(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20241106BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L21/60 311S
H01L21/92 602P
(21)【出願番号】P 2019154361
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-07-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】新開 寛之
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-69380(JP,A)
【文献】特開2019-140179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110339(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0138116(US,A1)
【文献】特開2003-338581(JP,A)
【文献】特開2019-102813(JP,A)
【文献】特開2019-50297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/60 -21/607
H01L23/12 -23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と、
前記配線層の上に配置され、かつ導電性を有する複数の接合層と、
前記配線層に対向する
第1裏面と、前記
第1裏面に設けられた複数のパッドと、を有するとともに、前記複数の接合層を介して前記配線層に接合された半導体素子と、を備え、
厚さ方向に視て、前記複数の接合層は、格子状に配列されており、かつ前記半導体素子と重なっており、
前記複数のパッドの各々は、前記半導体素子の内部に構成された回路と、前記複数の接合層のいずれかと、に導通しており、
前記厚さ方向に視て、前記複数のパッドの少なくともいずれかが前記複数の接合層から離れて
おり、
前記半導体素子は、前記第1裏面に配置され、かつ前記複数のパッドの各々の一部が露出する絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた再配線と、を有し、
前記再配線は、前記複数のパッドの少なくともいずれかにつながるとともに、前記複数の接合層の少なくともいずれかを介して前記配線層に接合されており、
前記厚さ方向に視て、前記複数の接合層の各々の外形の大きさは、前記半導体素子の中心から前記半導体素子の周縁に向かうにつれて徐々に大であり、
前記第1裏面に対向する主面を有する絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記厚さ方向において前記配線層に対して前記半導体素子とは反対側に位置しており、
前記配線層は、前記主面に配置された複数の本体部を有し、
前記複数の接合層の各々は、前記複数の本体部のいずれかの上に配置されており、
前記絶縁層は、前記主面から前記厚さ方向に貫通する複数の貫通部を有し、
前記配線層は、前記複数の貫通部に個別に収容された部分を含み、かつ前記複数の本体部のいずれかにつながるものを含む複数の基部を有し、
前記複数の基部の各々は、前記厚さ方向において前記主面とは反対側を向く底面と、前記複数の基部のいずれかの前記底面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向を向く露出部と、を有し
前記底面および前記露出部は、前記複数の貫通部のいずれかから露出しており、
複数の電子部品をさらに備え、
前記複数の電子部品の各々は、互いに離れた一対の電極を有し、
前記複数の電子部品の各々の前記一対の電極は、前記配線層との導通が確保された状態で前記配線層に接合されており、
封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記主面および前記配線層の双方に接するとともに、前記半導体素子、および前記複数の電子部品を覆っており、
前記複数の基部の各々の前記底面および前記露出部を個別に覆う複数の端子をさらに備え、
前記絶縁層は、前記厚さ方向において前記主面とは反対側を向く第2裏面を有し、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向に対して直交する方向において前記露出部と同じ側を向く側面を有し、
前記複数の端子は、前記第2裏面および前記側面の各々の一部を覆っている、半導体装置。
【請求項2】
前記再配線は、本体層、および複数のバンプ層を有し、
前記本体層は、前記複数のパッドの少なくともいずれかと、前記絶縁膜との双方に接しており、
前記複数のバンプ層は、前記本体層から前記厚さ方向に突出しており、
前記複数のバンプ層の各々は、前記複数の接合層のいずれかを介して前記配線層に接合されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子は、前記絶縁膜の上に設けられ、かつ前記回路との電気絶縁がなされたダミーパッドを有し、
前記ダミーパッドは、前記複数の接合層のいずれかを介して前記配線層に接合されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダミーパッドは、前記複数の接合層のうち、前記厚さ方向に視て前記半導体素子の中心に対して最外周に位置する前記複数の接合層のいずれかに対向している、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ダミーパッドは、前記複数の接合層のうち、前記厚さ方向に視て四隅に位置する4つの接合層のいずれかに対向している、請求項
4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線層は、前記複数の本体部のいずれかから前記厚さ方向に突出する複数のバンプ部を有し、
前記複数の接合層は、前記複数のバンプ部に対して個別に配置されている、請求項
1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記配線層は、前記複数の本体部のいずれかから前記厚さ方向に突出するものを含む複数の台座部を有し、
前記複数の電子部品の各々の前記一対の電極は、前記複数の台座部のうち、隣り合う2つの台座部に対して個別に接合されている、請求項
1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ実装型の半導体素子を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フリップチップ実装型の半導体素子を備える半導体装置の一例が開示されている。フリップチップ実装型の半導体素子は、裏面に設けられた複数のパッドを、ハンダバンプなどの複数の接合層を個別に介することによって配線層に接合される。
【0003】
フリップチップ実装型の半導体素子を配線層に接合させる際、複数の接合層は、当該半導体素子の複数のパッドに対して個別に配置されることが一般的である。このため、複数のパッドの配置分布に対応して、複数の接合層が配置されることとなる。
【0004】
特許文献1の
図5Aに示すように、複数のパッドの配置分布に不均一である場合、これに対応して複数の接合層の配置分布も不均一となる。ここで、半導体装置の使用の際、半導体素子から発せられた熱と、外気温の変化とに起因した熱応力が複数の接合層に作用する。複数の接合層の配置分布が不均一であると、当該複数の接合層の各々に作用する熱応力に差異が生じる。複数の接合層の配置分布が粗であるほど、当該熱応力の集中を来すこととなる。複数の接合層に作用する熱応力の集中が過度になると、当該複数の接合層の少なくともいずれかに亀裂が発生するおそれがある。当該接合層に亀裂が発生すると、半導体素子と配線層との導通が阻害されることが懸念される。したがって、当該複数の接合層に作用する熱応力の集中を低減する方策が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の事情に鑑み、配線層と半導体素子との間に介在する複数の接合層に作用する熱応力の集中を低減することが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される半導体装置は、配線層と、前記配線層の上に配置され、かつ導電性を有する複数の接合層と、前記配線層に対向する裏面と、前記裏面に設けられた複数のパッドと、を有するとともに、前記複数の接合層を介して前記配線層に接合された半導体素子と、を備え、厚さ方向に沿って視て、前記複数の接合層は、格子状に配列され、前記複数のパッドの各々は、前記半導体素子の内部に構成された回路と、前記複数の接合層のいずれかと、に導通し、前記厚さ方向に沿って視て、前記複数のパッドの少なくともいずれかが前記複数の接合層から離れて位置することを特徴としている。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の接合層は、前記半導体素子と重なっている。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記半導体素子は、前記裏面に配置され、かつ前記複数のパッドの各々の一部が露出する絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた再配線と、を有し、前記再配線は、前記複数のパッドの少なくともいずれかにつながるとともに、前記複数の接合層の少なくともいずれかを介して前記配線層に接合されている。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記再配線は、本体層、および複数のバンプ層を有し、前記本体層は、前記複数のパッドの少なくともいずれかと、前記絶縁膜との双方に接し、前記複数のバンプ層は、前記本体層から前記厚さ方向に突出し、前記複数のバンプ層の各々は、前記複数の接合層のいずれかを介して前記配線層に接合されている。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の接合層の各々の外形の大きさは、前記半導体素子の中心から前記半導体素子の周縁に向かうにつれて徐々に大である。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記半導体素子は、前記絶縁層の上に設けられ、かつ前記回路との電気絶縁がなされたダミーパッドを有し、前記ダミーパッドは、前記複数の接合層のいずれかを介して前記配線層に接合されている。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記ダミーパッドは、前記複数の接合層のうち、前記厚さ方向に沿って視て前記半導体素子の中心に対して最外周に位置する前記複数の接合層のいずれかに対向している。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記ダミーパッドは、前記複数の接合層のうち、前記厚さ方向に沿って視て四隅に位置する4つの当該接合層のいずれかに対向している。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記裏面に対向する主面を有する絶縁層をさらに備え、前記絶縁層は、前記厚さ方向において前記配線層に対して前記半導体素子とは反対側に位置し、前記配線層は、前記主面に配置された複数の本体部を有し、前記複数の接合層の各々は、前記複数の本体部のいずれかの上に配置されている。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記複数の本体部のいずれかから前記厚さ方向に突出する複数のバンプ部を有し、前記複数の接合層は、前記複数のバンプ部に対して個別に配置されている。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記絶縁層は、前記主面から前記厚さ方向に貫通する複数の貫通部を有し、前記配線層は、前記複数の貫通部に個別に収容された部分を含み、かつ前記複数の本体部のいずれかにつながるものを含む複数の基部を有し、前記複数の基部の各々は、前記厚さ方向において前記主面とは反対側を向き、かつ前記複数の貫通部のいずれかから露出する底面を有する。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、複数の端子をさらに備え、前記複数の端子は、前記複数の基部の前記底面を個別に覆っている。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の基部の各々は、前記複数の基部のいずれかの前記底面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向を向く側面を有し、前記複数の基部の各々の前記側面は、前記複数の貫通部のいずれかから露出する露出部を含む。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の端子の各々は、前記複数の基部のいずれかの前記底面を覆う底部と、当該底部につながる前記複数の基部のいずれかの前記露出部を覆う側部と、を有する。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、複数の電子部品をさらに備え、前記複数の電子部品の各々は、互いに離れて位置する一対の電極を有し、前記複数の電子部品の各々の前記一対の電極は、前記配線層との導通が確保された状態で前記配線層に接合されている。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記複数の本体部のいずれかから前記厚さ方向に突出するものを含む複数の台座部を有し、前記複数の電子部品の各々の前記一対の電極は、前記複数の台座部のうち、隣り合う2つの当該台座部に対して個別に接合されている。
【0023】
本発明の実施において好ましくは、封止樹脂をさらに備え、前記封止樹脂は、前記主面および前記配線層の双方に接し、かつ前記半導体素子、および前記複数の電子部品を覆っている。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる半導体装置によれば、配線層と半導体素子との間に介在する複数の接合層に作用する熱応力の集中を低減することが可能となる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図2】
図1に対応する平面図であり、半導体素子、複数の電子部品、および封止樹脂を透過している。
【
図10】
図1に示す半導体装置を構成する半導体素子の底面図である。
【
図12】
図1に示す半導体装置を構成する半導体素子の他の実施例にかかる底面図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線に沿う部分拡大断面図である。
【
図14】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図17】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図18】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図19】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図20】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図21】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図23】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図24】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図25】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図26】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図27】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図28】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図29】
図28に対応する平面図であり、半導体素子、複数の電子部品、および封止樹脂を透過している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1~
図13に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、絶縁層10、配線層20、複数の接合層39、半導体素子31、複数の電子部品32、封止樹脂40、および複数の端子50を備える。半導体装置A10は、配線基板に表面実装される樹脂パッケージ形式によりものである。ここで、
図1は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。
図2は、理解の便宜上、
図1に対して半導体素子31、および複数の電子部品32をさらに透過している。
図2において透過した半導体素子31、および複数の電子部品32を、それぞれ想像線(二点鎖線)で示している。
【0029】
半導体装置A10の説明においては、その便宜上、配線層20の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。
図1に示すように、半導体装置A10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。
【0030】
絶縁層10には、
図1~
図6に示すように、配線層20が配置されている。絶縁層10は、厚さ方向zにおいて配線層20に対して半導体素子31とは反対側に位置する。絶縁層10は、ポリイミドを含む材料からなる。この他の絶縁層10の材料として、ポリベンゾオキサゾール(PBO)を含む材料、フェノール樹脂を含む材料、ポリアミドおよびエポキシ樹脂を含む材料など、有機化合物を主体とする材料を採ることができる。絶縁層10は、主面101、裏面102、および複数の貫通部11を有する。
【0031】
図4~
図6に示すように、主面101および裏面102は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。主面101は、半導体素子31、および複数の電子部品32に対向している。裏面102は、半導体装置A10の外部に対して露出し、かつ半導体装置A10を実装する際、対象となる配線基板に対向する。複数の貫通部11は、主面101から裏面102に至って絶縁層10を厚さ方向zに貫通している。半導体装置A10においては、複数の貫通部11の各々は、その第2方向yの一方が開口している。
【0032】
配線層20は、
図2~
図6(ただし、
図3を除く。)に示すように、絶縁層10の主面101と、絶縁層10の複数の貫通部11とに配置されている。配線層20は、半導体素子31、および複数の電子部品32と、半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路の一部を構成している。
図7~
図9に示すように、配線層20は、下地層20Aおよび本体層20Bを含む。
【0033】
下地層20Aは、絶縁層10に接している。下地層20Aの一部は、絶縁層10の複数の貫通部11の各々に収容されている。下地層20Aは、絶縁層10に接するバリア層と、当該バリア層に積層されたシード層とから構成される。バリア層の組成は、チタン(Ti)を含む。シード層の組成は、銅(Cu)を含む。本体層20Bは、下地層20Aに積層されている。本体層20Bの一部は、複数の貫通部11の各々に収容されている。配線層20において、本体層20Bが主たる導電経路となる。本体層20Bの組成は、下地層20Aの当該シード層の組成と同一である。このため、本体層20Bの組成は、銅を含む。
【0034】
図2、
図5および
図6に示すように、配線層20は、複数の基部21、複数の本体部22、複数のバンプ部23、および複数の台座部24を有する。これらのうち、複数の基部21、複数の本体部22は、
図7~
図9に示すように、下地層20Aおよび本体層20Bから構成される。
【0035】
図2、
図5および
図6に示すように、複数の基部21は、絶縁層10の複数の貫通部11に対して個別に収容された部分と、絶縁層10の主面101から厚さ方向zに突出する部分とを含む。厚さ方向zに沿って視て、複数の基部21の各々の形状および大きさは、当該基部21の一部が収容された複数の貫通部11のいずれかの形状および大きさと等しい。
図9に示すように、複数の基部21の各々は、底面211および側面212を有する。底面211は、厚さ方向zにおいて主面101とは反対側を向き、かつ複数の貫通部11のいずれかから露出している。底面211は、厚さ方向zにおいて絶縁層10の裏面102に対して、主面101に近づく側に位置する。側面212は、複数の基部21のいずれかの底面211につながり、かつ厚さ方向zに対して直交する方向(半導体装置A10においては第1方向xおよび第2方向y)を向く。側面212は、複数の貫通部11のいずれかを規定する絶縁層10の表面に接している。複数の基部21の各々の側面212は、複数の貫通部11のいずれかにおいて、その第2方向yの一方が開口した部分から露出する露出部212Aを含む。
【0036】
図2~
図6(ただし、
図3を除く。)に示すように、複数の本体部22は、絶縁層10の主面101に配置されている。複数の本体部22のいくつかは、複数の基部21のいずれかにつながっている。
【0037】
図2、
図4、
図6および
図7に示すように、複数のバンプ部23の各々は、複数の本体部22のいずれかから厚さ方向zに突出している。半導体装置A10においては、複数のバンプ部23の各々は、複数の本体部22のいずれかに積層された銅層から構成される。なお、本構成は一例であり、複数のバンプ部23の各々は、複数の本体部22のいずれかと当該銅層との間に介在し、かつチタンおよび銅を組成に含む金属薄膜を含む構成でもよい。
図2に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数のバンプ部23は、格子状に配列されている。厚さ方向zに沿って視て、複数のバンプ部23の各々は、矩形状である。
【0038】
図2~
図8(ただし、
図3および
図7を除く。)に示すように、複数の台座部24の各々は、複数の基部21、および複数の本体部22のいずれかから厚さ方向zに突出している。半導体装置A10においては、複数の台座部24の各々は、複数の基部21、および複数の本体部22のいずれかに積層された銅層から構成される。なお、本構成は一例であり、複数の台座部24の各々は、複数の基部21、および複数の本体部22のいずれかと、当該銅層との間に介在し、かつチタンおよび銅を組成に含む金属薄膜を含む構成でもよい。
図2に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の台座部24の各々は、矩形状である。厚さ方向zに沿って視て、複数の台座部24の各々の面積は、複数のバンプ部23の各々の面積よりも大である。
【0039】
複数の接合層39は、
図2~
図8(ただし、
図3を除く。)に示すように、配線層20の複数のバンプ部23、および配線層20の複数の台座部24に対して個別に配置されている。このため、複数の接合層39は、配線層20の上に配置されている。複数の接合層39は、導電性を有する。半導体装置A10においては、複数の接合層39の各々は、複数のバンプ部23、および複数の台座部24のいずれかに積層されたニッケル(Ni)層と、当該ニッケル層に積層され、かつ錫(Sn)を組成に含む合金層とにより構成される。なお、本構成は一例であり、複数の接合層39の各々は、複数のバンプ部23、および複数の台座部24と、当該ニッケル層との間に介在し、かつチタンおよび銅を組成に含む金属薄膜を含む構成でもよい。
【0040】
図2、
図4および
図6に示すように、複数の接合層39は、複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392を含む。複数の第1接合層391は、配線層20の複数のバンプ部23に対して個別に配置されている。このため、複数の第1接合層391の各々は、配線層20の複数の本体部22のいずれかの上に配置されている。
図2に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の第1接合層391は、格子状に配列されている。厚さ方向zに沿って視て、複数のバンプ部23の各々は、円形状である。半導体装置A10においては、厚さ方向zに沿って視て、複数の第1接合層391の各々の外形の大きさは、いずれも実質的に等しい。複数の第2接合層392は、配線層20の複数の台座部24に対して個別に配置されている。
【0041】
半導体素子31は、
図4~
図7(ただし、
図5を除く。)に示すように、複数の第1接合層391を介して配線層20の複数のバンプ部23に接合されている。半導体素子31は、絶縁層10の主面101、および配線層20に対向している。半導体素子31は、フリップチップ実装型の素子である。半導体装置A10においては、半導体素子31は、LSIである。
【0042】
図10および
図11に示すように、半導体素子31は、裏面31A、複数のパッド311、複数のダミーパッド312、絶縁膜313および再配線314を有する。裏面31Aは、絶縁層10の主面101、および配線層20に対向している。複数のパッド311は、裏面31Aに設けられている。複数のパッド311の各々は、半導体素子31の内部に構成された回路(図示略)に導通している。複数のダミーパッド312は、絶縁膜313の上に設けられている。複数のダミーパッド312の各々は、複数のパッド311と異なり、当該回路との電気絶縁がなされている。絶縁膜313は、裏面31Aに配置されている。複数のパッド311、および複数のダミーパッド312の各々の一部が、絶縁膜313から露出している。絶縁膜313の材料の一例として、ポリイミド、またはポリベンゾオキサゾールを含む材料が挙げられる。再配線314は、絶縁膜313の上に設けられている。再配線314は、複数のパッド311の少なくともいずれかにつながっている。再配線314は、複数のダミーパッド312から離れて位置する。再配線314の組成は、銅を含む。
【0043】
図4~
図7(ただし、
図5を除く。)に示すように、再配線314は、複数の第1接合層391の少なくともいずれかを介して、配線層20の複数のバンプ部23の少なくともいずれかに接合されている。これにより、複数のパッド311の各々は、再配線314を介して複数の第1接合層391のいずれかと、当該第1接合層391が配置された複数のバンプ部23のいずれかとの双方に導通している。再配線314において、表層314Bが複数の第1接合層391のいずれかに接する。
【0044】
図12および
図13は、半導体素子31の他の実施例を示している。
図13に示すように、再配線314は、本体層314A、および複数のバンプ層314Bを有する。本体層314Aは、複数のパッド311の少なくともいずれかと、絶縁膜313との双方に接している。複数のバンプ層314Bは、本体層314Aから厚さ方向zに突出している。複数のバンプ層314Bと、複数のダミーパッド312には、複数の第1接合層391が個別に配置されている(
図12および
図13参照)。当該複数の第1接合層391は、配線層20の複数のバンプ部23に対して個別に配置された複数の第1接合層391に対し、追加で配置されたものである。複数のバンプ層314Bの各々は、複数の第1接合層391のいずれかを介して、配線層20の複数のバンプ部23の少なくともいずれかに接合されている。
【0045】
図1に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数のパッド311の少なくともいずれかは、複数の第1接合層391から離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、複数の第1接合層391は、半導体素子31と重なっている。
【0046】
図4~
図7(ただし、
図5を除く。)に示すように、複数のダミーパッド312の各々は、複数の第1接合層391のいずれかを介して、配線層20の複数のバンプ部23のいずれかに接合されている。このため、複数のダミーパッド312の各々は、複数の第1接合層391のいずれかに対向している。
図1および
図2に示すように複数のダミーパッド312のいずれかは、複数の第1接合層391のうち、厚さ方向zに沿って視て半導体素子31の中心C(厚さ方向zに沿って視て半導体素子31の周縁の対角線の交点)に対して最外周に位置する複数の第1接合層391のいずれかに対向している。複数のダミーパッド312のいずれかは、複数の第1接合層391のうち、厚さ方向zに沿って視て四隅に位置する4つの当該第1接合層391のいずれかに対向している。半導体装置A10においては、複数のダミーパッド312のうち、4つの当該ダミーパッド312が、4つの当該第1接合層391に対して個別に対向している。
【0047】
複数の電子部品32の各々は、
図2および
図5に示すように、配線層20の台座部24のうち、隣り合う2つの当該台座部24に搭載されている。複数の電子部品32は、表面実装型、かつチップ型である。複数の電子部品32の各々は、抵抗器、コンデンサおよびインダクタなどの受動素子、並びにダイオードのいずれかに該当する。半導体装置A10においては、複数の電子部品32のいずれかが抵抗器である場合は、厚膜(メタルグレーズ皮膜)型の抵抗器を想定している。あわせて、複数の電子部品32のいずれかがコンデンサである場合は、セラミックコンデンサを想定している。
【0048】
図1および
図5に示すように、複数の電子部品32の各々は、一対の電極321を有する。一対の電極321は、互いに離れて位置する。
図8に示すように、複数の電子部品32の一対の電極321の各々は、複数の第2接合層392のいずれかを介して、配線層20の複数の台座部24のいずれかに接合されている。これにより、複数の電子部品32の各々の一対の電極321は、複数の台座部24のうち、隣り合う2つの当該台座部24に対して個別に接合されている。したがって、複数の電子部品32の各々の一対の電極321は、配線層20との導通が確保された状態となっている。
【0049】
封止樹脂40は、
図4~
図6に示すように、絶縁層10の主面101、および配線層20の双方に接している。封止樹脂40は、半導体素子31、および複数の電子部品32を覆っている。封止樹脂40は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。
【0050】
複数の端子50は、
図3~
図6(ただし、
図4を除く。)に示すように、配線層20の複数の基部21の底面211を個別に覆っている。複数の端子50は、半導体装置A10の外部に対して露出している。複数の端子50の各々が、ハンダを介して配線基板に接合されることによって、半導体装置A10が当該配線基板に実装される。半導体装置A10においては、複数の端子50の各々は、複数の基部21のいずれかの底面211から近い順に、ニッケル層、パラジウム(Pd)層、金(Au)層の順に積層された複数の金属層から構成される。複数の端子50の各々のその他の構成として、複数の基部21のいずれかの底面211から近い順に、銅層、銀(Ag)層、錫層の順に積層された複数の金属層とすることができる。
【0051】
図9に示すように、複数の端子50の各々は、底部501および側部502を有する。底部501は、配線層20の複数の基部21のいずれかの底面211を覆っている。側部502は、複数の端子50のいずれかの底部501につながり、かつ当該底部501から厚さ方向zに延びている。複数の端子50の側部502の各々は、当該底面211につながる複数の基部21のいずれかの露出部212Aを覆っている。
【0052】
【0053】
最初に、
図14に示すように、基材80の厚さ方向zの一方側の表面に仮固定層801を塗布する。基材80は、ガラス板である。基材80は、ガラス板の他、シリコンウエハでもよい。仮固定層801は、有機化合物を含む材料からなる。
【0054】
次いで、
図15に示すように、仮固定層801の全体を覆う剥離層802を形成する。剥離層802は、仮固定層801に接し、かつチタンからなる金属薄膜と、当該金属薄膜に積層され、かつ銅からなる金属薄膜とからなる。剥離層802は、スパッタリング法によりこれらの金属薄膜をそれぞれ成膜することによって形成される。
【0055】
次いで、
図16に示すように、剥離層802を覆う絶縁層81を形成する。絶縁層81は、厚さ方向zにそれを貫通する複数の貫通部811を有する。絶縁層81は、感光性ポリイミドを含む材料からなる。絶縁層81は、スピンコータなどを用いて当該材料を剥離層802の全体に塗布した後、当該材料に対してリソグラフィパターニングを施すことにより形成される。これにより、絶縁層81には、複数の貫通部811が形成された状態となる。複数の貫通部811から、剥離層802の一部が露出する。
【0056】
次いで、
図17~
図19に示すように、絶縁層81と、絶縁層81の複数の貫通部811から露出する剥離層802の一部との上面に、配線層82を形成する。配線層82を形成する工程は、
図17に示す下地層82Aを形成する工程と、
図17に示す複数の本体層82Bを形成する工程と、
図18に示す複数のバンプ部23、および複数の台座部24を形成する工程とを含む。
【0057】
まず、
図17に示すように、絶縁層81と、絶縁層81の複数の貫通部811から露出する剥離層802の一部とを覆う下地層82Aを形成する。下地層82Aは、絶縁層81と、絶縁層81の複数の貫通部811から露出する剥離層802の一部との全体にバリア層をスパッタリング法により成膜させた後、当該バリア層の全体にシード層をスパッタリング法により成膜させることにより形成される。当該バリア層は、厚さが100nm~300nmのチタンからなる。当該シード層は、厚さが200nm~600nmの銅からなる。
【0058】
次いで、
図18に示すように、下地層82Aの上面に複数の本体層82Bを形成する。複数の本体層82Bは、銅からなる。複数の本体層82Bは、下地層82Aの上面にリソグラフィパターニングを施した後、下地層82Aを導電経路とした電解めっきにより形成される。本工程を経ることにより、絶縁層81の複数の貫通部811の各々は、下地層82Aと、複数の本体層82Bのいずれかとにより埋め尽くされた状態となる。
【0059】
次いで、
図19に示すように、複数の本体層82Bの上に複数のバンプ部23、および複数の台座部24を形成する。複数のバンプ部23、および複数の台座部24は、下地層82A、および複数の本体層82Bの上にリソグラフィパターニングを施した後、下地層82A、および複数の本体層82Bを導電経路とした電解めっきにより銅層を析出させることで形成される。他の手法として、複数のバンプ部23、および複数の台座部24は、当該リソグラフィパターニングを施した後、下地層82Aと同一の構成の金属薄膜をスパッタリング法により当該リソグラフィパターニングの全体に成膜し、当該金属薄膜を導電経路とした電解めっきにより銅層を析出させることで形成してもよい。複数のバンプ部23、および複数の台座部24の周囲に位置し、かつ当該リソグラフィパターニングの上面に積層された当該金属薄膜および当該銅層は、リフトオフにより当該リソグラフィパターニングとともに除去される。本工程を経ることにより、配線層82の形成が完了する。
【0060】
次いで、
図20に示すように、複数のバンプ部23の上面に対して、複数の第1接合層391を個別に形成する。あわせて、複数の台座部24の上面に対して、複数の第2接合層392を個別に形成する。複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392の形成にあたっては、まず、配線層82に対してリソグラフィパターニングを施す。これにより、当該リソグラフィパターニングから複数のバンプ部23、および複数の台座部24の各々の一部が露出する。次いで、配線層82を導電経路とした電解めっきにより、複数のバンプ部23、および複数の台座部24の各々の上面にニッケル層、および錫を含む合金層をこの順で形成する。最後に、当該リソグラフィパターニングを除去する。これにより、複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392の形成が完了する。他の手法として、複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392は、当該リソグラフィパターニングを施した後、以下の手順によっても形成することができる。まず、下地層82Aと同一の構成の金属薄膜をスパッタリング法により当該リソグラフィパターニングの全体に成膜する。次いで、当該金属薄膜を導電経路とした電解めっきにより、当該金属薄膜の上にニッケル層、および錫を含む合金層をこの順で形成する。最後に、リフトオフにより当該リソグラフィパターニングと、これの上面に積層された当該金属薄膜、当該ニッケル層および当該合金層とを除去する。
【0061】
次いで、
図21に示すように、下地層82Aの一部を除去する。下地層82Aの除去対象は、複数の本体層82Bが積層されていない部分である。下地層82Aは、硫酸(H
2SO
4)および過酸化水素(H
2O
2)の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。絶縁層81の上面に積層され、かつ残存した下地層82Aと、これに積層された複数の本体層82Bの一部とが、半導体装置A10の配線層20の複数の本体部22となる。
【0062】
次いで、
図22に示すように、半導体素子31を、複数の第1接合層391を介して複数のバンプ部23に接合する。あわせて、複数の電子部品32を、複数の第2接合層392を介して複数の台座部24に接合する。半導体素子31は、フリップチップボンディングにより複数のバンプ部23に接合される。まず、複数の電子部品32の一対の電極321の各々を、複数の第2接合層392のいずれかに仮付けする。次いで、コレットを用いて、半導体素子31の再配線314、および半導体素子31の複数のダミーパッド312を、複数の第1接合層391に対して個別に仮付けする。次いで、複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392をリフローにより溶融させる。最後に、溶融した複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392を冷却により固化させる。これにより、複数のバンプ部23に対する半導体素子31の接合と、複数の台座部24に対する複数の電子部品32の接合とが、ともに完了する。
【0063】
次いで、
図23に示すように、絶縁層81および配線層82の双方に接する封止樹脂83を形成する。封止樹脂83は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。封止樹脂83は、コンプレッション成型により形成される。本工程を経ることにより、半導体素子31、および複数の電子部品32が封止樹脂83に覆われた状態となる。
【0064】
次いで、
図24に示すように、厚さ方向zを向く封止樹脂83の表面にテープ84を貼り付けた後、基材80および仮固定層801を除去する。まず、封止樹脂83の当該表面にテープ84を貼り付ける。テープ84は、ダイシングテープである。テープ84は、厚さ方向zにおいて封止樹脂83に対して絶縁層81および配線層82とは反対側に位置する。次いで、基材80にレーザを照射する。これにより、基材80と仮固定層801との接合が弱くなり、仮固定層801から基材80を剥がすことができる。最後に、仮固定層801にプラズマを照射することにより、剥離層802に付着した仮固定層801が除去される。
【0065】
次いで、
図25に示すように、剥離層802を除去する。剥離層802は、硫酸および過酸化水素の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、配線層82の一部が絶縁層81から視認できる。
【0066】
次いで、
図26に示すように、絶縁層81と、絶縁層81の複数の貫通部811に位置する配線層82と、封止樹脂83の一部とを、第1方向xおよび第2方向yの双方向に沿った格子状に切断することにより、複数の個片に分割する。切断には、ダイシングブレードなどが用いられる。ただし、本工程においては、テープ84は切断されない。このため、隣り合う2つの当該個片との間には、溝Gが形成される。本工程を経ることにより、当該個片となった絶縁層81および封止樹脂83が、それぞれ半導体装置A10の絶縁層10および封止樹脂40となる。あわせて、当該個片となった絶縁層81の複数の貫通部811に位置する配線層82が、半導体装置A10の配線層20の複数の基部21となる。本工程を経ることにより、複数の基部21の露出部212Aが、封止樹脂40から視認できる。
【0067】
最後に、
図27に示すように、配線層20の複数の基部21の各々の一部を個別に覆う複数の端子50を形成する。複数の端子50は、無電解めっきにより形成される。以上の工程を経ることにより、半導体装置A10が製造される。
【0068】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0069】
半導体装置A10は、配線層20と、配線層20の上に配置され、かつ導電性を有する複数の接合層(複数の第1接合層391)と、裏面31Aに設けられた複数のパッド311を有し、かつ複数の接合層を介して配線層20に接合された半導体素子31とを備える。複数のパッド311は、半導体素子31の内部に構成された回路と、複数の接合層のいずれかとに導通する。
図1に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数のパッド311の少なくともいずれかが複数の接合層から離れて位置する。すなわち、複数のパッド311の配置分布にかかわらず、複数の接合層は、均等間隔をもった格子状に配列されたものとなる。これにより、半導体装置A10の使用の際、半導体素子31から発生する熱に伴う複数の接合層の熱分布が、より均一化されたものとなる。したがって、半導体装置A10によれば、配線層20と半導体素子31との間に介在する複数の接合層に作用する熱応力の集中を低減することが可能となる。
【0070】
半導体素子31は、裏面31Aに配置され、かつ複数のパッド311の各々の一部が露出する絶縁膜313と、絶縁膜313の上に設けられた再配線314とを有する。再配線314は、複数のパッド311の少なくともいずれかにつながるとともに、複数の接合層の少なくともいずれかを介して配線層20に接合されている。これにより、
図1に示すように、半導体装置A10において、厚さ方向zに沿って視て、複数のパッド311のいずれかが複数の接合層から離れて位置する場合であっても、当該パッド311は、再配線314を介すことによって複数の接合層のいずれかと導通をなすことができる。
【0071】
半導体素子31は、裏面31Aに設けられ、かつ半導体素子31の内部に構成された回路との電気絶縁がなされたダミーパッド312を有する。ダミーパッド312は、複数の接合層のいずれかを介して配線層20に接合されている。これにより、複数のパッド311と、複数の接合層とのそれぞれの配置形態を考慮して設けられる再配線314の複雑化を緩和することができる。
【0072】
ダミーパッド312は、複数の接合層のうち、厚さ方向zに沿って視て半導体素子31の中心C(
図2参照)に対して最外周に位置する複数の接合層のいずれかに対向している。複数の接合層の各々に作用する熱応力は、厚さ方向zに沿って視て半導体素子31の中心Cから遠ざかるにつれて徐々に大きくなることが知られている。さらに、ダミーパッド312は、半導体素子31と配線層20との導通に寄与しない。これにより、複数の接合層に作用する熱応力に対して、比較的大きな熱応力が作用する当該接合層にダミーパッド312が接合されることとなるため、万一、当該接合層に熱応力に起因した亀裂が発生しても、半導体素子31と配線層20との導通阻害を回避することができる。
【0073】
ダミーパッド312は、複数の接合層のうち、厚さ方向zに沿って視て四隅に位置する4つの当該接合層のいずれかに対向している。複数の接合層に作用する熱応力に対して、4つの当該接合層の各々に作用する熱応力がとりわけ大きいことが知られている。これにより、とりわけ大きな熱応力が作用する当該接合層にダミーパッド312が接合されることとなるため、半導体素子31と配線層20との導通阻害を、より効果的に回避することができる。
【0074】
配線層20は、複数の本体部22のいずれかから厚さ方向zに突出する複数のバンプ部23を有する。複数の接合層は、複数のバンプ部23に対して個別に配置されている。これにより、
図22に示す半導体装置A10の製造工程において、リフローにより複数の接合層が溶融した際、溶融した複数の接合層の各々には、当該接合層が配置された複数のバンプ部23のいずれかの周縁において表面張力が発生する。したがって、溶融した複数の接合層が複数の本体部22に侵入することを防止できる。
【0075】
半導体装置A10は、一対の電極321を有する複数の電子部品32をさらに備える。配線層20は、複数の本体部22のいずれかから厚さ方向zに突出するものを含む複数の台座部24を有する。複数の電子部品32の各々の一対の電極321は、複数の台座部24のうち、隣り合う2つの当該台座部24に対して個別に接合されている。これにより、半導体素子31に入力される電気信号の電圧調整などを、複数の電子部品32が担うことができる。したがって、半導体装置A10とともに配線基板に実装される電子部品の数を削減することができる。
【0076】
半導体装置A10は、厚さ方向zにおいて配線層20に対して半導体素子31とは反対側に位置する絶縁層10をさらに備える。絶縁層10は、厚さ方向zに貫通する複数の貫通部11を有する。配線層20は、複数の貫通部11に対して個別に収容された部分を含む複数の基部21を有する。複数の基部21の各々は、底面211および側面212を有する。複数の基部21の各々の側面212は、複数の貫通部11のいずれかから露出する露出部212Aを含む。半導体装置A10は、複数の基部21の底面211を個別に覆う複数の端子50をさらに備える。複数の端子50は、複数の基部21のいずれかの底面211を覆う底部501と、当該底面211につながる複数の基部21のいずれかの露出部212Aを覆う側部502とを有する。これにより、半導体装置A10をハンダにより配線基板に実装する際、複数の端子50の各々において、当該ハンダが底部501のみならず側部502にも付着する。したがって、当該配線基板に対する半導体装置A10の実装強度を向上させることができる。
【0077】
〔第2実施形態〕
図28~
図32に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図28は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。
図29は、理解の便宜上、
図28に対して半導体素子31、および複数の電子部品32をさらに透過している。
図29において透過した半導体素子31、および複数の電子部品32を、それぞれ想像線で示している。
【0078】
半導体装置A20においては、複数の接合層39に含まれる複数の第1接合層391の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0079】
図29、
図30および
図32に示すように、半導体装置A20においては、厚さ方向zに沿って視て、複数の第1接合層391の各々の外形の大きさは、半導体素子31の中心Cから半導体素子31の周縁に向かうにつれて徐々に大である。
図29および
図31に示すように、複数の第1接合層391のうち、厚さ方向zに沿って視て半導体素子31の中心Cに対して最外周に位置する複数の第1接合層391の各々の外形の大きさは、いずれも実質的に等しい。
【0080】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0081】
半導体装置A20は、配線層20と、配線層20の上に配置され、かつ導電性を有する複数の接合層(複数の第1接合層391)と、裏面31Aに設けられた複数のパッド311を有し、かつ複数の接合層を介して配線層20に接合された半導体素子31とを備える。複数のパッド311は、半導体素子31の内部に構成された回路と、複数の接合層のいずれかとに導通する。
図28に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数のパッド311の少なくともいずれかが複数の接合層から離れて位置する。したがって、半導体装置A20によっても、配線層20と半導体素子31との間に介在する複数の接合層に作用する熱応力の集中を低減することが可能となる。
【0082】
半導体装置A20においては、厚さ方向zに沿って視て、複数の接合層の各々の外形の大きさは、半導体素子31の中心C(
図29参照)から半導体素子31の周縁に向かうにつれて徐々に大である。複数の接合層の各々に作用する熱応力は、厚さ方向zに沿って視て半導体素子31の中心Cから遠ざかるにつれて徐々に大きくなることが知られている。したがって、このような構成をとることにより、複数の接合層の各々に作用する熱応力の均一化を、より効果的に図ることができる。
【0083】
本発明は、先述した半導体装置A10および半導体装置A20に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0084】
A10,A20:半導体装置
10:絶縁層
101:主面
102:裏面
11:貫通部
20:配線層
20A:下地層
20B:本体層
21:基部
211:底面
212:側面
212A:露出部
22:本体部
23:バンプ部
24:台座部
31:半導体素子
31A:裏面
311:パッド
312:ダミーパッド
313:絶縁膜
314:再配線
314A:本体層
314B:バンプ層
32:電子部品
321:電極
39:接合層
391:第1接合層
392:第2接合層
40:封止樹脂
50:端子
501:底部
502:側部
C:中心
80:基材
801:仮固定層
802:剥離層
81:絶縁層
811:貫通部
82:配線層
82A:下地層
82B:本体層
83:封止樹脂
84:テープ
G:溝
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向