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特許7582690仮想現実機器および拡張現実機器用の仮想画像表示システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】仮想現実機器および拡張現実機器用の仮想画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20241106BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20241106BHJP
   H04N 13/344 20180101ALI20241106BHJP
   H04N 13/339 20180101ALI20241106BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B26/10 C
G02B26/10 104Z
H04N13/344
H04N13/339
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022506646
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2021052750
(87)【国際公開番号】W WO2022072565
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】63/085,172
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520332841
【氏名又は名称】ヒーズ アイピー ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】ジュンニン、ライ
(72)【発明者】
【氏名】フォンチュン、イエ
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533062(JP,A)
【文献】特開2017-056933(JP,A)
【文献】特開2010-117542(JP,A)
【文献】特表平04-501927(JP,A)
【文献】特開2007-121581(JP,A)
【文献】特表2004-527793(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0107607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
G02B 26/10
H04N 13/344
H04N 13/339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビューワの第1の眼の中に投影される複数の第1の光信号を放出する第1の光放出器と、
周期的に、第1の期間中に前記第1の光信号の第1の部分を第1の光方向修正器の方に向きを変え、次いで第2の期間中に前記第1の光信号の第2の部分を第3の光方向修正器の方に向きを変える第1の光スイッチと、
所定の数の光信号を用いて第1の画像フレームを表示するために、前記第1の期間中に第1の空間範囲内で前記第1の光信号の前記第1の部分の光方向を第1のスキャン速度で変える前記第1の光方向修正器、および第2の期間中に第3の空間範囲内で前記第1の光信号の前記第2の部分の光方向を第5のスキャン速度で変える第3の光方向修正器と、を備え
前記第1の画像フレームの中央区域は、横断面積あたり前記第1の画像フレームの周辺区域の光信号よりも多数の光信号を有することを特徴とする、
仮想画像表示システム。
【請求項2】
前記第1の光スイッチは電圧または電磁界により制御されることを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項3】
前記第1の光信号の第1の部分は、前記第1の画像フレームの第1の画像部分を形成し、前記第1の画像部分は、第1の数の光信号を有し、前記第1の光信号の前記第2の部分は、前記第1の画像フレームの第2の画像部分を形成し、前記第2の画像部分は、第2の数の光信号を有し、前記第1の画像フレームに関する前記所定の数の光信号は、前記第1の数の光信号と前記第2の数の光信号の合計以下であることを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項4】
前記第1の空間範囲および前記第3の空間範囲の各々は、第1の座標成分および第2の座標成分を備え、前記第1の空間範囲は、前記第1の座標成分または前記第2の座標成分のいずれかで前記第3の空間範囲と境を接することを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項5】
前記第1の空間範囲および前記第3の空間範囲の各々は、第1の座標成分および第2の座標成分を備え、前記第1の空間範囲は、前記第1の座標成分または前記第2の座標成分のいずれかでの画像つなぎ合わせのために前記第3の空間範囲と重なることを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項6】
前記第1のスキャン速度または前記第5のスキャン速度は一定ではないことを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項7】
前記光方向は、第1の座標成分および第2の座標成分を備え、前記第1の光信号の前記光方向の前記第1の座標成分は、前記所定の数の光信号を用いて前記第1の画像フレームを集合的に表示するために、前記第1の空間範囲および前記第3の空間範囲内で時間に関して前記第1のスキャン速度および前記第5のスキャン速度で変えられ、前記第1の光信号の前記光方向の前記第2の座標成分は、前記第1の空間範囲および前記第3の空間範囲内で時間に関して第2のスキャン速度および第6のスキャン速度で変えられ、前記第2のスキャン速度および前記第6のスキャン速度は一定ではないことを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項8】
前記第1の光放出器は、前記第1の期間および前記第2の期間中に光パルスとして前記複数の第1の光信号を可変周波数で放出して、前記第1の画像フレーム内の所定の区域の横断面積あたりの光信号の数を調節することを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【請求項9】
前記第1の光方向修正器は、前記第1のスキャン速度または前記第5のスキャン速度のいずれかを変更して、前記第1の画像フレーム内の所定の区域内の横断面積あたりの光信号の数を調節することを特徴とする、請求項に記載の仮想画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想現実機器および拡張現実機器用の仮想画像表示システムに関し、より具体的には仮想画像の画質を犠牲にすることなく解像度および視野の範囲を拡大した仮想画像を作り出すことができる仮想画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実および拡張現実用のヘッド・マウント・ディスプレイ機器は近年、重要な研究開発分野の1つになってきた。眼のためにより高い解像度、より広い視野、およびより広い視野角を有する表示装置の要求は、ヘッド・マウント・ディスプレイ機器の開発のために常に主要な関心の中心であった。より広い視野は没入感を高め、ユーザがより多くの画像情報を知覚できるようにする。眼のためのより大きな視野角は、ユーザが画像を見失うことなく観察中に自身の眼を任意に動かすことができるようにする。
ヘッド・マウント・ディスプレイ機器での視野および視野角を拡大するためのさまざまな方法およびシステムが提案されてきたが、ヘッド・マウント・ディスプレイ機器で使用される光放出器の技術的制限に起因して、画像の解像度は、ヘッド・マウント・ディスプレイ機器の視野および視野角の拡大と共に容易に拡大できるわけではない。その結果、眼のためにより広い視野および視野角を有するヘッド・マウント・ディスプレイ機器は、より明瞭性の低い画像を作り出す。したがって、視野が拡大され、画像解像度の高い仮想画像表示システムを有することが望ましいことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態では、本発明は、上述の制限を克服するための微小電気機械システム(Micro-Electro-Mechanical System、MEMS)に基づく仮想画像表示システムを開示する。仮想画像表示システムは、ビューワの第1の眼の中に投影される複数の第1の光信号を放出するための第1の光放出器、および時間に関して複数の第1の光信号の光方向を第1の画像フレームを形成するスキャン速度で変えるための第1の光方向修正器を備える。第1の光放出器は、正常状態の下で光パルスとして複数の第1の光信号を一定速度で放出する、または光パルスとして複数の第1の光パルスを変動する周波数で放出して第1の画像フレーム内の所定の区域で横断面積あたりの第1の光信号の数を調節する。第1の画像フレームは、所定の数の光信号からなる。第1の光方向修正器は、回転軸に対して第1の座標平面または第2の座標平面内で回転していてよい。複数の第1の光信号の光方向は、第1の光方向修正器が第1の座標平面または第2の座標平面内で回転することができる最大空間範囲または最大角度に関係がある第1の空間範囲内で変えられる。第1の光方向修正器の回転により、複数の第1の光信号の光方向は、第1の座標または第2の座標で変化するようになる。
【0004】
ある実施形態によれば、第1の光方向修正器は、時間に関して複数の第1の光信号の第1の座標成分または第2の座標成分のいずれかを一定ではないスキャン速度で変える。第1の光放出器の光放出の周波数もまた一定ではなくてよい。
【0005】
ある実施形態によれば、1つの光放出器に加えて多数のMEMS鏡が実装される。仮想画像表示システムは、第1の光放出器、第1の光方向修正器、第3の光方向修正器、および第1の光スイッチを備えてよい。第1の光放出器は、複数の第1の光信号を放出するために使用される。第1の光スイッチは周期的に、第1の期間中に第1の光信号の第1の部分を第1の光方向修正器の方に向きを変え、次いで第2の期間中に第1の光信号の第2の部分を第3の光方向修正器の方に向きを変えることが可能である。第1の光方向修正器および第3の光方向修正器は、時間に関して複数の第1の光信号の光方向を変えて、所定の数の光信号からなる第1の画像フレームを形成するために実装される。第1の光方向修正器は、所定の数の光信号を用いて第1の画像フレームを表示するために、第1の期間中に第1の空間範囲内で第1の光信号の第1の部分の光方向を第1のスキャン速度で変え、第3の光方向修正器は、第2の期間中に第3の空間範囲内で第1の光信号の第2の部分の光方向を第5のスキャン速度で変える。
【0006】
本発明の別の実施形態では、解像度およびFOVは、1つのMEMS鏡に加えて多数の光放出器を使用することにより拡大されてよい。仮想画像表示システムは、1人のビューワの第1の眼に複数の第1の光信号および複数の第3の光信号をそれぞれ放出して第1の画像フレームを形成するための第1の光放出器および第3の光放出器を備えてよい。第1の光放出器および第3の光放出器は、それぞれLBSプロジェクタであってよい。FOVは、1つの光方向修正器を使用することにより拡大される。第1の光信号放出器から得られる複数の第1の光信号および第3の光放出器から得られる複数の第3の光信号は、それぞれ第1の光方向修正器上に投影される。複数の第1の光信号の光方向は、第1の空間範囲内で第1のスキャン速度で変えられ、複数の第3の光信号の光方向は、第3の空間範囲内で同様に第1のスキャン速度で変えられる。本実施形態では、第1の空間範囲は、第1の光方向修正器が回転できる最大空間範囲または最大角度である第3の空間範囲に等しい。
【0007】
本実施形態の他の変形形態では、光学組立体は、複数の第1の光信号の光路の所定の横断面の面積を変えるために上述の光放出器と結合器の間に配置されてよい。具体的には、レンズを包含する光学組立体は、複数の第1の光信号の光路を第1の光放出器から第1の結合器に変えて複数の第1の光信号の各々の投影面積または横断面サイズを変更するために実装されてよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の画像フレーム内の画素および第2の画像フレーム内の対応する画素は、第1の光信号とビューワの眼の中に投影している第2の光信号の間の第1の角度に関係がある第1の深度に両眼仮想画像画素を形成する。
【0009】
先行する実施形態のいずれか1つの変形実施形態では、ヘッド・マウント・ディスプレイは、ビューワの両眼に光信号をそれぞれ反射させるための、第1の結合器および第2の結合器を置き換える集積結合器を備えてよい。ヘッド・マウント・ディスプレイは、両眼用の1対の仮想画像表示システムを備えてよい。仮想画像表示システムは、上記で簡単に記述した仮想画像表示システムのいずれかであってよい。左側の仮想画像表示システムは、第2の眼に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよく、右側の仮想画像表示システムは、第1の眼に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよい。しかしながら、一実例では、左側の仮想画像表示システムは、第1の眼に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよく、右側の仮想画像表示システムは、第2の眼に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよい。
【0010】
本実施形態は、仮想現実機器および拡張現実機器用のヘッド・マウント・ディスプレイなどの支持構造に適用されてよい。この場合、仮想画像表示システムは、ビューワの両眼に提供される。第1の画像フレーム上で画素を形成する第1の光信号および第2の画像フレーム上で画素を形成する対応する第2の光信号は、ビューワの第1の眼および第2の眼により知覚されて、第1の深度に両眼仮想画像画素を形成する。第1の深度は、ビューワの眼の中に投影している第1の光信号と第2の光信号の間の第1の角度に関係がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態による仮想画像表示システムの概略図である。
図2】本発明による画像フレームの中央区域および周辺区域の概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態による仮想画像表示システムの動作概略図である。
図4】本発明の第1の実施形態による仮想画像表示システムの動作概略図である。
図5a】本発明の第1の実施形態による仮想画像表示システムの動作概略図である。
図5b】本発明の第1の実施形態による仮想画像表示システムの動作概略図である。
図6】本発明の実施形態の変形形態によるヘッド・マウント・ディスプレイの概略図である。
図7】本発明の実施形態の変形形態による別のヘッド・マウント・ディスプレイの概略図である。
図8a】本発明の第2の実施形態による仮想画像表示システムの概略図である。
図8b】本発明の第2の実施形態の変形形態による仮想画像表示システムの概略図である。
図9】本発明の第3の実施形態による仮想画像表示システムの概略図である。
図10】本発明の実施形態の変形形態による仮想画像表示システムの概略図である。
図11】本発明の実施形態の変形形態による光学組立体の概略図である。
図12a】本発明による、第1の深度に両眼仮想画像画素を表示するための方法について記述するための概略図である。
図12b】本発明による、第1の深度に両眼仮想画像画素を表示するための方法について記述するための別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で提示する記述で使用する専門用語は、技術のある種の特有の実施形態についての詳細な記述に関連して使用されるとしても、その用語の最も広い合理的な手法で解釈されることが意図される。ある種の用語は、以下で強調される場合もあるが、任意の制限された手法で解釈されることを意図されるいかなる専門用語も、この「発明を実施するための形態」の節でそのようなものとして具体的に規定される。
【0013】
本発明は、仮想現実機器または拡張現実機器用の仮想画像表示システムにより作り出された深度知覚を有する仮想画像の解像度および視野(field of view、FOV)を拡大するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、仮想画像の画素密度を犠牲にすることなく、従来技術を基準にしてより高い解像度およびより広いFOVを伴う仮想画像を作り出すことが可能である。その結果、本発明に従って作り出された仮想画像の品質は、従来技術を基準にして優れていることがある。
【0014】
本発明で言及する光方向修正器は、光放出器により放出される光の方向を時間に関して動的に変更できる機械的素子または光学素子を指す。例えば微小電気機械システム(MEMS)鏡であり得るがそれに限定されない。典型的なMEMS鏡は、1つの軸または2つの別個の軸(2次元MEMS鏡)で光の方向を変更できてよい。一例として、2次元MEMS鏡は、両方の軸で最大ほぼ30°の光学スキャニング角度までレーザビームを高速に偏向可能であってよい。しかしながら、一方の軸(主スキャニング軸)での最大スキャニング角度は、他方の軸よりも大きくてよい。
MEMS鏡技術は非常に用途が広く、投影表示装置、3Dスキャンニング、およびレーザマーキングなどのようなさまざまな用途に適用可能である。MEMS鏡の動きを駆動するための原理は、さまざまな物理的原理により提供でき、その例は、電磁効果、静電効果、熱電効果、およびピエゾ電気効果であってよい。MEMS鏡を駆動するための物理的原理の各々は、異なる利点または欠点を示すことがある。MEMS鏡の旋回周波数または旋回振幅は、異なる周波数の駆動電圧/電磁界、および異なる振幅の駆動電圧/電磁界をMEMS鏡にそれぞれ加えることにより制御されてよく、このことは、当技術分野で容易に広く知られている。
【0015】
本開示で言及する「スキャン速度」という語句は、MEMS鏡の調和振動の周波数に関係がある、MEMS鏡の「旋回周波数」を指すことに留意されたい。「スキャン速度」および「旋回周波数」という語句は、本開示で交換可能に使用されることがあり、これらの語句の両方とも、時間単位での空間変位の量に関係がある。本開示で言及する「第1の眼」および「第2の眼」という語句は、ユーザの2つの眼を指す。一般に、「第1の眼」および「第2の眼」は、ビューワの右眼および左眼をそれぞれ指すことがある、または「第1の眼」および「第2の眼」は、ビューワの左眼および右眼をそれぞれ指すことがある。
【0016】
異なる座標系を使用して、本発明で開示する素子または機器の光方向、空間範囲、または変位を表してよいことは言及する価値がある。たとえば、座標系は、デカルト座標系でのX座標成分およびY座標成分、または極座標系でのθ座標成分およびφ座標成分であってよい。X座標またはθ座標は、第1の座標成分として表現されることがあり、Yまたはφは、第2の座標成分として表現されることがある。場合によっては、X座標またはθ座標は、第2の座標成分として表現されることがあり、Yまたはφは、第1の座標成分として表現されることがある。
【0017】
図1を参照する。以下の実施形態は、画質を維持しながら、拡大した解像度およびFOVを有する仮想画像を作り出すことが可能な、MEMSに基づく仮想画像表示システムを開示する。
本実施形態でのMEMS鏡は、2次元MEMSであってよい。本実施形態では、光放出器が画像の各光信号(画素)を作り出す周波数、および/または光信号の垂直方向/水平方向でのスキャン速度は、画像フレームのFOVが拡大したときの画素密度劣化を補償するために操作される。仮想画像表示システムは、ビューワの第1の眼50の中に投影される複数の第1の光信号1000を放出するための第1の光放出器10、および時間に関してスキャン速度で複数の第1の光信号1000の光方向を変えて第1の画像フレームF1を形成するための第1の光方向修正器100を備える。たとえば、第1の光放出器10は、レーザ・ビーム・スキャナ(laser beam scanner、LBS)・プロジェクタなどのレーザビーム発生器であってよい。第1の光放出器10は、正常条件の下で光パルスとして複数の光信号1000を一定速度で放出する、または光パルスとして複数の第1の光信号1000を可変周波数で放出して、第1の画像フレームF1内の所定の区域内の横断面積あたりの第1の光信号1000の数(画素密度に対応する)を調節する。
第1の光フレームF1は、所定の数の光信号からなる。光信号の各々は、第1の画像フレームF1上の画素を表してよい。第1の画像フレームF1の形成中、第1の光方向修正器100は、回転軸に対して第1の座標平面(たとえば水平面)または第2の座標平面(たとえば垂直面)で回転していてよい。複数の第1の光信号1000の光方向は、第1の光方向修正器100が第1の座標平面または第2の座標平面内で回転できる最大空間範囲または最大角度に関係がある第1の空間範囲SR1内で変えられる。第1の光方向修正器100の回転により、複数の第1の光信号1000の光方向は、設定に応じて第1の座標(たとえば水平座標)または第2の座標(たとえば、垂直座標)が変化するようになる。
【0018】
この実施形態によれば、第1の光方向修正器100は、時間に関して複数の第1の光信号1000の第1の座標成分または第2の座標成分のいずれかを一定でないスキャン速度で変える。第1の光放出器10の光放出の周波数もまた一定でなくてよい。本実施形態の裏にある考え方は、人間の眼が対象物体を見るとき、眼の視軸は対称物体に向けられ、対称物体の画像が眼の黄斑(網膜の最も感度のよい部分)上に集中することになり、その結果、対称物体は、視覚の中央区域C内にあるように見えるということである。画像内の対象物体を基準にして、画像の他の部分は、光に対して感度がそれほどよくない、網膜の他の部分に投影されてよいので、より明瞭ではなくてよい。
上述した人間の視覚の性質に基づき、本実施形態による仮想画像表示システムは、画像フレームの周辺区域Pを基準にしてより高い画素密度を画像フレームの中央部分に提供することを目指すので、本発明のユーザは、より高い画素密度で対称物体(より明瞭な画像)を見ることが可能であるのに対して、人間の眼は、いずれにしても周辺区域Pでより高い品質の画像を知覚できないので、周辺区域P内の画像は、中央区域C内の対象物体ほど明瞭である必要はない。中央区域C内の光信号(または画素)の数は、中央区域C内での第1の光放出器10の光放出のスキャン速度および/または周波数を変えることにより操作される。この方法を実装することにより、限られたハードウェア能力を用いて、本発明のユーザは、仮想対象物体を見るときに画素密度劣化を感じることなく、拡大したFOVで第1の画像フレームF1を依然として見ることが可能である。
【0019】
図1図4を参照する。正常条件の下で(スキャン速度がデフォルト速度であるとき)第1の光放出器10および第1の光方向修正器100は、第1の空間範囲SR1(たとえば、水平方向に40°および垂直方向に22.5°)内でデフォルト解像度(たとえば、1280×720画素)からなる第1の画像フレームF1を形成できてよい。本開示で言及する空間範囲は、2つの座標で表現されてよい第1の座標成分と第2の座標成分の両方の範囲を表すことは言及する価値がある。
本実施形態では、第1の空間範囲SR1は、第1の眼50のFOVに対応する。FOVを拡大する(たとえば、空間範囲を水平方向で40°から60°に拡大する)ときに画素密度劣化を補償するために、第1の画像フレームF1は、周辺区域Pおよび中央区域Cに分割される。画像フレームの中央区域Cには、周辺区域Pを基準にしてより高い画素密度(単位面積内により多数の光信号)が提供される。一例として、両方の座標成分での中央区域Cは、両方の座標成分でFOVの中の10°として設定されてよく、両側の周辺区域Pは、FOVの中の15°になるように設定されてよい。
【0020】
以下、中央区域C内で第1の光放出器10の光放出の周波数を変えることにより、中央区域C内で光信号(または画素)の数を増大させるための方法について記述する。中央区域C内部の画像情報は、より多数の光信号を得るために第1の光放出器10のより高い投影周波数(デフォルト周波数を基準とする、たとえば10ns/画素)で作り出され、より多数の光信号は、より高い解像度に変換される。周辺区域P内部の画像情報は、第1の光放出器のデフォルト投影周波数(たとえば、40ns/画素)で作り出すことが可能である。その結果、第1の画像フレームF1内の中央区域Cおよび周辺区域Pの画素密度は一様ではない。
【0021】
以下、中央区域C内で第1の光放出器10のスキャン速度を操作することにより中央区域C内の光信号(または画素)の数を変えるステップについて記述する。
具体的には、第1の光信号1000の光方向の第1の座標成分および第2の座標成分は、第1の画像フレームF1を表示するために第1の空間範囲SR1内で時間に関して第1のスキャン速度および第2のスキャン速度でそれぞれ変えられる。いくつかの実施形態では、第1のスキャン速度または第2のスキャン速度は一定ではなくてもよい。いくつかの他の実施形態では、第1のスキャン速度も第2のスキャン速度も一定でなくもてよい。一例として、MEMS鏡の第2の座標成分のスキャン速度は、第1の画像フレームF1の中央区域Cを通って移動する間に低減でき、光放出器の投影周波数は同じに保たれ、その結果、ある期間内により高密度の画素またはより多数の光信号を中央区域C内に投影できる(図2を参照のこと)。
【0022】
図3を参照する。以下の例は、1つの座標成分(たとえば垂直方向)でMEMS鏡のスキャン速度を変える実施形態に関する1つの特有の例を例証する。
【0023】
垂直方向での全FOVは40°であり、中央区域Cは、中央区域Cの中の10°になるように設定され、目標視力(visual activity、VA)は2.0である。
【0024】
中央区域C内でVA2.0に必要とされる全画素数は、
60p×2×10=1200画素(VA=0.5のための最初の画素数のほぼ4倍である)
であり、式中、60はVA=1.0に必要とされるFOVの1°での画素数である。
【0025】
FOVの残りの部分(周辺FOV)については、画素の密度は最初と同じままである。周辺FOVの全画素数は、
1280×30/40=960画素
VA=960/30/60=0.53
である。
【0026】
その他の座標成分(たとえば、水平方向)のMEMS鏡のスキャン速度はまた、横断面積あたりの第1の光信号1000の数を増大させるために修正できる。一例として、MEMS鏡のその他の座標成分のスキャン速度は、画素数をたとえば720画素から1440画素に増大させるために1/2だけ低減できる。
【0027】
図4を参照する。以下、スキャン速度を変更することなく一方の方向で第1の画像フレームF1の画素密度または解像度を変更するための別の方法について開示する。周辺FOVでの画素数は、一定の垂直位置だけで光信号を放出する(たとえば、垂直成分で画像フレームのいくつかの行に関する光放出を停止する)ことだけにより低減できる。以下の例は、垂直方向に一定速度で1/4だけMEMS鏡の回転速度を低減して、垂直の画素密度/解像度を増大させる1つの可能な実装形態について例証する。
【0028】
垂直方向での全FOVは30°であり、中央区域Cは、全FOVの中の10°になるように設定され、目標VAは2.0である。
【0029】
中央FOV内でVA2.0に必要とされる全画素数は、
(最初の密度のほぼ4倍であるVA0.5のための最初の320画素と比較して)60×2×10=1200画素
である。これは、全画素数は、FOVの10°ごとに1200画素を含まなければならないことを意味する。
【0030】
垂直方向でのMEMS鏡のスキャン速度が一定である必要がある場合、各周辺FOVはまた、1200の垂直画素(または1280×1画素からなる1200の線)を包含する。光放出器が4つの線ごとだけに光信号を投影する場合、周辺区域P内に投影される線の全体は、
1200/4=300の線であり、したがって、
VA=(300/10)/60=0.5
である。
【0031】
10°あたり1200の線を達成するために、垂直方向でのMEMS鏡のスキャン速度は、VA0.5のための最初の速度よりも遅い必要がある。
【0032】
中央区域Cでは、光放出器は、正方向と負方向の両方に動いている間に光信号を放出する。他方では、光放出器は、周辺区域P内で正または負のいずれかの方向に動いている間だけ光信号を放出する。
【0033】
さらに図5aおよび図5bを参照する。別の実施形態の第1の画像フレームF1の中央区域Cおよび周辺区域Pが示されている。中央区域Cは領域A5により表されるのに対して、周辺区域Pは、領域A1、A2、A3、A4、A6、A7、A8、およびA9の組合せにより表される。第1の画像フレームF1の形成中、第1の光方向修正器100は、同時的に回転して第1の光放出器10の投影方向を変更して、行ごとまたは列ごとの手法で第1の画像フレームF1を作り出す。
詳細には、第1の光放出器10は、一度に画像の1画素を投影することにより第1の画像フレームF1を作り出し、第1の光方向修正器100は、次いで第1の光信号1000の方向を変えて、新しい場所に画像の別の画素を作り出す。新しい場所は多くの場合、画像の先行する画素の水平または垂直方向にすぐ次にある。したがって、ある期間の後、第1の光放出器10は、1行の画素画像または1列の画素画像(たとえば1280×1または1×720)を作り出す。第1の光方向修正器100は、次いで第1の光信号1000の方向を次の行または次の列に変更して、続けて第2の行の画素画像または第2の列の画素画像を作り出す。この処理は、完全な画像フレームが作り出される(たとえば、1280×720の画素画像を完成する)まで反復される。
【0034】
本例では、最初に領域A1~A3内の画素が、続いて領域A4~A6内の画素が、最後に領域A7~A9内の画素が完成する。一例として、画像フレームのデフォルト解像度は1280×720画素であってよい。領域A1~A3内の画素を作り出すとき、列方向(またはY方向)での第1の光放出器10の投影周波数も第1の光方向修正器100のスキャン速度もデフォルト値のままである。しかしながら、領域A4~A6内部の画素が作り出されるとき、列方向(またはY方向)での第1の光方向修正器100のスキャン速度は低減される(たとえば、デフォルト値の1/2倍)。第1の光放出器10の投影周波数は、領域A5内部に画素を作り出すときだけ増大する(たとえば、デフォルト値の2倍)ので、行方向および列方向での光信号(画素)の数は、両方とも領域A5内だけで増大する(たとえば、デフォルト値の2×2倍)ことに留意されたい。換言すれば、単位横断面積内の光信号の数は、領域A5内で最大になる(これは、画素密度が最も高くなる、すなわち、領域A1~A3およびA7~A9の4倍になることを意味する)。
領域A4およびA6では、列方向での画素数だけは増大する(たとえば、デフォルト値の2倍)。領域A7~A9内で画素を作り出している間、列方向での第1の光放出器10の投影周波数も第1の光方向修正器100のスキャン速度もデフォルト値に戻る。その結果、領域A5(中央区域C)は最多数の画素を有し、A4およびA6は次に2番目に最多数の画素を有し、領域A1~A3およびA7~A9はデフォルト数の画素を有する。第1の画像フレームF1をビューワは、第1の画像フレームF1の中央区域を見るとき、最高の光学画像を見ることが可能である。
【0035】
要するに、本実施形態では、第1の成分方向(たとえば、水平方向)でのMEMS鏡の第1のスキャン速度、および第2の成分方向(たとえば、垂直方向)でのMEMS鏡の第2のスキャン速度は、水平位置および水平位置に従って変えられる。中央区域C内で画像を放出している間、単位時間内に中央区域C内でより高密度の画素または画像情報を投影できる(さらには中央区域C内のVAを高める)ように、投影周波数を増大できる、および/または水平方向でも垂直方向でもMEMS鏡のスキャン速度を低減できる。両方向でのMEMS鏡の投影周波数および/またはスキャン速度は、周辺区域P内で正常に戻ることが可能である。
【0036】
図6および図7を参照する。本実施形態は、仮想現実機器および拡張現実機器用のヘッド・マウント・ディスプレイなどの支持構造に適用されてよい。この場合、仮想画像表示システムは、ビューワの両眼に提供され、複数の第1の光信号1000の向きを変えて、ビューワの第1の眼50に集光する第1の結合器210を備えてよい。それに加えて、仮想画像表示システムは、ビューワの第2の眼60の中に投影される複数の第2の光信号3000を放出する第2の光放出器30と、複数の第2の光信号3000の光方向を変える第2の光方向修正器300と、複数の第2の光信号3000の方向を変えて、ビューワの第2の眼60に集光する第2の結合器410とをさらに備えてよい。
第2の光信号の光方向は、所定の数の光信号を用いて第2の画像フレームF2を表示するために、第2の空間範囲SR2内で時間に関して第3のスキャン速度で変えられる。第3のスキャン速度は、一定であっても、一定ではなくてもよい。この実施形態では、第1の画像フレームF1上で画素を形成する第1の光信号、および第2のフレーム画像F2上で画素を形成する対応する第2の光信号は、ビューワの第1の眼50および第2の眼60により知覚されて、第1の深度に両眼仮想画像画素を形成する。そして第1の深度は、ビューワの眼の中に投影している第1の光信号1000と第2の光信号3000の間の第1の角度に関係がある。
【0037】
以下の実施形態は、拡大した解像度およびFOVを有する画像の解像度を増大させるためのさらに別の、MEMSに基づく光放出システムを開示する。解像度およびFOVは、図8aおよび図8bに示すように、1つのMEMS鏡に加えて多数の光放出器を使用することにより拡大されてよい。仮想画像表示システムは、ビューワの第1の眼50に複数の第1の光信号1000および複数の第3の光信号2000をそれぞれ放出して第1の画像フレームF1を形成するための第1の光放出器10および第3の光放出器20を備えてよい。第1の光放出器10および第3の光放出器20は、それぞれLBSプロジェクタであってよい。FOVは、図9に例示するように、1つの光方向修正器を使用することにより拡大される。
第1の光信号放出器10から得られる複数の第1の光信号1000および第3の光放出器20から得られる複数の第3の光信号2000は、それぞれ第1の光方向修正器100上に投影される。一例では、任意に、複数の第1の光信号1000と第1の光方向修正器100により反射された複数の第3の光信号2000との間の最大角度の大きさは、第1の光方向修正器の最大スキャニング角度(光方向修正器が回転できる最大空間範囲または最大角度である)の2倍として設定されてよい。第1の光方向修正器100は、複数の第1の光信号1000および複数の第3の光信号2000の光方向を時間に関して同時に変えて、所定の数の光信号(たとえば、2560×720画素)からなる第1の画像フレームF1を形成する。複数の第1の光信号1000の光方向は、第1の空間範囲SR1内で第1のスキャン速度で変えられ、複数の第3の光信号2000の光方向は、第3の空間範囲内で同様に第1のスキャン速度で変えられる。本実施形態では、第1の空間範囲SR1は、第1の光方向修正器100が回転できる最大空間範囲または最大角度である第3の空間範囲SR3に等しい。その結果、最終的なスキャニング角度は、実質的に第1の空間範囲SR1と第3の空間範囲SR3の合計である。
【0038】
第1の画像フレームF1は、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2を備える。第1の画像部分IP1の内容は、第2の画像部分IP2の内容と異なる。第1の光方向修正器が回転する間に、第1の光方向修正器100は、時間に関して複数の第1の光信号1000の光方向を変えて、第1の画像部分IP1を形成し、第1の画像部分IP1は、第1の数の光信号を有する。同じ瞬間に、第1の光方向修正器100は、時間に関して複数の第3の光信号2000の光方向を変えて、第2の画像部分IP2を形成し、第2の画像部分IP2は、第2の数の光信号を有する。
第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2は同時に形成される。第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2は、第1の画像フレームF1の異なる部分を表す。光信号の所定の数は(第1の画像フレームF1の画素数)は、一般に光信号(または画素)の第1の数と光信号(または画素)の第2の数の合計に等しい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の画像部分IP1は、第2の画像部分IP2と部分的に重なってよく、その結果、第1の画像フレームF1の光信号(または画素)の数は、第1の画素数と第2の画素数の合計よりも少なくてよい。
【0039】
一例として(図8aを参照すると)動作の始めに第1の光方向修正器100は、複数の第1の光信号1000の入射角が45°であり、かつ複数の第3の光信号2000の入射角が5°である角度に位置決めされてよい。光方向修正器は、両側の端部位置で端から端に自身の最大スキャニング角度(光方向修正器が回転できる最大空間範囲または最大角度)まで回転して、第1の座標(たとえば、水平座標)の方向でのスキャニング運動を完了する。
図8aに示すように、一例では、光方向修正器が最大回転角まで回転するとき、複数の第1の光信号1000の入射角は65°であり、複数の第3の光信号2000の入射角は25°である。この実施形態に示すように、光放出器の各々は、第1の画像フレームF1の一部分(すなわち、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2)を投影するので、第1の光放出器10および第3の光放出器20により投影される画像の組合せは、第1の画像フレームF1を形成する。本明細書で提供する例では、最終的な全スキャニング角度は2倍になり、その結果、FOVは、最初のFOVを基準にして2倍拡大する。画像の解像度もまた増大する。追加で、角度の1°あたりの画素数は維持される。
【0040】
第1の画像フレームF1の形成中、第1の光方向修正器100は、回転軸に対して第1の座標面または第2の座標面で回転していてよいことに留意されたい。第1の光方向修正器100の回転により、複数の第1の光信号1000および複数の第3の光信号2000の光方向は、設定に応じて第1の座標(たとえば垂直座標)または第2の座標(たとえば水平座標)で変化するようになる。本実施形態では、第1の空間範囲SR1および第3の空間範囲SR3の各々は、第1の座標成分および第3の座標成分を備える。本実施形態によれば、第1の光方向修正器100は、時間に関して複数の第1の光信号1000および複数の第3の光信号2000の第1の座標成分を同時に変え、または時間に関して複数の第1の光信号1000および複数の第3の光信号2000の第2の座標成分を同時に変え、それにより、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2は同時に投影されて、完全な第1の画像フレームF1を形成する。
図9を再度参照する。第1の空間範囲SR1は、第1の座標成分または第2の座標成分に関して第3の空間範囲と境を接する(これは、IP1およびIP2は、互いに境を接していてよい、または垂直方向または水平方向に互いに近傍にあってよいことを意味する)ことに留意されたい。しかしながら、すでに言及したように、場合によっては、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2は重なってよく、第1の座標成分または第2の座標成分のいずれかでの画像つなぎ合わせのために第1の空間範囲SR1を第3の空間範囲と重なるようにする。
【0041】
本実施形態の変形形態によれば、第1の画像フレームF1はまた、周辺区域Pおよび中央区域Cに分割されてよい。第1の画像フレームF1の中央区域Cは、周辺区域Pを基準にして横断面積あたりより多数の光信号(より高い画素密度)を具備する。横断面積あたり異なる数の光信号を達成するために、スキャン速度は、先行する実施形態に類似して一定ではなくてよい。本実施形態の別の変形形態によれば、第1の光信号1000および第3の光信号2000の光方向の第1の座標成分および第2の座標成分は、第1の画像フレームF1内の所定の区域内の横断面積あたりの光信号の数を調節するために、先行する実施形態に類似して一定ではない第2のスキャン速度を用いて、第1の空間範囲SR1および第3の空間範囲SR3内で時間に関して第1のスキャン速度および第2のスキャン速度でそれぞれ変えられる。
【0042】
本実施形態のさらに別の変形形態では、先行する実施形態に類似して、第1の光放出器10は、光パルスとして複数の第1の光信号1000を可変周波数で放出して、または第3の光放出器20は、光パルスとして複数の第3の光信号2000を可変周波数で放出して、第1の画像フレームF1内の所定の区域の横断面積あたりの光信号の数を調節する。
【0043】
先行する実施形態に類似して、本実施形態は(図8bに示すように)仮想現実機器および拡張現実機器用のヘッド・マウント・ディスプレイなどの支持構造に適用されてよい。この場合、仮想画像表示システムは、ビューワの両眼に提供され、複数の第1の光信号1000および複数の第3の光信号2000の向きを変えて、ビューワの第1の眼50に集光する第1の結合器210を備えてよい。
それに加えて、仮想画像表示システムは、ビューワの第1の眼50の中に投影される複数の第1の光信号1000を放出する第1の光放出器10と、ビューワの第1の眼50の中に投影される複数の第3の光信号2000を放出する第3の光放出器20と、第1の光放出器10および第3の光放出器20により放出される光信号の光方向を変更するための第1の光方向修正器100と、ビューワの第2の眼60の中に投影される複数の第2の光信号3000を放出する第2の光放出器30と、ビューワの第2の眼60の中に投影される複数の第4の光信号4000を放出する第4の光放出器40とをさらに備えてよい。この場合、第1の光方向修正器に加えて、第2の光方向修正器300は、所定の数の光を用いて第2の画像フレームF2を表示するために、第2の空間範囲SR2内で複数の第2の光信号3000の光方向を、および第4の空間範囲内で複数の第4の光信号の光方向を第3のスキャン速度で同時にそれぞれ変えるために提供され、第2の光結合器410は、複数の第2の光信号3000および第4の光信号4000の向きを変えて、ビューワの第2の眼60に集光するために提供される。
ビューワの両方の眼に仮想画像表示システムが提供される場合、ビューワは、第1の画像フレームF1上で画素を形成する第1の光信号および第3の光信号、ならびに第2の画像フレームF2上で画素を形成する対応する第2の光信号および第4の光信号が第1の深度に両眼画像画素を表示することを知覚できる。第1の深度は、ビューワの第1の眼50の中に投影される第1の光信号または第3の光信号と、対応する第2の光信号または第4の光信号との間の第1の角度に関係がある。
【0044】
以下の実施形態では、すでに言及した、従来技術での制限を克服するための、別のMEMSに基づく光放出システムを開示する。この実施形態では、1つの光放出器に加えて多数のMEMS鏡が実装される。図9に示すように、仮想画像表示システムは、第1の光放出器10(たとえば、レーザ・ビーム・スプリッティング・プロジェクタ/LBSプロジェクタ)、第1の光方向修正器100、第3の光方向修正器500、および第1の光スイッチ90を備えてよい。
【0045】
第1の光スイッチ90は、ビームスプリッタから出る光の量を異なる方向に動的に制御できる、ビームスプリッタの一種である。典型的ビームスプリッタは、光ビームを2つ以上の成分に分裂させることが可能であり、成分の各々は、ビームスプリッタを通して異なる経路で移動し、ビームスプリッタから異なる方向に出る。本明細書で記述する第1の光スイッチ90は、ビームスプリッタから各方向に出る成分の振幅を動的に制御できる動的ビームスプリッタを指すことがある。一例では、本発明による光スイッチは、第2の極性の光が通り抜けできるようにしながら第1の極性の光ビームを遮断する液晶を備えてよい。別の期間に液晶の相は、第2の極性の光ビームを遮断しながら第1の極性の光ビームが通過できるようにするように変更されてよい。光ビームは一様な極性を有してよいので、光スイッチ内の液晶の相に応じて完全に遮断される、または通過できるようになることが可能であることに留意されたい。第1の光スイッチ90の動作は、電圧または電磁界により制御されてよい。
【0046】
本実施形態では、第1の光放出器10は、複数の第1の光信号を放出するために使用される。第1の光スイッチ90は周期的に、第1の期間中に第1の光信号1000の第1の部分を第1の光方向修正器100の方に向きを変え、次いで第2の期間中に第1の光信号1000の第2の部分を第3の光方向修正器500の方に向きを変えることが可能である。第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500は、時間に関して複数の第1の光信号1000の光方向を変えて、所定の数の光信号(または画素)からなる第1の画像フレームF1を形成するために実装される。より具体的には、所定の数の光信号を用いて第1の画像フレームF1を表示するために、第1の光方向修正器100は、第1の期間中に第1の空間範囲SR1内で第1の光信号1000の第1の部分の光方向を第1のスキャン速度で変え、第3の光方向修正器500は、第2の期間中に第3の空間範囲SR3で第1の光信号1000の第2の部分の光方向を第5のスキャン速度で変える。一例として、第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500は、それぞれMEMS鏡であってよい。そして第1の光スイッチ90は電子式電圧により制御される。
【0047】
図9に例示するように、第1の光スイッチ90は、第1の光放出器10と2つの光方向修正器の間に一列に並んで挿入される。第1の光スイッチ90は、2つの光方向修正器のために非透過モードと透過モードの間で切り替えられて、それぞれ第1の光信号1000が2つの光方向修正器の一方を通過できるようにする、または2つの光方向修正器の一方に第1の光信号1000を反射できるようにすることが可能である。一例として、第1の光スイッチ90は、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)により制御されて、第1の光信号1000の第2の部分を第3の光方向修正器500の方に向きを変えながら(または第1の光信号1000の第2の部分を遮断しながら)第1の光信号1000の第1の部分を第1の光方向修正器100の方に向きを変えてよい。
【0048】
第1の光放出器10は、第1の画像フレームF1を複数の画像部分に分割することにより所定の数の光信号からなる第1の画像フレームF1を作り出し、次いで画像部分をそれぞれ同時に投影する。たとえば、2560×720画素の第1の画像フレームF1は、2つの1280×720の画像部分に、すなわち、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2に分割される。本実施形態では、第1の信号1000の第1の部分は、第1の画像フレームF1の第1の画像部分IP1を形成し、第1の画像部分IP1は、第1の数の光信号(たとえば、1280×720の光信号)を有する。第1の信号1000の第2の部分は、第1の画像フレームF1の第2の画像部分IP2を形成し、第2の画像部分IP2は、第2の数の光信号(たとえば、1280×720の光信号)を有する。第1の画像フレームF1の形成中、第1の画像部分IP1(1280×1画素)の第1行に対応する複数の第1の光信号1000は、第1の光スイッチ90を通過して、第1の光方向修正器により反射されるようになる。
第1の画像部分IP1の第1行の放出を終了した後、第1の光スイッチ90は、第2の画像部分IP2(同じく1280×720画素)の第1行が第3の光方向修正器500により反射されて、第2の画像部分IP2の第1行を作り出せるようにする。一方では、第1の光方向修正器100は開始位置に戻る。第3の光方向修正器500が第2の画像部分IP2の第1行の放出を終了したとき、第1の画像フレームF1の第1行(合計2560×1画素)は描画され、第1の光スイッチ90は、第1の光方向修正器100のために切り替えられて透過モードに戻って、第1の画像部分IP1の第2行の放出を可能にする。第1の画像フレームF1の第1行は、第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500により同時に形成される。第3の光方向修正器500は、次いで次のスキャンのために開始位置に戻る。その結果、第1の光スイッチ90は、完全な第1の画像フレームF1(2560画素×720の線)が描画されるまで、行ごとの方式で(または同様に列ごとの方式で)第1の画像フレームF1を放出するために、透過モードから非透過モードの間を切り替えるように制御される。
【0049】
第1の画像フレームF1の形成中、第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500は、それらの対応する回転軸に対して第1の座標成分または第2の座標成分(たとえば、水平成分または垂直成分)で回転していてよいことに留意されたい。たとえば、第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500の回転により、複数の第1の光信号1000の光方向は、設定に応じて垂直座標または水平座標が変更させられる。
第1の光方向修正器100は、第1の空間範囲SR1内で複数の第1の光信号1000の光方向を変更し、第3の光方向修正器500は、第3の空間範囲SR3内で複数の第1の光信号1000の光方向を変更する。第1の空間範囲SR1および第3の空間範囲SR3は、それぞれ第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500の回転角に関係がある。第1の空間範囲SR1および第3の空間範囲SR3の各々は、第1の座標成分および第3の座標成分により表されてよい。
【0050】
要するに、本実施形態によれば、第1の光方向修正器100および第3の光方向修正器500は、時間に関して第1の座標成分を同時に変え、または時間に関して第2の座標成分を同時に変え、それにより、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2は、行ごとの手法または列ごとの手法で同時に投影されて、完全な第1の画像フレームF1を形成する。
【0051】
さらにまた、第1の画像部分IP1の内容は、第2の画像部分IP2の内容と異なることは言及する価値があり、これは、第1の画像部分IP1および第2の画像部分IP2が第1の画像フレームF1の異なる部分を表すことを意味する。第1の画像部分IP1は、第1の数の光信号を有し、第2の画像部分IP2は、第2の数の光信号を有する。
第1の空間範囲SR1が第1の座標成分または第2の画像成分で第3の空間範囲と境を接するとき(これは、IP1およびIP2が垂直方向または水平方向で互いに境を接していてよい、または互いに近傍にあってよいことを意味する)光信号の所定の数(第1の画像フレームF1の画素数)は一般に光信号の第1の数と光信号の第2の数の合計に等しい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の空間範囲SR1が第1の座標成分または第2の座標成分のいずれかでの画像つなぎ合わせのために第3の空間範囲と部分的に重なるとき、第1の画像フレームF1の画素数は、光信号の第1の数と光信号の第2の数の合計よりも少なくてよい。本明細書で提供する例では、最終的な全スキャニング角度は増大し、その結果、FOVは最初のFOVを基準にして拡大する。その一方では、画像の解像度もまた増大する。さらに重要なことには、角度の1°あたりの画素数(または横断面積あたりの光信号の数)は維持される。
【0052】
本実施形態の変形形態によれば、第1の画像フレームF1はまた、周辺区域Pおよび中央区域Cに分割されてよい。第1の画像フレームF1の中央区域Cは、周辺区域Pを基準にして横断面積あたりより多数の光信号(より高い画素密度)を具備する。横断面積あたり異なる数の光信号を達成するために、第1のスキャン速度(回転軸に対するスキャン速度)または第5のスキャン速度は一定ではなくてよい。詳細には、所定の数の光信号を用いて第1の画像フレームF1を集合的に表示するために、第1の光信号1000の光方向の第1の座標成分は、第1の空間範囲SR1および第3の空間範囲SR3内で時間に関して第1のスキャン速度および第5のスキャン速度で変えられ、第1の光信号1000の光方向の第2の座標成分は、第1の空間範囲SR1および第3の空間範囲SR3内で時間に関して第2のスキャン速度および第6のスキャン速度で変えられ、第2のスキャン速度または第6のスキャン速度は一定ではない。第1の光方向修正器100はまた、第1のスキャン速度または第5のスキャン速度のいずれかを変更して、第1の画像フレームF1内の所定の区域内の横断面積あたりの光信号の数を調節してよい。
【0053】
本実施形態のさらに別の変形形態では、先行する実施形態に類似して、第1の光放出器10は、第1の期間または第2の期間中に光パルスとして複数の第1の光信号1000を可変周波数で放出して、第1の画像フレームF1内の所定の区域の単位面積あたりの光信号の数を調節する。さらに、仮想現実機器および拡張現実機器用のヘッド・マウント・ディスプレイに本実施形態を適用するとき、ヘッド・マウント・ディスプレイは、ビューワの別の眼に第2の画像フレームF2を作り出すための第2組の仮想画像表示システムを備えてよい。
【0054】
先行する実施形態のいずれか1つの変形実施形態では、ヘッド・マウント・ディスプレイは、ビューワの両眼に光信号をそれぞれ反射させるための、第1の結合器210および第2の結合器410を置き換える集積結合器700を備えてよい。ヘッド・マウント・ディスプレイは、両眼用の1対の仮想画像表示システムを備えてよい。仮想画像表示システムは、上記で簡単に記述した仮想画像表示システムのいずれかであってよい。左側の仮想画像表示システム(たとえば、第2の光方向修正器30または第4の光放出器40)は、第2の眼60(たとえば左眼)に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよく、右側の仮想画像表示システム(たとえば、第1の光放出器10または第3の光放出器20)は、第1の眼50(たとえば右眼)に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよい。しかしながら、一実例では(図10を参照して)左側の仮想画像表示システム(たとえば、第2の光放出器30または第4の光放出器40)は、第1の眼50(たとえば右眼)に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよく、右側の仮想画像表示システム(たとえば、第1の光放出器10または第3の光放出器20)は、第2の眼60(たとえば左眼)に至る画像フレームを作り出す役割を担ってよい。図10に示すように、FOVは、図6に示す実施形態のFOVよりも広くてよい。その結果、FOVの全重複面積は増大し、ビューワに、深度知覚を有するより大きな視覚面積を与える。仮想画像表示システムは、先行する実施形態で記述するように、1つの光方向修正器を伴う単一光放出器、2つの光方向修正器を伴う単一光放出器、または1つの光方向修正器を伴う2つの光放出器を有してよい。
【0055】
さらに図11を参照する。本実施形態の他の変形形態では、光学組立体は、複数の第1の光信号の光路の所定の横断面の面積を変えるために、上述の光放出器と結合器の間に配置されてよい。具体的には、レンズを包含する光学組立体は、第1の光放出器10から第1の結合器210に至る複数の第1の光信号1000の光路を変えて複数の第1の光信号の各々の投影面積または横断面サイズを変更するために実装されてよい。たとえば、図10を参照する。光学組立体はレンズ_1およびレンズ_2を備える。レンズ_1およびレンズ_2は凸レンズである。光放出器は、最初はレンズ_1の焦点距離に置かれる。レンズ_1’として示される新しい位置にレンズ_1が動かされるとき、光放出器とレンズ_1の間の距離は短くなり、その結果、LBSからの光発散角度の量は増大する。それにより、複数の第1の光信号1000の各々の投影面積または横断面サイズもまた増大する。
【0056】
先行する実施形態で言及するように、第1の画像フレームF1内の画素および第2の画像フレームF2内の対応する画素は、ビューワの眼の中に投影している第1の光信号と第2の光信号の間の第1の角度に関係がある第1の深度に両眼仮想画像画素を形成する。以下は、第1の深度を伴う両眼仮想画像画素を表示するための方法について詳細に記述する。
図12aおよび図12bを参照する。複数の光信号を受信すると、ビューワは、結合器から向きを変えられた右光信号の広がりにより境界を定められる領域A内に、対象物に関して第1の画像フレームF1内で多数の右画素を知覚する。領域Aは、右眼50に関する視野(FOV)と呼ばれる。同様に、第2の画像フレームF2内の多数の左光信号は、第1の結合器210により向きを変えられ、左瞳孔62の中心を通り、最終的に左網膜64により受信される。向きを変えられた左光信号を受信すると、ビューワは、向きを変えられた左光信号の広がりにより境界を定められる領域B内に、対象物に関する多数の左画素を知覚する。領域Bは、左眼60に関する視野(FOV)と呼ばれる。第1の画像フレームF1から得られる多数の右画素と第2の画像フレームF2から得られる多数の左画素の両方が、領域Aおよび領域Bが重なった領域C内に表示されるとき、1つの右画素を表示する少なくとも1つの右光信号および1つの左画素を表示する対応する左光信号は融合されて、特有の深度を伴う両眼仮想画像画素を領域C内に表示する。深度は、向きを変えられた右光信号と向きを変えられた左光信号の角度に関係がある。そのような角度はまた輻湊角と呼ばれる。
【0057】
図12bに示すように、ビューワは、自身の前方で領域C内に多数の深度を伴う、恐竜対象物70の仮想画像を知覚する。領域Cは、その中で両眼が視線を集中して深度を伴う画像を知覚できるので、領域C内部の画像が最大画素密度で作り出されるようにFOVの中央区域Cになることが望ましいことがあることに留意されたい。恐竜対象物70の画像は、第1の深度D1に表示された第1の仮想両眼画素72および第2の深度D2に表示された第2の仮想両眼画素74を含む。
第1の向きを変えられた右光信号16’と対応する第1の向きを変えられた左光信号36’の間の第1の角度はθ1である。第1の深度D1は第1の角度θ1に関係がある。詳細には、対象物の第1の両眼仮想画像画素の第1の深度は、第1の向きを変えられた右光信号と対応する第1の向きを変えられた左光信号の間の光路の広がりの第1の角度θ1により決定できる。その結果、第1の両眼仮想画像画素72の第1の深度D1は、次式
によりほぼ計算できる。
右瞳孔52と左瞳孔62の間の距離は瞳孔間距離(interpupillary distance、IPD)である。同様に、第2の向きを変えられた右光信号18と対応する第2の向きを変えられた左光信号の間の第2の角度はθ2である。第2の深度D1は第2の角度θ2に関係がある。詳細には、対象物の第2の両眼仮想画像画素の第2の深度D2は、同じ式により第2の向きを変えられた右光信号と対応する第2の向きを変えられた左光信号の光路の間の広がりの第2の角度θ2によりほぼ決定できる。第2の両眼仮想画像画素74は、第1の両眼仮想画像画素72よりもビューワから遠く離れている(すなわち、より大きな深度にある)ようにビューワにより知覚されるので、第2の角度θ2は第1の角度θ1よりも小さい。
【0058】
さらに、向きを変えられた右光信号16’および対応する向きを変えられた左光信号36’は一緒に、第1の深度D1を伴う第1の両眼仮想画像画素72を表示するが、向きを変えられた右光信号16’は、対応する向きを変えられた左光信号36’の視差ではない。通常は、右眼は左眼の視野角と異なる視野角から同じ対象物を見るので、右眼が受信する画像と左眼が受信する画像の間の視差は、ビューワが、深度を伴う3D画像を知覚するために使用される。
しかしながら、本発明では、両眼仮想画像画素に関する右光信号および対応する左光信号は、同じ視野角の画像を表示する。その結果、右光信号および左光信号の赤、青、および緑(red、blue、and green、RBG)の色の強度ならびに/または輝度はほぼ同じである。換言すれば、右画素および対応する左画素はほぼ同じである。しかしながら、別の実施形態では、右光信号および左光信号の一方または両方は、影などのいくつかの3D効果を提示するために修正されてよい。一般に、右眼も左眼も、通常は3D画像を生成するために使用される、それぞれ右眼視野角および左眼視野角から得られる視差ではなくむしろ本発明では同じ視野角から得られる対象物の画像を受信する。
【0059】
上述したように、多数の右光信号は、右光信号発生器により生成され、第2の結合器410により向きを変えられ、次いで右網膜の上で直接スキャンされて、右網膜上に右網膜画像を形成する。同様に、多数の左光信号は、左光信号発生器により生成され、第1の結合器210により向きを変えられ、次いで左網膜の上でスキャンされて、左網膜上に左網膜画像を形成する。
図12bに示す実施形態では、右網膜画像80は、6×6のアレイ内に第1の画像フレームF1から得られる36の右画素を包含し、左網膜画像90はまた、6×6のアレイ内に第2の画像フレームF2から得られ得る36の左画素を包含する。別の実施形態では、右網膜画像80は、1280×720のアレイ内に第1の画像フレームF1から得られる921,600の右画素を包含し、左網膜画像90はまた、1280×720のアレイ内に第2の画像フレームF2から得られる921,600の左画素を包含する。対象物表示システムは、右網膜上に右網膜画像を、左網膜上に左網膜画像をそれぞれ形成する多数の右光信号および対応する多数の左光信号を生成するように構成される。その結果、ビューワは、画像融合のおかげで領域C内に特有の深度を伴う仮想両眼対象物を知覚する。右光信号発生器10からの第1の右光信号16は、第2の結合器410により受信および反射される。第1の向きを変えられた右光信号16’は、右瞳孔52を通して、ビューワの右網膜に到達して右画素R34を表示する。左光信号発生器30からの対応する左光信号36は、第1の結合器210により受信および反射される。第1の向きを変えられた光信号36’は、左瞳孔62を通して、ビューワの左網膜に到達して左網膜画素L33を表示する。
画像融合の結果として、ビューワは、同じ対象物に関する多数の向きを変えられた右光信号と対応する多数の向きを変えられた左光信号の角度により深度が決定される、多数の深度を伴う仮想両眼対象物を知覚する。向きを変えられた右光信号と対応する左光信号の間の角度は、右画素と左画素の相対的水平距離により決定される。その結果、両眼仮想画像画素の深度は、両眼仮想画像画素を形成する右画素と対応する左画素の間の相対的水平距離と逆相関関係がある。換言すれば、そのような両眼仮想画像画素を形成する右画素と左画素の間のX軸での相対的水平距離が短いほど、それだけ両眼仮想画像画素はビューワにより、より深く知覚される。たとえば、図12bに示すように、第2の両眼仮想画像画素74は、第1の両眼仮想画像画素72よりも大きな深度を有する(すなわち、ビューワから遠く離れている)ように、ビューワにより知覚される。その結果、第2の右画素と第2の左画素の間の水平距離は、網膜画像上の第1の右画素と第1の左画素の間の水平距離よりも短くなる。具体的には、第2の両眼仮想画像画素を形成する第2の右画素R41と第2の左画素L51の間の水平距離は4画素の長さである。しかしながら、第1の両眼仮想画像画素を形成する第1の右画素R43と第1の左画素L33の間の距離は6画素の長さである。
【0060】
図12aおよび図12bを再度参照する。ビューワにより領域C内で知覚される仮想対象物は、多数の両眼仮想画像画素を含む。空間内の両眼仮想画像画素の場所を正確に記述するために、空間内の各場所は3次元(3D)座標を、たとえばXYZ座標を提供される。別の実施形態では、他の3D座標系を使用できる。その結果、各両眼仮想画像画素は3D座標を、すなわち水平方向、垂直方向、および深度方向を有する。水平方向(またはX軸方向)は、瞳孔間線の方向に沿っている。垂直方向(またはY軸方向)は、顔の中心線に沿って水平方向に垂直である。深度方向(またはZ軸方向)は、前額面に垂直であり、水平方向と垂直方向の両方に垂直である。
【0061】
例示する目的で本発明の特定の実施形態について詳細に記述してきたが、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなくさまざまな修正形態および強化形態を作成してよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12a
図12b