(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/78 652H
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
(21)【出願番号】P 2023501646
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 CN2021131692
(87)【国際公開番号】W WO2022174640
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】202110191691.8
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519152663
【氏名又は名称】蘇州東微半導体股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲きょう▼▲軼▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼磊
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】袁▲願▼林
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168666(JP,A)
【文献】特開2010-225831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板内に位置する
複数のp型ボディ領域と、
前記半導体基板内に位
置する
複数のp型ピラーと、を備え、
複数のp型ボディ領域のそれぞれは、ソース電極金属層に接触し、
複数のp型ピラーのそれぞれは、対応するp型ボディ領域の下方に位置し、
前記半導体基板は、少なくとも1つの第1の領域を備え、前記第1の領域外の領域は第2の領域であり、
前記第1の領域内の
複数のp型ボディ領域
のうちの各p型ボディ領域内には、第1のp型ボディ領域接触領域が設けられており、前記ソース電極金属層と前記第1のp型ボディ領域接触領域とは接触してオーミック接触を形成し、
前記第2の領域内の
複数のp型ボディ領域
のうちの各p型ボディ領域と前記ソース電極金属層とはオーミック接触を形成し
ておらず、
前記半導体基板内の各p型ボディ領域は、n型ソース領域を備え、
前記n型ソース領域が前記ソース電極金属層に接触する、
半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1の領域の形状は、多角形、円形又は楕円形のうちの少なくとも1種を含む、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第2の領域内の
複数のp型ボディ領域
のうちの各p型ボディ領域内には、第2のp型ボディ領域接触領域が設けられており、前記第2のp型ボディ領域接触領域のドープ濃度が、前記第1のp型ボディ領域接触領域のドープ濃度より小さい、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ソース電極金属層と前記第2のp型ボディ領域接触領域とは接触しているが、オーミック接触を形成しない、
請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
複数のp型ピラー
のそれぞれは
、対応するp型ボディ領域に接触する、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記半導体基板は、n型ドレイン領域と、前記n型ドレイン領域の上に位置するn型ドリフト領域とを備え、
前記半導体基板内の各p型ボディ領域は前記n型ドリフト領域とpn接合構造を形成する、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
ゲート構造をさらに備え、
前記ゲート構造は、ゲート誘電体層及びゲートを備える、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記ゲート構造は、プレーナゲート構造又はトレンチゲート構造である、
請求項
7に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体デバイスの技術分野に属し、例えばパワー半導体デバイスに関する。
【0002】
本願は、2021年2月19日に中国専利局に出願された、出願番号が202110191691.8である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
関連技術のパワー半導体デバイスは、一般的に、デバイスのミラー容量を下げてスイッチング速度を向上させることでスイッチング損失を減少しているが、スイッチング速度が速すぎると大きな電圧振動及び電流振動を引き起こすため、パワー半導体デバイスの応用時における電磁干渉(ElectromagneticInterference、EMI)問題が深刻になっている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、半導体デバイスの応用時に発生するEMI問題を低下させるための半導体デバイスを提供する。
【0005】
本願は、
半導体基板と、
ソース電極金属層に接触して前記半導体基板内に位置するp型ボディ領域と、
前記半導体基板内に位置しかつ前記p型ボディ領域下方に位置するp型ピラーと、を備え、
前記半導体基板は、少なくとも1つの第1の領域を備え、前記第1の領域外の領域は第2の領域であり、
前記第1の領域内の前記p型ボディ領域内には、第1のp型ボディ領域接触領域が設けられており、前記ソース電極金属層と前記第1のp型ボディ領域接触領域とは接触してオーミック接触を形成し、
前記第2の領域内の前記p型ボディ領域と前記ソース電極金属層とはオーミック接触を形成しない、半導体デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本願に係る半導体デバイスの1つ目の実施例の平面模式図である。
【
図2】
図1に示す構造のAA方向に沿う断面模式図である。
【
図3】本願に係る半導体デバイスの2つ目の実施例の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の技術案を完全に説明する。本願で使用される、例えば「有する」、「包含」及び「含む」などの用語は、少なくとも1つの他の素子又はその組合せの存在を排除するわけではないことを理解すべきである。
【0008】
当業者は、パワー半導体デバイスチップがセル領域及び終端領域を備え、そのうち、セル領域が電流動作領域であり、終端領域がセル領域の最端のセルの耐圧を高めるように構成され、本願の実施例に記載される半導体デバイスとは、パワー半導体デバイスチップにおけるセル領域であることを理解すべきである。
【0009】
図1は、本願に係る半導体デバイスの1つ目の実施例の平面模式図であり、
図2は、
図1に示す構造のAA方向に沿う断面模式図である。
図1及び
図2に示すように、本願の半導体デバイスは、半導体基板10を備え、半導体基板10は、一般的にシリコン基板であり、n型ドレイン領域11とn型ドレイン領域11の上に位置するn型ドリフト領域12とを備える。本願の半導体デバイスは、半導体基板10内に位置するp型ボディ領域20を備え、p型ボディ領域20は、n型ドリフト領域12とpn接合構造を形成する。半導体デバイスチップのセル領域は、若干のp型ボディ領域を備え、
図1及び
図2には、6つのp型ボディ領域20のみが例示的に示されている。本願の半導体デバイスは、p型ボディ領域20内に位置するn型ソース領域21をさらに備え、p型ボディ領域20及びn型ソース領域21がいずれもソース電極金属層17に接触する。
【0010】
半導体基板10内に位置しかつp型ボディ領域20下方に位置するp型ピラー13は、n型ドリフト領域12とpn接合構造を形成し、かつp型ピラー13と、隣り合うn型ドリフト領域12との間にはチャージバランスが形成される。
図2に示すように、p型ピラー13はp型ボディ領域20に接触することができ、これによりp型ピラーはソース電極電圧に接続され、好ましくは、p型ピラー13は、p型ボディ領域20に接触しなくてもよく、即ち、p型ピラー13はフローティングして設けられる。なお、p型ピラー13は、複数種の異なる工程により製造され形成されることができ、これによって得られたp型ピラーの形状も異なる。
【0011】
図1に示すように、半導体基板10の上表面の平面視面において、半導体基板10は、少なくとも1つの第1の領域51を備え、本願は、第1の領域51の数量及び形状について限定されず、
図1には、1つの円形構造である第1の領域51のみが例示的に示されており、第1の領域51外の領域が第2の領域と定義される。
【0012】
第1の領域51内に位置するp型ボディ領域20内には、第1のp型ボディ領域接触領域22が設けられており、ソース電極金属層17と第1のp型ボディ領域接触領域22とが接触してオーミック接触を形成する。第1のp型ボディ領域接触領域22のドープ濃度がp型ボディ領域20のドープ濃度より大きいため、第1のp型ボディ領域接触領域22はp型ボディ領域20とソース電極金属層17との接触箇所のドープ濃度を高め、これにより、第1の領域51内のp型ボディ領域20とソース電極金属層17とがオーミック接触を形成する。
【0013】
第2の領域内のp型ボディ領域20は、ドープ濃度が比較的低いため、第2の領域内のp型ボディ領域20がソース電極金属層17と接触した後にオーミック接触を形成しない。好ましくは、この第2の領域内のp型ボディ領域20内に第2のp型ボディ領域接触領域を形成してもよいが、第2のp型ボディ領域接触領域のドープ濃度は第1のp型ボディ領域接触領域22のドープ濃度より低いため、第2のp型ボディ領域接触領域がソース電極金属層17と接触した後にもオーミック接触を形成することができなくなり、又は第2のp型ボディ領域接触領域がソース電極金属層17と接触した後に形成されたオーミック接触の抵抗が比較的大きくなる。
【0014】
図2に示すように、本願の半導体デバイスは、ゲート構造をさらに備え、ゲート構造は、ゲート誘電体層14及びゲート15を備え、ゲート構造は層間絶縁層16を介してソース電極金属層17と隔離される。
図2において、本願の半導体デバイスのゲート構造は、プレーナゲート構造であり、好ましくは、本願の半導体デバイスのゲート構造は、トレンチゲート構造であってもよい。
【0015】
本願の半導体デバイスにおいて、第1の領域51内のp型ボディ領域20は、第1のp型ボディ領域接触領域22を介してソース電極金属層17とオーミック接触を形成し、第2の領域内のp型ボディ領域20とソース電極金属層17とはオーミック接触を形成せず、オーミック接触が形成されていないp型ボディ領域20の電位が一定ではないことにより閾値電圧Vthが変化してしまい、さらに、オーミック接触が形成されていないp型ボディ領域20の閾値電圧Vthは、オーミック接触が形成されたp型ボディ領域20から遠いほど、オーミック接触が形成されたp型ボディ領域の閾値電圧Vthとの差が大きくなり、即ち、第2の領域において、第1の領域に近い側のp型ボディ領域と第1の領域におけるp型ボディ領域との閾値電圧差は、第1の領域から遠い側のp型ボディ領域と第1の領域におけるp型ボディ領域との閾値電圧差より小さく、これにより、本願の半導体デバイスは、緩変的な閾値電圧Vthを有し、オン及びオフの時に、電流及び電圧が急変しにくく、半導体デバイスの応用時に発生する電圧振動、電流振動及びEMI問題を低下させることができる。同時に、デバイスの逆回復特性を改善することもできる。
【0016】
図3は、本願に係る半導体デバイスの2つ目の実施例の平面模式図であり、
図3において、半導体基板10は、6つの第1の領域51を備え、第1の領域51は長方形であり、好ましくは、第1の領域51は、多角形(例えば三角形、正方形、正多角形、長方形、平行四辺形、台形)、円形、楕円形などの規則的図形であってもよいし、不規則的図形であってもよいし、本願の実施例は、第1の領域51の形状が限定されず、第1の領域51の平面視形状が閉図形であればよく、例えば、直線及び/又は曲線が順に首尾接続することにより形成された閉図形であればよい。
【0017】
図1及び
図3に示す平面模式図において、いずれも第2の領域が第1の領域を取り囲むことを例に説明したが、なお、本願の実施例は、第1の領域と第2の領域との相対位置関係については限定されず、
図1及び
図3に示すようにしてもよいし、第1の領域が第2の領域を取り囲んでもよいし、さらに第1の領域及び第2の領域が、ある1つの半導体基板が置かれる平面と平行である方向に沿って順に設けられてもよい。