(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】局所用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241106BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20241106BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20241106BHJP
A61K 31/423 20060101ALI20241106BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241106BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241106BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241106BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/368
A61K31/047
A61K31/12
A61K31/192
A61K31/423
A61P17/00
A61P17/00 101
A61P31/00
A61P43/00 121
A61Q5/00
A61Q17/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022510129
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2020073790
(87)【国際公開番号】W WO2021047905
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク-エディンガー, クリスティーン
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/039972(WO,A1)
【文献】特開2006-176519(JP,A)
【文献】特表2000-504740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/00-33/44
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
A61P 1/00-43/00
CAplus/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物とを含む、局所用組成物。
【請求項2】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの量は、前記組成物の総質量を基準として、1~20質量%の範囲において選択される、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシアセトフェノンの量は、前記組成物の総質量を基準として、0.001~5質量%の範囲において選択される、請求項1又は2に記載の局所用組成物。
【請求項4】
前記アルカンジオールの量は、前記組成物の総質量を基準として、0.01~5質量%の範囲において選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項5】
前記安息香酸又はその塩の量は、前記組成物の総質量を基準として、0.001~6質量%の範囲において選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項6】
前記1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン対ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される前記少なくとも1種の化合物の質量比は、50:1~1:10の範囲から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシアセトフェノンはp-ヒドロキシアセトフェノンであり、前記アルカンジオールは1,3-プロパンジオールであり、前記安息香酸又はその塩は安息香酸ナトリウムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項8】
前記組成物は、O/Wエマルション、W/Oエマルション、又はゲルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項9】
前記組成物は、水
と油とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項10】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物
を、局所用組成物の貯蔵寿命及び/又は貯蔵安定性を高めるための相乗的抗微生物剤混合物として
含む、局所用組成物。
【請求項11】
前記ヒドロキシアセトフェノンはp-ヒドロキシアセトフェノンであり、前記アルカンジオールは1,3-プロパンジオールであり、前記安息香酸又はその塩は安息香酸ナトリウムである、請求項
10に記載の
局所用組成物。
【請求項12】
微生物による局所用組成物の分解を阻害するか又は遅延する方法であって、前記方法は、前記局所用組成物に、有効量の1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物とを添加するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと防腐剤との混合物を含む化粧用組成物及び前記混合物の抗微生物剤としての使用に関する。
【0002】
微生物は、食品や化粧品などの日用品を腐敗させる原因となる。したがって、微生物の増殖を低減することは、製品自体の貯蔵寿命(貯蔵安定性)を向上させるためだけでなく、消費者の安全性を保証するためにも不可欠である。これに従い、一般には、防腐剤がそれぞれの製品に添加されている。しかしながら、特定の防腐剤の使用に関しては、社会的に大きな議論が起こっていることから、この種の薬剤を減量するか又は回避さえすることが可能な選択肢が、産業界、特に化粧品業界において強く望まれている。その理由は、クリームやローションなどの局所用組成物は水分含有量が比較的高く、特に微生物に侵されやすいためである。したがって、化粧品処方の安全性を保持したまま、経時的な変化の防止を助ける代替品が求められ続けている。
【0003】
驚くべきことに、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンが、化粧用組成物に一般に使用されている防腐剤(抗微生物剤と称されることも多い)の抗微生物作用を相乗的に向上させることができることがここに見出された。この驚くべき発見は、化粧用組成物中の防腐剤の量を減らすことができる一方で、それにも関わらず、適切な貯蔵寿命及び消費者の安全性を確保するのに必要な抗微生物性を維持することも可能になるため、非常に有利である。
【0004】
したがって、第1の実施形態において、本発明は、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含む局所用組成物に関する。
【0005】
第2の実施形態において、本発明は、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物の、相乗的抗微生物剤混合物(防腐力増強剤)としての使用に関する。
【0006】
第3の実施形態において、本発明は、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物の、抗微生物剤、即ち、抗微生物活性を示す薬剤としての、特に局所用組成物の貯蔵寿命及び/又は貯蔵安定性を向上させるための使用に関する。
【0007】
特に本発明は、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物の、抗真菌剤及び/又は抗細菌剤としての、より具体的には、真菌、特に酵母若しくはカビなど及び/又は細菌(グラム陽性及び/又はグラム陰性)、最も好ましくは、エシェリヒア・コリ(Escherichia Coli、E.Coli)、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa、P.aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus、S.aureus)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis、A.brasiliensis)、及び/又はカンディダ・アルビカンス(Candida albicans、C.albicans)、並びにこれらの混合物を死滅させ、及び/又は増殖を阻害する薬剤としての、特に、局所用組成物の貯蔵寿命及び/又は貯蔵安定性を向上させるための使用に関する。
【0008】
更なる実施形態において、本発明は、微生物細胞、特に、酵母若しくはカビなどの真菌及び/又は細菌細胞、その中でも最も特に、エシェリヒア・コリ(E.Coli)、シュードモナス・アエルギノーサ(P.aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、及び/又はカンディダ・アルビカンス(C.albicans)、並びにこれらの混合物を死滅させ、及び/又は増殖を阻害するための方法であって、前記方法は、前記微生物細胞に、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物を接触させることを含む、方法に関する。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、微生物による局所用組成物の分解を阻害するか又は遅延させる方法であって、前記方法は、局所用組成物に、有効量の、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物とを添加するステップを含む、方法に関する。
【0010】
本明細書において使用される「有効量」という用語は、所望の抗微生物効果を得るために必要な量を指す。当然のことながら、有効量は、公知の因子、特に化粧品処方の詳細などに応じて変化し得るが、当業者であれば、本明細書に規定する量及び比率の範囲内で調整することが可能である。
【0011】
本明細書において使用される「抗微生物活性」(又は「抗微生物効果」)という用語は、微生物細胞、特に、細菌及び真菌細胞など(特に、カビ及び/又は酵母)、例えば、プロピオバクテリウム・アクネス(P.acnes)、スタフィロコッカス・エピデルミス(S.epidermis)、マラセチア・フルフル(M.furfur)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、エシェリヒア・コリ(E.Coli)、シュードモナス・アエルギノーサ(P.aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、及び/又はカンディダ・アルビカンス(C.albicans)、並びにこれらの混合物、しかしながら好ましくは、エシェリヒア・コリ(E.Coli)、シュードモナス・アエルギノーサ(P.aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、及び/又はカンディダ・アルビカンス(C.albicans)、並びにこれらの混合物を死滅させ、及び/又は増殖を阻害する能力を意味する。
【0012】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン[CAS 904-39-2]は無色~淡黄色の固体であり、例えば、国際公開第200239972号パンフレットに概説されているように、又は実施例に例示するように調製することができる。
【0013】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、溶解性が低いことから、本発明の全ての実施形態において、好ましくは微粉化された形態、即ち、平均粒子径が1μm未満の固体粒子の形態で使用される。
【0014】
特に有利な実施形態において、前記微粉化された形態の平均粒子径は最大300nmである。一層好ましくは、微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、50~300nmの範囲、より好ましくは100~300nmの範囲、最も好ましくは120~280nmの範囲、例えば、140~240nmの範囲又は150~220nmの範囲から選択される範囲にある平均粒子径を有する。
【0015】
本明細書において使用される「平均粒子径」という用語は、レーザー回折によって、例えば、Malvern Mastersizer 2000を用いて決定される個数基準の平均粒子径分布Dn50(Dn0.5としても知られる)(ISO 13320:2009)を指す。
【0016】
本発明による微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、当該技術分野における標準的な微粉化方法、例えば、国際公開第9522959号パンフレット及び国際公開第9703643号パンフレットに概説されている方法により製造することができ、当該明細書を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0017】
本発明による微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、粉末形態で又はその分散体として使用することができる。
【0018】
本発明による微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、更に、結晶形態又は固体非晶質形態とすることができる。本発明の全ての実施形態において、微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、好ましくは、固体非晶質形態にある。
【0019】
本明細書において使用される「固体非晶質形態」という用語は、固体が選択的に結晶の網目を形成する時間を与えず、したがって、主として無秩序形態にある固体(本明細書において「固体非晶質1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン」とも称する)が得られるように、溶液又は混合物状態にある液相から急速に固相を形成/分離させることによって形成された固体粒子を指す。この形態は、XRPD分析により、Bruker D8 Advance粉末X線回折計を使用し、反射型(ブラッグ・ブレンターノ型)配置でLynxEye検出器及びCu Κα線を用いて測定した場合に、25~28°2θ(Cu Κα線)のピークのベースライン分離ができないことによって明確に同定することができる。
【0020】
本発明による1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの固体非晶質形態は、好ましくは、(1)テレフタル酸及び2-アミノフェノールを反応させることにより1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを生成するステップと、(2)得られた1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを、好ましくは(氷)水の存在下に析出させることにより、固体非晶質1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを得るステップと、を含むプロセスにより調製され、これは、その後に続くステップにおいて、当該技術分野において標準的な方法に従い微粉化される。このプロセスは、任意選択的に中間精製ステップを含むことができる。別法として、固体非晶質1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンが殆ど又は全く溶解しない溶媒、例えば、これらに限定されるものではないが、例えば、トルエン及び/又は1-ブタノールなどのアルコールで洗浄することにより更に精製することもできる。
【0021】
本発明の全ての実施形態において、更に有利には、微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、局所用組成物に容易に混合できるという理由から、その水性分散体の形態で使用される。
【0022】
この種の水性分散体における1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの量は、水性分散体の総質量を基準として、好ましくは、10~90質量%、20~80質量%、又は30~70質量%の範囲、より好ましくは25~60質量%の範囲、最も好ましくは25~55質量%の範囲、例えば、25~50質量%の範囲、25~40質量%の範囲、又は25~35質量%の範囲から選択される。
【0023】
水性分散体は、更に1種又は複数種の添加剤を、例えば、微粉化を促進するため、及び/又は水性分散体を、例えば、沈降に対し安定化させるために含有することができる。
【0024】
水性分散体中に1種又は複数種の添加剤が存在する場合、その(総)量は、水性分散体の総質量を基準として、好ましくは0.01~25質量%の範囲から、より好ましくは0.1~20質量%の範囲から、最も好ましく0.5~15質量%の範囲から、例えば、1~10質量%の範囲から選択される。
【0025】
本発明による全ての実施形態において、少なくとも1種の添加剤は、好ましくは、界面活性成分、特に、非イオン性、両性、及びカチオン性界面活性剤など、消泡剤、塩、湿潤剤、及び増粘剤、並びにこれらの混合物の群から選択される。
【0026】
水性分散体中に使用するのに特に好適な界面活性成分は、一般式CnH2+nO(C6H10O5)xH(式中、nは、2~22の範囲から選択される整数であり、xは、グルコシド部分(モノ-、ジ-、トリ-、オリゴ-、及びポリグルコシド)の平均重合度を表す)を有するアルキルポリグルコシド(APG)である。この種のアルキルポリグルコシドは、例えば、Shanghai Fine Chemicalから市販されている商品名Green APG 0810(トウモロコシ由来のグルコース並びにヤシ油及びパーム核油由来のC8及びC10脂肪アルコールから製造されたC8~10アルキルポリグルコシド)又はBASFからのPlantacare 1200 UP(C12~C16脂肪アルコールポリグリコシド)である。界面活性成分が存在する場合、これは、水性分散体の総質量を基準として、好ましくは1~20質量%の範囲、より好ましくは5~15質量%の範囲、最も好ましくは7~12.5質量%の範囲から選択される(総)量で使用される。
【0027】
水性分散体中に使用するのに特に好適な消泡剤は、シリコーン油、特に、ポリジメチルシロキサンなど、及び/又はケイ素消泡剤、特に、パイロジェニック若しくは疎水化シリカのシリコーン油中の無水分散体などである。最も好ましくは、消泡剤はシメチコンである。この種の消泡剤が存在する場合、水性分散体の総質量を基準として、好ましくは0~1質量%の範囲から選択される(総)量で、より好ましくは0.01~0.2質量%の量で使用される。
【0028】
水性分散体中に使用するのに適した塩としては、リン酸のアルカリ及びアルカリ土類塩、水酸化物、例えば、リン酸水素二ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウムなどが挙げられる。塩又はその混合物が存在する場合、好ましくは、水性分散体の総質量を基準として、0.01~5質量%、より好ましくは0.1~4質量%、最も好ましくは0.5~2.5質量%の量(総量)で使用される。
【0029】
水性分散体中に使用するのに特に好適な増粘剤は、キサンタンガム、ジェランガム、及び/又はカルボキシメチルセルロースを含む。最も好ましくは、増粘剤は、キサンタンガム又はジェランガムである。この種の増粘剤が存在する場合、好ましくは、水性分散体の総質量を基準として、0.1~1質量%の範囲から、より好ましくは0.1~0.5質量%の範囲から選択される(総)量で使用される。
【0030】
水性分散体中に使用するのに特に好適な湿潤剤は、(ポリ)プロピレングリコールであり、例えば、最も好ましくはプロピレングリコールである。この種の湿潤剤が存在する場合、好ましくは、水性分散体の総質量を基準として、0.1~1質量%の範囲から、より好ましくは0.2~0.6質量%の量において選択される。
【0031】
本発明による全ての実施形態において、好ましくは、本明細書において与えられる全ての定義及び優先度を有する、微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン、水、及び任意選択的に少なくとも1種の添加剤から基本的になる水性分散体が使用される。
【0032】
一層有利には、水性分散体は、
(i)本明細書において与えられる全ての定義及び優先度を有する微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを、水性分散体の総質量を基準として、25~60質量%、好ましくは25~50質量%と;
(ii)C8~16アルキルポリグルコシドを、水性分散体の総質量を基準として、5~15質量%、好ましくは7~12.5質量%と;
(iii)増粘剤、湿潤剤、及び/又は消泡剤の群から選択される少なくとも1種の添加剤を、水性分散体の総質量を基準として、0~3質量%、好ましくは0~2.5質量%と;
(iv)水を、水性分散体の総質量を基準として、全体が100質量%となる量と;
から基本的になる。
【0033】
本発明に従い使用される「から基本的になる」という用語は、水(iv)の量で調整された成分(i)~(iv)の量の総和が100質量%になることを意味する。しかしながら、これは、例えば、成分の各原料を介して導入される少量の不純物又は添加剤が存在する可能性を排除しない。
【0034】
最も有利には、水性分散体は、添加剤(iii)として、プロピレングリコールと、キサンタンガム又はジェランガムから選択される1種の増粘剤と、任意選択的なシメチコンと、を含む。
【0035】
本発明の全ての実施形態において、局所用組成物は、好ましくは、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを、組成物の総質量を基準として(且つ、常に活性物質を基準として)、約0.1~20質量%の範囲、より好ましくは約0.25~15質量%の範囲、最も好ましくは約0.3~10質量%の範囲、例えば、約0.3~7.5質量%の範囲から選択される量で含む。更に好適な範囲は、0.25~10質量%、0.25~7.5質量%、0.25~5質量%、1~7.5質量%、及び1~5質量%を含む。
【0036】
ヒドロキシアセトフェノンという用語は、o-、m-、又はp-ヒドロキシアセトフェノンを指す。本発明の全ての実施形態において、1-(4-ヒドロキシフェニル)-エタノンとも称され、例えば、SymriseからSymSave(登録商標)Hとして市販されている、p-ヒドロキシアセトフェノン[CAS 99-93-4]が特に好ましい。
【0037】
本発明の全ての実施形態において、局所用組成物は、好ましくは、ヒドロキシアセトフェノンを、組成物の総質量を基準として、0.001~5質量%の範囲、より好ましくは0.01~4質量%の範囲、最も好ましくは0.1~3質量%の範囲から選択される量で含む。更に好ましい範囲は、組成物の総質量を基準として、0.005~4.5質量%、0.05~4質量%、及び0.25~3質量%である。
【0038】
アルカンジオール、特に、直鎖及び分岐のC1~10アルカンジオールなどは、化粧品用途に用いられる防腐力増強剤としてよく知られている。本発明による特に好適なアルカンジオールには、約2~約10個の炭素原子、例えば、約3~約8個の炭素原子又は約3~約7個の炭素原子を含む直鎖1,2-、1,3-、又は1,4-アルカンジオール、特に、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、及び1,2-デカンジオールなどが含まれる。本発明の全ての実施形態において、最も好ましいアルカンジオールは、1,3-プロパンジオール[CAS 504-63-2]であり、これは例えば、DuPont Tate & Lyle BioproductsからZemea(商標)Propandiolの商品名で市販されている。
【0039】
本発明の全ての実施形態において、局所用組成物は、アルカンジオールを、組成物の総質量を基準として、好ましくは0.01~6質量%の範囲、より好ましくは0.1~5質量%の範囲、最も好ましくは0.5~4質量%の範囲から選択される量で含む。更に好適な範囲は、組成物の総質量を基準として、0.5~3.5質量%又は0.5~3質量%である。
【0040】
安息香酸に加えてその塩も、食品、医薬品、及び化粧品に慣用されている公知の防腐剤である。好ましい塩はカリウム又はナトリウム塩であり、最も好ましくはナトリウム塩である。本発明の全ての実施形態において、特に好ましくは、安息香酸[CAS 65-85-0]及び/又は安息香酸ナトリウム[CAS 532-32-1]が使用され、最も好ましくは、例えば、Emerald Kalama Chemicals からPurox(登録商標)S Grainsの商品名で市販されている安息香酸ナトリウムが使用される。
【0041】
本発明の全ての実施形態において、局所用組成物は、好ましくは、安息香酸又はその塩を、組成物の総質量を基準として、0.001~6質量%の範囲、より好ましくは0.01~4質量%の範囲、最も好ましくは0.1~3質量%の範囲から選択される量で含む。更に好適な範囲には、組成物の総質量を基準として、0.1~1質量%及び0.1~0.8質量%が含まれる。
【0042】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン対ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物の質量比は、好ましくは40:1~1:40の範囲、より好ましくは30:1~1:30の範囲、一層好ましくは20:1及び1:20の範囲、例えば、15:1~1:15又は15:1~1:10の範囲から選択される。
【0043】
最も好ましくは、ヒドロキシアセトフェノンの場合、質量比は、30:1~1:2の範囲、例えば、25:1~1:1の範囲から選択される。
【0044】
最も好ましくは、アルカンジオールの場合、質量比は、15対1~1対5の範囲、例えば、10:1~1対1:3の範囲から選択される。
【0045】
最も好ましくは、安息香酸又はその塩の場合、質量比は、30:1~1:1の範囲、より好ましくは25:1~1:1の範囲から選択される。
【0046】
全ての実施形態において、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン対ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物の質量比は、好ましくは≧0.5、より好ましくは≧0.75、最も好ましくは≧1である。
【0047】
化合物がヒドロキシアセトフェノン及び/又は安息香酸若しくはその塩から選択される場合、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを過剰量で、即ち、ヒドロキシアセトフェノン及び/又は安息香酸若しくはその塩の量よりも多く、例えば、質量比が1を超えるように、より好ましくは質量比が少なくとも1.25となるように、最も好ましくは質量比が少なくとも2となるように使用することも有利である。
【0048】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物を、例えば、ローション、クリーム、又はジェルなどの多様な処方に使用して、その相乗的な抗微生物活性を利用することができる。
【0049】
本発明に従い使用される1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの量は、好ましくは0.1~20質量%の範囲、より好ましくは約0.25~15質量%の範囲、最も好ましくは約0.5~10質量%の範囲、例えば、0.3~7.5質量%の範囲(いずれも活性物質を基準とする)から選択される。更に好適な範囲は、0.25~10質量%、0.25~7.5質量%、0.25~5質量%、1~7.5質量%、及び1~5質量%を含む。
【0050】
本発明による使用は、一方では、例えば、貯蔵寿命及び/又は貯蔵安定性を向上させることを目的として、局所用組成物中で微生物の増殖を低減又は防止するためなどの技術的な使用とすることができる。この使用は、任意選択的に、その効果を、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンを含まない各製品と比較して評価するステップを含む。
【0051】
他方では、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物との混合物の本発明による使用は、美容的又は医薬的な意味で行うことができる。医薬的な用途としては、例えば、特定の抗微生物療法の場合における用途が想定される。美容的な用途としては、例えば、皮膚上のコリ(Coli)、シュードモナス・アエルギノーサ(P.aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(A.brasiliensis)、及び/又はカンディダ・アルビカンス(C.albicans)などの望ましくない微生物の数を低減することによって、皮膚の健全な恒常性を維持すること及び/又は皮膚微生物叢のバランスをとることを目的とするものが想定される。
【0052】
本発明の全ての実施形態において、本使用は、好ましくは、技術的及び/又は美容的(非治療的)使用である。
【0053】
本発明による局所用組成物は、好ましくは、哺乳類のケラチン組織に、特に、ヒトの皮膚又はヒトの頭皮及び毛髪などに局所的に適用される、化粧用、皮膚科用、又は医薬用組成物である。本発明の全ての実施形態において特に好ましい局所用組成物は、化粧用組成物である。
【0054】
本出願で使用される場合「化粧用組成物」という用語は、Roempp Lexikon Chemie,10th edition 1997,Georg Thieme Verlag Stuttgart,New Yorkの表題「Kosmetika」で定義された化粧用組成物、及びA.Domsch,“Cosmetic Compositions”,Verlag fuer chemische Industrie(ed.H.Ziolkowsky),4th edition,1992で開示された化粧用組成物を指す。
【0055】
本発明による局所用組成物は、好ましくは、生理学的に許容される媒体、即ち、皮膚、粘膜、及びケラチン繊維などのケラチン物質と適合性である媒体を更に含む。好ましくは、生理学的に許容される媒体は、化粧的に許容される担体である。
【0056】
化粧的に許容される担体という用語は、特に、油(化粧用油)、水、界面活性剤、乳化剤、増粘剤などの、化粧用組成物に一般に使用されているあらゆる担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0057】
本発明による局所用組成物は、一般に、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物とを、本明細書に示す量で、好適な担体と共に混合することにより調製される。
【0058】
担体の正確な量は、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物と、当業者が担体とは区別して分類するであろう他の任意選択的な成分(例えば、他の有効成分)との実際の量に依存することになる。
【0059】
有利な実施形態において、本発明による化粧用又は医薬用組成物は、担体を、化粧用組成物の総質量を基準として、約50%~約99%、好ましくは約60%~約98%、より好ましくは約70%~約98%、特に約80%~約95%などで含む。
【0060】
特に有利な実施形態において、担体は、更に、少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、最も好ましくは少なくとも55質量%、特に約55~約90質量%などの水からなる。
【0061】
本発明の組成物(担体を含む)は、防腐剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、消泡剤、芳香物質などの美的成分、界面活性剤、充填剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー若しくはこれらの混合物、噴射剤、酸性化若しくは塩基性化剤、染料、着色料/着色剤(coloring/colorant)、研磨剤、吸収剤、キレート剤及び/若しくは金属イオン封鎖剤、精油、皮膚清涼剤、収斂剤、顔料、又はこうした組成物に通常配合される任意の他の成分などの従来の補助剤及び添加剤を含み得る。
【0062】
本発明によれば、本発明による組成物はまた、化粧用又は医薬用組成物に従来使用されている更なる美容有効成分を含み得る。例示的な有効成分は、皮膚美白剤;UVフィルター;色素沈着過剰を処置するための薬剤;炎症を予防又は低減するための薬剤;引き締め剤、保湿剤、無痛化剤、及び/又は賦活化剤、並びに弾力性及び皮膚バリアを向上させるための薬剤を包含する。
【0063】
本発明の化粧用組成物に使用するために適している、スキンケア産業において一般に使用される化粧品用賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤、及び有効成分の例は、例えば、online INFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)から閲覧可能な、パーソナルケア製品協議会(Personal Care Product Council)(http://www.personalcarecouncil.org/)による国際化粧品成分辞書・ハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook)に記載されているが、それに限定されない。
【0064】
有効成分並びに賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤などの必要量は、当業者が、所望の製品形態及び用途に基づいて容易に決定することができる。追加の成分は、適切であると考えられる通りに、油性相に、水性相に、又は別々に、のいずれかに添加することが可能である。
【0065】
本明細書において有用な美容有効成分は、場合によって、2つ以上の利益をもたらすか又は2つ以上の作用機序で作用することができる。
【0066】
当然のことながら、当業者は、上述の任意選択の追加の成分、補助剤、希釈剤、及び添加剤、並びに/又はそれらの量を、本発明に従う組合せに本質的に関連する有利な特性が、想定される1又は複数の添加によって悪影響を受けないか又は実質的に悪影響を受けないように留意しながら選択するであろう。
【0067】
好ましくは、本発明による局所用組成物は、溶媒若しくは脂肪物質中の懸濁液若しくは分散液の形態にあるか、或いはエマルション若しくはマイクロエマルション(特に、O/W又はW/O型)、PITエマルション、ナノエマルション、多重エマルション(例えば、O/W/O又はW/O/W型)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液、又はベシクル分散液の形態にある。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明による化粧用組成物は、エマルション及び/又はゲルである。一層好ましくは、局所用組成物は、特に、O/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重、又はピッカリングエマルションのように、油性相及び水性相を含むエマルションである。
【0069】
この種のエマルション中に存在する油性相(即ち、極性油をはじめとする全ての油脂を含む相)の量は、局所用組成物の総質量を基準として、好ましくは少なくとも10質量%、例えば、10~60質量%の範囲、好ましくは15~50質量%、最も好ましくは15~40質量%の範囲にある。
【0070】
そのようなエマルション中に存在する水性相の量は、局所用組成物の総質量を基準として、好ましくは、少なくとも20質量%、例えば、20~90質量%の範囲、好ましくは30~80質量%の範囲、最も好ましくは30~70質量%の範囲にある。
【0071】
本発明による局所用組成物は、液体、ローション、増粘されたローション、ゲル、クリーム、乳液、軟膏、又はペーストの形態とすることができる。
【0072】
本発明による局所用組成物のpHは、3~10の範囲、好ましくはpH3~8の範囲、最も好ましくはpH3~7.5の範囲にある。pHは、当業者に公知の方法によって、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、及び酒石酸を含むヒドロキシ酸などの酸、又は塩基、例えば、水酸化ナトリウム若しくはカリウム若しくは水酸化アンモニウム及びこれらの混合物などを使用することによって調整される。
【0073】
好ましくは、本発明による組成物において、酸又は塩基(存在する場合)は、少なくとも0.0001質量%の量で、例えば、0.01~1質量%などの量、特に0.01~0.5質量%の量で使用される。
【0074】
本発明による局所用組成物は、追加の防腐剤又は防腐力増強剤を含むことができる。本発明の全ての実施形態において特に好適な防腐剤又は防腐力増強剤は、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、カプリルヒドロキシム酸、アルコール、変性アルコール、ラウリン酸グリセリルなどのモノグリセリド、プロピレングリコールカプリレート、プロピレングリコールヘプタノエート、及びこれらの混合物である。追加の防腐剤及び/又は防腐力増強剤が存在する場合、これらは、好ましくは、組成物の総質量を基準として、0.01~2質量%の量で、より好ましくは0.05~1.5質量%の量で、最も好ましくは0.1~1.0質量%の量で使用される。
【0075】
更に好ましくは、本発明による局所用組成物は、パラベン、塩化ベンゼトニウム、ピロクトンオラミン、ラウロイルアルギネート(lauroylarginat)、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、ブロノポール、塩化ベンザルコニウム、ホルムアルデヒ(formaldeh)放出化合物、サリチル酸、トリクロサン、DMDMヒダントイン、クロルフェネシン、及びIPBC(ヨードプロピニルブチルカルバメート)を一切含まない。
【0076】
更に好ましくは、本発明による局所用組成物は、超分岐コポリマー、特に、式:
【化1】
の末端基を有する、ドデセニルコハク酸無水物、ジイソプロパノールアミン、ビスジメチルアミノプロピルアミンのモノマーの超分岐などを含まない。
【0077】
本発明による局所用組成物は、特に、スキンケア製剤、機能性製剤、及び/又はヘアケア製剤、その中でも最も特に、スキンケア製剤などである。
【0078】
スキンケア製剤の例は、特に、遮光製剤(日焼け止め製剤)、老化防止製剤、光老化治療用製剤、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、保湿ジェル又は保湿スプレーなどの保湿製剤、顔及び/又は身体用保湿剤、並びに皮膚美白用製剤である。
【0079】
機能性製剤の例は、ホルモン製剤、ビタミン製剤、野菜抽出物製剤、老化防止製剤、及び/又は抗微生物(抗細菌若しくは抗真菌)製剤などの有効成分を含有する化粧用組成物であるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明による好適なヘアケア製剤の例としては、シャンプー、ヘアコンディショナー(ヘアリンスとも称される、毛髪仕上げ用組成物、ヘアトニック、毛髪再生組成物、ヘアローション、ウォーターウェーブローション、ヘアスプレー、ヘアクリーム、ヘアジェル、ヘアオイル、ヘアポマード、又はヘアブリリアンティーンを挙げることができる。したがって、これらの製剤はいずれも、それらが使用される実際の目的に応じてより短い時間又はより長い時間毛髪及び頭皮に適用される。
【0081】
本発明による局所用組成物は、有利には、O/Wエマルション、W/Oエマルション、及び/又はゲルである。
【0082】
更に、本発明によるO/Wエマルション、W/Oエマルション、及び/又はゲルの形態の局所用組成物は、UV放射の有害な影響からの皮膚の保護、健康な皮膚の恒常性の維持、及び/又は皮膚微生物叢のバランスの維持を目的としたスキンケア製剤である。
【0083】
好ましくは、本発明の全ての実施形態において、スキンケア製剤は日焼け止め製剤である。
【0084】
好ましくは、前記日焼け止め製剤は、少なくとも1種のUVフィルターを含む。UVフィルターは、液体又は固体UVフィルターであってよい。UVフィルターは、UV-A又はUV-Bフィルターであってよい。適切な液体UVフィルターは、UVB(280~315nm)及び/又はUVA(315~400nm)の範囲の光を吸収し、且つ周囲温度(即ち、25℃)において液体である。そのような液体UVフィルターは当業者によく知られており、特に、シンナメート、例えば、オクチルメトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCX)及びイソアミルメトキシシンナメート(Neo Heliopan(登録商標)E 1000)など、サリチレート、例えば、ホモサレート(3,3,5トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、PARSOL(登録商標)HMS)及びエチルヘキシルサリチレート(別名エチルヘキシルサリチレート、2エチルヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、PARSOL(登録商標)EHS)など、アクリレート、例えば、オクトクリレン(2エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、PARSOL(登録商標)340)及びエチル2-シアノ-3,3ジフェニルアクリレートなど、ベンザルマロン酸のエステル、特に、ジアルキルベンザルマロネート、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)4-メトキシベンザルマロネート及びポリシリコーン15(PARSOL(登録商標)SLX)など、ナフタレートのジアルキルエステル、例えば、ジエトキシヘキシル2,6-ナフタレート(Corapan(登録商標)TQ)など、シリンギリデンマロネート、例えば、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート(Oxynex(登録商標)ST liquid)など、並びにベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(Tinoguard(登録商標)TL)、並びにベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンが挙げられる。
【0085】
特に有利な液体UVフィルターは、オクチルメトキシシンナメート、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾ-フェノン-3、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、並びにその混合物である。
【0086】
好適な固体UVフィルターは、UVB及び/又はUVA範囲の光を吸収し、周囲温度(すなわち25℃)において固体であるものである。これらは、特に、固体有機UVフィルターである。特に好適な固体UVフィルターは、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、及び4-メチルベンジリデンカンファーからなる群のものである。
【0087】
個々の有機UVフィルターの量は、好ましくは、日焼け止め製剤の総質量を基準として、0.1~約10質量%の範囲、好ましくは0.5~7.5質量%の範囲、最も好ましくは1~5質量%の範囲にある。
【0088】
日焼け止め組成物の場合、有機UVフィルターの総量は、前記組成物が目標とするUV防御力に大きく依存し、典型的には、前記日焼け止め製剤の総質量を基準として、1~50質量%の範囲内、好ましくは5~40質量%の範囲にある。
【0089】
例えば、SPF15(SPF=紫外線防御指数)の日焼け止め製剤は、有機UVフィルターを、前記日焼け止め製剤の総質量を基準として、好ましくは4~20質量%、より好ましくは7~15質量%の総量で含む。
【0090】
例えば、SPF30の日焼け止め製剤は、有機UVフィルターを、前記日焼け止め製剤の総質量を基準として、好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~25質量%の総量で含む。
【0091】
例えば、SPF50の日焼け止め製剤は、有機UVフィルターを、前記日焼け止め製剤の総質量を基準として、好ましくは15~50質量%、より好ましくは20~40質量%の総量で含む。
【0092】
1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンと、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の群から選択される少なくとも1種の化合物とを局所用組成物に添加すると、抗微生物作用が大幅に増大することが認められた。換言すれば、この相乗的抗微生物剤混合物を組成物に添加すると、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン又はヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸若しくはその塩の群から選択される化合物を使用しない場合よりも、即ち、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン又はヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール若しくは安息香酸若しくはその塩を単独で使用した場合よりも、増殖する微生物数が少なくなることが認められる。したがって、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼン(benzen)は、特に化粧用組成物中において、ヒドロキシアセトフェノン、アルカンジオール、及び安息香酸又はその塩の抗微生物作用に相乗効果をもたらす。
【0093】
更にこの抗微生物作用は、水性系で特に顕著であることが観察された。微生物が最も増殖しやすいのは、典型的には、製品の水性相であることが知られているため、このことは非常に有利である。
【0094】
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果を更に例示するために提供するものである。これらの例は例示に過ぎず、いかなる形でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0095】
[実施例]
[1.1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの調製]
ポリリン酸702g及びメタンスルホン酸4.28mlの混合物を90℃に加熱した。テレフタル酸65g及び2-アミノフェノール107gを加えた。この混合物を不活性雰囲気下に180℃で8時間撹拌した後、氷水に移した。析出物を濾過し、水及び酢酸で洗浄した。析出物を水中に分散させ、pHを水酸化ナトリウムで8.0に調整し、濾過して水で洗浄した。粗生成物をトルエン及び1-ブタノールの3.3:1混合物中に懸濁させ、85℃で1時間撹拌し、濾過してジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させることにより、固体非晶質1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの粗い粒子を得た(以下、DBOと称する)。
【0096】
[2.1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの30質量%水性分散体の調製]
次いで、粗い粒子175g、水324g、及びGreen APG 0 810を65gの懸濁液を調製し、この懸濁液をLabStar実験室用粉砕機でイットリウム安定化酸化ジルコニウム粉砕用ビーズ(0.3mm、東ソー・セラミックス株式会社(Tosoh Ceramic)、日本国)を使用して2時間粉砕し、粉砕チャンバ内で冷却した(-12℃の飽和食塩水)。粉砕ビーズを除去することにより、微粉化された1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンの30%水性分散体(以下、DBO aq.と称する)を得、これを以下に概説する抗微生物試験及び処方に使用した。
【0097】
[1.抗微生物活性]
抗微生物効果を、規制に従う保存効力試験方法(regulatory challenge test)(NF EN ISO11930)に類似した方法で評価した。これに従い、以下に概説する各活性物質とNaCl濃度0.85質量%の生理食塩水(physiological serum)との混合物を無菌条件下で調製する。対照も同様に無菌条件下で調製した。次いで、対照及び混合物を96ディープウェルプレート(1.6ml/well)に排除した。以下に概説するように、ウェルを各細菌又は真菌株で、細菌の場合は2.5×105~5.6×105cfu/mlになるように、真菌の場合は1×104~2.5×104cfu/mlになるように汚染することにより、初期汚染を行った。汚染後、各ウェルを十分に混合して、微生物を確実に均一に分布させた。次いで、各プレートを22℃で24時間インキュベートした。汚染から24時間後に(生残)菌数の測定を行う。次いで、平均対数減少値を求める[-log10{(接種菌数)/(サンプルの菌数)}]。これらを表1~5に示す。
【0098】
【0099】
【0100】
上の表から分かるように、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは幅広い範囲の微生物に対し抗微生物効果を示し、したがって、防腐力増強剤として使用することができる。製品の水性相は、通常、微生物増殖の影響を最も受けやすいことが知られている。したがって、1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2’-イル)ベンゼンは、例えば、O/W又はW/Oエマルションの形態にある化粧用組成物などの水性相を含む製品を微生物による腐食及び分解に対し保護することに特に適しており、したがって、その防腐力を向上させることに適している。
【0101】
【0102】
表2から読み取れるように、DBOは、p-ヒドロキシアセトフェノンの抗微生物活性を相乗的に向上させる。
【0103】
【0104】
表3から読み取れるように、DBO及び安息香酸ナトリウムの組合せは、相乗的な抗微生物活性を示す。
【0105】
【0106】
表4から読み取れるように、DBO及び1,3-プロパンジオールの組合せは、相乗的な抗微生物活性を示す。
【0107】
[2.処方例]
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】