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特許7582697高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20241106BHJP
   H01F 1/053 20060101ALI20241106BHJP
   H01F 1/113 20060101ALI20241106BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20241106BHJP
   B22F 1/103 20220101ALI20241106BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20241106BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20241106BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20241106BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20241106BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F1/053 130
H01F1/113
B22F1/00 Y
B22F1/103
B22F3/00 F
B22F1/102 100
B22F1/05
B22F3/02 M
B22F3/24 G
B22F3/24 102Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023026746
(22)【出願日】2023-02-22
(65)【公開番号】P2024043466
(43)【公開日】2024-03-29
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】202211125499.X
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523065328
【氏名又は名称】成都図南電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】陳伝龍
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/118001(WO,A1)
【文献】特開2010-232468(JP,A)
【文献】特開平09-312207(JP,A)
【文献】特開平04-080901(JP,A)
【文献】特開2017-210676(JP,A)
【文献】国際公開第2006/101117(WO,A1)
【文献】特開2007-267487(JP,A)
【文献】国際公開第2021/065305(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/012917(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/052483(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/098883(WO,A1)
【文献】特開2021-190707(JP,A)
【文献】特開昭62-264602(JP,A)
【文献】特開平03-074810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0059286(US,A1)
【文献】特開平06-302418(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101145418(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114420397(CN,A)
【文献】特開平01-245502(JP,A)
【文献】特開平06-151138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
H01F 1/053- 1/08
H01F 1/113
B22F 1/00
B22F 1/103
B22F 3/00
B22F 1/102
B22F 1/05
B22F 3/02
B22F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法であり、
前記希土類永久磁石の原材料は質量百分率で下記の含有量の成分を含み、熱硬化性樹脂0.1~1.6wt%、潤滑剤0.05~0.8wt%、カップリング剤0.1~1wt%、残部が希土類永久磁石粉末、
前記密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法は、
結晶化された希土類永久磁石粉末と、前記熱硬化性樹脂とカップリング剤を溶解した溶液と、を混合し、密閉状態で攪拌した後、12~36h乾燥し、ホイール式バンバリーミキサーによって80~120メッシュまで粉砕後に磁石粉末錯体が得られることと、
前記磁石粉末錯体と前記潤滑剤とを混合し、クリンカーが得られることと、
前記クリンカーを温度が予熱した40~120℃になる金型に入れ、クリンカーを40~120℃まで予熱した後、圧縮成形し、離型後に圧粉末が得られ、前記圧粉末を120~200℃で1~3h保温し、さらに、硬化架橋し、予備成形体が得られ、精密加工を行うことと、を含み、
ここで、前記予備成形体の密度が6.2~7.1g/cmであり、
前記圧縮成形過程において、圧縮力は26~50T/cm、保圧時間は0.3~10sで、
前記希土類永久磁石粉末の結晶化処理の条件は、ストリップキャスティングした後の合金ストリップをアルゴン正圧環境下で粗砕して得られる材料を結晶化炉に入れ、さらに、アルゴン雰囲気において、670~730℃で10~20min結晶化するものである。
【請求項2】
前記希土類永久磁石粉末は、急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末と、ジスプロシウムと、テルビウムと、コバルトと、アルミニウムの4つのうち何れか1つを含む変性粉末と、急冷ランタン鉄ホウ素粉末と、急冷セリウム鉄ホウ素粉末と、HDDR永久磁石粉末と、サマリウムコバルト永久磁石粉末と、サマリウム鉄窒素永久磁石粉末と、Ndを含むFe3B系永久磁石粉末と、のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法。
【請求項3】
前記潤滑剤は、黒鉛及び/又はステアリン酸塩及び塩系化合物を含み、
前記ステアリン酸塩は、ステアリン酸亜鉛及び/又はステアリン酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法。
【請求項4】
結晶化された希土類永久磁石粉末の粒度は60~200メッシュであることを特徴とする請求項1に記載の密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法。
【請求項5】
前記磁石粉末錯体を製造する工程において、密閉状態で攪拌する時間は40~60minであることを特徴とする請求項1に記載の密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法。
【請求項6】
前記圧粉末を加熱して予備成形体が得られる工程は以下を含むことを特徴とする請求項1に記載の密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法。
前記圧粉末をエポキシの軟化点まで加熱した後、真空引きして環境における気圧を0.2気圧未満にし、120~200℃で2~3h保温し続けること。
【請求項7】
前記予備成形体を精密加工した後、表面に保護コーティングを製造する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の密度が6.2~7.0g/cmであるボンド希土類永久磁石の製造方法。
前記保護コーティングは、防錆油の塗布、電気泳動、エポキシ樹脂の塗布、亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、プラスチック溶射及びポリパラキシレンの少なくとも1種によって製造されること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は永久磁石の技術分野に関し、具体的には、高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石及びその製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年以来、プラセオジム/ネオジム鉄ホウ素及びそのランタンセリウム代替物、サマリウムコバルトなどに代表される希土類永久磁石は、極めて強い磁気特性と相対安定性を有することで汎用され、航空宇宙から風力発電、家庭用電子機器、精密工作機械から新エネルギー車まで、電動機分野に代表される高出力密度、高安定性要求に伴い、ネオジム鉄ホウ素及びそのランタンセリウム代替物、サマリウムコバルトなどに代表される希土類永久磁石は磁気エネルギー部品としてますます広い分野で用いられている。
【0003】
1970年代に登場して以来、希土類永久磁石の製造技術は急速に発展し、その技術によって焼結希土類永久磁石とボンド希土類永久磁石に分けられ、その中で、樹脂、プラスチック、ゴムなどの有機物を希土類永久磁石粉末の錯体形成媒体(結合剤とも呼ばれる)としたものを、ボンド希土類永久磁石(以下、ボンド磁石と呼ぶ)と総称する。ボンド磁石は1980年代に日本で登場して以来、結合媒体と技術によって、前後して圧縮成形ボンド磁石(一般に樹脂複合磁石に適用する)、射出成形ボンド磁石(一般にナイロン、ポリホルムアルデヒド、ポリフェニレンスルファイドなどの熱可塑性樹脂を錯体形成媒体とする)及び圧延ボンド磁石(一般に変性ゴムを錯体形成媒体とする)が前後に派生した。有機媒体の錯体を用いて圧縮成形したため、高温焼結や高温による変形及び後処理も発生しなく、そのため、一次成形品は寸法の精度が高く、量産に適しているため、1990年代の量産以来急速な発展が得られ、情報技術が1990年代末に飛躍的に発展するのに伴い、ボンド希土類永久磁石はコンピュータ記憶ドライブ、コンピュータ周辺機器、車両の正確な制御、車両の快適性配置などの分野に広く用いられている。
【0004】
ボンド希土類永久磁石は大規模な量産を実現したが、2010年にグローバルの使用量が6000トンに達してから、ニーズの増加速度は緩やかになり、グローバルで焼結希土類永久磁石の規模に比べて、ボンド希土類永久磁石はなかなか永久磁石材料の主流にならない。現在、グローバルで焼結希土類永久磁石の現在の在庫市場規模は年間20万トン以上に達しているのに対して、ボンド希土類永久磁石の使用量は年間1万トンにすぎず、2010年に焼結市場の10分の1未満から2021年に焼結希土類永久磁石の20分の1未満に徐々に退化している。
【0005】
焼結プラセオジム/ネオジム鉄ホウ素磁石の近年の出荷量の急速かつ着実な成長は、高性能及び高出力密度に代表される希土類永久磁石の応用需要が急速に増加していることを説明する。一方、ボンド希土類永久磁石はこの需要を十分に満たすことができず、最もよく使われるネオジム鉄ホウ素磁石を例に、量産に最高性能の等方性圧縮成形ボンドネオジム鉄ホウ素磁石BHmaxの実測値は最高12MGOe程度で、量産に最高性能の異方性圧縮成形HDDR磁石の配向条件下でBHmaxの最高実測値は20MGOe程度であるのに対して、量産に最高性能の焼結ネオジム鉄ホウ素磁石は良好な結晶化条件で配向後の実測値は52MGOe前後に達することができ、磁気特性の巨大なレベル差により、ボンドネオジム鉄ホウ素磁石が性能に対して高く要求される応用場合に満たすことができない。
【0006】
また、材料利用率とコストについて、ネオジム21%含有の焼結ネオジム鉄ホウ素磁石と、ネオジム含有量が同じで液体急冷法で調製した圧縮成形ボンドプラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素を比較し、配向しない条件下で、焼結ネオジム鉄ホウ素磁石BHmaxの実測値は24MGOe程度に達することができるのに対して、ボンド磁石の実測は9MGOe程度にしか達することができない。これにより、性能応用において、ボンド希土類永久磁石の実際的なコストパフォーマンスが希土類含有量が同様である焼結磁石より遥かに低い。すなわち、希土類の実際利用率の差がボンド希土類永久磁石の応用拡大を制約するボトルネックとなっており、近年のボンド希土類永久磁石の発展が直面している苦境をよく説明した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術課題を解決するために、本発明は、高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明は以下の技術的手段により実現され、
第1に、本発明は高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石の製造方法を提供し、前記希土類永久磁石の原材料は質量百分率で下記の含有量の成分を含み、熱硬化性樹脂0.1~1.6wt%、潤滑剤0.05~0.8wt%、カップリング剤0~1.0wt%、残部が希土類永久磁石粉末。
前記製造方法は以下を含み、
結晶化された希土類永久磁石粉末と、前記熱硬化性樹脂とカップリング剤を溶解した溶液と、を混合し、密閉状態で攪拌した後乾燥し、粉砕後に磁石粉末錯体が得られることと、
前記磁石粉末錯体と前記潤滑剤とを混合し、クリンカーが得られることと、
前記クリンカーを温度が40~120℃になる金型に入れ、予熱、圧縮成形し、離型後に圧粉末が得られ、前記圧粉末を120~200℃で2~3h保温し、予備成形体が得られ、精密加工を行うこと。
【0009】
さらに、前記希土類永久磁石粉末は、急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末及びジスプロシウム/テルビウム/コバルト/アルミニウムを含む変性粉末、急冷ランタン鉄ホウ素粉末、急冷セリウム鉄ホウ素粉末、HDDR永久磁石粉末、サマリウムコバルト永久磁石粉末、フェライト永久磁石粉末、サマリウム鉄窒素永久磁石粉末、Ndを含むFe3B系永久磁石粉末のうちの少なくとも1種を含む。
【0010】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記カップリング剤は、シラン及び/又はチタン酸塩中の一種あるいは2種の混合物を含む。
【0011】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記潤滑剤は、黒鉛及び/又はステアリン酸塩を含み、
好ましくは、前記ステアリン酸塩は、ステアリン酸亜鉛及び/又はステアリン酸カルシウムを含む。
【0012】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記結晶化処理の条件は、高純度アルゴン雰囲気において、670~730℃で10~20min結晶化する。
【0013】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記希土類永久磁石粉末の粒度は60~200メッシュである。
【0014】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記磁石粉末錯体を製造する工程において、密閉状態で攪拌する時間は40~60minである。
【0015】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記圧粉末の密度は6.2~7.1g/cmである。
【0016】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記圧縮成形過程において、圧縮力は12-50T/cmであり、保圧時間は0.3~10sである。
【0017】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、予備成形体の密度をさらに高めるために、前記圧粉末を加熱して予備成形体が得られる工程は以下を含み、
前記圧粉末をエポキシの軟化点まで加熱した後、真空引きして環境における気圧を0.2気圧未満にし、120~200℃で2~3h保温し続ける。
【0018】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記予備成形体を精密加工した後、表面に保護コーティングを製造する工程をさらに含み、
前記保護コーティングは、防錆油の塗布、電気泳動、エポキシ樹脂の塗布、亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、プラスチック溶射及びポリパラキシレンの少なくとも1種によって製造される。
【0019】
第2に、本発明は、上述の製造方法によって製造された高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石を提供し、前記希土類永久磁石の密度は6.2~7.0g/cmであり、
好ましくは、前記希土類永久磁石は、保護コーティングをさらに含み、前記保護コーティングは、防錆油の塗布、電気泳動、エポキシ樹脂の塗布、亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、プラスチック溶射及びポリパラキシレンの少なくとも1種を含む。
【発明の効果】
【0020】
既存技術と比べて、本発明は以下の技術効果を有し、
第一に、本願は圧縮成形方式を用いて製造しており、これにより得られた該圧縮成形ボンド希土類永久磁石は、希土類永久磁石粉末に対する利用率が高く、対外的に高い磁性特性を示しやすい。これにより、従来技術に比べて、該圧縮成形ボンド希土類永久磁石の経済効果と資源利用率もさらに向上する。
【0021】
第二に、本願で提供された該ボンド希土類永久磁石は、大きなドメイン間作用力を有し、これにより該永久磁石全体が対外的に高い性能を示す。
【0022】
第三に、通常、ボンド磁石中の圧縮成形ボンド永久磁石にとって、ボンド永久磁石の必要な構造強度及びスムーズな離型を保証するためには、錯体形成媒体である熱硬化性樹脂(以下、樹脂と略称する)の質量パーセントが1.8~4.0wt%にあることを保証しないと、製品は成形できなく、樹脂の存在はボンド永久磁石中の微視構造における微細粉末距離のさらなる圧縮を大きく制限する。現在最も一般的に使用されているW-6Cエポキシ樹脂を例とし、樹脂の密度は1.1g/cm程度であり、樹脂錯体が磁石の体積に占める割合は高くて12-30%に達しているため、今世紀初頭以来、グローバルの圧縮成形ボンドネオジム鉄ホウ素磁石の量産品の密度は5.6-6.1で安定しており、焼結磁石やボンド磁石の7.2以上の製品密度に比べて大きな距離があり、磁石完成品中のミクロスコピック希土類磁石粉末の磁化効果と磁化後の相互作用力を大幅に低下させ、そのため充填組織構造を有する焼結磁石に比べてボンド磁石は高い性能が得られにくい。しかし、本願が提供する該ボンド希土類永久磁石は、圧縮成形ボンド磁石における樹脂結合材の体積比(約1~10%)を低下させることで、ボンド磁石中の微細粉末距離を効果的に短縮し、微細粉末の磁化効果及び磁化後の相互作用力を効果的に増加させる。
【0023】
以下、実施形態に関連して本発明の実施手段を詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものではなく、以下の実施形態は本発明を説明するためにのみ使用され、実施形態に記載されていない具体的な条件は、通常の条件またはメーカーが提案する条件に従って行われ、使用する試薬または機器は製造メーカーを明記していない者は、市販で購入することができる通常の製品であることを当業者は理解するであろう。
【0024】
本発明の具体的な実施形態の技術的手段は以下の通りであり、
本実施形態では、高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石の製造方法を提供し、該希土類永久磁石の原材料は質量百分率で下記の含有量の成分を含み、熱硬化性樹脂0.2~1.6wt%、潤滑剤0.05~0.8wt%、カップリング剤0~1.0wt%、残部が希土類永久磁石粉末、
通常、従来技術では一般的に1.8~4.0wt%の結合材が用いられているが、樹脂系結合材の密度は磁石粉末に比べて非常に低いため、高い質量百分率の樹脂材料は高い樹脂体積比をもたらし、それによって磁石粉末粒子の磁化効果と磁気特性に影響を与える。最終製品の構造強度を保証するために、本願で提供された該ボンド希土類永久磁石は、結合材の熱硬化性樹脂の使用量を大幅に低減することによって、希土類永久磁石における熱硬化性樹脂の体積比を大幅に低減し、これによって磁石粉末微粒子間の相互作用を極めて大きく増強し、さらに製品の磁化効果と磁気性能を強化する目的を達成したと同時に、成形過程における金型の予め設定された温度及び極めて超高圧条件下で粒子間接触点の摩擦昇温を利用して、樹脂エポキシ基の化学活性特性によってそれを微視的な状態に硬化条件に達成して硬化架橋を発生して網状構造を生成させ、低結合材使用量の条件下で製品予備成形体の構造強度を基本的に変わらない目的を達成した。
【0025】
微視的な条件下での磁石粉末錯体粒子の圧縮過程における粒子間の摩擦力、及び粒子と金型壁間の摩擦力を改善するために、我々はクリンカーの調製過程において適切に粉末圧縮に適した潤滑剤を添加し、同時に圧粉末のスムーズな離型に有利である。
【0026】
さらに、熱硬化性樹脂と磁石粉末表面との結合力をさらに改善するために、樹脂のタイプに応じて、シラン及び/又はチタン酸塩を含むカップリング剤を添加することができる。性能から言えば、カップリング剤としてチタン酸塩を用いることが好ましく、磁石粉末微粒子の表面に均一に塗布された結合材層を形成しやすく、製品の性能をさらに最適化する。強度から言えば、好ましくは、シランカップリング剤の使用はコスト削減に寄与し、シランは磁石粉末微粒子の表面にS字状の千鳥構造を形成し、製品構造強度の増加に有利である。
【0027】
より好ましくは、本発明の好適な実施形態において用いられる熱硬化性樹脂とカップリング剤は、市販のW-6C/W-6D商品化ボンド希土類永久磁石適用のエポキシ樹脂(カップリング剤含有)製品であり、すなわちその中で、熱硬化性樹脂とカップリング剤の割合が約3:1程度であり、熱硬化性樹脂のタイプによって、必要なカップリング剤の割合に大きな差があるため、特定の用途タイプに応じて品種を選択し、最適な割合を決定する必要がある。
【0028】
さらに、潤滑剤は、黒鉛又はステアリン酸塩を含む。黒鉛微粉末潤滑剤を使用し、黒鉛微粉末はよく用いられる潤滑剤として、その導電特性により、樹脂包みによる粒子間抵抗増大による後続電気泳動表面処理するときに導電不良という問題を効果的に改善することができる。ステアリン酸塩を潤滑剤として採用する場合、同じ有機化合物であるため、ステアリン酸塩潤滑剤は磁石粉末錯体の表面での結合力がより優れ、製品の後続構造強度がより優れている、好ましくは、ステアリン酸塩は、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸カルシウムを含む。
【0029】
好ましくは、質量百分率で下記の含有量の成分を含み、熱硬化性樹脂0.2~1.6wt%、潤滑剤0.05~0.8wt%、カップリング剤0~1.0wt%、残部が希土類永久磁石粉末であり、この範囲内で、製品の構造特徴、応用特徴に基づいて樹脂と潤滑剤の質量百分率を適切に調整することができる。
【0030】
さらに、希土類永久磁石粉末は、急冷プラセオジム/ネオジム鉄ホウ素磁石粉末、ジスプロシウムを含むネオジム鉄ホウ素磁石粉末、急冷ランタン(セリウム)鉄ホウ素粉末、HDDR永久磁石粉末、サマリウムコバルト永久磁石粉末、フェライト永久磁石粉末、サマリウム鉄窒素永久磁石粉末、Ndを含むFe3B系永久磁石粉末のうちの少なくとも1種を含む。
【0031】
好ましくは、磁石の保磁力を改善するために、磁石粉末が急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末を選択する場合、Dy/Tb-PrNd-Fe-B、Dy/Tb-Hx相を含む磁石粉末を採用することが好ましく、同様に磁石粉末が急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末を選択する場合、磁石の耐熱性を改善するためにCo/Al-PrNd-Fe-Bのいずれか1つまたは2つを含む変性粉末が優先的に選択される。
【0032】
説明すべきなのは、急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末は、R2Fe14Bを基本相構造とする急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末製品であり、本願に係る実験は、アメリカMagnequenchより製造された商品化急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末又は等価磁石粉末を採用することを想定しており、業界内ではMQP永久磁石粉末と総称する。すなわち、急冷永久磁石粉末は、通常の急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末、急冷ランタン/セリウム鉄ホウ素粉末及びDy/Tb-PrNd-Fe-B、Dy/Tb-Hx、Co/Al-PrNd-Fe-Bを含む急冷プラセオジム及び/又はネオジム鉄ホウ素磁石粉末を含み、
HDDR永久磁石粉末は、業界で水素破壊法によって製造された異方性特徴を有するネオジム鉄ホウ素磁石粉末の総称である。
【0033】
該高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石の製造方法は、以下の工程を含み、
工程S1、結晶化された希土類永久磁石粉末と、前記熱硬化性樹脂とカップリング剤を有機溶解した溶液と、を混合し、密閉状態で攪拌した後乾燥し、粉砕後に磁石粉末錯体が得られる。
【0034】
さらに、結晶化処理の条件は、アルゴン雰囲気において670~730℃で10~20min(好ましくは、690~710℃で13~18min)結晶化することである。結晶化された希土類永久磁石粉末の粒度は80~120メッシュに破砕された(好ましくは100メッシュ)。
【0035】
好ましくは、結晶化工程は、ストリップキャスティングした後の合金ストリップをアルゴン正圧環境下で粗砕した後に得られた粗い材料を結晶化炉に入れ、真空引きした後アルゴン正圧0.3、670~730℃で10~20min結晶化し、冷却後、アルゴン雰囲気において80~120メッシュまでに破砕して粉末を製造することを含む。
【0036】
より好ましくは、結晶化工程の前に、所定の溶融後の合金ストリップを低温保護乾燥した後にストリップキャスティング装置に入れ、真空引きした後に正圧0.1-0.5までアルゴンを充填し、ホイールスピード20~23メートル/秒でストリップキャスティングを開始する高速急冷及びストリップキャスティング工程を含む。
【0037】
なお、この工程では、MQP1-7のネオジム鉄ホウ素磁石商品化粉末のような市販製品粉末をそのまま用いて工程S1を実行してもよい。
【0038】
さらに、前記熱硬化性樹脂が溶解した有機溶液において、溶媒はアセトン、クロロホルム、酢酸エチル等の有機溶媒であり、好ましくは、溶媒はアセトンを採用する。
【0039】
さらに、密閉状態での撹拌時間は40~60min、好ましくは45~55minである。密閉状態で撹拌を行う目的は、攪拌中に有機溶媒の過速揮発を防止し、さらに熱硬化性樹脂溶液と磁石粉末粒子の十分な浸潤を保証することである。
【0040】
好ましくは、磁石粉末錯体を製造する工程は以下を含み、
0.1~1.6wt%の商品熱硬化性樹脂(例えば、W-6C又はW-6Dエポキシ樹脂)をアセトンに溶解された後結晶化した希土類永久磁石粉末を混入し、密閉状態で40~60min撹拌して均一に混合した後、アセトンが乾燥するまで12~36hを広げて干し、ホイール式バンバリーミキサーによって80~120メッシュまでに粉砕し、篩い分けた。
【0041】
工程S2、前記磁石粉末錯体と潤滑剤とを混合してクリンカーが得られることと、
【0042】
工程S3、前記クリンカーを温度が40~120℃になる金型に入れ、予熱、圧縮成形し、離型後に圧粉末が得られ、前記圧粉末を120~200℃で2~3h保温し、予備成形体が得られ、精密加工を行うこと。
【0043】
金型の温度を40~120℃(好ましくは60~100℃)に予熱するのは、主に熱硬化性樹脂に軟化点が存在するためであり、温度が軟化点より大きいと、希土類永久磁石粉末粒子の外部に包まれた樹脂が軟化し、磁石粉末の流動性と充填性がさらに増加する。例えば、W-6C又はW-6D樹脂材料の軟化点は60℃(ここで選択した温度範囲は経験積算値)、同様に設定温度が120℃より高くなると、樹脂の液化現象が発生し、金型との接着が発生し、離型が困難になる。ここでは選択した結合材の品種によって、対応する温度範囲は調整すべきである。
【0044】
さらに、圧縮成形過程において、単位圧縮力は12-50T/cm、保圧時間は0.3~10sである。
【0045】
さらに、圧粉末の密度は6.2~7.1g/cm、好ましくは6.4~7.0g/cmである。単位圧縮力、および設置された金型の予熱温度によって、圧粉末は異なる密度状態を呈し、理論的にはここでは密度が大きいほど良いが、密度が大きすぎると離型が困難になる。これにより、ここでは圧粉末の密度を6.2~7.1g/cmに制御した。
【0046】
さらに、圧粉末を加熱して予備成形体が得られる工程は、圧粉末をエポキシの軟化点に加熱した後、真空引きして環境中における気圧を0.2気圧未満にし(または真空オーブンで直接焼く)、120~200℃で2~3h保温し、硬化する。
【0047】
具体的には、工程S3において、クリンカーは圧縮成形離型により所望の幾何形状の磁石を作製し、圧縮段階-保圧段階-離型段階の3つの工程に分け、
ここで、圧縮段階は、
クリンカーがキャビティ内で緩い状態から所望の幾何形状に圧縮される過程を圧縮段階と呼び、磁石粉末微粒子は極めて高硬度且つ形状の不規則性を有し、クリンカーがキャビティを充填した後にクリンカーのルーズ状態体を構成し、金型の上下型圧縮過程において、ルーズ状態のクリンカーが絶えず圧縮されることに伴い、磁石粉末微粒子の間及びキャビティ壁との間の摩擦力が絶えず増大し、キャビティ壁に近い圧縮面で受ける摩擦力と上型の下圧力はせん断力を構成し、ベルヌーイの定理によると、キャビティ壁に近い圧縮予備成形体の表層密度値は圧縮予備成形体内部より大きく、圧縮予備成形体の外から内への圧縮応力をもたらし、必要な圧縮力の大部分は、上下型圧力設定の最大値に達してバランスするまで、磁石粉末微粒子の相互摩擦力及び金型圧縮及び離型における金型との摩擦面の摩擦力を克服するために使用され、上下型は圧縮を停止し、このとき磁石粉末内摩擦力は上下型圧力と等しく、必要な時間まで保圧後、クリンカー粉末は、金型マスターと上下型と心型とが構築した空間内で圧縮されて磁石部品を構成する圧縮予備成形体に形成し、必要な磁石部品の成形予備成形体が得られるためには、次の金型の離型段階を完了する必要がある。
【0048】
この過程で、磁石成形過程における上下型の単位圧力は17.0~50.0トン/cm、すなわち作用圧は1.7GPa~5.0Gpaであった。粉末粒子の大きさによって、キャビティ中でクリンカーがルーズ状態から必要な密度に圧縮されるために消費されるエネルギーには大きな差があり、通則を例にして、100メッシュのクリンカーの場合、実験データにより、圧縮圧力が1.7GPaより高い場合、製品の予備成形体密度は6.40以上、圧縮圧力値が3.0GPaより高い場合、密度値は6.8以上になることが分かった。
【0049】
工程S4、前記予備成形体を精密加工した後、表面に保護コーティングを製造し、保護コーティングはエポキシの塗布、防錆油の塗布、電気泳動、エポキシ樹脂の塗布、亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、プラスチック溶射及びポリパラキシレンの少なくとも1種によって製造される。
【0050】
なお、希土類永久磁石粉末がサマリウムコバルト永久磁石粉末及びフェライト永久磁石粉末である場合、その材料自体が腐食しにくいため、保護コーティングを製造する必要はない。他の永久磁石粉末、例えば、急冷ネオジム鉄ホウ素磁石粉末、ジスプロシウム/テルビウム/コバルト/アルミニウムを含む急冷ネオジム鉄ホウ素磁石粉末、急冷ランタン鉄ホウ素粉末、急冷セリウム鉄ホウ素粉末、HDDR永久磁石粉末、サマリウム鉄窒素永久磁石粉末、Ndを含むFe3B系永久磁石粉末などを用いる場合、得られた永久磁石表面に保護コーティングを作製し、永久磁石表面の腐食を防止する必要がある。
【0051】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本明細書で説明される具体的な実施形態は、本発明の説明および説明のためにのみ使用され、本発明を限定するためには使用されないことを理解すべきである。
【0052】
(実施形態1)
本実施形態は高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石を提供し、その製造方法は以下を含み、
(1)粉末を製造すること、市販のMQP1-7急冷ネオジム鉄ホウ素磁石粉末を用いて希土類永久磁石粉末とする。
【0053】
(2)クリンカーを製造すること、1.2wt%のW-6Cエポキシ樹脂を用い、アセトンを介して溶解された後、結晶化後の希土類永久磁石粉末を混入し、密閉状態で50min攪拌して均一に混合した後、アセトンが乾燥するまで24hを広げて干し、ホイール式バンバリーミキサーによって100目まで破砕され、ふるいにかけた後、磁石粉末錯体が得られ、磁石粉末錯体を0.15wt%のステアリン酸亜鉛と混合して、クリンカーが得られる。
【0054】
(3)製品を圧縮すること、金型に内蔵された油ガイド溝を通じて金型を60℃に予熱し、上述のクリンカーを充填し、製品の大きさに応じてクリンカーの予熱時間を調整し、クリンカーが十分に予熱された後、単位圧縮力25T/cmで、且つ5s保圧し、離型後に密度が6.5g/cmに達する圧粉末を製造することができる。圧粉末を160℃で2.5h保温し、圧粉末を最終強度まで硬化させて予備成形体が得られる。
【0055】
(4)製品を後加工すること、製品の予備成形体が製造された後、顧客の図面の要求に基づいてさらに研削あるいはワイヤーカットなどの機械加工方法によって最終製品の精密予備成形体を獲得する。製品精密予備成形体を塗装(塗装、電気泳動など)により仕掛品を製造し、最後に着磁装置により顧客のニーズに合った磁性部品完成品を製造する。
【0056】
(実施形態2)
本実施形態は高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石を提供し、その製造方法は以下を含み、
(1)粉末を製造すること、市販のMQP1-7急冷ネオジム鉄ホウ素磁石粉末を用いて希土類永久磁石粉末とする。
【0057】
(2)クリンカーを製造すること、0.5wt%のW-6Dエポキシ樹脂(カップリング剤を含む)を用い、アセトンを介して溶解された後、結晶化後の希土類永久磁石粉末を混入し、密閉状態で40min攪拌し均一に混合した後、アセトンが乾燥するまで36hを広げて干し、ホイール式バンバリーミキサーによって120目まで破砕され、ふるいにかけた後、磁石粉末錯体が得られる、磁石粉末錯体を0.2wt%のステアリン酸カルシウムと混合して、クリンカーが得られる。
【0058】
(3)製品を圧縮すること、金型に内蔵された油ガイド溝を通じて金型を120℃に予熱し、上述のクリンカーを充填し、製品の大きさに応じてクリンカーの予熱時間を調整し、クリンカーが十分に予熱された後、単位圧縮力40T/cmで、且つ0.3s保圧し、離型後に密度が6.2g/cmに達する圧粉末を製造することができる。圧粉末を真空 オーブンに入れて120℃に加熱し、3h保温し、製品をほぼ真空環境下で硬化架橋を実現し、製品予備成形体の密度と性能がさらに向上した。
【0059】
(4)製品を後加工すること、製品の予備成形体が製造された後、顧客の図面の要求に基づいてさらに研削あるいはワイヤーカットなどの機械加工方法によって最終製品の精密予備成形体を獲得する。製品精密予備成形体を塗装(塗装、電気泳動など)により仕掛品を製造し、最後に着磁装置により顧客のニーズに合った磁性部品完成品を製造する。
【0060】
(実施形態3)
本実施形態は高い空間充填率を有するボンド希土類永久磁石を提供し、その製造方法は以下を含み、
(1)粉末を製造すること、市販のMQP1-7急冷ネオジム鉄ホウ素磁石粉末を用いて希土類永久磁石粉末とする。
【0061】
(2)クリンカーを製造すること、1.65wt%のW-6Cエポキシ樹脂(カップリング剤を含む)を用い、アセトンを介して溶解された後、結晶化後の希土類永久磁石粉末を混入し、密封攪拌60minで均一に混合した後、アセトンが乾燥するまで12hを広げて干し、ホイール式バンバリーミキサーによって80目まで破砕され、ふるいにかけた後、磁石粉末錯体が得られる、磁石粉末錯体を0.05wt%のステアリン酸カルシウムと混合して、クリンカーが得られる。
【0062】
(3)製品を圧縮すること、金型に内蔵された油ガイド溝を通じて金型を40℃に予熱し、上述のクリンカーを充填し、製品の大きさに応じてクリンカーの予熱時間を調整し、クリンカーが十分に予熱された後、単位圧縮力12T/cmで、且つ10.0s保圧し、離型後に密度が6.8g/cmに達する圧粉末を製造することができる。圧粉末をオーブン内に置き、樹脂のエポキシの軟化点まで加熱すると、オーブン内の気圧を0.2気圧以下に下げ、引き続き200℃まで加熱し、2h保温し、製品をほぼ真空環境下で硬化架橋を実現し、製品予備成形体の密度と性能がさらに向上した。
【0063】
(4)製品を後加工すること、製品の予備成形体が製造された後、顧客の図面の要求に基づいてさらに研削あるいはワイヤーカットなどの機械加工方法によって最終製品の精密予備成形体を獲得する。製品精密予備成形体を塗装(塗装、電気泳動など)により仕掛品を製造し、最後に着磁装置により顧客のニーズに合った磁性部品完成品を製造する。
【0064】
本願で提供された希土類永久磁石が高密度と磁気特性を有することを説明するために、以下の比較実験を行い、以下の実験はすべてMQP1-7商品粉末を原料粉として調製した後試験を行った。
【0065】
(実験例1)
熱硬化性樹脂の含有量が希土類永久磁石の性能に与える影響は、
表1に記載された熱硬化性樹脂(W-6Cエポキシ樹脂を用いた)の含有量に基づいて、実施形態1に提供された製造方法を用いて希土類永久磁石の製造を行い、そして製造された製品の密度とBH性能を検出し、Br(残留磁気)、Hcb(保磁力)、Hcj(固有保磁力)、BHmax(最大エネルギー積)を含む。結果を表1に示すように、
(表1)熱硬化性樹脂の含有量が希土類永久磁石の性能に与える影響
【0066】
【表1】
【0067】
(実験例2)
潤滑剤の含有量が希土類永久磁石の性能に与える影響は、
表2に記載された潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)の含有量に基づいて、実施形態1に提供された製造方法を用いて希土類永久磁石の製造を行い、そして製造された製品の密度とBH性能を検出し、Br(残留磁気)、Hcb(保磁力)、Hcj(固有保磁力)、BHmax(最大エネルギー積)を含む。結果を表2に示すように、
(表2)潤滑剤の含有量が希土類永久磁石の性能に与える影響
【0068】
【表2】
【0069】
(実験例3)
単位圧縮圧力の含有量が希土類永久磁石の性能に与える影響は、
実施形態1に提供された製造方法を用いて、表3に記載された単位圧縮圧力に基づいてクリンカーを圧縮して、希土類永久磁石の製造を行い、そして製造された製品の密度とBH性能を検出し、Br(残留磁気)、Hcb(保磁力)、Hcj(固有保磁力)、BHmax(最大エネルギー積)を含む。結果を表3に示すように、
(表3)単位圧縮圧力が希土類永久磁石の性能に与える影響
【0070】
【表3】
【0071】
(実験例4)
圧縮温度が希土類永久磁石の性能に与える影響は、
実施形態1に提供された製造方法を用いて、表4に記載された圧縮温度に基づいてクリンカーを圧縮して、希土類永久磁石の製造を行い、そして製造された製品の密度とBH性能を検出し、Br(残留磁気)、Hcb(保磁力)、Hcj(固有保磁力)、BHmax(最大エネルギー積)を含む。結果を表4に示すように、
(表4)圧縮温度が希土類永久磁石の性能に与える影響
【0072】
【表4】
【0073】
最後に、上記は本発明の好適な実施形態にすぎず、本発明の保護範囲を制限するためには使用されないことを説明する。本発明の精神と原則の中で、行ったいかなる修正、等価置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。