(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】無人航空システムのクラウドソース化検出及び追跡
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20241106BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022575377
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 US2021028844
(87)【国際公開番号】W WO2021252082
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モロ,ジュニア.,リチャード エー.
(72)【発明者】
【氏名】バージェロン,ジョン エム.
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0106818(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0162489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア内を飛行する無人航空システム(UAS)の第1通知を受信するステップと、
第2通知を前記エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに送信するステップであって、前記第2通知は前記ユーザに前記UASを探すよう要求する、ステップと、
第3通知を、前記モバイルデバイスのうちの少なくとも一部と、より広いエリア内に位置する他のユーザの他のモバイルデバイスとに送信するステップであって、前記第3通知は、前記ユーザ及び前記他のユーザに前記UASのコントローラ又は前記UASのオペレータを探すよう要求する、ステップと、
前記ユーザのうちの1以上のユーザの前記モバイルデバイスのうちの1つ以上のモバイルデバイスから前記UASに関する情報を受信するステップであって、前記情報は前記1つ以上のモバイルデバイスによって取得される、ステップと、
前記1つ以上のモバイルデバイスから受信した前記UASに関する情報に基づいて、前記UASの評価を決定するステップと、
第
4通知を前記モバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信するステップであって、前記第
4通知は前記UASの前記評価に関する情報を含む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記UASに関する情報は、
前記1つ以上のモバイルデバイスによってキャプチャされた前記UASの1つ以上の画像又はビデオと、
前記1つ以上のモバイルデバイスによって検出された前記UAS又は前記UASのコントローラからの無線制御信号情報と、
前記1つ以上のモバイルデバイスによって取得された前記UASの位置データと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2通知は、前記モバイルデバイスにインストールされたアプリケーションを介して前記ユーザに提供される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1通知は、前記ユーザのうちの1のユーザから、又は前記エリア内の識別されていないオブジェクトの存在を検出する第三者システムから受信される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第5通知を1以上の第三者に送信するステップを更に含み、前記第5通知は、前記UASの前記評価に関する第2情報を含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記1以上の第三者は、UAS検出に関連付けられるサービスの加入者と、法執行者と、少なくとも1の不動産所有者と、前記UAS又はその飛行経路に近い事業資産に関与する少なくとも1のエンティティと、のうちの少なくとも1を含む、
請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
命令を記憶するように構成される少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、前記命令を実行すると、
エリア内を飛行する無人航空システム(UAS)の第1通知を受信し、
第2通知を前記エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに送信し、前記第2通知は前記ユーザに前記UASを探すよう要求し、
第3通知を、前記モバイルデバイスのうちの少なくとも一部と、より広いエリア内に位置する他のユーザの他のモバイルデバイスとに送信し、前記第3通知は、前記ユーザ及び前記他のユーザに前記UASのコントローラ又は前記UASのオペレータを探すよう要求し、
前記ユーザのうちの1以上のユーザの前記モバイルデバイスのうちの1つ以上
のモバイルデバイスから前記UASに関する情報を受信し、前記情報は前記1つ以上のモバイルデバイスによって取得され、
前記1つ以上のモバイルデバイスから受信した前記UASに関する情報に基づいて、前記UASの評価を決定し、
第
4通知を前記モバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信し、前記第
4通知は前記UASの前記評価に関する情報を含む、
ように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、
を含む、デバイス。
【請求項8】
前記UASに関する情報は、
前記1つ以上のモバイルデバイスによってキャプチャされた前記UASの1つ以上の画像又はビデオと、
前記1つ以上のモバイルデバイスによって検出された前記UAS又は前記UASのコントローラからの無線制御信号情報と、
前記1つ以上のモバイルデバイスによって取得された前記UASの位置データと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2通知は、前記モバイルデバイスにインストールされたアプリケーションを介して前記ユーザに提供される、
請求項
7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記ユーザのうちの1のユーザから、又は前記エリア内の識別されていないオブジェクトの存在を検出する第三者システムから前記第1通知を受信するよう構成される、
請求項
7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサは、第5通知を1以上の第三者に送信するよう更に構成され、前記第5通知は、前記UASの前記評価に関する第2情報を含む、
請求項
7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記1以上の第三者は、UAS検出に関連付けられるサービスの加入者と、法執行者と、少なくとも1の不動産所有者と、前記UAS又はその飛行経路に近い事業資産に関与する少なくとも1のエンティティと、のうちの少なくとも1を含む、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項13】
実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、
エリア内を飛行する無人航空システム(UAS)の第1通知を受信させ、
第2通知を前記エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに送信させ、前記第2通知は前記ユーザに前記UASを探すよう要求し、
第3通知を、前記モバイルデバイスのうちの少なくとも一部と、より広いエリア内に位置する他のユーザの他のモバイルデバイスとに送信させ、前記第3通知は、前記ユーザ及び前記他のユーザに前記UASのコントローラ又は前記UASのオペレータを探すよう要求し、
前記ユーザのうちの1以上のユーザの前記モバイルデバイスのうちの1つ以上
のモバイルデバイスから前記UASに関する情報を受信させ、前記情報は前記1つ以上のモバイルデバイスによって取得され、
前記1つ以上のモバイルデバイスから受信した前記UASに関する情報に基づいて、前記UASの評価を決定させ、
第
4通知を前記モバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信させ、前記第
4通知は前記UASの前記評価に関する情報を含む、
命令を含む、非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項14】
前記UASに関する情報は、
前記1つ以上のモバイルデバイスによってキャプチャされた前記UASの1つ以上の画像又はビデオと、
前記1つ以上のモバイルデバイスによって検出された前記UAS又は前記UASのコントローラからの無線制御信号情報と、
前記1つ以上のモバイルデバイスによって取得された前記UASの位置データと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
13に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項15】
前記第2通知は、前記モバイルデバイスにインストールされたアプリケーションを介して前記ユーザに提供される、
請求項
13に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項16】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに更に、前記ユーザのうちの1のユーザから、又は前記エリア内の識別されていないオブジェクトの存在を検出する第三者システムから前記第1通知を受信させる、
請求項
13に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項17】
前記命令は、実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに更に、第5通知を1以上の第三者に送信させ、前記第5通知は、前記UASの前記評価に関する第2情報を含む、
請求項
13に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無人航空システムに向けられる。より具体的には、本開示は、無人航空システム又は他の有人若しくは無人輸送手段(vehicles)のクラウドソース化(crowd-sourced)検出及び追跡に向けられる。
【背景技術】
【0002】
ドローンのような安価な小型無人航空システム(UASs:unmanned aerial systems)は急速に激増している。インフラストラクチャ及びユーティリティ検査、サーベイランス、宅配便、都市移動性等のような、UASの多数の用途が提案され、実装されている。UASを伴うほとんどの使用ケースは有益であるが、いくつかのUASは悪意のある目的のために使用される可能性があり、これらのUASは広範な標的に対する重大な脅威となる可能性がある。残念ながら、特にUASは低高度で飛行することが多いので、UASの検出、区別(discrimination)及び脅威評価は難しい可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、無人航空システムのクラウドソース化検出及び追跡に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実行形態において、方法は、エリア内を飛行する無人航空システム(UAS)の第1通知を受信するステップを含む。方法はまた、エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに第2通知を送信するステップも含み、第2通知は、複数のユーザにUASを探すよう要求する。方法は、ユーザのうちの1以上のユーザのモバイルデバイスのうちの1つ以上から、UASに関する情報を受信するステップを更に含み、情報は、上記1つ以上のモバイルデバイスによって取得される。方法はまた、1つ以上のモバイルデバイスから受信したUASに関する情報に基づいて、UASの評価を決定するステップも含む。加えて、方法は、第3通知をモバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信するステップを含み、第3通知は、UASの評価に関する情報を含む。
【0005】
第2の実行形態において、システムは、命令を記憶するように構成される少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリに結合される少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、命令を実行すると、エリア内を飛行するUASの第1通知を受信するよう構成される。少なくとも1つのプロセッサはまた、命令を実行すると、エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに第2通知を送信するようにも構成され、第2通知は、複数のユーザにUASを探すよう要求する。少なくとも1つのプロセッサは、命令を実行すると、ユーザのうちの1以上のユーザのモバイルデバイスのうちの1つ以上からUASに関する情報を受信するように更に構成され、情報は、1つ以上のモバイルデバイスによって取得される。少なくとも1つのプロセッサはまた、命令を実行すると、1つ以上のモバイルデバイスから受信したUASに関する情報に基づいて、UASの評価を決定するようにも構成される。加えて、少なくとも1つのプロセッサは、命令を実行すると、第3通知をモバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信するように構成され、第3通知はUASの評価に関する情報を含む。
【0006】
第3の実行形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、エリア内を飛行するUASの第1通知を受信させる命令を含む。非一時的なコンピュータ読取可能媒体はまた、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに第2通知を送信させる命令も含み、第2通知は複数のユーザにUASを探すよう要求する。非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、ユーザのうちの1以上のユーザのモバイルデバイスのうちの1つ以上からUASに関する情報を受信させる命令を更に含み、情報は、1つ以上のモバイルデバイスによって取得される。非一時的なコンピュータ読取可能媒体はまた、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、1つ以上のモバイルデバイスから受信したUASに関する情報に基づいて、UASの評価を決定させる命令も含む。加えて、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、第3通知をモバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信させる命令を含み、第3通知は、UASの評価に関する情報を含む。
【0007】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明及び特許請求の範囲から当業者には容易に明らかとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のより完全な理解のために、添付の図面と併せて下記の説明を参照する。
【0009】
【
図1】本開示による無人航空システム(UAS)のクラウドソース化検出及び追跡のための例示的なシステムを示す図である。
【0010】
【
図2】本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡のための例示的なデバイスを示す図である。
【0011】
【
図3】本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡を実行することができる例示的な環境を示す図である。
【0012】
【
図4】本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡を実行することができる、対UASソリューション(counter-UAS solution)の例示的な地理空間表現を示す図である。
【0013】
【
図5】本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡のための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下で説明される
図1から
図5、及び本特許文書において本発明の原理を説明するために使用される様々な実行形態は、例示のためのものに過ぎず、決して本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者には、本発明の原理が、任意のタイプの適切に配置されたデバイス又はシステムにおいて実装され得ることが理解されよう。
【0015】
上記のように、無人航空システム又は「UAS」(ドローン又は他の無人航空輸送手段等)は急速に激増している。UASについて多数の有益な用途が提案され、実装されている。しかしながら、いくつかのUASは、悪意のある目的ために使用される可能性があり、これらのUASは、広範な標的に対する重大な脅威となる可能性がある。残念ながら、特にUASは低高度で飛行することが多いので、UASの検出、区別及び脅威の評価は困難である可能性がある。さらに、UASは、限られた見通し線(lines of sight)で高クラッタ環境を飛行することが多く、小型UASは、これらを短い攻撃タイムラインでポップアップ脅威として打ち上げることができる、異なる場所に容易に移送される。加えて、検出、区別、評価及び緩和のための従来の機器は高価で手作業集約的であり、これは、それらの使用を制限する。
【0016】
UAS検出のためのいくつかの既存のアプローチは、UAS又はそのオペレータが(フライト計画、確保済みの空域及び車両位置のような)UASに関する情報を、該UASを観察する利害関係者に提供する場合のような、協調的通信に依存する。これらのアプローチは主に、法律的、商業的及び娯楽的なアクターを可能にすることに焦点を当てている。しかしながら、これらのアプローチは、非遵守、非協調的及び/又は敵対的アクターに対処するには十分でないか又は効果的ではない。このような場合、しばしば、UAS又はそのオペレータによって自発的に提供される情報なしに、UASを検出して評価することが必要である。人口の多いエリア又は重要インフラのあるエリアを、レーダー又は高性能撮像システムのような検出センサで保護することが可能であり得る。しかしながら、これらの解決策は、特に、人工の構造物に起因する都市又は郊外の「峡谷(canyons)」のような低高度かつ高クラッタ環境における限られた見通し線を考慮すると、都市又は郊外エリアにおける大規模な展開のためには、獲得、人員配置(staffing)及び維持の観点からは、一般的にコストがかかりすぎると考えられる。
【0017】
本開示は、UASのクラウドソース化検出及び追跡のためのシステム及び方法を提供する。以下でより詳細に説明されるように、開示されるシステム及び方法は、集中型UAS追跡エンティティが、クラウド(crowd)内のユーザのような複数のユーザのモバイルデバイスから1つ以上のUASに関する情報を受信することを提供する。受信した情報に基づいて、UAS追跡エンティティは各UASの評価を行うことができる。また、UAS追跡エンティティは、その評価の通知を、上記ユーザのうちの少なくとも一部に送信することもでき、UAS追跡エンティティは更に、法執行者のような他のエンティティに評価情報を送信することができる。
【0018】
本開示は、UASに関して記載されるが、本明細書で開示される原理は、限られたセンサカバレッジのエリア内の他のタイプの輸送手段にも適用可能であることが理解されよう。例えば開示される実行形態はまた、有人航空輸送手段(例えば低空飛行航空機)及び他の領域(例えば海上交通又は陸上交通)内の輸送手段とともに使用されることもできる。
【0019】
図1は、本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡のための例示的なシステム100を図示している。
図1に示されるように、システム100は、複数のユーザデバイス102a~102d、少なくとも1つのネットワーク104、少なくとも1つのサーバ106及び少なくとも1つのデータベース108を含む。しかしながら、構成要素の他の組合せ及び配置がここで使用されてもよいことに留意されたい。
【0020】
この例では、各ユーザデバイス102a~102dは、ネットワーク104に結合されるか又はネットワーク104を介して通信する。各ユーザデバイス102a~102dとネットワーク104との間の通信は、有線接続又は無線接続を介する等、任意の適切な方式で起こり得る。各ユーザデバイス102a~102dは、少なくとも1のユーザによって、サーバ106又はデータベース108に情報を提供するため又はサーバ106又はデータベース108から情報を受け取るために使用される、任意の適切なデバイス又はシステムを表す。情報の例示的なタイプは、UAS写真、UAS位置データ、UASに関連付けられる通信又は制御信号等を含み得る。
【0021】
任意の適切な数及びタイプのユーザデバイス102a~102dが、システム100において使用され得る。この特定の例では、ユーザデバイス102aはデスクトップコンピュータを表し、ユーザデバイス102bはラップトップコンピュータを表し、ユーザデバイス102cはスマートフォンを表し、ユーザデバイス102dはタブレットコンピュータを表す。しかしながら、任意の他のタイプの又は追加のタイプのユーザデバイスがシステム100で使用されてもよい。各ユーザデバイス102a~102dは、情報を送信及び/又は受信するように構成される任意の適切な構造を含む。
【0022】
ネットワーク104は、システム100の様々な構成要素間の通信を容易にする。例えばネットワーク104は、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル又はネットワークアドレス間の他の適切な情報を通信し得る。ネットワーク104は、1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットのようなグローバルネットワークのすべて又は一部、あるいは1つ以上の場所における任意の他の1つ又は複数の通信システムを含み得る。また、ネットワーク104は、任意の適切な1つ又は複数の通信プロトコルに従って動作してもよい。
【0023】
サーバ106は、ネットワーク104に結合されており、データベース108に結合されるか又はそうでなければデータベース108と通信する。サーバ106は、データベース108からの情報の取り出し及びその情報の処理をサポートする。当然、データベース108は、情報を記憶するためにサーバ106内において使用されてもよく、その場合、サーバ106は、情報自体を記憶し得る。他の中でも特に、サーバ106は、UASのクラウドソース化検出及び追跡に使用される情報を処理する。サーバ106の処理動作の例が以下に提供される。
【0024】
サーバ106は、UASのクラウドソース化検出及び追跡のための情報を処理するよう構成される任意の適切な構造を含む。いくつかの実行形態では、サーバ106は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ及び1つ以上の通信インターフェースを含む。しかしながら、サーバ106は、説明される機能を実行するように任意の適切な方式で実装されてもよいことに留意されたい。また、本明細書ではサーバとして説明されるが、サーバ106を実際に実装しているデバイスは、1つ以上のデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバコンピュータ、あるいは他のコンピューティング又はデータ処理デバイス又はシステムを表し得ることにも留意されたい。いくつかの実行形態では、サーバ106は、クラウドベース(cloud-based)の処理環境を含み得るか又はその一部であり得る。
【0025】
データベース108は、サーバ106及びユーザデバイス102a~102dによって使用、生成又は収集される様々な情報を記憶する。例えばデータベース108は、UAS写真、UAS位置及び飛行経路(例えば航跡又は軌道)データ、UASに関連付けられる通信信号又は制御信号等を記憶し得る。場合によっては、データベース108によって記憶されるべき情報のうちの少なくとも一部が、ユーザデバイス102a~102dから直接的に又はサーバ106を介するなどして間接的に受信され得る。場合によっては、情報は、レーダー又は高性能撮像システムのようなセンサから受信され得る。
【0026】
UASのクラウドソース化検出及び追跡のための説明される機能性を提供するために、システム100を実装する複数の可能な方法がある。例えばいくつかの実行態様において、サーバ106及びデータベース108は、共通のエンティティによって所有され、操作され又は管理される。他の実行形態では、サーバ106及びデータベース108は、異なるエンティティによって所有、操作又は管理される。しかしながら、本開示は、いずれかの特定の組織的な実装に限定されないことに留意されたい。
【0027】
図1は、UASのクラウドソース化検出及び追跡のためのシステム100の一例を図示しているが、
図1には様々な変更が行われてもよい。例えばシステム100は、任意の数のユーザデバイス102a~102d、ネットワーク104、サーバ106及びデータベース108を含んでもよい。また、
図1は、1つのデータベース108がネットワーク104に結合されていることを図示しているが、任意の数のデータベース108が、サーバ106によってアクセス可能な任意の1つ又は複数の場所に存在してもよく、各データベース108が、サーバ106に直接的又は間接的に結合されてもよい。加えて、
図1は、UASのクラウドソース化検出及び追跡が使用され得る一例示的な動作環境を図示しているが、この機能性は、任意の他の適切なシステムにおいて使用されてもよい。
【0028】
図2は、本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡のための例示的なデバイス200を図示している。デバイス200の1つ以上のインスタンスは、例えば
図1のサーバ106の機能性を少なくとも部分的に実装するために使用され得る。しかしながら、サーバ106の機能性は、任意の他の適切な方式で実装され得る。また、同一又は類似の配置の構成要素が、
図1のユーザデバイス102a~102dのうちの1つ以上の機能性を少なくとも部分的に実装するために使用されてよい。しかしながら、各ユーザデバイス102a~102dの機能性は、任意の他の適切な方式で実装されてもよい。
【0029】
図2に図示されるように、デバイス200は、少なくとも1つの処理デバイス202、少なくとも1つのストレージデバイス204、少なくとも1つの通信ユニット206及び少なくとも1つの入力/出力(I/O)ユニット208を含むコンピューティングデバイス又はシステムを示す。処理デバイス202は、メモリ210にロード可能な命令を実行し得る。処理デバイス202は、任意の適切な配置で任意の適切な数及びタイプのプロセッサ又は他のデバイスを含む。処理デバイス202の例は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は個別回路を含む。
【0030】
メモリ210及び永続ストレージ212は、ストレージデバイス204の例であり、これは、情報(一時的又は永続的に、データ、プログラムコード及び/又は他の適切な情報等)を記憶し、取り出しを容易にすることができる任意の構造を表す。メモリ210は、ランダムアクセスメモリ又は任意の他の適切な揮発性又は不揮発性ストレージデバイスを表してよい。永続ストレージ212は、読取専用メモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ又は光ディスクのような、データの長期間の記憶をサポートする1つ以上の構成要素又はデバイスを含み得る。
【0031】
通信ユニット206は、他のシステム又はデバイスとの通信をサポートする。例えば通信ユニット206は、ネットワーク104のような有線又は無線ネットワーク上の通信を容易にするネットワークインターフェースカード又は無線トランシーバを含むことができる。通信ユニット206は、任意の適切な物理的又は無線通信リンクを介する通信をサポートし得る。
【0032】
I/Oユニット208は、データの入力及び出力を可能にする。例えばI/Oユニット208は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン又は他の適切な入力デバイスを通してユーザ入力のための接続を提供し得る。I/Oユニット208はまた、アクセサリとしてデバイス200に追加され得る、センサ又はカメラのような任意の「アドオン」感知デバイス214のための接続も提供し得る。I/Oユニット208はまた、出力をディスプレイ、プリンタ又は他の適切な出力デバイスに送ってもよい。しかしながら、デバイス200にリモートにアクセスすることができるときのように、デバイス200がローカルI/Oを必要としない場合、I/Oユニット208が省略されてもよいことに留意されたい。
【0033】
いくつかの実行形態では、処理デバイス202によって実行される命令は、サーバ106の機能性を実装する命令を含むことができる。例えば処理デバイス202によって実行される命令は、UASのクラウドソース化検出及び追跡のための命令を含むことができる。他の実行形態では、処理デバイス202によって実行される命令は、ユーザデバイス102a~102dの機能性を実装する命令を含むことができる。例えば処理デバイス202によって実行される命令は、サーバ106にUAS関連情報を提供し、サーバ106からUAS関連通知を受信するための命令を含むことができる。
【0034】
図2は、UASのクラウドソース化検出及び追跡のためのデバイス200の一例を示しているが、
図2に様々な変更を加えてもよい。例えばコンピューティングデバイス/システム及びモバイルデバイスは、多種多様な構成となっており、
図2は、本開示をいずれかの特定のコンピューティングデバイス又はシステムに、あるいはいずれかの特定のモバイルデバイスに限定しない。
【0035】
図3は、本開示による、UASのクラウドソース化検出及び追跡を実行することができる例示的な環境300を示す。説明の容易性のために、環境300は、
図2の1つ以上のデバイス200を使用して実装され得る、
図1のシステム100とともに使用されるものとして説明される。しかしながら、環境300は、任意の適切なシステムにおける任意の適切なデバイスの使用を伴ってもよい。
【0036】
図3に図示されるように、環境300は、UAS306が飛行しているエリア内に位置する少なくとも1のユーザ302を含む。
図3は、1のユーザ302のみを図示しているが、環境300は、典型的に、2以上のユーザ302を含み、UAS306又はその飛行経路に近いエリア内に位置する多くのユーザ302(例えば数十、数百又は数千)を含むことができることが理解されよう。また、
図3は、1つのUAS306のみを図示しているが、環境300は、複数のUAS306を含んでもよく、1又は複数のユーザ302が、各UAS306又はその飛行経路の近くのエリア内に位置することが理解されよう。
【0037】
各ユーザ302は、モバイルデバイス304を所有するか又はモバイルデバイス304へのアクセスを有する。各モバイルデバイス304は、UAS306のような、UASの検出及び追跡が可能なコンピューティングデバイス又はシステムを表す。いくつかの実行形態では、各モバイルデバイス304は、UAS306に関する情報を感知又は検出することができる1つ以上のセンサ(カメラ、Wi-Fiセンサ、BLUETOOTH(登録商標)センサ、マイクロホン等のような)を含む。モバイルデバイス304の例示的なタイプは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ等を含むことができる。いくつかの実行形態では、モバイルデバイス304は、上述の
図1のユーザデバイス102a~102d又は
図2のデバイス200のうちの1つを表す(又はそれによって表される)。
【0038】
各モバイルデバイス304は、該モバイルデバイス304にインストールされたアプリケーション(又は「app」)305を含み得る。app305は、ユーザ302との対話のためにグラフィカルユーザインターフェース(GUI)と、UASの検出及び追跡のためのプログラム命令を提供する。app305はまた、UAS306に関する情報を共有するために、ネットワーク308を介してモバイルデバイス304とサーバ310との間の通信を容易にする。いくつかの実行形態では、app305は、UAS検出及び追跡関連情報を収集及び処理するエンティティ312によって提供される。特定の実行形態では、app305は、各ユーザ302にライセンスされ、協調的「フリーミウム(freemium)」ビジネスモデルの一部として各モバイルデバイス304にインストールされる。このようなビジネスモデルでは、各ユーザ302は、該ユーザ302が、サーバ310による使用のためにUAS関連情報の生成と、サーバ310からのUAS関連情報の受信の両方を行うので、「プロシューマ(prosumer)」(「生産者」と「消費者」の新たな複合語)とみなされる。
【0039】
app305は、コミュニティに参加し、かつ、ユーザのモバイルデバイス304で既に利用可能な短距離感知技術を使用してUAS306のような低高度UASを探すために、多くのユーザ302の募集を可能にする。いくつかの実行形態では、app305は、UAS306に関する有用な情報を提示する各ユーザ302に報酬を提供し得る。例えば報酬は、アプリ内での購入、スポットされたUAS306に関する情報へのアクセス等のためのクレジットであり得る。
【0040】
この実施例において、UAS306は、典型的には低高度で動作し、かつ都市又は郊外エリアのように限られた見通し線で1つ以上のエリア内で動作し得る、小型UASを表す。環境300では、UAS306は飛行中であり、飛行経路に沿って進む。UAS306に関する情報は、エンティティ312に容易に又は直ちには知られない可能性があるため、環境300は、ユーザ302が、彼らのモバイルデバイス304を使用して、UAS306に関する情報を収集し、該情報をサーバ310に提供することを可能にし、サーバ310は、エンティティ312によって所有又は制御される。
【0041】
サーバ310は、UAS306のような、UASの検出及び追跡のための情報を処理することができるコンピューティングデバイス又はシステムを表す。いくつかの実行形態では、サーバ310は、上述の
図1のサーバ106又は
図2のデバイス200を表す(又はそれによって表される)。いくつかの実行形態では、サーバ310は、クラウドベースのサーバ又はサーバのグループ又は他のコンピューティングデバイスとすることができる。
【0042】
サーバ310は、モバイルデバイス304からUAS306に関する情報(画像又はビデオ、オーディオ録音、制御信号検出、app305のGUIを介して取得されるユーザ観察又はコメント等のような)を受信、相関及び処理することによって、UAS306の追跡を実行する。いくつかの実行形態において、情報は、複数の感知位置又は角度から取得されることができる。また、いくつかの実行形態では、情報は、GPSタグ付けされるか又は他の方法で位置情報と相関させることができる。サーバ310は、UAS306の航跡詳細(track details)を生成することができる航跡推定アルゴリズム(track estimation algorithm)を使用して、収集された情報を処理することができる。航跡詳細は、その高度、飛行経路、速度等のようなUAS306の以前の航跡及び推定される将来の航跡を記述することができる。受信した情報に応じて、サーバ310は、1つ以上の三角測量アルゴリズムで複数のデータアイテムを使用して、UAS306の位置を決定してその飛行経路を追跡し得る。例えば異なる位置からキャプチャされる複数の画像又はビデオの画像処理を三角測量アルゴリズムと組み合わせて使用して、UAS306の位置を決定し得る。追跡精度は、モバイルデバイス304の数と空間分布、センサ入力の品質及び特定のUASコンタクトのための他の情報ソースの利用可能性に依存する可能性がある。
【0043】
モバイルデバイス304から受信した情報を使用して、サーバ310はまた、その特有の型式(make)、モデル及びペイロード(もしあれば)を識別すること等によって、UAS306の区別を実行することができる。例えばサーバ310は、画像及びオーディオ認識アルゴリズム、並びにapp305のGUIを介して入力される人間の観察を使用することができる。サーバ310はまた、可能性のある意図(likely intent)の区別、潜在的脅威の裁定(adjudication)及びスペクトルにおける1以上のアクターに対する適切な緩和措置(mitigation actions)の推奨を実行することもできる。例えば民間オペレータ(industrial operator)は、そのUAS操作を一時的に停止する必要がある可能性があり、法執行機関は、UAS306の地上制御局の位置を特定して、UASオペレータに呼び出し状を渡すか(ticket)又は逮捕する必要がある可能性があり、あるいは連邦政府機関は、動的カウンター(kinetic counters)又は非動的カウンター(non-kinetic counters)を用いる必要がある可能性がある。加えて、サーバ310は、UAS306の地上制御局及びオペレータの検出、位置特定及び識別を実行することができる。これらは、UAS306自体の区別と同様の方法で行うことができる。
【0044】
サーバ310は、オブジェクトベースプロダクション(OBP:object-based production)、アクティビティベースインテリジェンス(ABI:activity-based intelligence)又はその両方を利用するアルゴリズムのような、1つ以上のアルゴリズムを使用して、潜在的脅威の区別及び裁定をすることができる。このようなアルゴリズムは、UAS306とその潜在的脅威の初期評価を実行することができる。初期評価に基づいて、サーバ310は、更なる裁定又は緩和のために、別の正規のアクターに段階的に拡大(escalate)することができ、あるいは評価が低脅威を示す場合には、段階的に縮小(de-escalate)することができる。場合によっては、サーバ310は、更なる情報を要求したり、「シェルターを求める(seek shelter)」又は「あなたの飛行操作(your flight operations)」のようなアクションを推奨したりするように、1以上のユーザ302に特定の通知を送信することもできる。
【0045】
いくつかの実行形態において、サーバ310に提供される情報は、1つ以上の人工知能(AI)又は他の機械学習(ML)アルゴリズム又はルーチンを可能にすることができるデータセットとして集約され得る。AI/MLアルゴリズム又はルーチンの精度は、ユーザ302及びモバイルデバイス304のネットワークが成長するにつれて経時的に向上することができ、したがって、トレーニング及び評価のためのより大きな参照データベースを提供することができる。特に、複数のモバイルデバイス304からの複数の観測によるクラウドソーシングは、センサデータ及び人間-機械インタフェース(HMI)データのグラウンドトゥルース、並びに区別及び裁定の決定を検証する方法を可能にし得る。加えて、いくつかの実行形態では、集約されたデータセットを、利害関係者に販売、ライセンス供与又は他の方法で提供され得る製品又はサービスとしてパッケージ化することができる。
【0046】
UAS306に関する情報の検出及び収集は、1以上のユーザ302がUAS306の飛行を観察するときのように、ユーザ302のうちの少なくとも1のユーザによって開始されることができる。他の例では、プロセスを開始するトリガは、別の第三者システム(例えば無人トラフィック管理(UTM)システム、レーダシステム、レイセオン・テクノロジーズ社によるマルチスペクトルターゲッティングシステム(MTS:Multi-Spectral Targeting System)等のような光学追跡システム)が、識別されていないオブジェクトの存在を検出することである可能性がある。その第三者システムは、次いで、サーバ310に、地理空間アラート通知を、ユーザのモバイルデバイス304上のapp305を介してユーザ302に送信するよう要求し得る。更に他の例では、処理を開始するトリガは、エリア内のUASの飛行のソーシャルメディア投稿であってもよく、これは、app305を介してユーザ302への地理空間アラート通知を自動的に生成し得る。
【0047】
1つの特定の例として、ユーザ302は、UAS306を観察し、app305を使用してネットワーク308を介してサーバ310にその観察を報告し得る。サーバ310は、次いで、app305を介して、近くのエリア(観察しているユーザ302から半径1キロメートル以内のような)の一群のユーザ302に通知を送信し得る。当該通知は、一群のユーザ302にUAS306に関する任意の既知の情報を知らせ、ユーザ302にUAS306を探し、UAS306に関するあらゆる可能な情報を記録するように要求する。例えばユーザ302は、UAS306の写真又はビデオをキャプチャし、UAS306によって生じたサウンドのオーディオを記録し、UAS306に関するテキストコメントを生成すること等をし得る。いくつかの実行形態では、app305は、モバイルデバイス304の1つ以上の内部センサ(例えばGPS、IMU、コンパス等)、1つ以上の外部「アドオン」センサ(感知デバイス214等)又は他の(オープンソース化又はライセンスされた)地理空間測量appをモニタして、航跡生成計算のために使用することができる情報(方向、方角等)を抽出することができる。ユーザ302又はモバイルデバイス304は、次いで、app305を介してUAS306に関する情報をサーバ310に報告する。
【0048】
サーバ310は、任意の位置情報を含むUAS306の情報を受信し、UAS306の周囲の空間の地理空間情報を調べて、いずれか脆弱なエリア(混雑したイベント、重要な資産、軍事基地等のような)があるかどうかを判断する。サーバ310はまた、UAS306のコントローラ又はオペレータを探すために、より広いエリア(例えばUAS306から半径5キロメートル以内)の一群のユーザ302に通知する。例えばユーザ302は、彼らのモバイルデバイス304を使用して、コントローラ及びUAS306が通信するネットワーク又は伝送帯域(例えばWi-Fi、無線周波数(RF)、セルラー等のような)を電子的に感知し得る。ユーザ302はまた、単に歩き回ってUASコントローラ又はオペレータを視覚的に探して、app305を介してサーバ310に情報を報告し得る。
【0049】
サーバ310がUAS306又はそのコントローラ/オペレータに関する情報を取得すると、サーバ310は、UAS306及びその潜在的脅威の評価を実行する。いくつかの実行形態において、機械学習技術を使用して、UAS306の評価を実行することができる。このタイプの技術の一例は、本件出願人の同時係属中の特許出願(Attorney Docket No. 20-13800-US-NP(rayn01-13800))に記載されており、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。この評価に基づいて、サーバ310は、更なる裁定又は緩和のために、別の許可されたアクターに段階的に拡大することができ、あるいは、この評価が低い脅威を示す場合には、段階的に縮小することができる。サーバ310はまた、代替的に、UAS306の評価情報を、ユーザ302のうちの1以上に又は1つ以上の利害関係のある第三者に送信することもできる。利害関係のある第三者は、法執行者、UAS306又はその飛行経路の近くの事業資産に関与するエンティティ、財産所有者等を含むことができる。
【0050】
いくつかの実行形態では、フリーミアム・ビジネスモデルは、エンティティ312によって提供されるサブスクリプションベースのサービスを含むことができる。サブスクリプションベースのサービスでは、加入者は、UAS306に関するより大きなレベルの情報を受け取り得る。加入者は、ユーザ302のうちの1以上を含むことができる。他の加入者は、UASを探すことには関心はない可能性はあるが、彼らの近くのUASを認識したい加入者を含む可能性がある。例えば加入者は、UASが自分の家の近くにいるときを知りたい著名人であり得る。しかしながら、本特許文書に記載されているアプローチは、ユーザに参加するよう促すためのいずれかの特定のビジネスモデル又は他の実装に限定されないことに留意されたい。
【0051】
環境300では、サーバ310は、モバイルデバイス304又は他のデータの異種ソース(例えば地理空間マッピング、犯罪記録データベース等)からの情報を使用して、インテリジェンスサイクル、法執行機関の疑わしい活動調査サイクル(law enforcement suspicious activity investigatory cycle)及びポップアップUAS脅威に対する軍事「キル・チェーン」を統合及び圧縮し、裁定及びアクション決定プロセスの効率を改善することができる。従来のアプローチでは、教育、明確な役割、責任、権限、緩和策(mitigation solutions)の欠如に起因する複数の非効率性がプロセスに存在する。これは、コミュニティのすべてのアクターによる潜在的脅威のタイムリーで効率的な通知、裁定及び適切な緩和を妨げる。環境300は、異なるアクター(非従来的アクターと従来的アクターの両方を含む)の明確な役割、責任、権限及び緩和策を定義することにより、及びキル・チェーンにおけるアクター間のコミュニケーション及び調整に関連付けられる摩擦及び時間を削減することにより、3つのプロセスすべてを統合して圧縮する。例えばモバイルデバイス304によってサーバ310に提供されるUAS情報は、従来のキル・チェーン・センサ・カバレッジにおけるギャップを埋めることができる。
【0052】
環境300は、感知インフラストラクチャの獲得、人員配置及び維持コスト(sustainment costs)の大部分を、ユーザ302の大規模な潜在的ネットワークにシフトし、ユーザ302は各々、自身の独立のモバイルデバイス304へのアクセスを有する。これは、低高度感知インフラストラクチャを展開し、人員配置し、維持するために、スケーリング及びコストの必要性という問題を解決する。ユーザ302のネットワークが成長するにつれて、環境300によって提供されるカバレッジはスケールアップする。これは、大規模なパブリックイベントのようなソフトターゲットの場合には特に有利であり得る。
【0053】
図3は、UASのクラウドソース化検出及び追跡を実行することができる環境300の一例を図示しているが、
図3に対して様々な変更が行われてもよい。例えば動作環境は、多種多様な構成となっており、
図3は、本開示をいずれかの特定の環境に限定しない。
【0054】
図4は、本開示による、UASのクラウドソース化検出及び追跡を実行することができる、対UASソリューション(counter-UAS solution)400の例示的な地理空間表現を示す。説明の容易性のために、対UASソリューション400は、
図3の環境300とともに使用されるものとして説明され、
図1のシステム100を含み得る。しかしながら、対UASソリューション400は、任意の適切なデバイス、環境及びシステムの使用を伴ってよい。
【0055】
図4に示されるように、対UASソリューション400は、複数のグループのアクター401~404を含む。アクター401は、飛行機やミサイル等からの保護のための従来的な防空(軍隊のような)を含む。アクター402は、軍事警察のような、より新しい防空アクターを含む。アクター403は、現地の法執行機関のような現地の非軍事機関(文民警察部隊のような)を含む。アクター404は、ビジネス、産業、公益事業、関係する個人(例えば著名人又はプライバシーを非常に重視する個人)等のような民間のアクターを含む。
【0056】
アクター401~404の各グループは、UAS目撃の場合にアクター401~404がとることができる1つ以上のカウンターアクションを有する。例えば両アクター401及び402は、UASを破壊することやUASの動作を妨害すること等のような、UASが観察されるときの阻止(interdiction)の権限を有する。実行される阻止のタイプは、UASが特定の保護資産406にどの程度近いかに依存することができる。例えばUASが、資産406に関連付けられる監視ゾーン(surveillance zone)407、交戦ゾーン(engage zone)408又は制限ゾーン(restricted zone)409に入るかどうかに応じて、阻止のタイプはより有意なものになり得る。資産406からの半径によって各ゾーン407~409を定義することができる。いくつかの実行態様において、アクター403及び404は、UASのいかなる阻止も実行する権限を有さない。しかしながら、アクター403及び404は、人及び企業に指令(非難するための指令のような)を出すことができる。
【0057】
対UASソリューション400はまた、高度ゾーン411~413によっても定義され、この場合、高度ゾーン411は低高度(400フィート未満等)であり、高度ゾーン412は中高度(400フィートから2,000フィート等)であり、高度ゾーン413は高高度(2,000フィート超等)である。もちろん、これらの値は単なる例であり、他の実行形態は異なる閾値で異なる数の高度ゾーンを含んでもよい。いくつかの場合において、本明細書で開示されるクラウドソース化検出及び追跡システム及び方法は、415で示される破線によって表されるように、低高度ゾーン411及び監視ゾーン407において実行されることができる。しかしながら、クラウドソース化検出及び追跡システム及び方法の他の使用ケースも可能であり得る。
【0058】
図4は、UASのクラウドソース化検出及び追跡を実行することができる対UASソリューション400の一例を図示しているが、
図4に様々な変更が行われてよい。例えばソリューション400は、任意の適切な数のアクター、監視ゾーン、高度ゾーン及びカウンターアクションを含むことができる。
【0059】
図5は、本開示によるUASのクラウドソース化検出及び追跡のための例示的な方法500を示す。説明の容易性のために、
図5の方法500は、
図2の1つ以上のデバイス200を使用して実装され得るシステム100を使用して、環境300内で実行されるものとして説明され得る。しかしながら、方法500は、任意の適切な環境において任意の適切なデバイス及びシステムの使用を伴ってよい。
【0060】
図5に示されるように、ステップ502において、エリア内を飛行しているUASの通知が受信される。当該通知は、複数のユーザのうちの少なくとも1のユーザから又はエリア内の識別されていないオブジェクトの存在を検出する第三者システムから受信される。これは、例えばサーバ310が、ユーザ302のうちの少なくとも1のユーザ又は第三者システムからUAS306に関する通知を受信することを含んでもよい。
【0061】
ステップ504において、エリア内に位置する複数のユーザの複数のモバイルデバイスに別の通知が送信される。当該通知は、UASを探すようにユーザに要求する。いくつかの実行形態では、通知は、モバイルデバイスにインストールされたアプリケーションを介してユーザに提供される。これは、例えばサーバ310が、app305を介してユーザ302に提供される通知をモバイルデバイス304に送信することを含んでもよい。
【0062】
ステップ506において、更に別の通知が、上記複数のモバイルデバイスに、及びより大きなエリア内に位置する他のユーザの他のモバイルデバイスに送信され得る。当該通知は、UASのコントローラ又はUASのオペレータを探すように、上記複数のユーザ及び上記他のユーザに要求する。これは、例えばサーバ310が、より大きなエリア内のモバイルデバイス304に通知を送信することを含んでもよい。
【0063】
ステップ508において、UASに関する情報が、1以上のユーザの1つ以上のモバイルデバイスから受信される。当該情報は、上記1つ以上のモバイルデバイスによって取得される。いくつかの実行形態では、UASに関する情報は、モバイルデバイスによってキャプチャされたUASの1つ以上の画像又はビデオ、モバイルデバイスによって検出されたUAS又はUASのコントローラからの無線制御信号情報、モバイルデバイスによって取得されたUASの位置データ、UASのトラックデータ又はこれらの組合せを含む。これは、例えばサーバ310が、モバイルデバイス304からUAS306に関する情報を受信することを含んでよい。
【0064】
ステップ510において、UASの評価が、1つ以上のモバイルデバイス及び/又は他の異種データソースから受信したUASに関する情報に基づいて決定される。これは、例えばサーバ310が、モバイルデバイス304から受信した情報に基づいてUAS306の評価を決定することを含んでよい。
【0065】
ステップ512において、一般的な通知が、複数のモバイルデバイスのうちの少なくとも一部に送信される。当該通知は、UASの評価に関する情報を含む。これは、例えばサーバ310が、評価通知をモバイルデバイス304のうちの少なくとも一部に送信することを含んでもよい。モバイルデバイス304に送信される評価情報は、UAS306に関する比較的一般的な情報であってよい(ただし、所望であれば、より詳細であってもよい)。
【0066】
ステップ514において、1以上の第三者に詳細な通知が送信される。通知は、特定の詳細な識別情報又はUASによってもたらされる脅威の詳細な評価のような、UASの評価に関するより詳細な情報を含む。1以上の第三者は、UAS検出に関連付けられるサービスの少なくとも1の加入者、法執行者、少なくとも1の所有者、UAS又はその飛行経路の近くの事業資産に関与する少なくとも1つのエンティティ、あるいはこれらの組合せを含むことができる。これは、例えばサーバ310が詳細なレポート通知を第三者に送信することを含んでよい。
【0067】
図5は、UASのクラウドソース化検出及び追跡のための方法500の一例を示しているが、
図5に対して様々な変更が行われてよい。例えば一連のステップとして示されているが、
図5の様々なステップは、重複してよく、並列に発生してよく、異なる順序で発生してよく又は任意の回数で発生してもよい。
【0068】
他の中でも特に、上述の実行形態は、民間、商業及び法執行アクターを含む非従来的アクターへの防空の拡大を提供する。場合によっては、開示された実行形態で収集されるUAS情報は、軍事的キル・チェーン、インテリジェンスコミュニティ(IC)インテリジェンスサイクル及び法執行機関の疑わしい活動報告調査サイクルにおけるギャップを埋めることができる。また、場合によっては、収集された情報を、追加的な積極的な緩和権限を有する従来的又は制度的なキル・チェーンアクター又は他の法執行者に提供することもできる。
【0069】
いくつかの実行形態では、本特許文書に記載される様々な機能は、コンピュータ読取可能プログラムコードから形成され、コンピュータ読取可能媒体で具現化される、コンピュータプログラムによって実装されるか又はサポートされる。「コンピュータ読取可能プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード及び実行可能コードを含む任意のタイプのコンピュータコードを含む。「コンピュータ読取可能媒体」という語句は、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)又は任意の他のタイプのメモリのような、コンピュータによってアクセス可能な任意のタイプの媒体を含む。「非一時的」なコンピュータ読取可能媒体は、一時的な電気信号又は他の信号を伝送する有線、無線、光又は他の通信リンクを除く。非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、データを永久的に記憶することができる媒体と、データを記憶し、後に上書きすることができる媒体、例えば書換え可能な光ディスク又は消去可能なストレージデバイスを含む。
【0070】
本特許文書を通して使用される特定の単語及び語句の定義を示すことは有利であり得る。「アプリケーション」及び「プログラム」という用語は、適切なコンピュータコード(ソースコード、オブジェクトコード又は実行可能コードを含む)での実装に適合される、1つ以上のコンピュータプログラム、ソフトウェア構成要素、命令のセット、プロシージャ、機能、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ又はそれらの一部を指す。「通信する」という用語並びにその派生語は、直接的通信と間接的通信の両方を包含する。「含む」及び「備える」という用語並びにそれらの派生語は、限定ではなく、包含(inclusion)を意味する。「又は」という用語は、包括的であり、及び/又は、を意味する。「~に関連付けられる」並びにその派生語は、~含む、~内に含まれる、~と相互接続する、~を包含する、~内に包含される、~に又はそれと接続する、~に又はそれと結合する、~と通信可能である、~と協調する、~をインターリーブする、~を並置する、~に隣接する、~に又はそれと結び付けられる、~の特性を有する、~に又はそれと関係を有する等を意味することがある。「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用されるとき、列挙された項目の1つ以上の異なる組合せが使用され得ること及びリスト内の1つの項目のみが必要とされ得ることを意味する。例えば「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、以下の組合せ、すなわち:A、B、C、AとB、AとC、BとC、及び、AとBとC、のうちのいずれかを含む。
【0071】
本明細書における説明は、いずれかの特定の要素、ステップ又は機能が、特許請求の範囲に含まれなければならない本質的又は重要な要素であることを意味するものとして解釈されるべきではない。特許請求に係る主題の範囲は、許可された請求項によってのみ定義される。さらに、特定の請求項において、機能を識別する特定の語句が続く「のための手段」又は「のためのステップ」という厳密な語が明示的に使用されない限り、請求項のいずれも、添付の請求項又は請求項の要素のいずれかに関して米国特許法第112条(f)を発動させない。請求項内の「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「メンバー」、「装置」、「マシン」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」のような用語の使用は、請求項自体の特徴によって更に修正又は強化される、当業者に公知の構造を指すように理解及び意図されるものであり、特許法第112条(f)を発動させるよう意図されるものではない。
【0072】
本開示は、特定の実行形態及び一般的に関連付けられる方法を記載したが、これらの実行形態及び方法の修正及び交換は、当業者には明らかであろう。したがって、例示的な実行形態の上述の説明は、本開示を定義せず、制約しない。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、以下の特許請求の範囲によって定義されるように、他の変更、代替及び修正も可能である。