(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電話装置、発信者番号通知方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20241106BHJP
H04Q 3/58 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04M3/42 T
H04Q3/58 101
(21)【出願番号】P 2023022322
(22)【出願日】2023-02-16
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】伊能 健太郎
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-272990(JP,A)
【文献】特開2019-087856(JP,A)
【文献】特開2012-213046(JP,A)
【文献】特開2007-300600(JP,A)
【文献】特開2017-038096(JP,A)
【文献】特開2010-268153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0081009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q 1/18
1/28
1/54- 3/495
3/58- 3/78
9/00- 9/16
H03J 9/00- 9/06
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話端末の電話番号である
第一の電話番号と実内線電話端末が割り当てられていない仮想内線番号とを対応付けて登録する第一の電話番号テーブルと、
前記仮想内線番号と発信の際に発信先に通知する
第二の電話番号とを対応付けて登録する第二の電話番号テーブルと、
呼制御部と、を備え、
前記呼制御部は、
前記電話端末から発信の要求を受け付けると、前記電話端末の電話番号
である前記第一の電話番号を特定し、
特定した前記
第一の電話番号に対応付けて登録されている
前記仮想内線番号を、前記第一の電話番号テーブルから抽出し、
抽出した前記仮想内線番号に対応付けて登録されている前記第二の電話番号を、前記第二の電話番号テーブルから抽出し、
前記発信を要求された発信先に発信し、
発信した電話回線を介して、前記発信先に
抽出した前記
第二の電話番号を通知する、電話装置。
【請求項2】
前記呼制御部は、
電話回線を介して着信を受けることによって、前記電話端末から前記発信の要求を受け付ける、
請求項1記載の電話装置。
【請求項3】
前記呼制御部は、
前記電話端末から、V字発信専用の電話番号に着信を受け付けた場合に、前記発信を要求する着信と判断する、
請求項2記載の電話装置。
【請求項4】
前記呼制御部は、
前記着信を受け付けた電話回線とは異なる電話回線で前記発信を行う、
請求項2記載の電話装置。
【請求項5】
前記呼制御部は、
前記電話回線を介して送信されて来る
前記第一の電話番号を受信することによって、前記電話端末の電話番号を特定する、
請求項2記載の電話装置。
【請求項6】
前記呼制御部は、
前記着信に対し自動応答し、発信先の電話番号を、前記電話端末から受信する、
請求項2に記載の電話装置。
【請求項7】
前記呼制御部は、
前記発信先の電話番号を、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)ダイヤル信号によって、前記電話端末から受信する、
請求項6記載の電話装置。
【請求項8】
前記呼制御部は、
前記発信先が前記発信に対し応答した場合、前記電話端末と前記発信先とを接続する、
請求項2記載の電話装置。
【請求項9】
電話端末の電話番号である
第一の電話番号と実内線電話端末が割り当てられていない仮想内線番号とを対応付けて登録する第一の電話番号テーブルと、
前記仮想内線番号と発信の際に発信先に通知する
第二の電話番号とを対応付けて登録する第二の電話番号テーブルと、を備える電話装置が、
前記電話端末から発信の要求を受け付けると、前記電話端末の電話番号
である前記第一の電話番号を特定し、
特定した前記
第一の電話番号に対応付けて登録されている
前記仮想内線番号を、前記第一の電話番号テーブルから抽出し、
抽出した前記仮想内線番号に対応付けて登録されている前記第二の電話番号を、前記第二の電話番号テーブルから抽出し、
前記発信を要求された発信先に発信し、
発信した電話回線を介して、前記発信先に
抽出した前記
第二の電話番号を通知する、発信者番号通知方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の発信者番号通知方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置、発信者番号通知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
社外において個人の携帯電話端末(携帯電話機)等から直接お客様に電話すると、該携帯電話端末の電話番号が発信者番号としてお客様に通知される。このため、お客様は知らない相手からの電話ということで着信拒否される場合がある。
【0003】
これに対し、携帯電話端末をビジネスホンシステムの内線電話端末として用いて、相手先に対して発信を行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術では、発信元電話番号として、ビジネスホンシステムが発信に用いる通話回線の電話番号、いわゆる代表番号が、相手先に通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。
【0006】
特許文献1に開示の技術によれば、個人の携帯電話端末が会社の内線電話システムに収容される。しかしながら、お客様に通知する発信者番号を自由に設定することができない。このため、1つの会社に多数の担当者がいる場合、担当者ごとに割り当てられている、いわゆるダイヤルイン番号を発信者番号として通知できないため、お客様は誰からの電話着信か分からないままに応答することになり、不便である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、個人の携帯電話端末を会社の内線電話システムに収容する場合に、お客様に通知する発信者番号を自由に設定する(例えば:担当者ごとに割り当てられているダイヤルイン番号を発信者番号としてお客様に通知する)ことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の視点によれば、
電話端末の電話番号である第一の発信者番号と、
発信の際に発信先に通知する第二の発信者番号と、
を対応付けて登録する対応テーブルと、
呼制御部と、を備え、
前記呼制御部は、
前記電話端末から発信の要求を受け付けると、
前記電話端末の電話番号を特定し、
前記第一の発信者番号に対応付けて登録されている前記第二の発信者番号を前記対応テーブルから抽出し、
前記発信を要求された発信先に発信し、
発信した電話回線を介して、前記発信先に前記第二の発信者番号を通知する、電話装置が提供される。
【0009】
本発明の第二の視点によれば、
電話端末の電話番号である第一の発信者番号と、
発信の際に発信先に通知する第二の発信者番号と、
を対応付けて登録する対応テーブルを備える電話装置が、
前記電話端末から発信の要求を受け付けると、
前記電話端末の電話番号を特定し、
前記第一の発信者番号に対応付けて登録されている前記第二の発信者番号を前記対応テーブルから抽出し、
前記発信を要求された発信先に発信し、
発信した電話回線を介して、前記発信先に前記第二の発信者番号を通知する、発信者番号通知方法が提供される。
【0010】
本発明の第三の視点によれば、
コンピュータに、前述の発信者番号通知方法を実行させるプログラムが提供される。
【0011】
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、個人の電話端末を内線電話システムに収容する場合に、発信先に通知する発信者番号を自由に設定でき、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)および(b)は、それぞれ、本発明の一実施形態の電話システムの全体構成および電話装置のハードウェア構成を説明するための説明図である。
【
図2】(a)~(c)は、それぞれ、本発明の一実施形態の端末内線対応テーブル、発信者番号一覧、内線発信番号対応テーブルを説明するための説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態の発信処理のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態の発信処理を模式的に説明するための説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態の変形例の発信処理のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態の他の変形例の発信処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態の他の変形例の内線発信番号対応テーブルを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と呼ぶ。)の概要について図面を参照して説明する。なお、付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向および単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0015】
プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、および必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インタフェースを介して装置内または外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示を省略する。また、以下の説明において、「Aおよび/またはB」は、AまたはB、もしくは、AおよびBという意味で用いる。
【0016】
本実施形態の電話システムは、任意の電話機(電話端末)から電話装置を経由してV字発信により他の電話機に発信を行う際、発信者番号として通知する番号を自在に設定することができる。具体的には、電話システムの電話装置は、任意の電話端末からV字発信により発信を要求する着信を受け付けると、予め当該電話機に対応づけて登録された発信者番号を、発信先の電話機に通知する。なお、発信者番号は、発信元の電話機の電話番号として、発信先の電話機に通知する電話番号である。また、以下、本明細書において電話装置とは、電話の発信、着信、通話等を中継する、交換機、構内交換機(Private Branch eXchange)、ボタン電話システムの主装置、等のことを指す。
【0017】
以下、これを実現する本実施形態の電話システム100の全体構成を説明する。
図1(a)は、本実施形態の電話システム100の全体構成図である。
【0018】
本図に示すように、本実施形態の電話システム100は、電話装置200と、電話端末300と、を備える。電話端末300は、電話装置200に、携帯電話網および/または公衆交換電話網等の公衆網500を介して発信できる。電話装置200は、電話端末300からの発信を着信すると、収容する内線電話機250に内線発信したり、または、公衆網500を介して外部の電話機である外線電話機600に外線発信したりする。
【0019】
[電話装置]
電話装置200は、1以上の内線電話機250および公衆網500を収容し、これらの内線電話機250を含む、収容する電話端末(電話機)間の呼制御を行う。また、本実施形態の電話装置200は、電話装置200を経由した外線発信を行う際の発信者番号を、発信元に応じて変えることができる。これを実現するため、本実施形態の電話装置200は、呼制御を行う呼制御部210と、対応テーブルと、を備える。備える対応テーブルは、端末内線対応テーブル220と、内線発信番号対応テーブル230と、である。
【0020】
呼制御部210は、一般的な交換装置の呼制御処理を行う。本実施形態では、発呼側電話機(発信元電話機)からの着信が発生すると、電話装置200が記憶する内線番号などの交換機情報に基づいて、発信元電話機と着呼側電話機(発信先電話機)との間に通話パスを形成し、両者間の通話を可能とする。発信先電話機は、例えば、構内の内線電話機250、他の電話端末300または外線電話機600である。以下、本実施形態では、発信先が外線電話機600である場合を例にあげて説明する。
【0021】
本実施形態の呼制御部210は、発信元電話機および発信先電話機それぞれと通話セッションを確立するV字発信機能(リングコール機能)を有する。V字発信では、呼制御部210は、発信先電話機が発呼に応じた場合、発信元電話機および発信先電話機それぞれと通話セッションを確立する(発信元電話機と呼制御部210との間、および、発信先電話機と呼制御部210との間で通話セッションを確立する)ことにより、発信元電話機と発信先電話機との間の通話パスを形成する。
【0022】
呼制御部210には、予め、V字発信専用の電話番号(V字発信用番号)が設定される。そして、発信元電話機から、当該V字発信用番号への発信を受け付け、それに続き、発信元電話機から発信先の電話番号(発信先番号)を受け付けると、呼制御部210は、発信先電話機へ発信(発呼)する。そして、発信先電話機が応答すると、上記手法で、発信元電話機と発信先電話機とを接続する。
【0023】
発呼時、本実施形態の呼制御部210は、電話端末300に応じた電話番号を第二の発信者番号(以下、単に発信者番号とも呼ぶ。)として発信先電話機に通知する。この発信者番号は、電話端末300の電話番号(第一の発信者番号。以下、発信元番号とも呼ぶ。)に対応づけて予め対応テーブルに登録される。
【0024】
本実施形態の呼制御部210は、電話端末300から公衆網500経由で、V字発信用番号へ外線着信を受け付けると、まず、電話端末300の電話番号を特定する。具体的には、当該着信を解析し、電話端末300の電話番号を発信元番号として取得する。呼制御部210は、電話端末300の電話番号を、例えば、通信事業者が用意する発信者番号通知機能(いわゆる「発信者番号通知」の情報)により取得する。
【0025】
すなわち、本実施形態の呼制御部210は、電話回線を介して、電話端末300から、V字発信用番号に着信を受け付けた場合、発信を要求する着信と判断し、着信を受け付けた電話回線とは異なる電話回線で発信を行う。このとき、着信を受けた電話回線を介して送信されてくる発信者番号を受信することによって、電話端末300の電話番号を特定し、発信元番号を取得する。また、呼制御部210は、着信に対し、自動応答し、発信先である外線電話機600の電話番号を、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)ダイヤル信号によって、電話端末300から取得する。そして、外線電話機600に発信し、当該発信に対して応答した場合、電話端末300と外線電話機600とを接続する。
【0026】
また、呼制御部210は、外線電話機600に発信する際、発信者番号として通知する番号を決定する。ここでは、予め、電話端末300の電話番号である発信元番号に対応づけて登録される発信者番号を抽出する。具体的には、呼制御部210は、上述の端末内線対応テーブル220と、内線発信番号対応テーブル230と、を用いて発信者番号を決定する。ここで、端末内線対応テーブル220と、内線発信番号対応テーブル230とについて、説明する。
【0027】
端末内線対応テーブル220は、電話装置200が収容する、電話端末300の電話番号(発信元番号)に仮想内線番号を対応づけたテーブルである。
図2(a)の端末内線対応テーブル220の一例を示す。
【0028】
本図に示すように、端末内線対応テーブル220は、発信元番号222と、仮想内線番号223と、を備える。さらに、発信元番号222を有する電話端末300の使用者の名称221を対応づけて登録してもよい。
【0029】
ここで、登録される仮想内線番号223は、電話装置200内に実端末が存在しない、仮想的に用意された内線番号である。本実施形態の電話装置200では、例えば、内線番号に対応づけて、発信者番号を登録し、各内線電話機250からの外線発信時に発信者番号を通知する。本実施形態では、電話端末300も、電話装置200に直接収容される内線電話機250と同様に扱うために、仮想内線番号を用いる。
【0030】
内線発信番号対応テーブル230は、内線番号と発信者番号とを対応づけたテーブルである。発信者番号は、外線に発信する際に発信先電話機に通知する電話番号である。また、内線番号は、各内線電話に付与された番号または上述の仮想内線番号である。
【0031】
この、内線発信番号対応テーブル230の説明に先立ち、本実施形態の電話装置200(呼制御部210)が、外線発信時に使用可能な電話番号について説明する。
図2(b)は、公衆網500に発信する際に使用可能な電話番号(発信者番号)の一覧240である。
【0032】
呼制御部210は、通常発信する場合は親番号である「03-xxxx-xxxx」を使用して発信する。また、本実施形態の電話装置200は、他に複数の子番号(子番号1~4)を持ち、発信者番号として設定することでこれらの番号を使用する。
【0033】
図2(c)の内線発信番号対応テーブル230の一例を示す。本図に示すように、内線発信番号対応テーブル230は、内線番号232と、発信者番号233と、を備える。なお、リストNo.231は、各レコードを一意に識別するために付与される番号である。
【0034】
本図の例では、内線番号232には、電話装置200に収容される全ての内線電話機250の内線番号が登録される。本実施形態では、さらに、端末内線対応テーブル220に登録された仮想内線も登録される。発信者番号233には、各内線番号232を付与された電話端末が外線発信時に発信先電話機に通知される発信者番号が登録される。
【0035】
なお、必ずしも、全ての内線番号232に、発信者番号233が対応づけられていなくてもよい。また、内線番号232と発信者番号233とは、必ずしも1対1対応でなくてもよく、異なる内線番号232に、同じ発信者番号233が対応付けられていてもよい。
【0036】
呼制御部210は、収容する電話端末300からV字発信を受け付けると、端末内線対応テーブル220を参照し、発信元の電話端末300の電話番号(発信元番号222)に対応づけられている仮想内線番号223を抽出する。そして、内線発信番号対応テーブル230を参照し、抽出した仮想内線番号(内線番号232)に対応づけて登録される発信者番号233を抽出し、それを、発信者番号として、発信先電話機に通知する。
【0037】
なお、端末内線対応テーブル220および内線発信番号対応テーブル230は、電話装置200の管理者等により、予め登録される。
【0038】
[電話端末]
電話端末300は、電話装置200に対し、公衆網500を介して、外線発信が可能な端末である。例えば、電話端末300は、V字発信用番号に発信し、電話装置200から応答信号を受け付けると、発信先電話機の外線番号を電話装置200に送信する。
【0039】
本実施形態では、電話端末300は、上述のように、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号により、外線番号を電話装置200に送信する。
【0040】
電話端末300は、上述の機能を有していれば、特に種類は問わない。例えば、携帯電話端末、スマートフォン、音声通話機能を有するタブレット型端末、PDA(personal digital(Data) assistant)、固定電話機等であってもよい。
【0041】
[発信処理]
以下、本実施形態の電話装置200を用いて、電話端末300(発信元電話機)から外線電話機600(発信先電話機)へ外線発信をする場合の発信処理の流れを説明する。
図3は、発信処理の処理フローであり、
図4は、イメージ図である。なお、ここでは、電話装置200のV字発信用番号を「03-xxxx-xxxx」とし、電話端末300の電話番号(発信元番号)は、「090-xxxx-xxxx」、発信先電話機である外線電話機600の外線番号(発信先番号)を、「04-AAAA-BBBB」とする。また、仮想内線番号および発信者番号は、
図2(a)および
図2(c)の例を用いる。
【0042】
ユーザは、電話端末300で、電話装置200のV字発信用番号を入力し、発信する。ここでは、電話端末300は、ユーザから電話装置200のV字発信用番号の入力と発信の指示とを受け付けると、電話装置200に発呼信号を送信することで、発信する(ステップS1101)。発信は、上述のように、公衆網500を介してなされる。
【0043】
電話装置200の呼制御部210は、上記発信を受け付けると、まず、発信元番号「090-xxxx-xxxx」を特定する(ステップS1102)。発信元番号は、上述のように、例えば、発呼信号に含まれる「発信者番号情報」に基づき、特定する。
【0044】
そして、呼制御部210は、発信元の電話端末300に応答する(ステップS1103)。以降、電話装置200は、電話端末300からのDTMF信号による発信先番号の受信待ち状態となる(ステップS1104)。
【0045】
そして、呼制御部210は、仮想内線番号を取得する(ステップS1105)。呼制御部210は、上述のように、端末内線対応テーブル220を検索し、S1102で取得した発信元番号「090-xxxx-xxxx」に対応付けられている仮想内線番号を取得する。
図2(a)の例では、発信元番号「090-xxxx-xxxx」に対応付けられた仮想内線番号「201」を取得する。
【0046】
そして、呼制御部210は、発信者番号を取得する(ステップS1106)。呼制御部210は、上述のように、内線発信番号対応テーブル230を検索し、S1105で取得した仮想内線番号「201」に対応付けられている発信者番号を取得する。
図2(c)の例では、(仮想)内線番号「201」に対応付けられた発信者番号「03-xxxx-yyyy」を取得する。
【0047】
なお、ステップS1103の応答前に、ステップS1105の仮想内線番号の取得の処理およびステップS1106の発信者番号の取得の処理を行ってもよい。
【0048】
呼制御部210は、電話端末300から発信先番号を受信する(ステップS1107)と、ステップS1106で取得した発信者番号を、通知する番号として発信する(ステップS1108)。ここでは、電話端末300は、外線番号「04-AAAA-BBBB」を発信先番号として送信する。呼制御部210は、この番号に対し、「03-xxxx-yyyy」を発信者番号として、V字発信する。これにより、外線電話機600の、例えば、発信者表示部には、「03-xxxx-yyyy」が表示される。
【0049】
呼制御部210は、外線電話機600が応答すると(ステップS1109)、電話端末300と外線電話機600との通話を接続する(ステップS1110)。
【0050】
[ハードウェア構成]
本実施形態の電話装置200は、例えば、コンピュータで構成される。本実施形態の電話装置200のハードウェア構成の一例を
図1(b)に示す。
【0051】
電話装置200は、例えば、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)291と、記憶装置292と、内線I/F293と、外線インタフェース(I/F)294と、拡張インタフェース(I/F)295と、を備える。その他、VoIP(Voice over Internet Protocol)インタフェース等を備えていてもよい。
【0052】
CPU291は、例えば、記憶装置292の不揮発メモリ領域に記憶されたプログラムを揮発メモリ領域にロードして実行することにより、上記各機能を実現するとともに電話装置200全体を統括的に制御する。なお、CPU291の代わりにMPU(Micro Processing Unit)等の1以上のプロセッサを用いてもよい。
【0053】
記憶装置292は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリにより構成される。記憶装置292は、各機能を実行するためのプログラムや、通話制御のための各種のパラメータ等の情報を記憶する。また、本実施形態では、端末内線対応テーブル220と、内線発信番号対応テーブル230とは、記憶装置292に構築される。
【0054】
なお、記憶装置292は、ROMやRAM等のメモリの他、例えば、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、DVD等の記憶媒体を備えてもよい。また、記憶装置292は、複数のメモリ等を備えてもよい。
【0055】
内線I/F293は、電話装置200が収容する内線電話機250等の構内電話端末との通話インタフェースである。また、外線I/F294は、電話端末300や外線電話機600等の構外電話端末とのインタフェースである。
【0056】
拡張I/F295は、図示しない表示装置や入力装置とのインタフェースである。表示装置は、例えば、液晶モニタ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。本実施形態では、例えば、仮想内線番号や、発信者番号を登録する際の入力を受け付ける。
【0057】
なお、電話装置200のハードウェア構成は、これに限定されない。電話装置200は、図示しないハードウェアを含んでもよい。あるいは、電話装置200に含まれるCPU291等の数も問わない。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の電話システム100は、電話装置200内に実端末が存在しない仮想的な内線番号(仮想内線番号)を用意し、携帯電話端末等の電話端末300の電話番号とその仮想内線番号とを紐づける。さらに、仮想内線番号に発信者番号を設定する。
【0059】
これにより、電話端末300から電話装置200経由で外線発信を行うような着信が入った場合、電話装置200が仮想内線番号に紐づいた発信者番号を用いて発信を行うことで個別の発信者番号を通知することができる。
【0060】
近年テレワークが増えており、オフィス外でお客様に電話する機会が増えている。この時、従業員等が個人所有の携帯電話端末等から発信を行うと個人の電話番号が通知される。個人所有の携帯電話端末の番号は、仕事上の関係者には必ずしも知られたくない個人情報である。また、お客様は、当該従業員からもらった名刺やメールの署名欄に記載されている個別の電話番号を電話帳登録し、着信相手を識別することが多い。このため、個人所有の携帯電話端末の番号が通知されると、知らない電話番号からの着信と判断し、応答しない可能性がある。これを避けるため、仕事用の携帯電話端末等を、従業員に貸与することもできるが、その場合は、従業員が、複数の端末を使い分けする必要があり、煩雑である。
【0061】
しかしながら、本実施形態によれば、個人に割り振られた子番号を発信者番号として外部の電話に通知することができ、お客様に正確に発信相手を通知することが出来る。従業員は、例えば、名刺やメールの署名欄等に、当該発信者番号をダイヤルイン番号として記載しておけば、お客様は、迷うことなく、応答することができる。これにより、業務効率を向上させることができる。
【0062】
<変形例1>
上記実施形態では、外線電話機600に発信する場合を例にあげて説明したが、電話装置200が収容する内線電話機250に発信する場合も同様である。
【0063】
なお、呼制御部210は、発信先番号として、電話端末300から内線番号を受信した場合、発信者番号として、ステップS1105で取得した仮想内線番号を用いてもよい。
【0064】
この場合、呼制御部210は、
図5に示すように、ステップS1107で電話端末300から発信先番号を受信すると、それが、内線番号であるか外線番号であるかを判断し、発信者番号として通知する番号を決定する(ステップS2101)。
【0065】
すなわち、発信先番号が内線番号であれば、ステップS1105で取得した仮想内線番号を通知する番号と決定し、発信先番号が外線番号であれば、ステップS1106で取得した発信者番号を通知する番号と決定する。例えば、発信先が内線電話機250である場合、当該内線電話機250には、仮想内線番号が通知(表示)される。
【0066】
例えば、仮想内線番号として、従業員が、オフィスで使用している内線電話機250の内線番号を付与するよう構成してもよい。
【0067】
<変形例2>
上記実施形態では、電話端末300は、まず、電話装置200のV字発信用番号へ発信し、応答を受けてから、所望の外線の発信先番号を電話装置200に送信している。しかしながら、これに限定されない。
【0068】
例えば、電話端末300でV字発信用番号に電話する際、♯等の予め定めた符号で区切りを付し、続けて、発信先の電話番号を入力し、併せて送信するよう構成してもよい。例えば、上記実施形態の例のように、V字発信用番号が「03-xxxx-xxxx」で、発信先の外線電話機600の外線番号が「04-AAAA-BBBB」である場合、ユーザは、電話端末300に、「03-xxxx-xxxx#04-AAAA-BBBB」と入力する。
【0069】
この場合の呼制御部210による発信処理の流れを、
図6に示す。基本的に、上記実施形態と同様であるため、異なる点に主眼をおいて説明する。
【0070】
まず、電話端末300は、ユーザから電話装置200のV字発信用番号の入力と発信先の電話番号(発信先番号)と発信の指示とを受け付けると、電話装置200に発呼信号を送信することで、発信する(ステップS2201)。
【0071】
電話装置200の呼制御部210は、上記発信を受け付けると、発信者番号を特定する(ステップS1102)。そして、呼制御部210は、着信に応答する(ステップS1103)。そして、上記手法で、仮想内線番号を取得する(ステップS1105)
【0072】
その後、呼制御部210は、発信先が外線であるか否かを判別する(ステップS2202)。ここで、発信先が内線電話機250の場合、取得した仮想内線番号を発信者番号とし、ステップS1108以降の処理を実行する。
【0073】
一方、発信先が外線の場合、呼制御部210は、上記手法で、発信者番号を取得し(ステップS1106)、ステップS1108以降の処理を実行する。
【0074】
<変形例3>
上記実施形態では、外部の電話端末300に、仮想内線番号を付与している。しかし、この手法に限定されない。例えば、外部の電話端末300の内線番号を用いない場合、仮想内線番号は割り当てなくてもよい。例えば、
図7に示すように、内線発信番号対応テーブル230aにおいて、外部の電話端末300等については、内線番号232aとして、そのまま、当該電話端末300の電話番号を登録してもよい。
【0075】
この場合、呼制御部210は、発信元番号を特定すると、特定した発信元番号を用いて、発信者番号を取得する。
【0076】
<変形例4>
また、呼制御部210は、特定した発信元番号が端末内線対応テーブル220で検索できなかった場合、または、仮想内線番号が、内線発信番号対応テーブル230で検索できなかった場合の処理を定めておいてもよい。
【0077】
具体的には、自動的に代表番号として登録されている番号を、発信者番号として用いてもよい。また、電話装置200の管理者に通知し、端末内線対応テーブル220および/または内線発信番号対応テーブル230に新たなレコードを追加するよう促してもよい。
【0078】
<変形例5>
なお、上記実施形態では、外部の電話端末300からの着信を例にあげて記載している。しかしながら、これに限定されない。例えば、電話装置200を複数繋げて拠点間を繋いだ場合も同様に通知されてくる内線番号を電話帳に設定することで発信者番号を個別に選択して発信することが出来る。
【0079】
<変形例6>
電話端末300がCPUやメモリ等を備えた携帯電話端末等の場合、専用のアプリケーションを用意し、上記実施形態で説明した処理の一部を自動化してもよい。この場合、例えば、当該アプリケーションを起動した状態で、ユーザが電話端末300に所望の発信先の外線番号を入力する。電話端末300のCPUは、当該アプリケーションにより、自動的に、電話端末300から、電話装置200のV字発信用番号へ発信し、応答を受けたり、入力した外線番号を電話装置200に送信したりする。
【0080】
なお、上述の説明で用いたフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。例えば、各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0081】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0082】
上記の実施形態および変形例の一部又は全部は、以下に付記する形態のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
電話端末の電話番号である第一の発信者番号と、
発信の際に発信先に通知する第二の発信者番号と、
を対応付けて登録する対応テーブルと、
呼制御部と、を備え、
前記呼制御部は、
前記電話端末から発信の要求を受け付けると、
前記電話端末の電話番号を特定し、
前記第一の発信者番号に対応付けて登録されている前記第二の発信者番号を前記対応テーブルから抽出し、
前記発信を要求された発信先に発信し、
発信した電話回線を介して、前記発信先に前記第二の発信者番号を通知する、電話装置。
(付記2)
付記1に記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
電話回線を介して着信を受けることによって、前記電話端末から前記発信の要求を受け付けることが望ましい。
(付記3)
付記2に記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
前記電話端末から、V字発信専用の電話番号に着信を受け付けた場合に、前記発信を要求する着信と判断することが望ましい。
(付記4)
付記2または3のいずれかに記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
前記着信を受け付けた電話回線とは異なる電話回線で前記発信を行うことが望ましい。
(付記5)
付記2から4のいずれかに記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
前記電話回線を介して送信されて来る発信者番号を受信することによって、前記電話端末の電話番号を特定することが望ましい。
(付記6)
付記2から5のいずれかに記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
前記着信に対し自動応答し、発信先の電話番号を、前記電話端末から受信することが望ましい。
(付記7)
付記6に記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
前記発信先の電話番号を、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)ダイヤル信号によって、前記電話端末から受信することが望ましい。
(付記8)
付記2から7のいずれかに記載の電話装置において、
前記呼制御部は、
前記発信先が前記発信に対し応答した場合、前記電話端末と前記発信先とを接続することが望ましい。
(付記9)
電話端末の電話番号である第一の発信者番号と、
発信の際に発信先に通知する第二の発信者番号と、
を対応付けて登録する対応テーブルを備える電話装置が、
前記電話端末から発信の要求を受け付けると、
前記電話端末の電話番号を特定し、
前記第一の発信者番号に対応付けて登録されている前記第二の発信者番号を前記対応テーブルから抽出し、
前記発信を要求された発信先に発信し、
発信した電話回線を介して、前記発信先に前記第二の発信者番号を通知する、発信者番号通知方法。
(付記10)
コンピュータに、付記9に記載の発信者番号通知方法を実行させるプログラム。
なお、上記付記9または付記10の形態は、付記1の形態と同様に、付記2から付記8の形態に展開することが可能である。
【0083】
なお、上記の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0084】
100:電話システム、
200:電話装置、210:呼制御部、220:端末内線対応テーブル、221:名称、222:発信元番号、223:仮想内線番号、230:内線発信番号対応テーブル、230a:内線発信番号対応テーブル、231:リストNo.、232:内線番号、232a:内線番号、233:発信者番号、240:発信者番号一覧、250:内線電話機、291:CPU、292:記憶装置、293:内線I/F、294:外線I/F、295:拡張I/F、
300:電話端末、
500:公衆網、
600:外線電話機