段20は、シリコンウエハーに具現されたICであり得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素(gallium arsenide)を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0037】
また、駆動段20は、ベース基板(base substrate)90の内部にエンベッド(embed)されている。駆動段20は、ベース基板90の少なくとも一部を垂直に通過するビアを通じてRF入力信号RFinを受信する。
【0038】
駆動段20がベース基板外部に設置されている場合、駆動段20の接地がベース基板の最上端からベース基板下部の接地部まで貫通ビア(through vias)を通じて連結されるため、熱によって電力損失が発生することがある。しかし、駆動段20がベース基板90の内部にエンベッドされている場合、駆動段20の接地が駆動段20が位置した層からベース基板下部の接地部までのみ貫通ビアを通じて連結されるため、熱による電力損失は駆動段20が基板外部に設置されている場合より相対的に減ることができる。また、駆動段20がベース基板90の内部にエンベッドされてあり、同時に中間マッチング部が駆動段20の内部に含まれず、駆動段20から独立してベース基板90の内部にエンベッドされている場合、中間マッチング部と駆動段20が一つのICで具現されてベース基板90の内部にエンベッドされた場合より電力損失がほぼ50%以上減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0039】
その他にも、駆動段20の内部に入力マッチング部および中間マッチング部のうちの少なくとも一つが選択的に具現されていてもよく、この場合、駆動段20と共に入力マッチング部および中間マッチング部のうちの少なくとも一つは、一つのICで具現される。ここで、入力マッチング部は、RF入力信号端子と駆動段20との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングし、中間マッチング部は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする。
【0040】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅してRF出力信号RFoutを出力する。電力段40は、電力増幅器(power amplifier)を一つ以上含む。電力段40は、ベース基板90の外部に設置されており、電力段40は、電気連結構造体80を通じてベース基板90に連結されている。例えば、電気連結構造体80は、ソルダボール(solder ball)、ピン(pin)、ランド(land)、またはパッド(pad)のような構造を有することができる。ベース基板90の少なくとも一部を垂直に通過するビアを通じて、電力段40と駆動段20が互いに連結されている。
【0041】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。例えば、電力段40は、ガリウム砒素ウエハーに具現されたICであり得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。これによって、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器を通じて増幅されるRF信号はパワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0042】
電力段40の内部に中間マッチング部および出力マッチング部のうちの少なくとも一つが選択的に具現されていてもよく、この場合、電力段40と共に中間マッチング部および出力マッチング部のうちの少なくとも一つは、一つのICで具現される。ここで、中間マッチング部は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングし、出力マッチング部は、電力段40とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする。
【0043】
図1を参照すると、相対的に熱が多く発生する電力段40をベース基板90の外部に設置することによって、電力増幅器システム100の発熱が最小化しながらも、相対的に熱が少なく発生する駆動段20をベース基板90の内部にエンベッドし、接地による熱損失を最小化することによって、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することができる。また、電力段40と駆動段20を上下垂直に配置して通信モジュールの空間活用を極大化して通信モジュールのサイズを減らすことができる。
【0044】
また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少することができる。そのために、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することによって電力増幅器システム100は高い線形パワーと高い電力効率を有することができ、同時に電力増幅器システム100の製造費用が最小化することができる。
【0045】
図2は一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【0046】
図2を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号を所定の比率に増幅してRF出力信号を生成する。電力増幅器システム100は、駆動段20、中間マッチング部(inter-stage matching unit)30、そして電力段40を含む。
【0047】
駆動段20は、電源の供給を受けてRF入力信号RFinを増幅する。駆動段20は、駆動増幅器を一つ以上含む。予め設定されている利得に基づいて駆動増幅器がRF入力信号を増幅する時、駆動増幅器の利得は駆動増幅器の降服電圧に基づいて決定され得る。
【0048】
駆動段20は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0049】
また、駆動段20は、ベース基板90の内部にエンベッドされている。駆動段20は、ベース基板90の少なくとも一部を垂直に通過するビアを通じてRF入力信号RFinを受信する。
【0050】
駆動段20がベース基板外部に設置されている場合、駆動段20の接地がベース基板の最上端からベース基板下部の接地部まで貫通ビア(through vias)を通じて連結されるため、熱によって電力損失が発生することがある。しかし、駆動段20がベース基板90の内部にエンベッドされている場合、駆動段20の接地が駆動段20が位置した層からベース基板下部の接地部までのみ貫通ビアを通じて連結されるため、熱による電力損失は駆動段20が基板外部に設置されている場合より相対的に減ることができる。また、駆動段20がベース基板90の内部にエンベッドされており、同時に中間マッチング部が駆動段20の内部に含まれず、駆動段20から独立してベース基板90の内部にエンベッドされている場合、中間マッチング部と駆動段20が一つのICで具現されてベース基板90の内部にエンベッドされた場合より電力損失がほぼ50%以上減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0051】
その他にも、駆動段20の内部に入力マッチング部が選択的に具現されていてもよく、この場合、駆動段20と共に入力マッチング部は一つのICで具現される。ここで、入力マッチング部は、RF入力信号端子と駆動段20との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする。
【0052】
中間マッチング部30は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。中間マッチング部30は、変圧器であり得る。また、中間マッチング部30は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、例えば、中間マッチング部30は、L型(L-type)、T型(T-type)、π型(π-type)などであり得る。
【0053】
中間マッチング部30は、1個以上の層に位置する複数の中間マッチングパターン(inter-stage matching patterns)で構成されている。例えば、中間マッチング部30は、3個の層にそれぞれ位置する複数の中間マッチングパターン131、132、133で構成され得る。第2中間マッチングパターン132は、第1中間マッチングパターン131の上に一定の距離を置いて離れて位置し、第1中間マッチングパターン131の少なくとも一部と重なる。第2中間マッチングパターン132と駆動段20は、ベース基板90の少なくとも一部を垂直に通過するビアを通じて連結されており、そのために第2中間マッチングパターン132は駆動段20によって増幅されたRF信号を受ける。第3中間マッチングパターン133は、第2中間マッチングパターン132の上に一定の距離を置いて離れて位置し、第1中間マッチングパターン131の少なくとも一部と重なり、そして第2中間マッチングパターン132の少なくとも一部と重なる。駆動段20から出力されたRF信号は、中間マッチング部30と電気連結構造体80を順次に経て電力段40に入力される。
【0054】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅してRF出力信号RFoutを出力する。電力段40は、電力増幅器を一つ以上含む。電力段40は、ベース基板90の外部に設置されており、電力段40は、電気連結構造体80を通じてベース基板90に連結されている。例えば、電気連結構造体80は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。
【0055】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。そのために、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器を通じて増幅されるRF信号はパワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0056】
電力段40の内部に出力マッチング部が選択的に具現されていてもよく、この場合、電力段40と共に出力マッチング部は一つのICで具現される。ここで、出力マッチング部は、電力段40とRF出力信号端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングする。
【0057】
図2を参照すると、相対的に熱が多く発生する電力段40をベース基板90の外部に設置することによって、電力増幅器システム100の発熱が最小化しながらも、相対的に熱が少なく発生する駆動段20をベース基板90の内部にエンベッドし、接地による熱損失を最小化することによって、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することができる。また、電力段40と駆動段20を上下垂直に配置して通信モジュールの空間活用を極大化して通信モジュールのサイズを減らすことができる。同時に、中間マッチング部30を駆動段20および電力段40とは独立的に通信モジュールに直接実装することによって、製造費用が節減され、電力損失の最小化および回路の最適化が容易になり得る。
【0058】
また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少することができる。そのために、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することによって電力増幅器システム100は高い線形パワーと高い電力効率を有することができ、同時に電力増幅器システム100の製造費用が最小化することができる。
【0059】
図3は一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【0060】
図3を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号を所定の比率に増幅してRF出力信号を生成する。電力増幅器システム100は、駆動段20、中間マッチング部(inter-stage matchin gunit)30、そして電力段40を含む。
【0061】
駆動段20は、電源の供給を受けてRF入力信号RFinを増幅する。駆動段20は、駆動増幅器21を一つ以上含む。予め設定されている利得に基づいて駆動増幅器21がRF入力信号RFinを増幅する時、駆動増幅器21の利得は駆動増幅器の降服電圧に基づいて決定され得る。
【0062】
駆動段20は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0063】
駆動段20は、ベース基板の外部に設置されてもよく、この時、駆動段20は、電気連結構造体を通じてベース基板に連結され得る。また、駆動段20は、ベース基板の内部にエンベッドされてもよい。この場合、電気連結構造体によって発生する電力損失がないため、駆動段20の電力損失が大きく減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0064】
中間マッチング部30は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。中間マッチング部30は、中間マッチング回路(inter-stage matching circuit)31を一つ以上含む。例えば、中間マッチング回路31は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、変圧器を含むことができる。中間マッチング回路31は、駆動増幅器21の出力端と電力増幅器41の入力端との間に連結されている。
【0065】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅してRF出力信号RFoutを出力する。電力段40は、電力増幅器を一つ以上含む。電力段40は、ベース基板の外部に設置されてもよく、この時、電力段40は、電気連結構造体を通じてベース基板に連結され得る。例えば、電気連結構造体は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。
【0066】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。そのために、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器41を通じて増幅されるRF信号はパワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0067】
中間マッチング部30は、駆動段20が具現されたICの内部や電力段40が具現されたICの内部のどこにも含まれず、このようなICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、中間マッチング部30が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。その他にも、中間マッチング部30は、電力段40と共に半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。
【0068】
図3を参照すると、中間マッチング部30を駆動段20および電力段40とは独立的に通信モジュールに直接実装することによって、製造費用が節減され、電力損失の最小化および回路の最適化が容易になり得る。また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少することができる。
【0069】
図4は一実施形態による電力増幅器システムを示す図面である。
【0070】
図4を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号RF
inを受信し、RF入力信号RF
inを所定の比率に増幅してRF出力信号RF
outを生成する。電力増幅器システム100は、入力マッチング部(input matching unit)10、駆動段20、中間マッチング部30、電力段40、そして出力マッチング部(output matching unit)50を含む。
【0071】
入力マッチング部10は、RF入力信号RFinを受ける端子と駆動段20との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。入力マッチング部10は、入力マッチング回路(input matching circuit)11を一つ以上含む。例えば、入力マッチング回路11は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得る。入力マッチング回路11は、RF入力信号RFinを受ける端子と駆動増幅器20の入力端との間に連結されている。
【0072】
駆動段20は、電源の供給を受けてRF入力信号RFinを増幅する。駆動段20は、駆動増幅器21を一つ以上含む。予め設定されている利得に基づいて駆動増幅器21がRF入力信号RFinを増幅する時、駆動増幅器21の利得は駆動増幅器の降服電圧に基づいて決定され得る。
【0073】
駆動段20は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0074】
駆動段20と共に入力マッチング部10は、半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。その他にも、駆動段20とは異なり、入力マッチング部10は、ICの内部に具現されず、ICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、入力マッチング部10が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失が最小化しながらも、回路の最適化が容易になり得る。
【0075】
駆動段20は、ベース基板の外部に設置されてもよく、この時、駆動段20は、電気連結構造体を通じてベース基板に連結され得る。また、駆動段20は、ベース基板の内部にエンベッドされてもよい。この場合、電気連結構造体によって発生する電力損失がないため、駆動段20の電力損失が大きく減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0076】
中間マッチング部30は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。中間マッチング部30は、中間マッチング回路31を一つ以上含む。例えば、中間マッチング回路31は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、変圧器を含むことができる。中間マッチング回路31は、駆動増幅器21の出力端と電力増幅器41の入力端との間に連結されている。
【0077】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅してRF出力信号RFoutを出力する。電力段40は、電力増幅器を一つ以上含む。電力段40は、ベース基板の外部に設置されてもよく、この時、電力段40は電気連結構造体を通じてベース基板に連結され得る。例えば、電気連結構造体は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。
【0078】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。そのために、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器41を通じて増幅されるRF信号はパワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0079】
中間マッチング部30は、駆動段20が具現されたICの内部や電力段40が具現されたICの内部のどこにも含まれず、このようなICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、中間マッチング部30が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。その他にも、中間マッチング部30は、電力段40と共に半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。
【0080】
出力マッチング部50は、電力段40とRF出力信号RFoutが出力される端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。出力マッチング部50は、出力マッチング回路(output matching circuits)51を一つ以上含む。例えば、出力マッチング回路51は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、変圧器を含むことができる。
【0081】
電力段40と共に出力マッチング部50は、半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。その他にも、電力段40とは異なり、出力マッチング部50は、ICの内部に具現されず、ICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、出力マッチング部50が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。
【0082】
図4を参照すると、中間マッチング部30を駆動段20および電力段40とは独立的に通信モジュールに直接実装することによって、製造費用が節減され、電力損失の最小化および回路の最適化が容易になり得る。さらに、入力マッチング部10と出力マッチング部50のうちの少なくとも一つが独立的に通信モジュールに実装される場合、製造費用がより節減され、電力損失の最小化および回路の最適化がより容易になり得る。
【0083】
また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少され得る。
【0084】
図5は一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【0085】
図5を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号を所定の比率に増幅してRF出力信号を生成する。電力増幅器システム100は、複数のベース層(base layers)91、92、93、94、95で構成されたベース基板90に具現されており、駆動段20、中間マッチング部30、電力段40、そして出力マッチング部50を含む。
【0086】
駆動段20は、電源の供給を受けてRF入力信号RFinを増幅する。駆動段20は、駆動増幅器を一つ以上含む。予め設定されている利得に基づいて駆動増幅器がRF入力信号RFinを増幅する時、駆動増幅器の利得は駆動増幅器の降服電圧に基づいて決定され得る。
【0087】
RF入力信号RFinは、RF入力端子パターン144に入力される。RF入力端子パターン144と駆動段入力パターン165は、第1ビア191を通じて互いに連結されている。第1ビア191は、ベース基板90の第1ベース層91および第2ベース層92を垂直に貫通し、第2ベース層92の上に位置する整列パターン(alignment pattern)153と重なる。RF入力信号RFinは、第1ビア191と駆動段入力パターン165を通じて駆動段20に入力されて増幅される。駆動段20によって増幅されたRF信号は、駆動段出力パターン164を通じて出力される。
【0088】
駆動段20は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0089】
駆動段20の内部に入力マッチング部が選択的に具現されていてもよく、この場合、駆動段20と入力マッチング部が一つのICで具現される。
【0090】
また、駆動段20は、ベース基板90の内部にエンベッドされている。例えば、駆動段20は、第3ベース層93に位置する。そのために、駆動段20の電力損失はほぼ50%以上減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0091】
中間マッチング部30は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。中間マッチング部30は、変圧器であり得る。また、中間マッチング部30は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、例えば、中間マッチング部30は、L型(L-type)、T型(T-type)、π型(π-type)などであり得る。
【0092】
中間マッチング部30は、第1中間マッチングパターン163、第2中間マッチングパターン152、そして第3中間マッチングパターン143で構成されている。第1中間マッチングパターン163は、第3ベース層93の上に位置する。第2中間マッチングパターン152は、第2ベース層92の上に位置し、第1中間マッチングパターン163の少なくとも一部と重なる。第2中間マッチングパターン152と駆動出力パターン164は、第2ベース層92を貫通する第2ビア192を通じて連結されており、そのために第2中間マッチングパターン152は駆動段20によって増幅されたRF信号を受ける。第3中間マッチングパターン143は、第1ベース層91の上に位置し、第1中間マッチングパターン163の少なくとも一部と重なり、そして第2中間マッチングパターン152の少なくとも一部と重なる。駆動段出力パターン164から出力されたRF信号は、中間マッチング部30と電気連結構造体80を順次に経て電力段40に入力される。
【0093】
中間マッチング部30は、ベース基板90内部に集積されているため、不要な配線が発生せず、通信モジュールの空間が効率的に活用され得る。また、中間マッチング部30が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子がベース基板90内部に集積され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。
【0094】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅してRF出力信号を出力する。電力段40は、電力増幅器を一つ以上含む。電力段40は、ベース基板90の外部に設置されており、電力段40は、電気連結構造体80を通じてベース基板90に連結されている。例えば、電気連結構造体80は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。
【0095】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。そのために、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器を通じて増幅されるRF信号は、パワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
出力マッチング部50は、電力段40とRF出力信号RFoutが出力される端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。出力マッチング部50は、変圧器であり得る。また、出力マッチング部50は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、例えば、出力マッチング部50は、L型(L-type)、T型(T-type)、π型(π-type)などであり得る。
【0096】
出力マッチング部50は、1個以上の層に位置する複数の出力マッチングパターン(output matching patterns)で構成されている。例えば、出力マッチング部50は、第1出力マッチングパターン(first output matching pattern)142、第2出力マッチングパターン(second output matching pattern)151、そして第3出力マッチングパターン(third output matching pattern)161で構成され得る。第1出力マッチングパターン142は、第1ベース層91の上に位置し、電気連結構造体80を通じて電力段40から増幅されたRF信号を受ける。第2出力マッチングパターン151は、第2ベース層92の上に位置し、第1出力マッチングパターン142の少なくとも一部と重なる。第2出力マッチングパターン151は、第3ビア193を通じて接地パターン(ground pattern)171と連結されており、そのために出力マッチング部50が接地される。また、接地パターン171は、第5ビア195を通じて駆動段20の下部パターン182と連結されており、そのために駆動段20が接地される。第3ビア193は、ベース基板90の第2ベース層92、第3ベース層93、そして第4ベース層94を垂直に貫通し、第3ベース層93の上に位置する整列パターン162と重なり、第4ベース層94の上に位置する整列パターン181と重なる。第2出力マッチングパターン151は、ベース基板90の第1ベース層91を垂直に貫通する第4ビア194を通じてRF出力パターン141と連結されており、そのために電力段40から増幅されたRF信号がRF出力パターン141に転送されてRF出力信号端子に出力される。第3出力マッチングパターン161は、第3ベース層93の上に位置し、第1出力マッチングパターン142の少なくとも一部と重なり、そして第2出力マッチングパターン151の少なくとも一部と重なる。接地パターン171は、第1出力マッチングパターン142の少なくとも一部と重なり、第2出力マッチングパターン151の少なくとも一部と重なり、そして第3出力マッチングパターン161の少なくとも一部と重なる。
【0097】
出力マッチング部50は、ベース基板90内部に集積されているため、不要な配線が発生せず、通信モジュールの空間が効率的に活用され得る。また、出力マッチング部50が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子がベース基板90内部に集積され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。
【0098】
図5を参照すると、相対的に熱が多く発生する電力段40をベース基板90の外部に設置することによって、電力増幅器システム100の発熱が最小化しながらも、相対的に熱が少なく発生する駆動段20をベース基板90の内部にエンベッドし、接地による熱損失を最小化することによって、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することができる。また、電力段40と駆動段20を上下垂直に配置して通信モジュールの空間活用を極大化して通信モジュールのサイズを減らすことができる。
【0099】
また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少され得る。そのために、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することによって電力増幅器システム100は高い線形パワーと高い電力効率を有することができ、同時に電力増幅器システム100の製造費用が最小化することができる。
【0100】
図6は一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【0101】
図6を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号を所定の比率に増幅してRF出力信号を生成する。電力増幅器システム100は、複数のベース層91、92、93、94、95で構成されたベース基板90に具現されており、駆動段20、電力段40、そして出力マッチング部50を含む。
【0102】
駆動段20は、電源の供給を受けてRF入力信号RFinを増幅する。駆動段20は、駆動増幅器を一つ以上含む。予め設定されている利得に基づいて駆動増幅器がRF入力信号RFinを増幅する時、駆動増幅器の利得は駆動増幅器の降服電圧に基づいて決定され得る。
【0103】
RF入力信号RFinは、RF入力端子パターン144に入力される。RF入力端子パターン144と駆動段入力パターン165は、第1ビア191を通じて互いに連結されている。第1ビア191は、ベース基板90の第1ベース層91および第2ベース層92を垂直に貫通し、第2ベース層92の上に位置する整列パターン153と重なる。RF入力信号RFinは、第1ビア191と駆動段入力パターン165を通じて駆動段20に入力されて増幅される。駆動段20によって増幅されたRF信号は、駆動段出力パターン164を通じて出力される。
【0104】
駆動段20は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0105】
駆動段20の内部に入力マッチング部と中間マッチング部のうちの少なくとも一つが選択的に具現されていてもよく、この場合、駆動段20と共に入力マッチング部および中間マッチング部のうちの少なくとも一つは、一つのICで具現される。
【0106】
また、駆動段20は、ベース基板90の内部にエンベッドされている。例えば、駆動段20は、第3ベース層93に位置する。そのために、駆動段20の電力損失はほぼ50%以上減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0107】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅してRF出力信号を出力する。電力段40は、電力増幅器を一つ以上含む。電力段40は、ベース基板90の外部に設置されており、電力段40は、電気連結構造体80を通じてベース基板90に連結されている。例えば、電気連結構造体80は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。
【0108】
駆動段20によって増幅されたRF信号は、駆動段出力パターン164を通じて出力され、駆動段出力パターン164と電力段入力パターン145は、第5ビア195を通じて互いに連結されている。第5ビア195は、ベース基板90の第1ベース層91および第2ベース層92を垂直に貫通し、第2ベース層92に位置する整列パターン154と重なる。
【0109】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。そのために、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器を通じて増幅されるRF信号は、パワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0110】
電力段40の内部に中間マッチング部が選択的に具現されていてもよく、この場合、電力段40と共に中間マッチング部は一つのICで具現される。
【0111】
出力マッチング部50は、電力段40とRF出力信号RFoutが出力される端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。出力マッチング部50は、変圧器であり得る。また、出力マッチング部50は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、例えば、出力マッチング部50は、L型(L-type)、T型(T-type)、π型(π-type)などであり得る。
【0112】
出力マッチング部50は、1個以上の層に位置する複数の出力マッチングパターンで構成されている。例えば、出力マッチング部50は、第1出力マッチングパターン142、第2出力マッチングパターン151、そして第3出力マッチングパターン161で構成され得る。第1出力マッチングパターン142は、第1ベース層91の上に位置し、電気連結構造体80を通じて電力段40から増幅されたRF信号を受ける。第2出力マッチングパターン151は、第2ベース層92の上に位置し、第1出力マッチングパターン142の少なくとも一部と重なる。第2出力マッチングパターン151は、第3ビア193を通じて接地パターン171と連結されており、そのために出力マッチング部50が接地される。また、接地パターン171は、第5ビア195を通じて駆動段20の下部パターン182と連結されており、そのために駆動段20が接地される。第3ビア193は、ベース基板90の第2ベース層92、第3ベース層93、そして第4ベース層94を垂直に貫通し、第3ベース層93の上に位置する整列パターン162と重なり、第4ベース層94の上に位置する整列パターン181と重なる。第2出力マッチングパターン151は、ベース基板90の第1ベース層91を垂直に貫通する第4ビア194を通じてRF出力パターン141と連結されており、そのために電力段40から増幅されたRF信号がRF出力パターン141に転送されてRF出力信号端子に出力される。第3出力マッチングパターン161は、第3ベース層93の上に位置し、第1出力マッチングパターン142の少なくとも一部と重なり、そして第2出力マッチングパターン151の少なくとも一部と重なる。接地パターン171は、第1出力マッチングパターン142の少なくとも一部と重なり、第2出力マッチングパターン151の少なくとも一部と重なり、そして第3出力マッチングパターン161の少なくとも一部と重なる。その他にも、出力マッチング部50は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得る。
【0113】
出力マッチング部50は、ベース基板90内部に集積されているため、不要な配線が発生せず、通信モジュールの空間が効率的に活用され得る。また、出力マッチング部50が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子がベース基板90内部に集積され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。
【0114】
図6を参照すると、相対的に熱が多く発生する電力段40をベース基板90の外部に設置することによって、電力増幅器システム100の発熱が最小化しながらも、相対的に熱が少なく発生する駆動段20をベース基板90の内部にエンベッドし、接地による熱損失を最小化することによって、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することができる。また、電力段40と駆動段20を上下垂直に配置して通信モジュールの空間活用を極大化して通信モジュールのサイズを減らすことができる。
【0115】
また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少することができる。そのために、電力増幅器システム100の電力損失が最小化することによって電力増幅器システム100は高い線形パワーと高い電力効率を有することができ、同時に電力増幅器システム100の製造費用が最小化することができる。
【0116】
図7は一実施形態による電力増幅器システムの断面を示す図面である。
【0117】
図7を参照すると、電力増幅器システム100は、入力マッチング部10、駆動段20、中間マッチング部30、電力段40、そして出力マッチング部50を含む。駆動段20および電力段40は、それぞれベース基板90の上に電気連結構造体80を通じて連結されている。例えば、電気連結構造体80は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。駆動段20は、半導体工程によって一つのICで具現され得、電力段40は、半導体工程によって一つのICで具現され得る。
【0118】
入力マッチング部10、中間マッチング部30、そして出力マッチング部50は、それぞれベース基板90の内部に集積されている。その他にも、入力マッチング部10、中間マッチング部30、そして出力マッチング部50のうちの少なくとも一つは、駆動段20および電力段40から独立的にそれぞれベース基板90の外部に設置されていてもよい。その他にも、入力マッチング部10および中間マッチング部30のうちの少なくとも一つは、駆動段20と共に一つのICで製造されて電気連結構造体80を通じてベース基板90に連結されていてもよい。その他にも、中間マッチング部30および出力マッチング部50のうちの少なくとも一つは、電力段40と共に一つのICで製造されて電気連結構造体80を通じてベース基板に連結されていてもよい。
【0119】
図7を参照すると、中間マッチング部30を駆動段20および電力段40とは独立的に通信モジュールに直接実装することによって、製造費用が節減され、電力損失の最小化および回路の最適化が容易になり得る。また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少することができる。
【0120】
図8は一実施形態による電力増幅器システムを示す図面である。
図8を参照すると、電力増幅器システム100は、RF入力信号RF
inを受信し、RF入力信号RF
inを所定の比率に増幅してRF出力信号RF
outを生成する。電力増幅器システム100は、入力マッチング部10、駆動段20、中間マッチング部30、電力段40、そして出力マッチング部50を含む。
【0121】
入力マッチング部10は、RF入力信号RFinを受ける端子と駆動段20との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。入力マッチング部10は、入力マッチング回路12を一つ以上含む。例えば、入力マッチング回路12は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、変圧器を含むことができる。入力マッチング回路12は、RF入力信号RFinを受信した後、反転RF入力信号RFinと非反転RF入力信号RFinを出力し、一対の駆動増幅器22、23と連結されている。
【0122】
駆動段20は、差動増幅(differential amplification)を行う一対の駆動増幅器22、23を含み、一対の駆動増幅器22、23は、電源の供給を受けてこれらにそれぞれ入力される信号の差を増幅する。一対の駆動増幅器22、23は、位相が互いに反対である信号を大きく増幅させて出力する差動モード(differential mode)と、位相が互いに同一な信号を相殺させて出力する共通モード(common mode)を有する。例えば、差動増幅を行う一対の駆動増幅器22、23は、それぞれ反転RF入力信号RFinと非反転RF入力信号RFinを受信するため、差動モードによって反転RF入力信号RFinの振幅と非反転RF入力信号RFinの振幅が合わされてほぼ2倍の振幅を有する信号が出力され得る。しかし、一対の駆動増幅器22、23にそれぞれ印加される電圧や流れる電流は、それぞれ同一の位相を有するため、電圧や電流に含まれているノイズ(noise)が共通モードによって相殺されて出力され得る。そのために、差動増幅を行う電力増幅器システム100は、高い線形パワーと高い効率を有することができる。
【0123】
駆動段20は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程は、ガリウム砒素を含む基板を使用する場合より単価が相対的に低い。そのために、駆動段20がシリコン基板に具現される場合、電力増幅器システム100の単価が低くなり得る。さらに、通信モジュールの単価で電力増幅器システム100が占める比重が最も大きいため、通信モジュールの単価が大きく減少することができる。しかし、駆動段20は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0124】
駆動段20と共に入力マッチング部10は、半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。その他にも、駆動段20とは異なり、入力マッチング部10は、ICの内部に具現されず、ICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、入力マッチング部10が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失が最小化しながらも、回路の最適化が容易になり得る。
【0125】
駆動段20は、ベース基板の外部に設置されてもよく、この時、駆動段20は、電気連結構造体を通じてベース基板に連結され得る。また、駆動段20は、ベース基板の内部にエンベッドされてもよい。この場合、電気連結構造体によって発生する電力損失がないため、駆動段20の電力損失が大きく減少することができ、駆動段20の利得が増大することができる。
【0126】
中間マッチング部30は、駆動段20と電力段40との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができる。中間マッチング部30は、中間マッチング回路32を一つ以上含む。例えば、中間マッチング回路32は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、変圧器を含むことができる。中間マッチング回路32は、一対の電力増幅器42、43と連結されている。
【0127】
電力段40は、電源の供給を受けて駆動段20からのRF信号を増幅する。電力段40は、一対の電力増幅器42、43を含む。一対の電力増幅器42、43のそれぞれは、駆動増幅器22、23から増幅されたRF信号のそれぞれに対して増幅を行う。一対の電力増幅器42、43のそれぞれは、RF出力信号RFout端子に連結されている。そのために、一対の電力増幅器42、43でそれぞれ増幅された信号が出力マッチング部50で合成されてRF信号が出力されるため、全体的に電力段40の増幅効率が増大することができる。
【0128】
電力段40は、ベース基板の外部に設置されてもよく、この時、電力段40は、電気連結構造体を通じてベース基板に連結され得る。例えば、電気連結構造体は、ソルダボール、ピン、ランド、またはパッドのような構造を有することができる。
【0129】
電力段40は、ガリウム砒素を含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現され得る。ガリウム砒素を含む基板を使用する場合、ガリウム砒素の電子移動度がシリコンより高く、必要な配線容量が小さいため、電気的特性に優れている。そのために、ガリウム砒素を含む基板に電力段40が具現された場合、線形性が高く、高い降服電圧によって高電力の出力が容易である。ガリウム砒素を含む基板に形成されたICは、シリコンを含む基板に形成されたICより高いパワーと高い線形性を達成することができるため、電力段40の電力増幅器41を通じて増幅されるRF信号は、パワーと線形性が高くなり、信頼性も高くなり得る。しかし、電力段40は、シリコンを含む基板を使用する半導体製造工程によって一つのICで具現されることもできる。
【0130】
中間マッチング部30は、駆動段20が具現されたICの内部や電力段40が具現されたICの内部のどこにも含まれず、このようなICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、中間マッチング部30が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。その他にも、中間マッチング部30は、電力段40と共に半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。
【0131】
出力マッチング部50は、電力段40とRF出力信号RFoutが出力される端子との間の信号伝達経路に対するインピーダンスをマッチングすることができ、電力増幅器42、43で出力された信号を合成した後、合成されたRF信号をRF出力信号RFout端子に出力することができる。出力マッチング部50は、出力マッチング回路51を一つ以上含む。例えば、出力マッチング回路51は、インダクタとキャパシターが連結されている回路であり得、変圧器を含むことができる。
【0132】
電力段40と共に出力マッチング部50は、半導体製造工程によって一つのICで製造され得る。その他にも、電力段40とは異なり、出力マッチング部50は、ICの内部に具現されず、ICとは独立的に通信モジュールに直接実装され得る。この場合、出力マッチング部50が高費用のIC内に具現されないため、全体製造費用が節減され得る。また、この場合、IC内で使用され難いインダクタンス値やキャパシタンス値を有する回路素子が通信モジュールに直接実装され得るため、RF信号の損失を最小化し、回路の最適化が容易になり得る。
【0133】
図8を参照すると、中間マッチング部30を駆動段20および電力段40とは独立的に通信モジュールに直接実装することによって、製造費用が節減され、電力損失の最小化および回路の最適化が容易になり得る。さらに、入力マッチング部10と出力マッチング部50のうちの少なくとも一つが独立的に通信モジュールに実装される場合、製造費用がより節減され、電力損失の最小化および回路の最適化がより容易になり得る。
【0134】
また、選択的に、相対的に高い線形電力が要求される電力段40をガリウム砒素を含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の効率が増大しながらも、相対的に低い電力が要求される駆動段20を単価の低いシリコンを含む基板に具現することによって、電力増幅器システム100の単価が減少することができる。
【0135】
図9は一実施形態による通信システムの平面を示す図面である。
【0136】
図9を参照すると、通信システム1は、電力増幅器システム100、低雑音増幅器(low noise amplifier)200、スイッチ(switch)300、カプラー(coupler)400、そして制御器(controller)500を含む。
【0137】
通信システム1を構成する構成のうち、電力増幅器システム100が通信システム1で占める面積が最も大きい。そのために、前述したように、一実施形態による電力増幅器システム100は面積が小さいため、通信システム1の全体のサイズを減らすことができる。
【0138】
電力増幅器システム100は、アンテナを通じて送信するRF信号を増幅する。例えば、電力増幅器システム100は、
図1から
図8を参照して説明した電力増幅器システム100が適用され得る。そのために、電力増幅器システム100の線形パワーと効率を増大させることができ、電力増幅器システム100の信頼性を増大させることができるため、通信システム1は5G NR規格を十分に満足することができる。
【0139】
低雑音増幅器200は、アンテナを通じて受信するRF信号を増幅する。低雑音増幅器200は、非常に小さいレベルのRF信号をノイズと区分されるようにしながら増幅することができる。低雑音増幅器200は、アンテナの近くに位置することができる。低雑音増幅器200とスイッチ300との間に帯域阻止フィルター(band stop filter)が連結されていてもよい。帯域阻止フィルターは、特定の周波数帯域の信号のみを通過させないことができる。
【0140】
スイッチ300は、電力増幅器システム100および低雑音増幅器200を通過するRF信号に対する経路を変更することができる。例えば、スイッチ300は、電力増幅器システム100または低雑音増幅器200のうちのいずれか一つにRF信号を受けることができるようにすることができる。また、スイッチ300は、電力増幅器システム100を通信システム1の制御器500と連結させるか、または電力増幅器システム100を通信システム1と異なる通信規格を有する通信システムと連結させることができる。また、スイッチ300は、低雑音増幅器200を通信システム1の制御器500と連結させるか、または低雑音増幅器200を通信システム1と異なる通信規格を有する他の通信システムと連結させることができる。
【0141】
カプラー400は、入力されるRF信号に対して電力抽出(power sampling)または電力分配(power dividing)を行うことができる。カプラー400は、スイッチ300と連結されている。例えば、カプラー400は、電力増幅器システム100および低雑音増幅器200を通過するRF信号の電力を検出することができ、検出された電力は、制御器500によって電力増幅器システム100および低雑音増幅器200を制御するために利用され得る。また、カプラー400は、RF信号を分割して転送することができ、分割されたRF信号は、それぞれ複数の通信システムで利用され得る。カプラー400とスイッチ300との間に帯域通過フィルター(band pass filter)が連結されていてもよい。帯域通過フィルターは、特定の周波数帯域の信号のみを次の段に伝達することができ、ノイズを除去することができる。
【0142】
制御器500は、電力増幅器システム100、低雑音増幅器200、スイッチ300、そしてカプラー400に連結されて、このような構成を制御することができる。制御器500は、デジタル信号処理を行うようにメモリ、プロセッサーなどを含むことができる。
【0143】
通信システム1は、電子機器に使用され得る。例えば、電子機器は、スマートホン(smart phone)、個人用情報端末器(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニター(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビ(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモチーフ(Automotive)などであり得る。
【0144】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な 変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0145】
10:入力マッチング部
20:駆動段
30:中間マッチング部
40:電力段
50:出力マッチング部
100:電力増幅器システム