IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図10
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図11
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図12
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図13
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図14
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図15
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図16
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図17
  • 特許-情報処理装置、制御方法及びプログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G06F11/30 158
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021569659
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2020000440
(87)【国際公開番号】W WO2021140607
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】吉永 直生
(72)【発明者】
【氏名】建山 弓弦
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】脇岡 剛
【審判官】吉田 美彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-238046(JP,A)
【文献】特開2015-006433(JP,A)
【文献】特開2013-085355(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179307(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/136323(WO,A1)
【文献】特開2003-114294(JP,A)
【文献】吉永直生ほか、”時系列データ モデルフリー分析技術”、NEC技報、[online]、2019年10月、Vol.72 No.1、p.104-107、[2024年6月19日検索]、インターネット<https://jpn.nec.com/techrep/journal/g19/n01/pdf/190122.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00-88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守対象機器の過去の点検又は保守ごとの状態を示す第1検出データと当該過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う照合手段と、
前記照合により得られた、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記点検又は保守ごとの前記第1検出データに関連付けられた前記第1保守情報に基づき、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記第1保守情報は、前記過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の劣化状況に関する情報を含み、
前記表示制御手段は、前記現在の状態における前記保守対象機器の劣化状況に関する情報を含む前記第2保守情報を前記表示手段に表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記劣化状況に関する情報は、直前の保守からの経過日数、直前の保守からの前記保守対象機器の実作動時間、直前の保守からの前記保守対象機器の作動回数、又は前記保守対象機器の劣化度の少なくともいずれかを示す情報である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記照合手段は、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記第1検出データに対応する前記第1保守情報を出力し、
前記表示制御手段は、出力された前記第1保守情報に基づき、前記第2保守情報を生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記類似度又は前記類似度に基づく順位に基づき前記第1保守情報を重み付けすることで、前記第2保守情報を生成する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記タイミングを示す情報として、次の保守までの日数、次の保守までの前記保守対象機器の実作動時間、又は次の保守までの前記保守対象機器の作動回数のいずれかを示す情報を、前記表示手段に表示させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、過去に生成した所定回数分の前記第2保守情報に基づき、前記タイミングを決定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する制御方法であって、
保守対象機器の過去の点検又は保守ごとの状態を示す第1検出データと当該過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行い、
前記照合により得られた、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記点検又は保守ごとの前記第1検出データに関連付けられた前記第1保守情報に基づき、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示手段に表示させる、制御方法。
【請求項9】
保守対象機器の過去の点検又は保守ごとの状態を示す第1検出データと当該過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う照合手段と、
前記照合により得られた、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記点検又は保守ごとの前記第1検出データに関連付けられた前記第1保守情報に基づき、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示手段に表示させる表示制御手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の予防保全に関する表示を制御する情報処理装置、制御方法及び記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機器の保守の適切なタイミングは、機器の稼動条件や天候などの外部要因に依存し、夫々の機器によって異なる。これに対し、特許文献1には、正常時にモデル化した検出値の予測値と現在の検出値との差分を異常度として算出する予防保全装置が開示されている。また、特許文献2には、センサ値の推移を予測することで、機器が故障するまでの時間を算出する予防保全支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-153208号公報
【文献】特開2017-120532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の予防保全装置では、正常時にモデル化した検出値の予測値と現在の検出値との差分を異常値として算出後、保守のタイミングを計るには深いドメイン知識が必要となる。また、特許文献2に記載の予防保全支援システムが対象とする機器は、センサ値の推移を予測可能な一部の機器に限られており、センサ値の推移を予測できない機器には適用することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、保守対象機器の保守に関する情報を好適に提示することが可能な情報処理装置、制御方法及び記憶媒体を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理装置の一の態様は、情報処理装置であって、保守対象機器の過去の点検又は保守ごとの状態を示す第1検出データと当該過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う照合手段と、前記照合により得られた、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記点検又は保守ごとの前記第1検出データに関連付けられた前記第1保守情報に基づき、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を有する。
【0007】
制御方法の一の態様は、情報処理装置が実行する制御方法であって、保守対象機器の過去の点検又は保守ごとの状態を示す第1検出データと当該過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行い、前記照合により得られた、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記点検又は保守ごとの前記第1検出データに関連付けられた前記第1保守情報に基づき、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示手段に表示させる。
【0008】
プログラムの一の態様は、保守対象機器の過去の点検又は保守ごとの状態を示す第1検出データと当該過去の点検又は保守ごとの状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う照合手段と、前記照合により得られた、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記点検又は保守ごとの前記第1検出データに関連付けられた前記第1保守情報に基づき、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示手段に表示させる表示制御手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保守対象機器の保守に関する情報を好適に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る予防保全支援システムの構成を示す。
図2】(A)情報処理装置のブロック構成の一例を示す。(B)表示装置のブロック構成の一例を示す。
図3】情報処理装置のプロセッサの機能ブロックの一例である。
図4】過去データ生成装置の概略構成を示す。
図5】(A)過去データDB(DataBase)のデータ構造の第1具体例である。(B)過去データDBのデータ構造の第2具体例である。
図6】(A)過去データDBのデータ構造の第3具体例である。(B)過去データDBのデータ構造の第4具体例である。
図7】照合結果を示すリストである。
図8】予防保全支援画面の第1表示例である。
図9】予防保全支援画面の第2表示例である。
図10】選択欄操作後の予防保全支援画面の第2表示例である。
図11】予防保全支援画面の第3表示例である。
図12】予防保全支援画面の第4表示例である。
図13】予防保全支援画面の第5表示例である。
図14】予防保全支援画面の第6表示例である。
図15】警告情報を表示した予防保全支援画面の第6表示例である。
図16】情報処理装置が実行する表示処理に関する手順を示すフローチャートの一例である。
図17】第2実施形態における予防保全支援システムの概略構成図である。
図18】第3実施形態における情報処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置、制御方法及び記憶媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(1)システム構成
図1は、第1実施形態に係る予防保全支援システム100の構成を示す。予防保全支援システム100は、定期又は不定期による部品の交換、修理などの保守が必要な機器である保守対象機器3の予防保全に関する支援を行うシステムであり、情報処理装置1と、記憶装置2と、保守対象機器3と、表示装置4と、状態検出センサ5と、を有する。
【0013】
情報処理装置1は、記憶装置2に記憶された情報を参照し、状態検出センサ5から供給される保守対象機器3の現在の状態を示す検出信号「Sa」の解析を行うことで、表示信号「Sb」を生成する。そして、情報処理装置1は、表示信号Sbを表示装置4に送信することで、保守対象機器3の予防保全に関する情報を示す画面(「予防保全支援画面」とも呼ぶ。)を表示装置4に表示させる。
【0014】
記憶装置2は、情報処理装置1が表示信号Sbの生成に必要な各種情報を記憶する。記憶装置2は、特徴変換器パラメータ情報20と、過去データDB21と、保守推定履歴DB22とを記憶する。
【0015】
特徴変換器パラメータ情報20は、時系列データである検出信号Saから特徴量を示す特徴データを生成する特徴変換器を構成するために必要なパラメータを記憶する。特徴変換器は、時系列データである検出信号Saが入力された場合に、当該時系列データの特徴量を示す特徴データを出力するように学習された学習モデルである。特徴変換器の学習に用いる学習モデルは、ニューラルネットワークに基づく学習モデルであってもよく、サポートベクターマシーンなどの他の種類の学習モデルであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。例えば、上述の学習モデルが畳み込みニューラルネットワークなどのニューラルネットワークである場合、特徴変換器パラメータ情報20は、層構造、各層のニューロン構造、各層におけるフィルタ数及びフィルタサイズ、並びに各フィルタの各要素の重みなどの各種パラメータを記憶する。特徴変換器の詳細については後述する。
【0016】
過去データDB21は、複数の時点における保守対象機器3の過去の状態を示す過去データのデータベースである。この過去データは、保守対象機器3の過去の状態を示す検出信号Saの特徴量を示す特徴データ(「第1特徴データDf1」とも呼ぶ。)と、当該過去の状態における保守対象機器3の保守に関する情報(「第1保守情報Im1」とも呼ぶ。)との組み合わせである。第1保守情報Im1は、過去の状態における保守対象機器3の劣化状況に関する情報と、過去の状態における保守対象機器3の次の保守のタイミングを示す情報とを含む。過去データの具体例については後述する。保守推定履歴DB22は、情報処理装置1が表示信号Sbを生成する際に推定した保守に関する推定結果の履歴を記憶するデータベースである。
【0017】
なお、記憶装置2は、情報処理装置1に接続又は内蔵されたハードディスクなどの外部記憶装置であってもよく、情報処理装置1に対して着脱自在なフラッシュメモリなどの記憶媒体であってもよい。また、記憶装置2は、情報処理装置1とデータ通信を行う1又は複数のサーバ装置から構成されてもよい。また、記憶装置2に記憶されるデータベース等は、複数の装置又は記憶媒体により分散して記憶されてもよい。
【0018】
表示装置4は、保守対象機器3の予防保全の管理を行うユーザが使用する端末である。表示装置4は、例えば、保守対象機器3の機器IDなどを指定した表示要求を情報処理装置1に送信することで、その応答結果である表示信号Sbを情報処理装置1から受信し、表示信号Sbに基づく情報を表示する。後述するように、表示装置4は、表示信号Sbに基づき、予防保全支援画面を表示する。
【0019】
状態検出センサ5は、保守対象機器3の状態を検出する1又は複数のセンサであり、保守対象機器3の状態を示す検出信号Saを情報処理装置1に送信する。検出信号Saは、保守対象機器3の異常検出に必要な1又は複数の物理量(例えば、電圧、電流、速度、力、トルク、振動量等)の時系列データである。なお、保守対象機器3の種類毎に検出すべき物理量及び使用される状態検出センサ5の種類は異なる。状態検出センサ5は、有線通信又は無線通信により、検出信号Saを情報処理装置1へ送信する。
【0020】
なお、情報処理装置1は、複数の装置から構成されてもよい。この場合、情報処理装置1を構成する複数の装置は、予め割り当てられた処理を実行するために必要な情報の授受を、これらの複数の装置間において行う。
【0021】
(2)ブロック構成
図2(A)は、情報処理装置1のブロック構成の一例を示す。情報処理装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、メモリ12と、インターフェース13とを含む。プロセッサ11、メモリ12及び通信部13は、データバス19を介して接続されている。
【0022】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより、所定の処理を実行する。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサである。プロセッサ11が実行する処理については、図3の機能ブロック図を参照して具体的に説明する。
【0023】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリなどの各種のメモリにより構成される。また、メモリ12には、情報処理装置1が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、メモリ12は、作業メモリとして使用され、記憶装置2から取得した情報等を一時的に記憶する。なお、メモリ12は、記憶装置2として機能してもよい。同様に、記憶装置2は、情報処理装置1のメモリ12として機能してもよい。なお、情報処理装置1が実行するプログラムは、メモリ12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0024】
インターフェース13は、プロセッサ11の制御に基づき、保守対象機器3及び表示装置4などの外部装置とデータの送受信を有線又は無線により行うための通信インターフェースであり、ネットワークアダプタなどが該当する。なお、外部装置とはケーブル等により接続されてもよい。この場合、インターフェース13は、記憶装置2とデータ通信を行う通信インターフェースの他、記憶装置2とデータの授受を行うためのUSB、SATA(Serial AT Attachment)などに準拠したインターフェースであってもよい。
【0025】
なお、情報処理装置1の構成は、図2(A)に示す構成に限定されない。例えば、情報処理装置1は、ユーザによる入力を受け付ける入力部、ディスプレイなどの表示部、又はスピーカなどの音出力装置の少なくともいずれかと接続又はこれらの少なくともいずれかを内蔵してもよい。例えば、情報処理装置1は、入力機能及び出力機能が本体と一体となったタブレット型端末等であってもよい。
【0026】
図2(B)は、表示装置4のブロック構成の一例を示す。表示装置4は、ハードウェアとして、プロセッサ41と、メモリ42と、インターフェース43とを含む。これらの表示装置4の各要素は、データバス49を介して接続されている。
【0027】
プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムを実行することにより、所定の処理を実行する。プロセッサ41は、CPU、GPUなどのプロセッサである。メモリ42は、RAM、ROM、不揮発性メモリなどの各種のメモリにより構成される。また、メモリ42には、表示装置4が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、メモリ42は、作業メモリとして使用される。
【0028】
インターフェース43は、プロセッサ41の制御に基づき、情報処理装置1などの外部装置とデータの送受信を有線又は無線により行うための通信インターフェースであり、ネットワークアダプタなどが該当する。なお、外部装置とはケーブル等により接続されてもよい。また、インターフェース43は、入力部44及び表示部45のインターフェース動作を行う。入力部44は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネル、又は音声入力装置である。表示部45は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタである。なお、入力部44及び表示部45は、表示装置4とインターフェース43を介して電気的に接続する外部装置であってもよい。また、インターフェース43は、入力部44及び表示部45以外の任意の装置のインターフェース動作を行ってもよい。
【0029】
(3)機能ブロック
図3は、情報処理装置1のプロセッサ11の機能ブロックの一例である。情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、特徴抽出部31と、照合部32と、表示制御部33とを有する。
【0030】
特徴抽出部31は、インターフェース13を介して保守対象機器3の現在の状態を示す検出信号Saを状態検出センサ5から取得する。そして、特徴抽出部31は、特徴変換器パラメータ情報20を参照して特徴変換器を構成することで、取得した検出信号Saから特徴量を抽出し、抽出した特徴量を示すデータ(「第2特徴データDf2」とも呼ぶ。)を照合部32に供給する。この場合、特徴抽出部31は、例えば、検出信号Saを所定長のセグメントに分割し、分割したセグメントを特徴変換器に入力することで第2特徴データDf2を生成する。ここで、状態検出センサ5が複数のセンサから構成される場合には、状態検出センサ5が検出した複数の物理量の同時間帯における時系列データとなる。また、第2特徴データDf2は、特徴抽出処理の対象となるセグメントよりも十分に小さいデータ量となることが求められ、例えば、数百ビットのバイナリ列である。
【0031】
ここで、保守対象機器3が連続的に稼動する機器である場合には、所定の時間間隔毎に検出される検出信号Saのセグメントに対して第2特徴データDf2が生成される。上述の時間間隔は、1日ごとであってもよく、セグメント長よりも短い時間間隔であってもよい。後者の場合には、各セグメントは、検出信号Saに対して重複を許容した移動窓(重複あり分割)を適用することで抽出される。また、保守対象機器3が必要に応じて作動する機器(例えば転轍機)である場合には、保守対象機器3が作動中のときに検出された検出信号Saのセグメントに対して第2特徴データDf2が生成される。また、保守対象機器3が高負荷運転状態、通常運転状態などの複数の運転状態を有する機器である場合には、所定の運転状態のときに検出された検出信号Saのセグメントに対して第2特徴データDf2が生成される。なお、保守対象機器3の種類毎に異常検出(即ち保守の要否判定)において参照すべき物理量及び検出信号Saの抽出タイミングは異なるため、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
【0032】
照合部32は、過去データDB21と、特徴抽出部31から供給される第2特徴データDf2との照合を行い、その照合結果「Rc」を表示制御部33に供給する。ここで、過去データDB21は、過去の異なる時点での保守対象機器3の状態に対応する第1特徴データDf1と第1保守情報Im1とが関連付けられた過去データのデータベースである。従って、照合部32は、第2特徴データDf2と、過去データDB21に登録された各第1特徴データDf1との類似度を算出し、類似度が高い上位所定個数分の第1特徴データDf1に対応する第1保守情報Im1と上述の類似度とを示す照合結果Rcを出力する。このように、照合結果Rcは、保守対象機器3の現在の状態に類似する保守対象機器3の過去の状態を示す過去データに関する情報となる。なお、本実施形態では、照合部32は、第1特徴データDf1が示す特徴量と第2特徴データDf2が示す特徴量との特徴空間における距離を、上述の類似度の指標として算出する。
【0033】
表示制御部33は、照合部32から供給される照合結果Rcに基づき、保守対象機器3の現在の状態に応じた保守に関する情報(「第2保守情報Im2」とも呼ぶ。)を生成する。そして、表示制御部33は、生成した第2保守情報Im2に基づく表示信号Sbを、インターフェース13を介して表示装置4に送信する。ここで、第2保守情報Im2は、保守対象機器3の現在の状態における直前の保守を基準とした劣化状況に関する情報を含み、好適には、保守対象機器3の次の保守のタイミングを示す情報をさらに含む。表示制御部33が生成する第2保守情報Im2の具体例については後述する。また、表示制御部33は、生成した第2保守情報Im2を現在の日付(又は日時)と関連付けて保守推定履歴DB22に記憶する。
【0034】
なお、図4において説明した特徴抽出部31、照合部32、及び表示制御部33の各構成要素は、例えば、プロセッサ11がプログラムを実行することによって実現できる。より具体的には、各構成要素は、メモリ12に格納されたプログラムを、プロセッサ11が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記憶媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。なお、これらの各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、これらの各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。このように、各構成要素は、プロセッサ11以外のハードウェアにより実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0035】
(4)過去データDB
次に、予防保全支援システム100において事前に実行される処理である過去データDB21の生成及び過去データDB21のデータ構造について補足説明する。
【0036】
図4は、過去データDB21の生成を行う過去データ生成装置6の概略構成を示す。過去データ生成装置6は、情報処理装置1であってもよく、情報処理装置1以外の任意の装置(例えばパーソナルコンピュータ等)であってもよい。過去データ生成装置6は、予防保全支援システム100によるサービス提供の前段階において、過去検出信号DB24及び保守履歴DB25を参照することで、過去データDB21の生成処理を行う。
【0037】
過去検出信号DB24は、過去に保守対象機器3から状態検出センサ5が検出した検出信号Saのデータベースである。例えば、過去検出信号DB24は、過去の保守対象機器3の保守又は点検時に生成された検出信号Saから構成されている。なお、好適には、過去検出信号DB24に記憶される検出信号Saは、特徴変換器パラメータ情報20に学習済のパラメータが記憶される特徴変換器の学習データとして用いられるとよい。保守履歴DB25は、過去検出信号DB24に記録された検出信号Saに対応する第1保守情報Im1を記録したデータベースである。
【0038】
過去データ生成装置6は、機能的には、特徴抽出部61と、情報付加部62とを有する。特徴抽出部61は、特徴変換器パラメータ情報20に基づき特徴変換器を構成し、当該特徴変換器に過去検出信号DB24の検出信号Saを入力することで、第1特徴データDf1を生成する。情報付加部62は、特徴抽出部61が生成した第1特徴データDf1に対し、対応する第1保守情報Im1を関連付けたデータを、過去データとして過去データDB21に登録する。
【0039】
次に、過去データDB21のデータ構造の具体例(第1具体例~第4具体例)について、図5(A)、図5(B)、図6(A)及び図6(B)を参照して説明する。
【0040】
図5(A)は、過去データDB21のデータ構造の第1具体例である。第1具体例において対象となる保守対象機器3は、保守の要否の基準が稼働日数となる機器である。第1具体例に係る過去データDB21は、「日」、「特徴量」、「前保守経過日数」、「次保守残日数」の各項目(カラム)を有する。ここで、「特徴量」の項目に記録されるデータは第1特徴データDf1に相当し、その他の各項目(図5(A)では、「日」、「前保守経過日数」、「次保守残日数」)に記録されるデータは、第1保守情報Im1に相当する。以後に説明する各具体例においても同様である。
【0041】
「特徴量」は、特徴抽出部61が生成した第1特徴データDf1が示す特徴量であり、ここでは一例として、バイナリデータにより表されている。「日」は、対応する特徴量の生成に用いられた検出信号Saの検出日を示す。なお、過去データDB21は、「日」に代えて、対象の検出信号Saの検出日時を示す「日時」の項目を備えてもよい。
【0042】
「前保守経過日数」は、保守対象機器3の直前の保守の実施日から対象の検出信号Saの検出日までの経過日数を示す。なお、この場合の保守は、保守対象機器3の状態を回復するための修理や部品交換などのメンテナンスを指し、このようなメンテナンスを伴わない点検のみは含まれない。「次保守残日数」は、対象の検出信号Saの検出日から保守対象機器3の次の保守が行われる日までの日数を示す。「前保守経過日数」及び「次保守残日数」は、保守対象機器3の劣化状況に関する情報の一例である。なお、本実施形態において「次保守残日数」は必須の項目ではない。例えば、過去の保守が定期的に行われた場合、保守の間隔及び「前保守経過日数」から「次保守残日数」を一意に導出可能であるため、「次保守残日数」は設けられなくともよい。
【0043】
このように、図5(A)に示す第1具体例に係る過去データDB21は、日毎に生成される検出信号Saに基づく第1特徴データDf1と、前後に行われた保守を基準とした経過日数等を示す第1保守情報Im1と、を関連付けたレコードから構成される。
【0044】
図5(B)は、過去データDB21のデータ構造の第2具体例である。第2具体例において対象となる保守対象機器3は、必要に応じて所定の作動を行う機器(例えば転轍機)であり、保守の要否の基準が作動回数となる機器である。そして、保守対象機器3が所定回数(ここでは1回)作動する度に、過去データDB21のレコードとなる過去データが生成される。第2具体例に係る過去データDB21は、「日時」、「特徴量」、「前保守作動回数」、「次保守残回数」の各項目を有する。ここで、「前保守作動回数」は、直前の保守から対象の検出信号Saの検出時点までに保守対象機器3を作動させた回数を示す。「次保守残回数」は、対象の検出信号Saの検出時点から保守対象機器3の次の保守までに保守対象機器3を作動させた回数を示す。「前保守作動回数」及び「次保守残回数」は、保守対象機器3の劣化状況に関する情報の一例である。
【0045】
このように、第2具体例に係る過去データDB21は、保守対象機器3が作動する度に検出される検出信号Saに基づく第1特徴データDf1と、前後の保守を基準とした保守対象機器3の作動回数等を示す第1保守情報Im1と、を関連付けたレコードから構成される。
【0046】
図6(A)は、過去データDB21のデータ構造の第3具体例である。第3具体例において対象となる保守対象機器3は、オンとオフを繰り返す機器であり、保守の要否の基準が実作動時間となる機器である。そして、保守対象機器3の実作動時間が所定時間(ここでは1時間)増える度に、過去データDB21のレコードとなる過去データが生成される。第3具体例に係る過去データDB21は、「日時」、「特徴量」、「前保守経過時間」、「次保守残時間」の各項目を有する。ここで、「前保守経過時間」は、直前の保守の時点から対象の検出信号Saの検出時点までの保守対象機器3の実作動時間を示す。「次保守残時間」は、対象の検出信号Saの生成時点から保守対象機器3の次の保守の時点までの保守対象機器3の実作動時間を示す。「前保守経過時間」及び「次保守残時間」は、保守対象機器3の劣化状況に関する情報の一例である。
【0047】
このように、第3具体例に係る過去データDB21は、第1特徴データDf1と、前後に行われた保守を基準とした保守対象機器3の実作動時間を示す第1保守情報Im1と、を関連付けたレコードから構成される。
【0048】
図6(B)は、過去データDB21のデータ構造の第4具体例である。第4具体例において対象となる保守対象機器3は、任意の種類の機器であってもよい。第4具体例に係る過去データDB21は、「日」、「特徴量」、「劣化度」の各項目を少なくとも含む。
【0049】
「劣化度」は、保守対象機器3の劣化の度合を0%~100%により示した指標であり、0%が保守直後であることを示す値であり、100%が直ちに保守が必要であることを示す値となる。「劣化度」の各フィールドに登録される劣化度は、保守対象機器3の点検者等により入力された値であってもよく、他の保守に関する情報から算出された値であってもよい。後者の場合、例えば、劣化度は、前後に行われた保守を基準とした経過時間(回数又は実動時間)に基づき算出されてもよい。例えば、図5(A)に示す第1具体例の2018年1月15日のレコードの場合、「前保守経過日数」が12であり、「次保守残日数」が2であることから、劣化度は、「85%」(≒12/(12+2)*100%)となる。
【0050】
このように、「前保守経過日数」を「N1」、「次保守残日数」を「N2」とすると、情報付加部62は、劣化度「D」を、以下の式により算出することが可能である。
D={N1/(N1+N2)}*100%
なお、図5(B)に示す第2具体例の場合においては、上記のN1を「前保守作動回数」、N2を「次保守残回数」として上式により劣化度Dを算出すればよい。同様に、図6(A)に示す第3具体例の場合においては、上述のN1を「前保守経過時間」、N2を「次保守残時間」として上式により劣化度Dを算出すればよい。
【0051】
また、保守の実行タイミングでの保守対象機器3の劣化度が保守履歴DB25に記録されている場合(例えば、保守実行者が保守直前の保守対象機器3の劣化度を記録する場合)、情報付加部62は、記録された劣化度に基づき、保守の合間での劣化度Dを算出する。具体的には、情報付加部62は、次の保守の実行タイミングでの上述の劣化度を「D1」とすると、保守の実行タイミング以外のタイミングでの劣化度Dを、以下の式により算出することができる。
D={N1/(N1+N2)}*D1
【0052】
また、保守履歴DB25に「次保守残日数」の項目が存在しない場合には、保守を定期的に行うものと仮定し、前保守から次保守残日数を固定値として劣化度を算出するとよい。また、保守実行者は、保守対象機器3の故障発生直前又は直後の過去データに対応する劣化度を100%とする情報を、保守履歴DB25に登録してもよい。「劣化度」は、保守対象機器3の劣化状況に関する情報の一例である。
【0053】
このように、図6(B)に示す第4具体例に係る過去データDB21は、保守対象機器3の種類によらない劣化状況を示す指標となる「劣化度」の項目を有する。なお、「劣化度」の項目に加えて、上述の第1~第3具体例に係る保守対象機器3の劣化状況に関する情報を示す項目(「前保守経過日数」等)が過去データDB21に含まれてもよい。
【0054】
(5)照合結果
次に、照合部32が実行する照合により得られる照合結果Rcの具体例について説明する。図7は、照合結果Rcを示すリストである。ここでは、一例として、照合部32は、第1特徴データDf1と第2特徴データDf2との類似度の指標として、特徴空間における距離を算出している。そして、照合部32は、第1特徴データDf1と類似度が高い(即ち距離が短い)上位5個分の第1特徴データDf1に対応する過去データを過去データDB21から検索し、その検索結果を照合結果Rcとして出力している。
【0055】
図7に示す過去データのリストは、「ランク」、「日」、「距離」、「前保守経過日数」、「次保守残日数」及び「劣化度」の各項目を有する。ここでは、一例として、照合部32は、「日」、「前保守経過日数」、「次保守残日数」及び「劣化度」の各項目に対応する情報を含む過去データに対し、「ランク」及び「距離」の各項目に対応する情報を付加している。「ランク」は、過去データDB21内での対象の過去データの類似度の順位(ランク)を示す。「距離」は、対象の過去データの第1特徴データDf1と第2特徴データDf2との特徴空間における距離を示す。
【0056】
なお、照合部32は、過去データDB21に登録された過去データに劣化度の情報が含まれていない場合であっても、過去データに含まれる他の情報に基づき、劣化度を算出してもよい。この場合、照合部32は、上述した第4具体例に係る過去データDB21のデータ構造の説明における情報付加部62と同様に、「前保守経過日数」及び「次保守残日数」の各項目の情報等を用いて、劣化度を算出してもよい。
【0057】
照合部32は、図7に例示されるような照合結果Rcを表示制御部33に供給することで、現在の保守対象機器3の状態に類似した過去の状態での保守対象機器3の保守に関する情報を、好適に表示制御部33に提供する。
【0058】
なお、日数を保守対象機器3の保守の要否の基準とする代わりに、作動回数を保守対象機器3の保守の要否の基準とする場合には、図7の項目「前保守経過日数」及び「次保守残日数」は、夫々、「前保守作動回数」及び「次保守残回数」となる。同様に、日数を保守対象機器3の保守の要否の基準とする代わりに、実作動時間を保守対象機器3の保守の要否の基準とする場合には、「前保守経過日数」及び「次保守残日数」は、夫々、「前保守経過時間」及び「次保守残時間」となる。
【0059】
(6)予防保全支援画面
次に、表示制御部33が生成する表示信号Sbに基づき表示装置4が表示する予防保全支援画面の表示例(第1表示例~第6表示例)について説明する。以下に説明する表示例は、任意に組み合わせてもよい。
【0060】
(第1表示例)
図8は、表示装置4が表示する予防保全支援画面の第1表示例である。表示制御部33は、インターフェース13を介して生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、基本情報51と、保守関連コメント52と、保守関連グラフ53と、を含む予防保全支援画面を表示装置4に表示させる。
【0061】
基本情報51は、予防保全支援の対象となる保守対象機器3の基本的な情報を示す。ここでは、一例として、表示制御部33は、保守対象機器3の機器ID及び製造年と、前回保守の日時と、前回保守からの経過日時とを、基本情報51として生成する。なお、基本情報51に関する情報(前回保守の実施日などを含む)は、例えば記憶装置2等に予め記憶されている。
【0062】
保守関連コメント52は、過去データDB21に記録された保守対象機器3の過去データを基準とした場合の保守対象機器3の劣化状況及び保守が必要なタイミングを示すコメントである。表示制御部33は、過去データを基準とした場合の保守対象機器3の現在の状態に相当する前回保守からの経過日数(「過去基準経過日数」とも呼ぶ。)と、過去データを基準とした場合の保守対象機器3の次の保守までの残り日数(「過去基準残日数」とも呼ぶ。)とを、保守関連コメント52に含める。
【0063】
この場合、表示制御部33は、照合部32が生成した照合結果Rc(詳しくは「前保守経過日数」の値)を集計することで、過去基準経過日数が18日(即ち、保守対象機器3の現在の状態が前回保守から18日目の状態)であると判定する。よって、この場合、表示制御部33は、「現在、前回保守から18日目の状態に相当します。」とのテキスト文を含む保守関連コメント52を生成する。また、表示制御部33は、過去データDB21に記録された保守対象機器3の過去データでは30日毎に定期的に保守を行っていたことから、過去基準経過日数が30日となったときを、保守のタイミングとして定める。よって、この場合、表示制御部33は、過去基準経過日数が18日であることから、過去基準残日数が12日(=30-18)であると判定する。よって、この場合、表示制御部33は、「あと12日で保守が必要です(30日が保守目安)。」とのテキスト文を含む保守関連コメント52を生成する。なお、表示制御部33は、過去データに「次保守残日数」(図5(A)参照)に関する情報が含まれている場合には、照合結果Rcに含まれる過去データが示す次保守残日数の平均値又は重み付け平均値その他の代表値を、過去基準残日数として決定してもよい。
【0064】
また、表示制御部33は、照合結果Rcに基づき推定した保守対象機器3の劣化状況(ここでは過去基準経過日数)及び保守が必要なタイミング(ここでは過去基準残日数)を示す情報を、第2保守情報Im2として保守推定履歴DB22に記憶する。このとき、表示制御部33は、現在の日時(又は日付)を示す情報と関連付けた第2保守情報Im2を、保守推定履歴DB22に記憶する。
【0065】
保守関連グラフ53は、推定した保守対象機器3の劣化状況の推移を示すグラフである。ここでは、一例として、表示制御部33は、現在の日付を含む過去5日分の保守対象機器3の劣化状況の推定結果を示す第2保守情報Im2を保守推定履歴DB22から抽出し、当該第2保守情報Im2に基づき保守関連グラフ53を表示する。具体的には、表示制御部33は、保守推定履歴DB22から抽出した過去5日分の過去基準経過日数の推移を示す折れ線グラフを、保守関連グラフ53として表示する。これにより、表示制御部33は、過去基準経過日数の推移を好適に表示装置4のユーザに把握させることができる。
【0066】
また、表示制御部33は、保守関連グラフ53において対象とする期間を選択するためのプルダウンメニュー形式の期間選択欄54を、保守関連グラフ53の近傍に表示している。そして、表示制御部33は、期間選択欄54での選択メニューの変更に応じて保守関連グラフ53の表示を即時に更新する。例えば、表示制御部33は、期間選択欄54において選択可能なメニューとして、「直近5日間表示」の他、「直近10日間表示」、「前保守からの全期間」などを設けてもよい。
【0067】
ここで、過去基準経過日数を照合結果Rcから算出する方法について補足説明する。
【0068】
過去基準経過日数を照合結果Rcから算出する第1の例では、表示制御部33は、照合結果Rcが示す類似度が高い上位所定個数分の過去データに含まれる「前保守経過日数」の平均値を、過去基準経過日数として定める。図7に示す照合結果Rcが得られた場合には、第1の例に基づく過去基準経過日数は、10.6日(={12+13+14+13+9}/5)となる。
【0069】
過去基準経過日数を照合結果Rcから算出する第2の例では、表示制御部33は、照合結果Rcが示す類似度が高い上位所定個数分の過去データに含まれる「前保守経過日数」の重み付け平均値を、過去基準経過日数として定める。この場合、例えば、表示制御部33は、類似度(図7では距離)に基づく重みを、「前保守経過日数」に対する重みとして設定する。この場合、例えば、距離の逆数を「前保守経過日数」に対する重みとした場合、図7に示す照合結果Rcに基づき算出される過去基準経過日数は、12.3日(≒{12/0.09+13/0.14+14/0.32+13/0.35+9/0.39}/26.8)となる。この場合、表示制御部33は、類似度が高い過去データほど重みを大きくして過去基準経過日数を算出することができる。
【0070】
重み付けの他の例では、表示制御部33は、類似度のランク(順位)に基づき、「前保守経過日数」に対する重みを設定する。この場合、表示制御部33は、類似度のランクが高いほど、対応する「前保守経過日数」への重みを大きくする。例えば、類似度のランクが1位の場合の重みを「5」、類似度のランクが2位の場合の重みを「4」、類似度のランクが3位の場合の重みを「3」、類似度のランクが4位の場合の重みを「2」、類似度のランクが5位の場合の重みを「1」とする。この場合、過去基準経過日数は、12.6日(={12*5+13*4+14*3+13*2+9*1}/15)となる。この場合においても、表示制御部33は、類似度のランクが高い過去データほど重みを大きくして過去基準経過日数を算出することができる。
【0071】
なお、表示制御部33は、照合結果Rcが示す「次保守残日数」から過去基準残日数を算出する場合においても同様に、上述した第1の例又は第2の例に基づく平均処理を適用することで、過去基準残日数を算出することができる。また、表示制御部33は、平均値(重み付け平均値を含む)以外の他の代表値(例えば中央値)を、過去基準経過日数又は過去基準残日数として定めてもよい。
【0072】
(第2表示例)
図9は、表示装置4が表示する予防保全支援画面の第2表示例である。第2表示例では、表示制御部33は、過去基準経過日数の増加率を考慮した過去基準残日数の算出及び表示を行う。表示制御部33は、インターフェース13を介して生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、基本情報51Aと、保守関連コメント52Aと、保守関連グラフ53Aと、を含む予防保全支援画面を表示装置4に表示させる。なお、基本情報51Aは、第1表示例の基本情報51と同一である。
【0073】
表示制御部33は、過去基準経過日数及び過去基準残日数に加えて、1日あたりの過去基準経過日数の増加日数(単に「増加率」とも呼ぶ。)を示す保守関連コメント52Aを、予防保全支援画面に表示させる。ここでは、前回保守からの実際の経過日数(ここでは28日)の1日あたりの過去基準経過日数の増加日数(ここでは0.64)を、上述の増加率として算出する。なお、表示制御部33は、保守推定履歴DB22を参照し、現在の日付を含む過去所定日分の過去基準経過日数を抽出し、抽出した過去基準経過日数の1日あたりの増加日数を、上述の増加率として算出してもよい。
【0074】
また、表示制御部33は、過去基準残日数を、上述の増加率を考慮して算出する。具体的には、表示制御部33は、過去基準経過日数が18日であり、上述の増加率が0.64であることから、過去基準経過日数が保守の目安となる30日になるには、約19日(≒{30-18}/0.64)要すると判定する。これにより、表示制御部33は、保守対象機器3の実際の劣化の進行度合いを的確に考慮して過去基準残日数を決定することができる。
【0075】
また、図9の例では、表示制御部33は、前回保守からの全期間での保守対象機器3の劣化状況の推定結果を示す第2保守情報Im2を保守推定履歴DB22から抽出し、当該第2保守情報Im2に基づき保守関連グラフ53Aを生成している。また、表示制御部33は、保守関連グラフ53Aとして、上述の増加率を考慮した場合の過去基準経過日数の推移を回帰的に示した線形グラフを破線により示すと共に、前回保守時から現時点までに算出した過去基準経過日数の推移を実線により示している。
【0076】
また、表示制御部33は、増加率を算出する対象期間を選択するためのプルダウンメニュー形式の期間選択欄54Axと、保守関連グラフ53Aとして表示するグラフの縦軸の指標(ここでは過去基準経過日数)を選択するためのグラフ選択欄54Ayとを設ける。期間選択欄54Axは、第1表示例の期間選択欄54と同一機能を有する。表示制御部33は、期間選択欄54Aで指定された期間において算出された過去基準経過日数の1日あたりの増加日数を、上述の増加率として算出する。また、グラフ選択欄54Ayは、「過去基準経過日数」の他、「増加率」、「過去基準経過日数+増加率」、「劣化度」などの種々の選択可能なメニューを有する。
【0077】
図10は、図9の第2表示例において、期間選択欄54Axにおいて「直近3回分」が選択され、グラフ選択欄54Ayにおいて「過去基準経過日数+増加率」が選択された場合の予防保全支援画面の表示例である。
【0078】
この場合、表示制御部33は、グラフ選択欄54Ayでの選択結果に基づき、過去基準経過日数を縦軸とする第1保守関連グラフ53Axと、増加率を縦軸とする第2保守関連グラフ53Ayとを、予防保全支援画面上に設ける。また、表示制御部33は、期間選択欄54Axでの選択結果に基づき、今回の算出結果を含む直近3回分の第2保守情報Im2を保守推定履歴DB22から抽出し、抽出した第2保守情報Im2に基づき第1保守関連グラフ53Axと、第2保守関連グラフ53Ayとを表示する。また、表示制御部33は、直近3回分の第2保守情報Im2の過去基準経過日数の推移から算出した増加率(ここでは0.70)と、今回算出した過去基準経過日数(ここでは18日)とに基づき、過去基準残日数(ここでは15日)を算出する。そして、表示制御部33は、上述の増加率、過去基準経過日数及び過去基準残日数に基づき、保守関連コメント52Aを更新する。
【0079】
このように、第2表示例では、表示制御部33は、増加率及び増加率を考慮した過去基準残日数を好適に表示装置4のユーザに提示することができる。
【0080】
(第3表示例)
図11は、表示装置4が表示する予防保全支援画面の第3表示例である。第3表示例では、表示制御部33は、保守対象機器3に対する保守の種類毎に保守に関する情報を表示する。保守の種類は、例えば保守の対象となる部品毎に異なってもよい。表示制御部33は、インターフェース13を介して生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、基本情報51Bと、第1保守関連グラフ53Bxと、第2保守関連グラフ53Byと、表示情報選択欄54Bとを含む予防保全支援画面を表示装置4に表示させる。
【0081】
この場合、表示制御部33は、表示情報選択欄54Bにおいて「種類毎に保守情報表示」が選択されたことから、保守対象機器3の保守の種類毎に(ここでは保守A及び保守Bの各々について)保守に関するグラフを表示する。具体的には、表示制御部33は、保守Aに対する第1保守関連グラフ53Bxと、保守Bに対する第2保守関連グラフ53Byとを予防保全支援画面上に設ける。この場合、過去データDB21には、保守の種類毎の過去データが記録されており、照合部32は、保守の種類毎に必要な検出信号Saに基づき生成された第2特徴データDf2と上述の過去データとを照合することで、保守の種類毎に照合結果Rcを生成する。そして、表示制御部33は、保守の種類毎の照合結果Rc及び保守の種類毎に過去に記録された保守推定履歴DB22の第2保守情報Im2に基づき、第1保守関連グラフ53Bx及び第2保守関連グラフ53Byを生成する。
【0082】
なお、表示制御部33は、表示情報選択欄54Bでの選択結果に応じ、保守対象機器3全体の保守情報を予防保全支援画面に表示させてもよく、保守対象機器3の全体の保守情報と共に保守対象機器3の種類毎の保守情報を予防保全支援画面に表示させてもよい。この場合、例えば、過去データDB21には、保守対象機器3の全体の保守に対する過去データが保守の種類毎の過去データとは別に記録されている。そして、照合部32は、保守対象機器3の全体の点検に必要な検出信号Saに基づき生成された第2特徴データDf2と上述の過去データとを照合することで、保守対象機器3の全体の照合結果Rcを生成する。そして、表示制御部33は、保守対象機器3の全体の照合結果Rc及び過去に記録された保守推定履歴DB22の第2保守情報Im2に基づき、保守対象機器3の全体の過去基準経過日数等を示す保守関連グラフを、予防保全支援画面上に表示させる。
【0083】
このように、第3表示例によれば、表示制御部33は、保守対象機器3の種類毎の保守に関する情報を、好適に表示装置4のユーザに提示することができる。
【0084】
(第4表示例)
図12は、表示装置4が表示する予防保全支援画面の第4表示例である。第4表示例では、表示制御部33は、日数に代えて、保守対象機器3の作動回数を基準とした保守対象機器3の保守に関する情報を表示する。表示制御部33は、インターフェース13を介して生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、基本情報51Cと、保守関連コメント52Cと、保守関連グラフ53Cとを含む予防保全支援画面を表示装置4に表示させる。
【0085】
この場合、表示制御部33は、過去データを基準とした場合の保守対象機器3の現在の状態に相当する前回保守からの作動回数(「過去基準作動回数」とも呼ぶ。)と、過去データを基準とした場合の保守対象機器3の次の保守までの残り作動回数(「過去基準残回数」とも呼ぶ。)とを算出する。そして、表示制御部33は、算出した過去基準作動回数と過去基準残回数とを示す保守関連コメント52Cを生成する。この場合、表示制御部33は、照合部32が生成した照合結果Rc(詳しくは「前保守作動回数」の値)を集計することで、過去基準作動回数が445回(実際の作動回数は515回)であると判定する。よって、この場合、表示制御部33は、「現在、前回保守から445回作動した状態に相当します。」とのテキスト文を含む保守関連コメント52を生成する。
【0086】
なお、照合結果Rcから過去基準作動回数を算出する方法は、過去基準経過日数を照合結果Rcから算出する方法と同様である。具体的には、表示制御部33は、類似度が高い上位所定個数分の過去データに含まれる「前保守作動回数」(図5(B)参照)の平均値、重み付け平均値又はその他の代表値を、過去基準作動回数として算出する。
【0087】
また、表示制御部33は、過去データDB21に記録された保守対象機器3の過去データでは1000回毎に定期的に保守を行っていたことから、過去基準作動回数が1000回となったときを、保守のタイミングとして定める。よって、この場合、表示制御部33は、1000回から今回の過去基準作動回数445回を減算することで過去基準残回数を求め、「あと555回作動すると保守が必要です」とのテキスト文を含む保守関連コメント52Cを生成する。なお、表示制御部33は、照合結果Rcに「次保守残回数」に関する情報が含まれている場合には、当該次保守残回数の平均値又は重み付け平均値その他の代表値を、過去基準残回数として決定してもよい。また、表示制御部33は、前回保守日からの実際の経過日数と、今回算出した過去基準作動回数及び過去基準残回数とに基づき、保守が必要となる残り日数を算出し、「約50日後」との文言を保守関連コメント52Cに含めている。
【0088】
なお、表示制御部33は、第2表示例と同様に増加率を算出し、増加率を考慮して過去基準残回数を算出してもよい。この場合の増加率は、保守対象機器3の実際の作動回数1回あたりの過去基準作動回数の増加回数となる。
【0089】
また、表示制御部33は、保守推定履歴DB22に記憶した直近の所定回数分の第2保守情報Im2に基づき、保守関連グラフ53Cを生成する。ここでは、一例として、表示制御部33は、照合結果Rcに基づき生成した過去基準作動回数及び過去基準残回数を含む第2保守情報Im2を1日毎に保守推定履歴DB22に記憶しており、1日ごとの第2保守情報Im2に基づき、保守関連グラフ53Cを生成している。なお、表示制御部33は、期間選択欄54Cの選択結果に基づき、保守関連グラフ53Cが対象とする期間(図8では直近5日間)を認識し、当該期間を対象とした保守関連グラフ53Cを生成する。
【0090】
このように、第4表示例では、表示制御部33は、保守対象機器3の保守の基準が作動回数である場合において、保守対象機器3の作動回数を基準とした保守対象機器3の保守に関する情報を好適に表示することができる。なお、表示制御部33は、保守対象機器3の保守の基準が実作動時間である場合には、保守対象機器3の実作動時間を基準とした保守対象機器3の保守に関する情報を、第4表示例と同様に表示するとよい。
【0091】
(第5表示例)
図13は、表示装置4が表示する予防保全支援画面の第5表示例である。第5表示例では、表示制御部33は、日数に代えて、保守対象機器3の劣化度を基準とした保守対象機器3の保守に関する情報を表示する。表示制御部33は、インターフェース13を介して生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、基本情報51Dと、保守関連コメント52Dと、保守関連グラフ53Dとを含む予防保全支援画面を表示装置4に表示させる。
【0092】
表示制御部33は、保守関連コメント52Dとして、保守対象機器3の現在の状態に相当する劣化度(ここでは60%)と、当該劣化度から推定される、保守までの残日数(ここでは12日)とを算出する。この場合、例えば、照合結果Rcには類似度が高い上位所定個数分の過去データの劣化度の情報が含まれており、表示制御部33は、当該劣化度の平均値、重み付け平均値又はその他の代表値を、保守関連コメント52Dとして表示する劣化度として決定する。また、表示制御部33は、例えば、劣化度と上述の残日数との対応関係を示すテーブル等を参照することで、決定した劣化度から上述の保守までの残日数(過去基準残日数)を決定する。上述のテーブル等は、例えば予め記憶装置2又はメモリ12に記憶されている。なお、表示制御部33は、照合結果Rcに「次保守残日数」に関する情報が含まれている場合には、当該日数の平均値又は重み付け平均値その他の代表値を、上述の残日数として決定してもよい。
【0093】
また、表示制御部33は、保守推定履歴DB22に記憶した直近の所定個数分(ここでは5日分)の第2保守情報Im2に基づき保守関連グラフ53Dを生成する。ここでは、表示制御部33は、照合結果Rcに基づき決定した劣化度を含む第2保守情報Im2を1日毎に保守推定履歴DB22に記憶しており、保守推定履歴DB22に記憶した直近の5日分の第2保守情報Im2に基づき、保守関連グラフ53Dを生成する。なお、表示制御部33は、期間選択欄54Dの選択結果に基づき、保守関連グラフ53Dが対象とする期間(図13では直近5日間)を決定し、当該期間を対象とした保守関連グラフ53Dを生成する。
【0094】
このように、第5表示例では、表示制御部33は、保守対象機器3の保守の基準として劣化度を用いることで、保守対象機器3の現在の状態に基づく保守の必要性を的確に表示装置4のユーザに認識させることができる。
【0095】
(第6表示例)
図14は、表示装置4が表示する予防保全支援画面の第6表示例である。第6表示例では、表示制御部33は、照合結果Rcが示す類似度が高い過去データのリストを、保守対象機器3の保守に関する情報として表示する。表示制御部33は、インターフェース13を介して生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、基本情報51Eと、保守関連コメント52Eと、保守関連一覧情報55Eとを含む予防保全支援画面を表示装置4に表示させる。
【0096】
表示制御部33は、保守対象機器3の現在の状態に相当する過去基準経過日数と、過去データから推定される保守までの残り日数である過去基準残日数とを、第1表示例等と同様に算出する。そして、表示制御部33は、算出したこれらの情報を、保守関連コメント52Eとして予防保全支援画面上に表示する。
【0097】
また、表示制御部33は、表示内容選択欄54Eにおいて、「過去類似ランキング一覧」が選択されていることから、照合結果Rcに基づき、類似度が高い上位5個の過去データのリストである保守関連一覧情報55Eを表示する。ここでは、表示制御部33は、図7に示される照合結果Rcと同様、「ランク」、「日」、「距離」、「前保守経過日数」、「次保守残日数」、「劣化度」の各項目を含む保守関連一覧情報55Eを、予防保全支援画面上に表示する。なお、表示内容選択欄54Eの選択結果に基づき、表示制御部33は、第1~第5表示例の少なくともいずれかに基づく保守関連グラフを、予防保全支援画面上に表示させてもよい。
【0098】
この態様によっても、表示制御部33は、現在の保守対象機器3の状態と類似する過去データの保守に関する情報を提示し、保守対象機器3の保守計画の決定を好適に支援することができる。
【0099】
また、表示制御部33は、好適には、保守関連一覧情報55Eに表示する類似度が高い過去データのうち、劣化状況が所定の度合よりも高い過去データが存在する場合には、当該過去データの存在をユーザに知らせる警告を予防保全支援画面に表示してもよい。
【0100】
図15は、次の保守までの残日数が閾値よりも短い過去データが存在する場合の第6表示例に係る予防保全支援画面を示す。図15の例では、表示制御部33は、保守関連一覧情報55Eの2番目のレコードに対応する過去データの劣化度が所定の閾値(90%)以上となっていることから、保守の必要性に関する警告情報56Eを予防保全支援画面上に表示する。具体的には、表示制御部33は、警告情報56Eとして、「劣化度が高い状態の過去データと類似しています。ご確認下さい。」とのテキスト文を予防保全支援画面上に表示する。また、表示制御部33は、保守関連一覧情報55Eの2番目のレコードを縁取り効果により強調表示している。
【0101】
図15の例によれば、表示制御部33は、類似度が高い過去データのうち、劣化状況が所定の度合よりも高い過去データの存在を、好適に表示装置4のユーザに認識させることができる。なお、表示制御部33は、劣化度に基づき警告情報56Eの表示要否を決定する代わりに、「次保守残日数」が所定の日数以下となったか否かに基づき警告情報56Eの表示要否を決定してもよい。他の例では、表示制御部33は、作動回数を保守対象機器3の保守の要否の基準とする場合には、「次保守残回数」(図5(B)参照)が所定回数以下になったか否かに基づき警告情報56Eの表示要否を決定してもよい。さらに別の例では、表示制御部33は、実作動時間を保守対象機器3の保守の要否の基準とする場合には、「次保守残時間」(図6(A)参照)が所定時間以下になったか否かに基づき警告情報56Eの表示要否を決定してもよい。なお、表示制御部33は、保守関連一覧情報55Eを表示しない場合においても、警告情報56Eの表示要否を判定し、警告情報56Eの表示が必要と判定した場合に警告情報56Eを表示してもよい。
【0102】
(7)処理フロー
図16は、情報処理装置1のプロセッサ11が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。プロセッサ11は、図16に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0103】
まず、プロセッサ11の特徴抽出部31は、インターフェース13を介し、現在の保守対象機器3から検出される1又は複数の物理量の時系列データである検出信号Saを、状態検出センサ5から取得する(ステップS11)。そして、特徴抽出部31は、ステップS11で取得した検出信号Saを第2特徴データDf2に変換する(ステップS12)。この場合、特徴抽出部31は、特徴変換器パラメータ情報20を参照して特徴変換器を構成し、当該特徴変換器に検出信号Saを入力することで、第2特徴データDf2を取得する。
【0104】
次に、照合部32は、ステップS12で生成された第2特徴データDf2と、過去データDB21の各レコードである過去データとの照合を行う(ステップS13)。これにより、照合部32は、過去データDB21の各レコードである過去データに含まれる第1特徴データDf1と第2特徴データDf2との類似度を算出し、類似度が高い所定個数分の過去データに相当する照合結果Rcを生成する。
【0105】
そして、表示制御部33は、類似度が高い所定個数分の過去データを示す照合結果Rcに基づき、第2保守情報Im2を生成し、現在の日付又は日時を示す日時情報と関連付けた第2保守情報Im2を保守推定履歴DB22に記憶する(ステップS14)。そして、表示制御部33は、ステップS14で生成した第2保守情報Im2に基づき、予防保全支援画面を表示装置4に表示させる(ステップS15)。この場合、表示制御部33は、「(6)予防保全支援画面」のセクションで説明した処理に基づき表示信号Sbを生成し、生成した表示信号Sbを表示装置4に送信することで、表示装置4に予防保全支援画面を表示させる。
【0106】
<第2実施形態>
図17は、第2実施形態に係る予防保全支援システム100Aの概略構成を示す。予防保全支援システム100Aは、記憶装置2と、保守対象機器3と、表示装置4Aと、状態検出センサ5とを有する。以後では、第1実施形態の予防保全支援システム100の構成要素と同一の構成要素については適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0107】
第2実施形態では、表示装置4Aは、第1実施形態の情報処理装置1及び表示装置4の両方の機能を有する。表示装置4Aのハードウェア構成は、図2(B)に示す表示装置4のハードウェア構成と同一である。そして、表示装置4Aは、記憶装置2に記憶された特徴変換器パラメータ情報20、過去データDB21及び保守推定履歴DB22を参照し、状態検出センサ5が出力する現在の保守対象機器3の状態を示す検出信号Saを対象として図16に示すフローチャートの処理を実行する。この場合、表示装置4Aのプロセッサ41は、図3に示す特徴抽出部31、照合部32、表示制御部33として機能する。そして、表示装置4Aは、第1実施形態で説明した第1表示例~第6表示例の少なくともいずれかに基づく予防保全支援画面を表示する。これにより、第2実施形態に係る予防保全支援システム100Aは、好適に保守対象機器3の予防保全を支援することができる。
【0108】
<第3実施形態>
図18は、第3実施形態における情報処理装置1Aの概略構成図である。図18に示すように、情報処理装置1Aは、主に、照合部32Aと、表示制御部33Aとを有する。
【0109】
照合部32Aは、保守対象機器3の過去の状態を示す第1検出データと当該過去の状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベース21Aと、保守対象機器3の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う。データベース21Aは、例えば、第1実施形態の過去データDB21であり、図5(A)~図6(B)の少なくともいずれかに基づくデータ構造を有する。
【0110】
第1の例では、第1検出データは、第1実施形態において過去に保守対象機器3から検出された検出信号Saの特徴量を示す第1特徴データDf1であり、第2検出データは、現在の保守対象機器3から検出される検出信号Saの特徴量を示す第2特徴データDf2である。この場合、照合部32Aは、例えば、第1実施形態の照合部32と同様、第1特徴データDf1と第2特徴データDf2との特徴空間における距離を類似度として算出することで、上記の照合を行う。第2の例では、第1検出データは、過去に保守対象機器3から検出された第1実施形態の検出信号Saであり、かつ、第2検出データは、現在の保守対象機器3から検出される検出信号Saである。この場合、照合部32Aは、時系列データである第1検出データと第2検出データとの類似度を、信号間の類似性の確認に用いられる任意の手法(例えば相互相関関数)を用いて算出することで、上述の照合を行う。
【0111】
表示制御部33Aは、照合部32Aによる照合の結果に基づき、保守対象機器3の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を、表示部45Aに表示させる。表示制御部33Aは、例えば、第1実施形態における表示制御部33である。この場合、表示制御部33Aは、表示部45Aに第2保守情報Im2を含む表示信号を送信することで、第1表示例~第6表示例の少なくともいずれかに基づく予防保全支援画面を表示部45Aに表示させる。
【0112】
このように、第3実施形態によっても、情報処理装置1Aは、保守対象機器3の予防保全を支援するための情報を好適に表示することができる。
【0113】
なお、上述した各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるプロセッサ11等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0114】
その他、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが以下には限られない。
【0115】
[付記1]
保守対象機器の過去の状態を示す第1検出データと当該過去の状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う照合部と、
前記照合の結果に基づき、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する情報処理装置。
【0116】
[付記2]
前記第1保守情報は、前記過去の状態における前記保守対象機器の劣化状況に関する情報を含み、
前記表示制御部は、前記現在の状態における前記保守対象機器の劣化状況に関する情報を含む前記第2保守情報を前記表示部に表示させる、付記1に記載の情報処理装置。
【0117】
[付記3]
前記劣化状況に関する情報は、直前の保守からの経過日数、直前の保守からの前記保守対象機器の実作動時間、直前の保守からの前記保守対象機器の作動回数、又は前記保守対象機器の劣化度の少なくともいずれかを示す情報である、付記2に記載の情報処理装置。
【0118】
[付記4]
前記照合部は、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記第1検出データに対応する前記第1保守情報を、前記照合の結果として出力し、
前記表示制御部は、前記照合の結果として出力された前記第1保守情報に基づき、前記第2保守情報を生成する、付記1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0119】
[付記5]
前記表示制御部は、前記類似度又は前記類似度に基づく順位に基づき前記第1保守情報を重み付けすることで、前記第2保守情報を生成する、付記4に記載の情報処理装置。
【0120】
[付記6]
前記表示制御部は、前記保守対象機器の次の保守のタイミングを示す情報を含む前記第2保守情報を、前記表示部に表示させる、付記1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0121】
[付記7]
前記表示制御部は、前記タイミングを示す情報として、次の保守までの日数、次の保守までの前記保守対象機器の実作動時間、又は次の保守までの前記保守対象機器の作動回数のいずれかを示す情報を、前記表示部に表示させる、付記6に記載の情報処理装置。
【0122】
[付記8]
前記表示制御部は、過去に生成した所定回数分の前記第2保守情報に基づき、前記タイミングを決定する、付記6または7に記載の情報処理装置。
【0123】
[付記9]
前記表示制御部は、前記保守対象機器の種類毎の前記第2保守情報を、前記表示部に表示させる、付記1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0124】
[付記10]
前記表示制御部は、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記第1検出データに対応する前記第1保守情報の一覧情報を含む前記第2保守情報を、前記表示部に表示させる、付記1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0125】
[付記11]
前記表示制御部は、前記第2検出データと類似度が高い上位所定個数分の前記第1検出データのうち、対応する前記第1保守情報が示す前記保守対象機器の劣化状況が所定の度合よりも高い第1検出データが存在する場合、前記保守の必要性に関する警告情報を、前記表示部に表示させる、付記1~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0126】
[付記12]
前記第1検出データは、前記保守対象機器の過去の状態を示す1又は複数の物理量の時系列データのセグメント単位の特徴量を示す第1特徴データであり、
前記第2検出データは、前記保守対象機器の現在の状態を示す1又は複数の物理量の時系列データのセグメント単位の特徴量を示す第2特徴データである、付記1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0127】
[付記13]
前記第1特徴データの生成に使用した特徴変換器に基づき、前記保守対象機器の現在の状態を示す1又は複数の物理量の時系列データから前記第2特徴データを生成する特徴抽出部をさらに有する、付記12に記載の情報処理装置。
【0128】
[付記14]
情報処理装置が実行する制御方法であって、
保守対象機器の過去の状態を示す第1検出データと当該過去の状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行い、
前記照合の結果に基づき、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示部に表示させる、制御方法。
【0129】
[付記15]
保守対象機器の過去の状態を示す第1検出データと当該過去の状態における前記保守対象機器の保守に関する第1保守情報とを関連付けたデータベースと、前記保守対象機器の現在の状態を示す第2検出データと、の照合を行う照合部と、
前記照合の結果に基づき、前記保守対象機器の現在の状態に応じた保守に関する第2保守情報を表示部に表示させる表示制御部としてコンピュータを機能させるプログラムを格納した記憶媒体。
【0130】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0131】
1、1A 情報処理装置
2 記憶装置
3 保守対象機器
4、4A 表示装置
5 状態検出センサ
6 過去データ生成装置
20 特徴変換器パラメータ情報
21 過去データDB
21A データベース
22 保守推定履歴DB
24 過去検出信号DB
25 保守履歴DB
100、100A 予防保全支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18