(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】肥満改善用食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20241106BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20241106BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/05
A61P3/04
(21)【出願番号】P 2023553143
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2022039801
(87)【国際公開番号】W WO2023074707
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021174127
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521467869
【氏名又は名称】シード医療製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 梓
(72)【発明者】
【氏名】堤 巌
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0251894(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0015762(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0133966(US,A1)
【文献】特開2021-090453(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0081222(KR,A)
【文献】Bielawiec, P. et al.,Phytocannabinoids: Useful Drugs for the Treatment of Obesity? Special Focus on Cannabidiol,Frontiers in Endocrinology,2020年03月04日,Vol. 11,Article 114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/105
A61K 31/05
A61P 3/04
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオールと、
同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品であって、
前記痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物と
フェルラ酸とよりなり、
前記難消化性高分子化合物は、100重量部の前記肥満改善用食品中に3~50重量部の割合で含まれることを特徴とする肥満改善用食品。
【請求項2】
前記
フェルラ酸は、100重量部の前記肥満改善用食品中に1.5~20重量部の割合で含まれることを特徴とする請求項1に記載の肥満改善用食品。
【請求項3】
カンナビジオールと、
同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品であって、
前記痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物と
フェルラ酸とよりなり、
前記
フェルラ酸は、100重量部の前記肥満改善用食品中に1.5~20重量部の割合で含まれることを特徴とする肥満改善用食品。
【請求項4】
前記カンナビジオールは、100重量部の前記肥満改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれることを特徴とする請求項1~3いずれか1項にに記載の肥満改善用食品。
【請求項5】
前記難消化性高分子化合物は、デキストリン、澱粉、タンパク質、食物繊維から選ばれる少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の肥満改善用食品。
【請求項6】
剤形を粉末、細粒、顆粒、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体又は錠剤としたことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の肥満改善用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満改善用食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多発性硬化症、神経性疼痛、がん、動脈硬化、肥満、メタボリック症候群、糖尿病に有用な物質として、麻に含まれるカンナビジオールが知られている。
【0003】
カンナビジオールは、カンナビノイドでありながら向精神薬として知られるテトラヒドロカンナビノールとは異なり陶酔性や多幸感がなく、乱用や依存、耐性は見られないことから、近年では様々な医薬品や健康食品にも配合されている。
【0004】
具体的な一例としては、カンナビジオールを含有する肥満患者のコレステロール値及びエネルギー代謝改善作用を有する医薬品が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カンナビジオールが有する肥満改善作用をより助長し得るような組成、特に食品に配合可能な成分で構成することにより日々の食生活の一貫として肥満を改善可能とする組成物は未だに提案されていない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物を含有させた肥満改善用食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る肥満改善用食品では、(1)カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品であって、前記痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物とフェルラ酸とよりなり、前記難消化性高分子化合物は、100重量部の前記肥満改善用食品中に3~50重量部の割合で含まれることとした。
また、本発明に係る肥満改善用食品では、(3)カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品であって、前記痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物とフェルラ酸とよりなり、前記フェルラ酸は、100重量部の前記肥満改善用食品中に1.5~20重量部の割合で含まれることとした。
【0009】
また、本発明に係る肥満改善用食品では、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記フェルラ酸は、100重量部の前記肥満改善用食品中に1.5~20重量部の割合で含まれること。
(4)前記カンナビジオールは、100重量部の前記肥満改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれること。
(5)前記難消化性高分子化合物は、デキストリン、澱粉、タンパク質、食物繊維から選ばれる少なくともいずれか1つを含むこと。
(6)剤型を粉末、細粒、顆粒、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体又は錠剤としたこと。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る肥満改善用食品によれば、カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品であって、前記痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物とポリフェノール類とよりなることとしたため、カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物を含有させた肥満改善用食品を提供することができる。
【0011】
また、前記カンナビジオールは、100重量部の前記肥満改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれることとすれば、カンナビジオールに由来する肥満改善作用をより堅実に享受することができる。
【0012】
また、前記難消化性高分子化合物は、デキストリン、澱粉、タンパク質、食物繊維から選ばれる少なくともいずれか1つを含むこととすれば、これら以外の難消化性高分子化合物のみを痩身補助組成物の成分として配合した場合と比較して、肥満改善作用をより顕著に助長することができる。
【0013】
また、前記難消化性高分子化合物は、100重量部の前記肥満改善用食品中に3~50重量部の割合で含まれることとすれば、肥満改善作用をより堅実に助長することができる。
【0014】
また、前記ポリフェノール類は、アントシアニン、フェルラ酸、クロロゲン酸、カテキン、クルクミンから選ばれる少なくともいずれか1つを含むこととすれば、これら以外のポリフェノール類のみを痩身補助組成物の成分として配合した場合と比較して、肥満改善作用をより顕著に助長することができる。
【0015】
また、前記ポリフェノール類は、100重量部の前記肥満改善用食品中に1.5~20重量部の割合で含まれることとすれば、肥満改善作用をより堅実に助長することができる。
【0016】
また、剤形を粉末、細粒、顆粒、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体又は錠剤とすれば、若年層から年配者まで、年齢に適した剤形で肥満改善用食品の摂取を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】肥満改善用食品A1の肥満改善作用の助長効果の確認試験結果を示す説明図である。
【
図2】カンナビジオールの含有量を変化させた場合の肥満改善作用の助長効果の確認試験結果を示す説明図である。
【
図3】難消化性高分子化合物の含有量を変化させた場合の肥満改善作用の助長効果の確認試験結果を示す説明図である。
【
図4】ポリフェノール類の含有量を変化させた場合の肥満改善作用の助長効果の確認試験結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は肥満改善用食品に関し、特にカンナビジオールと、同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品に関するものである。
【0019】
従来、麻種子又は麻茎から得られるカンナビジオール(Cannabidiol:CBD)が心身疾患に対して有用な効果を示すことが薬学研究や臨床研究で知られている。
【0020】
このカンナビジオールは、成熟した大麻草(Cannabis sativa L.)の種子や茎より得られる成分であることから、日本では大麻取締法の観点から誤解を招き食品の成分としては敬遠される傾向にあった。
【0021】
しかし、カンナビジオールは大麻取締法に定める覚醒作用を有する所謂「マリファナや大麻」とは全く異なるものである。大麻取締法に定める「大麻」とは、1年草の大麻草の花穂と葉、又はそれらを由来とする成分である炭素数21の化合物を意味する。このような成分の代表がマリファナの主成分となるテトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol:THC)である。
【0022】
すなわち、本発明にも使用されるカンナビジオールは、テトラヒドロカンナビノールとは構造も生理作用も全く異なる成分であり、マリファナの様な覚醒作用や精神作用を呈さない安全な産業用大麻草成熟草の種子又は茎から得られるポリフェノール構造体である。
【0023】
また、カンナビジオールは、全身のカンナビジオール受容体に作用して有用な効果を種々呈することが薬理学的及び臨床医学的に知られている。
【0024】
それゆえ、カンナビジオールは、本邦においても既に化粧品や加工食品に配合され商品化されている。
【0025】
ところが、カンナビジオールを含有する従来公知の食品は、カンナビジオール単一成分の作用に特化したものであり、本来カンナビジオールが有する生体生理的作用を相乗的な観点から処方化したものでは無い。
【0026】
すなわち、カンナビジオールの有する生体生理作用は、本来生命体が有する生理機能を促すものであり、カンナビジオール製剤を商品化する場合は、代謝の促進や、生体神経系シナプス電位を整え、脳神経伝達促進等の生理代謝促進を考慮した処方設計が重要となる。
【0027】
本来、カンナビジオールは、生物活性機能を促進し整える機能を有する成分であり、生物生体内に存在する代謝酵素や神経伝達機能、代謝機能、ホルモンなどの生理活性物質に作用する所謂トリガー的な作用機序を有するものである。
【0028】
従って、カンナビジオール単体成分の摂取において期待できる生理作用は極めて限られるものであり、先述有用作用を呈するには促進相乗成分との併用が効果的といえる。
【0029】
特に、肥満改善を目的とする製剤化においては、カンナビジオールは全身に点在するカンナビノイド受容体(CB1、CB2)に作用しなければ所望する効果は期待できない。
【0030】
この点、本実施形態に係る肥満改善用食品では、カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物とを配合したことにより、カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長可能な肥満改善用食品の実現を図ることとしている。
【0031】
しかも、本実施形態に係る肥満改善用食品の特徴の一つである痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物とポリフェノール類とよりなることとしている。すなわち、痩身補助組成物は、構成要素がいずれも食品成分であることにより、日々の食生活の一環として肥満の改善を図ることが可能となる。
【0032】
カンナビジオールは、100重量部の肥満改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれるのが望ましい。このような濃度にてカンナビジオールを含有させておくことにより、カンナビジオールに由来する肥満改善作用をより堅実に享受することができる。
【0033】
ここで、難消化性高分子化合物とは、食品として適量を経口摂取した場合において安全性が認められているものであって、消化酵素では分解されにくい特性を備えた化合物である。好適には、デキストリン、澱粉、タンパク質又は食物繊維である。
【0034】
難消化性高分子化合物は、3重量部未満の割合で含まれる場合、肥満改善作用を十分に助長することができない。また、50重量部を超える割合で含まれる場合、肥満改善作用は濃度依存的に助長されるものではない。したがって、難消化性高分子化合物は、100重量部の肥満改善用食品中に3~50重量部の割合で含まれることが望ましい。
【0035】
さらに、ポリフェノール類とは、食品として適量を経口摂取した場合において安全性が認められているものであって、芳香族炭化水素の2個以上の水素がヒドロキシル基で置換された化合物である。付言すると、上述の経口摂取での安全性を前提とするフェノール性水酸基、もしくはその誘導体を複数持つ分子であり、好適には、アントシアニン、フェルラ酸、クロロゲン酸、カテキン又はクルクミンである。
【0036】
ポリフェノール類は、1.5重量部未満の割合で含まれる場合、肥満改善作用を十分に助長することができない。また、20重量部を超える割合で含まれる場合、肥満改善作用は濃度依存的に助長されるものではない。したがって、ポリフェノール類は、100重量部の肥満改善用食品中に1.5~20重量部の割合で含まれることが望ましい。
【0037】
以下、本実施形態に係る肥満改善用食品について、実際の製造例や効果確認試験の結果を参照しながら更に説明する。
【0038】
〔1〕基本処方での効果確認試験
(1)肥満改善用食品の製造
0.005重量部のカンナビジオールと、痩身補助組成物としての0.105重量部の難消化性デキストリン及び0.053重量部のフェルラ酸と、基材としての3.338重量部の澱粉とを混合して混合粉体を調製し、これを細身のアルミパウチに3.5gずつ個包装することで本実施形態に係る肥満改善用食品A1とした。1包の肥満改善用食品A1中に含まれるカンナビジオールは0.005g、難消化性デキストリンは0.105g、フェルラ酸は0.053g、澱粉は3.338gである。
【0039】
また比較のため、下記の比較用食品X1~X3も調製した。比較用食品X1~X3は肥満改善用食品A1と同様の製造方法であるが、一部原料を欠いたものである。
【0040】
具体的には、比較用食品X1は、0.005重量部のカンナビジオールと、3.495重量部の澱粉とで構成したものであり、肥満改善用食品A1と比較すると痩身補助組成物としての難消化性デキストリンとフェルラ酸の両方を含有しない食品である。
【0041】
比較用食品X2は、0.005重量部のカンナビジオールと、0.105重量部の難消化性デキストリンと、3.390重量部の澱粉とで構成したものであり、肥満改善用食品A1と比較すると痩身補助組成物を構成するフェルラ酸を含有しない食品である。
【0042】
比較用食品X3は、0.005重量部のカンナビジオールと、0.053重量部のフェルラ酸と、3.442重量部の澱粉とで構成したものであり、肥満改善用食品A1と比較すると痩身補助組成物を構成する難消化性デキストリンを含有しない食品である。
【0043】
(2)ヒト試験
次に、本実施形態に係る肥満改善用食品A1に関し、痩身補助組成物の含有によってカンナビジオールが有する肥満改善作用が助長されるかについて確認を行うべく、ヒト試験を行った。
【0044】
被験者は20~50代の男女であり、肥満改善用食品A1を摂取させる群(以下、被験群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X1を摂取させる群(以下、比較第1群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X2を摂取させる群(以下、比較第2群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X3を摂取させる群(以下、比較第3群という。)に6名(男性3名、女性3名)を、募集した男性12名、女性12名の中からそれぞれ3名ずつランダムに割り当てた。なお、以下の説明において比較第1~3群を総称して比較群ともいう。
【0045】
被験群には、肥満改善用食品A1を12週間に亘り1日1包夕食30分前に摂取させた。同様に比較群に対しても対応する比較用食品X1~X3のいずれかを12週間に亘り1日1包夕食30分前に摂取させた。
【0046】
また、肥満とは体脂肪が過剰に蓄積した状態と解されるため、本試験では被験者の体脂肪率により肥満改善作用の助長効果について確認することとした。体脂肪率の測定は、試験開始前、4週間後、8週間後、12週間後に行った。
【0047】
具体的には、被験者は一定条件(室温25度、湿度50%)にした試験室内の環境に慣れるため、まず約10分間の馴化が行われる。馴化終了後、測定機器に裸足で乗り、測定機器の手順に沿って体脂肪の測定を行う。
【0048】
肥満改善用食品A1や比較用食品X1~X3は、測定終了の当日から継続摂取を開始し、上述の各測定日に同様の方法にて体脂肪の測定を実施し、摂取開始前との比較にて評価した。
【0049】
なお、測定に際しては各自測定に適した服装(例えばTシャツや半ズボン)を持参してもらい、着衣前に服装の重量を測定し、体脂肪率算出の際の基礎となる体重の測定値から差し引くこととした。試験期間中においては、被験者は暴飲暴食を控え、規則正しい生活を心がけるように指導すると同時に、測定日については日間差を考慮して極力同時刻に実施するようにした。その結果を
図1に示す。
【0050】
まず、カンナビジオールと痩身補助組成物である難消化性デキストリン及びフェルラ酸との3つの機能成分のうち、カンナビジオールのみ含有する比較用食品X1を摂取した比較第1群では、体脂肪率の変化に緩やかな低下傾向が認められた。
【0051】
また、機能成分のうちカンナビジオールと難消化性デキストリンを含有する比較用食品X2を摂取した比較第2群や、カンナビジオールとフェルラ酸を含有する比較用食品X3を摂取した比較第3群についても、比較第1群と概ね同様に体脂肪率の変化に緩やかな低下傾向が認められた。
【0052】
これら比較第1群~比較第3群における体脂肪率の変化の緩やかな低下傾向は、おそらくカンナビジオールが元来有している肥満改善作用により惹起されたものと考えられた。また、比較第2群や比較第3群は比較第1群と同様の挙動を示したことから、難消化性デキストリンやフェルラ酸段独でのカンナビジオールの肥満改善作用の助長効果は確認できなかった。
【0053】
一方、カンナビジオールと痩身補助組成物である難消化性デキストリン及びフェルラ酸との3つの機能成分の全てを含む肥満改善用食品A1を摂取した被験群は、比較第1群との間で、少なくとも第12週に体脂肪率の変化の有意な低下が認められた(p<0.05)。
【0054】
このことから、本実施形態に係る肥満改善用食品A1に含まれる痩身補助組成物は、カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長することが示された。
【0055】
また興味深いことに、被験群の体脂肪率の変化の有意な低下は、被験群と比較第2群や比較第3群との間でも、少なくとも第12週に認められた(p<0.05)。
【0056】
このことから、難消化性高分子化合物である難消化性デキストリンとポリフェノール類であるフェルラ酸との両者が相乗的に作用して痩身補助組成物として機能した結果、カンナビジオールの肥満改善作用が助長されたことが示された。
【0057】
〔2〕含有割合を変更させた場合の効果確認試験
次に、肥満改善用食品中におけるカンナビジオールや難消化性デキストリン、フェルラ酸の含有量を変化させた場合、どの程度であれば肥満改善作用の助長効果が惹起されるのかについて、先の肥満改善用食品A1をベースとして複数の肥満改善用食品や比較用食品を調製し、それぞれについて検討を行った、
【0058】
(1)カンナビジオール含有量検討のための肥満改善用食品の製造
カンナビジオールの含有量を変化させた食品は、表1に示す3種類とした。
【表1】
【0059】
すなわち、肥満改善用食品B1は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、カンナビジオールの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の0.05重量部に相当する1.75mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0060】
また、肥満改善用食品C1は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、カンナビジオールの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の10重量部に相当する350mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0061】
また、肥満改善用食品C2は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、カンナビジオールの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の15重量部に相当する525mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0062】
(2)カンナビジオール含有量を変化させた場合の助長効果確認
次に、上記肥満改善用食品B1や肥満改善用食品C1,C2を被験者に摂取させることで、肥満改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てて、12週に亘り食品を摂取させ、各測定日に体脂肪率の測定を行った。その結果を
図2に示す。
【0063】
図2からも分かるように、機能成分のうちカンナビジオールのみ含有する比較用食品X1と比較すると、肥満改善用食品B1、肥満改善用食品C1、肥満改善用食品C2のいずれを摂取させた群においても体脂肪率の変化の有意な低下(p<0.05)が認められ、難消化性高分子化合物である難消化性デキストリンとポリフェノール類であるフェルラ酸との両者が相乗的に作用して痩身補助組成物として機能した結果、カンナビジオールの肥満改善作用が助長されたことが示された。
【0064】
(3)難消化性高分子化合物の含有量検討のための肥満改善用食品の製造
難消化性高分子化合物の含有量の検討をすべく難消化性デキストリンの含有量を変化させた食品は、表2に示す4種類とした。
【表2】
【0065】
すなわち、肥満改善用食品D1は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、難消化性デキストリンの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の50重量部に相当する1750mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0066】
また、肥満改善用食品D2は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、難消化性デキストリンの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の60重量部に相当する2100mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0067】
また、肥満改善用食品D3は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、難消化性デキストリンの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の1重量部に相当する35mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0068】
(4)難消化性デキストリン含有量を変化させた場合の助長効果確認
次に、上記肥満改善用食品B1や肥満改善用食品D1~D3を被験者に摂取させることで、肥満改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てて、12週に亘り食品を摂取させ、各測定日に体脂肪率の測定を行った。その結果を
図3に示す。
【0069】
図3からも分かるように、機能成分のうちカンナビジオールのみ含有する比較用食品X1と比較すると、肥満改善用食品B1や肥満改善用食品D1,D2のいずれを摂取させた群においても体脂肪率の変化の有意な低下(p<0.05)が認められ、難消化性高分子化合物である難消化性デキストリンとポリフェノール類であるフェルラ酸との両者が相乗的に作用して痩身補助組成物として機能した結果、カンナビジオールの肥満改善作用が助長されたことが示された。
【0070】
一方、難消化性デキストリンの含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の1重量部に相当する35mgとした肥満改善用食品D3は、カンナビジオールのみ含有する比較用食品X1と同程度の体脂肪率の変化であり、難消化性デキストリンが減量された結果、各機能成分は相乗的には作用しておらず痩身補助組成物としての機能は発現しなかったものと考えられた。
【0071】
(5)ポリフェノール類の含有量検討のための肥満改善用食品の製造
ポリフェノール類の含有量の検討をすべくフェルラ酸の含有量を変化させた食品は、表3に示す4種類とした。
【表3】
【0072】
すなわち、肥満改善用食品F1は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、フェルラ酸の含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の20重量部に相当する700mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0073】
また、肥満改善用食品F2は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、フェルラ酸の含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の30重量部に相当する1050mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0074】
また、肥満改善用食品F3は、先の肥満改善用食品A1の処方と比較して、フェルラ酸の含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の1重量部に相当する35mgとし、その他の機能成分は同じ含有量としつつ澱粉で合計重量を調整した肥満改善用食品である。
【0075】
(6)フェルラ酸含有量を変化させた場合の助長効果確認
次に、上記肥満改善用食品B1や肥満改善用食品F1~F3を被験者に摂取させることで、肥満改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てて、12週に亘り食品を摂取させ、各測定日に体脂肪率の測定を行った。その結果を
図4に示す。
【0076】
図4からも分かるように、機能成分のうちカンナビジオールのみ含有する比較用食品X1と比較すると、肥満改善用食品B1や肥満改善用食品F1,F2のいずれを摂取させた群においても体脂肪率の変化の有意な低下(p<0.05)が認められ、難消化性高分子化合物である難消化性デキストリンとポリフェノール類であるフェルラ酸との両者が相乗的に作用して痩身補助組成物として機能した結果、カンナビジオールの肥満改善作用が助長されたことが示された。
【0077】
一方、フェルラ酸の含有量を、食品の全重量を100重量部とした際の1重量部に相当する35mgとした肥満改善用食品F3は、カンナビジオールのみ含有する比較用食品X1と同程度の体脂肪率の変化であり、フェルラ酸が減量された結果、各機能成分は相乗的には作用しておらず痩身補助組成物としての機能は発現しなかったものと考えられた。
【0078】
上述してきたように、本実施形態に係る肥満改善用食品によれば、カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物と、を含む肥満改善用食品であって、前記痩身補助組成物は、難消化性高分子化合物とポリフェノール類とよりなることとしたため、カンナビジオールが有する肥満改善作用を助長する痩身補助組成物を含有させた肥満改善用食品を提供することができる。
【0079】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。