(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】陳列具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020196841
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 直人
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04051789(US,A)
【文献】国際公開第2000/057758(WO,A1)
【文献】特開2018-130197(JP,A)
【文献】特開平11-046941(JP,A)
【文献】米国特許第04934522(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状部と、前記線状部に対して折れ曲がったかぎ状部と、を有するロッド状の一対のフック部材と、
第1壁部と、前記第1壁部と交差する方向に延びた第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部とを連結する連結部と、前記第1壁部の前記連結部とは反対側に位置する第1辺部と、前記第2壁部の前記連結部とは反対側に位置する第2辺部であって、前記連結部から前記第1辺部までの距離よりも前記連結部からの距離が短い第2辺部と、
前記第1壁部および前記第2壁部を間に挟んだ両側に設けられた一対の第3壁部と、前記第3壁部の外周部であって前記第1壁部および前記第2壁部から外れた位置の外周部を起点に前記第1壁部および前記第2壁部から遠ざかる方向に隆起するように設けられた一対の隆起部と、前記隆起部の延びる方向に沿うように前記一対の隆起部にそれぞれ設けられ、前記線状部の少なくとも一部を受容可能な一対の溝部と、を有する陳列具本体と、
前記第1壁部の第1内面とは反対側の第1外面に設けられ、被係止部に対して係止可能な第1フック部と、
前記第2壁部の第2内面とは反対側の第2外面に設けられ、前記被係止部に対して係止可能な第2フック部と、
を備え、
前記線状部は、半径方向外側に広がるフランジ部を有し、
前記一対の溝部のそれぞれは、前記フランジ部と相補的な複数の凹部を前記溝部の延びている方向に沿って離散的に有する陳列具。
【請求項2】
前記陳列具本体は、長手方向に伸縮自在である請求項1に記載の陳列具。
【請求項3】
前記陳列具本体は、
前記長手方向の一方に設けられ櫛歯状をなした第1係合部を有する第1ユニットと、
前記長手方向の他方に設けられ前記第1係合部と係合するように櫛歯状をなした第2係合部を有するとともに、前記第1ユニットに対して近づいたり離れたり可能な第2ユニットと、
を有する請求項2に記載の陳列具。
【請求項4】
前記一対の隆起部のそれぞれは、略L字形をなした請求項
1に記載の陳列具。
【請求項5】
前記隆起部の角部は、円弧状をなした請求項
4に記載の陳列具。
【請求項6】
前記一対の隆起部のそれぞれは、前記溝部と連通するとともに前記線状部を通すことが可能な孔部を有し、
前記一対の溝部のそれぞれは、前記孔部に通された前記フック部材のかぎ状部に向けて開口した第1部分と、前記第1部分が開口する方向とは逆側に向けて開口した第2部分と、を有し、
前記一対のフック部材のそれぞれは、前記線状部が前記孔部に通された第1位置と、前記線状部が前記孔部から外れて前記第2部分内に保持された第2位置と、の間で移動可能である請求項
1に記載の陳列具。
【請求項7】
前記陳列具本体を支持する第1脚部を備え、
前記溝部は、前記第1外面側に向けて開口した第1開口部を有するとともに、前記第1開口部を介して前記第1脚部を受け入れ可能である
請求項1又は請求項6に記載の陳列具。
【請求項8】
前記陳列具本体を支持する第2脚部を備え、
前記溝部は、前記第2外面側に向けて開口した第2開口部を有するとともに、前記第2開口部を介して前記第2脚部を受け入れ可能である
請求項1、請求項6、および請求項7のいずれか1項に記載の陳列具。
【請求項9】
前記第1辺部は、シートを差し入れ可能なホルダーを固定するための第1固定部を有する請求項1~
8のいずれか1項に記載の陳列具。
【請求項10】
前記第2辺部は、シートを差し入れ可能なホルダーを固定するための第2固定部を有する請求項1~
9のいずれか1項に記載の陳列具。
【請求項11】
前記第2壁部は、前記第2辺部に前記連結部から遠ざかる方向に突出する突出部を有し、
前記陳列具本体は、隣接する他の陳列具の前記突出部を受け入れ可能な窪み部を前記第1外面側に有する請求項1~
10のいずれか1項に記載の陳列具。
【請求項12】
ロッド状のシャフト部材を備え、
前記一対の隆起部は、前記第1壁部と対向する位置に前記ロッド状のシャフト部材を受け入れ可能な一対の通孔を有する請求項
1~8のいずれか1項に記載の陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を商店内で陳列するための陳列具に関する。
【背景技術】
【0002】
商店内において商品を陳列するための商品陳列装置が知られている(特許文献1参照)。この商品陳列装置は、冷蔵ケースの外側に係り止めされ、冷蔵ケースの外側において商品を陳列することができる。
【0003】
この商品陳列装置は、陳列本体と、陳列本体を支持する一対の側壁と、側壁に形成された複数の縦フィンと、側壁に形成された水平固定部と、複数の縦フィン間に一端が保持されるフック部材と、を有する。フック部材の一端は、L字形に形成されており、一対の縦フィン間に差し込まれて保持される。フック部材の中間部は、水平固定部に保持される。フック部材の他端も同様にL字形に形成されて、冷蔵ケースに対して引っ掛けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の商品陳列装置には、陳列可能な商品が特定の商品に限られる問題があり、商品陳列装置の拡張性に乏しい問題があった。また、側壁に複数の縦フィンが設けられており、側壁の厚み寸法が増大し、商品の陳列スペースが少なくなるとともに、商品陳列装置の体裁も良くないという問題があった。フック部材の着脱にも複数工程要する問題もあり、作業性に関しても改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、種々の物品を陳列できるように拡張性に優れた陳列具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の陳列具は、
第1壁部と、前記第1壁部と交差する方向に延びた第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部とを連結する連結部と、前記第1壁部の前記連結部とは反対側に位置する第1辺部と、前記第2壁部の前記連結部とは反対側に位置する第2辺部であって、前記連結部から前記第1辺部までの距離よりも前記連結部からの距離が短い第2辺部と、を有する陳列具本体と、
前記第1壁部の第1内面とは反対側の第1外面に設けられ、被係止部に対して係止可能な第1フック部と、
前記第2壁部の第2内面とは反対側の第2外面に設けられ、前記被係止部に対して係止可能な第2フック部と、
を備える。
【0008】
また、本発明(2)の陳列具は、(1)記載の陳列具であって、
前記陳列具本体は、長手方向に伸縮自在である。
【0009】
また、本発明(3)の陳列具は、(2)記載の陳列具であって、
前記陳列具本体は、
前記長手方向の一方に設けられ櫛歯状をなした第1係合部を有する第1ユニットと、
前記長手方向の他方に設けられ前記第1係合部と係合するように櫛歯状をなした第2係合部を有するとともに、前記第1ユニットに対して近づいたり離れたり可能な第2ユニットと、
を有する。
【0010】
また、本発明(4)の陳列具は、(1)~(3)のいずれか1項に記載の陳列具であって、
前記陳列具本体は、
前記第1壁部および前記第2壁部を間に挟んだ両側に設けられた一対の第3壁部と、
前記一対の第3壁部のそれぞれの前記第1壁部および前記第2壁部と対向する面とは反対側の面で、前記第3壁部の外周部であって前記第1壁部および前記第2壁部から外れた位置の外周部を起点に前記第1壁部および前記第2壁部から遠ざかる方向に隆起するように設けられた一対の隆起部と、
を有する。
【0011】
また、本発明(5)の陳列具は、(4)に記載の陳列具であって、
前記一対の隆起部のそれぞれは、略L字形をなした。
【0012】
また、本発明(6)の陳列具は、(5)に記載の陳列具であって、
前記隆起部の角部は、円弧状をなした。
【0013】
また、本発明(7)の陳列具は、(4)~(6)に記載の陳列具であって、
線状部と、前記線状部に対して折れ曲がったかぎ状部と、を有するロッド状のフック部材を一対に備え、
前記陳列具本体は、前記隆起部の延びる方向に沿うように前記一対の隆起部にそれぞれ設けられ、前記線状部の少なくとも一部を受容可能な一対の溝部を有する。
【0014】
また、本発明(8)の陳列具は、(7)に記載の陳列具であって、
前記線状部は、半径方向外側に広がるフランジ部を有し、
前記一対の溝部のそれぞれは、前記フランジ部と相補的な複数の凹部を前記溝部の延びている方向に沿って離散的に有する。
【0015】
また、本発明(9)の陳列具は、(7)又は(8)に記載の陳列具であって、
前記一対の隆起部のそれぞれは、前記溝部と連通するとともに前記線状部を通すことが可能な孔部を有し、
前記一対の溝部のそれぞれは、前記孔部に通された前記フック部材のかぎ状部に向けて開口した第1部分と、前記第1部分が開口する方向とは逆側に向けて開口した第2部分と、を有し、
前記一対のフック部材のそれぞれは、前記線状部が前記孔部に通された第1位置と、前記線状部が前記孔部から外れて前記第2部分内に保持された第2位置と、の間で移動可能である。
【0016】
また、本発明(10)の陳列具は、(7)~(9)記載の陳列具であって、
前記陳列具本体を支持する第1脚部を備え、
前記溝部は、前記第1外面側に向けて開口した第1開口部を有するとともに、前記第1開口部を介して前記第1脚部を受け入れ可能である。
【0017】
また、本発明(11)の陳列具は、(7)~(10)のいずれか1項に記載の陳列具であって、
前記陳列具本体を支持する第2脚部を備え、
前記溝部は、前記第2外面側に向けて開口した第2開口部を有するとともに、前記第2開口部を介して前記第2脚部を受け入れ可能である。
【0018】
また、本発明(12)の陳列具は、(1)~(11)のいずれか1項に記載の陳列具であって、
前記第1辺部は、シートを差し入れ可能なホルダーを固定するための第1固定部を有する。
【0019】
また、本発明(13)の陳列具は、(1)~(11)のいずれか1項に記載の陳列具であって、
前記第2辺部は、シートを差し入れ可能なホルダーを固定するための第2固定部を有する。
【0020】
また、本発明(14)の陳列具は、(1)~(13)のいずれか1項に記載の陳列具であって、
前記第2壁部は、前記第2辺部に前記連結部から遠ざかる方向に突出する突出部を有し、
前記陳列具本体は、隣接する他の陳列具の前記突出部を受け入れ可能な窪み部を前記第1外面側に有する。
【0021】
また、本発明(15)の陳列具は、(4)~(11)のいずれか1項に記載の陳列具であって、
ロッド状のシャフト部材を備え、
前記一対の隆起部は、前記第1壁部と対向する位置に前記ロッド状のシャフト部材を受け入れ可能な一対の通孔を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、種々の物品を陳列できるように拡張性に優れた陳列具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1に示す陳列具からホルダーおよび仕切片を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す陳列具の陳列具本体の第1ユニットと第2ユニットとを分離した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す陳列具のF4-F4線の位置に沿った断面図である。
【
図5】
図1に示す陳列具を第2フック部によってフレームないしラックに係止した状態を示した斜視図である。
【
図6】
図5に示す陳列具およびフレーム(ラック)を縦方向に沿う面で切断して示した断面図である。
【
図7】
図2に示す陳列具の陳列具本体を長手方向に伸長させた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図2に示す陳列具を他のもう一つの陳列具と上下方向に積み重ねた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図3に示す陳列具の陳列具本体の支持脚部の凹部と、第2壁部の突出部と、を拡大して示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態の陳列具を示す斜視図である。
【
図12】
図10に示す陳列具の陳列具本体を溝部の正面から示す正面図である。
【
図13】
図12に示す陳列具本体のF13-F13線の位置に沿った断面図である。
【
図14】
図10に示す陳列具本体の孔部に対してフック部材の線状部を通した第1位置にある状態を示す斜視図である。
【
図15】
図14に示すフック部材を旋回させて第1位置と第2位置との間で移動させる工程を示す斜視図である。
【
図16】
図12に示す陳列具本体の溝部の内側にフック部材が保持された第2位置にある状態を示す正面図である。
【
図17】
図12に示す陳列具本体の溝部の内側に、
図16で示す位置とは異なる位置で、フック部材が保持された第2位置にある状態を示す正面図である。
【
図18】第3実施形態の陳列具を上方から示す斜視図である。
【
図20】
図19に示す陳列具の陳列具本体から第1脚部を着脱する工程を示す斜視図である。
【
図21】第4実施形態の陳列具を示す斜視図である。
【
図22】
図21に示す陳列具を第1フック部によってフレームないしラックに係止した状態を示した斜視図である。
【
図23】
図22に示す陳列具およびフレーム(ラック)を縦方向に沿う面で切断して示した断面図である。
【
図24】第5実施形態の陳列具を示す斜視図である。
【
図25】
図24に示す陳列具の陳列具本体の通孔に対してシャフト部材を着脱する状態を示す斜視図である。
【
図26】第6実施形態の陳列具を示す斜視図である。
【
図27】第7実施形態の陳列具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、陳列具の実施形態について説明する。陳列具は、例えば、商店内に設置される網状のフレームやラック、冷蔵ケースに対して係止され、物品(商品)を陳列するための各種の棚を構成し、顧客が物品を手に取りやすく、或いは、顧客が本来購入したい物品とともに手に取りやすいように、物品を簡易的に陳列できるものである。
[第1実施形態]
【0025】
図1~
図9を参照して、第1実施形態の陳列具11について説明する。第1実施形態の陳列具11は、第1壁部12を底にしてこれの上に物品を陳列し且つ第2フック部16を被係止部に係止した第1使用態様で使用される。
【0026】
図1、
図4に示すように、陳列具11は、第1壁部12および第2壁部13を有する陳列具本体14と、第1壁部12の第1外面12Bに設けられる第1フック部15と、第2壁部13の第2外面13Bに設けられる第2フック部16と、第1壁部12に固定され内側にシート17を差し入れて保持することが可能なホルダー18と、ホルダー18に固定される仕切片21と、を備える。
【0027】
図4に示すように、ホルダー18は、いわゆるPOSレールと呼ばれるものであり、合成樹脂材料等で形成されている。ホルダー18は、商業的に入手することができる。シート17は、例えば、物品の価格やPOP広告等を表示した紙等で構成される。ホルダー18は、その長手方向に袋状の保持部18Aを有する。仕切片21についても商業的に入手することができる。仕切片21は、合成樹脂材料等で形成されている。仕切片21は、例えば、その先端部をホルダー18の保持部18Aに対して差し入れることができる。仕切片21は、ホルダー18の長手方向Lの任意の位置でホルダー18の保持部18Aに対して固定することができる。
【0028】
図2に示すように、陳列具本体14は、第1壁部12と、第1壁部12と交差する方向に延びた第2壁部13と、第1壁部12と第2壁部13とを連結する連結部22と、第1壁部12および第2壁部13を間に挟んだ両側に設けられた一対の第3壁部23と、第3壁部23の外周部に設けられた一対の隆起部24と、一対の隆起部24にそれぞれ設けられた一対の溝部25と、一対の溝部25のそれぞれに設けられた当接片26と、溝部25に連通するように隆起部24に設けられた円形の孔部27と、溝部25内に設けられ後述するシャフト部材28を通すことが可能で孔部27よりも直径が小さい略円形の通孔31と、溝部25に隣接して設けられた一対の爪部32(
図12参照)と、連結部22に対応する位置で第1壁部12および第2壁部13よりも外側に突出するように平板状に形成された一対の支持脚部33と、を有する。
【0029】
図4、
図19に示すように、第1フック部15は、陳列具本体14の第1壁部12と一体に成形されている。第1フック部15は、陳列具本体14の連結部22に近づく方向に向けて突出するように形成されている。第1フック部15は、被係止部であるフレームないしラック54に対して係止可能である。
【0030】
図4、
図28に示すように、第2フック部16は、陳列具本体14の第2壁部13と一体に成形されている。第2フック部16は、陳列具本体14の連結部22に近づく方向に向けて突出するように形成されている。第2フック部16は、被係止部であるフレームないしラック54に対して係止可能である。
【0031】
図3に示すように、陳列具本体14は、その長手方向Lの一方に設けられた第1ユニット34と、その長手方向Lの他方に設けられた第2ユニット35と、を有する。第1ユニット34は、例えば、合成樹脂材料、例えば、ABS樹脂等によって一体に成形されている。第1ユニット34は、櫛歯状の第1係合部34Aを有する。
【0032】
第2ユニット35は、例えば、合成樹脂材料、例えば、ABS樹脂等によって一体に成形されている。第2ユニット35は、櫛歯状で第1係合部34Aと相補的な形状を有する第2係合部35Aを有する。第2係合部35Aは、第1係合部34Aと噛み合って長手方向Lにスライド移動することで、伸縮自在に構成されている。第2係合部35Aは、第1係合部34Aに対して近づいたり、第1係合部34Aから離れたりすることができる。
【0033】
図2に示すように、第1壁部12および第2壁部13は、第1ユニット34および第2ユニット35の組み合わせによって形成されている。したがって、陳列具本体14は、長手方向Lに関して伸縮自在に構成されている。第1壁部12は、平板状に形成されている。第1壁部12は、内側の第1内面12Aと、第1内面12Aとは反対側(外側)の第1外面12Bと、を有する。第1壁部12は、連結部22とは反対側の位置に第1辺部36を有する。
図4に示すように、第1辺部36は、ホルダー18を固定するための溝状の第1固定部37を有する。
【0034】
第2壁部13は、平板状に形成され、第1壁部12と交差する方向に延びている。第2壁部13は、内側の第2内面13Aと、第2内面13Aとは反対側(外側)の第2外面13Bと、を有する。第2壁部13は、連結部22とは反対側の位置に第2辺部41を有する。
図2に示すように、連結部22から第2辺部41までの距離D2は、連結部22から第1辺部36までの距離D1よりも短くなっている。第2辺部41は、連結部22から遠ざかる方向に板状に突出した突出部42と、ホルダー18を固定するための溝状の第2固定部43と、を有する。
【0035】
連結部22は、第1壁部12と第2壁部13との間の境界を直線状に規定している。連結部22は、第1壁部12と第2壁部13とを一体的に連結している。
【0036】
第3壁部23の一方は、第1ユニット34に形成されている。第3壁部23の他方は、第2ユニット35に形成されている。第3壁部23のそれぞれは、第1壁部12および第2壁部13と交差する方向に延びている。第3壁部23は、平板状に形成されている。
【0037】
一対の隆起部24のそれぞれは、第3壁部23の外周部であって第1壁部12および第2壁部13から外れた位置の外周部を起点に形成されている。隆起部24は、第3壁部23と一体に成形されている。このため、隆起部24は、第1ユニット34と第2ユニット35とのそれぞれに一つずつ設けられている。隆起部24同士は、左右対称形に形成されている。隆起部24は、第1壁部12および第2壁部13から遠ざかる方向(外側)に向けて第3壁部23から隆起するように設けられている。隆起部24は、略L字形をなすように線状に延びている。隆起部24の角部24Aは、緩やかな円弧状をなすようにアール加工されている。
【0038】
一対の溝部25は、一対の隆起部24のそれぞれに対して形成されている。溝部25同士は、左右対称形である。一対の溝部25のそれぞれは、隆起部24の表面から内側に窪むように形成されている。溝部25は、隆起部24の延びている方向に沿って線状に延びている。孔部27は、溝部25と連通するように設けられている。
図2、
図12に示すように、溝部25は、孔部27を間に挟んだ一方側に設けられた第1部分25Aと、孔部27を間に挟んだ他方側に設けられた第2部分25Bと、を有する。第1部分25Aは、内側(第1壁部12および第2壁部13側)に向けて開口している。第2部分25Bは、第1部分25Aが開口する方向とは逆側、すなわち外側に向けて開口している。第2実施形態で説明するフック部材44との関係において、第1部分25Aは、孔部27に対して通されたフック部材44のかぎ状部44Aに向けて開口している(
図14参照)。第2部分25Bは、孔部27に対して通されたフック部材44の線状部44Bに向けて開口している(
図14参照)。
【0039】
図12、
図13に示すように、一対の爪部32は、溝部25の開口部の一部を覆うように両側から内側に向けて張り出している。一対の爪部32は、隆起部24と一体に成形されている。一対の爪部32は、溝部25の内側に第2実施形態で説明するフック部材44を保持することができる。
【0040】
溝部25は、複数の凹部45を溝部25の延びている方向に沿って離散的に有する。この凹部45は、第2実施形態で述べるフック部材44の線状部44Bのフランジ部46と相補的な形状をなしている。凹部45同士の間の位置に、一対の爪部32が配置されている。
【0041】
図2に示すように、溝部25は、第1外面12B側に開口した第1開口部51と、第2外面13B側に開口した第2開口部52と、を有する。
【0042】
当接片26は、溝部25の途中に設けられ、溝部25を途中で遮るように平板状に形成されている。通孔31は、溝部25の途中で、当接片26同士で挟まれる位置に設けられている。
【0043】
図2に示すように、一対の支持脚部33は、陳列具本体14の長手方向Lの両端部にそれぞれ設けられている。支持脚部33のそれぞれは、第1壁部12と第2壁部13との両方に跨るように形成されている。支持脚部33は、第1壁部12および第2壁部13とは交差する方向に形成されている。支持脚部33は、第3壁部23と略平行に形成されている。
図6に示すように、支持脚部33は、円形の貫通孔38と、その外縁部から窪むように形成された窪み部53と、を有する。貫通孔38には、図示しない結束バンド等を通すことができる。窪み部53は、陳列具本体14の第1外面12B側に設けられている。窪み部53は、連結部22から遠ざかる方向(第2壁部13の延びている方向)に向けて開口している。
【0044】
図8、
図9に示すように一対の支持脚部33は、陳列具11同士を上下方向に積み重ねて保管する際に、一対の第3壁部23(一対の隆起部24)同士の間に挟みこまれるような位置関係で形成される。
【0045】
図5から
図9を参照して、本実施形態の陳列具11の作用について説明する。本実施形態の陳列具11は、
図5、
図6に示すように、第2フック部16を介して網状(格子状)のフレームないしラック54(被係止部)に対して係止することができる。このように、第2フック部16を介してフレームないしラック54に吊り下げられた状態で、支持脚部33は、フレームないしラック54の他の部分に当接して、第1壁部12が略水平になるようにする。店舗管理者は、必要に応じて、支持脚部33の貫通孔38に対して結束バンドを通して、フレームないしラック54と支持脚部33とを固定してもよい。これによって、陳列具11がラック54から浮き上がってしまうことが防止される。この状態で、陳列具11の第1壁部12上に物品を陳列することができる。
図5では、ホルダー18および仕切片21が取り付けられていないが、
図1に示すように、陳列具本体14に対してホルダー18および仕切片21を取り付けても当然によい。
【0046】
陳列具11は、
図7に示すように、第1ユニット34に対して第2ユニット35をスライド移動させ、長手方向Lに対して伸長させた状態で使用してもよい。このため、店舗管理者は、これが係止されるフレームないしラック54の幅や、陳列される物品の数量に応じて、陳列具11を伸長させたり、あるいは
図5に示すような収縮状態で使用したりできる。
【0047】
陳列具11は、使用されない状態、すなわち商店のバックヤード等で保管される際には、
図8に示すように上下方向に積み重ねて省スペースで保管することができる。このとき、下側の陳列具11の隆起部24の円弧状の角部24Aに対して、上側の陳列具11の隆起部24の下端(第1開口部51付近)が当接する。上側の陳列具11の一対の支持脚部33は、下側の陳列具11の一対の第3壁部23(隆起部24)の間に挟まれた位置に差し込まれる。
図9に示すように、上側の陳列具11の支持脚部33の下面は、下側の陳列具11の第2辺部41上に載置される。下側の陳列具11の第2辺部41に形成された突出部42は、上側の陳列具11の支持脚部33の窪み部53の内側に差し込まれて保持される。このため、上側に積み重ねられた陳列具11が前後左右に動くことが極力防止され、上側の陳列具11が下側の陳列具11から落下してしまうことが防止される。
【0048】
第1実施形態によれば以下のことがいえる。陳列具11は、第1壁部12と、第1壁部12と交差する方向に延びた第2壁部13と、第1壁部12と第2壁部13とを連結する連結部22と、第1壁部12の連結部22とは反対側に位置する第1辺部36と、第2壁部13の連結部22とは反対側に位置する第2辺部41であって、連結部22から第1辺部36までの距離よりも連結部22からの距離が短い第2辺部41と、を有する陳列具本体14と、第1壁部12の第1内面12Aとは反対側の第1外面12Bに設けられ、被係止部に対して係止可能な第1フック部15と、第2壁部13の第2内面13Aとは反対側の第2外面13Bに設けられ、前記被係止部に対して係止可能な第2フック部16と、を備える。
【0049】
この構成によれば、第1壁部12を底にしてこれの上に物品を陳列し且つ第2フック部16を被係止部に係止した第1使用態様と、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列し且つ第1フック部15を被係止部に係止した第2使用態様と、の両方で陳列具11を使用できる。このため、物品の大きさや形状に応じて、第1使用態様および第2使用態様を切り替えることができる。例えば、横長でいわゆる扁平な物品については、連結部22から第1辺部36までの距離D1が長い第1壁部12を横向きにし、且つ第1壁部12を底にする第1使用態様を好適に使用できる。また、例えば、液体を収納したボトルのような縦長の物品については、連結部22から第1辺部36までの距離D1が長い第1壁部12を縦向きにし、且つ第2壁部13を底にする第2使用態様を好適に使用できる。
【0050】
陳列具本体14は、長手方向Lに伸縮自在である。この構成によれば、物品の種別・数量や、陳列具11が係止される被係止部の大きさに応じて、陳列具本体14を長手方向に伸縮させることができる。このため、拡張性の高い陳列具本体14を実現できる。
【0051】
陳列具本体14は、長手方向Lの一方に設けられ櫛歯状をなした第1係合部34Aを有する第1ユニット34と、長手方向Lの他方に設けられ第1係合部34Aと係合するように櫛歯状をなした第2係合部35Aを有するとともに、第1ユニット34に対して近づいたり離れたり可能な第2ユニット35と、を有する。この構成によれば、櫛歯状の第1係合部34Aおよび櫛歯状の第2係合部35Aという簡単な構造によって、長手方向Lに伸縮する陳列具本体14を実現できる。
【0052】
陳列具本体14は、第1壁部12および第2壁部13を間に挟んだ両側に設けられた一対の第3壁部23と、一対の第3壁部23のそれぞれの第1壁部12および第2壁部13と対向する面とは反対側の面で、第3壁部23の外周部であって第1壁部12および第2壁部13から外れた位置の外周部を起点に第1壁部12および第2壁部13から遠ざかる方向に隆起するように設けられた一対の隆起部24と、を有する。
【0053】
この構成によれば、第1壁部12を底にする第1使用態様と、第2壁部13を底にする第2使用態様と、の両方の使用態様で、隆起部24によって良好な指掛部を構成することができる。このため、陳列具本体14に物品を陳列した状態で、商店の店舗管理者が陳列具11を持ち運ぶことができる。これによって、商店内の陳列棚の入れ替え作業において、陳列具本体14から物品を降ろす必要がなくなり、作業効率を著しく改善できる。また、隆起部24によって第3壁部23を補強することができ、陳列具11を誤って落下させたような場合でも、第3壁部23が破損することを極力防止できる。
【0054】
一対の隆起部24のそれぞれは、略L字形をなした。この構成によれば、隆起部24の形状を極めて単純な構造で実現でき、製造コストを著しく低減できる。
【0055】
隆起部24の角部は、円弧状をなした。この構成によれば、第3壁部23および隆起部24に落下等に起因して衝撃が加えられた場合でも、第3壁部23および隆起部24にかかる衝撃を円弧部で分散することができる。これによって、第3壁部23および隆起部24が衝撃で破損してしまうことを極力防止できる。また、顧客の手指等が隆起部24の角部24Aに接した場合でも、手指等を傷つけてしまうことがない。
【0056】
第1辺部36は、シート17を差し入れ可能なホルダー18を固定するための第1固定部37を有する。この構成によれば、物品の価格やPOP広告等を記載したシート17を差し入れ可能なホルダー18を陳列具11に取り付けることができる。これによって、商店を訪れる顧客に対する物品の訴求力(購買意欲)を向上することができる。
【0057】
第2壁部13は、第2辺部41に連結部22から遠ざかる方向に突出する突出部42を有し、陳列具本体14は、隣接する他の陳列具11の突出部42を受け入れ可能な窪み部53を第1外面12B側に有する。
【0058】
この構成によれば、陳列具11を商店のバックヤードでまとめて保管する際に、陳列具11同士を第1壁部12の厚み方向に積み重ねたとしても、上側に積み重ねられた他の陳列具11がバランスを崩して落下することがない。これによって、バックヤードでの保管時に、陳列具11を補完するための設置スペースを低減できる。
【0059】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0060】
図10から
図17を参照して、第2実施形態の陳列具11について説明する。本実施形態の陳列具11は、第1壁部12を底にしてこれの上に物品を陳列した第1使用態様で使用される。
図10に示すように、陳列具11は、陳列具本体14に対して着脱自在なロッド状の一対のフック部材44を有する。フック部材44の一方は、一方の隆起部24に対して着脱可能に装着され、フック部材44の他方は、他方の隆起部24に対して着脱可能に装着される。陳列具本体14の形態は、第1実施形態と同様である。
【0061】
一対のフック部材44は、互いに同一の形状を有する。一対のフック部材44は、例えば、金属材料によって形成される。
図11に示すように、一対のフック部材44のそれぞれは、線状に延びた線状部44Bと、線状部44Bに対して折れ曲がったかぎ状部44Aと、を有する。線状部44Bは、例えば、直線的に延びているが、途中で一部が湾曲していてもよいし、全体的に緩やかな円弧をなしていてもよい。線状部44Bは、かぎ状部44Aに接続する側の端部とは反対側の端部に、半径方向外側に広がる円盤形状のフランジ部46を有する。フランジ部46は、線状部44Bの途中に設けられていてもよい。
【0062】
かぎ状部44Aは、例えば、略L字形に折れ曲がっている。かぎ状部44Aは、先端にゴム状の弾性体で形成されたキャップ部47を有する。キャップ部47は、例えば、合成ゴム等で形成されている。
【0063】
図12、
図13に示すように、陳列具本体14の一対の爪部32は、その間にフック部材44の線状部44Bを保持できるように両側から張り出した形態に形成される。
図12に示すように、複数の凹部45のそれぞれは、フランジ部46と相補的な形状に形成され、その内側にフランジ部46を保持することができる。複数の凹部45は、溝部25の延びている方向に沿って離散的に設けられる。
【0064】
図14から
図17を参照して、第2実施形態の陳列具11の作用について説明する。店舗管理者が陳列具本体14の溝部25に対してフック部材44を取り付けたい場合には、
図14に示すように、孔部27に対して、内側から外側に向けてフック部材44の線状部44Bを通すようにする。これによって、孔部27に対して線状部44Bが通された第1位置P1になる。そして、
図15に示すように、孔部27を支点に矢印で示すようにフック部材44のかぎ状部44Aを旋回(例えば、水平面内で旋回)させることで、線状部44Bも同様に矢印で示すように旋回する。これによって、線状部44Bが溝部25の第2部分25B内に嵌って、線状部44Bが一対の爪部32同士の間に差し込まれるのと同時に、フランジ部46が凹部45内に差し込まれる。同様に、フック部材44のかぎ状部44Aの一部は、溝部25の第1部分25Aの内側に嵌るとともに、一対の爪部32同士の間に差し込まれる。これによって、線状部が溝部25の第2部分25B内に保持された第2位置P2となる。
【0065】
これによって、
図16に示す第2位置P2となり、フック部材44が溝部25内に保持される。このとき、線状部44Bの少なくとも一部、
図16に示す状態では全部が、溝部25内に保持される。他方のフック部材44も同様に他方の隆起部24の溝部25内に装着される。この状態で、店舗管理者は、冷蔵ケース等の縁部の外側にフック部材44を介して陳列具11を係止(吊下げ)させることができる。
【0066】
冷蔵ケース等の縁部の幅は、メーカー毎に異なっているために、店舗管理者は、冷蔵ケース等の縁部の幅に合わせてフック部材44の突出量を微調整する必要がある。店舗管理者は、
図15に示すように、フック部材44のかぎ状部44Aを、水平面内で先ほどとは逆方向に旋回させると、フック部材44の線状部が一対の爪部32から脱落するとともに、フランジ部46が凹部45から脱落して、フック部材44が第1位置P1に戻る。この状態で、店舗管理者は、孔部27に対する線状部44Bの差し込み量を調整することで、フック部材44が陳列具本体14から突出する長さを操作することができる。このように孔部27に対する線状部44Bの差し込み量を調整して、再度フック部材44のかぎ状部44Aを旋回(例えば、水平面内で旋回)させることで、線状部44Bが溝部25の第2部分25B内に嵌るとともに、かぎ状部44Aが溝部25の第1部分25A内に嵌る。これによって、
図17に示す第2位置P2となり、フック部材44が陳列具本体14から突出する長さを
図16に示す状態よりも長くすることができる。この状態で、店舗管理者は、縁部の幅が大きい冷蔵ケース等の外側にフック部材44を介して陳列具11を係止(吊下げ)させることができる。
【0067】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。陳列具11は、線状部44Bと、線状部44Bに対して折れ曲がったかぎ状部44Aと、を有するロッド状のフック部材44を一対に備え、陳列具本体14は、隆起部24の延びる方向に沿うように一対の隆起部24にそれぞれ設けられ、線状部44Bの少なくとも一部を受容可能な一対の溝部25を有する。
【0068】
この構成によれば、フック部材44を用いて冷蔵ケース等に対して陳列具11を係止することができる。これによって、顧客が希望する物品に関連する物品を陳列具11によって陳列することで、当該物品とともに陳列具11に陳列された物品についても顧客の手に取ってもらいやすくことができる。また、フック部材44を固定するための溝部25を隆起部24に作り込むことができる。これによって、第3壁部23周りの構造を簡略化するとともに、第3壁部23自体を薄型化することができる。
【0069】
線状部44Bは、半径方向外側に広がるフランジ部46を有し、一対の溝部25のそれぞれは、フランジ部46と相補的な複数の凹部45を溝部25の延びている方向に沿って離散的に有する。
【0070】
この構成によれば、凹部45に対してフランジ部46を係合させることによって、線状部44Bが溝部25から脱落してしまうことを簡単な構造によって防止することができる。また、線状部44Bの脱落を防止するために、複数の縦フィン等の大掛かりな構造物を要することなく、隆起部24および溝部25の周囲をコンパクトに構成することができる。さらに、どの凹部45に対してフランジ部46を係合させるかによって、かぎ状部44Aの突出量を変動させることができる。これによって、フック部材44を引っかける冷蔵ケース等の縁部の寸法に応じて、かぎ状部44Aの突出量を適宜に変動させることができる。
【0071】
一対の隆起部24のそれぞれは、溝部25と連通するとともに線状部44Bを通すことが可能な孔部27を有し、一対の溝部25のそれぞれは、孔部27に通されたフック部材44のかぎ状部44Aに向けて開口した第1部分25Aと、第1部分25Aが開口する方向とは逆側に向けて開口した第2部分25Bと、を有し、一対のフック部材44のそれぞれは、線状部44Bが孔部27に通された第1位置P1と、線状部44Bが孔部27から外れて第2部分25B内に保持された第2位置P2と、の間で移動可能である。
【0072】
例えば特許文献1に記載の商品陳列装置では、フック部材を側壁から取り外す際には、以下の工程を経る必要がある。すなわち、第1にフック部材の中間部を水平固定部から取り外し、第2に縦フィン間の支点を中心にフック部材を水平面内で90°旋回させ、第3にフック部材の全体を上方に押し上げて縦フィン間にある内側端とフック部材の係止を解除する。第4にフック部材の一端を下方に押し下げて側壁からフック部材を取り外す。このように、特許文献1では、フック部材の着脱に複数工程を要していた。上記構成によれば、フック部材44を孔部27に対して通した状態で、フック部材44を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させることで、着脱工程をワンタッチで行うことができる。このため、フック部材44の着脱に際し、店舗管理者の作業負担を著しく低減できる。
【0073】
本実施形態において、第1実施形態のホルダー18や仕切片21を採用してもよい。
[第3実施形態]
【0074】
図18から
図20を参照して、第3実施形態の陳列具について説明する。本実施形態の陳列具11は、第1壁部12を底にしてこれの上に物品を陳列した第1使用態様で使用される。
図18、
図20に示すように、陳列具11は、第1壁部12に対して着脱自在な一対の第1脚部61を有する。陳列具本体14の形態は、第1実施形態と同様である。
【0075】
一対の第1脚部61の一方は、一対の第1脚部61の他方と同形態に形成されている。一対の第1脚部61のそれぞれは、金属製の線材をU字形に折り曲げて形成されている。第1脚部61の一方の端部は、溝部25の第1開口部51に差し込まれている。第1脚部61の一方の端部の先端は、当接片26に当接して溝部25内で保持される。第1脚部61の他方の端部の先端は、第1壁部12の第1外面12Bに第1壁部12および支持脚部33と一体に形成された筒状の第1差込部63に差し込まれて保持される。
【0076】
図18から
図20を参照して、本実施形態の陳列具11の作用について説明する。本実施形態の陳列具11では、第1脚部61が設けられているため、商店内の陳列台に対して元々お弁当等の箱状の物品や液体を貯蔵したボトルが陳列されていた場合でも、当該物品を除去しないで、当該物品の上側に陳列具本体14を配置することができる。このため、例えば、お弁当等の物品を陳列していたスペースの上側に飲料を貯蔵したボトルや各種の総菜等の他の物品を陳列することができる。これによって、顧客が本来欲しい物品に加えて、これに関連する物品についても併せて顧客に手に取ってもらいやすくすることができる。
【0077】
本実施形態によれば以下のことがいえる。陳列具11は、陳列具本体14を支持する第1脚部61を備え、溝部25は、第1外面12B側に向けて開口した第1開口部51を有するとともに、第1開口部51を介して第1脚部61を受け入れ可能である。
【0078】
この構成によれば、溝部25を第1脚部61の固定部として利用することができる。このため、第1脚部61の固定部を別途に設ける場合に比して、構造を簡略化して製造コストを低減できる。また、第1脚部61が設けられるために、陳列具11を設置するために、商店の陳列台上に元々あった物品を除去する必要がなく、当該物品の上側のスペースを有効活用できるとともに、当該物品に関係する物品について顧客の手に取ってもらいやすい物品の陳列を可能にできる。
【0079】
本実施形態において、第1実施形態のホルダー18や仕切片21を採用してもよい。
[第4実施形態]
【0080】
図21から
図23を参照して、第4実施形態の陳列具11について説明する。第4実施形態の陳列具11は、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列し且つ第1フック部15を被係止部に係止した第2使用態様で使用される。陳列具本体14の形態は、第1実施形態と同様である。
【0081】
本実施形態では、第1壁部12を縦方向に沿って配置する。連結部22から第1壁部12の第1辺部36までの距離D1は、連結部22から第2壁部13の第2辺部41までの距離D2よりも長い(
図2参照)。このため、飲料等の液体を収納したボトル等を好適に陳列することができる。第2固定部43には、第1実施形態と同様のホルダー18が着脱可能に装着されている。
【0082】
図21から
図23を参照して、本実施形態の陳列具11の作用について説明する。
図22、
図23に示すように、本実施形態の陳列具11は、第1フック部15を介して網状(格子状)のフレームないしラック54(被係止部)に対して係止することができる。このように、第1フック部15を介してフレームないしラック54に吊り下げられた状態で、支持脚部33は、フレームないしラック54の他の部分に当接して、第2壁部13が略水平になるようにする。店舗管理者は、必要に応じて、支持脚部33の貫通孔38に対して結束バンド等を通して、フレームないしラック54と支持脚部33とを固定してもよい。この状態で、陳列具11の第2壁部13上に物品を陳列することができる。
図21では、仕切片21が取り付けられていないが、
図1に示すように、ホルダー18に対して第1実施形態と同様の仕切片21を取り付けても当然によい。
【0083】
陳列具11は、
図7に示すように、第1ユニット34に対して第2ユニット35をスライド移動させ、長手方向Lに対して伸長させた状態で使用してもよい。このため、店舗管理者は、これが係止されるフレームないしラック54の幅や、陳列される物品の数量に応じて、陳列具11を伸長させたり、あるいは
図21に示すような収縮状態で使用したりできる。
【0084】
本実施形態によれば以下のことがいえる。第2辺部41は、シート17を差し入れ可能なホルダー18を固定するための第2固定部43を有する。この構成によれば、物品の価格やPOP広告等を記載したシート17を差し入れ可能なホルダー18を陳列具11に取り付けることができる。これによって、商店を訪れる顧客に対する物品の訴求力(購買意欲)を向上することができる。
また、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列し且つ第1フック部15を被係止部に係止した第2使用態様で陳列具11を好適に使用できる。例えば、液体を収納したボトルのような縦長の物品について、連結部22から第1辺部36までの距離が長い第1壁部12を縦向きにし、且つ第2壁部13を底にする第2使用態様によって好適に陳列できる。
[第5実施形態]
【0085】
図24、
図25を参照して、第5実施形態の陳列具11について説明する。第5実施形態の陳列具11は、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列した第2使用態様で使用される。陳列具本体14の形態は、第1実施形態と同様である。
【0086】
陳列具11は、ロッド状のシャフト部材28を有する。シャフト部材28は、例えば、金属材料によって細長い円柱形に形成され、陳列具本体14の長手方向Lに関する全長と略同じ長さを有する。
【0087】
図24、
図25を参照して、本実施形態の陳列具11の作用について説明する。本実施形態では、
図25に示すように、陳列具本体14の一対の通孔31に対して、シャフト部材28を貫通するように配置する。これによって、
図24に示すように、一対の第3壁部23間に渡されるようにシャフト部材28が配置される。この位置で、シャフト部材28は、第1壁部12に対向している。一対の通孔31は、第1壁部12と対向する位置にロッド状のシャフト部材28を受け入れ可能である。このため、本実施形態では、飲料等の液体を収納したボトル等の縦長の物品を第2壁部13上に陳列した場合でも、シャフト部材28によって当該物品が転倒することが防止される。
【0088】
本実施形態によれば以下のことがいえる。陳列具11は、ロッド状のシャフト部材28を備え、一対の隆起部24は、第1壁部12と対向する位置に前記ロッド状のシャフト部材28を受け入れ可能な一対の通孔31を有する。
【0089】
この構成によれば、主として、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列し且つ第1フック部15を被係止部に係止した第2使用態様において、液体を収納したボトルのような縦長の物品をシャフト部材28で支持することができる。これによって、当該物品が転倒することを防止して、第2壁部13から縦長の物品が落下してしまう不具合を防止できる。
【0090】
本実施形態において、第4実施形態のホルダー18や仕切片21を採用してもよい。
[第6実施形態]
【0091】
図26を参照して、第6実施形態の陳列具11について説明する。第6実施形態の陳列具11は、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列した第2使用態様で使用される。陳列具本体14の形態は、第1実施形態と同様である。
【0092】
陳列具11は、第2実施形態と同じ形態の一対のフック部材44を備える。第2実施形態と同様に、店舗管理者は、どの位置の凹部45に対してフック部材44のフランジ部46を係合させるかによって、フック部材44が陳列具本体14から突出する長さを適宜に調整できる(
図16、
図17参照)。
【0093】
本実施形態によれば、フック部材44を用いて冷蔵ケース等に対して陳列具11を係止することができる。これによって、顧客が希望する物品に関連する物品を陳列具11によって陳列することで、当該物品とともに陳列具11に陳列された物品も顧客の手に取ってもらいやすくすることができる。
【0094】
本実施形態において、第4実施形態のホルダー18や仕切片21を採用してもよいし、第5実施形態のシャフト部材28を採用してもよいし、それらの両方を採用してもよい。
[第7実施形態]
【0095】
図27、
図28を参照して、第7実施形態の陳列具11について説明する。第7実施形態の陳列具11は、第2壁部13を底にしてこれの上に物品を陳列した第2使用態様で使用される。陳列具本体14の形態は、第1実施形態と同様である。
【0096】
図27、
図28に示すように、陳列具11は、第2壁部13に対して着脱自在な一対の第2脚部62を有する。一対の第2脚部62の一方は、一対の第2脚部62の他方と同形態に形成されている。
【0097】
一対の第2脚部62のそれぞれは、金属製の線材をU字形に折り曲げて形成されている。第2脚部62の一方の端部は、溝部25の第2開口部52に差し込まれている。第2脚部62の一方の端部の先端は、当接片26に当接して溝部25内で保持される。第2脚部62の他方の端部の先端は、第1壁部12の第1外面12Bに第1壁部12と一体に形成された筒状の第2差込部64に差し込まれて保持される(
図28、
図19参照)。
【0098】
図27、
図28を参照して、本実施形態の陳列具11の作用について説明する。本実施形態の陳列具11では、第2脚部62が設けられているため、商店内の陳列台に対して元々お弁当等の箱状の物品や液体を貯蔵したボトルが陳列されていた場合でも、当該物品を除去しないで、当該物品の上側に陳列具本体14を配置することができる。このため、例えば、お弁当等の物品を陳列していたスペースの上側に飲料を貯蔵したボトルや各種の総菜等の他の物品を陳列することができる。これによって、顧客が本来欲しい物品に加えて、これに関連する物品についても併せて顧客に手に取ってもらいやすくすることができる。
【0099】
本実施形態によれば以下のことがいえる。陳列具11は、陳列具本体14を支持する第2脚部62を備え、溝部25は、第2外面13B側に向けて開口した第2開口部52を有するとともに、第2開口部52を介して第2脚部62を受け入れ可能である。
【0100】
この構成によれば、溝部25を第2脚部62の固定部として利用することができる。このため、第2脚部62の固定部を別途に設ける場合に比して、構造を簡略化して製造コストを低減できる。また、第2脚部62が設けられるために、陳列具11を設置するために、商店の陳列台上に元々あった物品を除去する必要がなく、当該物品の上側のスペースを有効活用できるとともに、当該物品に関係する物品について顧客の手に取ってもらいやすい物品の陳列を可能にできる。
【0101】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、異なる実施形態を適宜に組み合わせて一つの発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0102】
11 陳列具
12 第1壁部
12A 第1内面
12B 第1外面
13 第2壁部
13A 第2内面
13B 第2外面
14 陳列具本体
15 第1フック部
16 第2フック部
17 シート
18 ホルダー
22 連結部
23 第3壁部
24 隆起部
24A 角部
25 溝部
25A 第1部分
25B 第2部分
27 孔部
28 シャフト部材
31 通孔
33 支持脚部
34 第1ユニット
34A 第1係合部
35 第2ユニット
35A 第2係合部
36 第1辺部
41 第2辺部
42 突出部
43 第2固定部
44 フック部材
44A かぎ状部
44B 線状部
45 凹部
46 フランジ部
51 第1開口部
52 第2開口部
53 窪み部
54 ラック
61 第1脚部
62 第2脚部
P1 第1位置
P2 第2位置