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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】評価試験支援方法及び評価試験支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G01M17/007 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021027777
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129176
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 玲雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晋
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123259(JP,A)
【文献】特開2011-069794(JP,A)
【文献】特開2005-257557(JP,A)
【文献】特開2009-150821(JP,A)
【文献】特開2015-184243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0184642(US,A1)
【文献】自動運転テストコースなら北海道へ、無償提供する公道実証試験適地データに注目・・・名古屋オートモーティブワールド2020,[online],2020年10月22日,<URL: https://response.jp/article/2020/10/22/339617.html>,[令和6年4月25日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00 - 17/10
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転、自動操舵、自動ブレーキ、定速走行制御、車線維持制御又は合流支援制御である車両の走行制御を評価する評価検証において、所定の道路構造と、前記道路構造を有する道路上を走行する状況で前記評価検証の評価対象となる前記車両の機能又は性能が発揮される運転行動と、を定めたユースケースを設定し、
前記ユースケースで定めた前記道路構造を有する道路の構成要素の定性的条件と定量的条件とを抽出し、
道路の構成要素の情報を含んだ地図情報を記憶する地図データベースから、前記定性的条件と前記定量的条件を満足する道路の場所を、前記評価検証の試験地の候補として抽出
前記定量的条件として、道路の構成要素の定量的パラメータを設定し、
前記地図データベースに記憶される所定エリアの道路が有する前記定量的パラメータの統計情報を算出し、
算出した前記統計情報を出力装置から出力する、
ことを特徴とする評価試験支援方法。
【請求項2】
前記地図データベースから、前記定性的条件を満足する場所候補を抽出し、
前記場所候補から前記定量的条件を満足する道路の場所を前記試験地の候補として抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価試験支援方法。
【請求項3】
前記地図データベースに記憶される道路と前記定量的条件との間の合致度に応じて前記定量的条件を満足する道路の場所を前記試験地の候補として抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価試験支援方法。
【請求項4】
前記定量的条件として、道路の構成要素の定量的パラメータとその基準値を設定し、
前記地図データベースに記憶される道路が有する前記定量的パラメータの値と前記基準値との間の乖離量に反比例する評価値を算出して、前記評価値に応じて前記定量的条件を満足する道路の場所を、前記試験地の候補として抽出することを特徴とする請求項3に記載の評価試験支援方法。
【請求項5】
前記ユースケースに定められていない道路の構成要素の定量的条件である潜在的定量的条件の値として、前記地図データベースに記憶される所定エリアの地図情報の道路が有する値の最頻値を設定し、
地図データベースから、前記定性的条件と前記定量的条件と前記潜在的定量的条件とを満足する道路の場所を、前記評価検証の試験地の候補として抽出する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の評価試験支援方法。
【請求項6】
前記定性的条件は、道路区分又は道路形態の少なくともいずれかを含み、
前記道路形態には、直線路、交差点、分岐区間又は合流区間のいずれかが含まれる、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の評価試験支援方法。
【請求項7】
前記定量的条件は、車線数、車線幅、制限速度、曲率の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の評価試験支援方法。
【請求項8】
自動運転、自動操舵、自動ブレーキ、定速走行制御、車線維持制御又は合流支援制御である車両の走行制御を評価する評価検証において、所定の道路構造と、前記道路構造を有する道路上を走行する状況で前記評価検証の評価対象となる前記車両の機能又は性能が発揮される運転行動と、を定めたユースケースを記憶する記憶装置又は前記ユースケースを取得する通信装置と、
道路の構成要素の情報を含んだ地図情報を記憶する地図データベースと、
出力装置と、
前記ユースケースで定めた前記道路構造を有する道路の構成要素の定性的条件と定量的条件とを抽出する処理と、前記地図データベースから、前記定性的条件と前記定量的条件を満足する道路の場所を、前記評価検証の試験地の候補として抽出する処理と、を実行するコンピュータと、
を備え、前記コンピュータは、
前記定量的条件として、道路の構成要素の定量的パラメータを設定し、
前記地図データベースに記憶される所定エリアの道路が有する前記定量的パラメータの統計情報を算出し、
算出した前記統計情報を前記出力装置から出力する、
ことを特徴とする評価試験支援装置。
【請求項9】
前記コンピュータは、前記地図データベースから、前記定性的条件を満足する場所候補を抽出し、前記場所候補から前記定量的条件を満足する道路の場所を前記試験地の候補として抽出する、ことを特徴とする請求項8に記載の評価試験支援装置。
【請求項10】
前記コンピュータは、
前記ユースケースに定められていない道路の構成要素の定量的条件である潜在的定量的条件の値として、前記地図データベースに記憶される所定エリアの地図情報の道路が有する値の最頻値を設定し、
地図データベースから、前記定性的条件と前記定量的条件と前記潜在的定量的条件とを満足する道路の場所を、前記試験地の候補として抽出する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の評価試験支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価試験支援方法及び評価試験支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、開発対象のシステム仕様に基づき、概念的機能とそれを構成する構成要素的機能とを抽出し、構成要素的機能それぞれの検証項目を設定し、使用頻度の高い機能的要素の検証項目を優先順位の上位に設定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-28313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の機能や性能の評価検証を公道で行う場合には、車両を走行させる試験地を選定する必要がある。しかしながら、評価検証の評価項目に適合する試験地を人手で選定するには多大な労力を要していたとともに、検証に適した場所の選定も困難であった。
本発明は、車両の機能又は性能の評価検証を行う試験地を選定する効率性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る評価試験支援方法では、所定の道路構造における車両の運転行動を定めたユースケースを設定し、ユースケースで要求される道路の構成要素の定性的条件と定量的条件とを抽出し、道路の構成要素の情報を含んだ地図情報を記憶する地図データベースから、定性的条件と定量的条件を満足する道路の場所を抽出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の機能又は性能の評価検証を行う試験地を選定する効率性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の評価試験支援装置の一例の概略的なハードウエア構成図である。
図2】所定の道路構造における車両の運転行動を定めたユースケースの一例の説明図である。
図3】実施形態の評価試験支援装置の一例の機能構成の一例のブロック図である。
図4】実施形態の評価試験支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
実施形態の評価試験支援装置1は、車両の機能又は性能の評価検証を行うための地点やエリア等の場所(以下「試験地」と表記することがある)を提案することにより、車両の評価試験を支援する。
評価試験支援装置1によって提案される試験地で行われる評価検証は、例えば、運転者が関与せずに自動で運転する自動運転車両や、自動操舵、自動ブレーキ、定速走行制御、車線維持制御、合流支援制御などの走行制御のシステム検証であってよく、または、これに限定されずに車両の様々な機能又は性能の評価検証であってよい。
【0010】
図1は、実施形態の評価試験支援装置1の一例の概略的なハードウエア構成図である。評価試験支援装置1は、コンピュータ2と、記憶装置3と、地図データベース4と、入力装置5と、出力装置6を備える。
コンピュータ2は、評価試験支援装置1の機能を実現するための各種情報処理を実行する。コンピュータ2は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Micro Control Unit)等の演算装置を備える。以下に説明する評価試験支援装置1の各機能は、コンピュータ2の演算装置が、記憶装置3に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。記憶装置3は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等である。
【0011】
地図データベース4は、所定エリア内の道路の構成要素の情報を含んだ地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース4には、道路の構成要素の情報として、道路の位置座標、形状や道路構造(車線数、車線幅、道路幅、路肩幅等を少なくとも含む)、道路区分、道路形態、車線上又はその近傍に存在する地物の種類及び位置座標、通行区分や車線変更可否、転回可否、制限速度などの規制情報が記憶されている。
道路区分には、例えば高速道路などの自動車専用道路、その他の一般道路、私有地、駐車などの区分が含まれる。
道路形態には、例えば、直線路、交差点、分岐区間、合流区間のいずれかが含まれる。
道路上又はその近傍に存在する地物としては、信号機、停止線、標識、建物、電柱、縁石、横断歩道、踏切、バスベイ等が含まれる。
【0012】
例えば、地図データベース4は、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という。)を記憶する記憶装置であってよい。高精度地図は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という。)よりも高精度の地図データであり、道路単位の情報よりも詳細な車線単位の情報を含む。
例えば、高精度地図は車線単位の情報として、車線基準線(例えば車線内の中央の線)上の基準点を示す車線ノードの情報と、車線ノード間の車線の区間態様を示す車線リンクの情報を含む。
車線ノードの情報は、その車線ノードの識別番号、位置座標、接続される車線リンク数、接続される車線リンクの識別番号を含む。車線リンクの情報は、その車線リンクの識別番号、車線の種類、車線の幅員、車線境界線の種類、車線の形状、車線区分線の形状、車線基準線の形状を含む。
【0013】
入力装置5は、コンピュータ2に接続され、評価試験支援装置1の利用者(以下、単に「利用者」と表記することがある)によって操作されて評価試験支援装置1へのデータの入力等に用いられる。
入力装置5は、例えばキーボード、マウス等のユーザーインターフェース、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、USB(Universal Serial Bus)インターフェースであってもよく、例えばネットワークインターフェース等のような、無線通信又は有線通信により外部装置からデータを受信する通信装置であってもよい。
【0014】
出力装置6は、コンピュータ2に接続され、評価試験支援装置1の情報処理の結果を利用者に出力する。
出力装置6は、例えば、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置、プリンタ、DVDドライブ、USBインターフェースであってよい。又は、無線通信又は有線通信により外部装置へデータを送信する通信装置であってもよい。
【0015】
上記構成において、コンピュータ2は、車両の機能又は性能に関する所定の評価検証を実施することができる試験地の候補を、地図データベース4に記憶された地図情報から抽出する。
評価検証は、車両の機能又は性能について評価すべき項目を有する(以下「評価項目」を表記する)。実施形態の評価試験支援装置1は、所与の評価項目の評価対象となる車両の機能又は性能が発揮される運転行動を定義するためにユースケース7を使用する。
例えば、特定の道路構造や属性を有する道路上を車両が走行する状況における車両の機能又は性能について評価する場合、使用されるユースケース7は、例えば特定の道路構造や属性を有する道路における車両の運転行動を定めるものであってよい。
【0016】
図2は、ユースケースの一例の説明図である。例えば、図2に示すユースケースは、交通信号機のある交差点という特定の道路構造と一般道路という属性を有する道路において、車両10が右折するという運転行動を行うケースを示している。
図1を参照する。例えば、ユースケース7は、利用者が入力装置5を操作することによってコンピュータ2で設定されてもよい。ユースケース7は、評価検証において評価の対象となる評価項目に応じて適宜設定される。ユースケース7は記憶装置3に格納してもよい。
【0017】
若しくは、他の外部装置によってユースケース7を設定してから、入力装置5を介してコンピュータ2に入力してもよい。
コンピュータ2は、各々のユースケース7で要求される道路の構成要素(すなわちユースケース7で定めた道路構造や属性を有する道路の構成要素)の条件を抽出し、この条件を満足する道路の場所を地図データベース4から、試験地の候補として抽出し、抽出した試験地の候補の情報(例えば試験地の位置情報や試験地とその周辺の地図情報、以下「試験地情報」と表記することがある)を出力装置6から出力する。
【0018】
次に、図3を参照して実施形態の評価試験支援装置1の機能構成の一例を説明する。評価試験支援装置1のコンピュータ2は、構成要素条件抽出部20と、試験地抽出部21を備える。
構成要素条件抽出部20は、記憶装置3や入力装置5からユースケース7を読み込み、ユースケース7で要求される道路の構成要素の条件を抽出する。複数のユースケース7が設定されている場合には、構成要素条件抽出部20は、各々のユースケース7について個別に条件を抽出する。
【0019】
ユースケース7で要求される道路の構成要素の条件には定性的条件と定量的条件を含まれる。
定性的条件は、例えば、上記の道路区分又は道路形態の少なくともいずれかを含んでよい。定性的条件は、道路区分又は道路形態に加えて、付帯要素又は規制要素の有無を含んでよい。
付帯要素は、例えば横断歩道、停止線、信号機、踏切、バスベイなどの路上又はその近傍に存在する地物であってよい。また規制要素は、車線変更可否、転回可否、制限速度などの交通規則であってよい。
【0020】
定量的条件は、数値によって表現される定量的パラメータとその基準値によって設定される。定量的パラメータには、例えば車線数、車線幅、制限速度、曲率などが含まれてよい。例えば、定量的パラメータ「車線数」と基準値「2」を設定することにより、定量的条件「車線数=2」を設定する。なお、車線数に関する定量的条件は、自車線の車線数、対向車線の車線数、右左折先の車線の車線数のように、車線の種類毎に設定してもよい。
【0021】
試験地抽出部21は、地図データベース4から、構成要素条件抽出部20が抽出した定性的条件と定量的条件を満足する道路の場所を試験地の候補として抽出し、抽出した試験地の試験地情報を出力装置6から出力する。
例えば、試験地抽出部21は、定量的条件に先立って、定性的条件を満足する道路(すなわち定性的条件を満足する構成要素を有する道路)の場所を地図データベース4から抽出してよい。以下、定性的条件を満足する道路の場所として地図データベース4から抽出された場所を「場所候補」と表記する。
試験地抽出部21は、抽出された場所候補の中から、定量的条件を満足する道路の場所を試験地の候補として抽出してよい。
【0022】
試験地抽出部21は、定量的条件を満足する道路の場所を抽出する際に、各々の場所候補が有する構成要素の定量的パラメータの値と、定量的条件として設定された基準値との合致度を算出し、この合致度に基づいて試験地の候補を抽出してよい。例えば、合致度がより高い場所候補を合致度がより低い場所候補よりも優先して、試験地の候補として抽出してよい。例えば合致度が最も高い場所候補を試験地の候補として抽出してもよく、合致度が高い順に所定順位までの複数の場所候補を試験地の候補として抽出してもよい。
【0023】
例えば、試験地抽出部21は、場所候補が有する構成要素の定量的パラメータの値と、定量的条件として設定された基準値との間の乖離量に反比例する評価値を合致度として算出し、評価値がより高い場所候補を評価値がより低い場所候補よりも優先して、試験地の候補として抽出してよい。例えば、評価値が最も高い場所候補を試験地の候補として抽出してもよく、評価値が高い順に所定順位までの複数の場所候補を試験地の候補として抽出してもよい。
【0024】
また、試験地抽出部21は、試験地の候補として抽出する道路の構成要素の定量的な条件として、ユースケース7で明確に定められていない条件(以下「潜在的定量的条件」と表記することがある)を設定してもよい。試験地抽出部21は、ユースケース7で定められた定量的条件と同様に、潜在的定量的条件を満足する道路の場所を、試験地の候補として抽出してよい。すなわち、ユースケース7で定められた定量的条件と同様に、潜在的定量的条件を、試験地の候補として抽出される定量的な条件としてよい。
例えば、車線幅に関する定量的条件がユースケース7で定められていない場合に、車線幅を定量的パラメータとし、その基準値(例えば3.5m)を設定することにより、潜在的定量的条件「車線幅=3.5」を設定してもよい。
例えば、試験地抽出部21は、潜在的定量的条件の基準値として、地図データベース4に記憶される所定エリアの地図情報の道路が有する構成要素の定量的パラメータの値の最頻値を使用してよい。
【0025】
試験地抽出部21は、抽出した試験地の候補の試験地情報に加えて、定量的条件としてユースケース7に定められた定量的パラメータに関する付加情報を、出力装置6から出力して利用者に提供してもよい。
例えば付加情報は、ユースケース7に定められた定量的条件の定量的パラメータに関する、地図データベース4に記憶される所定のエリアにおける道路が有する構成要素の定量的パラメータの統計情報であってよい。例えば統計情報は、所定のエリアにおける道路が有する構成要素の定量的パラメータの値の頻度分布や、値の範囲(例えば最大値及び最小値)であってよい。利用者は、このような付加情報の提供を受けることにより、抽出した試験地の候補以外の場所から評価検証を行う場所を選ぶ際の参考とすることができる。
【0026】
また、ユースケース7が複数設定されている場合には、試験地抽出部21は、抽出した試験地の候補に応じてユースケース7をグループ分けしてもよい。例えば1つのユースケース7に対して1つの試験地の候補を抽出する場合には、同じ試験地が抽出されたユースケース7を同一のグループにグループ分けしてよい。また例えば、1つのユースケース7に対して複数の試験地の候補を抽出する場合には、抽出された試験地の一部が重複するユースケース7を同一のグループにグループ分けしてもよい。
このようにグループ分けすることにより、異なるユースケースがそれぞれ設定された複数の評価項目の評価検証を同じ試験地で行うことができるので、評価検証の効率性が向上する。
【0027】
(動作)
図4は、実施形態の評価試験支援方法の一例のフローチャートである。
ステップS1において構成要素条件抽出部20は、記憶装置3や入力装置5からユースケース7を読み込む。
ステップS2において構成要素条件抽出部20は、ユースケース7で要求される道路の構成要素の定性的条件と定量的条件とを抽出する。
【0028】
ステップS3において試験地抽出部21は、定性的条件を満足する場所候補を地図データベース4から抽出する。
ステップS4において試験地抽出部21は、抽出された場所候補の中から定量的条件を満足する道路の場所を、試験地の候補として抽出する。
その後に処理は終了する。
【0029】
(実施形態の効果)
(1)評価試験支援方法では、所定の道路構造における車両の運転行動を定めたユースケース7が設定される。構成要素条件抽出部20は、ユースケース7で要求される道路の構成要素の定性的条件と定量的条件とを抽出する。試験地抽出部21は、道路の構成要素の情報を記憶する地図データベース4から、定性的条件と定量的条件を満足する道路の場所を抽出する。
これにより、車両の機能又は性能の評価検証の評価項目の条件に適合した構成要素を有する道路の場所を試験地の候補として自動的に抽出することができるので、評価検証を行う試験地を選定する効率性を向上できる。
【0030】
(2)試験地抽出部21は、地図データベース4から、定性的条件を満足する場所候補を抽出し、抽出した場所候補から定量的条件を満足する道路の場所を抽出してもよい。
一般に、道路の構成要素の定性的条件を満足する場所の方が、定量的条件を満足する場所よりも限定され易い。このため、定性的条件を先に判断することにより、定性的条件を先に判断するよりも計算量を低減することができる。
【0031】
(3)試験地抽出部21は、地図データベース4に記憶される道路と定量的条件との間の合致度に応じて定量的条件を満足する道路の場所を抽出してもよい。これにより定量的条件を満足する道路の場所を抽出できる。
(4)定量的条件として、道路の構成要素の定量的パラメータとその基準値を設定してよい。試験地抽出部21は、地図データベース4に記憶される道路が有する定量的パラメータの値と基準値との間の乖離量に反比例する評価値を算出して、評価値に応じて定量的条件を満足する道路の場所を抽出してよい。これにより定量的条件を満足する道路の場所を抽出できる。
【0032】
(5)試験地抽出部21は、定量的条件として、道路の構成要素の定量的パラメータを設定してよい。試験地抽出部21は、地図データベース4に記憶される所定エリアの道路が有する定量的パラメータの統計情報を算出してもよい。
このような統計情報の提供を受けることにより、抽出した場所以外から評価検証を行う場所を選ぶ際の参考とすることができる。
【0033】
(6)定性的条件は、道路区分又は道路形態の少なくともいずれかを含み、道路形態には、直線路、交差点、分岐区間又は合流区間のいずれかを含んでよい。また、定量的条件は、車線数、車線幅、制限速度、曲率の少なくとも何れかを含んでよい。
これにより、評価検証の評価項目の条件として、これらの条件に適合した構成要素を有する道路の場所を抽出することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…評価試験支援装置、2…コンピュータ、3…記憶装置、4…地図データベース、5…入力装置、6…出力装置、7…ユースケース、10…車両、20…構成要素条件抽出部、21…試験地抽出部
図1
図2
図3
図4