(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】入眠改善用食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20241106BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20241106BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/05
A61P25/20
(21)【出願番号】P 2023553144
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2022039802
(87)【国際公開番号】W WO2023074708
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021174128
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521467869
【氏名又は名称】シード医療製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 梓
(72)【発明者】
【氏名】堤 巌
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-525549(JP,A)
【文献】特開2014-047213(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0169759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0384051(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0281890(US,A1)
【文献】特開2018-020972(JP,A)
【文献】特開2020-182384(JP,A)
【文献】Kesner, A. J. et al.,Cannabinoids, Endocannabinoids and Sleep,Frontiers in Molecular Neuroscience,2020年07月22日,Vol. 13,Article 125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/105
A61K 31/05
A61P 25/20
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオールと、
同カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物と、を含む入眠改善用食品であって、
前記睡眠導入補助組成物は、ビタミンとアミノ酸とミネラルよりなり、
前記ビタミンは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.1~10重量部の割合で含まれ
たビタミンB6
であり、
前記アミノ酸は、γ-アミノ酪酸であって100重量部の前記入眠改善用食品中に5~20重量部含まれる第1のアミノ酸と、タウリ
ンであって100重量部の前記入眠改善用食品中に0.1~12重量部含まれる第2のアミノ酸と、の両方を含み、
前記ミネラルは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.2~15重量部の割合で含まれ
たカルシウ
ムであることを特徴とする入眠改善用食品。
【請求項2】
前記カンナビジオールは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれることを特徴とする請求項
1に記載の入眠改善用食品。
【請求項3】
剤形を粉末、細粒、顆粒、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体又は錠剤としたことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の入眠改善用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入眠改善用食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多発性硬化症、神経性疼痛、がん、動脈硬化、肥満、メタボリック症候群、糖尿病に有用な物質として、麻に含まれるカンナビジオールが知られている。
【0003】
カンナビジオールは、カンナビノイドでありながら向精神薬として知られるテトラヒドロカンナビノールとは異なり陶酔性や多幸感がなく、乱用や依存、耐性は見られないことから、近年では様々な医薬品や健康食品にも配合されている。
【0004】
具体的な一例としては、カンナビジオールを含有するオイルとフコイダンを配合した抗腫瘍、抗アレルギー作用を有する健康食品が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カンナビジオールは、上述の様々な作用に加え、睡眠障害を改善する作用も有していることが知られている。
【0007】
しかし、カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用をより助長し得るような組成、食品に配合可能な成分で構成された組成物は未だ提案されていない。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物を含有させた入眠改善用食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る入眠改善用食品では、(1)カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物と、を含む入眠改善用食品であって、前記睡眠導入補助組成物は、ビタミンとアミノ酸とミネラルよりなり、前記ビタミンは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.1~10重量部の割合で含まれたビタミンB6であり、前記アミノ酸は、γ-アミノ酪酸であって100重量部の前記入眠改善用食品中に5~20重量部含まれる第1のアミノ酸と、タウリンであって100重量部の前記入眠改善用食品中に0.1~12重量部含まれる第2のアミノ酸と、の両方を含み、前記ミネラルは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.2~15重量部の割合で含まれたカルシウムであることとした。
【0010】
また、本発明に係る入眠改善用食品では、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記カンナビジオールは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれること。
(3)剤形を粉末、細粒、顆粒、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体又は錠剤としたこと。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る入眠改善用食品によれば、カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物と、を含む入眠改善用食品であって、前記睡眠導入補助組成物は、ビタミンとアミノ酸とミネラルよりなることとしたため、カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物を含有させた入眠改善用食品を提供することができる。
【0012】
また、前記カンナビジオールは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれることとすれば、カンナビジオールに由来する睡眠障害改善作用をより堅実に享受することができる。
【0013】
また、前記ビタミンは、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、葉酸から選ばれる少なくともいずれか1つを含むこととすれば、これら以外のビタミンのみを睡眠導入補助組成物の成分として配合した場合と比較して、睡眠障害改善作用をより顕著に助長することができる。
【0014】
また、前記ビタミンは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.1~10重量部の割合で含まれることとすれば、睡眠障害改善作用をより堅実に助長することができる。
【0015】
また、前記アミノ酸は、γ-アミノ酪酸である第1のアミノ酸と、タウリン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、グリシン、システイン、セリンから選ばれる少なくともいずれか1つである第2のアミノ酸と、の両方を含むこととすれば、第1及び第2のアミノ酸を併用しない場合と比較して、睡眠障害改善作用をより顕著に助長することができる。
【0016】
また、100重量部の前記入眠改善用食品中に、前記第1のアミノ酸を5~20重量部、前記第2のアミノ酸を0.1~12重量部含むこととすれば、睡眠障害改善作用をより堅実に助長することができる。
【0017】
また、前記ミネラルは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛から選ばれる少なくともいずれか1つであることとすれば、これら以外のミネラルのみを睡眠導入補助組成物の成分として配合した場合と比較して、睡眠障害改善作用をより顕著に助長することができる。
【0018】
また、前記ミネラルは、100重量部の前記入眠改善用食品中に0.2~15重量部の割合で含まれることとすれば、睡眠障害改善作用をより堅実に助長することができる。
【0019】
また、剤形を粉末、細粒、顆粒、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体又は錠剤とすれば、若年層から年配者まで、年齢に適した剤形で入眠改善用食品の摂取を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】入眠改善用食品の効果確認試験の結果を示すグラフである。
【
図2】入眠改善用食品の効果確認試験の結果を示すグラフである。
【
図3】入眠改善用食品の効果確認試験の結果を示すグラフである。
【
図4】入眠改善用食品の効果確認試験の結果を示すグラフである。
【
図5】入眠改善用食品の効果確認試験の結果を示すグラフである。
【
図6】入眠改善用食品の効果確認試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は入眠改善用食品に関し、特にカンナビジオールと、同カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物と、を含む入眠改善用食品に関するものである。
【0022】
従来、麻種子又は麻茎から得られるカンナビジオール(Cannabidiol:CBD)が心身疾患に対して有用な効果を示すことが薬学研究や臨床研究で知られている。
【0023】
このカンナビジオールは、成熟した大麻草(Cannabis sativa L.)の種子や茎より得られる成分であることから、日本では大麻取締法の観点から誤解を招き食品の成分としては敬遠される傾向にあった。
【0024】
しかし、カンナビジオールは大麻取締法に定める覚醒作用を有する所謂「マリファナや大麻」とは全く異なるものである。大麻取締法に定める「大麻」とは、1年草の大麻草の花穂と葉、又はそれらを由来とする成分である炭素数21の化合物を意味する。このような成分の代表がマリファナの主成分となるテトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol:THC)である。
【0025】
すなわち、本発明にも使用されるカンナビジオールは、テトラヒドロカンナビノールとは構造も生理作用も全く異なる成分であり、マリファナの様な覚醒作用や精神作用を呈さない安全な産業用大麻草成熟草の種子又は茎から得られるポリフェノール構造体である。
【0026】
また、カンナビジオールは、全身のカンナビジオール受容体に作用して有用な効果を種々呈することが薬理学的及び臨床医学的に知られており、特に、不安やうつ病、不眠症、総合失調症、諸神経疾患など心身疾患に対して有用であるとされている。
【0027】
それゆえ、カンナビジオールは、本邦においても既に化粧品や加工食品に配合され商品化されている。
【0028】
ところが、カンナビジオールを含有する従来公知の食品は、カンナビジオール単一成分の作用に特化したものであり、本来カンナビジオールが有する生体生理的作用を相乗的な観点から処方化したものでは無い。
【0029】
すなわち、カンナビジオールの有する生体生理作用は、本来生命体が有する生理機能を促すものであり、カンナビジオール製剤を商品化する場合は、代謝の促進や、生体神経系シナプス電位を整え、脳神経伝達促進等の生理代謝促進を考慮した処方設計が重要となる。
【0030】
本来、カンナビジオールは、生物活性機能を促進し整える機能を有する成分であり、生物生体内に存在する代謝酵素や神経伝達機能、代謝機能、ホルモンなどの生理活性物質に作用する所謂トリガー的な作用機序を有するものである。
【0031】
従って、カンナビジオール単体成分の摂取において期待できる生理作用は極めて限られるものであり、先述有用作用を呈するには促進相乗成分との併用が効果的といえる。
【0032】
特に、不眠症改善を目的とする製剤化においては、カンナビジオール本来の作用機序である脳中枢神経や大脳皮質、海馬、小脳、脳幹、大脳基底核、視床下部などに点在するカンナビノイド受容体(CB1、CB2)に作用しなければ所望する効果は期待できない。
【0033】
この点、本実施形態に係る入眠改善用食品では、カンナビジオールと、同カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長する睡眠導入補助組成物とを配合したことにより、カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長可能な入眠改善用食品の実現を図ることとしている。
【0034】
しかも、本実施形態に係る入眠改善用食品の特徴の一つである睡眠導入補助組成物は、ビタミンとアミノ酸とミネラルよりなることとしている。すなわち、睡眠導入補助組成物の構成要素がいずれも食品成分であることにより、日々の食生活の一環として入眠の改善を図ることが可能となる。
【0035】
カンナビジオールは、100重量部の入眠改善用食品中に0.05~10重量部の割合で含まれるのが望ましい。このような濃度にてカンナビジオールを含有させておくことにより、カンナビジオールに由来する睡眠障害改善作用をより堅実に享受することができる。
【0036】
睡眠導入補助組成物を構成するビタミンは、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、葉酸から選ばれる少なくともいずれか1つを含有させることができる。
【0037】
またビタミンは、100重量部の入眠改善用食品中に0.1~10重量部の割合で含まれるのが望ましい。このような濃度にてビタミンを含有させることにより、他の睡眠導入補助組成物の構成成分であるアミノ酸やミネラルと共に機能してカンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を堅実に助長することができる。
【0038】
また睡眠導入補助組成物を構成するアミノ酸は第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とで構成され、100重量部の入眠改善用食品中に、第1のアミノ酸を5~20重量部、第2のアミノ酸を0.1~12重量部含むのが望ましい。
【0039】
また第1のアミノ酸はγ-アミノ酪酸であり、第2のアミノ酸はタウリン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、グリシン、システイン、セリンから選ばれる少なくともいずれか1つのアミノ酸である。
【0040】
そして、このような構成とすることにより、他の睡眠導入補助組成物の構成成分であるビタミンやミネラルと共に機能してカンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を堅実に助長することができる。
【0041】
また睡眠導入補助組成物を構成するミネラルは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛から選ばれる少なくともいずれか1つであって、100重量部の入眠改善用食品中に0.2~15重量部の割合で含まれるのが望ましい。このような構成とすることにより、他の睡眠導入補助組成物の構成成分であるビタミンやアミノ酸と共に機能してカンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を堅実に助長することができる。
【0042】
以下、本実施形態に係る入眠改善用食品について、実際の製造例や効果確認試験の結果を参照しながら更に説明する。
【0043】
〔1〕基本処方での効果確認試験
(1)入眠改善用食品の製造
0.005重量部のカンナビジオールと、睡眠導入補助組成物としての0.01重量部のビタミンB6、0.1重量部のγ-アミノ酪酸(0.01重量部のタウリン及びミネラルを構成する食品添加物用のカルシウム製剤(カルシウムとして0.01重量部)、基材としての1.865重量部の澱粉とを混合して混合粉体を調製した後に錠剤とし、本実施形態に係る入眠改善用食品A1とした。2gの入眠改善用食品A1中に含まれるカンナビジオールは0.005g、ビタミンB6は0.01g、γ-アミノ絡酸は0.1g、タウリンは0.01g、カルシウムは0.01gである。なお、本入眠改善用食品の製造においては澱粉を用いているが、ソフトカプセル、ハードカプセル、ゼリー状、グミ状、液体等、食品の性状に応じて、寒天等を添加してもよい。
【0044】
また比較のため、下記の比較用食品X1~X7も調製した。比較用食品X1~X7は入眠改善用食品A1と同様の製造方法であるが、一部原料を欠いたものである。以下の表1に入眠改善用食品A1及び比較用食品X1~X7の配合を示す。なお、比較用食品X1~X7においては、製剤のための澱粉により食品重量が所定量(2g)となるように調整した。
【0045】
【0046】
具体的には、比較用食品X1は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールを含むものであり、肥満改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物としてのビタミンB6、γ-アミノ酪酸、タウリン、カルシウムのいずれも含有しない食品である。
【0047】
比較用食品X2は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールと、0.01gのビタミンB6と、を含むものであり、入眠改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物を構成するγ-アミノ酪酸、タウリン及びカルシウムを含有しない食品である。
【0048】
比較用食品X3は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールと、0.01gのビタミンB6、0.1gのγ-アミノ酪酸と、0.01gのタウリンと、を含むものであり、入眠改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物を構成するカルシウムを含有しない食品である。
【0049】
比較用食品X4は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールと、0.01gのビタミンB6と、0.01gのカルシウムと含むものであり、入眠改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物を構成するγ-アミノ酪酸及びタウリンを含有しない食品である。
【0050】
比較用食品X5は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールと、0.1gのγ-アミノ酪酸と、0.01gのタウリンとを含むものであり、入眠改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物を構成するビタミンB6及びカルシウムを含有しない食品である。
【0051】
比較用食品X6は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールと、0.1gのγ-アミノ酪酸と、0.01gのタウリンと、0.01gのカルシウムと、を含むものであり、入眠改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物を構成するビタミンB6を含有しない食品である。
【0052】
比較用食品X7は、当該食品2g中に0.005gのカンナビジオールと、0.01gのカルシウムと、を含むものであり、入眠改善用食品A1と比較すると睡眠導入補助組成物を構成するビタミンB6及びγ-アミノ酪酸及びタウリンを含有しない食品である。
【0053】
(2)ヒト試験
次に、本実施形態に係る入眠改善用食品A1に関し、睡眠導入補助組成物の含有によってカンナビジオールが有する睡眠障害改善作用が助長されるかについて確認を行うべく、ヒト試験を行った。
【0054】
被験者は20~50代の男女であり、入眠改善用食品A1を摂取させる群(以下、被験A1群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X1を摂取させる群(以下、比較第X1群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X2を摂取させる群(以下、比較第X2群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X3を摂取させる群(以下、比較第X3群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X4を摂取させる群(以下、比較第X4群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X5を摂取させる群(以下、比較第X5群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X6を摂取させる群(以下、比較第X6群という。)に6名(男性3名、女性3名)、比較用食品X7を摂取させる群(以下、比較第X7群という。)に6名(男性3名、女性3名)を、募集した男性24名、女性24名の中からそれぞれ3名ずつランダムに割り当てた。なお、以下の説明において比較第X1~X7群を総称して比較群ともいう。
【0055】
被験A1群には、入眠改善用食品A1を12週間に亘り1日の夕食後に、表1に示す量の各成分を含む2g分の錠剤を各被験者に摂取させた。同様に比較群に対しても対応する比較用食品X1~X7のいずれかを12週間に亘り1日の夕食後に、表1に示す量の各成分を含む2g分の錠剤を各被験者に摂取させた。
【0056】
また、睡眠障害の主な症状として、ベッドに横たわるなどして睡眠体制に入ったときから実際に眠りにつく入眠までに時間がかかる(いわゆる、寝付きの悪さ)、もしくは眠りを維持できない中途覚醒が挙げられる。本試験では、「アテネ不眠尺度(AIS)」に従った被験者の主観評価により睡眠障害改善作用の助長効果について確認することとした。各被験者は、少なくとも、試験開始前、4週間後、8週間後、12週間後の各時点での睡眠状態を「アテネ不眠尺度(AIS)」に従って回答することとした。また、試験期間中においては、被験者は試験開始前と変わらない生活でよいことを伝達した。
【0057】
各被験者から回収した「アテネ不眠尺度(AIS)」による回答は、各測定項目の平均値を算出するとともに、各回答時点での平均値に対して所定の統計処理を行った。試験結果を
図1に示す。グラフの横軸は試験開始前、4週間後、8週間後、12週間後の各時点を示し、縦軸は変化値を示す。また、「アテネ不眠尺度(AIS)」では各測定項目の点数が高いほど不眠症の可能性が高いとされている。このため、図に示すグラフにおいて、変化値のマイナス値が大きくなるほど、睡眠状態が改善されたと評価できる。
【0058】
まず、カンナビジオールと睡眠導入補助組成物であるビタミン(ビタミンB6)、アミノ酸(γ-アミノ酪酸及びタウリン)及びミネラル(カルシウム)との3つの機能成分のうち、カンナビジオールのみ含有する比較用食品X1を摂取した比較第X1群では、緩やかな睡眠改善効果が認められた。
【0059】
また、カンナビジオールの他の機能成分のうちビタミンB6を含有する比較用食品X2を摂取した比較第X2群や、ビタミンB6、γ-アミノ酪酸及びタウリンを含有する比較用食品X3を摂取した比較第X3群、ビタミンB6及びカルシウムを含有する比較用食品X4を摂取した比較第X4群、γ-アミノ酪酸及びタウリンを含有する比較用食品X5を摂取した比較第X5群、γ-アミノ酪酸、タウリン及びカルシウムを含有する比較用食品X6を摂取した比較第X6群、カルシウムを含有する比較用食品X7を摂取した比較第X7群についても、比較第X1群と概ね同様に緩やかな改善傾向が認められた。
【0060】
これら比較第X1群~比較第X7群における睡眠障害の改善傾向は、おそらくカンナビジオールが元来有している睡眠障害改善作用により惹起されたものと考えられた。また、比較第X2群から比較第X7群は比較第X1群と同様の挙動を示したことから、ビタミン(ビタミンB6)、アミノ酸(γ-アミノ酪酸及びタウリン)、ミネラル(カルシウム)のそれぞれ単独、及び、3つの機能成分から2つを選択した場合でのカンナビジオールの睡眠障害改善作用の助長効果は確認できなかった。
【0061】
一方、カンナビジオールと睡眠導入補助組成物であるビタミン(ビタミンB6)、アミノ酸(γ-アミノ酪酸及びタウリン)、ミネラル(カルシウム)の3つの機能成分の全てを含む入眠改善用食品A1を摂取した被験A1群(黒丸)は、比較第X1群~比較第X7群のそれぞれとの間で、特に第12週に睡眠状態の変化に有意差が認められた。
【0062】
このことから、本実施形態に係る入眠改善用食品A1に含まれる睡眠導入補助組成物は、カンナビジオールが有する睡眠障害改善作用を助長することが示された。
【0063】
このことから、ビタミンの一種であるビタミンB6、第1のアミノ酸であるγ-アミノ酪酸、第2のアミノ酸であるタウリン及びミネラル成分であるカルシウムが相乗的に作用して睡眠導入補助組成物として機能した結果、カンナビジオールの睡眠障害改善作用が助長されたことが示された。
【0064】
〔2〕含有割合を変更させた場合の効果確認試験
次に、睡眠障害改善用食品中におけるカンナビジオール、ビタミン、アミノ酸及びミネラルの含有量を変化させた場合、どの程度であれば睡眠障害改善作用の助長効果が惹起されるのかについて、入眠改善用食品B1をベースとして複数の比較用食品を調製し、それぞれについて検討を行った。なお、入眠改善用食品B1は、先の入眠改善用食品A1に比べて、カンナビジオールを5分の1量(0.001g)、ビタミンB6を5分の1量(0.002g)、γ-アミノ酪酸を同量(0.1g)、タウリンを5分の1量(0.002g)、カルシウムを5分の2量(0.004g)含有する食品である。
【0065】
(1)カンナビジオール含有量検討のための入眠改善用食品の製造
入眠改善用食品B1をベースにカンナビジオールの含有量を変化させた食品は、表1に示す比較用食品C1,C2の2種類とした。比較用食品C1,C2は、カンナビジオールをそれぞれ入眠改善用食品B1の200倍及び300倍量含むものである。
【表2】
【0066】
(2)カンナビジオール含有量を変化させた場合の効果確認(ヒト試験)
次に、上記入眠改善用食品B1や入眠改善用食品C1,C2を被験者に摂取させることで、睡眠障害改善作用の効果について確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、入眠改善用食品B1を摂取させる群(以下、被験B1群という。)、比較用食品C1を摂取させる群(以下、比較第C1群という。)、比較用食品C2を摂取させる群(以下、比較第C2群という。)の各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てた。各被験者に12週に亘り食品を摂取させ、各被験者から試験開始前及び試験期間中の所定の時点での「アテネ不眠尺度(AIS)」の回答を収集した。その結果を
図2に示す。なお、
図2中のグラフの縦軸及び横軸は
図1と同様である。また、
図2のグラフにおいて、表1の睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第1群(黒三角)の結果も併せて示している。また、以下の説明において比較第X1~X7群と同様に比較第C1~C2群を総称して比較群ともいう。
【0067】
図2に示すように、睡眠状態に関し、被験B1群と、カンナビジオールを入眠改善用食品B1の200倍量(0.2g)含有する比較用食品C1を摂取した比較第C1群と、カンナビジオールを入眠改善用食品B1の300倍量(0.3g)含有する比較用食品C2を摂取した比較第C2群とは、入眠改善用食品B1を摂取した被験B1群と大凡同等の挙動を示した。比較第C1群と比較第C2群との間に、入眠改善効果の差異は見られなかった。比較第C1群と比較第C2群は、比較第X1群との間で、特に第12週に睡眠状態の変化に有意差が認められた。
【0068】
また、比較第C1群と比較第C2群とは、睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第1群に比べて、変化値がよりマイナスに大きくなっている。すなわち、ミネラル、アミノ酸、ビタミンの3成分を含む睡眠導入補助組成物により、カンナビジオールの睡眠障害改善作用が助長されたことが示された。
【0069】
(3)ビタミン含有量検討のための入眠改善用食品の製造
入眠改善用食品B1をベースにビタミンB6の含有量を変化させた食品は、表3に示す比較用食品V1,V2,V3の3種類とした。なお、本表の入眠改善用食品B1は表2の入眠改善用食品B1であり、比較用食品V1,V2,V3は、ビタミンB6の含有量を入眠改善用食品B1の2分の1量から150倍量まで変化させたものである。
【0070】
【0071】
(4)ビタミン含有量を変化させた場合の助長効果確認(ヒト試験)
次に、上記入眠改善用食品B1や比較用食品V1,V2,V3を被験者に摂取させることで、睡眠障害改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、比較用食品V1を摂取させる群(以下、比較第V1群という。)、比較用食品V2を摂取させる群(以下、比較第V2群という。)、比較用食品V3を摂取させる群(以下、比較第V3群という。)の各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てた。各被験者に12週に亘り食品を摂取させ、各被験者から試験開始前及び試験期間中の所定の時点での「アテネ不眠尺度(AIS)」の回答の記録を収集した。その結果を
図3に示す。なお、
図3中のグラフの縦軸及び横軸は
図1と同様である。また、
図3のグラフにおいて、表1の睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第X1群(黒三角)の結果も併せて示している。また、以下の説明において比較第X1~X7群と同様に比較第V1~V3群を総称して比較群ともいう。
【0072】
図3に示すように、睡眠状態に関し、ビタミンB6を入眠改善用食品B1の100倍量(0.2g)含有する比較用食品V1を摂取した比較第V1群と、ビタミンB6を入眠改善用食品B1の150倍量(0.3g)含有する比較用食品V2を摂取した比較第V2群とは、入眠改善用食品B1を摂取した被験B1群と大凡同等の挙動を示した。比較第V1群と比較第V2群との間に、入眠改善効果の差異は見られなかった。比較第V1群と比較第V2群は、比較第X1群との間で、特に第12週に睡眠状態の変化に有意差が認められた。
【0073】
また、ビタミンB6を入眠改善用食品B1の2分の1量(0.001g)含有する比較用食品V3を摂取した比較第V3群では、比較用食品V3の摂取の前後で、睡眠状態の変化に緩やかな改善傾向がみられたが、比較第V1群および比較第V2群に比べてその変化は小さなものであった。比較第V2群の睡眠状態の変化は、被験B1群よりも睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第X1群に近い挙動を示した。すなわち、睡眠導入補助組成物にビタミン、ミネラル、アミノ酸を所定量以上含むことにより、カンナビジオールの睡眠障害改善作用が助長されることが示された。
【0074】
(5)第1アミノ酸含有量検討のための入眠改善用食品の製造
入眠改善用食品B1をベースにアミノ酸のうち第1のアミノ酸であるγ-アミノ酪酸の含有量を変化させた食品は、表4に示す比較用食品a1,a2,a3の3種類とした。なお、本表の入眠改善用食品B1は表2及び表3の入眠改善用食品B1であり、比較用食品a1,a2,a3は、γ-アミノ酪酸の含有量を入眠改善用食品B1の5分の1量から5倍量まで変化させたものである。
【0075】
【0076】
(6)第1アミノ酸含有量を変化させた場合の助長効果確認(ヒト試験)
次に、上記入眠改善用食品B1や比較用食品a1,a2,a3を被験者に摂取させることで、睡眠障害改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、比較用食品a1を摂取させる群(以下、比較第a1群という。)、比較用食品a2を摂取させる群(以下、比較第a2群という。)、比較用食品a3を摂取させる群(以下、比較第a3群という。)の各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てた。各被験者に12週に亘り食品を摂取させ、各被験者から試験開始前及び試験期間中の所定の時点での「アテネ不眠尺度(AIS)」の回答を収集した。その結果を
図4に示す。なお、
図4中のグラフの縦軸及び横軸は
図1と同様である。また、
図4のグラフにおいて、表1の睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第1群(黒三角)の結果も併せて示している。また、以下の説明において比較第X1~X7群と同様に比較第a1~a3群を総称して比較群ともいう。
【0077】
図4に示すように、睡眠状態に関し、γ-アミノ酪酸を入眠改善用食品B1の4倍量(0.4g)含有する比較用食品a1を摂取した比較第a1群と、γ-アミノ酪酸を入眠改善用食品B1の5倍量(0.5g)含有する比較用食品a2を摂取した比較第a2群とは、入眠改善用食品B1を摂取した被験B1群と大凡同等の挙動を示した。比較第a1群と比較第a2群との間に、入眠改善効果の差異は見られなかった。比較第a1群と比較第a2群は、比較第X1群との間で、特に第12週に睡眠状態の変化に有意差が認められた。
【0078】
また、γ-アミノ酪酸を入眠改善用食品B1の5分の1量(0.02g)含有する比較用食品a3を摂取した比較第a3群では、睡眠状態の変化に緩やかな改善傾向がみられたが、比較第a1群および比較第a2群に比べてその変化は小さなものであった。比較第a3群の睡眠状態の変化は、被験B1群よりも睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第X1群に近い挙動を示した。すなわち、睡眠導入補助組成物にビタミン、ミネラル、アミノ酸を所定量以上含むことにより、カンナビジオールの睡眠障害改善作用が助長されることが示された。
【0079】
(7)第2アミノ酸含有量検討のための入眠改善用食品の製造
入眠改善用食品B1をベースにアミノ酸のうち第2アミノ酸であるタウリンの含有量を変化させた食品は、表5に示す比較用食品aa1,aa2,aa3の3種類とした。なお、本表の入眠改善用食品B1は表2~表4の入眠改善用食品B1であり、比較用食品aa1,a2,aa3は、タウリンの含有量を入眠改善用食品B1の10分の1量から150倍量まで変化させたものである。
【0080】
【0081】
(8)第2アミノ酸含有量を変化させた場合の助長効果確認(ヒト試験)
次に、上記入眠改善用食品B1や比較用食品aa1,aa2,aa3を被験者に摂取させることで、睡眠障害改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、比較用食品aa1を摂取させる群(以下、比較第aa1群という。)、比較用食品aa2を摂取させる群(以下、比較第aa2群という。)、比較用食品aa3を摂取させる群(以下、比較第aa3群という。)の各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てた。各被験者に12週に亘り食品を摂取させ、各被験者から試験開始前及び試験期間中の所定の時点での「アテネ不眠尺度(AIS)」の回答を収集した。その結果を
図5に示す。なお、
図5中のグラフの縦軸及び横軸は
図1と同様である。また、
図5のグラフにおいて、表1の睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第1群(黒三角)の結果も併せて示している。
【0082】
図5に示すように、睡眠状態に関し、タウリンを入眠改善用食品B1の120倍量(0.24g)含有する比較用食品aa1を摂取した比較第aa1群と、タウリンを入眠改善用食品B1の150倍量(0.3g)含有する比較用食品aa2を摂取した比較第aa2群とは、入眠改善用食品B1を摂取した被験B1群と大凡同等の挙動を示した。比較第aa1群と比較第aa2群との間に、入眠改善効果の差異は見られなかった。第aa1群と比較第aa2群は、比較第X1群との間で、特に第12週に睡眠状態の変化に有意差が認められた。
【0083】
また、タウリンを入眠改善用食品B1の10分の1量(0.0002g)含有する比較用食品aa3を摂取した比較第aa3群では、睡眠状態の変化に緩やかな改善傾向がみられたが、比較第aa1群および比較第aa2群に比べてその変化は小さなものであった。比較第aa3群の睡眠状態の変化は、被験B1群よりも睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第X1群に近い挙動を示した。すなわち、睡眠導入補助組成物にビタミン、ミネラル、アミノ酸を所定量以上含むことにより、カンナビジオールの睡眠障害改善作用が助長されたことが示された。
【0084】
(9)ミネラル含有量検討のための入眠改善用食品の製造
入眠改善用食品B1をベースにミネラル成分であるカルシウムの含有量を変化させた食品は、表6に示す比較用食品M1,M2,M3の3種類とした。なお、本表の入眠改善用食品B1は表2~表5の入眠改善用食品B1であり、比較用食品M1,M2,M3は、カルシウムの含有量を入眠改善用食品B1の2分の1量から100倍量まで変化させたものである。
【0085】
【0086】
(10)ミネラル含有量を変化させた場合の助長効果確認
次に、上記入眠改善用食品B1や比較用食品M1,M2,M3を被験者に摂取させることで、睡眠障害改善作用の助長効果が惹起されるかについて確認を行った。なお、試験方法は前述の「〔1〕基本処方での効果確認試験」と同様であり、比較用食品M1を摂取させる群(以下、比較第M1群という。)、比較用食品M2を摂取させる群(以下、比較第M2群という。)、比較用食品M3を摂取させる群(以下、比較第M3群という。)の各群に男女3名ずつ6名の被験者を割り当てた。各被験者に12週に亘り食品を摂取させ、各被験者から試験開始前及び試験期間中の所定の時点での「アテネ不眠尺度(AIS)」の回答を収集した。その結果を
図6に示す。なお、
図6中のグラフの縦軸及び横軸は
図1と同様である。また、
図6のグラフにおいて、表1の睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第X1群(黒三角)の結果も併せて示している。
【0087】
図6に示すように、睡眠状態に関し、カルシウムを入眠改善用食品B1の75倍量(0.3g)含有する比較用食品M1を摂取した比較第M1群(白抜き丸)と、カルシウムを入眠改善用食品B1の100倍量(0.4g)含有する比較用食品M2を摂取した比較第M2群(白抜き四角)とは、入眠改善用食品B1を摂取した被験B1群と大凡同等の挙動を示した。比較第M1群と比較第M2群との間に、入眠改善効果の差異は見られなかった。比較第M1群と比較第M2群は、比較第X1群との間で、特に第12週に睡眠状態の変化に有意差が認められた。
【0088】
また、カルシウムを入眠改善用食品B1の2分の1量(0.002g)含有する比較用食品M3を摂取した比較第M3群では、比較用食品M3の摂取の前後で、睡眠状態の変化に緩やかな改善傾向がみられたが、比較第M1群および比較第M2群に比べてその変化は小さなものであった。比較第M3群の睡眠状態の変化は、被験B1群よりも睡眠導入補助組成物を含まない比較用食品X1を摂取させた比較第X1群に近い挙動を示した。すなわち、睡眠導入補助組成物にビタミン、ミネラル、アミノ酸を所定量以上含むことにより、カンナビジオールの睡眠障害改善作用が助長されることが示された。
【0089】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。