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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】立坑の構築装置、及び立坑の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 1/08 20060101AFI20241106BHJP
   E21D 1/03 20060101ALI20241106BHJP
   E02D 23/08 20060101ALI20241106BHJP
   E02D 17/08 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
E21D1/08
E21D1/03
E02D23/08 C
E02D23/08 Z
E02D17/08 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024024198
(22)【出願日】2024-02-21
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(73)【特許権者】
【識別番号】521309949
【氏名又は名称】株式会社忠武建基
(73)【特許権者】
【識別番号】512105598
【氏名又は名称】日立建機日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳
(72)【発明者】
【氏名】中村 征史
(72)【発明者】
【氏名】湊 憲二
(72)【発明者】
【氏名】中井 寛
(72)【発明者】
【氏名】山田 宣彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 真也
(72)【発明者】
【氏名】岩川 実郷
(72)【発明者】
【氏名】堂園 浩一
(72)【発明者】
【氏名】磯上 武章
(72)【発明者】
【氏名】磯上 章太
(72)【発明者】
【氏名】奥田 一昌
(72)【発明者】
【氏名】近藤 尚士
(72)【発明者】
【氏名】大高 範寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄充
(72)【発明者】
【氏名】関 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健太
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-110389(JP,U)
【文献】特開平07-197769(JP,A)
【文献】特開平07-317478(JP,A)
【文献】実開昭54-051902(JP,U)
【文献】実開昭60-154495(JP,U)
【文献】特開昭59-233032(JP,A)
【文献】特開2000-038892(JP,A)
【文献】特開2000-038893(JP,A)
【文献】特開昭55-126684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/08
E21D 1/03
E02D 23/08
E02D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に構築された環状の覆工材の下方に配置され、孔底部を掘削する掘削機構部と、該掘削機構部を吊り下げ支持する支持機構部とが備えられ、前記覆工材を高さ方向に延伸して地中に立坑を構築する立坑の構築装置であって、
前記支持機構部は、
前記掘削機構部を支持する中央支持部、及び該中央支持部から孔壁に向けて延びる複数の支持ビームを有する支持フレームと、
前記支持ビームから前記孔底部に向けて延びる複数の支持脚部とが備えられ、
複数の前記支持脚部は、前記高さ方向へ伸縮可能に構成され、
前記支持ビームは、
前記孔壁へ向けて伸縮自在なビームインナが備えられるとともに、前記ビームインナが前記孔壁に対して押し付け可能に構成され、
前記支持脚部は、
前記支持ビームに固定された脚部アウタと、
該脚部アウタの下方から出し入れ可能な脚部インナとで伸縮可能に構成され、
前記脚部アウタの下端よりも上方において、前記ビームインナを径方向外方へ伸長可能、且つ前記孔壁に対して押し付け可能に、複数の前記支持脚部を前記孔壁に沿って一体的に囲う囲い部材が備えられた
立坑の構築装置。
【請求項2】
複数の前記支持脚部は、
それぞれ独立して前記高さ方向に伸縮可能に構成された
請求項に記載の立坑の構築装置。
【請求項3】
前記囲い部材は、周方向に分割構成された
請求項に記載の立坑の構築装置。
【請求項4】
前記掘削機構部は、
前記孔底部を掘削する手段として構成の異なる複数の掘削手段が備えられた
請求項1に記載の立坑の構築装置。
【請求項5】
前記掘削機構部は、
前記高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアームと、
該アームに対して択一的に使用可能に連結された複数の前記掘削手段とが備えられた
請求項に記載の立坑の構築装置。
【請求項6】
前記掘削機構部は、
前記高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム、及び該アームの先端に設けた前記掘削手段を有する掘削部が複数備えられ、
前記掘削手段は、前記掘削部ごとに異なる構成である
請求項に記載の立坑の構築装置。
【請求項7】
前記掘削機構部は、
前記高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム、及び該アームの先端に設けた前記掘削手段を有する2つの掘削部と、
前記中央支持部に吊り下げ支持され、前記高さ方向を回転軸とした回転方向に2つの前記掘削部を一体的に回動させる回転部とが備えられ、
2つの前記掘削部は、
前記回転部の前記回転軸を挟んで前記直交方向に並設された
請求項に記載の立坑の構築装置。
【請求項8】
2つの前記掘削部は、
前記枢動軸を中心とした前記アームの折り畳み方向が互いに逆向きとなるように構成された
請求項に記載の立坑の構築装置。
【請求項9】
前記掘削機構部を遠隔操作する遠隔操作部が備えられた
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の立坑の構築装置。
【請求項10】
少なくとも前記掘削機構部を制御する制御部と、
前記掘削機構部で掘削する掘削箇所の状況を検出する検出部とが備えられ、
前記制御部は、
前記検出部の検出結果に基づいて少なくとも前記掘削機構部の掘削を制御する構成である
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の立坑の構築装置。
【請求項11】
地中に構築された環状の覆工材の下方に配置され、支持機構部によって吊り下げ支持された掘削機構部で孔底部を掘削する掘削工程を行うとともに、前記覆工材を高さ方向に延伸して地中に立坑を構築する立坑の構築方法であって、
前記支持機構部は、
前記掘削機構部を支持する中央支持部、及び該中央支持部から孔壁に向けて延びる複数の支持ビームを有する支持フレームと、
前記支持ビームから前記孔底部に向けて延びる複数の支持脚部とが備えられ、
複数の前記支持脚部は、前記高さ方向へ伸縮可能に構成され、
前記支持ビームは、
前記孔壁へ向けて伸縮自在なビームインナが備えられるとともに、前記ビームインナが前記孔壁に対して押し付け可能に構成され、
前記支持脚部は、
前記支持ビームに固定された脚部アウタと、
該脚部アウタの下方から出し入れ可能な脚部インナとで伸縮可能に構成され、
前記脚部アウタの下端よりも上方において、前記ビームインナを径方向外方へ伸長可能、且つ前記孔壁に対して押し付け可能に、複数の前記支持脚部を前記孔壁に沿って一体的に囲う囲い部材が備えられ、
前記掘削工程において、
複数の前記支持脚部が、前記高さ方向へ伸縮して前記掘削機構部を支持し、
前記孔壁へ向けて伸縮自在に構成された前記ビームインナを、前記孔壁に対して押し付けて前記孔底部を掘削する
立坑の構築方法。
【請求項12】
前記支持ビームの前記ビームインナを前記孔壁に押し付けた状態において、複数の前記支持脚部のうち、いずれか1つの前記支持脚部を縮めて、当該支持脚部の下方の前記孔底部を掘削する
請求項11に記載の立坑の構築方法。
【請求項13】
前記掘削工程において、前記掘削機構部が、前記孔底部を掘削する手段として設けた複数の掘削手段のうち、前記孔底部の状況に応じた前記掘削手段で前記孔底部を掘削する
請求項11に記載の立坑の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に環状の覆工材を高さ方向に延伸して立坑を構築する立坑の構築装置及び立坑の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばライナープレートなどの環状の覆工材を高さ方向に延伸して、地中に立坑を構築する深礎工法などがある。
具体的には、孔底部を掘削するとともに、掘削された孔壁を環状の覆工材で保護することを所定深さまで繰り返して立坑を構築する工法であり、特許文献1に記載の工法もそのひとつである。
【0003】
より詳しくは、特許文献1では、筒状に組み付けた既設のライナープレートの内部に配置した掘削機構部で孔底部を掘削し、1リングに対応する深さの掘削が完了すると、既設のライナープレートの下方に新たなライナープレートを組み付ける。これを所定深さまで繰り返すことで所定深さの立坑を構築している。
【0004】
ところで、特許文献1は、筒状のガイドシャフトを既設のライナープレートの内部に固定し、ガイドシャフトの内部を昇降する掘削機構部を、ガイドシャフトの内面に押し付けて固定することで、掘削機構部を所望される高さ方向の位置に配置している。
【0005】
そして、特許文献1では、下端が孔底部から上方に離間したガイドシャフトを孔底部の掘削の進行に伴って下方へ延伸することで、掘削機構部を下方へ移動可能にしている。
この際、特許文献1は、掘削機構部をガイドシャフトの内部から坑外に移動させたのち、ガイドシャフトを下方に延伸している。
【0006】
そうすると、特許文献1では、ガイドシャフトの延伸のたびに、掘削機構部を掘削位置と坑外との間で往復させる必要があるため、孔底部の掘削効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平5-52087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、孔底部を効率よく掘削できる立坑の構築装置及び立坑の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、地中に構築された環状の覆工材の下方に配置され、孔底部を掘削する掘削機構部と、該掘削機構部を吊り下げ支持する支持機構部とが備えられ、前記覆工材を高さ方向に延伸して地中に立坑を構築する立坑の構築装置であって、前記支持機構部は、前記掘削機構部を支持する中央支持部、及び該中央支持部から孔壁に向けて延びる複数の支持ビームを有する支持フレームと、前記支持ビームから前記孔底部に向けて延びる複数の支持脚部とが備えられ、複数の前記支持脚部は、前記高さ方向へ伸縮可能に構成され、前記支持ビームは、前記孔壁へ向けて伸縮自在なビームインナが備えられるとともに、前記ビームインナが前記孔壁に対して押し付け可能に構成され、前記支持脚部は、前記支持ビームに固定された脚部アウタと、該脚部アウタの下方から出し入れ可能な脚部インナとで伸縮可能に構成され、前記脚部アウタの下端よりも上方において、前記ビームインナを径方向外方へ伸長可能、且つ前記孔壁に対して押し付け可能に、複数の前記支持脚部を前記孔壁に沿って一体的に囲う囲い部材が備えられたことを特徴とする。
【0010】
上記環状とは、平面視略円形の環状、平面視略小判形の環状、平面視略楕円形の環状、平面視略矩形の環状、あるいは平面視略多角形状の環状などのことをいう。
上記覆工材は、ライナープレート、セグメント、あるいは吹付コンクリートなどのことをいう。
【0011】
この発明によれば、例えば支持脚部をそれぞれ孔底部の凹凸に応じて伸長することで、支持フレームに吊り下げ支持された掘削機構部を所望される高さ方向の位置で安定して支持することができる。
【0012】
さらに、孔底部の掘削に伴って支持脚部を縮めることで支持フレームが降下するため、立坑の構築装置は、支持フレームに吊り下げ支持された掘削機構部を孔底部の掘削に伴って降下させることができる。
【0013】
このため、例えば掘削の進行に伴って下方に延伸する支持部材の先端に掘削機構部が支持された構成の場合、支持部材を延伸するたびに掘削機構部を坑外に移動させる必要があるのに対して、本発明の立坑の構築装置は、掘削機構部を坑外に移動させることなく孔底部を掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築装置は、掘削機構部で孔底部を連続して掘削できるため、孔底部を効率よく掘削することができる。
【0014】
また、前記支持ビームは、前記孔壁へ向けて伸縮自在に構成されるとともに、前記孔壁に対して前記ビームインナを押し付け可能に構成されているため、支持脚部と支持ビームとの協働によって、支持フレームを所望される高さ方向の位置で確実に支持できるとともに、孔底部の掘削する際の反力を支持機構部で受け止めることができる。
【0015】
さらに、支持ビームが突っ張ることで中央支持部を支持できるため、立坑の構築装置は、例えば複数の支持脚部のうち、1つの支持脚部と孔底部との間に隙間があっても傾くことなく孔底部を掘削することができる。
これにより、立坑の構築装置は、孔底部を安定した状態で連続して掘削することができる。
【0016】
また、前記支持脚部は、前記支持ビームに固定された脚部アウタと、該脚部アウタの下方から出し入れ可能な脚部インナとで伸縮可能に構成されているため、簡素な構成の支持脚部で支持フレームを支持できるため、パンタジャッキのように変形する支持脚部に比べて、支持フレームと孔底部との間における作業空間を広く確保することができる。
これにより、立坑の構築装置は、掘削機構部の可動スペースを広く確保できるため、支持脚部の伸縮頻度を低減して孔底部を効率よく掘削することができる。
【0017】
また、前記脚部アウタの下端よりも上方において、複数の前記支持脚部を前記孔壁に沿って一体的に囲う囲い部材が備えられているため、孔壁の土砂や岩石が孔底部に流入することを囲い部材によって抑えられる。
【0018】
さらに、支持脚部を最も縮めた際、囲い部材が孔底部に着底することがないため、立坑の構築装置は、支持脚部による掘削機構部の支持が囲い部材によって阻害されることを防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、複数の前記支持脚部は、それぞれ独立して前記高さ方向に伸縮可能に構成されてもよい。
この構成によれば、複数の支持脚部のうち、1つの支持脚部を縮めることで、縮めた支持脚部と孔底部との間に隙間を確保することができる。このため、立坑の構築装置は、孔底部における支持脚部が接する部分の掘削を容易にすることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記囲い部材は、周方向に分割構成されてもよい。
この構成によれば、囲い部材の組み立てを容易にするとともに、掘削孔の内部で囲い部材を解体して坑外へ容易に取り出すことができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記掘削機構部は、前記孔底部を掘削する手段として構成の異なる複数の掘削手段が備えられてもよい。
上記掘削手段とは、バケットのように地盤を掘る手段、ブレーカーのように岩石を削岩する手段などのことをいう。なお、構成の異なる掘削手段とは、種類の異なる掘削手段、あるいは同じ種類で大きさが異なる掘削手段などのことをいう。
【0022】
この構成によれば、掘削手段を坑外で交換することなく、孔底部を掘り進めることができる。
例えば掘削機構部が掘削手段としてバケット及びブレーカーを備え、バケットで孔底部を掘削中に岩石が出現した場合、立坑の構築装置は、ブレーカーで岩石を削岩したのち、バケットで孔底部を再び掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築装置は、掘削機構部に設けた1つの掘削手段で孔底部を掘削する場合に比べて、孔底部を効率よく掘削することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記掘削機構部は、前記高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアームと、該アームに対して択一的に使用可能に連結された複数の前記掘削手段とが備えられてもよい。
【0024】
この構成によれば、1つのアームに対して複数の掘削手段を備えているため、複数のアームのそれぞれに掘削手段を備えた場合に比べて、コンパクトな掘削機構部を構成することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記掘削機構部は、前記高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム、及び該アームの先端に設けた前記掘削手段を有する掘削部が複数備えられ、前記掘削手段は、前記掘削部ごとに異なる構成であってもよい。
【0026】
この構成によれば、孔底部の状況に応じた掘削部で掘り進められるため、掘削手段の交換を不要にすることができる。
さらに、立坑の構築装置は、例えば複数の掘削部を同時に動作させて孔底部を掘削することで孔底部をより効率よく掘削することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記掘削機構部は、前記高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム、及び該アームの先端に設けた前記掘削手段を有する2つの掘削部と、前記中央支持部に吊り下げ支持され、前記高さ方向を回転軸とした回転方向に2つの前記掘削部を一体的に回動させる回転部とが備えられ、2つの前記掘削部は、前記回転部の前記回転軸を挟んで前記直交方向に並設されてもよい。
【0028】
この構成によれば、高さ方向を回転軸とした回転方向と直交方向を枢動軸とした枢動方向とに掘削手段を移動させることができるため、孔底部の全域に掘削手段を届かせることができる。
【0029】
この際、回転部の回転軸を挟んで直交方向に並設された2つの掘削部を回転部が一体的に回動させるため、立坑の構築装置は、回転部の回転位置に関わらず2つの掘削部の相対位置を一定にすることができる。
【0030】
これにより、立坑の構築装置は、例えば2つの掘削部を同時に動作させた場合であっても、一方の掘削部の動作が他方の掘削部によって阻害されることを防止できるため、孔底部の全域をより効率よく掘削することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、2つの前記掘削部は、前記枢動軸を中心とした前記アームの折り畳み方向が互いに逆向きとなるように構成されてもよい。
この構成によれば、2つの掘削部を曲げ伸ばしする際、例えば掘削手段同士が干渉して、掘削部の動作が阻害されることを防止できる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記掘削機構部を遠隔操作する遠隔操作部が備えられてもよい。
この構成によれば、作業員の孔内作業を減らして作業環境の向上を図ることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、少なくとも前記掘削機構部を制御する制御部と、前記掘削機構部で掘削する掘削箇所の状況を検出する検出部とが備えられ、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて少なくとも前記掘削機構部の掘削を制御する構成であってもよい。
【0034】
この構成によれば、例えば自動運転制御した掘削機構部で掘削箇所を掘削することができる。このため、立坑の構築装置は、作業員の孔内作業を減らして作業環境を向上するとともに、高効率化を図ることができる。
【0035】
またこの発明は、地中に構築された環状の覆工材の下方に配置され、支持機構部によって吊り下げ支持された掘削機構部で孔底部を掘削する掘削工程を行うとともに、前記覆工材を高さ方向に延伸して地中に立坑を構築する立坑の構築方法であって、前記支持機構部は、前記掘削機構部を支持する中央支持部、及び該中央支持部から孔壁に向けて延びる複数の支持ビームを有する支持フレームと、前記支持ビームから前記孔底部に向けて延びる複数の支持脚部とが備えられ、複数の前記支持脚部は、前記高さ方向へ伸縮可能に構成され、前記支持ビームは、前記孔壁へ向けて伸縮自在なビームインナが備えられるとともに、前記ビームインナが前記孔壁に対して押し付け可能に構成され、前記支持脚部は、前記支持ビームに固定された脚部アウタと、該脚部アウタの下方から出し入れ可能な脚部インナとで伸縮可能に構成され、前記脚部アウタの下端よりも上方において、前記ビームインナを径方向外方へ伸長可能、且つ前記孔壁に対して押し付け可能に、複数の前記支持脚部を前記孔壁に沿って一体的に囲う囲い部材が備えられ、前記掘削工程において、複数の前記支持脚部が、前記高さ方向へ伸縮して前記掘削機構部を支持し、前記孔壁へ向けて伸縮自在に構成された前記ビームインナを、前記孔壁に対して押し付けて前記孔底部を掘削することを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、例えば支持脚部をそれぞれ孔底部の凹凸に応じて伸長することで、支持フレームに吊り下げ支持された掘削機構部を所望される高さ方向の位置で安定して支持することができる。
【0037】
さらに、孔底部の掘削に伴って支持脚部を縮めることで支持フレームが降下するため、立坑の構築方法は、支持フレームに吊り下げ支持された掘削機構部を孔底部の掘削に伴って降下させることができる。
【0038】
このため、例えば掘削の進行に伴って下方に延伸する支持部材の先端に掘削機構部が支持された構成の場合、支持部材を延伸するたびに掘削機構部を坑外に移動させる必要があるのに対して、本発明の立坑の構築方法は、掘削機構部を坑外に移動させることなく孔底部を掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築工法は、掘削機構部で孔底部を連続して掘削できるため、孔底部を効率よく掘削することができる。
【0039】
また、前記掘削工程において、前記孔壁へ向けて伸縮自在に構成された前記支持ビームの前記ビームインナを、前記孔壁に対して押し付けて前記孔底部を掘削するため、支持脚部と支持ビームとの協働によって、支持フレームを所望される高さ方向の位置で確実に支持できるとともに、孔底部の掘削する際の反力を支持機構部で受け止めることができる。
【0040】
さらに、支持ビームが突っ張ることで中央支持部を支持できるため、立坑の構築方法は、例えば複数の支持脚部のうち、1つの支持脚部と孔底部との間に隙間があっても傾くことなく孔底部を掘削することができる。
これにより、立坑の構築方法は、孔底部を安定した状態で連続して掘削することができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記支持ビームを前記孔壁に押し付けた状態において、複数の前記支持脚部のうち、いずれか1つの前記支持脚部を縮めて、当該支持脚部の下方の前記孔底部を掘削してもよい。
この構成によれば、縮めた支持脚部と孔底部との間に隙間を確保できるため、孔底部における支持脚部が接する部分の掘削を容易にすることができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記掘削工程において、前記掘削機構部が、前記孔底部を掘削する手段として設けた複数の掘削手段のうち、前記孔底部の状況に応じた前記掘削手段で前記孔底部を掘削してもよい。
【0043】
この構成によれば、掘削手段を坑外で交換することなく、孔底部を掘り進めることができる。このため、立坑の構築方法は、掘削機構部に設けた1つの掘削手段で孔底部を掘削する場合に比べて、孔底部を効率よく掘削することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、孔底部を効率よく掘削できる立坑の構築装置及び立坑の構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】機械式深礎工法の概略断面斜視図。
図2図1中のA-A矢視断面における機械式深礎工法の概略断面図。
図3】掘削ユニットの底面を示す底面図。
図4】掘削機構部の動作を説明する説明図。
図5】掘削機構部の動作を説明する説明図。
図6】制御ユニットの構成を示す概略構成図。
図7】機械式深礎工法における工程を示すフローチャート。
図8】機械式深礎工法における工程を示すフローチャート。
図9】機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図。
図10】機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図。
図11】機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図。
図12】裏込め工を概略断面で説明する説明図。
図13】実施例2における掘削機構部の概略を説明する説明図。
図14】実施例2における掘削機構部の概略を説明する説明図。
図15】実施例3における囲い部材の外観を示す外観斜視図。
図16】実施例3における機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図。
図17】実施例3における機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図。
図18】別の実施形態における囲い部材の外観を示す外観斜視図。
図19】別の実施形態における機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
立坑の構築装置1を用いた機械式深礎工法の一実施形態を以下図面とともに説明する。
【実施例1】
【0047】
なお、図1は機械式深礎工法の概略断面斜視図を示し、図2図1中のA-A矢視断面における機械式深礎工法の概略断面図を示し、図3は掘削ユニット2の底面図を示し、図4及び図5は掘削機構部40の動作を説明する説明図を示し、図6は制御ユニット3の概略構成図を示している。
【0048】
また、図1中において、掘削ユニット2及びライナープレートPの手前側を透過状態で図示するとともに、ステージ10の全部、ヘッドガード20の一部及び支持脚部32の1つを破線で図示している。
さらに、図1中において、図示を明確にするため、排土バケツ62の図示を省略している。
【0049】
また、図3中において、図示を明確にするため、ヘッドガード20及び排土ユニット60の図示を省略し、図4及び図5中において、手前側の支持脚部32の図示を省略している。
【0050】
まず、機械式深礎工法において、地盤Gを掘削して形成した掘削孔Hの内部を保護するライナープレートPは、図1及び図2に示すように、平面視略円形の掘削孔Hに対して一回り小さな直径の平面視略円形のリング状に形成されている。
【0051】
なお、ライナープレートPは、波付けされた薄鋼板の四辺に組立用のフランジを設けた略円弧状のライナープレートセクションを、複数組み付けることでリング状に形成されている。
【0052】
この機械式深礎工法では、既設のライナープレートPのうち、最下段のライナープレートPの下側にライナープレートセクションをリング状に組み付けて、新たなライナープレートPを構成し、組み付けた新たなライナープレートPを最下段のライナープレートPとすることで、ライナープレートPを掘削孔Hの高さ方向に延伸している。
【0053】
なお、最下段のライナープレートPと、新たに組み付けるライナープレートPとは、ライナープレートセクション同士の周方向の連結位置が上下方向に一致しないように、周方向にずらして組み付けている。
【0054】
ここで、以降の説明を容易にするために、組み付けたライナープレートPのうち、図2に示すように、地盤Gの地表面Gsから数えて1リング目のライナープレートP、すなわち地盤Gの内部における最上段のライナープレートPを第1リングP1とする。
【0055】
さらに、第1リングP1の下方に組付けられたライナープレートPを第2リングP2とし、第2リングP2の下方に組付けられたライナープレートPを第3リングP3とし、地表面Gsから数えてnリング目のライナープレートPを第nリングPnとし、最下段のライナープレートPを最下段リングPBとする。
【0056】
次に、地盤Gの内部に所定の杭孔を形成するための立坑の構築装置1について説明する。立坑の構築装置1は、地盤Gを掘削し、上述したライナープレートPを設置する掘削孔Hを形成する掘削ユニット2(図1及び図2参照)と、掘削ユニット2の動作を制御する制御ユニット3(図6参照)とを備えている。
【0057】
掘削ユニット2は、図1及び図2に示すように、掘削孔Hの内部で作業員Mが作業するためのステージ10と、ステージ10で作業する作業員Mを頭上からの落下物から保護するヘッドガード20と、ステージ10及びヘッドガード20が上面に固定された支持機構部30とを備えている。
【0058】
さらに、掘削ユニット2は、支持機構部30に回転自在に吊り下げ支持され、掘削孔Hの孔底部Hbを掘削する掘削機構部40と、支持機構部30を囲う囲い部材50と、掘削土を坑外に排出する排土ユニット60とを備えている。
【0059】
なお、掘削ユニット2は、掘削機構部40の動作及び支持機構部30の動作を制御する制御ユニット3に接続され、制御ユニット3からの制御信号によって掘削機構部40及び支持機構部30が動作するように構成されている。
【0060】
詳述すると、掘削ユニット2のステージ10は、支持機構部30の上面に配置された作業床である。このステージ10は、図3に示すように、支持機構部30に固定されたフレーム部材11と、フレーム部材11に載置され、フレーム部材11の下方空間を確認可能な大きさの網目を有するエキスパンドメタル12とで構成されている。
【0061】
具体的には、ステージ10は、ライナープレートPの内径よりも小径の底面視略円形状に形成されるとともに、後述する排土ユニット60の排土バケツ62が通過する底面視略扇状の通過孔10aが形成されている。
なお、ステージ10の通過孔10aは、後述する支持機構部30の3つの支持ビーム34のうち、2つの支持ビーム34の間に形成されている。
【0062】
また、ヘッドガード20は、図1及び図2に示すように、ステージ10の平面視略中央の位置で上下方向に延びる支柱部21と、ステージ10から上方に所定間隔を隔てた位置で支柱部21に支持された屋根部22とで構成されている。
【0063】
具体的には、支柱部21は、ライナープレートPの4リング分ぐらいの高さで上下方向に延びる略円筒体であって、後述する支持機構部30の中央支持部33の上面に固定されている。
【0064】
なお、支柱部21の内部は、中央支持部33の内部に連通するとともに、孔外に設置した油圧ポンプ(図示省略)からの油圧エネルギーを、ステージ10の下方に位置する掘削機構部40に伝達する油圧ホース(図示省略)が挿通されている。
【0065】
一方、屋根部22は、図1及び図2に示すように、平面視略円形のステージ10に対して平面視略相似形の略円形状であって、支柱部21の上部に組み付けられたフレーム部材(符号省略)と、作業員Mを孔外から確認可能な大きさの網目を有するエキスパンドメタル(符号省略)で構成されている。
【0066】
この屋根部22は、ライナープレートPの内径及びステージ10の外径よりも小径に形成されるとともに、ステージ10の通過孔10aに対向する部分に、排土ユニット60の排土バケツ62が通過する平面視略扇状の通過孔20aが形成されている。
なお、屋根部22の通過孔20aは、平面視において、ステージ10の通過孔10aに略同幅で形成されている。
【0067】
また、掘削ユニット2の支持機構部30は、図1及び図2に示すように、ステージ10、ヘッドガード20及び掘削機構部40を支持する支持フレーム31と、支持フレーム31から下方へ向けて延びる3つの支持脚部32とを備えている。
【0068】
より詳しくは、支持フレーム31は、平面視略中央に配置された中央支持部33と、中央支持部33から三方向へ向けて延びる3つの支持ビーム34とで構成されている。
中央支持部33は、図3に示すように、後述する囲い部材50の直径に対して1/2程度の直径で形成した円板状であって、ヘッドガード20の支柱部21から導出した油圧ホース(図示省略)が挿通される内部空間を有している。
【0069】
3つの支持ビーム34は、図3に示すように、中央支持部33の底面視略中央を中心とした径方向へ延びる柱状体であって、中央支持部33の底面視略中央を中心とした周方向に等間隔を隔てて配置されている。
【0070】
具体的には、支持ビーム34は、例えば油圧式アクチュエータであって、中央支持部33に固定されたビームアウタ34aと、ビームアウタ34aの先端から出し入れされるビームインナ34bとで径方向へ向けて伸縮可能に構成されている。
【0071】
さらに、支持ビーム34は、径方向に厚みを有するとともに、ライナープレートPの内面や掘削孔Hの孔壁Hwに当接可能に湾曲した板状の押圧板34cを、ビームインナ34bの先端に備えている。
【0072】
なお、支持ビーム34は、最も縮んだ状態において、中央支持部33の底面視略中央から押圧板34cの径方向外側までの長さが、後述する囲い部材50の半径に略同じとなるように形成されている。
【0073】
一方、3つの支持脚部32は、図1及び図3に示すように、上下方向へ延びる柱状体であって、ビームアウタ34aの先端近傍における下面に配置されている。
具体的には、支持脚部32は、図1及び図2に示すように、例えば油圧式アクチュエータであって、ビームアウタ34aの下面に固定された脚部アウタ32aと、脚部アウタ32aの下端から下方へ向けて出し入れ可能な脚部インナ32bとで上下方向に伸縮自在に構成されている。
【0074】
さらに、脚部アウタ32aの側面には、囲い部材50が固定されるブラケット35が上下方向に所定間隔を隔てて2つ設けられている。
このような構成の支持機構部30は、制御ユニット3からの制御信号に基づいて、3つの支持ビーム34がそれぞれ独立して伸縮するとともに、3つの支持脚部32がそれぞれ独立して伸縮するように構成されている。
【0075】
また、掘削ユニット2の掘削機構部40は、図2及び図3に示すように、支持機構部30に対して相対回転する回転部41と、孔底部Hbを掘削する掘削手段が異なる第1掘削部42及び第2掘削部43とを備えている。
【0076】
詳述すると、回転部41は、中央支持部33よりも小さい底面視略円形の円板状であって、中央支持部33の下面に同軸上に配置されている。この回転部41は、底面視略中央を通る上下方向を回転軸として、底面視時計回り及び平面視反時計回りに第1掘削部42及び第2掘削部43を一体的に回転可能に構成されている。
【0077】
第1掘削部42は、図4に示すように、所定方向に延びる基部421、第1アーム422及び第2アーム423と、第2アーム423の先端に連結したバケット424とで構成されている。
なお、第1アーム422、第2アーム423及びバケット424は、回転部41の回転軸に対して直交する方向、すなわち水平方向を枢動軸として枢動可能に構成されている。
【0078】
具体的には、第1掘削部42は、基部421の一端側が回転部41の底面視略中央側に位置するように、基部421が回転部41の下面に固定され、第1アーム422の一端が基部421の他端に枢動自在に連結され、第2アーム423の一端が第1アーム422の他端に枢動自在に連結され、バケット424が第2アーム423の他端に枢動自在に連結されている。
【0079】
この第1掘削部42は、図4(b)に示すように、第1アーム422及び第2アーム423をコンパクトに折り畳む際、基部421に対する第1アーム422の枢動方向と、第1アーム422に対する第2アーム423の枢動方向とが互いに逆方向になるように、基部421、第1アーム422及び第2アーム423が連結されている。
【0080】
さらに詳述すると、第1掘削部42は、図4(a)中の矢印で示すように、枢動軸に沿った方向から見て、第1アーム422を基部421に近づける折り畳み方向と、第2アーム423を第1アーム422に近づける折り畳み方向とが互いに逆方向となるように、基部421、第1アーム422及び第2アーム423が連結されている。
【0081】
第2掘削部43は、図5に示すように、所定方向に延びる基部431、第1アーム432及び第2アーム433と、第2アーム433の先端に連結したブレーカー434とで構成されている。
なお、第1アーム432、第2アーム433及びブレーカー434は、回転部41の回転軸に対して直交する方向、すなわち水平方向を枢動軸として枢動可能に構成されている。
【0082】
具体的には、第2掘削部43は、基部431の一端側が回転部41の底面視略中央側に位置するように、基部431が回転部41の下面に固定され、第1アーム432の一端が基部431の他端に枢動自在に連結され、第2アーム433の一端が第1アーム432の他端に枢動自在に連結され、ブレーカー434が第2アーム433の他端に枢動自在に連結されている。
【0083】
この第2掘削部43は、図5(b)に示すように、第1アーム432及び第2アーム433をコンパクトに折り畳む際、基部431に対する第1アーム432の枢動方向と、第1アーム432に対する第2アーム433の枢動方向とが互いに逆方向になるように、基部431、第1アーム432及び第2アーム433が連結されている。
【0084】
さらに詳述すると、第2掘削部43は、図5(a)中の矢印で示すように、枢動軸に沿った方向から見て、第1アーム432を基部431に近づける折り畳み方向と、第2アーム433を第1アーム432に近づける折り畳み方向とが互いに逆方向となるように、基部431、第1アーム432及び第2アーム433が連結されている。
【0085】
そして、第2掘削部43は、第1アーム432の折り畳み方向及び第2アーム433の折り畳み方向が、それぞれ第1掘削部42における第1アーム422の折り畳み方向及び第2アーム423の折り畳み方向とは逆方向となるように配置されている。
【0086】
より詳しくは、上述した構成の第1掘削部42及び第2掘削部43は、図3に示すように、底面視において、回転部41の底面視略中央(回転軸)を挟んで径方向に所定間隔を隔てて平行に配置されるとともに、回転部41の底面視略中央を対称点とする点対称となるように並設されている。
【0087】
このため、第1掘削部42及び第2掘削部43は、図4(a)及び図5(a)の矢印で示すように、枢動軸に沿った方向から見て、第1掘削部42における第1アーム422の折り畳み方向が反時計回りの場合、第2掘削部43における第1アーム432の折り畳み方向が時計回りとなるように配置される。
【0088】
さらに、第1掘削部42及び第2掘削部43は、枢動軸に沿った方向から見て、第1掘削部42における第2アーム423の折り畳み方向が時計回りの場合、第2掘削部43における第2アーム433の折り畳み方向が反時計回りとなるように配置される。
【0089】
また、掘削ユニット2の囲い部材50は、万一、孔壁Hwが崩れた際、土砂が孔底部Hbに流入することを抑えるためのものであって、支持脚部32の伸縮に影響を与えないように構成されている。
【0090】
具体的には、囲い部材50は、図1から図3に示すように、支持脚部32における脚部アウタ32aの下端よりも上方において、3つの支持脚部32を一体的に囲う略円筒状に形成されている。
【0091】
なお、囲い部材50は、エキスパンドメタル51の外周縁に枠材となるフレーム52を設けた円弧状の分割パーツを略リング状に組み付けて構成している。
さらに、囲い部材50は、分割パーツの周方向の連結位置が支持脚部32に略同じ周方向の位置に設定され、分割パーツのフレーム52を支持脚部32のブラケット35に固定している。
【0092】
より詳しくは、囲い部材50は、図2に示すように、掘削孔Hの直径よりも小さく、かつライナープレートPの直径よりも大きい直径の略円筒状であって、脚部アウタ32aの下端よりも僅かに上方の位置からステージ10の上面に至る上下方向の長さに形成されている。
【0093】
さらに、囲い部材50は、図1に示すように、支持ビーム34を囲い部材50よりも径方向外方へ伸長させる開口部50aが、支持ビーム34に略同じ間隔を隔てて周方向に3つ形成されている。
【0094】
この開口部50aは、支持脚部32における支持ビーム34の先端に設けた押圧板34cに略同じ大きさで、上端縁を下方へ向けて凹設するように切り欠いて形成されている。
【0095】
また、掘削ユニット2の排土ユニット60は、掘削機構部40で孔底部Hbを掘削した掘削土を掘削孔Hから排出するためのユニットであって、図2に示すように、囲い部材50の下部から上方に向かって延びて地表面Gsの上方に至るレール61と、レール61に沿って走行する排土バケツ62とで構成されている。
なお、排土バケツ62は、地上に設けた吊上げウインチによってレール61に沿って掘削孔Hの高さ方向に移動可能に構成されている。
【0096】
具体的には、レール61は、ステージ10の通過孔10a及びヘッドガード20の通過孔20aを排土バケツ62が通過するように、中央支持部33から三方向に延びる支持ビーム34のうち、2つの支持ビーム34の間に配置されるとともに、ライナープレートPに固定されている。このレール61は、孔底部Hbの掘削に伴って下方へ延伸可能に構成されている。
【0097】
また、掘削ユニット2の動作を制御する制御ユニット3は、図6に示すように、作業員Mの各種操作を受け付ける操作部71、各種情報を表示する表示部72、各種情報を記憶する記憶部73、孔底部Hbを撮像する少なくとも1つのカメラ74、孔底部Hbの状態を検出する少なくとも1つのセンサ75、及び各部の動作を制御する制御部76などで構成されている。
【0098】
なお、詳細な図示を省略するが、操作部71及び表示部72は、ステージ10上の作業員Mが支持機構部30及び掘削機構部40を操作できるように、ステージ10上に配置されている。
【0099】
あるいは、操作部71及び表示部72は、作業員が支持機構部30及び掘削機構部40を遠隔操作できるように、掘削孔Hに隣接する地上や、施工現場から離れた管理事務所などに配置されている。
【0100】
具体的には、操作部71は、各種操作レバーや各種ボタンなどで構成され、支持機構部30及び掘削機構部40を操作する作業員の操作を受け付ける機能と、受け付けた操作を示す信号を制御部76に出力する機能とを有している。
【0101】
表示部72は、液晶ディスプレイなどで構成され、制御部76からの信号に基づいて各種情報を表示する機能を有している。例えば表示部72は、支持機構部30の動作状況及び掘削機構部40の動作状況を表示する機能、カメラ74で撮像した動画データを表示する機能、センサ75が検出した各種情報を表示する機能などを有している。
【0102】
記憶部73は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部73には、各種処理を行うプログラム等を格納している。
【0103】
カメラ74は、CCDカメラ等で構成され、制御部76からの制御信号に基づいて被写体を動画として撮像する機能と、被写体を撮像した撮像信号を制御部76に出力する機能とを有している。
【0104】
このカメラ74は、囲い部材50の内部における孔底部Hbを被写体として撮像するように配置されている。
なお、カメラ74は、作業員が操作部71を操作することで、撮像方向を変更するように構成されてもよい。
【0105】
センサ75は、囲い部材50の内部における孔底部Hbの掘削状況を非接触で検出する機能を有している。
制御部76は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
【0106】
この制御部76は、操作部71、表示部72、記憶部73、カメラ74及びセンサ75との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0107】
上述した構成の制御ユニット3は、制御部76の制御信号に基づいて囲い部材50の内部における孔底部Hbをカメラ74で撮像し、カメラ74から取得した動画データを表示部72に表示する。
【0108】
そして、作業員が表示部72の表示を見ながら操作部71を操作すると、制御ユニット3の制御部76は、操作部71からの信号に基づいて支持機構部30の動作を制御するとともに、掘削機構部40の動作を制御して孔底部Hbを掘削する。
【0109】
引き続き、上述した立坑の構築装置1を用いて地盤Gの内部に所定の杭孔を形成する施工方法について、図7から図12を用いて説明する。
なお、図7及び図8は機械式深礎工法における工程のフローチャートを示し、図9図10及び図11は機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図を示し、図12は裏込め工を概略断面で説明する説明図を示している。
また、図示を明確にするため、図9から図11中において排土ユニット60の図示を省略している。
【0110】
まず、機械式深礎工法では、図7に示すように、地盤Gの内部に杭孔を形成するために、地盤Gの所定箇所に口元管100を設置する口元管設置工を行う(ステップS1)。
この口元管100は、図9(a)に示すように、ライナープレートPよりひとまわり大径であるライナープレート100aを、地表面Gsを掘り下げた掘削孔Hに設置し、ライナープレート100aの径外側に固定コンクリート100bを打設して構成している。
【0111】
口元管設置工を完了すると、口元管100の内部に配置した掘削ユニット2の上部に、反力枠101を設置する反力枠設置工を行う(ステップS2)。
具体的には、第1掘削部42及び第2掘削部43が折り畳まれるとともに、支持機構部30のビームインナ34b及び脚部インナ32bを縮めた掘削ユニット2を、図9(b)に示すように、口元管100のライナープレート100aの径内側に載置する。
【0112】
さらに、柱部材の下端が口元管100の固定コンクリート100bに固定された櫓形状の反力枠101をステージ10の上方に組み付ける。この際、反力枠101の柱部材が支持機構部30の支持ビーム34に対向するように組み付ける。
【0113】
反力枠101を組み付けると、反力枠101に支持された掘削ユニット2によって孔底部Hbを掘削する孔底部掘削工を行う(ステップS3)。
具体的には、掘削ユニット2は、図9(c)に示すように、制御部76からの制御信号に基づいて支持ビーム34を伸長して反力枠101の柱部材に押し付けたのち、掘削機構部40で孔底部Hbを掘削開始する。
【0114】
この際、例えば回転部41によって第1掘削部42及び第2掘削部43の回転位置を変更しながら、第1掘削部42のバケット424で孔底部Hbを掘り進める。そして、孔底部Hbに岩石が出現した場合、第2掘削部43のブレーカー434で削岩しながら孔底部Hbを掘削する。
【0115】
さらに、支持脚部32の下方を掘削する場合、3つの支持脚部32のうち、1つの支持脚部32を縮めて、当該支持脚部32の下方を掘り下げたのち、当該支持脚部32を伸長して掘り下げた部分に接触させる(図9(c)参照)。
【0116】
このように孔底部Hbの状況に応じて第1掘削部42及び第2掘削部43を使い分けながら、支持脚部32の伸縮を繰り返して孔底部Hbを掘り下げる。この際、掘削ユニット2の掘削機構部40は、支持機構部30によって反力枠101に支持されているため、孔底部Hbを掘り下げても掘削孔Hの高さ方向における位置が変化しない。
【0117】
このため、孔底部Hbを掘り下げ続けると、バケット424やブレーカー434が孔底部Hbに届き難くなり孔底部Hbを掘ることができなくなる。そこで、掘削ユニット2は、図9(d)に示すように、制御部76の制御信号に基づいて、第1掘削部42及び第2掘削部43を折り畳むとともに、支持ビーム34を縮めたのち、全ての支持脚部32を縮めて掘削機構部40を下方に移動させる。
【0118】
支持脚部32を縮めて掘削機構部40を下方に移動させると、掘削ユニット2は、再度、支持ビーム34を伸長して反力枠101に押し付けたのち、孔底部Hbの掘削を再開する。
これを繰り返して、ステージ10が地表面Gsよりも下方に位置するまで孔底部Hbを掘り下げると、地表面Gsよりも上方に突出する地表リングPAを構築する地表リング組付工を行う(ステップS4)。
【0119】
この地表リングPAは、掘削孔Hの内部に第1リングP1を構築するための支持治具として、反力枠101に組み付けたライナープレートPで構成されている。
具体的には、図10(a)に示すように、反力枠101の高さを下げたのち、地表面Gsの高さに下端が位置するようにライナープレートPを反力枠101に組み付けて地表リングPAを構成する。
【0120】
地表リングPAを構成すると、図10(b)に示すように、支持機構部30の支持ビーム34を口元管100の内面に押し付けたのち、第1掘削部42及び第2掘削部43を使い分けながら支持脚部32を伸縮して、少なくともライナープレートPの1リング分だけ孔底部Hbを掘り下げる孔底部掘削工を行う(ステップS5)。
【0121】
少なくともライナープレートPの1リング分だけ孔底部Hbを掘り下げると、地表リングPAの下方に第1リングP1を組み付ける第1リング組付工を行う(ステップS6)。
この際、ステージ10の作業員Mが、図10(c)に示すように、地表リングPAの下端に対してライナープレートセクションを組み付けて、第1リングP1(最下段リングPB)となるリング状のライナープレートPを構成する。
【0122】
その後、作業員Mは、図10(d)に示すように、口元管100のライナープレートPと第1リングP1との間を裏込め材102やモルタルで充填する。
第1リング組付工を完了すると、作業員Mは、図11(a)に示すように、反力枠101及び地表リングPAを分解して撤去する。
【0123】
反力枠101及び地表リングPAの撤去が完了すると、支持機構部30の支持ビーム34を掘削孔Hの孔壁Hwに押し付けたのち、第1掘削部42及び第2掘削部43を使い分けながら支持脚部32を伸縮して、孔底部Hbを掘り下げる孔底部掘削工を行う(ステップS7)。
【0124】
そして、ライナープレートPの1リングの高さ分の空間がステージ10の上方に形成されると、ライナープレートPを最下段リングPBに組み付ける。
以降、孔底部Hbの掘削とライナープレートPの組み付けとを繰り返して所定深さの掘削孔Hを構築するが、掘削機構部40による孔底部Hbの掘削によって掘削孔Hの内部に溜まる掘削土を孔外に排出する必要がある。
【0125】
そこで、ステップS7の孔底部掘削工では、孔底部Hbを掘削した掘削土を排土ユニット60の排土バケツ62に積み込みながら孔底部Hbを掘削する。この際、排土バケツ62が一杯でない場合(ステップS8:No)、排土バケツ62が掘削土で一杯になるまで掘削土が積み込まれる。
【0126】
一方、排土バケツ62が掘削土で一杯になると(ステップS8:Yes)、さらなる掘削機構部40による孔底部Hbの掘削ができなくなるので、排土バケツ62に積み込んだ掘削土を孔外に排出する(図8のステップS9)。
【0127】
この際、第1掘削部42及び第2掘削部43をそれぞれ折り畳んでコンパクト化し、回転部41を回動して通過孔10aの下方位置から待避させる。このように、通過孔10aの下方位置から待避する回転部41の回転位置を待避位置とする。
【0128】
そして、回転部41を退避位置に回転させると、上方にセットした吊上げウインチ(図示省略)を巻き上げて排土バケツ62をレール61に沿って上方へ移動させる。上方へ移動開始した排土バケツ62は、支持フレーム31の支持ビーム34同士の間を通って、ステージ10の通過孔10aを通過し第1リングP1の上方まで移動する。
【0129】
なお、空になった排土バケツ62は、吊上げウインチでレール61に沿って降下し、通過孔10aを通過し、支持ビーム34同士の間を通って孔底部Hbまで降下させる。
そして、排土ユニット60による排土が完了すると、掘削機構部40を通常の掘削位置、掘削姿勢に復帰させて孔底部Hbの掘削を再開する。
【0130】
孔底部Hbの掘削の再開後、ステージ10の上方にライナープレートPの1リング分の高さ相当分の空間が形成されていない場合(ステップS10:No)、孔底部掘削工(ステップS7)に戻って孔底部Hbの掘削を続ける。
【0131】
一方、掘削機構部40による孔底部Hbの掘削を続け、ステージ10の上方にライナープレートPの1リング分の高さ相当分の空間が形成されると(ステップS10:Yes)、最下段リングPBの下方に第nリングPnを組み付ける第nリング組付工を行って(ステップS11)、組み付けたライナープレートPを最下段リングPBとする。
【0132】
図11(a)に示すように、最下段リングPBとなる第nリングPnを組み付けると、最下段リングPBの外面と孔壁Hwとの間に裏込め材102を充填する裏込め工(ステップS12)を行う。
具体的には、ステージ10上の作業員Mが、図12(a)に示すように、最下段リングPBの下フランジに間詰部材103をクランプ104で取り付ける間詰部材取付工を行う(ステップS121)。
【0133】
この間詰部材103は、ライナープレートPの外径よりも小さい内径、及び囲い部材50の外径よりも大きい外径を有する円環状の平板である間詰リング103aと、間詰リング103aの外周縁に装着され、孔壁Hwに当接する円環状の間詰先端部103bとで構成している。
【0134】
なお、間詰部材103は、平面視略扇状に分割構成され、分割された部材をライナープレートPの周方向に沿って並置して、最下段リングPBの下フランジに固定することで、円環状となるように構成している。
【0135】
最下段リングPBの下フランジに間詰部材103を固定すると、作業員Mが最下段リングPBと孔壁Hwとの間の空間に、ライナープレートPに設けた充填口Pxから裏込め材102を充填する裏込め材充填工(ステップS122)を行う。
【0136】
この際、上方が裏込め材102やモルタルで塞がれ、下方が間詰部材103によって塞がれているため、裏込め材102は、図11(b)及び図12(b)に示すように、最下段リングPBと孔壁Hwとの間の空間に隙間なく充填される。
【0137】
そして、最下段リングPBと孔壁Hwとの間の空間に充填した裏込め材102の硬化後、クランプ104でライナープレートPの下フランジに取り付けた間詰部材103を取り外す間詰リング取り外し工(ステップS123)を行って、裏込め工を完了する。
【0138】
その後、所定深さまで掘削が完了していない場合(ステップS13:No)、上述した工程を所定深さになるまで繰り返す。例えば図11(b)状態から図11(c)の状態のように、孔底部Hbの掘削と、最下段リングPBへの第nリングPnの組み付けと、裏込め工とを所定深さまで掘削が完了するまで繰り返し行う。
【0139】
そして、所定深さの掘削が完了すると(ステップS13:Yes)、掘削孔Hの内部で囲い部材50などを分解して掘削ユニット2を撤去するとともに、孔底部HbやライナープレートPの内面への吹きつけなど、杭孔に求められる仕様に応じた後処理工(ステップS14)を行い、杭孔の施工を完了する。
【0140】
以上のように、環状のライナープレートPを高さ方向に延伸して、地中に立坑を構築する立坑の構築装置1は、地中に構築された既設のライナープレートPの下方に配置され、孔底部Hbを掘削する掘削機構部40と、掘削機構部40を吊り下げ支持する支持機構部30とを備えている。
【0141】
さらに、支持機構部30は、掘削機構部40を支持する中央支持部33、及び中央支持部33から孔壁Hwに向けて延びる3つの支持ビーム34を有する支持フレーム31と、支持ビーム34から孔底部Hbに向けて延びる3つの支持脚部32とを備えている。
そして、3つの支持脚部32は、高さ方向へ伸縮可能に構成されている。
【0142】
この構成によれば、例えば支持脚部32をそれぞれ孔底部Hbの凹凸に応じて伸長することで、支持フレーム31に吊り下げ支持された掘削機構部40を所望される高さ方向の位置で安定して支持することができる。
【0143】
さらに、孔底部Hbの掘削に伴って支持脚部32を縮めることで支持フレーム31が降下するため、立坑の構築装置1は、支持フレーム31に吊り下げ支持された掘削機構部40を孔底部Hbの掘削に伴って降下させることができる。
【0144】
このため、例えば掘削の進行に伴って下方に延伸する支持部材の先端に掘削機構部が支持された構成の場合、支持部材を延伸するたびに掘削機構部を坑外に移動させる必要があるのに対して、立坑の構築装置1は、掘削機構部40を坑外に移動させることなく孔底部Hbを掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築装置1は、掘削機構部40で孔底部Hbを連続して掘削できるため、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0145】
また、支持ビーム34が孔壁Hwへ向けて伸縮自在に構成されるとともに、孔壁Hwに対して押し付け可能に構成されているため、立坑の構築装置1は、支持脚部32と支持ビーム34との協働によって、支持フレーム31を所望される高さ方向の位置で確実に支持できるとともに、孔底部Hbの掘削する際の反力を支持機構部30で受け止めることができる。
【0146】
さらに、支持ビーム34が突っ張ることで中央支持部33を支持できるため、立坑の構築装置1は、例えば3つの支持脚部32のうち、1つの支持脚部32と孔底部Hbとの間に隙間があっても傾くことなく孔底部Hbを掘削することができる。
これにより、立坑の構築装置1は、孔底部Hbを安定した状態で連続して掘削することができる。
【0147】
また、3つの支持脚部32がそれぞれ独立して高さ方向に伸縮可能に構成されているため、立坑の構築装置1は、3つの支持脚部32のうち、1つの支持脚部32を縮めることで、縮めた支持脚部32と孔底部Hbとの間に隙間を確保することができる。このため、立坑の構築装置1は、孔底部Hbにおける支持脚部32が接する部分の掘削を容易にすることができる。
【0148】
また、支持脚部32は、支持ビーム34に固定された脚部アウタ32aと、脚部アウタ32aの下方から出し入れ可能な脚部インナ32bとで伸縮可能に構成されている。
この構成によれば、簡素な構成の支持脚部32で支持フレーム31を支持できるため、パンタジャッキのように変形する支持脚部に比べて、支持フレーム31と孔底部Hbとの間における作業空間を広く確保することができる。
これにより、立坑の構築装置1は、掘削機構部40の可動スペースを広く確保できるため、支持脚部32の伸縮頻度を低減して孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0149】
また、脚部アウタ32aの下端よりも上方において、3つの支持脚部32を孔壁Hwに沿って一体的に囲う囲い部材50を備えているため、立坑の構築装置1は、孔壁Hwの土砂や岩石が孔底部Hbに流入することを囲い部材50によって抑えられる。
【0150】
さらに、支持脚部32を最も縮めても囲い部材50が孔底部Hbに着底することがないため、立坑の構築装置1は、支持脚部32による掘削機構部40の支持が囲い部材50によって阻害されることを防止できる。
【0151】
また、囲い部材50が周方向に分割構成されているため、立坑の構築装置1は、囲い部材50の組み立てを容易にするとともに、掘削孔Hの内部で囲い部材50を解体して坑外へ容易に取り出すことができる。
【0152】
また、掘削機構部40が孔底部Hbを掘削する手段として構成の異なる2つの掘削手段(バケット424及びブレーカー434)を備えているため、立坑の構築装置1は、掘削手段を坑外で交換することなく、孔底部Hbを掘り進めることができる。
【0153】
例えばバケット424で孔底部Hbを掘削中に岩石が出現した場合、立坑の構築装置1は、ブレーカー434で岩石を削岩したのち、バケット424で孔底部Hbを再び掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築装置1は、掘削機構部40に設けた1つの掘削手段で孔底部Hbを掘削する場合に比べて、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0154】
また、掘削機構部40は、高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアームの先端に設けた掘削手段(バケット424)を有する第1掘削部42と、高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアームの先端に設けた掘削手段(ブレーカー434)を有する第2掘削部43とを備えている。
【0155】
そして、掘削手段は、第1掘削部42と第2掘削部43とで異なる構成である。
この構成によれば、孔底部Hbの状況に応じた第1掘削部42及び第2掘削部43で掘り進められるため、掘削手段の交換を不要にすることができる。
【0156】
さらに、立坑の構築装置1は、例えば第1掘削部42及び第2掘削部43を同時に動作させて孔底部Hbを掘削することで、孔底部Hbをより効率よく掘削することができる。
【0157】
また、掘削機構部40は、高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム(第1アーム422、第2アーム423)、及びアームの先端(第2アーム423の先端)に設けたバケット424を有する第1掘削部42を備えている。
【0158】
さらに、掘削機構部40は、高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム(第1アーム432、第2アーム433)、及びアームの先端(第2アーム433の先端)に設けたブレーカー434を有する第2掘削部43を備えている。
【0159】
加えて、掘削機構部40は、中央支持部33に吊り下げ支持され、高さ方向を回転軸とした回転方向に第1掘削部42及び第2掘削部43を一体的に回動させる回転部41を備えている。
そして、第1掘削部42及び第2掘削部43は、回転部41の回転軸を挟んで直交方向に並設されている。
【0160】
この構成によれば、高さ方向を回転軸とした回転方向と直交方向を枢動軸とした枢動方向とにバケット424及びブレーカー434を移動させることができるため、孔底部Hbの全域にバケット424及びブレーカー434を届かせることができる。
【0161】
この際、回転部41の回転軸を挟んで直交方向に並設された第1掘削部42及び第2掘削部43を回転部41が一体的に回動させるため、立坑の構築装置1は、回転部41の回転位置に関わらず第1掘削部42及び第2掘削部43の相対位置を一定にすることができる。
【0162】
これにより、立坑の構築装置1は、例えば第1掘削部42及び第2掘削部43を同時に動作させた場合であっても、一方の掘削部の動作が他方の掘削部によって阻害されることを防止できるため、孔底部Hbの全域をより効率よく掘削することができる。
【0163】
また、第1掘削部42及び第2掘削部43は、枢動軸を中心とした第1掘削部42における第1アーム422の折り畳み方向と、枢動軸を中心とした第2掘削部43における第1アーム432の折り畳み方向とが互いに逆向きとなるように構成されている。
【0164】
さらに、第1掘削部42及び第2掘削部43は、枢動軸を中心とした第1掘削部42における第2アーム423の折り畳み方向と、枢動軸を中心とした第2掘削部43における第2アーム433の折り畳み方向とが互いに逆向きとなるように構成されている。
【0165】
この構成によれば、第1掘削部42及び第2掘削部43を曲げ伸ばしする際、例えばバケット424とブレーカー434とが干渉して、第1掘削部42及び第2掘削部43の動作が阻害されることを防止できる。
また、掘削機構部40を遠隔操作する操作部71を備えているため、立坑の構築装置1は、作業員Mの孔内作業を減らして作業環境の向上を図ることができる。
【0166】
また、環状のライナープレートPを高さ方向に延伸して、地中に立坑を構築する立坑の構築方法は、地中に構築された既設のライナープレートPの下方に配置されるとともに、支持機構部30によって吊り下げ支持された掘削機構部40が、孔底部Hbを掘削する掘削工程(孔底部掘削工)を行うものである。
【0167】
この掘削工程(孔底部掘削工)において、掘削機構部40を支持する中央支持部33、及び中央支持部33から孔壁Hwに向けて延びる3つの支持ビーム34を有する支持フレーム31とで支持機構部30を構成するとともに、支持ビーム34から孔底部Hbに向けて延びる3つの支持脚部32が、高さ方向へ伸縮して掘削機構部40を支持している。
【0168】
この構成によれば、例えば支持脚部32をそれぞれ孔底部Hbの凹凸に応じて伸長することで、支持フレーム31に吊り下げ支持された掘削機構部40を所望される高さ方向の位置で安定して支持することができる。
【0169】
さらに、孔底部Hbの掘削に伴って支持脚部32を縮めることで支持フレーム31が降下するため、立坑の構築方法は、支持フレーム31に吊り下げ支持された掘削機構部40を孔底部Hbの掘削に伴って降下させることができる。
【0170】
このため、例えば掘削の進行に伴って下方に延伸する支持部材の先端に掘削機構部が支持された構成の場合、支持部材を延伸するたびに掘削機構部を坑外に移動させる必要があるのに対して、立坑の構築方法は、掘削機構部40を坑外に移動させることなく孔底部Hbを掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築方法は、掘削機構部40で孔底部Hbを連続して掘削できるため、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0171】
また、立坑の構築方法は、掘削工程(孔底部掘削工)において、孔壁Hwへ向けて伸縮自在に構成された支持ビーム34を、孔壁Hwに対して押し付けて孔底部Hbを掘削する。
この構成によれば、支持脚部32と支持ビーム34との協働によって、支持フレーム31を所望される高さ方向の位置で確実に支持できるとともに、孔底部Hbの掘削する際の反力を支持機構部30で受け止めることができる。
【0172】
さらに、支持ビーム34が突っ張ることで中央支持部33を支持できるため、立坑の構築方法は、例えば3つの支持脚部32のうち、1つの支持脚部32と孔底部Hbとの間に隙間があっても傾くことなく孔底部Hbを掘削することができる。
これにより、立坑の構築方法は、孔底部Hbを安定した状態で連続して掘削することができる。
【0173】
また、立坑の構築方法は、支持ビーム34を孔壁Hwに押し付けた状態において、3つの支持脚部32のうち、いずれか1つの支持脚部32を縮めて、当該支持脚部32の下方の孔底部Hbを掘削する。
この構成によれば、縮めた支持脚部32と孔底部Hbとの間に隙間を確保できるため、孔底部Hbにおける支持脚部32が接する部分の掘削を容易にすることができる。
【0174】
また、掘削工程(孔底部掘削工)において、掘削機構部40が、孔底部Hbを掘削する手段として設けた2つの掘削手段(バケット424及びブレーカー434)のうち、孔底部Hbの状況に応じた掘削手段で孔底部Hbを掘削する。
【0175】
この構成によれば、掘削手段を坑外で交換することなく、孔底部Hbを掘り進めることができる。このため、立坑の構築方法は、掘削機構部40に設けた1つの掘削手段で孔底部Hbを掘削する場合に比べて、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【実施例2】
【0176】
実施例2の掘削ユニット2は、上述した実施例1とは異なる掘削機構部80を備えている。このような実施例2の掘削ユニット2について、実施例2における掘削機構部80の概略を説明する説明図を示す図13及び図14を用いて説明する。
なお、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0177】
実施例2の掘削ユニット2は、ステージ10、ヘッドガード20、支持機構部30、掘削機構部80、囲い部材50及び排土ユニット60を備え、制御ユニット3によって支持機構部30の動作及び掘削機構部80の動作が制御されている。
そして、掘削機構部80は、2つの掘削手段を1つの掘削部に備えている点が、上述した実施例1と異なる。
【0178】
この掘削機構部80は、支持機構部30に対して回転自在な回転部(図示省略)と、構成の異なる2つの掘削手段を有する1つの掘削部81とを備えている。
なお、実施例2の回転部は、実施例1の回転部41と同じ構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0179】
実施例2の掘削部81は、実施例1の第1掘削部42と同様に、回転部に固定された基部(図示省略)と、基部に枢動自在に連結された第1アーム(図示省略)と、第1アームに枢動自在に連結された第2アーム811と、第2アーム811の先端に枢動自在に連結したバケット812とを備えている(図13参照)。
【0180】
さらに、掘削部81は、図13及び図14に示すように、第2アーム811の長手方向に沿って移動可能な状態で、第2アーム811の側面に取り付けられたブレーカー813を備えている。
なお、第1アーム、第2アーム811及びバケット812は、実施例1の第1掘削部42と同様に、回転部の回転軸に対して直交する方向を枢動軸として枢動可能に構成されている。
【0181】
詳述すると、掘削部81のバケット812は、図13に示すように、実施例1の第1掘削部42と同様に、第2アーム811の先端に枢動自在に連結されている。このバケット812は、図14に示すように、後述するブレーカー813を使用可能にする際、第2アーム811に近づけるように折り畳み可能に構成されている。
【0182】
一方、掘削部81のブレーカー813は、図13及び図14中の二点鎖線で示すように第2アーム811の先端から離間した退避位置と、図13及び図14中の実線で示すように第2アーム811の先端よりも突出した作業位置とに移動可能な状態で、第2アーム811の側面に連結されている。
【0183】
このブレーカー813は、図示を省略したアクチュエータによって退避位置と作業位置との間を移動し、作業位置において孔底部Hbを掘削可能に構成されている。
【0184】
具体的には、ブレーカー813は、第2アーム811の側面に所定間隔を隔てて固定された一対のブラケット814、及びブラケット814に一端が枢支された一対のリンク部材815を介して第2アーム811の側面に連結されている。
なお、リンク部材815は、ブレーカー813に対して枢動自在に連結されている。
【0185】
このような構成の掘削部81は、孔底部Hbを掘削する際、操作部71を用いた作業員による遠隔操作によって、バケット812またはブレーカー813が掘削手段として選択され、選択された掘削手段で孔底部Hbを掘削する。
【0186】
以上のように、実施例2における立坑の構築装置1及び立坑の構築方法は、上述した実施例1と同様に、掘削機構部80で孔底部Hbを連続して掘削できるため、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0187】
さらに、掘削機構部80は、孔底部Hbを掘削する手段として構成の異なる2つの掘削手段(バケット812及びブレーカー813)を備えているため、立坑の構築装置1は、掘削手段を坑内から取り出して交換することなく、孔底部Hbを掘り進めることができる。
これにより、立坑の構築装置1は、掘削機構部80に設けた1つの掘削手段で孔底部Hbを掘削する場合に比べて、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0188】
加えて、掘削機構部80は、高さ方向に対して略直交する直交方向を枢動軸として枢動するアーム(第1アーム、第2アーム811)と、アームに対して択一的に使用可能に連結されたバケット812及びブレーカー813とを備えている。
【0189】
この構成によれば、1つのアームに対してバケット812及びブレーカー813を備えているため、複数のアームのそれぞれに掘削手段を備えた場合に比べて、コンパクトな掘削機構部80を構成することができる。
【0190】
また、立坑の構築方法は、掘削工程(孔底部掘削工)において、掘削機構部80が、孔底部Hbを掘削する手段として設けた2つの掘削手段(バケット812及びブレーカー813)のうち、孔底部Hbの状況に応じた掘削手段で孔底部Hbを掘削する。
【0191】
この構成によれば、掘削手段(バケット812及びブレーカー813)を坑内から取り出して交換することなく、孔底部Hbを掘り進めることができる。このため、立坑の構築方法は、掘削機構部80に設けた1つの掘削手段で孔底部Hbを掘削する場合に比べて、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【実施例3】
【0192】
実施例3の掘削ユニット4は、上述した実施例1とは異なる構成の囲い部材90を備えている。このような実施例3の掘削ユニット4について、囲い部材90の外観斜視図を示す図15を用いて説明する。
なお、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0193】
実施例3の掘削ユニット4は、ステージ10、ヘッドガード20、支持機構部30、掘削機構部40、囲い部材90及び排土ユニット60を備え、制御ユニット3によって支持機構部30の動作及び掘削機構部40の動作が制御されている。
【0194】
この実施例3における囲い部材90は、図15に示すように、略円弧状のライナープレートセクションをリング状に組み付けたライナープレートを、上下方向に延伸して構成している。
なお、囲い部材90は、上述の実施例1とは異なり、脚部アウタ32aの下端よりも上方の位置から支持ビーム34の下端からに至る上下方向の長さに形成されている。
【0195】
具体的には、囲い部材90は、ステージ10よりも上方に構築したライナープレートPの内外径に略同じ内外径、またはライナープレートPの内外径よりも大きい内外径のライナープレートを、上下方向に組み付けて構成している。
【0196】
本実施例3では、一例として囲い部材90を、図15に示すように、上方に位置する上段ライナープレート91と、上段ライナープレート91の下端に組み付けた下段ライナープレート92とで構成している。
【0197】
さらに、上段ライナープレート91と下段ライナープレート92とは、ステージ10よりも上方に構築したライナープレートPとは異なり、ライナープレートセクション同士の周方向の連結位置が上下方向に一致するように組み付けている。
【0198】
このような構成の囲い部材90は、図15に示すように、上段ライナープレート91の上側のフランジが脚部アウタ32aの上端近傍に設けた上段ブラケット36に着脱自在に固定され、下段ライナープレート92の下側のフランジが脚部アウタ32aの下部に設けた下段ブラケット37に着脱自在に固定されている。
なお、囲い部材90を支持する上段ブラケット36及び下段ブラケット37は、脚部アウタ32aに対して着脱自在に設けられている。
【0199】
次に、上述した掘削ユニット4を用いた実施例3の機械式深礎工法について、実施例3における機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図を示す図16及び図17を用いて説明する。
【0200】
実施例3における機械式深礎工法では、口元管110を設置するための掘削と、第1リングP1から第nリングPnまでを構築するための掘削とを重機で行い、第nリングPnの下方に新たなライナープレートPを組み付けて延伸するための掘削を掘削ユニット4で行う。
【0201】
詳述すると、実施例3の機械式深礎工法では、地盤Gの所定箇所に口元管110を設置する口元管設置工を、例えばアーム先端にクラムシェルバケットを備えた重機を用いて行う。
【0202】
この際、実施例3の機械式深礎工法では、図16(a)に示すように、地表面GsをライナープレートPの1リング分だけ掘り下げた掘削孔Hに、ライナープレートPよりも大径であるライナープレート110aを設置し、ライナープレート110aの径外側に固定コンクリート110bを打設する。
【0203】
さらに、実施例3の機械式深礎工法では、クラムシェルバケットを有する重機を用いて、ライナープレート110aの内部における孔底部HbをライナープレートPの1リング分だけ掘り下げて、最下段のライナープレート110aの下方に新たなライナープレート110aを組み付ける。
【0204】
そして、実施例3の機械式深礎工法は、重機による孔底部Hbの掘削と新たなライナープレート110aの組み付けとを所定の深さまで繰り返すことで口元管110を構築する。
口元管110の設置が完了すると、クラムシェルバケットを有する重機を用いて、口元管110の内部をライナープレートPよりも一回り大きい直径で掘り下げながら、ライナープレートPを構築する余掘り工を行う。
【0205】
具体的には、図16(a)に示すように、口元管110の内部における孔底部Hbを、クラムシェルバケットを有する重機を用いて、少なくともライナープレートPの1リング分だけ掘り下げる。
【0206】
ライナープレートPの1リング分だけ掘り下げると、図16(a)に示すように、作業員Mは、略円弧状のライナープレートセクションをリング状に組み付けて第1リングP1となるライナープレートPを構築する第1リング組付工と、第1リングP1と孔壁Hwとの間に裏込め材102を充填する裏込め工とを行う。
【0207】
その後、重機による孔底部Hbの掘削と最下段リングPBへの第nリングPnの組み付けと裏込め工とを繰り返しながら、重機による掘削が困難となる深さまで孔底部Hbを掘り下げて余掘り工を完了する。
【0208】
この際、最下段リングPBは、図16(b)に示すように、孔底部Hbに掘削ユニット4を載置した際、囲い部材90の下段ライナープレート92を少なくとも配置可能な空間が孔底部Hbとの間に確保されるように組み付けた第nリングPnで構成している。このため、最下段リングPBの下方には1リング分の高さ以上の孔壁Hwが露出している。
【0209】
余掘り工が完了すると、囲い部材90を取り外した掘削ユニット4をライナープレートPの径内側に載置したのち、図16(b)に示すように、囲い部材90の下段ライナープレート92を、掘削ユニット4の支持脚部32に組み付ける。
この際、下段ライナープレート92は、最下段リングPBの下方に近接するように配置される。
【0210】
その後、作業員Mの操作によって掘削ユニット4は、支持ビーム34を伸長して既設のライナープレートPに押し付けたのち、掘削機構部40によって孔底部Hbを掘削する孔底部掘削工を行う。
この際、掘削ユニット4は、上述した実施例1と同様に、支持脚部32を伸縮しながら、掘削機構部40で孔底部Hbを掘削する。
【0211】
なお、孔底部Hbの掘削に伴って掘削ユニット4の支持ビーム34が最下段リングPBよりも下方に移動した場合、図17に示すように、支持ビーム34を孔壁Hwに押し付けて孔底部Hbを掘削する。
【0212】
最下段リングPBと囲い部材90の下段ライナープレート92との間に1リング以上の空間が形成される掘削深さまで孔底部Hbが掘り進められると、作業員Mは、図17に示すように、支持脚部32に固定した下段ライナープレート92の上方に上段ライナープレート91を組み付けて囲い部材90を構築する。
【0213】
その後、掘削ユニット4は、掘削土を坑外に排出しながら、ステージ10の上方にライナープレートPの1リング分の高さ相当分の空間が形成されるまで孔底部Hbの掘削を進める。
ステージ10の上方にライナープレートPの1リング分の高さ相当分の空間が形成されると、作業員Mは、最下段リングPBの下方に第nリングPnを組み付ける第nリング組付工と、新たな最下段リングPBと孔壁Hwとの間に裏込め材102を充填する裏込め工とを行う。
【0214】
そして、孔底部Hbの掘削と、最下段リングPBへの第nリングPnの組み付けと、裏込め工とを所定深さまで繰り返したのち、掘削孔Hの内部で囲い部材90などを分解して掘削ユニット4を撤去するとともに、孔底部HbやライナープレートPの内面への吹きつけなど、杭孔に求められる仕様に応じた後処理工を行い、杭孔の施工を完了する。
【0215】
以上のように、実施例3における立坑の構築装置1及び立坑の構築方法は、上述した実施例1と同様に、掘削機構部40で孔底部Hbを連続して掘削できるため、孔底部Hbを効率よく掘削することができる。
【0216】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の覆工材は、実施形態のライナープレートPに対応し、
以下同様に、
掘削手段は、バケット424及びブレーカー434、並びにバケット812及びブレーカー813に対応し、
アームは、第1アーム422及び第2アーム423、第1アーム432及び第2アーム433、並びに第2アーム811に対応し、
掘削部は、第1掘削部42及び第2掘削部43に対応し、
遠隔操作部は、操作部71に対応し、
掘削工程は、ステップS3、ステップS5及びステップS7に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0217】
例えば上述した実施形態において、掘削ユニット2,4を用いて形成する孔を杭孔としたが、これに限定せず立坑であってもよい。
また、平面視円形状の掘削孔Hの内部に平面視円形状のライナープレートPを構築したが、これに限定せず、ライナープレートPは平面視略小判形のリング状、平面視略楕円形のリング状、平面視略矩形のリング状、あるいは平面視略多角形状のリング状などであってもよい。
【0218】
また、掘削孔Hの内部をライナープレートPで保護したが、これに限定せず、ライナープレートPにかえてセグメントや吹付コンクリートで掘削孔Hの内部を保護してもよい。
また、ステージ10をフレーム部材11とエキスパンドメタル12とで構成したが、これに限定せず、エキスパンドメタル12にかえて鉄板をフレーム部材11に載置してもよい。
【0219】
また、ヘッドガード20の屋根部22をフレーム部材とエキスパンドメタルとで構成したが、これに限定せず、エキスパンドメタルにかえて鉄板や透過性を有する樹脂板などで屋根部22を構成してもよい。
また、3つの支持ビーム34及び3つの支持脚部32を有する支持機構部30としたが、これに限定せず、支持ビーム及び支持脚部は適宜の数であってもよい。
【0220】
また、孔底部Hbを掘削する掘削手段としてバケット424及びブレーカー434を用いて説明したが、これに限定せず、孔底部Hbを掘る手段や削岩する手段などであれば適宜の掘削手段であってもよい。
さらに、掘削機構部40における複数の掘削手段は、上述の実施形態のように種類の異なる掘削手段の組み合わせに限定せず、同じ種類で大きさの異なる掘削手段の組み合わせであってもよい。
【0221】
また、支持ビーム34を反力枠101の柱、口元管100の内面、ライナープレートPの内面、あるいは掘削孔Hの孔壁Hwに押し付けた状態で孔底部Hbを掘削したが、これに限定せず、支持脚部32の下方を掘削する場合を除いて、全ての支持ビーム34を縮めた状態で孔底部Hbを掘削してもよい。
【0222】
そして、支持脚部32の下方を掘削する際、少なくとも当該支持脚部32が固定された支持ビーム34を伸長して反力枠101の柱、口元管100の内面、ライナープレートPの内面、あるいは掘削孔Hの孔壁Hwに押し付けたのち、当該支持脚部32を縮めて孔底部Hbを掘削する。
【0223】
また、上述した実施形態において言及しなかったが、掘削ユニット2,4は、第1掘削部42及び第2掘削部43を別々に動作させて孔底部Hbを掘削する、あるいは第1掘削部42及び第2掘削部43を同時に動作させて孔底部Hbを掘削してもよい。
【0224】
また、囲い部材50をエキスパンドメタル51とフレーム52とで構成したが、これに限定せず、孔底部Hbへの土砂の流入を抑制できる強度を有するものであれば、エキスパンドメタル51にかえて鉄板などで構成されてもよい。
【0225】
また、第1リングP1の組付け完了後に、口元管100のライナープレート100aと第1リングP1との間に裏込め材102を充填したが、これに限定せず、第2リングP2の組付け完了後の裏込め工(ステップS12)の際に、口元管100のライナープレート100aと第1リングP1との間に裏込め材102を充填してもよい。
【0226】
また、上述した実施形態において、制御部76の制御によって囲い部材50の内部における孔底部Hbをカメラ74で撮像し、カメラ74の撮像データを表示部72に表示する。そして、表示部72の表示を見ながら作業員Mが操作部71を操作して掘削機構部40で孔底部Hbを掘削する、つまり操作部71を用いて掘削機構部40を遠隔操作したが、掘削機構部40による掘削を制御部76による制御で自動掘削できるように構成してもよい。
【0227】
具体的には、囲い部材50の内部における孔底部Hbの掘削状況をセンサ75で検出し、センサ75で検出した掘削状況に基づいて制御部76が掘削機構部40を駆動制御して、掘削機構部40が孔底部Hbを掘削するように構成する。
【0228】
なお、排土ユニット60における排土バケツ62の位置を検出できるように位置検出センサを制御部76に接続し、孔底部Hbの掘削状況のみならず、排土バケツ62の位置情報も考慮して掘削機構部40の駆動制御を行ってもよい。
また、センサ75で孔底部Hbの掘削状況を検出するだけでなく、複数台のカメラ74で孔底部Hbを撮像し、孔底部Hbの掘削状況を画像検出して掘削機構部40の駆動制御するように構成してもよい。
【0229】
このように掘削機構部40を制御する制御部76と、掘削機構部40で掘削する孔底部Hbの掘削箇所の状況を検出するセンサ75とが設けられ、制御部76が、センサ75の検出結果に基づいて掘削機構部40の掘削を制御することで、自動運転制御した掘削機構部40で掘削箇所を掘削することができる。そのため、作業員Mの孔内作業を減らして作業環境を向上するとともに、高効率化を図ることができる。
【0230】
また、実施例2において、第2アーム811の側面にリンク部材815を介して連結されたブレーカー813としたが、これに限定せず、バケット812とブレーカー813とを択一的に使用可能であれば、ブレーカー813の連結構造は適宜の構成であってもよい。
【0231】
また、実施例3において、上段ライナープレート91及び下段ライナープレート92で構成された囲い部材90としたが、これに限定しない。例えば別の実施形態における囲い部材90の外観斜視図を示す図18のように、上段ライナープレート91及び下段ライナープレート92と、上段ライナープレート91の外周面及び下段ライナープレート92の外周面を囲うように固定された薄板材93とを備えた囲い部材90であってもよい。
【0232】
これにより、立坑の構築装置1は、孔底部Hbの掘削に伴って掘削ユニット4が下方に移動する際、上段ライナープレート91及び下段ライナープレート92の波付けされた薄鋼板が孔壁Hwの礫に引っ掛かることを防止できる。
【0233】
また、上述した実施例3の機械式深礎工法において、囲い部材50を備えた実施例1の掘削ユニット2を用いてもよい。この場合であっても、上述した実施例3と同様の効果を奏することができる。
【0234】
また、実施例3の機械式深礎工法において、口元管110を設置するための掘削と、第1リングP1から第nリングPnまでを構築するための掘削とを重機で行い、第nリングPnの下方に新たなライナープレートPを組み付けて延伸するための掘削を掘削ユニット4で行ったが、これに限定しない。例えば実施例1と同様に、反力枠101を用いて孔底部Hbを掘削ユニット4で掘削しながら口元管110及びライナープレートPを構築してもよい。
【0235】
あるいは、口元管110を設置するための掘削と第1リングP1を構築するための掘削とを重機で行い、第1リングP1の下方に新たなライナープレートPを組み付けて延伸するための掘削を掘削ユニット4で行ってもよい。
【0236】
具体的には、別の実施形態における機械式深礎工法の工程を概略断面で説明する説明図を示す図19(a)のように、口元管110を設置する口元管設置工と、第1リングP1を構築する第1リング組付工とを上述の実施例3と同様に重機を用いて行ったのち、囲い部材90を取り外した掘削ユニット4を第1リングP1の径内側に配置する。
【0237】
この場合、図19(a)に示すように、支持ビーム34を伸長してライナープレート110aに押し付けた掘削ユニット4で孔底部掘削工を行い、第1リングP1の下方に囲い部材90の下段ライナープレート92を配置可能な空間が形成される掘削深さまで孔底部Hbを掘り下げる。
【0238】
第1リングP1の下方に下段ライナープレート92を配置可能な空間が形成されると、作業員Mは、図19(b)に示すように、囲い部材90の下段ライナープレート92を掘削ユニット4の支持脚部32に組み付ける。
【0239】
その後、第1リングP1と囲い部材90の下段ライナープレート92との間に1リング以上の空間が形成される掘削深さまで、孔底部Hbを掘削ユニット4で掘り進める。
【0240】
そして、第1リングP1と囲い部材90の下段ライナープレート92との間に1リング以上の空間が形成されると、作業員Mは、図19(c)に示すように、支持脚部32に固定した下段ライナープレート92の上方に上段ライナープレート91を組み付けて囲い部材90を構築する。
【0241】
このようにして、掘削孔Hの内部で囲い部材90を構築すると、上述の実施例3と同様にして、孔底部Hbの掘削と、最下段リングPBへの第nリングPnの組み付けと、裏込め工とを所定深さまで繰り返し行って杭孔を施工する。
【符号の説明】
【0242】
1…立坑の構築装置
30…支持機構部
31…支持フレーム
32…支持脚部
32a…脚部アウタ
32b…脚部インナ
33…中央支持部
34…支持ビーム
40…掘削機構部
41…回転部
42…第1掘削部
43…第2掘削部
50…囲い部材
71…操作部
75…センサ
76…制御部
90…囲い部材
422…第1アーム
423…第2アーム
424…バケット
432…第1アーム
433…第2アーム
434…ブレーカー
811…第2アーム
812…バケット
813…ブレーカー
Hb…孔底部
Hw…孔壁
P…ライナープレート
【要約】
【課題】孔底部Hbを効率よく掘削できる立坑の構築装置1及び立坑の構築方法を提供することを目的とする。
【解決手段】地中に構築された環状のライナープレートPの下方に配置され、孔底部Hbを掘削する掘削機構部40と、掘削機構部40を吊り下げ支持する支持機構部30とが備えられ、ライナープレートPを高さ方向に延伸して地中に立坑を構築する立坑の構築装置1であって、支持機構部30は、掘削機構部40を支持する中央支持部33、及び中央支持部33から孔壁Hwに向けて延びる複数の支持ビーム34を有する支持フレーム31と、支持ビーム34から孔底部Hbに向けて延びる複数の支持脚部32とが備えられ、複数の支持脚部32は、高さ方向へ伸縮可能に構成されたことを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19