(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】嵌合補助部を有する電気コネクタのためのハウジングアセンブリ、ならびに電気コネクタおよびコネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20241106BHJP
H01R 13/641 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/641
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120513
(22)【出願日】2023-07-25
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 993.7
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ベンメル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ザウアル
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン ジーレル
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2863490(EP,A1)
【文献】特開2003-022872(JP,A)
【文献】特開2000-341830(JP,A)
【文献】特開2010-146950(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3249759(EP,A1)
【文献】特開2022-177809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
H01R 13/639
H01R 13/641
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込み方向(8)に沿って相手側コネクタ(6)と共に差し込むことが可能な電気コネクタ(2)のためのハウジングアセンブリ(1)であって、
- コネクタハウジング(10)と、
- 初期位置(18)と最終位置(20)との間で移動可能であるように前記コネクタハウジング(10)に配置されている嵌合補助部(16)と、
- 前記嵌合補助部(16)に配置され、固定位置(52)と解放位置(54)との間で移動可能である固定要素(50)と、
を備え、
前記嵌合補助部(16)は、前記相手側コネクタ(6)を前記電気コネクタ(2)と共に差し込まれた状態に移動させるために、前記相手側コネクタ(6)と係合させることが可能な少なくとも1つの駆動部(30)を有し、
前記固定要素(50)は、前記固定位置(52)において前記コネクタハウジング(10)と係合し、前記解放位置(54)において前記コネクタハウジング(10)から係合解除され、
前記固定要素(50)は、前記固定位置(52)において、前記ハウジングアセンブリ(1)の外側から前記相手側コネクタ(6)に対してアクセス可能であるように配置され、前記相手側コネクタ(6)により前記解放位置(54)に移動可能である、
ハウジングアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記嵌合補助部(16)は、前記固定位置(52)に配されている前記固定要素(50)により、前記初期位置(18)および/または前記最終位置(20)に固定されている、
請求項1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記固定要素(50)は、前記嵌合補助部(16)と共に移動可能であり、かつ前記嵌合補助部(16)に対して移動可能である、
請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記固定要素(50)は、少なくとも部分的に前記嵌合補助部(16)内でまたは前記嵌合補助部(16)において案内される、
請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記嵌合補助部(16)は、少なくとも部分的に前記固定要素(50)により貫通されている、
請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記固定要素(50)は、前記固定位置(52)および/または前記解放位置(54)において前記嵌合補助部(16)および/または前記コネクタハウジング(10)にラッチ接続可能であるように構成されている、
請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記嵌合補助部(16)は、前記コネクタハウジング(10)において回動可能であるように配置されている制御レバー(22)として構成されている、
請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記固定要素(50)は、前記制御レバー(22)に対して移動可能であるレバー延長部(72)に運動伝達可能に接続され、前記レバー延長部(72)は、前記固定要素(50)の前記解放位置(54)において、前記制御レバー(22)において突出する、
請求項7に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記固定要素(50)は、前記レバー延長部(72)に一体に接続されている、
請求項8に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記レバー延長部(72)は、前記固定要素(50)の前記解放位置(54)において、前記固定要素(50)の前記固定位置(52)における場合よりも大きく前記制御レバー(22)において突出する、
請求項
8に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記固定要素(50)および/または前記嵌合補助部(16)は、少なくとも部分的にU字形状であるように構成されている、
請求項
1に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記固定要素(50)および/または前記嵌合補助部(16)は、少なくとも部分的に前記コネクタハウジング(10)の周囲に係合する、
請求項11に記載のハウジングアセンブリ(1)。
【請求項13】
少なくとも1つの電気コンタクト要素が、前記コネクタハウジング(10)に配置されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載のハウジングアセンブリ(1)を有する電気コネクタ(2)。
【請求項14】
請求項13に記載の電気コネクタ(2)と、前記電気コネクタ(2)と共に差し込むことが可能であるように構成されている相手側コネクタ(6)とを備えるコネクタアセンブリ(4)であって、
前記相手側コネクタ(6)は、前記嵌合補助部(16)の前記少なくとも1つの駆動部(30)と係合させることが可能であるように配置されている少なくとも1つの被駆動部(38)を有し、
前記相手側コネクタ(6)は、前記電気コネクタ(2)および前記相手側コネクタ(6)が共に差し込まれた状態にあるときに、前記固定要素(50)に接触する、
コネクタアセンブリ(4)。
【請求項15】
前記コネクタアセンブリ(4)は、前記相手側コネクタ(6)の前記少なくとも1つの被駆動部(38)が前記嵌合補助部(16)の前記少なくとも1つの駆動部(30)と係合したときに、前記固定要素(50)が前記固定位置(52)から前記解放位置(54)に自動的に移動するように構成されている、
請求項14に記載のコネクタアセンブリ(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定ではないが例えば自動車分野における応用のための、嵌合補助部を有する電気コネクタのためのハウジングアセンブリに関する。本発明はさらに、そのようなハウジングアセンブリを有する電気コネクタ、およびそのような電気コネクタを有するコネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタは、電気回路において、電気回路の一部をなす構成要素間で電流および/または信号を伝送するための着脱可能なプラグ接続のために用いられる。プラグ接続を確立または解除するための差込みプロセス中において、差込みプロセスを妨げるように反作用を及ぼす大きい抵抗力に打ち勝つ必要がある場合がある。さらに、電気コネクタの制限されたアクセス性により、差込みプロセスがより困難になる場合がある。プラグ接続部を組み立てるときの生産性の損失を回避するためには、例えば自動車工学における、差込みプロセスの機械的補助および簡略化のための嵌合補助部の使用が得策である。嵌合補助部は、電気コネクタが相手側コネクタに配置された後に、手動で操作される。
【0003】
従来の嵌合補助部は、多くの場合、自由に移動可能であるように電気コネクタに取り付けられ、そのため設置場所への配送中に無作為に様々な位置に存在する。嵌合補助部の位置によっては、嵌合補助部が不必要に大きなスペースを占有する、かつ/または、差込みプロセスの前に嵌合補助部を適正な初期位置に配する必要がある、といった場合がある。この事前位置決めは特に、必要な操作の追加に相当し、これは特にライン生産の生産性に悪影響を及ぼす。
【0004】
嵌合補助部を適正な初期位置にロックするのに用いられる何らかの固定要素は、さらなるスペースを占有し、かつ/または、さらなる作業ステップにおいて事前に係合解除される必要もある。したがって、従来の固定要素は、大幅なコスト節減を何ら実現しない。
【0005】
したがって、占有するスペースが可能な限り小さく、可能な限り少ない操作で簡単かつ効果的に操作することが可能な嵌合補助部を有するプラグ接続部が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、省スペースにかつ少ない労力で操作することが可能なプラグ接続部の差込み補助部としてのデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、差込み方向に沿って相手側コネクタと共に差し込むことが可能であり、コネクタハウジングと、コネクタハウジングに配置され、初期位置と終端位置との間で移動可能である嵌合補助部と、固定位置と解放位置との間で移動可能である、嵌合補助部に配置される固定要素とを備える電気コネクタのためのハウジングアセンブリにより果たされる。嵌合補助部は、相手側コネクタを電気コネクタと共に差し込まれた状態に移動させるために、相手側コネクタと係合可能であるように配置される少なくとも1つの駆動部を有し、固定要素は、固定位置においてコネクタハウジングと係合し、解放位置においてコネクタハウジングから係合解除され、固定要素は、固定位置において、ハウジングアセンブリの外側から相手側コネクタに対してアクセス可能であるように配置され、相手側コネクタにより解放位置に移動可能である。
【0008】
本発明は、電気コネクタおよび相手側コネクタの完全な差込み手順を補助する嵌合補助部を、固定要素により、規定された位置(例えば初期位置および/または省スペースな輸送位置)に固定またはロックすることができるので、有利である。これは、嵌合補助部の位置が、例えば輸送中に、意図せず変化することがないことを意味する。その結果、嵌合補助部の事前位置決めを行う必要がなく、かつ/または、嵌合補助部を省スペースな状態で継続的に輸送および保管することができる。
【0009】
固定要素がアクセス可能であることにより、相手側コネクタが差込みプロセスの初期段階において固定要素に係合し、それにより固定要素を固定位置から解放位置に押し込むことも可能となる。その結果、単に電気コネクタを相手側コネクタに配置することにより、必要な場合に、かつ何らかの不必要な追加的操作なしで、嵌合補助部を自動的にロック解除することができる。
【0010】
本発明は、単独で有利であり、任意に互いに組み合わされ得る以下の実施形態により、さらに改善することができる。
【0011】
本発明の可能な実施形態によれば、駆動部は、嵌合補助部の初期位置において、相手側コネクタに対してアクセス可能であってよい。さらに、駆動部は、嵌合補助部が初期位置から最終位置に移されるときに、駆動動作を実行するように構成されてよい。この駆動動作は、相手側コネクタを電気コネクタと共に完全に差し込まれた状態へと移動するために用いられてよい。
【0012】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、嵌合補助部は、固定位置に配された固定要素により、初期位置に固定またはロックされてよい。既に説明したように、これにより、嵌合補助部の事前位置決めを行う操作の必要がなくなる。例えば、固定要素は、少なくとも1つのロック部を有してよく、少なくとも1つのロック部およびコネクタハウジングは、固定要素が固定位置にあるときに、形状嵌合により係合する。固定要素の解放位置において、少なくとも1つのロック部は、コネクタハウジングから再び係合解除される。
【0013】
代替的にまたは追加的に、嵌合補助部は、固定位置に配された固定要素により、最終位置に固定されてもよい。したがって、固定要素は、完全に差し込まれた状態が得られて電気コネクタと相手側コネクタとの間で維持されることを確実にするコネクタ位置保証機構(略称CPA)として機能することができる点で有利である。
【0014】
嵌合補助部が初期位置および最終位置の両方において固定要素により固定される実施形態において、固定要素は、嵌合補助部を初期位置に固定するためのロック部、および嵌合補助部を最終位置に固定するためのさらなるロック部を有してよい。代替的に、固定要素は、同一のロック部で嵌合補助部の初期位置および最終位置を固定してもよい。このとき、嵌合補助部の位置に応じて、このロック部は、異なる点においてコネクタハウジングと係合することで、それぞれの点において嵌合補助部を固定する。
【0015】
これは、固定要素が嵌合補助部と共に移動することが可能であり、かつ嵌合補助部に対して移動することが可能であるようにハウジングアセンブリを構成するのに適している。特に、固定要素は、嵌合補助部と共に移動可能であり、同時に嵌合補助部に対して移動可能であってよい。したがって、固定要素は、嵌合補助部と共に移動することにより、嵌合補助部に追従することができる。このとき、固定要素は、相対的に移動可能であることに起因して、嵌合補助部を必要に応じて異なる位置(すなわち初期位置および最終位置)に固定することができる。
【0016】
ハウジングアセンブリの動作を簡略化するために、固定要素は、好ましくは直線状に、少なくとも部分的に嵌合補助部内でまたは嵌合補助部において案内されてよい。例えば、嵌合補助部は、固定要素が少なくとも部分的に挿入され案内される少なくとも1つの溝を有してよい。任意選択で、クロスバーが、少なくとも1つの溝を横断するように延び、固定要素をそこに保持してもよい。
【0017】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、嵌合補助部は、少なくとも部分的に固定要素により貫通されてよい。例えば、嵌合補助部は、固定要素が少なくとも部分的に挿入される少なくとも1つのチャネル状ガイドを有してよい。これは、小型の設計をもたらす。
【0018】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、固定要素は、固定位置および/または解放位置において嵌合補助部にラッチ接続可能であるように構成されてよい。追加的にまたは代替的に、固定要素は、固定位置および/または解放位置においてコネクタハウジングにラッチ接続可能であるように構成されてもよい。この目的で、それぞれの位置(すなわち固定位置および解放位置)をロックする、互いに相補的なラッチ要素が、固定要素ならびに嵌合補助部および/またはコネクタハウジングに設けられてよい。それぞれの位置は、ラッチ接続によりユーザに容易に認識可能なように画定され、それにより、ハウジングアセンブリの取り扱いが簡略化する。
【0019】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、固定要素は、固定位置において、嵌合補助部から突出してよい。特に、固定要素は、嵌合補助部が初期位置にあるときに、差込み方向に向けて嵌合補助部から突出してよい。この目的で、固定要素は、固定要素の固定位置において初期位置に配された嵌合補助部から突出し、コネクタハウジングに向かって差込み方向に向き、相手側コネクタに対してアクセス可能であるように配置される少なくとも1つの突起を有してよい。固定要素、特に固定要素の少なくとも1つの突起は、差込み方向に垂直に見た場合に、嵌合補助部の少なくとも1つの駆動部に隣接して突出することが好ましい。その結果、相手側コネクタは、差込みプロセスの初期段階において少なくとも1つの突起に係合し、それにより、嵌合補助部を自動的にロック解除するために固定要素全体を固定位置から解放位置に押し込むことができる。
【0020】
固定要素の構造を簡略化するために、少なくとも1つのロック部が、少なくとも1つの突起に配されてよい。代替的に、少なくとも1つのロック部は、少なくとも1つの突起から離隔していてもよい。
【0021】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、嵌合補助部は、コネクタハウジングにおいて摺動可能であるように配置される制御スライドとして構成されてよい。制御スライドは、差込み方向を横断して、特に差込み方向に垂直に摺動可能であるようにコネクタハウジングに保持されることが好ましい。このとき、制御スライドにより、例えば電気コネクタが差込み方向からアクセスすることが困難である場合、差込みプロセスを簡略化することができる。そのような場合においては、制御スライドを、電気コネクタがアクセス可能である方向から押し込むことができる。少なくとも1つの駆動部に対する押し込み力は、差込みプロセスを促進する、差込み方向に働く力に変換される。
【0022】
代替的に、嵌合補助部は、コネクタハウジングにおいて回動可能であるように配置される制御レバーとして構成されてもよい。結果として得られるてこの作用により、嵌合補助部を動作させるのに必要な力が低減する点が有利である。ここで、少なくとも1つの駆動部は、リンクガイドまたは歯車の一部、例えば歯車セグメントを形成してよい。
【0023】
任意選択で、固定要素は、制御レバーに対して移動可能なレバー延長部に運動伝達可能に接続されてよい。レバー延長部は、固定要素の解放位置において、コネクタハウジングから離れる方向に制御レバーから突出し、それにより、レバー移動距離を延長することにより前述のてこ効果を高めることが好ましい。
【0024】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、固定要素は、レバー延長部に一体に、特に単一部品として一体に接続されてよい。換言すると、レバー延長部は、固定要素の一部であってよい。この実施形態は、構成要素の数が少なくなるので有利である。
【0025】
レバー延長部が必要な場合にのみ制御レバーを長くし、他の場合にはスペースを節減するために格納可能であるように、レバー延長部が固定要素の解放位置において固定要素の固定位置における場合よりも大きく制御レバーにおいて突出することが有利である。特に、レバー延長部は、制御レバーの長手方向において伸縮自在に制御レバーを貫通してよく、固定要素の固定位置において制御レバーに完全に押し込まれまたは格納されてよい。固定要素の解放位置において、レバー延長部は、少なくとも部分的に制御レバーから押し出されてよい。これは、例えば、レバー延長部が固定要素の固定位置において押し込まれたときに、ハウジングアセンブリの出荷状態における設置スペースの節減をもたらす。
【0026】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、レバー延長部は、固定要素の解放位置において、少なくとも1つの突起とは反対側に配される制御レバーの側において制御レバーに対して突出してよい。このとき、電気コネクタが相手側コネクタに配置され、相手側コネクタがそこで少なくとも1つの突起を介して固定要素を固定位置から解放位置に押し込むと、レバー延長部による制御レバーの延長が自動的に生じる。解放位置において押し出されるレバー延長部による制御レバーのこの自動的な延長により、差込みプロセス中における嵌合力が低減する。
【0027】
換言すると、ハウジングアセンブリは、固定要素を、設置スペースに関して出荷状態において有利である固定位置から、押し出された解放位置に移すことができるように構成されてよく、固定要素は、押し出された解放位置において、作動力を低減するために制御レバーのレバーアームを延長する。
【0028】
固定要素および/または嵌合補助部が、少なくとも部分的にU字形状または円弧形状であるように構成される場合、安定な設計が生じる。さらに、小型の設計を得るために、固定要素および/または嵌合補助部は、少なくとも部分的にコネクタハウジングの周囲に係合してよい。特に、固定要素は、差込み方向に垂直に互いに離隔し、嵌合補助部の両側においてコネクタハウジングに対して突出する2つの突起を有してよい。結果として得られる対称性により、ハウジングアセンブリの安定性が向上する。これに対応して、固定要素は、差込み方向に垂直に互いに離隔する2つのロック部を有してもよい。同様に、嵌合補助部は、差込み方向に垂直に互いに離隔する2つの駆動部を有してよい。
【0029】
上述の基本的な目的はさらに、前出の実施形態のうちの1つに係るハウジングアセンブリを有する電気コネクタにより果たすことができ、少なくとも1つの電気コンタクト要素は、コネクタハウジングに配置される。少なくとも1つの電気コンタクト要素は、相手側コネクタの相手側コンタクトとの接触を確立するように構成されてよく、電気コネクタが電流および/または信号を伝送するための着脱可能なプラグ接続のために用いられることを可能とする。既に説明したハウジングアセンブリの機能および利点に起因して、本発明に係る電気コネクタも、設置スペースを節減するようにかつ少ない労力で操作することができる点が有利である。
【0030】
電気コネクタの適用分野によっては、任意選択で、複数のコンタクト要素がコネクタハウジングに配置されてよい。これにより、電気コネクタの適用可能性が広がる。
【0031】
冒頭で述べた目的はまた、前出の実施形態のうちの1つに係る電気コネクタと、電気コネクタと共に差し込むことが可能であるように構成される相手側コネクタとを備えるコネクタアセンブリにより果たすことができ、相手側コネクタは、嵌合補助部の少なくとも1つの駆動部と係合させることが可能な少なくとも1つの被駆動部を有し、相手側コネクタは、相手側コネクタおよび電気コネクタが少なくとも部分的に共に差し込まれた状態にあるときに、固定要素に取り付けられる、係合する、または当接する。
【0032】
本発明に係るコネクタアセンブリは、ハウジングアセンブリの利点による恩恵を同様に受ける。特に固定要素と相手側コネクタとの間の相互作用により、固定要素を解放位置に到達させるために手動で固定位置から引き抜く必要がない。
【0033】
相手側コネクタは、嵌合補助部が初期位置に配されているときに、固定位置に配された固定要素に当接することが好ましい。換言すると、相手側コネクタは、少なくとも駆動動作が完了する前に、固定要素に接触する。特に、相手側コネクタは、駆動部および被駆動部が係合する前に、既に固定要素に接触している。
【0034】
したがって、コネクタアセンブリは、相手側コネクタの少なくとも1つの被駆動部が嵌合補助部の少なくとも1つの駆動部と係合したときに、固定要素が固定位置から解放位置に自動的に移動するまたは押し込まれるように構成されてよい。換言すると、固定要素は、駆動部および被駆動部を係合させるコネクタと相手側コネクタとの間の相対運動により、固定位置から解放位置に移動する。
【0035】
この場合、相手側コネクタは、固定要素の少なくとも1つの突起に対する少なくとも1つの止め部を有してよい。少なくとも1つの止め部は、差込み方向の反対方向に向き、少なくとも1つの突起に対してアクセス可能であることが好ましい。電気コネクタが相手側コネクタに配置されると、少なくとも1つの突起が少なくとも1つの止め部に接触する。例えば駆動部および被駆動部を互いに係合させるように、電気コネクタおよび相手側コネクタが共にさらに差し込まれると、少なくとも1つの止め部が少なくとも1つの突起を押圧する。この押圧は、固定要素に伝達され、その結果、固定要素が固定位置から解放位置に移動する。
駆動部および被駆動部が互いに係合し、固定要素が解放位置に達すると、それ以前は固定されていたがこのとき自動的にロック解除される嵌合補助部を、駆動動作により差込みプロセスを完了させるために初期位置から最終位置に移すことができる。最後に、必要な場合には固定要素が解放位置から再び固定位置に移動されてよく、このとき、固定要素が嵌合補助部を最終位置に固定する。
【0036】
固定要素を解放位置から再び固定位置に移すことは、ユーザにより手動で、またはばね復元力により行うことができる。ばね復元力を生成するために、ハウジングアセンブリは、固定位置の方向に固定要素に予荷重をかける少なくとも1つのばね要素を有してよい。
【0037】
以下、いくつかの実施形態に基づき、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。それらの実施形態の様々な特徴は、上記の知見に従って必要に応じて互いに組み合わされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】例示的実施形態に係るハウジングアセンブリの概略斜視分解図である。
【
図2】
図1のハウジングアセンブリを有する接続アセンブリの概略斜視図である。
【
図3】
図2の接続アセンブリのさらなる概略斜視図である。
【
図4】側面から見た
図3の接続アセンブリの概略図である。
【
図5】側面から見た
図3の接続アセンブリのさらなる概略図である。
【
図6】側面から見た
図3の接続アセンブリの概略断面図である。
【
図7】側面から見た
図3の接続アセンブリのさらなる概略断面図である。
【
図8】側面から見た
図3の接続アセンブリのさらなる概略断面図である。
【
図9】側面から見た
図3の接続アセンブリのさらなる概略断面図である。
【
図10】異なる切断面を有する、側面から見た
図3の接続アセンブリのさらなる概略断面図である。
【
図11】さらなる例示的実施形態に係る接続アセンブリの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1~
図11を参照して、本発明に係るハウジングアセンブリ1、本発明に係る電気コネクタ2、および本発明に係るコネクタアセンブリ4の概略構造について、以下で説明する。
【0040】
図1は、差込み方向8に沿って相手側コネクタ6と共に差し込むことが可能な電気コネクタ2のための本発明に係るハウジングアセンブリ1の例示的実施形態を示す(
図2参照)。
図1に示すように、ハウジングアセンブリ1は、差込み方向8に向く嵌合面12を有するコネクタハウジング10を備える。嵌合面12は、相手側コネクタ6の嵌合ソケット14と相補的であるように構成される。代替的に、電気コネクタ2のコネクタハウジング10は、同様に嵌合ソケット14を有してもよく、相手側コネクタ6は、それと相補的であるように構成される嵌合面12を有してもよい。
【0041】
さらに、ハウジングアセンブリ1は、嵌合補助部16を備える。嵌合補助部16は、コネクタハウジング10において移動可能に配置されるように構成される。特に、コネクタハウジング10に取り付けられた状態の嵌合補助部16は、初期位置18(
図4参照)と最終位置20(
図8参照)との間で移動することができる。
【0042】
図示の実施形態において、嵌合補助部16は、コネクタハウジング10において回動可能に配置可能であるまたは配置される制御レバー22として構成される。この目的で、制御レバー22は、コネクタハウジング10に設けられる軸受ピン26が挿入可能であるまたは挿入される少なくとも1つの軸受孔24を有する。軸受ピン26は、少なくとも1つの軸受孔24に嵌合する円筒形のスタブ軸28であってよい。制御レバー22は、少なくとも1つの軸受孔24を介して軸受ピン26において回転可能に装着されてよい。
【0043】
図示の実施形態において、制御レバー22は2つの軸受孔24を有し、コネクタハウジング10は2つの軸受ピン26を有し、これらは各々、差込み方向8に垂直に互いに反対側に配置される。軸受孔および軸受ピンの配置は、もちろん制御レバー22とコネクタハウジング10との間で逆転してもよい。2つ1組で、軸受孔24および軸受ピン26は共に、それぞれ孔軸受25、ピボット軸受、すべり軸受、または円筒形接触面との摩擦ペアを形成する。したがって、制御レバー22は、好ましくは差込み方向8に垂直に延びる固定回動軸27の周りに回動可能にコネクタハウジング10に接続されてよい。
【0044】
制御レバー22は、少なくとも1つのレバーアーム32を有する。制御レバー22は、好ましくは、接続部材34を介して運動伝達可能に互いに接続される、互いに平行かつ鏡映対称に延びる2つのレバーアーム32を有する。任意選択で、レバーアーム32は、接続部材34に一体に、特に単一部品として一体に接続される。
【0045】
代替的に、制御レバー22は、複数の部品、例えば3つの部品を有するように設計されてよい。特に、制御レバー22は、3つのセグメント(不図示)から構成されてよく、2つのセグメントはレバーアーム32を形成し、第3のセグメントは、レバーアーム32をブリッジ状に接続する。
【0046】
制御レバー22は、そのU字形状の構造に起因して、コネクタハウジング10の周囲に係合してよい。軸受孔24は、差込み方向8に垂直に位置合わせされた配置で、接続部材34とは反対側のそれぞれのレバーアーム32の端部36に配置される。
【0047】
図1からさらに見ることができるように、嵌合補助部16は、相手側コネクタ6を電気コネクタ2と共に差し込まれた状態に移動させるための、相手側コネクタ6と係合させることが可能な少なくとも1つの駆動部30を有する。少なくとも1つの駆動部30は、回動軸27の周りに回転可能であってよい。また相手側コネクタ6は、嵌合補助部16の少なくとも1つの駆動部30と係合させることが可能なように配置される少なくとも1つの被駆動部38を有する(
図2参照)。
【0048】
ここで、少なくとも1つの駆動部30および少なくとも1つの被駆動部38は各々、リンクガイド40の一部を形成してよい。特に、少なくとも1つの駆動部30は、少なくとも1つの被駆動部38により形成される摺動ブロック44が形状的に案内される溝状のリンクトラック42を形成してよい。代替的に、少なくとも1つの駆動部30および少なくとも1つの被駆動部38は各々、歯車の一部を形成してもよい。例えば、少なくとも1つの駆動部30は歯車セグメント46を形成し、一方で少なくとも1つの被駆動部38はラックセグメント48を形成する(
図11参照)。
【0049】
嵌合補助部16は、各々差込み方向8に垂直に互いに反対側に配置される2つの駆動部30を有することが好ましい。被駆動部38は、嵌合補助部16の駆動部30ごとに相手側コネクタ6に設けられることが好ましい。
【0050】
嵌合補助部16の初期位置18において、駆動部30は、相手側コネクタ6、特に被駆動部38に対してアクセス可能である。さらに、駆動部30は、嵌合補助部16が初期位置18から最終位置20に移されるときに、駆動動作を実行するように構成されてよい。この駆動動作は、相手側コネクタ6を電気コネクタ2と共に完全に差し込まれた状態へと移動するために用いられてよい。
【0051】
図1においてさらに見ることができるように、ハウジングアセンブリ1は、固定要素50を有する。固定要素50は、嵌合補助部16において移動可能に配置されるように構成される。特に、嵌合補助部16に取り付けられた状態の固定要素50は、固定位置52(
図4および
図6参照)と解放位置54(
図5および
図7参照)との間で移動することができる。
【0052】
固定要素50は、その固定位置52において、コネクタハウジング10と係合する(
図6参照)。この目的で、固定要素50は、少なくとも1つのロック部56を有し、少なくとも1つのロック部56およびコネクタハウジング10は、固定要素50が固定位置52にあるときに、形状嵌合により互いに係合する。例えば、少なくとも1つのロック部56は、コネクタハウジング10に向かって突出するキャッチ58として形成される。これに対応して、固定要素50が固定位置52に配されるときにキャッチ58が移動する相補的な構成のロック溝60が、コネクタハウジング10に設けられる。
【0053】
固定要素50は、その解放位置54において、コネクタハウジング10から係合解除される。換言すると、キャッチ58は、固定要素50が解放位置54に配されたときに、ロック溝60を離れる。これは、
図7において見ることができる。
【0054】
このように、嵌合補助部16は、固定位置52に配された固定要素50により、専ら初期位置18に固定またはロックされてよい(
図6参照)。代替的にまたは追加的に、嵌合補助部16は同様に、固定位置52に配された固定要素50により最終位置20に固定されてもよい。
【0055】
図6~
図9は、嵌合補助部16が固定要素50により初期位置18および最終位置20の両方に固定され得ることを示す。特に、同一のロック部56が、嵌合補助部16の初期位置18および最終位置20を固定する。この目的で、コネクタハウジング10は、対応するロックナット60を、初期位置18について1つ、最終位置20について1つ有する。このとき、嵌合補助部16の位置に応じて、キャッチ58として構成されるロック部56は、対応するロック溝60と係合する。代替的に、固定要素50は、嵌合補助部16を初期位置に固定するためのロック部56、および嵌合補助部16を最終位置に固定するためのさらなるロック部56を有してもよい。
【0056】
図6~
図9からさらに見ることができるように、固定要素50は、嵌合補助部16と共に移動することが可能であり、かつ嵌合補助部16に対して移動することが可能である。換言すると、固定要素50は、嵌合補助部16と共に移動することにより、嵌合補助部16に追従することができる。ここで、固定要素50は、少なくとも部分的に嵌合補助部16において直線状に案内される。例えば、嵌合補助部16は、少なくとも部分的に固定要素50により貫通されてよく、嵌合補助部16は、固定要素50が少なくとも部分的に差し込まれるチャネル状ガイド62(
図1参照)を有する。
【0057】
代替的に、固定要素50は、少なくとも部分的に嵌合補助部16の外側において直線状に案内されてもよい。この目的で、嵌合補助部16は、固定要素50が少なくとも部分的に挿入され案内される少なくとも1つの溝64を有してよい(
図11参照)。任意選択で、クロスバー66が、少なくとも1つの溝64を横断するように延び、固定要素50をそこに保持してもよい。
【0058】
固定要素50は、固定位置52および解放位置54においてコネクタハウジング10にラッチ接続することが可能なように構成されてよい。この目的で、それぞれの位置(すなわち固定位置52および解放位置54)において共にラッチ接続される、互いに相補的なラッチ要素68(例えば圧力点またはラッチビード)が、固定要素50およびコネクタハウジング10に設けられてよい。
【0059】
追加的にまたは代替的に、固定要素50は、固定位置52および/または解放位置54において嵌合補助部16にラッチ接続することが可能なように構成されてもよい。したがって、ラッチ要素68が、嵌合補助部16に設けられ、この目的で設けられる固定要素50のラッチ要素68とそれぞれの位置(すなわち固定位置52および解放位置54)においてラッチ接続してもよい。
【0060】
図2および
図3から、固定要素50が固定位置52に配置され、それによりハウジングアセンブリ10の外側から相手側コネクタ6に対してアクセス可能であることが明らかである。この目的で、固定要素50は、固定位置52において、嵌合補助部16から突出する。固定要素50は、特に嵌合補助部16が初期位置18に配されているときに、差込み方向8に向けて嵌合補助部16から突出する。この目的で、固定要素50は、固定要素50の固定位置52において初期位置18にある嵌合補助部16から突出し、嵌合面12に向かって差込み方向8に向き、相手側コネクタ6に対してアクセス可能であるように配置される少なくとも1つのフィンガ状、ピン状、またはプロング状の突起70を有する。嵌合補助部16は、固定要素50の少なくとも1つの突起70が突出する少なくとも1つのスロット80を有する。
【0061】
その結果、相手側コネクタ6は、共に差し込まれる初期段階において少なくとも1つの突起70に係合し(
図4参照)、それにより、嵌合補助部16を自動的にロック解除するために固定要素50全体を固定位置52から解放位置54に押し込むことができる(
図5参照)。
【0062】
図1において見ることができるように、少なくとも1つのロック部56は、少なくとも1つの突起70から離隔していてよい。不図示の一実施形態によれば、少なくとも1つのロック部56は、少なくとも1つの突起70にまたは少なくとも1つの突起70上に配されてもよい。
【0063】
固定要素50は、制御レバー22に対して移動可能なレバー延長部72に運動伝達可能に接続される。レバー延長部72は、把持面を有する部分76を有し、したがってハンドルとしても用いられる。
【0064】
図1に示す実施形態において、固定要素50は、レバー延長部72に一体に、特に単一部品として一体に接続される。換言すると、レバー延長部72は、固定要素50の一体部品である。
【0065】
レバー延長部72は、固定要素50の解放位置54において、コネクタハウジング10から離れる方向に向いて制御レバー22から突出する。特に、レバー延長部72は、固定要素50の解放位置54において、少なくとも1つの突起70とは反対側に配される制御レバー22の側から制御レバー22に対して突出する。レバー延長部72は、固定要素50の解放位置54において、固定要素50の固定位置52における場合よりも大きく制御レバー22から突出することが好ましい(
図4および
図5を比較)。不図示の一実施形態によれば、レバー延長部22は、固定要素50の固定位置52において、全体が制御レバー22に格納されてもよい。
【0066】
図1において、固定要素50がU字形状であるように構成され、コネクタハウジング10の周囲に係合する(
図2参照)ことも見ることができる。固定要素50は、差込み方向に垂直に互いに離隔し、コネクタハウジング10の対応するロック溝60と係合する2つのロック部56を有する。加えて、固定要素50は、差込み方向8に垂直に互いに離隔する2つの突起70を有し、突起70は、嵌合補助部16の反対側に配される両側においてコネクタハウジング10に対して突出する。
【0067】
電気コネクタ2を
図2に示す。電気コネクタ2は、上記の説明に係るハウジングアセンブリ1と、1つまたは複数の電気コンタクト要素(不図示)とを有する。コンタクト要素は、コネクタハウジング10に配置され、各々相手側コネクタ6の1つの相手側コンタクト(不図示)に接触するように構成される。
【0068】
図2はまた、分離状態における、電気コネクタ2および相手側コネクタ6を備えるコネクタアセンブリ4を示す。
図3において、電気コネクタ2および相手側コネクタ6は、少なくとも部分的に共に差し込まれた状態で示されている。ここで、相手側コネクタ6が固定要素50に当接することを見ることができる。ここで相手側コネクタ6は、固定要素50の少なくとも1つの突起70に対する少なくとも1つの止め部74を有する。少なくとも1つの止め部74は、差込み方向8の反対方向に向き、少なくとも1つの突起70に対してアクセス可能である。例えば、少なくとも1つの止め部74は、相手側コネクタ6の嵌合ソケット14の縁部78により形成される。
【0069】
相手側コネクタ6は、嵌合補助部16が初期位置18に配されているときに、固定位置52にある固定要素50に当接することが好ましい。換言すると、相手側コネクタ6は、少なくとも駆動動作が完了する前に、固定要素50に接触する。特に、相手側コネクタ6は、駆動部30および被駆動部38が係合する前に、既に固定要素50に接触している。
【0070】
差込みプロセスの順序について、
図4~
図9を参照して以下で説明する。
【0071】
電気コネクタ2が相手側コネクタ6に配置されると、少なくとも1つの突起70が少なくとも1つの止め部74に接触する(
図4参照)。例えば駆動部30および被駆動部38を互いに係合させるように、電気コネクタ2および相手側コネクタ6が共にさらに差し込まれると、少なくとも1つの止め部74が少なくとも1つの突起70を押圧する。この押圧は、固定要素50に伝達され、その結果、固定要素50が固定位置52から解放位置54に移動する(
図5参照)。
【0072】
駆動部30および被駆動部38が互いに係合し、固定要素50が解放位置54に達すると、それ以前は固定されていた(
図6参照)がこのときロック解除される(
図7参照)嵌合補助部16を、駆動動作により差込みプロセスを完了させるために初期位置18(
図7参照)から最終位置(
図8参照)に移すことができる。換言すると、駆動部30および被駆動部38が係合すると、制御レバー22の回動動作が、駆動部30の回転動作により電気コネクタ2と相手側コネクタ6との間の直線的な差込み動作に変換される。
【0073】
最後に、固定要素50が解放位置54(
図8参照)から再び固定位置52(
図9参照)に戻るように移動され、固定要素50が嵌合補助部16を最終位置20に固定する。
【0074】
固定要素50を解放位置54から再び固定位置52に移すことは、ユーザにより手動で、またはばね復元力により行うことができる。ばね復元力を生成するために、ハウジングアセンブリ1は、固定位置52の方向に固定要素50に予荷重をかける少なくとも1つのばね要素(不図示)を有してよい。
【0075】
電気コネクタ2を相手側コネクタ6から分離するプロセスにおいて、嵌合補助部16は、それに対応して最終位置20から初期位置18に再び移され、固定要素50は、場合によっては予め手動で固定位置52から解放位置54に移動されている。
【0076】
コネクタハウジング10、嵌合補助部16、および固定要素50は各々、射出成形部材、特にプラスチック射出成形部材であってよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ハウジングアセンブリ
2 コネクタ
4 コネクタアセンブリ
6 相手側コネクタ
8 差込み方向
10 コネクタハウジング
12 嵌合面
14 嵌合ソケット
16 嵌合補助部
18 初期位置
20 最終位置
22 制御レバー
24 軸受孔
25 孔軸受
26 軸受ピン
27 回動軸
28 スタブ軸
30 駆動部
32 レバーアーム
34 接続部材
36 端部
38 被駆動部
40 リンクガイド
42 リンクトラック
44 摺動ブロック
46 歯車セグメント
48 ラックセグメント
50 固定要素
52 固定位置
54 解放位置
56 ロック部
58 キャッチ
60 ロック溝
62 ガイド
64 溝
66 クロスバー
68 ラッチ要素
70 突起
72 レバー延長部
74 止め部
76 部分
78 縁部
80 スロット