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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20241106BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F28F9/02 Z
F28F9/013 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019016917
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020125856
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-12-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(72)【発明者】
【氏名】王 梓樺
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】竹下 和志
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194179(JP,A)
【文献】特開2016-128730(JP,A)
【文献】特表2014-519005(JP,A)
【文献】特開2017-40457(JP,A)
【文献】特開2017-106668(JP,A)
【文献】国際公開第2010/133491(WO,A1)
【文献】特開2008-304109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28F 9/26
F28D 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体と空気との間で熱交換を行う熱交換器(10)であって、
内部を流体が流れる管状の部材であって、積層方向に沿って並ぶように配置された複数のチューブ(700)と、
それぞれの前記チューブが接続されたコアプレート(100)、を有するタンク(300)と、を備え、
前記タンクには、流体を貯えるための空間であって互いに分離された第1空間(SP1)と第2空間(SP2)とが、前記積層方向に沿って並ぶように形成されており、
前記コアプレートには、それぞれのチューブが挿通される挿通穴(110)が前記積層方向に沿って並ぶように形成されており、
前記コアプレートのうち、前記第1空間と前記第2空間との境界に対向する部分を境界部(BD)としたときに、
前記コアプレートには、前記境界部側となる位置に形成されている単一又は複数の前記挿通穴と重なるように、前記コアプレートの剛性を高めるための剛性部(150)が設けられており、
前記チューブの長手方向及び前記積層方向のいずれに対しても垂直な方向を幅方向としたときに、
前記剛性部は、前記幅方向に沿って複数並ぶように形成されるとともに、前記挿通穴のうち前記幅方向に沿った両端部と重なるように設けられており、
前記剛性部においては、前記挿通穴の幅方向中央部に対応する部分及び前記両端部に対応する部分が前記タンクの内側に向けて凹状に後退している、熱交換器。
【請求項2】
前記剛性部は、前記コアプレートのうち前記第1空間と対向する部分、及び、前記コアプレートのうち前記第2空間と対向する部分、のそれぞれに設けられている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1空間側において前記剛性部と重なる前記挿通穴の数と、
前記第2空間側において前記剛性部と重なる前記挿通穴の数と、が互いに等しい、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記剛性部は、前記境界部側となる位置に形成されている複数の前記挿通穴と重なるように設けられている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記境界部には、内部を流体の流れないダミーチューブ(700A)が接続されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記剛性部は、前記コアプレートのうち、前記ダミーチューブが挿通されるダミー挿通穴(110A)と重ならない位置に設けられている、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記剛性部のうち、最も前記ダミーチューブ側となる位置に形成された前記挿通穴と重なっている部分においては、
前記コアプレートが、前記タンクの内側に向けて0.5mm以上且つ1.5mm以下の範囲で後退している、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記剛性部においては、前記コアプレートが前記タンクの内側に向けて凹状に後退しており、
前記タンクの内側における前記剛性部の先端の位置は、
前記コアプレートのうち、前記剛性部と重なっていない前記挿通穴が形成されている平面部、よりも低い位置となっている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記剛性部は、前記第1空間側及び前記第2空間側のそれぞれにおいて複数ずつ設けられており、
少なくとも一つの前記剛性部が、前記挿通穴のうち前記幅方向に沿った端部と重なるように設けられている、請求項に記載の熱交換器。
【請求項10】
複数の前記剛性部には、前記挿通穴のうち前記幅方向に沿った中央部分と重なるように設けられているものが含まれる、請求項1乃至のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体と空気との間で熱交換を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、流体と空気との間で熱交換を行う熱交換器が設けられる。このような熱交換器としては、例えば、内燃機関等を通過して高温となった冷却水を、空気との熱交換によって冷却するラジエータが挙げられる。
【0003】
下記特許文献1に記載されている熱交換器では、タンクと、当該タンクに接続された複数のチューブと、を備えた構成となっている。タンクの内側には2つの空間が形成されている。一方の空間である第1タンク室には、内燃機関を通った高温の冷却水が供給される。他方の空間である第2タンク室には、電動モータ等を通った低温の冷却水が供給される。
【0004】
この熱交換器では、複数のチューブが、第1タンク室及び第2タンク室のいずれかに接続されている。第1タンク室に接続されたチューブには、高温の冷却水が流れる。第2タンク室に接続されたチューブには、低温の冷却水が流れる。この熱交換器では、互いに温度の異なる2種類の冷却水を、それぞれ空気との熱交換によって冷却することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-215366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されている熱交換器では、タンクは、それぞれのチューブが接続されるコアプレートを備えている。コアプレートには、チューブを挿通しろう接するための挿通穴が複数形成されている。上記特許文献1に記載された構成の熱交換器では、高温の冷却水が流れる複数のチューブと、低温の冷却水が流れる複数のチューブとが、単一のコアプレートに対して接続されている。
【0007】
高温の冷却水が流れるチューブでは、その長手方向に沿った寸法が熱膨張によって比較的大きく増加しようとする。これに対し、低温の冷却水が流れるチューブでは、その長手方向に沿った寸法が熱膨張によって大きくは増加しない。このため、熱膨張するチューブからコアプレートが受ける力は、場所によって大きく異なってしまう。
【0008】
コアプレートのうち、上記の第1タンク室と第2タンク室との境界に対向する部分を「境界部」とすると、境界部やその近傍においては、上記のようなチューブの熱膨張に伴って大きな歪みが生じる傾向がある。その結果、当該部分に接合された一部のチューブが破損してしまう可能性がある。
【0009】
本開示は、コアプレートに生じる歪みを抑制することのできる熱交換器、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る熱交換器は、流体と空気との間で熱交換を行う熱交換器(10)であって、内部を流体が流れる管状の部材であって、積層方向に沿って並ぶように配置された複数のチューブ(700)と、それぞれのチューブが接続されたコアプレート(100)、を有するタンク(300)と、を備える。タンクには、流体を貯えるための空間であって互いに分離された第1空間(SP1)と第2空間(SP2)とが、積層方向に沿って並ぶように形成されている。コアプレートには、それぞれのチューブが挿通される挿通穴(110)が積層方向に沿って並ぶように形成されている。コアプレートのうち、第1空間と第2空間との境界に対向する部分を境界部(BD)としたときに、コアプレートには、境界部側となる位置に形成されている単一又は複数の挿通穴と重なるように、コアプレートの剛性を高めるための剛性部(150)が設けられている。チューブの長手方向及び積層方向のいずれに対しても垂直な方向を幅方向としたときに、剛性部は、幅方向に沿って複数並ぶように形成されている。
【0011】
上記構成の熱交換器では、コアプレートの剛性を高めるための剛性部が設けられている。この剛性部は、境界部側となる位置に形成されている単一又は複数の挿通穴と重なるように設けられている。つまり、チューブとコアプレートとの接合部分のうち、チューブの熱膨張に起因した歪みが最も生じやすい部分と重なるように剛性部が設けられており、当該部分の剛性が剛性部によって高められている。これにより、コアプレートに生じる歪みを、剛性部によって抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、コアプレートに生じる歪みを抑制することのできる熱交換器、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態に係る熱交換器の全体構成を示す図である。
図2図2は、図1におけるA部の内部構造を示す図である。
図3図3は、図1の熱交換器が有するコアプレートの構成を示す図である。
図4図4は、図1の熱交換器が有するコアプレートの構成を示す図である。
図5図5は、図3のV-V断面を示す図である。
図6図6は、図3のVI-VI断面を示す図である。
図7図7は、図1の熱交換器が有するコアプレートの構成を示す図である。
図8図8は、図1の熱交換器が有するコアプレート、及びコアプレートに挿通されたチューブの構成を示す図である。
図9図9は、コアプレートに形成された剛性部の構成を示す図である。
図10図10は、剛性部の形状と、歪みの最大値との関係を示すグラフである。
図11図11は、剛性部の形状と、歪みの最大値との関係について説明するための図である。
図12図12は、第2実施形態に係る熱交換器、が有するコアプレートの構成を示す図である。
図13図13は、第3実施形態に係る熱交換器、が有するコアプレートの構成を示す図である。
図14図14は、第4実施形態に係る熱交換器、が有するコアプレートの構成を示す図である。
図15図15は、図14のXV-XV断面を示す図である。
図16図16は、第5実施形態に係る熱交換器、が有するコアプレートの構成を示す図である。
図17図17は、図16のXVII-XVII断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0015】
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る熱交換器10は、不図示の車両に搭載されるものであって、当該車両の内燃機関等を冷却するためのラジエータとして構成された熱交換器である。熱交換器10には、内燃機関を通り温度の上昇した流体と、上記車両に搭載された電動モータや電力変変換器を通り温度の上昇した流体と、がそれぞれ供給される。熱交換器10では、上記それぞれの流体が空気との熱交換により冷却され、その温度を低下させる。このように、熱交換器10は、流体と空気との間で熱交換を行う熱交換器として構成されている。上記の流体としては、本実施形態ではLLCからなる冷却水が用いられるのであるが、他の流体が用いられてもよい。
【0016】
図1に示されるように、熱交換器10は、タンク300と、タンク600と、チューブ700と、フィン800と、を備えている。
【0017】
タンク300は、外部から供給された冷却水を受け入れるための容器である。タンク300は、熱交換器10のうち上方側部分に配置されている。タンク300は、コアプレート100とタンク部材200とを有している。コアプレート100は、金属からなる板状の部材である。コアプレート100には後述のチューブ700が接続されている。コアプレート100の具体的な形状については後に説明する。
【0018】
タンク部材200は、冷却水を貯えるための空間が内部に形成された部材であって、本実施形態では樹脂により形成されている。タンク部材200は、その下方側部分が開放された形状となっており、当該開放された部分を覆うように上記のコアプレート100が設けられている。コアプレート100は、タンク部材200との間にシール部材301を介在させた状態で、タンク部材200に対して加締めにより固定されている。尚、シール部材301は、その一部のみが図2において示されている。
【0019】
タンク600は、チューブ700を通った冷却水を受け入れて、これを外部へと排出するための容器である。タンク600は、熱交換器10のうち下方側部分に配置されている。タンク600の形状は、タンク300の形状に対して概ね上下対称な形状となっている。
タンク600は、コアプレート400とタンク部材500とを有している。コアプレート400は、金属からなる板状の部材である。コアプレート400にはチューブ700が接続されている。
【0020】
タンク部材500は、冷却水を貯えるための空間が内部に形成された部材であって、本実施形態では樹脂により形成されている。タンク部材200は、その上方側部分が開放された形状となっており、当該開放された部分を覆うように上記のコアプレート400が設けられている。コアプレート400は、タンク部材500との間に不図示のシール部材を介在させた状態で、タンク部材500に対して加締めにより固定されている。
【0021】
チューブ700は、内部を冷却水が流れる管状の部材である。チューブ700は複数設けられており、これらが図1における左右方向に沿って並ぶように積層配置されている。複数のチューブ700が並んでいる方向のことを、以下では「積層方向」とも称する。
【0022】
それぞれのチューブ700は、その長手方向を鉛直方向に沿わせた状態で配置されている。チューブ700の上端はコアプレート100に接続されており、下端はコアプレート400に接続されている。タンク300の内部空間と、タンク600の内部空間との間は、それぞれのチューブ700によって連通されている。タンク300に供給された冷却水は、それぞれのチューブ700の内側を通ってタンク600へと到達する。その際、チューブ700の内側を通る高温の冷却水と、チューブ700の外側を通る低温の空気との間で熱交換が行われ、冷却水はその温度を低下させる。
【0023】
フィン800は、金属板を折り曲げることにより形成されたコルゲートフィンである。フィン800は、それぞれのチューブ700の間の空間全体に亘るように配置されているのであるが、図1においてはその一部のみが図示されている。フィン800は、その左右両側にあるチューブ700に対してろう接されている。フィン800が設けられていることにより、空気との接触面積が大きくなっており、冷却水と空気との間における熱交換の効率が高められている。
【0024】
図1においては、熱交換器10を空気が通過する方向であって、紙面手前側から奥側へと向かう方向がx方向となっており、同方向に沿ってx軸が設定されている。また、複数のチューブ700が並ぶ方向であって、左側から右側へと向かう方向がy方向となっており、同方向に沿ってy軸が設定されている。y方向は、上記の積層方向に等しい。図1においては更に、チューブ700の長手方向に沿って下方側から上方側へと向かう方向がz方向となっており、同方向に沿ってz軸が設定されている。以降においては、上記のように定義されたx方向、y方向、及びz方向を用いて説明を行う。
【0025】
熱交換器10のうち、複数のチューブ700及びフィン800が積層されている部分は、冷却水と空気との間で熱交換が行われる部分であって、所謂「熱交換コア部」とも称される部分である。熱交換コア部のうち積層方向に沿った両側は、一対のサイドプレート910、920によって挟み込まれている。サイドプレート910、920は、いずれも金属からなる板状の部材であって、熱交換コア部を補強するための部材として設けられている。
【0026】
サイドプレート910は、熱交換コア部の-y方向側となる位置に設けられている。サイドプレート910の上端はコアプレート100に接続されており、下端はコアプレート400に接続されている。サイドプレート920は、熱交換コア部のy方向側となる位置に設けられている。サイドプレート920の上端はコアプレート100に接続されており、下端はコアプレート400に接続されている。先に述べたフィン800は、サイドプレート910とチューブ700との間となる位置、及び、サイドプレート920とチューブ700との間となる位置にも設けられている。
【0027】
図1及び図2を参照しながら、タンク部材200等の具体的な構成について説明する。タンク部材200には、第1部分210と、第2部分220と、第3部分230と、が設けられている。第1部分210は、タンク部材200のうち-y方向側の端部から、y方向に沿った中央よりもy方向側となる位置まで伸びている。第2部分220は、タンク部材200のうちy方向側の端部から-y方向側へと伸びている。第3部分230は、第1部分210と第2部分220との間となる位置に設けられている。
【0028】
図2に示されるように、第1部分210の内側には第1空間SP1が形成されており、第2部分220の内側には第2空間SP2が形成されており、第3部分230の内側には第3空間SP3が形成されている。これら3つの空間は互いに分離された空間となっており、y方向、すなわち積層方向に沿って並ぶように形成されている。
【0029】
第1空間SP1及び第2空間SP2は、いずれも内部に冷却水を貯えるための空間となっている。一方、第3空間SP3は、開口231を介して外気に繋がった空間となっており、第3空間SP3には冷却水が供給されない。図2に示されるように、第3空間SP3には一本のチューブ700Aが接続されている。チューブ700Aは、他のチューブ700と同一の形状を有するものではあるが、内部を冷却水の流れない「ダミーチューブ」として設けられている。チューブ700Aのことを、以下では「ダミーチューブ700A」とも表記する。
【0030】
タンク部材500にも、上記と同様の第1部分510、第2部分520、及び第3部分530が設けられている。第1部分510は、第1部分210の-z方向側となる位置に設けられた部分である。第2部分520は、第2部分220の-z方向側となる位置に設けられた部分である。第3部分530は、第3部分230の-z方向側となる位置に設けられた部分である。
【0031】
第1部分210には、第1供給部211が設けられている。第1供給部211は、内燃機関を通った後の冷却水を受け入れる部分である。第1供給部211に供給された冷却水は、第1空間SP1に繋がる複数のチューブ700の内側を通った後、タンク600の第1部分510へと供給される。第1部分510には、第1排出部511が設けられている。第1排出部511は、第1部分510から外部へと冷却水を排出するための部分である。第1排出部511から排出された冷却水は、再び内燃機関へと供給されて、内燃機関の冷却に供される。
【0032】
第2部分220には、第2供給部221が設けられている。第2供給部221は、電動モータや電力変変換器を通った後の冷却水を受け入れる部分である。第2供給部221に供給された冷却水は、第2空間SP2に繋がる複数のチューブ700の内側を通った後、タンク600の第2部分520へと供給される。第2部分520には、第2排出部521が設けられている。第2排出部521は、第2部分520から外部へと冷却水を排出するための部分である。第2排出部521から排出された冷却水は、再び電動モータや電力変変換器へと供給されて、電動モータ等の冷却に供される。
【0033】
このように、熱交換器10が備えるタンク300には、冷却水を貯えるための空間であって互いに分離された第1空間SP1と第2空間SP2とが、積層方向に沿って並ぶように形成されている。第1空間SP1に供給される冷却水の温度は、第2空間SP2に供給される冷却水の温度に比べて高くなっている。タンク600においても同様である。
【0034】
コアプレート100の構成について、図3乃至図9を主に参照しながら説明する。尚、タンク600が有するコアプレート400の形状は、コアプレート100と上下対称な形状である。このため、以下においてはコアプレート100の構成についてのみ説明し、コアプレート400については説明を省略する。
【0035】
図3は、コアプレート100のうちチューブ700Aが接続される部分及びその近傍の構成を、z方向側から見て描いた図である。また、図4は、当該部分をy-z平面で切断した場合の模式的に断面を描いた図である。図5は、図3のV-V断面を示す図であり、図6は、図3のVI-VI断面を示す図である。図7は、コアプレート100のうち概ね図2に示されている部分を斜視図として描いた図である。図8は、コアプレート100及びこれに接続された1本のチューブ700を斜視図として描いた図である。
【0036】
コアプレート100の外周側端部からは、z方向側に向かって伸びるように延在部160が形成されている。図3のようにz方向側から見た場合において、延在部160は、コアプレート100の外周全体に沿って形成されている。延在部160は、その内側にタンク部材200を収容した状態で加締められ、タンク部材200に対して固定される部分となっている。
【0037】
コアプレート100のうちz方向側の表面には、上記の延在部160の近傍に沿って、シール部材301を当接させるためのシール面SL1が形成されている。シール部材301は、延在部160に沿って配置される概ね環状の部材であって、例えばゴムによって形成されている。シール部材301によってコアプレート100とタンク部材200との間が水密にシールされる。
【0038】
コアプレート100には挿通穴110が複数形成されている。これらの挿通穴110は、それぞれのチューブ700が挿通される貫通穴であり、積層方向に沿って並ぶように形成されている。図4図7等に示されるように、コアプレート100には、それぞれのチューブ700に対応するように突出部120が形成されている。突出部120においては、コアプレート100がz方向側に向けて突出している。挿通穴110は、突出部120の先端をz方向に沿って貫くように形成されている。挿通穴110に挿通されたチューブ700は、突出部120の内面に対してろう接されており、突出部120によって支持されている。
【0039】
尚、図3等においては、複数の挿通穴110のうち特にチューブ700Aが挿通されるものに、符号「110A」が付してある。以下では、当該挿通穴110のことを「挿通穴110A」とも表記する。同様に、図3においては、複数の突出部120のうち特に挿通穴110Aが形成されているものに、符号「120A」が付してある。以下では、当該突出部120のことを「突出部120A」とも表記する。
【0040】
図3及び図6に示されるように、コアプレート100のz方向側の表面のうち、突出部120Aの周囲の部分は、シール面SL1と同一の高さを有するシール面SL0となっている。シール部材301は、延在部160に沿って配置される環状の部分の他、その途中からx方向に沿って直線状に伸びる部分も有している。これにより、第3空間SP3やチューブ700Aに対する冷却水の流入が防止されている。シール面SL0は、シール部材301のうち、上記のようにx方向に沿って直線状に伸びる部分が当接する部分となっている。
【0041】
コアプレート100のうち、シール面SL0や突出部120Aが形成されている部分、すなわち第3空間SP3と対向する部分は、第1空間SP1と第2空間SP2との境界に対向する部分、ということができる。このため、当該部分のことを以下では「境界部BD」とも表記する。
【0042】
コアプレート100のうちシール面SL1の内側の部分であって、図3図4等において符号101が付されている部分は、シール面SL1やシール面SL0と同じ高さの面となっている。当該部分のことを、以下では「第1平面部101」とも表記する。y方向に沿って境界部BDの両側に形成された第1平面部101のそれぞれには、突出部120が3つずつ形成されている。
【0043】
コアプレート100のうちシール面SL1の内側の部分であって、図3図4等において符号102が付されている部分は、第1平面部101よりもz方向側に突出した面となっている。当該部分のことを、以下では「第2平面部102」とも表記する。それぞれの第2平面部102には単一の突出部120が形成されている。
【0044】
コアプレート100のうちシール面SL1の内側の部分であって、図3図4等において符号103が付されている部分は、第2平面部102よりも更にz方向側に突出した面となっている。当該部分のことを、以下では「第3平面部103」とも表記する。それぞれの第3平面部103には、残り全ての突出部120が形成されている。第3平面部103には、複数のリブ170が形成されている。リブ170は、第3平面部103のうち、互いに隣り合う突出部120の間となる部分を、-z方向に向けて突出するように変形させたものである。このようなリブ170が形成されていることで、コアプレート100の全体の剛性が向上している。
【0045】
以上のような形状を有するコアプレート100は、例えば、金属板に対して複数回のプレス加工を施すことによって形成することができる。
【0046】
先に述べたように、第1空間SP1及びこれに繋がるチューブ700では、内燃機関を通過した後の比較的高温の冷却水が流れる。このため、当該チューブ700は熱膨張によってz方向に沿った寸法が拡大するのであるが、その拡大量は比較的大きくなっている。図7においては、当該チューブ700の熱膨張による拡大量が矢印AR1で示されている。
【0047】
一方、第2空間SP2及びこれに繋がるチューブ700では、電動モータ等を通過した後の比較的低温の冷却水が流れる。このため、当該チューブ700も熱膨張によってz方向に沿った寸法が拡大するのであるが、その拡大量は比較的小さくなっている。図7においては、当該チューブ700の熱膨張による拡大量が矢印AR2で示されている。
【0048】
境界部BDの近傍においては、境界部BDよりも-y方向側の部分が、チューブ700から矢印AR1に沿った力を受けることによりz方向側へと大きく変位しようとする。一方、境界部BDよりもy方向側の部分は、チューブ700から矢印AR2に沿った力を受けることによりz方向側へと小さく変位しようとする。このため、コアプレート100のうち境界部BDやその近傍においては、チューブ700の熱膨張に伴って大きな歪みが生じる傾向がある。その結果、当該部分に接合された一部のチューブ700が破損し、冷却水が外部へと漏出てしまう可能性がある。
【0049】
そこで、本実施形態に係る熱交換器10は、コアプレート100の形状を工夫することにより、コアプレート100に生じる歪みを抑制することとしている。
【0050】
図3図5図7図8等に示されるように、本実施形態に係るコアプレート100には剛性部150が形成されている。剛性部150においては、コアプレート100がz方向側に向けて、すなわちタンク300の内側に向けて凹状に後退している。剛性部150は、y方向に沿って直線状に伸びるように形成されている。図3のようにz方向側から見た場合において、剛性部150は、第1平面部101に形成された3つの挿通穴110と重なるように形成されている。このような剛性部150が形成されることで、当該部分においてはコアプレート100の曲げに対する剛性が高められている。このため、図7の矢印AR1や矢印AR2に示される方向の力が、各チューブ700からコアプレート100に対し加えられても、コアプレート100に生じる歪みは、剛性部150が形成されていない従来の場合に比べて小さくなっている。
【0051】
このように本実施形態では、境界部BD側となる位置に形成されている複数の挿通穴110と重なるように、コアプレート100の剛性を高めるための剛性部150が設けられている。「境界部BD側となる位置に形成されている複数の挿通穴110」とは、第1空間SP1又は第2空間SP2の一方に形成された一群の挿通穴110のうち、最も境界部BD寄りとなる位置にある挿通穴110を含む複数の挿通穴110のことである。剛性部150と重なる挿通穴110の数が多くなる程、コアプレート100に生じる歪みは小さくなる。
【0052】
剛性部150は、コアプレート100のうち第1空間SP1と対向する部分、及び、コアプレート100のうち第2空間SP2と対向する部分、のそれぞれに設けられている。つまり、境界部BDを間に挟んで両側となる位置に剛性部150が設けられている。コアプレート100のうち歪みが生じやすい部分の全体をカバーするように剛性部150が設けられているので、境界部BDの一方側にのみ剛性部150が設けられている場合に比べて、コアプレート100に生じる歪みを更に抑制することが可能となっている。
【0053】
本実施形態では更に、第1空間SP1側において剛性部150と重なる挿通穴110の数と、第2空間SP2側において剛性部150と重なる挿通穴110の数と、が互いに等しく、いずれも3となっている。その結果、境界部BDの-y方向側とy方向側の両側で、剛性部150による歪みの抑制がバランスよく均等に行われるので、コアプレート100で生じる歪みが更に抑制されるという効果が得られる。
【0054】
尚、第1空間SP1側において生じる歪みの大きさと、第2空間SP2側において生じる歪みの大きさとが極端に違うような場合には、第1空間SP1側において剛性部150と重なる挿通穴110の数と、第2空間SP2側において剛性部150と重なる挿通穴110の数と、を互いに異ならせてもよい。
【0055】
先に述べたように、境界部BDには、内部を流体の流れないダミーチューブ700Aが接続されている。剛性部150は、コアプレート100のうち、ダミーチューブ700Aが挿通される挿通穴110Aと重ならない位置に設けられている。挿通穴110Aは、本実施形態における「ダミー挿通穴」に該当するものである。
【0056】
剛性部150が上記のような位置に設けられることで、境界部BDのうち挿通穴110と挿通穴110Aとの間となる部分には、シール部材301を当接させるための平坦なシール面SL0を形成することが可能となっている。
【0057】
本実施形態では、1つの第1平面部101において2つの剛性部150が形成されている。それぞれの剛性部150は、挿通穴110のうちy方向に沿った端部と重なるように設けられている。ここでいう「y方向」は、チューブ700の長手方向及び積層方向のいずれに対しても垂直な方向であって、挿通穴110の「幅方向」に該当する。
【0058】
挿通穴110の幅方向における端部は、チューブ700の熱膨張に伴う影響を受けやすく、挿通穴110近傍の中でも最も大きな歪みが生じやすい部分となっている。本実施形態では、このように歪みが生じやすい部分と重なるように剛性部150が形成されているので、効率よく歪みを抑制することが可能となっている。
【0059】
図9には、コアプレート100のうち剛性部150が形成されている部分をx-z平面に沿って切断し、これを-y方から見た場合における断面が模式的に描かれている。当該断面の位置は、図3においてV-Vで示される断面の位置と同じである。図9に描かれているチューブ700は、第1平面部101に接続された3つのチューブ700のうち、最も境界部BD側となる位置に配置されたチューブ700である。このため、当該チューブ700よりも更に紙面奥側となる位置においては剛性部150が設けられておらず、突出部120からシール面SL0へと繋がっている。
【0060】
先に述べたように、剛性部150においては、コアプレート100がz方向側に向けて凹状に後退している。図9では、このようにz方向に後退している部分の同方向に沿った寸法、すなわち後退量が、Hとして示されている。本実施形態では、タンク300の内側における剛性部150の高さが、第2平面部102や第3平面部103の高さよりも低くなるように、上記のHが設定されている。
【0061】
本発明者らが実験等を行って確認したところによれば、図9のHで示される後退量の大きさに応じて、コアプレート100において生じる歪みの最大値が変化するという知見が得られている。図10には、Hで示される後退量と、歪みの最大値との関係が示されている。
【0062】
同図に示されるように、後退量が0から大きくなって行くに従って、歪の最大値は小さくなって行く。後退量が0.5以上になると、歪の最大値は概ね一定の値となっている。その後、後退量を更に大きくして行くと、歪の最大値は再び大きくなる傾向がある。具体的には、後退量が1.5mmを超えると歪の最大値が大きくなっている。
【0063】
その理由について、図11を参照しながら説明する。図11に示されるのは、コアプレート100のうち、図9に示されるチューブ700が接続されている部分を、y-z平面に沿って切断した場合の断面である。同図においてチューブ700よりも-y方向側の部分では、剛性部150が形成されている。このため、チューブ700よりもy方向側の部分に比べて、コアプレート100の高さが高くなっている。このように、最も境界部BD側となる位置に配置されたチューブ700の近傍においては、チューブ700の両側にあるコアプレート100の形状が非対称となっている。
【0064】
図11においては、チューブ700とコアプレート100との間を接合するためのろう材FL1、FL2が示されている。ろう材FL1は、コアプレート100のうちチューブ700よりもy方向側の部分と、チューブ700を接合しているろう材である。ろう材FL2は、コアプレート100のうちチューブ700よりも-y方向側の部分と、チューブ700を接合しているろう材である。コアプレート100とチューブ700との間では、ろう材FL1等によるフィレットが形成されている。
【0065】
チューブ700の両側にあるコアプレート100の形状が非対称となっているので、図11の断面においては、ろう材FL1及びろう材FL2のそれぞれのフィレット形状は互いに異なっている。しかしながら、これらのろう材は全体では一つであり、チューブ700の周囲を囲むように配置されている。このため、図11の紙面奥側及び紙面手前側のそれぞれにおいては、互いに高さや形状の異なるろう材FL1とろう材FL2とが繋がっている。その結果、ろう材の接続部分では、ろう材の形状が歪なものとなり、応力集中が生じやすくなっている。
【0066】
剛性部150の後退量Hが大きくなるほど、ろう材FL1及びろう材FL2の形状の差が大きくなるので、上記の応力集中も大きくなる。その結果、図10に示されるように、後退量Hが1.5mmを超えると歪の最大値が大きくなってしまうのである。以上に鑑みれば、後退量Hは、0.5mm以上且つ1.5mm以下とすることが好ましい。そこで、本実施形態では、剛性部150のうち、最もダミーチューブ700A側となる位置に形成された挿通穴110と重なっている部分においては、コアプレート100が、タンク300の内側に向けて0.5mm以上且つ1.5mm以下の範囲で後退するように、剛性部150が形成されている。これにより、コアプレート100で生じる歪みを確実に抑制することとしている。
【0067】
ところで、コアプレート100の歪みを抑制するための剛性部150の形状は、本実施形態とは異なるものとしてもよい。例えば、剛性部150の位置において、コアプレート100の板厚を厚くすることとしてもよい。しかしながら、その場合には一部が厚くなった板状部材を用いてコアプレート100を形成する必要がある。その結果、部品コストが上昇してしまう。部品コストを抑制するという観点からは、本実施形態のように、コアプレート100をz方向側に後退させることにより剛性部150を形成した方が好ましい。
【0068】
本実施形態のように、コアプレート100をz方向側に後退させることにより剛性部150を形成することのもう一つの利点について、引き続き図9を参照しながら説明する。
【0069】
熱膨張するチューブ700からの力は、ろう接による接合部においてコアプレート100へと働くこととなる。図9においては、チューブ700の幅方向における中央における接合部の位置が、符号Bで示されている。熱膨張するチューブ700からの力は、その大部分が、符号Bで示される位置のz座標において、コアプレート100へと働く。
【0070】
本実施形態では、コアプレート100をz方向側に後退させることにより剛性部150が形成されている。このため、剛性部150が形成されている部分における接合部の位置は、図9において符号Cで示される位置となる。当該位置は、符号Bで示される位置よりもz方向側の位置となっている。
【0071】
つまり、本実施形態では、挿通穴110のうち幅方向端部、すなわち熱膨張による歪が最も生じやすい部分において、チューブ700からの力を受ける接合部の位置が、符号Bで示される他の部分に比べてz方向側へと遠ざけられている。これにより、チューブ700から受ける力に起因して生じる歪みを、挿通穴110の幅方向端部において特に抑制することが可能となっている。
【0072】
本実施形態では、タンク300の内側における剛性部150の先端の位置が、第2平面部102や第3平面部103の内側表面の位置よりも低くなっている。つまり、剛性部150の先端のz座標が、第2平面部102等のz方向側表面のz座標よりも小さくなっている。第2平面部102や第3平面部103は、コアプレート100のうち、「剛性部150と重なっていない挿通穴110が形成されている平面部」ということができる。このような構成においては、コアプレート100を、金属板に対して複数回のプレス加工を施すことによって容易に形成することが可能となる。尚、上記における「第2平面部102や第3平面部103の内側表面の位置」とは、第2平面部102のうち、突出部120や挿通穴110が形成された部分を除く平坦面の位置、すなわち、z軸に対して垂直な平面部分の位置のことである。
【0073】
第2実施形態について、図12を参照しながら説明する。本実施形態では、コアプレート100の形状においてのみ第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、第1平面部101に形成された挿通穴110の数が1となっている。その結果、剛性部150は、最も境界部BD側となる位置に形成されている単一の挿通穴110と重なるように設けられている。例えば、熱交換器10に供給される2つの冷却水の温度差が小さく、コアプレート100において生じる歪みの大きさが小さい場合には、このような構成であっても歪みを十分に抑制することができる。このように、剛性部150と重なる挿通穴110の数は、冷却水の温度差やチューブ700の形状等に応じて、適宜調整すればよい。
【0075】
第3実施形態について、図13を参照しながら説明する。本実施形態では、コアプレート100の形状においてのみ第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0076】
本実施形態では、挿通穴110Aが2つ形成されており、これらがy方向に沿って並ぶように形成されている。それぞれの挿通穴110Aには、内部を冷却水の流れないダミーチューブ700Aが挿通され接合される。例えば、熱交換器10に供給される2つの冷却水の温度差が大きく、コアプレート100において生じる歪みの大きさが大きい場合には、このようにダミーチューブ700Aの本数を増やして、境界部BDを広く確保することが有効である。
【0077】
第4実施形態について、図14及び図15を参照しながら説明する。本実施形態では、コアプレート100の形状においてのみ第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0078】
図14は、本実施形態に係るコアプレート100を、図3と同様の視点で描いた図である。図15は、図14のXV-XV断面を示す図である。
【0079】
本実施形態では、1つの第1平面部101において3つの剛性部150が形成されており、これらがx方向に沿って並ぶように形成されている。これらのうち、x方向に沿った両側端部に配置された一対の剛性部150は、図3の第1実施形態と同じものであり、挿通穴110の幅方向における端部と重なっている。x方向に沿った中央となる位置に配置された剛性部150は、本実施形態において追加されたものであり、挿通穴110の幅方向における中央部分と重なっている。3つの剛性部150のそれぞれの形状は互いに同じである。
【0080】
このように、本実施形態では、剛性部150が、第1空間SP1側及び第2空間SP2側のそれぞれにおいて複数ずつ設けられている。これらのうち一部の剛性部150が、挿通穴110のうち幅方向に沿った端部と重なるように設けられている。このような態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。尚、挿通穴110のうち幅方向に沿った端部と重なるように設けられた剛性部150の数は適宜変更することができる。ただし、少なくとも1つの剛性部150が、挿通穴110のうち幅方向に沿った端部と重なるように設けられることが好ましい。
【0081】
第5実施形態について、図16及び図15を参照しながら説明する。本実施形態では、コアプレート100の形状においてのみ第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0082】
図16は、本実施形態に係るコアプレート100を、図3と同様の視点で描いた図である。図17は、図16のXVII-XVII断面を示す図である。
【0083】
本実施形態では、第1平面部101の略全体が、タンク300の内側に向けて凹状に後退しており、これにより剛性部150が形成されている。つまり、本実施形態の剛性部150は、複数の挿通穴110の全体と重なるように設けられている。このような態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
【0084】
本実施形態では、1つの第1平面部101に形成されている挿通穴110の数、すなわち、剛性部150と重なる挿通穴110の数は3となっている。このような態様に換えて、1つの第1平面部101に形成されている挿通穴110の数を、図12の第2実施形態のように1としてもよい。つまり、剛性部150が、単一の挿通穴110の全体と重なるように設けられている態様としてもよい。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0086】
10:熱交換器
100:コアプレート
110:挿通穴
150:剛性部
BD:境界部
300:タンク
SP1:第1空間
SP2:第2空間
700:チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17