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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】スライドドア用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/659 20150101AFI20241106BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20241106BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20241106BHJP
   E05F 15/662 20150101ALI20241106BHJP
【FI】
E05F15/659
B60J5/04 C
B60J5/06 A
E05F15/662
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021087249
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180245
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 健一
(72)【発明者】
【氏名】今井 拓也
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/093514(WO,A1)
【文献】特開2017-82421(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046000(WO,A1)
【文献】特開2010-24825(JP,A)
【文献】特開2012-85419(JP,A)
【文献】国際公開第2016/104318(WO,A1)
【文献】特開2012-170251(JP,A)
【文献】特開2018-42307(JP,A)
【文献】特開2018-139478(JP,A)
【文献】特開2016-134959(JP,A)
【文献】特開2008-206290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/04- 5/08
H02P 21/00-25/03
H02P 25/04
H02P 25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
スライドドアを開閉する動力を出力するモータと、
前記電源と前記モータとを接続するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路を制御する制御装置と、を備えるスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、前記電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置を備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタと、第1ローサイド・トランジスタと、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノードとを備えた第1支流回路と、
第2ハイサイド・トランジスタと、第2ローサイド・トランジスタと、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノードとを備えた第2支流回路と、
第3ハイサイド・トランジスタと、第3ローサイド・トランジスタと、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノードとを備えた第3支流回路と、
前記電源の正極側に接続されるとともに、前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とに並列接続される第4ノードと、
前記電源の負極側に接続されるとともに、前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とに並列接続される第5ノードと、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイルが前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとに接続され、
前記第1~第3支流回路のうち、少なくとも2つの支流回路には、それぞれシャント抵抗が設けられ、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて前記モータの回転角度を検出する、スライドドア用駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記第1支流回路には、第1シャント抵抗が設けられ、
前記第2支流回路には、第2シャント抵抗が設けられ、
前記第3支流回路には、第3シャント抵抗が設けられ、
前記第1シャント抵抗は、前記第1ローサイド・トランジスタと前記第5ノードとの間に配置され、
前記第2シャント抵抗は、前記第2ローサイド・トランジスタと前記第5ノードとの間に配置され、
前記第3シャント抵抗は、前記第3ローサイド・トランジスタと前記第5ノードとの間に配置されている、スライドドア用駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時において、
前記第1ローサイド・トランジスタをON状態とし、前記第1シャント抵抗の出力に基づいて前記スライドドアの移動を検出するか、
前記第2ローサイド・トランジスタをON状態とし、前記第2シャント抵抗の出力に基づいて前記スライドドアの移動を検出するか、又は、
前記第3ローサイド・トランジスタをON状態とし、前記第3シャント抵抗の出力に基づいて前記スライドドアの移動を検出する、スライドドア用駆動装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時に、前記スライドドアの移動を検出した場合、前記スイッチを閉状態として前記電源を充電する第1ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記制御装置は、
前記モータの非駆動時に、前記スライドドアの移動を検出した場合、前記スイッチを開状態にするとともに、
前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタの少なくとも1つを閉状態とする、又は、
前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタの少なくとも1つを閉状態とする第2ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを開閉するためのスライドドア用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンボックスカー、ワゴン及びバンにおける後部ドアは引き戸式のスライドドアが設けられることが多く、近時はその開閉動作に自動化が図られてきている。スライドドアを自動開閉する車両用ドア開閉装置の一般的な構成としては、ボディ側面に沿って設けられたレール部材と、レール部材に沿って駆動されることによりドアを開閉するケーブルと、ケーブルを巻き取るためのスライドドア用駆動装置が設けられている。一般的にスライドドア用駆動装置は、動力源としてのモータと、該モータの回転を減速させる減速機構と、減速機構によって回転されてケーブルの巻き取りおよび繰り出しを行う回転ドラム機構と、を備える。また、スライドドア用駆動装置ではスライドドアの開閉を手動と自動に切り換えるためのスイッチが設けられていることが多い。
【0003】
例えば特許文献1に記載のスライドドア制御装置では、モータに、ロータの回転位置を検出する位置センサとして3つのホールICが設けられ、この3つのホールICからの信号を受けてモータ(ロータ)の回転角度を検出し、スライドドアを開閉することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-181544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスライドドア制御装置では、モータの回転角度を検出するために3つのホールICが必要であり、製造コストの点で改善の余地があった。
【0006】
一方で、スライドドア制御装置が3つのホールICを搭載する場合であっても、3つのホールICのうち1つのホールICでも故障してしまうとモータの回転角度を検出することができなくなってしまうという不都合があり、他の方法によるモータの回転角度の検出方法が模索されていた。
【0007】
本発明は、シャント抵抗を用いてモータの回転角度を検出可能なスライドドア用駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
電源と、
スライドドアを開閉する動力を出力するモータと、
前記電源と前記モータとを接続するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路を制御する制御装置と、を備えるスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、前記電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置を備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタと、第1ローサイド・トランジスタと、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノードとを備えた第1支流回路と、
第2ハイサイド・トランジスタと、第2ローサイド・トランジスタと、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノードとを備えた第2支流回路と、
第3ハイサイド・トランジスタと、第3ローサイド・トランジスタと、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノードとを備えた第3支流回路と、
前記電源の正極側に接続されるとともに、前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とに並列接続される第4ノードと、
前記電源の負極側に接続されるとともに、前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とに並列接続される第5ノードと、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイルが前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとに接続され、
前記第1~第3支流回路のうち、少なくとも2つの支流回路には、それぞれシャント抵抗が設けられ、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて前記モータの回転角度を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャント抵抗の出力に基づいてモータの回転角度を検出することにより、モータの回転角度を検出する位置センサを不要としたり、位置センサとの併用によって故障に対する耐性を高めることができる。また、1つのシャント抵抗で各相の電流を検出する場合のように検出タイミングを切り換え必要がないので、検出に関する制御を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のスライドドア用駆動装置10が搭載された車両12の側面図である。
図2図1のスライドドア用駆動装置10の説明図である。
図3図1のスライドドア用駆動装置10のスライドドア制御装置40を示すブロック回路図である。
図4図3のスライドドア制御装置40のドア移動検出状態を示す説明図である。
図5図3のスライドドア制御装置40の第1ブレーキ状態(第3ローサイド・トランジスタONを起点とする回生ブレーキ状態)を示す説明図である。
図6図3のスライドドア制御装置40の第1ブレーキ状態(第2ローサイド・トランジスタONを起点とする回生ブレーキ状態)を示す説明図である。
図7図3のスライドドア制御装置40の第1ブレーキ状態(第1ローサイド・トランジスタONを起点とする回生ブレーキ状態)を示す説明図である。
図8図3のスライドドア制御装置40の第2ブレーキ状態(第1ローサイド・トランジスタONを起点とする発電ブレーキ状態)を示す説明図である。
図9図1のスライドドア用駆動装置10のスライドドア制御装置40の第1変形例を示すブロック回路図である。
図10図1のスライドドア用駆動装置10のスライドドア制御装置40の第2変形例を示すブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のスライドドア用駆動装置の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態のスライドドア用駆動装置10は車両12に搭載されており、後側のドア(スライドドア)14を自動開閉させるものである。
【0013】
ドア14はスライドドアであり、アッパーレール16a、センターレール16b及びロワーレール16cによって3点を支持されながら安定して開閉される。このうちセンターレール16bはクオータパネル18における略中間高さに設けられている。
【0014】
開用ケーブル20aと閉用ケーブル20bの各端部はドア14に設けられたサポートフレームに固定されている。サポートフレームはセンターレール16b内で転動する走行ローラを備える。開用ケーブル20aおよび閉用ケーブル20bは、スライドドア用駆動装置10と接続されている。スライドドア用駆動装置10によって開用ケーブル20aおよび閉用ケーブル20bを巻き取りおよび繰り出すことによりドア14を開閉することができる。車両12にはドア14を全開位置や全閉位置で保持する不図示の保持手段が設けられている。
【0015】
図2に示すように、スライドドア用駆動装置10は前後対称構造であって、開用ケーブル20aおよび閉用ケーブル20bと、ベース板22と、モータ24と、スライドドア制御装置40(図3図9参照)と、減速機構28と、開用ドラム機構30aおよび閉用ドラム機構30bと、前後一対の経路長調整機構32とを有し、1つのユニットとなっている。
【0016】
このスライドドア用駆動装置10では、モータ24を順方向に回転させることで、モータ24の回転動力が減速機構28を介して開用ドラム機構30aを回転させて開用ケーブル20aを巻き取るとともに閉用ドラム機構30bを回転させて閉用ケーブル20bを繰り出すことでドア14を開く。一方、モータ24を逆方向に回転させることで、モータ24の回転動力が減速機構28を介して閉用ドラム機構30bを回転させて閉用ケーブル20bを巻き取るとともに開用ドラム機構30aを回転させて開用ケーブル20aを繰り出すことでドア14を閉じる。なお、スライドドア用駆動装置10の構造についての詳細は省略する。
【0017】
車両12には、例えば運転席に、ドア14の自動開閉を禁止する手動モードが選択可能に構成される。なお、以下の説明では、自動開閉が許容されるモードを自動開閉モードと称する。ドア14には、操作者がドア14の開閉動作を指示するためにドア開閉スイッチ17が設けられている。このドア開閉スイッチ17は、図3に示すように、ドア14の開放を指示するためのスイッチである開スイッチ17aと、ドア14の閉鎖を指示するためのスイッチである閉スイッチ17bと、で構成されている。自動開閉モードにおいて、この開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されることにより、この押下したタイミングで、ドア14の開放又は閉鎖を指示するパルス信号が後述するモータ制御装置60のスイッチ制御部61及びモータ駆動部64に出力される。一方、手動モードにおいて、開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下げられてもこれらの操作は無効となり、ユーザーは手動でドア14を開閉動作することができる。
【0018】
スライドドア用駆動装置10の駆動源であるモータ24は、図3に示すように、U相、V相、W相のコイル25を備えた三相ブラシレスモータであり、デルタ結線されたU相、V相、W相のコイル25が巻回されたステータ27の内周側に、永久磁石が配置されたロータ26が所定の隙間を介して対向配置されている。
【0019】
(スライドドア制御装置の構成)
図3は、本実施形態のスライドドア制御装置40の構成を示す図である。
スライドドア制御装置40は、電源11とモータ24とを接続するモータ駆動回路50と、モータ駆動回路50を制御するモータ制御装置60と、を備える。モータ駆動回路50には、電源11からの直流電力を交流電力に変換するインバータ51と、電源11の正極側とインバータ51の正極側との間に接続されたリレースイッチ52と、複数のシャント抵抗53a~53cと、を備える。電源11は、例えば、車両12の補器類に電力を供給する12Vバッテリである。
【0020】
インバータ51は、第1ハイサイド・トランジスタTH1と、第1ローサイド・トランジスタTL1と、第1ハイサイド・トランジスタTH1と第1ローサイド・トランジスタTL1を直列接続する第1ノードP1とを備えた第1支流回路55と、第2ハイサイド・トランジスタTH2と、第2ローサイド・トランジスタTL2と、第2ハイサイド・トランジスタTH2と第2ローサイド・トランジスタTL2を直列接続する第2ノードP2とを備えた第2支流回路56と、第3ハイサイド・トランジスタTH3と、第3ローサイド・トランジスタTL3と、第3ハイサイド・トランジスタTH3と第3ローサイド・トランジスタTL3を直列接続する第3ノードP3とを備えた第3支流回路57と、電源11の正極側に接続されるとともに、第1支流回路55と第2支流回路56と第3支流回路57とに並列に接続される第4ノードP4と、電源11の負極側に接続されるとともに、第1支流回路55と第2支流回路56と第3支流回路57とに並列に接続される第5ノードP5と、を備える。
【0021】
そして、第1ノードP1と第2ノードP2と第3ノードP3は、それぞれデルタ結線されたU相、V相、W相のコイル25に接続される。第4ノードP4は、リレースイッチ52を介して電源11の正極端子に接続され、第5ノードP5は、電源11の負極端子に接続される。なお、トランジスタTH1、TL1、TH2、TL2、TH3、TL3は、例えばMOSFETにより構成され、モータ制御装置60のモータ駆動部64がゲート電圧を調整することによって開閉制御される。
【0022】
各トランジスタTH1、TL1、TH2、TL2、TH3、TL3には、それぞれ還流ダイオードとして動作するダイオードが並列に接続されている。還流ダイオードは、トランジスタTH1、TL1、TH2、TL2、TH3、TL3をオフにしたとき、モータ24側から逆流する電流を電源11側に還流(回生)させることにより、トランジスタの破損を防止するために設けられる。
【0023】
複数のシャント抵抗53a~53cは、インバータ51の支流回路55、56、57にそれぞれ設けられている。具体的に説明すると、第1シャント抵抗53aは、第1支流回路55において、第1ローサイド・トランジスタTL1と第5ノードP5との間に配置され、第2シャント抵抗53bは、第2支流回路56において、第2ローサイド・トランジスタTL2と第5ノードP5との間に配置され、第3シャント抵抗53cは、第3支流回路57において、第3ローサイド・トランジスタTL3と第5ノードP5との間に配置されている。
【0024】
このような構成によれば、シャント抵抗53a~53cの出力に基づいてモータ24の回転角度を検出することにより、モータ24の回転角度を検出する位置センサを不要としたり、位置センサとの併用によって故障に対する耐性を高めることができる。また、シャント抵抗53a~53cは、インバータ51の各支流回路55、56、57にそれぞれ設けられるので、モータ24の各相に流れる電流に基づいてモータ24の回転角度を適切に検出することができる。また、1つのシャント抵抗で各相の電流を検出する場合のように検出タイミングを切り換える必要がないので、検出に関する制御を簡略化できる。
【0025】
なお、本実施形態では、各支流回路55~57にそれぞれシャント抵抗53a~53cを設けたが、必ずしも各支流回路55~57にそれぞれシャント抵抗53a~53cが設けられている必要はなく、3つの支流回路55~57のうち少なくとも2つの支流回路にシャント抵抗が設けられていればよい。この場合でも、1シャント方式に比べて、検出に関する制御を簡略化できる。
【0026】
また、複数のシャント抵抗53a~53cは、図9に示すように、電源11の正極側に位置する第4ノードP4と各支流回路55、56、57のハイサイド・トランジスタTH1~TH3の間に配置してもよい。ただし、複数のシャント抵抗53a~53cを、図3に示すように、電源11の負極側に位置する第5ノードP5と各支流回路55、56、57のローサイド・トランジスタTL1~TL3の間に配置する方が好ましい。複数のシャント抵抗53a~53cを、電源11の負極側に位置する第5ノードP5と各支流回路55、56、57のローサイド・トランジスタTL1~TL3の間に配置することで、ノイズによる影響を抑制でき、モータ24の回転角度をより適切に取得することができる。
【0027】
また、複数のシャント抵抗53a~53cは、図10に示すように、各支流回路55、56、57のノードP1~P3と2つのコイルの接続点との間に配置してもよい。この配置によれば、検出精度を向上できる。
【0028】
モータ制御装置60は、具体的には後述のプロセッサを主体に構成されており、プロセッサの動作に必要なRAM(Random Access Memory)と各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体をさらに含む。プロセッサとは、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。モータ制御装置60は、ROMに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される機能ブロックとして、リレースイッチ52を制御するスイッチ制御部61と、インバータ51に流れる電流によって複数のシャント抵抗53a~53cに発生する電圧V1~V3を検出し、検出した電圧V1~V3をデジタル信号に変換するAD変換部62a~62cと、AD変換部62a~62cの出力により、モータ24(ロータ26)の回転角度を検出する位置検出部63と、この位置検出部63が検出したモータ24の回転角度に応じて、インバータ51に通電を切り替えるゲート信号を出力するモータ駆動部64と、を備える。AD変換部62aは、シャント抵抗53aに発生する電圧V1をデジタル信号に変換し、AD変換部62bは、シャント抵抗53bに発生する電圧V2をデジタル信号に変換し、AD変換部62cは、シャント抵抗53cに発生する電圧V3をデジタル信号に変換する。
【0029】
スイッチ制御部61は、自動開閉モードにおいて、開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されると、リレースイッチ52をオンにする信号を出力し、電源11からの電力がインバータ51を介してモータ24に供給されるように制御する。また、手動モードにおいて、ドア14の移動速度が所定速度を超えた場合にも後述するようにリレースイッチ52をオンにする信号を出力する場合がある。
【0030】
位置検出部63は、複数のシャント抵抗53a~53cの出力をモニタリングし、所定のフィルタリング処理、フーリエ変換等の変換処理を行うことで、モータ24の回転角度を取得するとともに、モータ24の移動方向及び移動速度、つまりドア14の移動方向及び移動速度を取得する。即ち、位置検出部63は、複数のシャント抵抗53a~53cの出力に基づいてモータ24の回転角度を取得する。
【0031】
モータ駆動部64は、ドア開閉スイッチ17から入力される信号、位置検出部63から入力されるモータ24の回転角度、ドア14の移動方向及び移動速度に関する信号に基づいて、インバータ51の各トランジスタTH1、TL1、TH2、TL2、TH3、TL3を交互にスイッチングするための駆動信号を生成し出力する。これによって、モータ駆動回路50は、U相、V相、W相のコイル25を交互に通電する供給電圧の通電パターンをU相、V相、W相のコイル25に印加し、モータ24を駆動してドア14が開方向又は閉方向に所定速度で移動するように制御する。
【0032】
このように構成されたスライドドア用駆動装置10の具体的なドア14の各制御について以下に説明する。
【0033】
(モータ始動制御)
自動開閉モードにおいて開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されると、モータ24を始動する。位置センサが搭載されていないモータ24において、モータ駆動回路50はモータ24の回転角度(ロータ26の位置)を取得できない。そのため、モータ24の始動時には、モータ駆動回路50が、U相、V相、W相のコイル25を交互に通電する供給電圧の通電パターンをU相、V相、W相のコイル25に印加する。これにより、いずれかの通電パターンでモータ24が動き出す。このときの電流値は、通常の電流値よりも小さいことが好ましい。モータ24が動き出せば、所定速度となるようにプログラムにしたがってモータ24を矩形波制御する。
【0034】
(モータ駆動制御1)
矩形波制御により始動の回転力を得られたモータ24の定常運転では、複数のシャント抵抗53a~53cの出力をモニタリングし、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度を予測し、モータ24の回転角度に応じた駆動電力を最適な正弦波電力となるように制御する。
【0035】
(モータ駆動制御2)
矩形波制御により始動の回転力を得られたモータ24の定常運転では、複数のシャント抵抗53a~53cの出力をモニタリングし、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度を予測し、モータ24の回転角度に応じた駆動電力を最適な正弦波電力となるようにベクトル制御する。
【0036】
このモータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、正弦波制御を行うことで矩形波制御に比べて電力効率を向上できるとともに、静音性能(低振動)を向上できる。また、モータ駆動制御2においてベクトル制御を行うことで、モータ駆動制御1の正弦波制御よりも電力効率をさらに向上できる。なお、この正弦波制御において、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度に対し電力印加を早めたり(進角)、遅くしたり(遅角)することにより、モータ24に発生するトルク-回転数特性を変化させてもよい。これにより、モータ24を高トルク低回転運転や低トルク高回転運転することができる。
【0037】
また、モータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、複数のシャント抵抗53a~53cの出力をモニタリングすることによりドア速度を算出し、設定速度と成るようモータ24に印加するデューティを変化させてもよい。
【0038】
(挟み込み検出)
複数のシャント抵抗53a~53cの出力をモニタリングし、ドア速度の急変に応じたシャント抵抗53a~53cの出力の変動を取得し、該変動が挟み込みしきい値となった場合に、異物の挟み込みと判断する。
【0039】
以下、ドア14に保持力を発生させるためのブレーキ制御について説明する。ブレーキ制御は、モータ24の非駆動時、例えば、自動開閉モードにおいてドア14を開位置と閉位置との間の中間位置で保持する場合や、手動モードにおいてドア14に操作負荷を与えるために用いられる。自動開閉モードにおいてドア14を開位置と閉位置との間の中間位置で保持するとき、傾斜地に停車した車両においてドア14が意図せずに開閉することが起こり得る。一方、手動モードにおいて、ドア14の操作速度が速すぎると、車体が損傷する虞や開閉音が大きくなる虞がある。このような場合に、ドア14に操作負荷を与えることで、ドア14の移動速度を抑えることができる。
【0040】
図4は、スライドドア制御装置40のドア移動検出状態を示す説明図である。
モータ非駆動時におけるドア14の移動および速度は、シャント抵抗53a~53cの出力によって判定される。具体的には、モータ24の非駆動時において、いずれかのローサイド・トランジスタTL1、TL2、TL3をON状態とし、該状態におけるシャント抵抗53a~53cの出力に基づいてドア14の移動および速度を検出する。図4に示す例では、第1ローサイド・トランジスタTL1をON状態とすることで、モータ24とインバータ51との間に閉回路を形成しており、この状態でドア14が移動すると、シャント抵抗53a、53bの出力に基づいてドア14の移動および速度を検出することが可能になる。
【0041】
(第1ブレーキ制御)
モータ24の非駆動時に、いずれかのシャント抵抗53a~53cの出力が第1所定値となった場合に、リレースイッチ52を閉状態として電源11を充電する。モータ24の非駆動時にモータ24に与えた外力により発電されたエネルギーが所定量を超えた場合に、リレースイッチ52をオンにし、発電エネルギーが電源電圧を上回った場合に電源11に吸収させることでモータ24に操作負荷を発生させることができる。言い換えると、第1ブレーキ制御では、モータ24の非駆動時におけるドア14の移動に対し、回生ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0042】
図5は、スライドドア制御装置40の第1ブレーキ状態(第3ローサイド・トランジスタONを起点とする回生ブレーキ状態)を示す説明図である。
例えば、図5に示す例では、モータ非駆動時において、第3ローサイド・トランジスタTL3をON状態としてモータ24とインバータ51との間に閉回路を形成するステップと、第3シャント抵抗53cの出力に基づいてドア14の移動を検出するステップと、リレースイッチ52を閉状態(ON)にするステップと、第1ハイサイド・トランジスタTH1をON状態にするステップとを順次実行することで、モータ非駆動時におけるドア14の回生ブレーキ状態を実現している。なお、この場合、第2ハイサイド・トランジスタTH2をON状態にしてもよい。
【0043】
図6は、スライドドア制御装置40の第1ブレーキ状態(第2ローサイド・トランジスタONを起点とする回生ブレーキ状態)を示す説明図である。
また、図6に示す例では、モータ非駆動時において、第2ローサイド・トランジスタTL2をON状態としてモータ24とインバータ51との間に閉回路を形成するステップと、第2シャント抵抗53bの出力に基づいてドア14の移動を検出するステップと、リレースイッチ52を閉状態(ON)にするステップと、第1ハイサイド・トランジスタTH1をON状態にするステップとを順次実行することで、モータ非駆動時におけるドア14の回生ブレーキ状態を実現している。なお、この場合、第3ハイサイド・トランジスタTH3をON状態にしてもよい。
【0044】
図7は、スライドドア制御装置40の第1ブレーキ状態(第1ローサイド・トランジスタONを起点とする回生ブレーキ状態)を示す説明図である。
また、図7に示す例では、モータ非駆動時において、第1ローサイド・トランジスタTL1をON状態としてモータ24とインバータ51との間に閉回路を形成するステップと、第1シャント抵抗53aの出力に基づいてドア14の移動を検出するステップと、リレースイッチ52を閉状態(ON)にするステップと、第2ハイサイド・トランジスタTH2をON状態にするステップとを順次実行することで、モータ非駆動時におけるドア14の回生ブレーキ状態を実現している。なお、この場合、第3ハイサイド・トランジスタTH3をON状態にしてもよい。
【0045】
(第2ブレーキ制御)
モータ24の非駆動時に、いずれかのシャント抵抗53a~53cの出力が第1所定値よりも大きい第2所定値となった場合に、リレースイッチ52を開状態にするとともに、第1ハイサイド・トランジスタTH1、第2ハイサイド・トランジスタTH2、及び第3ハイサイド・トランジスタTH3を開状態とし、且つ、第1ローサイド・トランジスタTL1、第2ローサイド・トランジスタTL2、及び第3ローサイド・トランジスタTL3の少なくとも1つを閉状態とする。第2ブレーキ制御では、モータ駆動回路50に閉回路が形成され、モータ24に制動力が発生する。これにより、モータ24の非駆動時におけるドア14の移動に対し、発電ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0046】
なお、第1ハイサイド・トランジスタTH1、第2ハイサイド・トランジスタTH2、及び第3ハイサイド・トランジスタTH3を開状態とし、且つ、第1ローサイド・トランジスタTL1、第2ローサイド・トランジスタTL2、及び第3ローサイド・トランジスタTL3の少なくとも1つを閉状態とする代わりに、第1ローサイド・トランジスタTL1、第2ローサイド・トランジスタTL2、及び第3ローサイド・トランジスタTL3を開状態とし、且つ、第1ハイサイド・トランジスタTH1、第2ハイサイド・トランジスタTH2、及び第3ハイサイド・トランジスタTH3の少なくとも1つを閉状態としてもよい。
【0047】
第2ブレーキ制御において、シャント抵抗53a~53cの出力が高いほど、閉状態とするトランジスタの数を増やすことが好ましい。閉状態とするトランジスタの数を増やすことで、形成される閉回路が増え、モータ24に発生する制動力も大きくなる。これにより、ドア14の移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。また、モータ24に発生する制動力を大きくするためには、トランジスタが閉状態となる割合であるデューティ比を増やしてもよい。第2ブレーキ制御において、シャント抵抗53a~53cの出力が高いほど、閉状態となるデューティ比を増やすことで、ドア14の移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。
【0048】
図8は、スライドドア制御装置40の第2ブレーキ状態(第1ローサイド・トランジスタONを起点とする発電ブレーキ状態)を示す説明図である。
例えば、図8に示す例では、モータ非駆動時において、第1ローサイド・トランジスタTL1をON状態としてモータ24とインバータ51との間に閉回路を形成するステップと、第1シャント抵抗53aの出力に基づいてドア14の移動を検出するステップと、リレースイッチ52を開状態、第1ローサイド・トランジスタTL1以外のトランジスタをOFF状態に維持するステップとを順次実行することで、モータ非駆動時におけるドア14の発電ブレーキ状態を実現している。
【0049】
(第3ブレーキ制御)
モータの非駆動時に、いずれかのシャント抵抗53a~53cの出力が第2所定値よりも大きい第3所定値となった場合に、リレースイッチ52を閉状態としてドア14の移動を規制する方向にモータ24を駆動する。モータの非駆動時におけるドア14の移動に対し、ドア14の移動を規制する方向にモータ24を駆動することによりドア14により強い制動力を付与することができる。
【0050】
なお、第2ブレーキ制御におけるドア14の保持力は、第1ブレーキ制御におけるドア14の保持力よりも高く、第3ブレーキ制御におけるドア14の保持力は、第2ブレーキ制御におけるドア14の保持力よりも高いことが好ましい。このように第1ブレーキ制御、第2ブレーキ制御、第3ブレーキ制御における保持力を変えることで、ドア14の移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。また、自動開閉モードにおいてドア14を開位置と閉位置との間の中間位置で保持する場合、ドア14の移動速度に限らず、第1~第3ブレーキ制御のいずれを採用してもよい。
【0051】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態では、複数のシャント抵抗53a~53cの出力に基づいてモータ24の回転角度を検出する場合を例示したが、複数のシャント抵抗53a~53c及び位置センサによってモータの回転角度を取得してもよい。モータ24の回転角度を検出する位置センサとしては、ホールICやロータリエンコーダを用いることができる。
【0052】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0053】
(1) 電源(電源11)と、
スライドドア(ドア14)を開閉する動力を出力するモータ(モータ24)と、
前記電源と前記モータとを接続するモータ駆動回路(モータ駆動回路50)と、
前記モータ駆動回路を制御する制御装置(モータ制御装置60)と、を備えるスライドドア用駆動装置(スライドドア用駆動装置10)であって、
前記モータ駆動回路は、前記電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(インバータ51)を備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタ(第1ハイサイド・トランジスタTH1)と、第1ローサイド・トランジスタ(第1ローサイド・トランジスタTL1)と、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノード(第1ノードP1)とを備えた第1支流回路(第1支流回路55)と、
第2ハイサイド・トランジスタ(第2ハイサイド・トランジスタTH2)と、第2ローサイド・トランジスタ(第2ローサイド・トランジスタTL2)と、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノード(第2ノードP2)とを備えた第2支流回路(第2支流回路56)と、
第3ハイサイド・トランジスタ(第3ハイサイド・トランジスタTH3)と、第3ローサイド・トランジスタ(第3ローサイド・トランジスタTL3)と、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノード(第3ノードP3)とを備えた第3支流回路(第3支流回路57)と、
前記電源の正極側に接続されるとともに、前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とに並列接続される第4ノード(第4ノードP4)と、
前記電源の負極側に接続されるとともに、前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とに並列接続される第5ノード(第5ノードP5)と、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイル(ステータコイル25)が前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとに接続され、
前記第1~第3支流回路のうち、少なくとも2つの支流回路には、それぞれシャント抵抗(シャント抵抗53a~53c)が設けられ、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて前記モータの回転角度を検出する、スライドドア用駆動装置。
【0054】
(1)によれば、シャント抵抗の出力に基づいてモータの回転角度を検出することにより、モータの回転角度を検出する位置センサを不要としたり、位置センサとの併用によって故障に対する耐性を高めることができる。また、シャント抵抗は、電力変換装置の支流回路のうち、少なくとも2つの支流回路にそれぞれ設けられるので、少なくとも2つの支流回路に流れる電流に基づいてモータの回転角度を適切に検出することができる。また、1つのシャント抵抗で各相の電流を検出する場合のように検出タイミングを切り換える必要がないので、検出に関する制御を簡略化できる。
【0055】
(2) (1)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記第1支流回路には、第1シャント抵抗が設けられ、
前記第2支流回路には、第2シャント抵抗が設けられ、
前記第3支流回路には、第3シャント抵抗が設けられ、
前記第1シャント抵抗は、前記第1ローサイド・トランジスタと前記第5ノードとの間に配置され、
前記第2シャント抵抗は、前記第2ローサイド・トランジスタと前記第5ノードとの間に配置され、
前記第3シャント抵抗は、前記第3ローサイド・トランジスタと前記第5ノードとの間に配置されている、スライドドア用駆動装置。
【0056】
(2)によれば、第1~第3シャント抵抗は、それぞれローサイド・トランジスタと第5ノードとの間に配置されているので、ノイズによる影響を抑制でき、モータの回転角度をより適切に検出することができる。
【0057】
(3) (2)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時において、
前記第1ローサイド・トランジスタをON状態とし、前記第1シャント抵抗の出力に基づいて前記スライドドアの移動を検出するか、
前記第2ローサイド・トランジスタをON状態とし、前記第2シャント抵抗の出力に基づいて前記スライドドアの移動を検出するか、又は、
前記第3ローサイド・トランジスタをON状態とし、前記第3シャント抵抗の出力に基づいて前記スライドドアの移動を検出する、スライドドア用駆動装置。
【0058】
(3)によれば、少なくとも1つのローサイド・トランジスタをON状態とすることで、モータと電力変換装置との間に閉回路が形成されるので、シャント抵抗の出力に基づいてスライドドアの移動を確実に検出することができる。
【0059】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチ(リレースイッチ52)を備え、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時に、前記スライドドアの移動を検出した場合、前記スイッチを閉状態として前記電源を充電する第1ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【0060】
(4)によれば、モータの非駆動時におけるスライドドアの移動に対し、回生ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0061】
(5) (1)~(4)のいずれかに記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチ(リレースイッチ52)を備え、
前記制御装置は、
前記モータの非駆動時に、前記スライドドアの移動を検出した場合、前記スイッチを開状態にするとともに、
前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタの少なくとも1つを閉状態とする、又は、
前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタの少なくとも1つを閉状態とする第2ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【0062】
(5)によれば、モータの非駆動時におけるスライドドアの移動に対し、発電ブレーキにより制動力を付与することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 スライドドア用駆動装置
11 電源
14 ドア(スライドドア)
24 モータ
25 ステータコイル
50 モータ駆動回路
51 インバータ(電力変換装置)
52 リレースイッチ(スイッチ)
53a~53c シャント抵抗
55 第1支流回路
56 第2支流回路
57 第3支流回路
60 モータ制御装置
TH1 第1ハイサイド・トランジスタ
TL1 第1ローサイド・トランジスタ
TH2 第2ハイサイド・トランジスタ
TL2 第2ローサイド・トランジスタ
TH3 第3ハイサイド・トランジスタ
TL3 第3ローサイド・トランジスタ
P1 第1ノード
P2 第2ノード
P3 第3ノード
P4 第4ノード
P5 第5ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10