(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】漏れを検出するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/02 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G01M3/02 K
G01M3/02 J
(21)【出願番号】P 2021507055
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2019069334
(87)【国際公開番号】W WO2020030397
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521054751
【氏名又は名称】トルマー、ヨハン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルマー、ヨハン
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-241286(JP,A)
【文献】実開昭60-083939(JP,U)
【文献】特開2000-074772(JP,A)
【文献】実開昭55-077167(JP,U)
【文献】特開2016-102771(JP,A)
【文献】実公昭58-020913(JP,Y2)
【文献】特表2014-533825(JP,A)
【文献】米国特許第04965554(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
E04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な屋根における
複数の測定領域のそれぞれにおいて漏れを検出するためのデバイスであって、
前記デバイスは、流体が伝導され得る
複数のパイプを備え、
吸引デバイスが前記
複数のパイプ
の各々の第1の端部と流体接続され、
不織布から作られた
複数の吸収材料が
前記複数のパイプの各々の第2の端部に個別に設けられ、前記
複数のパイプの各々の前記第2の端部は、
対応する前記吸収材料から
前記流体が除去され得るように配置され、
前記流体を解析するための
複数の測定デバイスが、
前記複数の測定領域のそれぞれにおける前記流体の別個の測定値を取得するべく、前記
複数のパイプの各々に個別に流体接続されている、
デバイス。
【請求項2】
前記吸収材料は、平坦に実施される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記測定デバイスは、湿度および/または温度を測定するために実施される、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記吸引デバイスは、調整器を有し、前記調整器により、吸引力が規定値に設定され得る、請求項1から
3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記
複数のパイプの各々は、前記第2の端部において、前記吸収材料に取り付け可能な、または前記吸収材料に取り付けられた吸引部を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記
複数のパイプが共有コレクタを開通させ、前記吸引デバイスが前記共有コレクタを介して前記
複数のパイプと流体接続される、請求項
1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記吸収材料は、不織布層として実施され、前記不織布層は、少なくとも一側に穿孔被覆を有する、請求項1から
6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
構造体であって、前記構造体は下層、上層および請求項1から
7のいずれか一項に記載のデバイスを備え、前記構造体は、前記吸収材料が、前記下層と前記上層との間に配置され、前記構造体は複数の測定領域を備え、各測定領域に、少なくとも1つの対応するパイプが設けられ、それぞれの測定領域に前記パイプの前記第2の端部が位置付けられる、構造体。
【請求項9】
平坦な屋根における漏れを検出および/または位置特定するための請求項1から
7のいずれか一項に記載のデバイスの使用。
【請求項10】
平坦な屋根における
複数の測定領域のそれぞれにおいて漏れを検出するための方法であって、
不織布から作られた複数の吸収材料が複数のパイプの各々の第2の端部に個別に設けられた状態で、前記複数のパイプの各々の第1の端部と流体接続された吸引デバイスを用いて陰圧
が前記複数のパイプに加えられて、流体が前記
複数のパイプ内を伝導され、
前記複数のパイプの各々に対応する前記吸収材料から前記流体が除去されて
、前記複数のパイプの各々に個別に流体接続されている複数の測定デバイスへと伝導され、
前記複数の測定領域のそれぞれにおける前記流体の別個の測定値が前記
複数の測定デバイスを用いて取得され、
前記複数の測定領域のそれぞれにおける前記流体の複数の前記測定値のうち、少なくとも1つの測定値が、少なくとも1つの他の測定値と比較される、方法。
【請求項11】
前記
複数の測定領域
のそれぞれにおける漏れを位置特定すべく、
前記複数の測定領域のそれぞれにおける前記流体の前記複数の測定値が互いに比較され、前記漏れを有する測定領域の測定値は、許容差を超えて複数の他の測定値から逸れる、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に屋根における漏れ、並びに/または、特にウェットルームにおける壁および/または天井および/または床における漏れを検出するためのデバイスに関し、上記デバイスは、流体が伝導され得る少なくとも1つのパイプを備え、吸引デバイスが上記少なくとも1つのパイプの第1の端部と流体接続される。
【0002】
本発明はさらに、特に、屋根、または、特にウェットルームにおける天井、床および/または壁の構造体に関し、構造体は下層、上層、このタイプのデバイスを有する。
【0003】
また、本発明は、このタイプのデバイスの第1の使用および第2の使用に関する。
【0004】
最後に、本発明は、特に屋根における漏れ、並びに/または、特にウェットルームにおける壁および/または天井および/または床における漏れを検出するための方法に関し、少なくとも1つのパイプ内に流体を伝導させるべく、陰圧が吸引デバイスを用いてパイプに加えられる。
【0005】
通常、建物における望ましくない水の侵入は損傷をもたらし、建物の修復コストは高い。通常、突然生じる深刻な洪水は別として、とりわけ、より長期にわたる、より強度は低いものの継続的な水の侵入は、永久的な建物の損傷を引き起こす可能性があり、場合によっては、破損の検出が遅すぎ、もはや修正不可能となることがある。これは、例えば、地下または屋根における水の持続的な進入の場合に生じ得、これにより、特に平坦な屋根が悪影響を受けることはよく知られている。
【0006】
先行技術においては、屋根における漏れを検出するためのデバイスが知られており、そこでは、漏れを検出するために、陰圧または陽圧がかけられる。
【0007】
CH 664 184 A5による1つのデバイスでは、水密にシーリングされた屋根部材に内腔が設けられており、パイプが当該内腔内に突出し、吸引デバイスを用いて陰圧が当該内腔に加えられる。漏れを検出すべく、加えられた圧力が測定され、測定された圧力の変化が漏れを示す。
【0008】
ここでの欠点は、このタイプのデバイスを備えた屋根構造体は、気密にシーリングされた部材を必要とするので、製造がコスト高であるという点である。また、このタイプのデバイスを用いると、水分侵入が存在しないときでさえ、あるいは、水分進入が無視可能である場合にも、漏れが検出または示される。
【0009】
従って、本発明の目的は、建物の漏れを検出するためのデバイスを特定することであり、当該デバイスを用いると、特に、平坦な屋根等の屋根における漏れが、信頼性高く、早い段階において簡易に検出可能である。
【0010】
本発明のさらなる目的は、このタイプのデバイスを有する構造体を特定することであり、当該構造体において、漏れは、信頼性高く、早い段階において簡易に検出および位置特定できる。
【0011】
また、本発明の目的は、このタイプのデバイスの使用を特定することである。
【0012】
最後に、本発明の目的は、漏れを検出するための信頼性の高い簡易な方法を特定することであり、当該方法を用いると、修理が必要であり得る漏れが検出される。
【0013】
本発明によると、第1の目的は、冒頭で指定したタイプのデバイスを用いることで、デバイスには、吸収材料が設けられ、少なくとも1つのパイプの第2の端部は、流体が吸収材料から除去され得るように配置され、流体を解析するための少なくとも1つの測定デバイスはパイプと流体接続される点において達成される。除去されるべき流体は、例えば、周囲空気等の気体、または、例えば、水、特に雨水等の液体であってよい。吸引デバイスは陰圧を生成するためのデバイス、例えばポンプとして実施されることが好ましい。通常、少なくとも1つのパイプは、ホースまたはチューブとして実施される。
【0014】
本発明によるデバイスで得られる利点は、主に、漏れから中間領域へと染み出す液体が、例えば、吸収材料によって吸収されることにある。故に、吸収材料の領域においては、測定デバイスの結果、測定可能な湿度が上昇する。故に、吸引デバイスにより加えられた圧力が測定される気密に囲まれたシステムは必要ではない。このタイプのデバイスは、屋根における漏れの検出、および/または、壁、床若しくは天井の、または壁、床若しくは天井の内部の漏れ若しくは滲出水分の検出に特に適している。これは、特に、例えばバスルーム等のウェットルームにおける、例えば水道管の漏れを早い段階で検出するために便宜であってよい。
【0015】
少なくとも1つのパイプとは、単一のパイプが設けられてよいことを意味する。しかしながら、複数のパイプが設けられてもよい。複数のパイプを用いると、パイプのうちの全部またはパイプのうちの一部のみが、以下で説明される特徴を有してよい。
【0016】
流体、特に空気が、パイプを通して、吸収材料から測定デバイスへと伝導されると有利である。このようにすると、漏れ(例えば、液体が漏れを通して侵入する)が、温度または湿度等の物理的変動値の測定を通して早い段階で検出できる。単に通気性があるが液密である漏れは、このタイプのデバイスでは検出されない。しかしながら、例えば、屋根におけるこのような漏れはまた、通常は修復を必要としない。
【0017】
大きな領域における漏れの検出を可能にするために、吸収材料を平坦に実施するよう規定されてよい。吸収材料は、好ましくは、毛細管を形成する被膜または層を有する。このような吸収材料が布として、特に不織布として実施されると有効であることが実証されている。吸収材料は、1つの材料で形成されてよく、または、材料の混合を含んでよい。
【0018】
測定デバイスが、湿度および/または温度を測定するように実施されると、さらなる利点がもたらされる。漏れを介して進入する液体は流体の湿度、および可能性として温度に影響を及ぼすので、漏れは、このタイプの測定デバイスを用いると、信頼性高く検出されてよい。この目的のため、測定デバイスは、1または複数のセンサ、特に、湿度センサおよび/または温度センサを有してよい。また、測定デバイスは、流体の追加的な物理特性および/または変動値を測定するために実施されてよく、これらのための対応するセンサを有してよい。
【0019】
少なくとも1つのパイプが遮断弁を有すると有利である。このことは通常、単一の共有測定デバイスに接続された複数のパイプが設けられる場合に好都合である。故に、パイプごとに、パイプ内を伝導される流体が別個に解析されてよい。1つのパイプのみが設けられる場合であっても、パイプが遮断可能であると、メンテナンス作業に有利であってよい。
【0020】
加えられる陰圧または吸引力が大き過ぎないことを保証すべく、吸引デバイスは、吸引力が規定値に設定可能な、特に、0.1bar(10,000Pa)~1bar(100,000Pa)の範囲内、特に好ましくは0.2bar(20,000Pa)~0.3bar(30,000Pa)の範囲内の値に設定可能な調整器を有するように規定されてよい。このタイプの測定を用いると、吸収材料が圧縮されることにより、流体の除去が妨げられることが防止される。典型的には、調整器は可変弁を備える。必要であれば、吸引デバイスは、圧力測定デバイスを備えてよい。
【0021】
少なくとも1つのパイプは、吸収材料の少なくとも部分的に上方に設置されるように規定されてよい。この配置の結果、吸収材料が平坦に置かれることが保証される。また、層、例えば、断熱材が、デバイスまたは吸収材料の上方に設置される場合、可能性としてパイプのための凹部が設けられてよい。代替的に、パイプの周りにぴったり適合する変形可能な層が設けられてよい。
【0022】
少なくとも1つのパイプが第2の端部において、吸収材料に取り付け可能なまたは吸収材料に取り付けられている吸引部を有すると、有利である。これにより、吸引された流体が吸収材料から直接出てくることが保証される。
【0023】
吸引デバイスと流体接続された複数のパイプが設けられると有利である。これにより、漏れの検出または測定が複数の測定領域において可能となり、各パイプは測定領域へと至る。
【0024】
設計を簡素化すべく、複数のパイプが共有コレクタを開通させ、吸引デバイスは、共有コレクタを介して複数のパイプと流体接続されるように規定されてよい。故に、共有コレクタを介して複数のパイプに間接的に接続される単一の吸引デバイスのみが必要とされる。
【0025】
測定デバイスが吸引デバイスとコレクタとの間に位置付けられるように規定されることが特に好ましい。この結果、単一の測定デバイスのみが必要とされ、当該測定デバイスを用いて、複数のパイプからの流体が解析されてよい。この目的のため、各パイプが追加的に遮断弁を有すると有利であってよく、その結果、各パイプからの流体は、一度に1つのパイプのみが開かれるというように別個に解析されてよい。代替的に、別個の測定デバイスが各パイプに設けられてよい。
【0026】
吸収材料が不織布層として実施される場合、不織布層が少なくとも一側において、好ましくは両側において、穿孔被覆、特に穿孔PV被覆を有すると好都合である。この場合、不織布層を形成すべく、吸収材料、特に不織布は平坦に実施される。不織布層は、上側および下側を有し、上側および/または下側はPVCで被覆されてよい。被覆は、水分または流体が吸収材料に進入できるように、複数の開口部を有すると有利である。
【0027】
他の目的は、冒頭で挙げたタイプの構造体で得られ、吸収材料は下層と上層との間に配置され、構造体は複数の測定領域を有し、各測定領域のために、少なくとも1つの対応するパイプが設けられており、当該少なくとも1つの対応するパイプの第2の端部がそれぞれの測定領域に位置付けられている。構造体は、任意の所望の建物オブジェクトであってよい。
【0028】
これにより得られる利点は特に、漏れが複数の異なる領域において検出できることであり、これにより、漏れの位置特定が可能とされる。より多くのパイプが設けられるにつれ、対応する測定領域はより小さくなる。この結果、位置特定の精度が上がる。この目的のため、異なる複数の領域が連続的であるように、または、物理的障壁がこれらの領域間に存在しないように、吸収材料が実施されるように規定されてよい。構造体は、仮定上の測定領域に分割されてもよい。これらは実質的に、パイプの第2の端部の領域に特定の領域を有する。必要であれば、複数の測定領域は重なってよい。代替的に、複数の測定領域について、測定領域間にそれぞれ1つの吸収材料および/または1つの物理的障壁が設けられるように規定されてよい。物理的障壁は、例えば、撥水性プラスチックであってよい。
【0029】
また、他の目的は、特に、ウェットルームにおける例えば、壁、床、および/または天井等の閉鎖要素における、または、屋根における漏れを検出および/または位置特定するためのこのタイプのデバイスの使用により得られ、同時に上記の利点が用いられる。さらに、方法に関連する目的は、冒頭に挙げたタイプの方法により、流体が吸収材料から除去され、測定デバイスへと伝導され、流体の少なくとも1つの測定値が測定デバイスを用いて取得され、少なくとも1つの測定値が少なくとも1つの他の測定値と比較されることにおいて得られる。
【0030】
これにより得られる利点は、特に、流体が、水分が累積された吸収材料から直接除去され、これにより、漏れが早い段階で検出されることである。この目的のため、例えば、測定値の連続的な取得が行われ得、前の測定値と比較された現在の測定値における変化が漏れを示す。これは、例えば、測定された水分レベルが、前の測定された水分レベルより上昇した場合が該当する。
【0031】
流体は、対応するパイプを通して複数の測定領域から除去され、複数の測定領域について、別個の測定値が得られることが好ましい。このようにすることで、漏れについて、各測定領域が別個にチェックされ得る。
【0032】
さらに、測定領域における漏れを位置特定すべく、取得された別個の測定値同士が比較され、ある測定領域の測定値が、許容差を超過して他の複数の測定値から逸れると有利である。従って、複数の他の測定値が例えば基準値として機能するので、前の測定値は必要ではない。測定値を評価および解析または比較するために、解析ユニットまたは評価ユニットが設けられてよい。通常、許容差は測定値の変動範囲として指定され、この許容差を超える逸脱のみが有意な逸脱として分類される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下に説明される例示的な実施形態から、追加の特徴、利点および効果がわかる。参照される図面は、以下の通りである。
【
図2】漏れを検出するためのデバイスと、屋根構造体である。
【
図3】複数の測定デバイスを持つデバイスの模式図である。
【
図4】複数の遮断弁を持つデバイスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、漏れを検出するための本発明によるデバイス1の簡易な変形例を示す。この場合、デバイス1はパイプ2を備え、パイプ2の第1の端部が吸引デバイス3と流体接続されている。パイプ2の第2の端部は、実質的に吸収材料4内または吸収材料4上に位置付けられる結果、パイプ2は、吸収材料4から吸引デバイス3まで通る。また、流体を解析するための測定デバイス5が、流れ方向において吸収材料4と吸引デバイス3との間に配置される。典型的には、測定デバイス5は、流体を解析するための少なくとも1つのセンサ、特に複数のセンサを有する。少なくとも1つのセンサまたは複数のセンサは、便宜上、湿度センサおよび/または温度センサとして実施される。通常、測定デバイス5は、パイプ2内を伝導される流体を測定デバイスで測定できるように位置付けられる。通常、パイプ2は、ホースまたはチューブとして実施される。パイプ2の内径は、15mm未満、特に10mm未満であることが好ましく、5mm未満が特に好ましい。典型的に、約2mmの内径を有するパイプ2が用いられる。特に、可撓性プラスチックが、パイプ2の材料として用いられてよい。
【0035】
この目的のため、模式図に示される通り、パイプ2の第1の端部は、実質的に測定デバイス5を開通させてよく、測定デバイス5がパイプの一部を通して吸引デバイス3に接続されている。この場合、測定デバイス5は流体で満たされ得る内部空間を有してよく、内部空間に、当該少なくとも1つのセンサが配置される。代替的に、パイプ2は実質的に測定デバイス5を貫通してよく、少なくとも1つのセンサがパイプ2の内部空間へ突出することが好ましい。測定デバイス5を小さな設置空間に実装すべく、少なくとも1つのセンサがパイプ2の内部空間に配置されるか、あるいは、少なくとも1つのセンサがこの空間へ突出するように規定されてよい。
【0036】
吸収材料4は典型的に、複数のキャビティ、孔、毛細管またはこれらと同等のものを有し、複数のキャビティ、孔、毛細管またはこれらと同等のものは、流体で、例えば、特に気体で、例えば、周囲空気等で満たされてよい。吸収材料4が漏れを通して入る液体を吸収すると、これらのキャビティ内の流体の水分レベルが上昇する。流体を解析すべく、おそらくは水分レベルおよび/または温度を測定すべく、流体は実質的に吸引デバイス3により吸引され、その結果、吸収材料4からパイプ2を通して伝導される。吸収材料4が、例えば不織布等の布を含むと有利である。代替的に、吸収材料4は、ウール断熱材で構成されてよい。吸収材料4は実質的に、任意の所望の態様に形状付けられてよい。例えば、吸収材料4は、球体、正方形または立方体または枕のような形状を形成してよい。しかしながら、典型的に、吸収材料4は平坦に、例えば、層、被膜(coat)、または膜(membrane)として実施されてよい。
【0037】
吸収材料4は、両端に穿孔PV被覆が設けられた不織布層として実施されることが特に好ましい。
【0038】
図2には、例えば、平坦な屋根等の多層構造体6が、漏れを検出するためのデバイス1と共に示されている。多層構造体6は、例えば、現場打コンクリート天井である下層7、および、例えば、シーリング層である上層8を有する。下層7と上層8との間には、典型的に、蒸気バリア、断熱材9、追加のシーリング層および可能性として不織布等の複数の層が設けられる。図示された例示的な実施形態においては、吸収材料4は、上層と下層7との間に配置される。また、断熱材9が、上層8と吸収材料4との間に設けられる。いかなる場合においても、通常平坦な屋根と共に用いられる不織布は、吸収材料4として設けられることが好ましい。よって、追加の材料は不要である。
【0039】
この実施形態において、パイプ2は、第2の端部にオプションの吸引部10を有し、パイプ2は吸引部10を用いて吸収材料4に取り付けられる。吸引部10が存在するか否かに関わりなく、さらに、パイプ2は吸収材料4の上方に設置されることが規定されてよい。
【0040】
例えば、シーリング層および/または断熱材9が漏れを有する場合、漏れの結果、液体が吸収材料4に染み込む可能性があり、液体が下層7に到達する前に、吸収材料4がこの液体を吸収する。この場合、特に吸収材料4の領域において、水分レベル、主に湿度が上昇する。吸引デバイス3により、パイプ2に陰圧を加えることで、流体、例えば空気が、吸収材料4から、または、吸収材料4のキャビティから吸引されて測定デバイス5へと伝導されてよく、または、測定デバイス5のセンサを過ぎるまで伝導されてよい。吸引された流体は測定デバイス5を用いて解析され、例えば、湿度および/または温度の変化した測定値が漏れを示す。
【0041】
また、進入する液体は、おそらく下層と上層8との間に集まり、パイプ2を通して汲み出されてよい。
【0042】
図3には、ある領域、特に屋根領域を4つの具体的な仮定上の測定領域11に分割したものが示されている。この場合、漏れを検出するためのデバイス1は、4つのパイプ2を備えて実施されており、各パイプ2は異なる測定領域11の中へと至る。ここで、1つの測定デバイス5にはそれぞれパイプ2が割り当てられており、パイプ2は、測定デバイス5を通った後、共有コレクタ12を開通させる。共有コレクタ12は、例えば、別のパイプ2を通して吸引デバイス3と流体接続される。
【0043】
ここで、当該領域の漏れをチェックすべく、陰圧がすべてのパイプ2に同時に加えられてよく、それぞれの測定領域11から除去された流体が、対応する測定デバイス5において解析される。例えば、第1の測定領域11の測定値が、他の複数の測定領域11の測定値から逸れる場合、これは異常を示す。例えば、第1の測定領域11の湿度の測定値が、他の複数の測定領域11の湿度の測定値より高い場合、第1の測定領域11における少なくとも1つの漏れが存在する可能性が高い。これとは逆に、第1の測定領域11における測定値が、他の複数の測定領域11の測定値と比較して低い場合、これら他の領域における少なくとも1つの漏れまたは透水箇所をそれぞれ示してよい。
【0044】
図4には、代替的な実施形態が示されており、建物の屋根領域または別の部分が、また4つの測定領域11に分割されている。この場合、パイプ2はそれぞれ遮断弁13を備える。遮断弁13の後、パイプ2は共有コネクタ12を開通させ、共有コネクタが吸引デバイス3と流体接続する。この実施形態においては、測定デバイス5は、吸引デバイス3と共有コネクタ12との間に配置され、これにより、1つの測定デバイス5のみが必要となる。上記の方法を実行すべく、一度に1つの遮断弁13が開かれてよく、そして陰圧が対応するパイプ2に加えられてよい。これにより流体が対応する測定領域11から除去され、測定デバイス5において解析される。この手続きが複数回反復されてよく、具体的には、すべての測定領域11において得られた測定値が上記のように比較される。測定値を比較すべく、1つの測定デバイス5または複数の測定デバイス5が、評価ユニットに接続されていることが好ましい。
【0045】
もちろん、モニタリングすべき領域は任意の所望の数の測定領域11に分割されてよく、パイプ2の数は、測定領域11の数と少なくとも等しい。設けられる測定領域11の数が増えるにつれ、および/または、測定領域11がより小さくなるにつれ、漏れはより正確に位置特定されてよい。
【0046】
このタイプのデバイス1を用いると、一方では漏れを信頼性高く且つ早い段階において検出することが可能である。他方では、漏れの位置を特定の領域に絞り込むことも可能である。しかしながら、このタイプのデバイス1の適用分野は、例えば平坦な屋根等の屋根に限定はされない。
【0047】
かかるデバイス1はまた、非漏出性であるべき、例えば、地下および/またはウェットルームにおける壁または他の閉鎖要素のモニタリングにも用いられてよい。さらに、単一のパイプ2について説明されたすべての特徴物が任意の所望数のパイプ2、特にデバイス1のすべてのパイプ2について設けられていてよい。
[他の考え得る請求項]
項目1.
特に屋根における漏れ、並びに/または、特にウェットルームにおける壁および/または天井および/または床における漏れを検出するためのデバイス(1)であって、上記デバイス(1)は、流体が伝導され得る少なくとも1つのパイプ(2)を備え、吸引デバイス(3)が上記少なくとも1つのパイプ(2)の第1の端部と流体接続されており、上記デバイス(1)は、吸収材料(4)が設けられ、上記少なくとも1つのパイプ(2)の第2の端部は、上記流体が上記吸収材料(4)から除去され得るように配置され、上記流体を解析するための少なくとも1つの測定デバイス(5)が上記パイプ(2)と流体接続されることを特徴とする、デバイス(1)。
項目2.
上記吸収材料(4)は平坦に実施されることを特徴とする、項目1に記載のデバイス(1)。
項目3.
上記測定デバイス(5)は、湿度および/または温度を測定するために実施されることを特徴とする、項目1または2に記載のデバイス(1)。
項目4.
上記少なくとも1つのパイプ(2)は、遮断弁(13)を有することを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目5.
上記吸引デバイス(3)は、調整器を有し、上記調整器により、吸引力が規定値、特に0.1bar(10,000Pa)~1bar(100,000Pa)の範囲内、特に好ましくは、0.2bar(20,000Pa)~0.3bar(30,000Pa)の範囲内の値に設定され得ることを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目6.
上記少なくとも1つのパイプ(2)が、上記吸収材料(4)の少なくとも部分的に上方に設置されることを特徴とする、項目1から5のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目7.
上記少なくとも1つのパイプ(2)は、上記第2の端部において、上記吸収材料(4)に取り付け可能な、または上記吸収材料(4)に取り付けられた吸引部(10)を有することを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目8.
吸引デバイス(3)と流体接続された複数のパイプ(2)が設けられることを特徴とする、項目1から7のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目9.
パイプ(2)が共有コレクタ(12)を開通させ、吸引デバイス(3)が共有コレクタ(12)を介してパイプ(2)と流体接続されることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目10.
上記測定デバイス(5)は、上記吸引デバイス(3)と上記共有コレクタ(12)との間に位置付けられることを特徴とする、項目1から9のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目11.
上記吸収材料(4)は、不織布層として実施され、上記不織布層は、少なくとも一側に、好ましくは両側に、穿孔被覆、特に穿孔PV被覆を有することを特徴とする、項目1から10のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
項目12.
特に屋根、または、特にウェットルームにおける天井、床、および/または壁の構造体(6)であって、上記構造体(6)は下層(7)、上層(8)および項目1から11のいずれか一項に記載のデバイス(1)を備え、上記構造体(6)は、上記吸収材料(4)が、上記下層(7)と上記上層(8)との間に配置され、上記構造体(6)は複数の測定領域(11)を備え、各測定領域(11)に、少なくとも1つの対応するパイプ(2)が設けられ、それぞれの測定領域(11)に上記パイプ(2)の上記第2の端部が位置付けられることを特徴とする、構造体(6)。
項目13.
例えば、特にウェットルームにおける壁、床、および/または天井等の閉鎖要素における、または、屋根における漏れを検出および/または位置特定するための項目1から11のいずれか一項に記載のデバイス(1)の使用。
項目14.
特に屋根における漏れ、並びに/または、特にウェットルームにおける壁および/または天井および/または床における漏れを検出するための方法であって、吸引デバイス(3)を用いて陰圧が少なくとも1つのパイプ(2)に加えられて、流体が上記パイプ(2)内を伝導される上記方法は、上記流体が吸収材料(4)から除去され、測定デバイス(5)へと伝導され、上記流体の少なくとも1つの測定値が上記測定デバイス(5)を用いて取得され、上記少なくとも1つの測定値が、少なくとも1つの他の測定値と比較される、ことを特徴とする方法。
項目15.
上記流体が対応するパイプ(2)を通して複数の測定領域(11)から除去され、上記複数の測定領域(11)の別個の測定値が取得されることを特徴とする、項目14に記載の方法。
項目16.
上記測定領域(11)における漏れを位置特定すべく、上記取得された別個の測定値が比較され、上記測定領域(11)の測定値が、許容差を超えて他の複数の他の測定値から逸れることを特徴とする、項目15に記載の方法。