(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】架橋ポリマー、物質を分離する方法、物質を分離するためのキット、疾患を検査するためのキット及び物質を分離するための装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20241106BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20241106BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20241106BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01N33/48 A
G01N33/50 Z
C12M1/00 A
B01J20/26 H
(21)【出願番号】P 2023511695
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016441
(87)【国際公開番号】W WO2022211006
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2021060546
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】323011936
【氏名又は名称】株式会社Egret・Lab
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】安部 秀斉
(72)【発明者】
【氏名】右手 浩一
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518428(JP,A)
【文献】国際公開第2020/080387(WO,A1)
【文献】特表2020-502067(JP,A)
【文献】特開2021-007915(JP,A)
【文献】特許第2884063(JP,B2)
【文献】特表2001-519836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12M 1/00
B01J 20/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための架橋ポリマーであって、酸性基及び/又はその中和塩基を有するモノマー単位を含む架橋ポリマーであり、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物を含有し、前記化合物が、置換されていてもよい炭素数12~30の
アルキル基及び/又は置換されていてもよい炭素数12~30のアルケニル基並びにカチオン性基を有する化合物、又は、置換されていてもよい炭素数12~30の脂環式炭化水素基、カチオン性基、及び水酸基を有する化合物であ
り、前記脂環式炭化水素基がステロイド骨格を有する基であり、前記カチオン性基が-N
+
(R
2
)
3
(式中、各R
2
は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基を示す)である架橋ポリマー。
【請求項2】
前記炭素数12~30の脂環式炭化水素基が、炭素数20~30の脂環式炭化水素基である、請求項
1に記載の架橋ポリマー。
【請求項3】
前記架橋ポリマーを生理食塩水の重量に基づいて0.5重量%含有する生理食塩水溶液のpHが、7~8である、請求項1
又は2に記載の架橋ポリマー。
【請求項4】
前記架橋ポリマーの体積平均粒子径が
130~
630μmである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
【請求項5】
前記脂質二重層を有する物質が細胞外小胞である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
【請求項6】
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法であって、下記の工程(1)及び(2
):
(1)生体由来試料を請求項1~
5のいずれか1項に記載の架橋ポリマーと接触させ、脂質二重層を有する物質を含有するポリマーゲルを得る工程、及び
(2)前記ポリマーゲルを塩と混合し、脂質二重層を有する物質を回収する工程
を含み、前記塩は1価又は2価の金属塩である方法。
【請求項7】
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するためのキットであって、請求項1~
5のいずれか1項に記載の架橋ポリマー及び塩を含
み、前記塩は1価又は2価の金属塩であるキット。
【請求項8】
細胞外小胞を用いて疾患を検査するためのキットであって、請求項1~
5のいずれか1項に記載の架橋ポリマー及び塩を含
み、前記塩は1価又は2価の金属塩であるキット。
【請求項9】
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための装置であって、請求項
6に記載の方法を実行する手段を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ポリマー及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞から分泌される細胞外小胞は、脂質二重層で囲まれ、その内部にタンパク質、核酸などを含有する小胞体であり、細胞間情報伝達体として機能する。細胞外小胞体としては、例えば、エクソソーム、マイクロベジクル、アポトーシス小体などが挙げられる。これらのうち、エクソソーム(粒子径30~100nmの膜小胞)は、様々な細胞から分泌され、全身のあらゆる体液中でその存在が確認されており、体液中を循環して遠隔の細胞まで情報を伝達する可能性が示唆されている。エクソソームに内包されるタンパク質、核酸などは、それを分泌した細胞の状態をリアルタイムに反映したものであり、元の生物の状態、細胞間情報伝達などを評価するためのバイオマーカーとして有用である。
【0003】
生体由来試料からエクソソームを回収する方法としては、超遠心機を用いたサイズ分画法が汎用されている。この方法は、ショ糖密度勾配などを利用して、比較的低密度のエクソソームを他の粒子から分離する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、超遠心機を用いたサイズ分画法では、回収されるエクソソームの純度が十分ではなく、操作に長時間要するという問題がある。
【0005】
本発明は、エクソソームなどの脂質二重層を有する物質の分離に有用な架橋ポリマーを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸性基及び/又はその中和塩基を有するモノマー単位を含む架橋ポリマーであって、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物を含有する架橋ポリマーが、エクソソームなどの脂質二重層を有する物質の分離に有用であることを見出した。本発明は、当該知見を基にさらに検討を重ねて完成したものである。
【0007】
本発明は、以下の態様を包含する。
項1.
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための架橋ポリマーであって、酸性基及び/又はその中和塩基を有するモノマー単位を含む架橋ポリマーであり、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とを有する化合物を含有する架橋ポリマー。
項2.
前記化合物が、置換されていてもよい炭素数12~30の炭化水素基を有する、項1に記載の架橋ポリマー。
項3.
前記化合物が、カチオン性基を有する、項1又は2に記載の架橋ポリマー。
項4.
前記カチオン性基が、-N(R1)2(式中、各R1は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基を示す)、又は-N+(R2)3(式中、各R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基を示す)である、項1~3のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
項5.
前記炭素数12~30の炭化水素基が、炭素数12~20の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数20~30の脂環式炭化水素基である、項1~4のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
項6.
前記脂肪族炭化水素基がアルキル基又はアルケニル基であり、前記脂環式炭化水素基がステロイド骨格を有する基である、項5に記載の架橋ポリマー。
項7.
前記架橋ポリマーを生理食塩水の重量に基づいて0.5重量%含有する生理食塩水溶液のpHが、7~8である、項1~6のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
項8.
体積平均粒子径が100~1000μmである、項1~7のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
項9.
前記脂質二重層を有する物質が細胞外小胞である、項1~8のいずれか1項に記載の架橋ポリマー。
項10.
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法であって、下記の工程(1)及び(2)を含む方法:
(1)生体由来試料を請求項1~9のいずれか1項に記載の架橋ポリマーと接触させ、脂質二重層を有する物質を含有するポリマーゲルを得る工程、及び
(2)前記ポリマーゲルを塩と混合し、脂質二重層を有する物質を回収する工程。
項11.
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するためのキットであって、項1~9のいずれか1項に記載の架橋ポリマー及び塩を含むキット。
項12.
細胞外小胞を用いて疾患を検査するためのキットであって、項1~9のいずれか1項に記載の架橋ポリマー及び塩を含むキット。
項13.
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための装置であって、項10に記載の方法を実行する手段を備える装置。
項14.
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための、項1~9のいずれかに記載の架橋ポリマーの使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明の架橋ポリマーは、生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する用途に好適に利用することができる。本発明の分離方法は、例えば、従来の超遠心法などと比較して、分離される脂質二重層を有する物質の純度を高くすることができ、操作時間を短縮することができる。また、本発明の分離方法は、従来の超遠心法などと比較して、工程数を低減することができ、再現性にも優れる。分離された脂質二重層を有する物質は、元の生物の状態評価(例えば、検査又は診断)に用いることができる。また、分離された脂質二重層を有する物質は、それを担体として細胞標的治療薬などに用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(A)架橋ポリマー
本発明の架橋ポリマーは、酸性基及び/又はその中和塩基を有するモノマー単位を含む。
【0010】
本明細書において、「酸性基」とは、解離性のプロトンを有する基であり、例えば、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸基[-S(=O)2(OH)]、硫酸基[-O-S(=O)2(OH)]、ホスホン酸基[-P(=O)(OH)2]、リン酸基[-O-P(=O)(OH)2]などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書において、「酸性基の中和塩基」とは、任意のカチオンとの中和塩基をいう。カチオンの具体例としては、金属(1価又は2価の金属など)、式:NR4
+(式中、各々のRは、独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい炭化水素基を示し、2つ又は3つのRは隣接する窒素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるカチオンなどが挙げられる。
【0012】
前記1価の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属などが挙げられる。前記2価の金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;鉛;亜鉛;錫などが挙げられる。
【0013】
前記式:NR4
+で表されるカチオンにおいて、Rが置換されていてもよい炭化水素基である場合、当該炭化水素基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基などであってもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基又はイソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、又はt-ブチル基)などのC1-6アルキル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5-14シクロアルキル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などのC6-14アリール基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC7-14アラルキル基などが挙げられる。
【0014】
前記炭化水素基に置換し得る置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基などが挙げられる。
【0015】
前記式:NR4
+で表されるカチオンにおいて、2つ又は3つのRが隣接する窒素原子と共に環を形成する場合、当該環は、ピリジン環、イミダゾール環などの単環であってもよく、キノリン環などの縮合環であってもよい。前記環は、1個以上の置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、N,N-ジアルキルアミノ基などが挙げられる。当該置換基の数は、例えば、1個、2個、又は3個である。
【0016】
酸性基を有するモノマーの代表例として、不飽和カルボン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸は、例えば、不飽和モノカルボン酸及び不飽和ジカルボン酸を包含する。不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの炭素数3~10の不飽和モノカルボン酸が挙げられる。不飽和ジカルボン酸(本明細書では無水物も含む)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの炭素数4~10の不飽和ジカルボン酸、これらの無水物などが挙げられる。
【0017】
また、その他の酸性基を有するモノマーとしては、例えば、スルホン酸基を有する(メタ)アクリルモノマー[例えば、(メタ)アクリル酸2-スルホエチルなどの(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などのN-スルホアルキル(メタ)アクリル酸アミド]、リン酸基を有する(メタ)アクリルモノマー[例えば、リン酸2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルなどの(メタ)アクリル酸ホスホノオキシアルキルエステル]などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリロイルオキシは、アクリロイルオキシ及び/又はメタクリロイルオキシを意味する。
【0018】
酸性基を有するモノマーは、1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。
【0019】
酸性基の中和塩基を有するモノマーの代表例として、不飽和カルボン酸塩が挙げられる。不飽和カルボン酸塩としては、例えば、不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルキルアミン塩(例えば、トリエチルアミン塩などのトリアルキルアミン塩)、アルカノールアミン塩(例えば、ジエタノールアミン塩などのジアルカノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などのトリアルカノールアミン塩)、アンモニウム塩、又はテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩)が挙げられる。
【0020】
また、その他の酸性基の中和塩基を有するモノマーとしては、例えば、前記のスルホン酸基を有する(メタ)アクリルモノマーの中和塩、リン酸基を有する(メタ)アクリルモノマーの中和塩などが挙げられる。これらの中和塩としては、例えば、前記のアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0021】
酸性基の中和塩基を有するモノマーは、1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。
【0022】
本発明の架橋ポリマーは、酸性基を有するモノマー単位、及び、酸性基の中和塩基を有するモノマー単位の両方を含むことが好ましい。すなわち、酸性基を有するモノマー単位を含む架橋ポリマーにおいて、酸性基を有するモノマー単位の一部は、中和されて、酸性基の中和塩基を有するモノマー単位に置換されていることが好ましい。中和度[100×(酸性基の中和塩基のモル数)/(酸性基及びその中和塩基の合計モル数)]は、特に限定されないが、例えば、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上、40モル%以上、45モル%以上、又は50モル%以上であってもよく、90モル%以下、85モル%以下、又は80モル%以下であってもよい。
【0023】
本発明の架橋ポリマーは、酸性基及び/又はその中和塩基を有するモノマー単位に加えて、さらに他のモノマー単位を含んでもよい。他のモノマーとしては、例えば、下記の単官能エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
・不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)のエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2-エチルヘキシルエステルなどのアルキルエステル;2-ヒドロキシエチルエステルなどのヒドロキシアルキルエステル;2,2,2-トリフルオロエチルエステルなどのハロアルキルエステル;2-アミノエチルエステルなどのアミノアルキルエステル;2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルエステルなどの(モノ又はジアルキルアミノ)アルキルエステル;シクロヘキシルエステルなどのシクロアルキルエステル:フェニルエステル、ナフチルエステルなどのアリールエステル;ベンジルエステル、フェネチルエステルなどのアラルキルエステル;グリシジルエステル;ポリエチレングリコールエステルなど)
・不飽和カルボン酸アミド(例えば、遊離アミド;N-モノアルキルアミド、N,N-ジアルキルアミドなどのN-置換アミドなど)
・不飽和ジカルボン酸イミド(例えば、マレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、これらのN-アルキル置換体、N-シクロアルキル置換体、又はN-アリール置換体など)
・飽和カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)のアルケニルエステル(例えば、ビニルエステル、アリルエステルなど)
・不飽和スルホン酸のエステル又はアミド(例えば、上記で例示した不飽和カルボン酸のエステル又はアミドに対応する不飽和スルホン酸のエステル又はアミドなど)
・不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、プロペニルアルコールなど)
・不飽和エーテル(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテルなどのアルキルアリルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル;グリシジルビニルエーテルなど)
・不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)
・オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなど)
・芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレンなど)
・複素環式ビニル化合物(例えば、N-ビニルピロリドンなど)
他のモノマーは、1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。
【0024】
なお、架橋ポリマーを構成するモノマーは、25℃の水への溶解度(g/水100g)が1g以上であることが好ましく、5g以上であることが更に好ましい。また、架橋ポリマーを構成するモノマーは、水混和性であってもよい。
【0025】
本発明の架橋ポリマーは、架橋構造[複数の線状の高分子(酸性基及び/又はその中和塩基を有するモノマーの重合物)のそれぞれの構成原子同士が、直接又は他の原子を介して共有結合している構造]を有するポリマーである。架橋構造は、架橋ポリマーを構成するモノマーが、反応性基を有する場合(例えば、カルボキシル基を有するモノマーとアミノ基を有するモノマーの併用等)は、自己架橋させてもよいが、必要により任意の架橋剤で架橋してもよい。
【0026】
架橋剤を用いた架橋の方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
1)下記の内部架橋剤を用いる方法:前記のモノマーと内部架橋剤とを重合反応させて、直接、架橋構造を有する架橋ポリマーを得る[例えば、特開2003-225565号公報、特開2005-075982号公報に記載の方法等]
2)下記の表面架橋剤を用いる方法:前記のモノマーを必須構成単量体とするポリマーを、表面架橋剤を用いて架橋し、架橋ポリマーを得る[例えば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2003-225565号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報に記載の方法等]
【0027】
前記の架橋剤(内部架橋剤及び表面架橋剤を含む)としては、特に限定されないが、例えば、下記の2官能以上のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
・2価以上のアルコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール又はポリアルキレングリコール(アルキレン基の好ましい炭素数は2~4、アルキレンオキサイドの好ましい繰り返し数は10~50)、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン)のアルケニルエーテル(例えば、ビニルエーテル、アリルエーテルなど)
・不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)と2価以上のアルコール(例えば、前記エーテルで例示したものなど)とのエステル
・不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)のアルケニルエステル(例えば、ビニルエステル、アリルエステルなど)
・ポリカルボン酸(例えば、酒石酸、クエン酸、アジピン酸など)のアルケニルエステル(例えば、ビニルエステル、アリルエステルなど)
・イソシアヌル酸のアルケニルエステル(例えば、トリアリルイソシアネートなど)
・アルキレンビスアクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミドなど)
・アルキレンビスメタクリルアミド(例えば、メチレンビスメタクリルアミドなど)
・ジ又はトリアルケニルアミン(例えば、ジアリルアミン、トリアリルアミンなど)
・芳香族ポリビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼンなど)
【0028】
前記の架橋剤としては、前記のモノマーが有する置換基(カルボキシ基、水酸基等)と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤を用いることもできる。このような架橋剤としては、多価アルコールグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどのアルカントリオールジ又はトリグリシジルエーテル)等を用いることができる。
【0029】
架橋剤は、1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。
【0030】
架橋剤の量は、所望の架橋密度に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋ポリマーを構成するモノマーに対して、0.005モル%以上、又は0.01モル%以上であってもよく、0.5モル%以下、又は0.4モル%以下であってもよい。
【0031】
本発明の架橋ポリマーは、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物(以下、「化合物X」という)を含有(又は担持)する。すなわち、本発明の架橋ポリマーは、化合物Xとの共存物の形態を有する。本発明の架橋ポリマーの表面に化合物Xが存在することが好ましく、本発明の架橋ポリマーの表面に、水素結合、イオン結合などの非共有結合により、化合物Xが付着又は固定されていることが好ましく、本発明の架橋ポリマーの表面の一部又は全部が化合物Xで被覆されていることが好ましい。なお、架橋ポリマーの表面とは、架橋ポリマーの分子鎖上、或いは、架橋ポリマーが粒子状、ペレット状などの場合、架橋ポリマーの粒子、ペレットなどの表面を意味する。
【0032】
本発明の架橋ポリマーが化合物Xを含有することは、例えば、架橋ポリマーを適当な溶媒(例えば、ヘキサンなどの炭化水素系溶媒)に浸漬し、当該溶媒中に化合物Xを遊離させ、化合物Xを単離してNMR及びガスクロマトグラフィーに供することで同定することができる。
【0033】
化合物Xは、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基と、置換されていてもよい炭素数2~30の炭化水素基とを有することが好ましく、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基と、置換されていてもよい炭素数12~30の炭化水素基とを有することが更に好ましく、一方の末端に、置換されていてもよい炭素数12~30の炭化水素基を有し、他方の末端に、カチオン性基及び水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有することが更に好ましい。化合物Xにおいて、前記炭化水素基、カチオン性基、又は水酸基の数は、1個であっても2個以上であってもよい。なお、本明細書において、化合物Xがカチオン性基を有し、カチオン性基中に水酸基が含まれる場合も、化合物Xはカチオン性基及び水酸基を有するという。同様に、化合物Xが、置換されていてもよい炭素数2~30(又は炭素数12~30)の炭化水素基を有し、当該炭化水素基中に置換基として水酸基が含まれる場合も、化合物Xは当該炭化水素基及び水酸基を有する、という。
【0034】
炭素数12~30の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基などの脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基などの脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。前記炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、これらの組合せなどが挙げられる。前記炭化水素基の置換基の数は、例えば、1個、2個、3個、4個、又は5個である。
【0035】
炭素数12~30の脂肪族炭化水素基としては、飽和及び不飽和のいずれであってもよく、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、リノレイル基、アラキジル基などの炭素数12~20の脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
【0036】
例えば、レシチンは、置換されていてもよい炭素数12~30の脂肪族炭化水素基として、C12-30アシル基を有し、具体的には、オレイロイルオキシ基及びパルミトイルオキシ基を有する。さらに詳しくは、レシチンは、前記アシル基を有するジアシルグリセロール骨格を有する。
【0037】
炭素数12~30の脂環式炭化水素基としては、例えば、ステロイド骨格を有する基などが挙げられる。ステロイド骨格は、例えば、下記式(1)で表される:
【化1】
(式中、環Aの破線は、任意の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重結合であってもよいことを示し、環Bの破線は、当該炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重結合であってもよいことを示し、環A~Dは、それぞれ、置換されていてもよい。なお、環上の数字は、置換基の置換位置を示すために便宜的に記載したものである。)
【0038】
環A~Dに置換し得る置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、アルキル基(例えば、メチル基などの炭素数1~4のアルキル基)、これらの組合せ(例えば、ヒドロキシアルキル基)などが挙げられる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、例えば、3位、7位、10位、11位、12位、13位、17位などが挙げられる。
【0039】
式(1)で表される骨格は、下記式(1-1)~(1-5)で表される骨格を包含する:
【化2】
【0040】
炭素数12~30の脂環式炭化水素基は、
好ましくは、炭素数20~30の脂環式炭化水素基であり、
より好ましくは、式(1)で表される骨格の17位に、置換されていてもよいアルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基などの炭素数2~4のアルキレン基)が連結した基であり、
さらに好ましくは、式(1-1)~(1-5)のいずれかで表される骨格の17位に、置換されていてもよいアルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基などの炭素数2~4のアルキレン基)が連結した基である。
【0041】
炭素数12~30の芳香族炭化水素基としては、例えば、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ピレン、トリフェニレン、クリセン、テトラフェニレンなどが挙げられる。
【0042】
置換されていてもよい炭素数12~30の炭化水素基は、ジC12-30アシルグリセロール骨格を有する基、又はステロイド骨格を有する基であることが好ましい。
【0043】
本明細書において、「カチオン性基」とは、それ自体カチオンを形成している基、及びそれ自体カチオンを形成していないが、プロトンの結合によりカチオンを形成しうる基を包含する。カチオン性基としては、例えば、-N(R1)2(式中、各R1は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基を示す)、-N+(R2)3(式中、各R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基を示す)などが挙げられる。
【0044】
前記式のR1及びR2において、炭素数1~6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基が挙げられる。炭素数1~6の炭化水素基に置換し得る置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、オキソ基、カルボン酸基、スルホン酸基などが挙げられる。
【0045】
前記式:-N(R1)2で表される基は、好ましくは、-NH2又は-N(R11)2(式中、R11は、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を示す)である。前記炭素数1~5のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基(ペンタヒドロキシペンチル基などを含む)などが挙げられる。
【0046】
前記式:-N+(R2)3で表される基は、好ましくは、-N+(CH3)3、-N+(CH3)2(C2H5)、-N+(CH3)2(C3H7)などであり、これらの基は、例えば、-CO2
-、-SO3
-などで置換されていてもよい。
【0047】
化合物Xの好ましいものとしては、炭素数12~30の脂肪族炭化水素基及びカチオン性基を有する化合物(例えば、レシチン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド)、炭素数12~30の炭化水素基及び水酸基を有する化合物(例えば、ラウリルアルコール、BIGCHAP)、炭素数12~30の脂環式炭化水素基、カチオン性基、及び水酸基を有する化合物(例えば、CHAPS)、カチオン性基及び水酸基を有する化合物(例えば、トリエタノールアミン)、カチオン性基を有するポリマー(例えば、ポリリジン、ポリエチレンイミン)等が挙げられる。
【0048】
化合物X(特に、化合物Xがカチオン性基を有するポリマーである場合)1モルあたりのカチオン性基のモル濃度の下限は、1モル以上であることが好ましく、脂質二重層を有する物質の回収量を向上させる観点から、5モル以上であることが好ましく、10モル以上であることが更に好ましい。また、化合物X1モルあたりのカチオン性基のモル濃度の上限は、100モル以下であることが好ましい。
【0049】
化合物Xの化学式量又は数平均分子量の下限は、脂質二重層を有する物質の回収量を向上させる観点から、300以上であることが好ましく、500以上であることが更に好ましい。化合物Xの化学式量又は数平均分子量の上限は、10000以下であることが好ましい。
なお、化合物Xの数平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件等で測定することができる。
<GPC測定条件>
[1]装置:ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
[型番「HLC-8120GPC」、東ソー(株)製]
[2]カラム:「TSKgelG6000PWxl」、「TSKgel
G3000PWxl」[いずれも東ソー(株)製]を直列
に連結。
[3]溶離液:メタノール/水=30/70(容量比)に
0.5重量%の酢酸ナトリウムを溶解させたもの。
[4]基準物質:ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)
[5]注入条件:サンプル濃度0.25重量%、カラム温度40℃
【0050】
本発明の架橋剤ポリマーは、脂質二重層を有する物質の分離において、不純物(アルブミンなど)を低減する点から、体積平均粒子径が50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、100μm以上、110μm以上、120μm以上、130μm以上、140μm以上、又は150μm以上の範囲にある粒子であることが好ましい。
また、本発明の架橋剤ポリマーは、脂質二重層を有する物質の回収量を向上させる観点から、体積平均粒子径が2000μm以下、1500μm以下、1000μm以下、500μm以下、又は300μm以下の範囲にある粒子であることが好ましい。体積平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0051】
本発明の架橋ポリマーを生理食塩水の重量に基づいて0.5重量%含有する生理食塩水溶液のpH(以下、「生理食塩水溶液pH」と略記する)は、特に限定されない。生体由来試料からの脂質二重層を有する物質の分離において、負に帯電する不純物(アルブミンなど)を低減する点から、当該生理食塩水溶液pHは、6.5以上、7以上、又は7.2以上であることが好ましく、8.5以下、8以下、7.9以下、又は7.5以下であることが好ましい。生理食塩水溶液pHは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0052】
生理食塩水溶液pHは、中和度によって調整することができ、生理食塩水溶液pHが低すぎる場合は、中和度を上昇させることで、生理食塩水溶液pHが上昇する傾向があり、生理食塩水溶液pHが高すぎる場合は、中和度を低下させることで、生理食塩水溶液pHが低下する傾向がある。
【0053】
本発明の架橋ポリマーの生理食塩水中の吸水倍率(生理食塩水の吸収倍率)は、脂質二重層を有する物質の回収量を向上させる観点から、1g/g以上であることが好ましく、3g/g以上であることが更に好ましく、5g/g以上であることが特に好ましく、10g/g以上であることがとりわけ好ましく、又は15g/g以上が最も好ましい。
本発明の架橋ポリマーの生理食塩水中の吸水倍率(生理食塩水の吸収倍率)が低すぎる場合は、前記の架橋剤の量を増やすことで、倍率が上昇する傾向がある。
本発明の架橋ポリマーの生理食塩水中の吸水倍率(生理食塩水の吸収倍率)の上限は、特に限定されないが、例えば、120g/g以下が好ましく、100g/g以下が更に好ましく、50g/g以下が特に好ましい。生理食塩水の吸収倍率は、後述の実施例の記載の方法により測定することができる。
【0054】
本発明の架橋ポリマーがカチオン性基を有する場合、カチオン性基のモル濃度は、脂質二重層を有する物質の回収量を向上させる観点から、乾燥後の架橋ポリマーの重量を基準として、6×10-6~1×10-4mol/gであることが好ましい。
乾燥後の架橋ポリマーの重量は、例えば以下の方法で測定できる。
架橋ポリマー1gを、シャーレに乗せ、濾紙で蓋をし、130℃で60分間、循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣の重量を乾燥後の架橋ポリマーの重量とすることができる。
【0055】
本発明の架橋ポリマーに含有される化合物Xは、脂質二重層を有する物質との親和性に優れるため、本発明の架橋ポリマーは、生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する用途に好適に利用することができる。脂質二重層を有する物質としては、例えば、エクソソームなどの細胞外小胞などが挙げられる。
【0056】
本発明の架橋ポリマーは、例えば、モノマー、架橋剤、溶媒、開始剤、及び必要により中和剤を含有する組成物を重合(溶液重合、乳化重合、懸濁重合など)する工程、重合物を乾燥する工程、及び必要により重合物を分級する工程を含む方法により製造することができる。
【0057】
(B)生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法
生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法は、下記の工程(1)及び(2)を含む:
(1)生体由来試料を架橋ポリマーと接触させ、脂質二重層を有する物質を含有するポリマーゲルを得る工程、及び
(2)前記ポリマーゲルを塩と混合し、脂質二重層を有する物質を回収する工程。
【0058】
工程(1)で使用する生体由来試料は、脂質二重層を有する物質を含有する限り、特に制限されない。生体由来試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血漿、血清、涙液、唾液、母乳、胸水、腹腔液、羊水、脳脊髄液、尿などの体液;臓器、毛髪、爪、皮膚、筋肉、神経などの組織又は細胞の液状化物(細胞培養液及びその上清も包含する);植物からの抽出液などが挙げられる。生体由来試料は、1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。生体由来試料としては、体液であることが好ましく、血液、血漿、血清、又は尿であることがより好ましい。
【0059】
工程(1)で使用する架橋ポリマーとしては、前記「(A)架橋ポリマー」に記載したものと同じものを使用することができる。架橋ポリマーの使用量は、例えば、生体由来試料100質量部に対して、1質量部以上、5質量部以上、又は10質量部以上であることが好ましく、2000質量部以下、1500質量部以下、又は1000質量部以下であることが好ましい。
【0060】
架橋ポリマーを生体由来試料に接触させる温度は、例えば、1~35℃の範囲内であり、5~30℃の範囲内であることが好ましい。また、接触後、所定時間(例えば、1時間以上又は2時間以上、或いは、5時間以下又は4時間以下)静置することが好ましい。
【0061】
工程(1)により、脂質二重層を有する物質をポリマーゲル内に分離することができる。
【0062】
工程(2)で使用する塩は、ポリマーゲルに含まれる脂質二重層を有する物質を排出できる限り、特に制限されない。塩としては、例えば、金属塩(1価又は2価の金属塩など)が挙げられる。
【0063】
前記1価の金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩などが挙げられる。前記2価の金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0064】
塩の対アニオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
塩は、1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。塩は、好ましくは、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0066】
塩の使用量は、例えば、ポリマーゲル100質量部に対して、1質量部以上、5質量部以上、又は10質量部以上であることができ、2000質量部以下、1500質量部以下、又は1000質量部以下であることができる。
【0067】
ポリマーゲルと塩の混合温度は、例えば、1~35℃の範囲内、又は5~30℃の範囲内であることが好ましい。また、混合後、所定時間(例えば、1時間以上又は2時間以上、或いは、5時間以下又は4時間以下)静置することが好ましい。ポリマーゲルと塩との混合物は、必要により透析してもよい。
【0068】
工程(2)により、ポリマーゲルに含まれる脂質二重層を有する物質を高い回収率で回収することができる。回収される脂質二重層を有する物質としては、例えば、エクソソームなどの細胞外小胞が挙げられる。
【0069】
本発明の方法では、従来の超遠心法に比べて、回収される脂質二重層を有する物質の純度を高くすることができ(夾雑物の量を低減することができ)、また操作時間を短縮することができる。
【0070】
(C)生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するためのキット
本発明は、生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するためのキットであって、架橋ポリマー及び塩を含むキットを包含する。当該キットの構成は、前記「(B)生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法」に対応するものであることが好ましい。本発明のキットは、さらに、生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法に関する説明を含む説明書、前記分離のための器具などを含んでいてもよい。
【0071】
(D)細胞外小胞を用いて疾患を検査するためのキット
本発明は、細胞外小胞を用いて疾患を検査(又は診断)するためのキットであって、架橋ポリマー及び塩を含むキットを包含する。
【0072】
検査対象は健常者であっても患者であってもよい。疾患としては、例えば、生活習慣病、慢性腎臓病、神経疾患、免疫疾患、癌、感染症、変性疾患などが挙げられる。
【0073】
前記キットは、例えば、検査対象由来の試料(例えば、血液、血漿、血清、涙液、唾液、母乳、胸水、腹腔液、羊水、脳脊髄液、尿などの体液)から細胞外小胞を分離し、細胞外小胞の内包物に基づいて疾患を検査するものであってもよい。前記キットは、細胞外小胞を用いて疾患を検査するための公知のキットにおいて、検査対象由来の試料から細胞外小胞を分離するための試薬として、架橋ポリマー及び塩を含むキットであってもよい。
【0074】
前記キット中の架橋ポリマー及び塩としては、それぞれ、前記「(B)生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法」に記載したものと同じものを使用することができる。前記キットは、さらに、検査対象から細胞外小胞を分離する方法に関する説明を含む説明書、前記分離のための器具などを含んでいてもよい。
【0075】
(E)生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための装置
本発明は、生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離するための装置であって、前記「(B)生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する方法」を実行する手段を備える装置を包含する。
【実施例】
【0076】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
<生理食塩水溶液pH測定方法>
直径50mmの円柱状の100mLビーカーに、測定試料0.5gに生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)を加えて全量を100gとし、25℃にてスターラーチップ(長さ30mm)を60rpmで30分攪拌後、25℃で1分間静置した。静置後、pHメーターにて上清の25℃でのpHを測定した値を生理食塩水溶液pHとした。
【0078】
<生理食塩水の吸収倍率の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグの重量(h1)を測定し次式から生理食塩水の吸収倍率を求めた。
生理食塩水の吸収倍率(g/g)=(h1)-(h2)
使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とした。測定試料を用いない以外は上記と同様にして、ティーバッグの重量を測定し(h2)とした。
【0079】
<製造例1:架橋ポリマー(A-1)の製造>
1リットルのビーカーにアクリル酸116.5g、イオン交換水272.2g、及び架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル1.5g(1.3重量%/アクリル酸)を入れ混合し架橋剤を溶解させた。ビーカーを氷浴で冷却しながら、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液96.1gを添加し、アクリル酸の一部(72モル%)を中和した。中和したモノマー溶液を5℃に冷却した後、重合開始剤として2重量%過硫酸カリウム水溶液9.3gを添加してモノマー水溶液とした。
攪拌機とコンデンサー(冷却器)を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、シクロヘキサン1434g及び分散剤としてレオドールSP-S10V(花王株式会社製、モノステアリン酸ソルビタン)7.1gを入れ、湯浴を用いて内温60℃に加熱し攪拌して、シクロヘキサンに分散剤を溶解させた。
セパラブルフラスコ中の溶液中に窒素を通じてシクロヘキサンの溶存酸素を0.1ppm以下とした後、攪拌機を用いて攪拌しながら、滴下ロートを用いてモノマー水溶液350gを滴下し、重合温度80℃で逆相懸濁重合を行い、更にモノマー水溶液の滴下終了後、更に2時間加熱し、懸濁重合を完結させ、シクロヘキサン中で球状の含水ゲルを得た。 攪拌機の回転を停止し、生成した含水ゲルを沈降させた後、デカンテーションによりシクロヘキサンを除去し、残った含水ゲルを数回シクロヘキサンで洗浄し、含水ゲルに付着した分散剤を除去した。得られた球状の含水ゲルを、離型紙の上に広げ、130℃の減圧乾燥機(減圧度:10000~20000Pa)で1時間乾燥させ架橋ポリマー(X-1)を得た。
この架橋ポリマー(X-1)を、目開き150及び300μmのふるいを用いて150~300μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-1)を得た。
架橋ポリマー(A-1)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ220μmであった。生理食塩水の吸収倍率は26g/gであった。
【0080】
<製造例2:架橋ポリマー(A-2)の製造>
エチレングリコールジグリシジルエーテルの量を3.0g(2.6重量%/アクリル酸)にしたこと以外は製造例1における架橋ポリマー(X-1)の製造方法と同様に実施し、架橋ポリマー(X-2)を得た。
この架橋ポリマー(X-2)を、目開き150及び300μmのふるいを用いて150~300μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-2)を得た。
架橋ポリマー(A-2)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ200μmであった。生理食塩水の吸収倍率は16g/gであった。
【0081】
<製造例3:架橋ポリマー(A-3)の製造>
エチレングリコールジグリシジルエーテルの量を0.58g(0.5重量%/アクリル酸)にしたこと以外は製造例1における架橋ポリマー(X-1)の製造方法と同様に実施し、架橋ポリマー(X-3)を得た。
この架橋ポリマー(X-3)を、目開き300及び500μmのふるいを用いて300~500μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-3)を得た。
架橋ポリマー(A-3)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ410μmであった。生理食塩水の吸収倍率は35g/gであった。
【0082】
<製造例4:架橋ポリマー(A-4)の製造>
2リットルのビーカーに、アクリル酸300g、イオン交換水700g、及び架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート2.0g(0.66重量%/アクリル酸)を入れて撹拌混合してアクリル酸水溶液を調製し、3℃に冷却した。
アクリル酸水溶液を2リットルの断熱重合槽に入れ、アクリル酸水溶液に窒素を通じてアクリル酸水溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下とした。この断熱重合層に、1重量%過酸化水素水溶液1.2g、2重量%L-アスコルビン酸水溶液2.3g、及び2重量%2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ハイドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液(和光純薬工業株式会社製、商品名:VA-086)4.5gを添加し、重合が開始するまでアクリル酸水溶液中への窒素通気を継続した。重合が開始し、アクリル酸水溶液の粘度が上昇し始めたのを確認後、窒素通気を停止して6時間重合した。打点温度計でアクリル酸水溶液の温度を測定したところ、最高到達温度は、94℃であった。
ブロック状の架橋された含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを3~10mmの太さのヌードル状になるように細断した後、40重量%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液292g(アクリル酸の中和度70モル%相当)を加え含水ゲルを中和し、次に10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液45gを加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混練した。
中和後の細断ゲルを通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕し、架橋ポリマー(X-4)を得た。
この架橋ポリマー(X-4)を、目開き150及び300μmのふるいを用いて150~300μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-4)を得た。
架橋ポリマー(A-4)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ222μmであった。生理食塩水の吸収倍率は36g/gであった。
【0083】
<製造例5:架橋ポリマー(A-5)の製造>
製造例4で得た架橋ポリマー(X-4)を、目開き90及び150μmのふるいを用いて90~150μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-5)を得た。
架橋ポリマー(A-5)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ125μmであった。生理食塩水の吸収倍率は33g/gであった。
【0084】
<製造例6:架橋ポリマー(A-6)の製造>
製造例4で得た架橋ポリマー(X-4)を、目開き500及び710μmのふるいを用いて500~710μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-6)を得た。 架橋ポリマー(A-6)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ630μmであった。生理食塩水の吸収倍率は38g/gであった。
【0085】
<製造例7:架橋ポリマー(A-7)の製造>
エチレングリコールジグリシジルエーテルの量を6g(5.2重量%/アクリル酸)にしたこと以外は製造例1における架橋ポリマー(X-1)の製造方法と同様に実施し、架橋ポリマー(X-7)を得た。
この架橋ポリマー(X-7)を、目開き150及び300μmのふるいを用いて150~300μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-7)を得た。
架橋ポリマー(A-7)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ220μmであった。生理食塩水の吸収倍率は3g/gであった。
【0086】
<製造例8:架橋ポリマー(A-8)の製造>
エチレングリコールジグリシジルエーテルの量を0.2g(0.17重量%/アクリル酸)にしたこと以外は製造例1における架橋ポリマー(X-1)の製造方法と同様に実施し、架橋ポリマー(X-8)を得た。
この架橋ポリマー(X-8)を、目開き150及び300μmのふるいを用いて150~300μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-8)を得た。
架橋ポリマー(A-8)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ220μmであった。生理食塩水の吸収倍率は100g/gであった。
【0087】
<製造例9:架橋ポリマー(A-9)の製造>
製造例1で得た架橋ポリマー(X-1)を、目開き100及び200μmのふるいを用いて100~200μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-9)を得た。 架橋ポリマー(A-9)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ150μmであった。生理食塩水の吸収倍率は21g/gであった。
【0088】
<製造例10:架橋ポリマー(A-10)の製造>
製造例1で得た架橋ポリマー(X-1)を、目開き250及び350μmのふるいを用いて250~350μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-10)を得た。
架橋ポリマー(A-10)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ300μmであった。生理食塩水の吸収倍率は24g/gであった。
【0089】
<製造例11:架橋ポリマー(A-11)の製造>
製造例4で得た架橋ポリマー(X-4)を、目開き250及び350μmのふるいを用いて250~350μmの粒度に調整することにより、架橋ポリマー(A-11)を得た。
架橋ポリマー(A-11)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ288μmであった。生理食塩水の吸収倍率は34g/gであった。
【0090】
<製造例12:架橋ポリマー(B-1-1)の製造>
架橋ポリマー(A-1)50gに50重量%炭酸カリウム水溶液28gをスプレーノズルから噴霧添加し、均一混合した後、130℃で30分間加熱し、室温まで冷却して架橋ポリマー(B-1-1)を得た。架橋ポリマー(B-1-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.5であった。
【0091】
<製造例13:架橋ポリマー(B-1-2)の製造>
製造例12において、50重量%炭酸カリウム水溶液の量を20gに変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-1-2)を得た。架橋ポリマー(B-1-2)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.2であった。
【0092】
<製造例14:架橋ポリマー(B-1-3)の製造>
製造例12において、50重量%炭酸カリウム水溶液の量を32gに変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-1-3)を得た。架橋ポリマー(B-1-3)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.9であった。
【0093】
<製造例15:架橋ポリマー(B-1-4)の製造>
製造例12において、50重量%炭酸カリウム水溶液の量を25gに変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-1-4)を得た。架橋ポリマー(B-1-4)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.3であった。
【0094】
<製造例16:架橋ポリマー(B-2-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-2)に変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-2-1)を得た。架橋ポリマー(B-2-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0095】
<製造例17:架橋ポリマー(B-3-1)の製造>
製造例13において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-3)に変更したこと以外は製造例13と同様に実施し、架橋ポリマー(B-3-1)を得た。架橋ポリマー(B-3-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.1であった。
【0096】
<製造例18:架橋ポリマー(B-4-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-4)に変更し、50重量%炭酸カリウム水溶液28gに代えて、48重量%水酸化ナトリウム12.5gを用いたこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-4-1)を得た。架橋ポリマー(B-4-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.5であった。
【0097】
<製造例19:架橋ポリマー(B-5-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-5)に変更し、50重量%炭酸カリウム水溶液28gに代えて、48重量%水酸化ナトリウム12.5gを用いたこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-5-1)を得た。架橋ポリマー(B-5-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0098】
<製造例20:架橋ポリマー(B-6-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-6)に変更し、50重量%炭酸カリウム水溶液28gに代えて、48重量%水酸化ナトリウム15.6gを用いたこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-6-1)を得た。架橋ポリマー(B-6-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.9であった。
【0099】
<製造例21:架橋ポリマー(B-7-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-7)に変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-7-1)を得た。架橋ポリマー(B-7-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0100】
<製造例22:架橋ポリマー(B-8-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-8)に変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-8-1)を得た。架橋ポリマー(B-8-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0101】
<製造例23:架橋ポリマー(B-9-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-9)に変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-9-1)を得た。架橋ポリマー(B-9-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0102】
<製造例24:架橋ポリマー(B-10-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-10)に変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-10-1)を得た。架橋ポリマー(B-10-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0103】
<製造例25:架橋ポリマー(B-11-1)の製造>
製造例12において、架橋ポリマーを(A-1)から(A-11)に変更したこと以外は製造例12と同様に実施し、架橋ポリマー(B-11-1)を得た。架橋ポリマー(B-11-1)の生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0104】
<実施例1:架橋ポリマー(C-1-1-a)の製造>
架橋ポリマー(B-1-1)10gに5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gをスポイトで滴下して添加し、均一混合した後、130℃で30分間加熱し、室温まで冷却して架橋ポリマー(C-1-1-a)を得た。
架橋ポリマー(C-1-1-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ220μmであった。生理食塩水の吸収倍率は22g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0105】
<実施例2:架橋ポリマー(C-1-2-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-1-2)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-1-2-a)を得た。
架橋ポリマー(C-1-2-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ218μmであった。生理食塩水の吸収倍率は23g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.1であった。
【0106】
<実施例3:架橋ポリマー(C-1-3-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-1-3)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-1-3-a)を得た。
架橋ポリマー(C-1-3-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ218μmであった。生理食塩水の吸収倍率は19g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.9であった。
【0107】
<実施例4:架橋ポリマー(C-1-4-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-1-4)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-1-4-a)を得た。
架橋ポリマー(C-1-4-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ218μmであった。生理食塩水の吸収倍率は22g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.2であった。
【0108】
<実施例5:架橋ポリマー(C-2-1-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-2-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液の滴下重量を3gに変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-2-1-a)を得た。
架橋ポリマー(C-2-1-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ201μmであった。生理食塩水の吸収倍率は11g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0109】
<実施例6:架橋ポリマー(C-2-1-b)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-2-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%BIGCHAP(同仁化学研究所社製、N,N-ビス(3-D-グルコナミドプロピル)コラミド)シクロヘキサン溶液1gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-2-1-b)を得た。
架橋ポリマー(C-2-1-b)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ207μmであった。生理食塩水の吸収倍率は11g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0110】
<実施例7:架橋ポリマー(C-3-1-c)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-3-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(富士フイルム和光純薬社製、HDTMA-Cl)シクロヘキサン溶液1gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-3-1-c)を得た。
架橋ポリマー(C-3-1-c)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ420μmであった。生理食塩水の吸収倍率は32g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.0であった。
【0111】
<実施例8:架橋ポリマー(C-4-1-d)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-4-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%CHAPS(富士フイルム和光純薬社製、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート)シクロヘキサン溶液2gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-4-1-d)を得た。
架橋ポリマー(C-4-1-d)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ222μmであった。生理食塩水の吸収倍率は32g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.0であった。
【0112】
<実施例9:架橋ポリマー(C-4-1-e)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-4-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%ラウリルアルコール(東京化成工業社製)シクロヘキサン溶液2gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-4-1-e)を得た。
架橋ポリマー(C-4-1-e)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ228μmであった。生理食塩水の吸収倍率は28g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0113】
<実施例10:架橋ポリマー(C-5-1-d)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-5-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%CHAPS(富士フイルム和光純薬社製)シクロヘキサン溶液3gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-5-1-d)を得た。
架橋ポリマー(C-5-1-d)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ133μmであった。生理食塩水の吸収倍率は30g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0114】
<実施例11:架橋ポリマー(C-6-1-d)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-6-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%CHAPS(富士フイルム和光純薬社製)シクロヘキサン溶液2gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-6-1-d)を得た。
架橋ポリマー(C-6-1-d)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ630μmであった。生理食塩水の吸収倍率は33g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.8であった。
【0115】
<実施例12:架橋ポリマー(C-4-0-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(A-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-4-0-a)を得た。
架橋ポリマー(C-4-0-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ230μmであった。生理食塩水の吸収倍率は25g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は6.1であった。
【0116】
<実施例13:架橋ポリマー(C-7-1-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-7-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-7-1-a)を得た。
架橋ポリマー(C-7-1-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ220μmであった。生理食塩水の吸収倍率は3g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0117】
<実施例14:架橋ポリマー(C-8-1-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-8-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-8-1-a)を得た。
架橋ポリマー(C-8-1-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ220μmであった。生理食塩水の吸収倍率は100g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0118】
<実施例15:架橋ポリマー(C-9-1-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-9-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-9-1-a)を得た。
架橋ポリマー(C-9-1-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ155μmであった。生理食塩水の吸収倍率は21g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0119】
<実施例16:架橋ポリマー(C-10-1-a)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-10-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-10-1-a)を得た。
架橋ポリマー(C-10-1-a)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ297μmであった。生理食塩水の吸収倍率は22g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0120】
<実施例17:架橋ポリマー(C-1-1-a2)の製造>
実施例1において、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液1gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-10-1-a2)を得た。
架橋ポリマー(C-10-1-a2)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ222μmであった。生理食塩水の吸収倍率は22g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0121】
<実施例18:架橋ポリマー(C-1-1-a3)の製造>
実施例1において、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、20重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液4gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-1-1-a3)を得た。
架橋ポリマー(C-1-1-a3)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ231μmであった。生理食塩水の吸収倍率は23g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.4であった。
【0122】
<実施例19:架橋ポリマー(C-11-1-g)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-11-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%ポリリジン(数平均分子量:4700)シクロヘキサン溶液2gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-11-1-g)を得た。
架橋ポリマー(C-11-1-g)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ302μmであった。生理食塩水の吸収倍率は30g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.9であった。
【0123】
<実施例20:架橋ポリマー(C-11-1-h)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-11-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、0.5重量%ポリエチレンイミン(数平均分子量:600)シクロヘキサン溶液2gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-11-1-h)を得た。
架橋ポリマー(C-11-1-h)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ288μmであった。生理食塩水の吸収倍率は28g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.8であった。
【0124】
<実施例21:架橋ポリマー(C-4-1-f)の製造>
実施例1において、架橋ポリマーを(B-1-1)から(B-4-1)に変更し、5重量%レシチン(富士フイルム和光純薬社製、大豆由来)シクロヘキサン溶液2gに代えて、5重量%トリエタノールアミン(東京化成工業社製)エタノール溶液2gを用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、架橋ポリマー(C-4-1-f)を得た。
架橋ポリマー(C-4-1-f)の体積平均粒子径をパーティクルアナライザー(Retsch社製、CAMSIZER XT)で測定したところ241μmであった。生理食塩水の吸収倍率は27g/gであった。生理食塩水溶液pH測定結果は7.5であった。
【0125】
各実施例で製造した架橋ポリマー(C)について、その内の1gを、シャーレに乗せ、濾紙で蓋をし、130℃で60分間、循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣の重量を測定した。加熱乾燥前の架橋ポリマー(C)の重量に対する加熱乾燥後の重量割合(100-乾燥減量(%)、ここで、乾燥減量(%)は、加熱乾燥前のポリマー(C)の重量に対する、加熱乾燥した際の減少重量割合を意味する)を表1~4に記載する。
【0126】
<試験例:架橋ポリマーを用いた細胞外小胞の回収>
実施例1~21で製造した架橋ポリマー並びに以下の比較用の架橋ポリマーを用いて、以下の方法で、細胞外小胞(エクソソーム)の分離回収を実施し、細胞外小胞の回収量及び精製度等を評価した。
なお、比較例1では、比較用の架橋ポリマーとして、製造例1で得た架橋ポリマー(A-1)を用いた。
また、比較例2では、比較用の架橋ポリマーとして、製造例12で得た架橋ポリマー(B-1-1)を用いた。
また、比較例3では、架橋ポリマーを添加せず、実施した。
【0127】
各検体1mLを1200×gで10分間の遠心分離処理し、デブリスを除去した上清を回収する。1.5mLマイクロチューブに架橋ポリマーを40mg加えて、次いでデブリスを除去した上清1mLを加えて25℃で30分間静置した。その後、上澄みを廃棄し、得られたゲルに0.5mLの生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)を加えて、ピペッティングで攪拌した後に上澄みを廃棄する洗浄操作を3回繰り返した。
次いで、70mgの食塩を添加し25℃で30分静置した。その後、ピペットで遊離液を回収し、回収液を透析チューブ(富士フイルム和光純薬社製、ダイアライシスメンブレン サイズ20 MWCO:14000)に封入して、25℃で2時間脱塩を実施して細胞外小胞を回収した。
回収した液の重量、検体1mLあたりのエクソソームの回収量、及び、検体1mLあたりのアルブミンの回収量は、表1~4に記載の通りであった。
また、以下の方法で、精製度を算出した。
[精製度]=[検体1mLあたりのエクソソーム回収量]/[検体1mLあたりのアルブミン回収量]
なお、エクソソームの回収量は、ELISAキット[コスモ・バイオ(株)製、CD9/CD63 Exosome ELISA KIt,Human]を用いて測定した。また、アルブミンの回収量は、ELISAキット[proteintech社製、Human Albumin ELISA Kit]を用いて測定した。
【0128】
また、更に比較のため、従来の方法である超遠心分離法を実施し、上記と同じく、回収した液の重量、検体1mLあたりのエクソソームの回収量、検体1mLあたりのアルブミンの回収量及び精製度を評価した。
ヒト尿検体30mLを超遠心分離に供し、エクソソームを単離、回収した。具体的には、いずれも4℃条件下、以下のとおり連続的に遠心分離を行った。
ヒト尿検体30mLを1200×gで10分間の遠心分離処理し、上清を回収し、10000×gで30分間遠心分離処理した。次いで上清を回収し、70000×gで1時間遠心分離処理し、上清を廃棄した。沈降したペレットを5mLの0.25Mスクロース溶液(20mM HEPES pH7.2)で再懸濁し、得られた懸濁液を0.25M~2Mスクロースグラジエント溶液(20mM HEPES pH7.2)30mLが入った40PAチューブに添加して、100000×gで20時間の遠心分離処理をした。40PAチューブの液を下部より吸い上げて、8mL~12mLの分画を2mLずつ、3mLのPBS(-)が入った5PAチューブへ分取した。
分取した液を200000×gで1時間遠心処理し、沈降したペレットを150μLのPBS(-)で再懸濁し、細胞外小胞を回収した。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の架橋ポリマーは、生体由来試料から脂質二重層を有する物質を分離する用途に好適に利用することができる。本発明の分離方法は、例えば、従来の超遠心法などと比較して、分離される脂質二重層を有する物質の純度を高くすることができ、操作時間を短縮することができる。また、本発明の分離方法は、従来の超遠心法などと比較して、工程数を低減することができ、再現性にも優れる。分離された脂質二重層を有する物質は、元の生物の状態評価(例えば、検査又は診断)に用いることができる。また、分離された脂質二重層を有する物質は、それを担体として細胞標的治療薬などに用いることができる。