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特許7582731積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201C
H01G4/30 201L
H01G4/30 311Z
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 517
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018203644
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020027929
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0092773
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジ ホン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョ
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】畑中 博幸
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-16796(JP,A)
【文献】特開2014-96551(JP,A)
【文献】特開2017-228591(JP,A)
【文献】特開2018-67566(JP,A)
【文献】特開2014-204114(JP,A)
【文献】特開2014-68000(JP,A)
【文献】特開2017-112320(JP,A)
【文献】特開2008-153309(JP,A)
【文献】特開2018-148118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面、及び前記第1面~第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有するセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、サイドマージン部の外側面に隣接した第1領域と、前記第1面及び第2面に露出した内部電極に隣接した第2領域とに層内で分けられ、前記第1領域はマグネシウム(Mg)を含み、前記第2領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多く、
前記第2領域のマグネシウム(Mg)の含量は、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して10モル以上30モル以下である、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記複数の内部電極のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さに対して、最外側に配置される内部電極の末端と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さの比率が0.9以上1.0以下である、請求項1記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記複数の内部電極のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さに対して、前記セラミック本体の角と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さの比率が0.9以上1.0以下である、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記誘電体層の厚さが0.4μm以下であり、前記内部電極の厚さが0.4μm以下である、請求項1からの何れか1つに記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、平均厚さが2μm以上10μm以下である、請求項1からの何れか1つに記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1領域の幅が12μm以下であり、第2領域の幅が3μm以下である、請求項1からの何れか1つに記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、それぞれ1つのセラミックグリーンシートを用いて形成される、請求項1から6の何れか1つに記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート、及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを製造する段階と、
前記第1内部電極パターンと前記第2内部電極パターンが交差されるように前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートを積層することで、セラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、
前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように前記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階と、
前記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階と、
前記切断した積層本体を焼成することで、誘電体層と第1及び第2内部電極を含むセラミック本体を製造する段階と、を含む積層セラミックキャパシタの製造方法であって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、サイドマージン部の外側面に隣接した第1領域と、前記第1及び第2内部電極に隣接した第2領域とに層内で分けられ、前記第1領域はマグネシウム(Mg)を含み、前記第2領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多く、
前記第2領域のマグネシウム(Mg)の含量は、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して10モル以上30モル以下である、積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記第1セラミックグリーンシート及び第2セラミックグリーンシートの厚さが0.6μm以下であり、第1及び第2内部電極パターンの厚さが0.5μm以下である、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2内部電極のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さに対して、最外側に配置される内部電極の末端と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さの比率が0.9以上1.0以下である、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記第1及び第2内部電極のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さに対して、前記セラミックグリーンシート積層本体の角と接する前記第1サイドマージン部または第2サイドマージン部領域の厚さの比率が0.9以上1.0以下である、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部は、平均厚さが2μm以上10μm以下である、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記第1領域の幅が12μm以下であり、第2領域の幅が3μm以下である、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記内部電極の厚みは、0.4μm以下である、請求項1からの何れか1つに記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記誘電体層の厚みは、0.4μm以下である、請求項1からの何れか1つに記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階は、それぞれ1つのセラミックグリーンシートを用いて前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階である、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドマージン部に含まれるマグネシウム(Mg)の含量を調節することで、内部電極の酸化層の長さを制御し、信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、本体の内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるようにセラミック本体の表面に設けられた外部電極と、を備える。
【0003】
近年、電子製品の小型化及び多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタにも、小型でありながらも、容量が大きい高容量の製品が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、電極有効面積の最大化(容量の実現に必要な有効体積分率の増加)が求められる。
【0005】
上記のように小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることで、マージンのない設計によって内部電極の幅方向の面積を最大化するとともに、かかるチップの製作後に、焼成前の段階で、チップの幅方向の電極露出面にマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。
【0006】
しかしながら、上記の方法において、サイドマージン部を形成する過程で、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面にボイド(void)が多く生成され、信頼性が低下し得る。
【0007】
また、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)によって電界の集中が発生し、これによって絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が低くなるという問題が発生する。
【0008】
また、上記ボイド(void)により、外側の焼結緻密度の低下による耐湿信頼性の低下が引き起こされる恐れがある。
【0009】
したがって、超小型及び高容量の製品において絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)の低下及び耐湿信頼性の低下を防ぐことができる研究が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第2010-0136917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、サイドマージン部に含まれるマグネシウム(Mg)の含量を調節することで、内部電極の酸化層の長さを制御し、信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面、及び上記第1面~第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を有するセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記第1面及び第2面に露出し、且つ上記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記第1面及び第2面に露出した上記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、上記第1及び第2サイドマージン部は、サイドマージン部の外側面に隣接した第1領域と、上記第1面及び第2面に露出した内部電極に隣接した第2領域とに分けられ、上記第2領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多い、積層セラミックキャパシタを提供する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート、及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを製造する段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンが交差されるように上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートを積層することで、セラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、上記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階と、上記切断した積層本体を焼成することで、誘電体層と第1及び第2内部電極を含むセラミック本体を製造する段階と、を含む積層セラミックキャパシタの製造方法であって、上記第1及び第2サイドマージン部は、サイドマージン部の外側面に隣接した第1領域と、上記第1及び第2内部電極に隣接した第2領域とに分けられ、上記第2領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多い、積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2サイドマージン部は、サイドマージン部の外側面に隣接した第1領域と、セラミック本体の第1面及び第2面に露出した内部電極に隣接した第2領域とに分けられ、上記第2領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多くなるように調節することで、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させ、信頼性を向上させることができる。
【0015】
具体的には、セラミック本体の幅方向の側面に隣接したサイドマージン部の領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量を調節することで、セラミック本体の幅方向の側面に露出した内部電極の先端の酸化層の長さを制御することができ、これにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させることができ、耐湿信頼性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
図2図1のセラミック本体の外観を示す斜視図である。
図3図2のセラミック本体の焼成前のセラミックグリーンシート積層本体を示す斜視図である。
図4図2のA方向から見た側面図である。
図5a】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5b】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5c】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5d】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す斜視図である。
図5e】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図5f】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図である。
図6】本発明の実施例と比較例による絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【0019】
図2図1のセラミック本体の外観を示す斜視図である。
【0020】
図3図2のセラミック本体の焼成前のセラミックグリーンシート積層本体を示す斜視図である。
【0021】
図4図2のA方向から見た側面図である。
【0022】
図1から図4を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される複数の内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外表面に形成される外部電極131、132と、を含む。
【0023】
上記セラミック本体110は、互いに対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面と第2面を連結する第3面3及び第4面4と、上面と下面である第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0024】
上記第1面1及び第2面2はセラミック本体110の幅方向において対面する面、上記第3面3及び第4面4は長さ方向において対面する面、上記第5面5及び第6面6は厚さ方向において対面する面と定義することができる。
【0025】
上記セラミック本体110の形状は特に制限されないが、図面に示すように、直方体形状であることができる。
【0026】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、セラミック本体の第3面3または第4面4に一端が露出する。
【0027】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対とすることができる。
【0028】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することができる。
【0029】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第3面3または第4面4から所定の間隔を置いて形成される。
【0030】
上記セラミック本体の第3面3及び第4面4には第1及び第2外部電極131、132が形成され、上記内部電極とそれぞれ電気的に接続されることができる。
【0031】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1及び第2面1、2に露出し、且つ上記第3面3または第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122と、上記第1面1及び第2面2に露出した上記内部電極121、122の端部上に配置された第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と、を含む。
【0032】
上記セラミック本体110の内部には複数の内部電極121、122が形成される。上記複数の内部電極121、122の各末端は、上記セラミック本体110の幅方向の面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した端部上に第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が配置される。
【0033】
第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の平均厚さは、2μm以上10μm以下であることができる。
【0034】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層体と、上記積層体の両側面に配置される第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113とで構成されることができる。
【0035】
上記複数の誘電体層111は焼結された状態であって、隣接する誘電体層同士の境界は、確認が不可能な程度に一体化されることができる。
【0036】
上記セラミック本体110の長さは、セラミック本体の第3面3から第4面4までの距離に相当する。
【0037】
上記誘電体層111の長さは、セラミック本体の第3面3と第4面4との間の距離を形成する。
【0038】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、セラミック本体の長さは400~1400μmであることができる。より具体的には、セラミック本体の長さは400~800μm、または、600~1400μmであることができる。
【0039】
上記誘電体層111上に内部電極121、122が形成されることができ、内部電極121、122は、焼結により、一誘電体層を間に挟んで上記セラミック本体の内部に形成されることができる。
【0040】
図3を参照すると、誘電体層111に第1内部電極121が形成される。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向においては全体的に形成されない。すなわち、第1内部電極121の一端は、セラミック本体の第4面4から所定の間隔を置いて形成されることができ、第1内部電極121の他端は、第3面3まで形成されて第3面3に露出することができる。
【0041】
セラミック本体の第3面3に露出した第1内部電極の端部は第1外部電極131と接続される。
【0042】
第1内部電極とは反対に、第2内部電極122の一端は、第3面3から所定の間隔を置いて形成され、第2内部電極122の他端は、第4面4に露出して第2外部電極132と接続される。
【0043】
上記内部電極は、高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、400層以上積層されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0044】
上記誘電体層111は第1内部電極121の幅と同一の幅を有することができる。すなわち、上記第1内部電極121は、誘電体層111の幅方向においては全体的に形成されることができる。
【0045】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~900μmであることができる。より具体的には、誘電体層の幅及び内部電極の幅は100~500μm、または、100~900μmであることができる。
【0046】
セラミック本体が小型化するにつれ、サイドマージン部の厚さが積層セラミックキャパシタの電気的特性に影響し得る。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部の厚さが10μm以下に形成され、小型化した積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができる。
【0047】
すなわち、サイドマージン部の厚さが10μm以下に形成されることで、用量を形成する内部電極の重なり面積を最大に確保し、高容量及び小型の積層セラミックキャパシタを実現することができる。
【0048】
このようなセラミック本体110は、キャパシタの容量の形成に寄与する部分としての活性部と、活性部の上下部にそれぞれ形成された上下マージン部としての上部及び下部カバー部と、で構成されることができる。
【0049】
上記活性部は、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返して積層することで形成されることができる。
【0050】
上記上部及び下部カバー部は、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0051】
すなわち、上記上部及び下部カバー部はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0052】
上記上部及び下部カバー部はそれぞれ20μm以下の厚さを有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0053】
本発明の一実施形態において、内部電極と誘電体層は同時に切断されて形成されるものであって、内部電極の幅と誘電体層の幅が同一に形成されることができる。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0054】
本実施形態において、誘電体層の幅は内部電極の幅と同一に形成される。これにより、セラミック本体110の幅方向の第1及び第2面に内部電極121、122の末端が露出することができる。
【0055】
上記内部電極121、122の末端が露出したセラミック本体110の幅方向の両側面には、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が形成されることができる。
【0056】
上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは10μm以下であることができる。上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さが小さいほど、セラミック本体内に形成される内部電極の重なり面積が相対的に広くなることができる。
【0057】
上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは、セラミック本体110の側面に露出する内部電極のショートを防止することができる厚さであれば特に制限されないが、例えば、2μm以上であることができる。
【0058】
上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが2μm未満である場合には、外部衝撃に対する機械的強度が低下する恐れがあり、上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが10μmを超える場合には、内部電極の重なり面積が相対的に減少し、積層セラミックキャパシタの高容量の確保が困難であり得る。
【0059】
積層セラミックキャパシタの容量を最大化するために、誘電体層を薄膜化する方法、薄膜化した誘電体層を高積層化する方法、内部電極のカバレッジを向上させる方法などが考えられている。
【0060】
また、容量を形成する内部電極の重なり面積を増加させる方法が考えられている。
【0061】
内部電極の重なり面積を増加させるためには、内部電極が形成されないマージン部の領域を最小化させる必要がある。
【0062】
特に、積層セラミックキャパシタが小型化するほど、内部電極の重なり領域を増加させるためには、マージン部の領域が最小化させられる必要がある。
【0063】
本実施形態によると、誘電体層の幅方向の全体に内部電極が形成され、サイドマージン部の厚さが10μm以下に設定されるため、内部電極の重なり面積が広いという特徴を有する。
【0064】
通常、誘電体層が高積層化するほど、誘電体層及び内部電極の厚さは薄くなる。したがって、内部電極のショート現象が頻繁に発生し得る。また、誘電体層の一部にのみ内部電極が形成される場合、内部電極による段差が生じて、絶縁抵抗の加速寿命や信頼性が低下し得る。
【0065】
しかし、本実施形態によると、薄膜の内部電極及び誘電体層を形成しても、内部電極が誘電体層の幅方向において全体的に形成されるため、内部電極の重なり面積が大きくなり、積層セラミックキャパシタの容量を大きくすることができる。
【0066】
また、内部電極による段差を減少させることで、絶縁抵抗の加速寿命を向上させるため、優れた容量特性及び信頼性を有する積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部112、113は、サイドマージン部112、113の外側面に隣接した第1領域112a、113aと、上記セラミック本体110の第1面1及び第2面2に露出した内部電極121、122に隣接した第2領域112b、113bと、に分けられ、上記第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域112a、113aに含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多い。
【0068】
上記セラミック本体110の側面に配置された第1及び第2サイドマージン部112、113が、組成が互いに異なる2つの領域に分けられ、この際、上記第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域112a、113aに含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多くなるように調節することで、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させ、信頼性を向上させることができる。
【0069】
具体的には、セラミック本体110の第1面1及び第2面2に露出した内部電極121、122に隣接したサイドマージン部の第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量を調節することで、セラミック本体の幅方向の側面に露出した内部電極の先端の酸化層の長さを制御することができる。これにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させることができ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0070】
通常、サイドマージン部の形成過程で、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面にボイド(void)が多く生成され、信頼性が低下し得る。
【0071】
また、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)によって電界の集中が発生し、これによって絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が低くなるという問題が発生する。
【0072】
また、上記ボイド(void)により、外側の焼結緻密度の低下による耐湿信頼性の低下が引き起こされる恐れがある。
【0073】
本発明の一実施形態によると、セラミック本体110の第1面1及び第2面2に露出した内部電極121、122に隣接したサイドマージン部の第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量を調節することで、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)に酸化層を形成することができる。
【0074】
上記のように、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)に酸化層を形成する場合、絶縁性が確保されるため、電界の集中を緩和することができる。これにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させ、ショート不良を減少させることができる。
【0075】
また、上記セラミック本体110の側面に配置された第1及び第2サイドマージン部112、113が、組成が互いに異なる2つの領域に分けられ、この際、各領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量を異ならせることで、第1及び第2サイドマージン部112、113の緻密度を向上させて耐湿特性を改善することができる。
【0076】
具体的には、上記第1及び第2サイドマージン部112、113の第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、外側の第1領域112a、113aに含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多くなるように調節することで、上記サイドマージン部112、113の第1領域112a、113aの緻密度を向上させて耐湿特性を改善することができる。
【0077】
特に、上記サイドマージン部112、113の外側面に隣接した上記第1及び第2サイドマージン部112、113の第1領域112a、113aに含まれるマグネシウム(Mg)の含量を小さくすることで、第1外部電極131及び第2外部電極132との密着力が向上することができる。
【0078】
上記第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域112a、113aに含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多くなるように調節する方法としては、積層セラミックキャパシタの製作過程で、セラミック本体形成用誘電体の組成と第1及び第2サイドマージン部形成用誘電体の組成を互いに異ならせることにより調節が可能である。
【0079】
すなわち、セラミック本体形成用誘電体の組成と異なって、第1及び第2サイドマージン部形成用誘電体の組成中のマグネシウム(Mg)の含量を増加させ、焼結及び焼成過程で拡散によりマグネシウム(Mg)の含量を調節する場合、上記第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域112a、113aに含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多くなるように調節することができる。
【0080】
これにより、内部電極の先端部に集中される電界を緩和することができ、積層セラミックキャパシタの主な不良の1つである絶縁破壊を防止して積層セラミックキャパシタの信頼性を向上させることができる。
【0081】
本発明の一実施形態によると、上記第2領域112b、113bのマグネシウム(Mg)の含量は、上記第1及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して10モル以上30モル以下であることができる。
【0082】
上記第2領域112b、113bのマグネシウム(Mg)の含量が、上記第1及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して10モル以上30モル以下になるように調節することで、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0083】
上記第2領域112b、113bのマグネシウム(Mg)の含量が、上記第1及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して10モル未満である場合には、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)に酸化層が十分に形成されず、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が低くなり、ショート不良が増加し得る。
【0084】
一方、上記第2領域112b、113bのマグネシウム(Mg)の含量が、上記第1及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して30モルを超過する場合には、焼結性の低下によって信頼性及び絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)の散布が不均一であるという問題が発生し得る。
【0085】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111の厚さは0.4μm以下、上記内部電極121、122の厚さは0.4μm以下の、超小型の積層セラミックキャパシタであることを特徴とする。
【0086】
本発明の一実施形態のように、上記誘電体層111の厚さが0.4μm以下、上記内部電極121、122の厚さが0.4μm以下の薄膜の誘電体層と内部電極が適用された場合、セラミック本体とサイドマージン部との境界面に発生するボイド(void)による信頼性の問題は非常に重要な課題である。
【0087】
すなわち、従来の積層セラミックキャパシタの場合は、本発明の一実施形態のように積層セラミックキャパシタに含まれるサイドマージン部の各領域のマグネシウム(Mg)の含量を調節しなくても、信頼性に大きな問題はなかった。
【0088】
しかし、本発明の一実施形態のように薄膜の誘電体層及び内部電極が適用される製品では、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)によるBDV及び信頼性の低下を防止するために、サイドマージン部の各領域のマグネシウム(Mg)の含量を調節しなければならない。
【0089】
すなわち、本発明の一実施形態では、上記第2領域112b、113bのマグネシウム(Mg)の含量が、上記第1及び第2サイドマージン部に含まれるチタン(Ti)100モルに対して10モル以上30モル以下となるように調節することで、誘電体層111と第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下の薄膜の場合にも絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0090】
但し、上記薄膜が、誘電体層111と第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下であることを意味するのではなく、従来の製品よりも薄い厚さの誘電体層と内部電極を含むという概念で理解されることができる。
【0091】
一方、上記第1領域112a、113aの幅は12μm以下であり、第2領域112b、113bの幅は3μm以下であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0092】
図4を参照すると、上記複数の内部電極121、122のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、最外側に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2の比率は1.0以下であることができる。
【0093】
中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、最外側に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2の比率の下限値は特に制限されないが、0.9以上であることが好ましい。
【0094】
本発明の一実施形態によると、従来と異なって、セラミックグリーンシートをセラミック本体の側面に付着して上記第1または第2サイドマージン部を形成するため、第1または第2サイドマージン部の位置毎の厚さが一定である。
【0095】
すなわち、従来は、セラミックスラリーを塗布若しくは印刷する方式によりサイドマージン部を形成していたため、サイドマージン部の位置毎の厚さのばらつきが激しかった。
【0096】
具体的には、従来は、セラミック本体の中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さが、他の領域の厚さに比べて厚く形成されていた。
【0097】
例えば、従来は、中央部に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さに対して、最外側に配置される内部電極の末端と接する第1または第2サイドマージン部領域の厚さの比率が0.9未満程度と、そのばらつきが大きい。
【0098】
このようにサイドマージン部の位置毎の厚さのばらつきが大きい従来の場合、同じサイズの積層セラミックキャパシタにおいてサイドマージン部が占める部分が大きいため、容量形成部のサイズを大きく確保することができず、高容量を確保することが困難であった。
【0099】
これに対し、本発明の一実施形態は、第1及び第2サイドマージン部112、113の平均厚さが2μm以上10μm以下であり、上記複数の内部電極121、122のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、最外側に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc2の比率が0.9以上1.0以下であるため、サイドマージン部の厚さが薄く、厚さのばらつきが少ないため、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0100】
これにより、高容量の積層セラミックキャパシタの実現が可能である。
【0101】
一方、図4を参照すると、上記複数の内部電極121、122のうち、中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、上記セラミック本体110の角と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc3の比率は1.0以下であることができる。
【0102】
中央部に配置される内部電極の末端と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc1に対して、上記セラミック本体110の角と接する上記第1または第2サイドマージン部領域の厚さtc3の比率の下限値は0.9以上であることが好ましい。
【0103】
上記の特徴により、サイドマージン部の領域毎の厚さのばらつきが少ないため、容量形成部のサイズを大きく確保することができ、これにより、高容量の積層セラミックキャパシタの実現が可能である。
【0104】
図5aから図5fは、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す断面図及び斜視図である。
【0105】
本発明の他の実施形態によると、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート、及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを製造する段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンが交差されるように上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートを積層することで、セラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、上記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する段階と、上記切断した積層本体を焼成することで、誘電体層と第1及び第2内部電極を含むセラミック本体を製造する段階と、を含む積層セラミックキャパシタの製造方法であって、上記第1及び第2サイドマージン部は、サイドマージン部の外側面に隣接した第1領域と、上記第1及び第2内部電極に隣接した第2領域とに分けられ、上記第2領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量が、第1領域に含まれるマグネシウム(Mg)の含量より多い、積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0106】
以下、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0107】
図5aに示すように、セラミックグリーンシート211上に、所定の間隔を置いて複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する。上記複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221は、互いに平行に形成することができる。
【0108】
上記セラミックグリーンシート211は、セラミック粉末、有機溶剤、及び有機バインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。
【0109】
上記セラミック粉末は高い誘電率を有する物質であって、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などを用いることができ、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を用いることが好ましい。上記セラミックグリーンシート211が焼成されると、セラミック本体110を構成する誘電体層111になる。
【0110】
ストライプ状の第1内部電極パターン221は、導電性金属を含む内部電極ペーストによって形成されることができる。上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であることができる。
【0111】
上記セラミックグリーンシート211上にストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する方法は特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などの印刷法により形成することができる。
【0112】
また、図示していないが、さらに他のセラミックグリーンシート211上に、所定の間隔を置いて複数個のストライプ状の第2内部電極パターン222を形成することができる。
【0113】
以下、第1内部電極パターン221が形成されたセラミックグリーンシートを第1セラミックグリーンシートと称し、第2内部電極パターン222が形成されたセラミックグリーンシートを第2セラミックグリーンシートと称する。
【0114】
次に、図5bに示すように、ストライプ状の第1内部電極パターン221とストライプ状の第2内部電極パターン222とが交差積層されるように、第1及び第2セラミックグリーンシートを交互に積層することができる。
【0115】
その後、上記ストライプ状の第1内部電極パターン221により第1内部電極121を形成することができ、ストライプ状の第2内部電極パターン222により第2内部電極122を形成することができる。
【0116】
本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtdは0.6μm以下であり、第1及び第2内部電極パターンの厚さteは0.5μm以下である。
【0117】
本発明は、誘電体層の厚さが0.4μm以下、内部電極の厚さが0.4μm以下の薄膜を有する超小型及び高容量の積層セラミックキャパシタであることを特徴とする。したがって、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtdは0.6μm以下であり、第1及び第2内部電極パターンの厚さteは0.5μm以下であることを特徴とする。
【0118】
図5cは、本発明の一実施形態によって第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層本体220を示す断面図であり、図5dは、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層本体220を示す斜視図である。
【0119】
図5c及び図5dを参照すると、複数個の平行なストライプ状の第1内部電極パターン221が印刷された第1セラミックグリーンシートと、複数個の平行なストライプ状の第2内部電極パターン222が印刷された第2セラミックグリーンシートは、互いに交互に積層される。
【0120】
より具体的には、第1セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第1内部電極パターン221の中央部と、第2セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第2内部電極パターン222の間の間隔とが重なるように積層されることができる。
【0121】
次に、図5dに示すように、上記セラミックグリーンシート積層本体220は、複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222を横切るように切断することができる。すなわち、上記セラミックグリーンシート積層本体220は、互いに直交するC1-C1及びC2-C2の切断線に沿って切断された積層本体210になることができる。
【0122】
より具体的には、ストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222を長さ方向に切断することで、一定の幅を有する複数個の内部電極に分割することができる。この際、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンとともに切断する。これにより、内部電極の幅と同一の幅を有するように誘電体層が形成されることができる。
【0123】
また、C2-C2の切断線に沿って、個別のセラミック本体のサイズに合わせて切断することができる。すなわち、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に、棒状積層体をC2-C2の切断線に沿って個別のセラミック本体のサイズに切断することで、複数個の積層本体210を形成することができる。
【0124】
すなわち、棒状積層体を、重なっている第1内部電極の中心部と第2内部電極の間に形成され、所定の間隔が同一である切断線に沿って切断されるように切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は、切断面において交互に露出することができる。
【0125】
その後、上記積層本体210の第1及び第2側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。
【0126】
次に、図5eに示すように、上記積層本体210の第1及び第2側面のそれぞれに、第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部(不図示)を形成することができる。
【0127】
具体的には、第1サイドマージン部212の形成方法として、側面用セラミックグリーンシート212をゴム製の打抜き弾性材300の上部に配置する。
【0128】
次に、上記積層本体210の第1側面が上記側面用セラミックグリーンシート212と向かい合うように上記積層本体210を90度回転した後、上記積層本体210を上記側面用セラミックグリーンシート212に加圧密着させる。
【0129】
上記積層本体210を上記側面用セラミックグリーンシート212に加圧密着させて側面用セラミックグリーンシート212を上記積層本体210に転写する場合、上記ゴム製の打抜き弾性材300により、上記側面用セラミックグリーンシート212は上記積層本体210の側面の角部まで形成され、残りの部分は切断されることができる。
【0130】
図5fでは、側面用セラミックグリーンシート212が上記積層本体210の側面の角部まで形成されたことを示している。
【0131】
その後、上記積層本体210を回転し、積層本体210の第2側面に第2サイドマージン部を形成することができる。
【0132】
次に、上記積層本体210の両側面に第1及び第2サイドマージン部が形成された積層本体をか焼及び焼成して、誘電体層と第1及び第2内部電極を含むセラミック本体を形成することができる。
【0133】
その後、上記第1内部電極が露出したセラミック本体の第3側面と、上記第2内部電極が露出したセラミック本体の第4側面に、それぞれ外部電極を形成することができる。
【0134】
本発明の他の実施形態によると、側面用セラミックグリーンシートが薄く、且つ厚さのばらつきが少ないため、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0135】
具体的には、焼成後における第1及び第2サイドマージン部112、113の平均厚さが2μm以上10μm以下であり、位置毎の厚さのばらつきが少ないため、容量形成部のサイズを大きく確保することができる。
【0136】
これにより、高容量の積層セラミックキャパシタの実現が可能である。
【0137】
その他、上述の本発明の一実施形態における特徴と同一の部分に関する説明は、重複を避けるためにここでは省略する。
【0138】
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解のためのものにすぎず、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0139】
[実験例]
本発明の一実施形態によって、従来のサイドマージン部を形成する比較例と、マグネシウム(Mg)の含量が異なる第1及び第2領域を含むサイドマージン部を形成する実施例をそれぞれ準備した。
【0140】
そして、幅方向に内部電極が露出し、マージンのないグリーンチップの電極露出部に、上記比較例と実施例のように側面用セラミックグリーンシートを付着してサイドマージン部を形成することができるように、セラミックグリーンシート積層本体を形成した。
【0141】
チップの変形を最小化した条件で一定の温度と圧力を加えながら、セラミックグリーンシート積層本体の両面に側面形成用セラミックグリーンシートを付着し、0603サイズ(横x縦x高さ:0.6mmx0.3mmx0.3mm)の積層セラミックキャパシタグリーンチップを製作した。
【0142】
このように製作が完了した積層セラミックキャパシタの試験片を、400℃以下、窒素雰囲気でか焼工程を経て、焼成温度1200℃以下、水素濃度0.5%H以下の条件で焼成した後、外観不良、絶縁抵抗、及び耐湿特性などの電気的特性を総合的に確認した。
【0143】
図6は本発明の実施例と比較例による絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を比較したグラフである。
【0144】
図6において、比較例1は従来の積層セラミックキャパシタの構造であって、サイドマージン部に含まれるマグネシウム(Mg)の含量に差がない場合であり、実施例1及び2はそれぞれ、第1及び第2内部電極121、122に隣接した第1及び第2サイドマージン部112、113の第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が10モル及び30モルである場合であり、比較例2は、第1及び第2内部電極121、122に隣接した第1及び第2サイドマージン部112、113の第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量が50モルである場合である。
【0145】
実施例1及び2の場合、従来の積層セラミックキャパシタである比較例1に比べて絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が増加していることが分かる。
【0146】
比較例2の場合、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が増加するものの、その散布が不均一であり、耐湿信頼性の散布も不均一であるため、本発明において、第1及び第2サイドマージン部112、113の第2領域112b、113bに含まれるマグネシウム(Mg)の含量は30モル以下であることが好ましい。
【0147】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0148】
110 セラミック本体
111 誘電体層
112 第1サイドマージン部
113 第2サイドマージン部
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6