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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】毛髪一時着色剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20241106BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q5/06
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/92
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020191331
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080344
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】福村 藍
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094357(JP,A)
【文献】特表2008-528655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271036(US,A1)
【文献】特開2016-222518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光色素および顔料を含有する毛髪一時着色剤組成物であって、
(A)エタノール、
(B)皮膜形成剤、
(C1)(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、
(C2)キサンタンガム
(D)25℃で液状の油性成分
を含有し、
前記(C1)成分の含有量は、0.5~2.5質量%であり、
前記(C2)成分の含有量は、0.5~2質量%である毛髪一時着色剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量は、3質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪一時着色剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、(スチレン/アクリル酸アルキル)コポリマーアンモニウム、アクリレーツコポリマーNaから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪一時着色剤組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量は、0.5~10質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪一時着色剤組成物。
【請求項5】
前記(D)成分が、メチルポリシロキサン、流動パラフィン、2-エチルヘキサン酸セチル、オリーブ油から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の毛髪一時着色剤組成物。
【請求項6】
前記(D)成分の含有量は、0.01~10質量%であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の毛髪一時着色剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤を毛髪の表面に付着させて一時的に毛髪を着色する毛髪一時着色剤組成物に関するものであり、特に、周囲を汚染することなく毛髪へ塗布ができ、塗布後の乾燥が早く、乾燥後においてもブラックライトを用いた特定の紫外線光線下において蛍光発色が持続し、塗布・乾燥後のごわつき感やきしみ感がなく、色移りがない毛髪一時着色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪一時着色剤組成物は一般的に、顔料や有機染料等の着色剤を毛髪に付着させることにより毛髪を着色させるものである。酸化染料と酸化剤を用いた化学反応(酸化重合)を利用するいわゆる酸化染毛剤と比較し髪の傷みがほとんどなく、1回の洗髪で洗い流すことができるという手軽さから、広く一般的に利用されており、例えば、白髪を隠したい場合や、黒髪を好みの色に着色したい場合等に広く使用されている。
【0003】
近年は日本においてもイベントが多様化し、特殊なメークや服装で着飾って参加するようなものも増えつつある。この中でも、照明を落とした暗い室内をブラックライトで光らせることにより、単なる暗闇を幻想的な空間として演出しているアミューズメント施設およびこれらの施設で催されるイベント等がある。
【0004】
このため、単に髪色を変え、通常の白色光下で髪色を変えて楽しむだけでなく、ブラックライトを用いた特定の紫外線光線下でも蛍光発色し、おしゃれを楽しむことができる毛髪一時着色剤組成物が要望されている。
【0005】
従来、毛髪一時着色剤組成物は、塗布後の乾燥が早く、毛髪への塗布時の伸びが良くかつ周囲や衣服を汚すことなく簡易に使用でき、塗布・乾燥後のごわつき感やきしみ感のなさといった使用感を良くするために着色剤として顔料、皮膜形成剤、エタノール、高分子乳化剤、油性成分を用いたものがある(特許文献1)。
【0006】
また、ブラックライトに照らされることで蛍光発色を呈する性質を利用した化粧料として、蛍光発色を呈する無機顔料を用いた化粧料が提案されており、光源中に含まれる紫外線に反応して蛍光発色することで、より自然な肌色の演出を可能とする肌色補正剤が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-094357号公報
【文献】特開2018-131422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、白色光下における毛髪一時着色剤組成物が検討されているが、ブラックライトを用いた特定の紫外光線下における毛髪上での蛍光を呈する色素を配合した毛髪一時染毛剤組成物は検討されていない。
【0009】
また、特許文献2では、蛍光発色を呈する無機顔料を含有したクリーム状化粧料およびファンデーションが提案されているが、毛髪上での使用については検討されていない。
【0010】
そのため、蛍光を呈する色素を配合した毛髪一時染毛剤組成物について、周囲を汚染することなく毛髪へ塗布ができ(以下、使用性という)、塗布後の乾燥が早く(以下、速乾性という)、乾燥後においても毛髪上で蛍光発色が持続し(以下、蛍光発色の持続性という)、塗布・乾燥後のごわつき感やきしみ感がなく(以下、使用感という)、色移りがない(以下、耐摩擦性という)ことに関して検討の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記問題を解決するため鋭意検討した結果、蛍光色素および顔料を含有する毛髪一時着色剤組成物であって、(A)エタノール、(B)皮膜形成剤、(C1)アクリル酸系増粘剤または(C2)天然系増粘剤から選ばれる1種以上、(D)25℃で液状の油性成分を含有することを特徴とする毛髪一時着色剤組成物を提供することにより本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性に優れた毛髪一時着色剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は蛍光色素および顔料を含有する毛髪一時着色剤組成物であって、(A)エタノール、(B)皮膜形成剤、(C1)アクリル酸系増粘剤または(C2)天然系増粘剤から選ばれる1種以上、(D)25℃で液状の油性成分を含有することを特徴とする毛髪一時着色剤組成物である。
【0014】
本発明は、蛍光発色の観点から蛍光色素および顔料を含有する。これにより、白色光下での毛髪への着色効果が得られるとともに、本来の毛髪が持つ色味に蛍光色素の色味がなじむことを防ぎ、ブラックライトに照らされたときの蛍光発色の強さを保つことができる。
【0015】
本発明で用いられる前記蛍光色素としては、特に限定されないが、例えば、黄202(1)、赤104(1)、赤106、緑204、黄202(2)、赤213、赤214、赤215、赤218、赤223、赤230(1)、赤230(2)、赤231、赤232、橙201、橙206、橙207等各色の法定色素が挙げられる。前記蛍光色素は1種以上を含有してよい。
【0016】
本発明で用いられる前記蛍光色素のうち、毛髪上での蛍光発色を向上させる観点から、黄202(1)、赤104(1)、赤106、緑204、赤213、赤214が好ましく、中でも黄202(1)、赤104(1)、赤106、緑204がより好ましい。
【0017】
本発明で用いられる前記顔料としては、特に限定されないが、無機顔料、有機顔料、パール顔料、天然顔料等が挙げられる。前記顔料は1種以上を含有してよい。
【0018】
本発明で用いられる前記無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、雲母、白雲母、金雲母、リチア雲母、珪酸アルミニウム、紅雲母、合成雲母、黒雲母、黒酸化鉄、黄酸化鉄、紺青、群青、アルミナ、アルミニウム、カーボンブラック、カオリン、ゼオライト、セラミックスパウダー、セリサイト、タルク、タングステン酸金属塩、バーミキュライト、ハイジライト、ヒドロキシアパタイト、ヘクトライト、ベンガラ、ベントナイト、マイカ、マンガンバイオレット、モンモリロナイト、金、銅、酸化クロム、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、無水ケイ酸、含水珪酸塩、ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ストロンチウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いられる前記無機顔料のうち、中でも、蛍光発色を向上させる観点から白色系の無機顔料を使用することが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる前記白色系の無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、雲母、白雲母、合成雲母、アルミナ、カオリン、ゼオライト、セラミックスパウダー、セリサイト、タルク、タングステン酸金属塩、バーミキュライト、ハイジライト、ヒドロキシアパタイト、ヘクトライト、ベントナイト、マイカ、モンモリロナイト、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、無水ケイ酸、ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ストロンチウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ等が挙げられる。
【0021】
本発明で用いられる前記白色の無機顔料のうち、毛髪上での蛍光発色を向上させる観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカが好ましく、中でも酸化チタンがより好ましい。
【0022】
本発明で用いられる前記有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、赤201号、赤202号、赤203号、赤204号、赤205号、赤206号、赤207号、赤208号、赤219号、赤220号、赤221号、赤228号、赤404号、赤405号、橙203号、橙204号、橙401号、黄205号、黄401号、青404号、赤104号アルミニウムレーキ、黄4号アルミニウムレーキ、黄203号アルミニウムレーキ、青1号アルミニウムレーキ等が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる前記パール顔料としては、特に限定されないが、例えば、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いられる前記天然顔料としては、特に限定されないが、例えば、クレイなどの鉱物顔料、マダーレーキやコチニールレーキなどの天然染料レーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられる毛髪一時着色剤組成物に白色光下で鮮やかな色調を調整する観点から、前記有機顔料、前記パール顔料および前記天然顔料を含有してもよい。
【0026】
本発明は、速乾性および使用感の観点から(A)エタノールを含有する。
【0027】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは3~45質量%、さらに好ましくは5~45質量%、さらに好ましくは10~45質量%がよい。前記(A)成分の含有量が3質量%未満の場合、速乾性や使用感が悪くなる恐れがある。前記(A)成分の含有量が45質量%を超える場合、これ以上の速乾性を望めない。
【0028】
本発明は、耐摩擦性の観点から(B)皮膜形成剤を含有する。
【0029】
本発明で用いられる前記(B)成分としては、特に限定されないが、例えば、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、(スチレン/アクリル酸アルキル)コポリマーアンモニウム、アクリレーツコポリマーNa等が挙げられる。前記(B)成分は1種以上を含有してよい。
【0030】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~8質量%、さらに好ましくは1.5~5質量%がよい。前記(B)成分の含有量が0.5質量%未満の場合、耐摩擦性が悪くなる恐れがある。前記(B)成分の含有量が10質量%を超える場合、使用感が悪くなる恐れがある。
【0031】
本発明は、使用性の観点から前記(C1)アクリル酸系増粘剤または(C2)天然系増粘剤から選ばれる1種以上を含有する。
【0032】
本発明で用いられる前記(C1)成分としては、特に限定されないが、例えば、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー等が挙げられる。前記(C1)成分は1種以上を含有してよい。中でも、使用性の観点から(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが好ましい。前記(C1)成分は1種以上を含有してよい。
【0033】
本発明で用いられる前記(C1)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05~2.5質量%、より好ましくは0.1~2.5質量%、さらに好ましくは0.5~2.5質量%がよい。前記(C1)成分が0.05質量%未満の場合、使用性が悪くなる恐れがある。前記(C1)成分が2.5質量%を超える場合、使用感が悪くなる恐れがある。
【0034】
本発明で用いられる前記(C2)成分としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン、フェラーセン、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガム、トラガカントガム、カンテン末、ベントナイト等が挙げられる。中でも、使用感の観点からキサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく、キサンタンガムがより好ましい。前記(C2)成分は1種以上を含有してよい。
【0035】
本発明で用いられる前記(C2)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~2.5質量%、より好ましくは0.3~2.5質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%がよい。前記(C2)成分の含有量が0.1質量%未満の場合、使用性が悪くなる恐れがある。前記(C2)成分の含有量が2.5質量%を超える場合、使用感が悪くなる恐れがある。
【0036】
本発明は、使用性を向上させる観点から前記(C1)成分および前記(C2)成分を含有することが好ましい。
【0037】
本発明は、蛍光発色の持続性および使用感の持続性の観点から(D)25℃で液状の油性成分を含有する。
【0038】
本発明で用いられる前記(D)成分としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素油、動物油または植物油、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル油、シリコーン油等が挙げられる。前記(D)成分は1種以上を含有してよい。
【0039】
前記25℃で液状の炭化水素油の具体例としては、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等が挙げられる。
【0040】
前記25℃で液状の動物油または植物油の具体例としては、オリーブ油、ツバキ油、サザンカ油、ヒマワリ油、大豆油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アーモンド油、ヤシ油、ミンク油等が挙げられる。
【0041】
前記25℃で液状のロウ類の具体例としては、ホホバ油等が挙げられる。
【0042】
前記25℃で液状の高級アルコールの具体例としては、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール等が挙げられる。
【0043】
前記25℃で液状の高級脂肪酸の具体例としては、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0044】
前記25℃で液状のエステル油の具体例としては、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸オクチル、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジオクタン酸エチレングリコール、カプリル酸セチル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、25℃で液状のトリグリセライド、25℃で液状のアミノ酸エステル等が挙げられる。
【0045】
前記25℃で液状のシリコーン油の具体例としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン等が挙げられる。
【0046】
本発明で用いられる前記(D)成分の中でも、流動パラフィン、2-エチルヘキサン酸セチル、オリーブ油、メチルポリシロキサンが好ましく、中でも、使用感の観点からメチルポリシロキサンがより好ましい。
【0047】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%がよい。前記(D)成分の含有量が0.01質量%未満の場合、蛍光発色の持続性および使用感が悪くなる恐れがある。前記(D)成分の含有量が10質量%を超える場合、速乾性、使用感、耐摩擦性が悪くなる恐れがある。
【0048】
本発明の毛髪一時着色剤組成物には、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料一般に使用される成分を配合することができる。例えば、水、前記(A)成分以外の低級アルコール、多価アルコール、前記(D)成分以外の油性成分、界面活性剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、糖類、酸化防止剤、防腐剤、美容成分、香料等を用いることができる。これらは1種または2種以上含有してもよく、これらの成分の具体的な種類および量は、適宜設定することができる。
【0049】
本発明による毛髪一時着色剤組成物の20℃における粘度は、好ましくは10,000~100,000mPa・s、より好ましくは20,000mPa・s~100,000mPa・sがよい。
【0050】
本発明による毛髪一時着色剤組成物の20℃条件下における粘度は、常法にて調製して得られた毛髪一時着色剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で48時間静置した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、M4号ローターを用いて20℃条件下で6rpmで1分間、回転させた後に測定したものである。
【実施例
【0051】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
本明細書に示す評価試験において、毛髪一時着色剤組成物に含まれる成分および、その含有量を種々変更しながら実施した各種の実験結果を以下に示す。ここで、毛髪一時着色剤組成物の各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0053】
<評価>
本明細書に示す評価試験において、「使用性」、「速乾性」、「蛍光発色の持続性」、「使用感」および、「耐摩擦性」を評価項目として、10名のパネラーによる評価を行なった。
【0054】
<使用性>
25℃条件下で得られた毛髪一時着色剤組成物0.3gを人差し指の先に取り、毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の毛髪の一部に、指先で毛髪の毛先に向かって5cm均一に塗布する際、周囲を汚染することなく毛髪に塗布できるかどうかを目視で確認し、下記判定基準で評価した。
(評価結果の判定基準)
[評価結果] :[評点]
周囲を全く汚染することなく毛髪に塗布できる : 5点
周囲をほぼ汚染することなく毛髪に塗布できる : 4点
周囲を汚染するが問題ない程度 : 3点
周囲をやや汚染するが毛髪に塗布できる : 2点
周囲を汚染せずに毛髪に塗布することができない : 1点
(平均点の判定基準)
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.0以上4.5未満 : ○
1.5以上3.0未満 : △
1.5未満 : ×
【0055】
<速乾性>
25℃条件下で得られた毛髪一時着色剤組成物0.3gを人差し指の先に取り、毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の毛髪の一部に、指先で毛髪の毛先に向かって5cm均一に塗布し、5分間放置して乾かした毛髪を手で触り、手に付着する毛髪一時着色剤組成物の度合いを下記判定基準で評価した。
(評価結果の判定基準)
[評価結果] :[評点]
手に毛髪一時着色剤組成物が全く付かない : 5点
手に毛髪一時着色剤組成物がほぼ付かない : 4点
手に毛髪一時着色剤組成物が付くが問題ない程度 : 3点
手に毛髪一時着色剤組成物が付く : 2点
手に毛髪一時着色剤組成物が非常に付く : 1点
(平均点の判定基準)
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.0以上4.5未満 : ○
1.5以上3.0未満 : △
1.5未満 : ×
【0056】
<蛍光発色の持続性>
25℃条件下で得られた毛髪一時着色剤組成物0.3gを人差し指の先に取り、毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の毛髪の一部(横幅10mm×縦幅150mm)に、指先で毛髪の毛先に向かって5cm均一に塗布し、塗布5分後の毛髪と塗布2時間後の毛髪に対し、暗室でLED UVランプ(OPPSK社製「LED UV BAR-9」)を30cmの距離から毛髪試験用ドールに対して垂直に照射し、塗布5分後の毛髪と塗布2時間後の毛髪の蛍光発色を目視にて比較し、蛍光発色の持続性について下記判定基準で評価した。
(評価結果の判定基準)
[評価結果] :[評点]
蛍光発色の持続性が特に良好に確認できる。 : 5点
蛍光発色の持続性が良好に確認できる。 : 4点
蛍光発色の持続性がやや良好に確認できる。 : 3点
蛍光発色の持続性を確認できる。 : 2点
蛍光発色しない。 : 1点
(平均点の判定基準)
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.0以上4.5未満 : ○
1.5以上3.0未満 : △
1.5未満 : ×
【0057】
<使用感>
25℃条件下で得られた毛髪一時着色剤組成物0.3gを人差し指の先に取り、毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の毛髪の一部に、指先で毛髪の毛先に向かって5cm均一に塗布し、5分間放置し、乾かした毛髪の手触り感を確認し、下記判定基準で評価した。
(評価結果の判定基準)
[評価結果] :[評点]
毛髪のごわつきやきしみが全くない : 5点
毛髪のごわつきやきしみがほぼない : 4点
毛髪のごわつきやきしみがややあるが問題ない程度 : 3点
毛髪のごわつきやきしみがある : 2点
毛髪のごわつきやきしみが非常にある : 1点
(平均点の判定基準)
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.0以上4.5未満 : ○
1.5以上3.0未満 : △
1.5未満 : ×
【0058】
<耐摩擦性>
25℃条件下で得られた毛髪一時着色剤組成物0.3gを人差し指の先に取り、毛束(株式会社ビューラックス社製「1g、10cm黒毛束BS-B-A」)に均一に塗布し、完全に乾くまで自然乾燥した後、水平台に毛束を固定し重さ850gの重りを包んだ試験用白布(JIS L0803染色堅ろう度試験用添付白布)を試験毛束の上に置き、2回擦らせ色移りを目視にて確認し、下記判定基準で評価した。
(評価結果の判定基準)
[評価結果] :[評点]
試験用白布に色移りが全くない : 5点
試験用白布に色移りがほぼない : 4点
試験用白布に色移りがややあるが問題ない程度 : 3点
試験用白布に色移りがある : 2点
試験用白布に色移りが非常にある : 1点
(平均点の判定基準)
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.0以上4.5未満 : ○
1.5以上3.0未満 : △
1.5未満 : ×
【0059】
第1評価試験
第1評価試験では、(A)エタノールの含有量を代えた毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表1に毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例1~5において、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性において良好な結果が得られた。
【0062】
第2評価試験
第2評価試験では、(B)被膜形成剤の種類および含有量を様々に代えた毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表2に毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例6~15において、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性において良好な結果が得られた。
【0065】
第3評価試験
第3評価試験では、(C1)アクリル酸系増粘剤および(C2)天然系増粘剤の種類および含有量を様々に代えた毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表3~表5に毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
実施例16~40において、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性において良好な結果が得られた。
【0070】
第4評価試験
第4評価試験では、(D)25℃で液状の油性成分の種類および含有量を様々に代えた毛髪一時着色剤組成物に関して評価した。表6に毛髪一時着色剤組成物の成分、含有量および評価結果を示す。
【0071】
【表6】
【0072】
実施例41~50において、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性において良好な結果が得られた。
【0073】
(実施例51)
成 分 含有量(質量%)
(A) エタノール 25.00
(B) アクリレーツコポリマー 5.00
(C1)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))
クロスコポリマー 0.60
(C2)キサンタンガム 1.00
(D) メチルポリシロキサン 3.00
赤104(1) 0.05
赤106 0.05
酸化チタン 4.85
水酸化アルミニウム 0.15
ソルビット液 3.00
アクリル酸アルキル共重合体エマルション(2) 5.00
ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.50
エデト酸二ナトリウム 0.01
2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール 0.70
メチルパラベン 0.01
赤201 0.70
精製水 49.38
合計 100.00
【0074】
実施例51の毛髪一時着色剤組成物について、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性に関して良好な結果が得られた。
【0075】
(実施例52)
成 分 含有量(質量%)
(A) エタノール 25.00
(B) アクリレーツコポリマー 5.00
(C1) (アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイル
ジメチルタウリンNa)コポリマー 1.00
(C2)キサンタンガム 1.00
(D) メチルポリシロキサン 3.00
黄202(1) 0.10
酸化チタン 4.85
水酸化アルミニウム 0.15
ソルビット液 3.00
1,3-ブチレングリコール 0.50
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.30
黄色4号アルミニウムレーキ 0.80
青色1号アルミニウムレーキ 0.30
精製水 55.00
合計 100.00
【0076】
実施例52の毛髪一時着色剤組成物について、使用性、速乾性、蛍光発色の持続性、使用感および耐摩擦性に関して良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、周囲を汚染することなく毛髪へ塗布ができ、塗布後の乾燥が早く、乾燥後においても毛髪上で蛍光発色が持続し、塗布・乾燥後のごわつき感やきしみ感がなく、色移りがない毛髪一時着色剤組成物を提供することができる。