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特許7582786磁気粘性流体の定量抜き取り装置、磁気粘性流体の注入装置、および磁気粘性流体の注入方法
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  • 特許-磁気粘性流体の定量抜き取り装置、磁気粘性流体の注入装置、および磁気粘性流体の注入方法 図1
  • 特許-磁気粘性流体の定量抜き取り装置、磁気粘性流体の注入装置、および磁気粘性流体の注入方法 図2
  • 特許-磁気粘性流体の定量抜き取り装置、磁気粘性流体の注入装置、および磁気粘性流体の注入方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】磁気粘性流体の定量抜き取り装置、磁気粘性流体の注入装置、および磁気粘性流体の注入方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 37/00 20060101AFI20241106BHJP
   H01F 1/44 20060101ALI20241106BHJP
   B65B 3/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65B37/00
H01F1/44 170
B65B3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020047524
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021147073
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】上嶋 優矢
(72)【発明者】
【氏名】辻 仁志
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-135105(JP,A)
【文献】特開2018-162084(JP,A)
【文献】特開2005-008282(JP,A)
【文献】特開2002-112742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 37/00
H01F 1/44
B65B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気粘性流体の定量抜き取り装置と、
取出容器内に流入した規定量の磁気粘性流体をデバイスに注入する注入手段と、
を備え
前記定量抜き取り装置は、
磁気粘性流体が入る容器と、
前記容器の一部に形成された排出穴と、
前記排出穴から排出される磁気粘性流体が規定量流入するように設けられた前記取出容器と、
前記排出穴から前記取出容器への流路を開閉する弁と、
前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入することを促す流入促進手段と、
を有し、
前記注入手段は、前記取出容器から前記デバイスへの流路を開閉する開閉弁を有し、
前記弁、前記開閉弁および前記取出容器はそれぞれ別体であり、前記取出容器は前記流路を開閉する弁として機能しない、
ことを特徴とする磁気粘性流体の注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気粘性流体の注入装置において、
前記取出容器は、筒部を有し、
前記流入促進手段は、前記筒部内に移動可能に嵌め込まれたピストンを用いて構成され、前記ピストンが前記容器から離れる方向に移動するとき、その移動量に応じて前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入するように構成されている、
ことを特徴とする磁気粘性流体の注入装置
【請求項3】
請求項1に記載の磁気粘性流体の注入装置において、
前記取出容器は、筒部を有し、
前記流入促進手段は、前記筒部内に回転可能に挿入された螺旋羽根を用いて構成され、前記螺旋羽根が一方に回転するとき、その回転量に応じて前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入するように構成されている、
ことを特徴とする磁気粘性流体の注入装置
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の磁気粘性流体の注入装置において、
前記容器内の磁気粘性流体を撹拌する撹拌装置を更に備えることを特徴とする磁気粘性流体の注入装置
【請求項5】
磁気粘性流体が入った容器と、前記容器の一部に形成された排出穴と、前記排出穴から排出される磁気粘性流体が規定量流入するように設けられた取出容器と、前記排出穴から前記取出容器への流路を開閉する弁と、前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入することを促す流入促進手段と、を備える磁気粘性流体の定量抜き取り装置を用い、前記容器から規定量の磁気粘性流体を取り出してデバイスに充填する方法であって、
前記弁を開くとともに、前記流入促進手段を用いて前記容器内から規定量の磁気粘性流体を前記取出容器内に流入させる流入工程と、
前記取出容器に前記規定量の磁気粘性流体が流入した後、前記弁を閉じる閉弁工程と、
前記閉弁工程の後、前記取出容器から前記デバイスへの流路を開閉する開閉弁を開いて、前記取出容器内に流入した全ての磁気粘性流体をデバイスに注入する注入工程と、
を含み、
前記弁、前記開閉弁および前記取出容器はそれぞれ別体であり、前記取出容器は前記流路を開閉する弁として機能しない、ことを特徴とする磁気粘性流体の注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気粘性流体を用いるデバイス(以下「MRデバイス」ともいう。)へ磁気粘性流体(以下「MR流体」ともいう。)を注入する装置、MRデバイスへMR流体を注入する方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
MR流体は、印加する磁場の強弱に応じて粘性を変化させる機能性流体である。このMR流体を用いたデバイスによれば、MR流体を用いないデバイスでは実現困難な様々な動作、制御等が実現可能となる。
【0003】
MR流体は、鉄等の磁性粒子をオイル等の分散媒に分散させた流体で、同じ強さの磁場を印加してもMR流体に含まれる磁性粒子の割合が大きいほど高い粘性を発現し、MR流体に含まれる磁性粒子の割合が小さいほど低い粘性を発現する。したがって、MRデバイスに設計通りの性能を発揮させるためには、MRデバイスに使用するMR流体中の磁性粒子の割合(以下「磁性粒子含有率」ともいう。)を設計上の要求値に合せることが重要となる。
【0004】
一般に、MRデバイスが小型で、そのMRデバイスに注入するMR流体が極少量(例えば0.1ml)である場合、ディスペンサを使用することでMR流体をMRデバイスに効率的に注入することができる。
【0005】
例えば特許文献1に開示されたMR流体の注入方法では、磁性粒子含有率が設計上の要求値となったMR流体が入ったシリンジ内を撹拌しながら、シリンジ内の空気を加減圧することで、ほぼ一定量のMR流体を吐出し、吐出したMR流体をMRデバイスに注入するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-162084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記ディスペンサは、シリンジ内の空気を加圧する時間と減圧する時間を制御することで、ほぼ一定量のMR流体を吐出するようにしているが、シリンジ内のMR流体の量と空気の量の比率が一定していないため、MR流体の吐出量にバラつきが生じてしまう。すなわち、シリンジ内では、MR流体が排出されることにより、MR流体の液面が低下し、シリンジ内で空気の割合が多くなる。そして、シリンジ内の空気の量の割合が大きくなると、MR流体の吐出量の制御が難しくなり、吐出量にバラつきが生じるようになる。そして、MRデバイスに対するMR流体の注入量にバラつきが生じると、注入量が規定量よりも少ない場合は、MRデバイスの性能を十分に発揮できないおそれがあり、注入量が規定量よりも多い場合は、注入時にMR流体の一部がMRデバイスに収まり切れず溢れ出て無駄になってしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、容器に入ったMR流体から毎回同じ量のMR流体をMRデバイスに注入するための装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置は、磁気粘性流体が入る容器と、前記容器の一部に形成された排出穴と、前記排出穴から排出される磁気粘性流体が規定量流入するように設けられた取出容器と、前記排出穴から前記取出容器への流路を開閉する弁と、前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入することを促す流入促進手段と、を備える。
【0010】
かかる構成を備える磁気粘性流体の定量抜き取り装置によれば、容器から毎回同じ規定量の磁気粘性流体を取出容器内に抜き取ることができるため、抜き取った磁気粘性流体をMRデバイスに注入することで、毎回同じ規定量の磁気粘性流体をMRデバイスに注入することができる。
【0011】
本発明の第2態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置は、第1態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置において、前記取出容器は、筒部を有し、前記流入促進手段は、前記筒部内に移動可能に嵌め込まれたピストンを用いて構成される。前記ピストンが前記容器から離れる方向に移動するとき、その移動量に応じて前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入するように構成されている。
【0012】
本発明の第3態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置は、第1態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置において、前記取出容器は、筒部を有し、前記流入促進手段は、前記筒部内に回転可能に挿入された螺旋羽根を用いて構成される。前記螺旋羽根が一方に回転するとき、その回転量に応じて前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入するように構成されている。
【0013】
本発明の第4態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置は、第1態様~第3態様の何れか1態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置において、前記容器内の磁気粘性流体を撹拌する撹拌装置を更に備える。
【0014】
本発明の第5態様に係る磁気粘性流体の注入装置は、第1態様~第4態様の何れか1態様に係る磁気粘性流体の定量抜き取り装置と、前記取出容器内に流入した規定量の磁気粘性流体をデバイスに注入する注入手段と、を備える。
【0015】
本発明の第6態様に係る磁気粘性流体の注入方法は、磁気粘性流体が入った容器と、前記容器の一部に形成された排出穴と、前記排出穴から排出される磁気粘性流体が規定量流入するように設けられた取出容器と、前記排出穴から前記取出容器への流路を開閉する弁と、前記容器内の磁気粘性流体が前記取出容器内に流入することを促す流入促進手段と、を備える磁気粘性流体の定量抜き取り装置を用い、前記容器から規定量の磁気粘性流体を取り出してデバイスに充填する方法であって、前記弁を開くとともに、前記流入促進手段を用いて前記容器内から規定量の磁気粘性流体を前記取出容器内に流入させる流入工程と、前記取出容器に前記規定量の磁気粘性流体が流入した後、前記弁を閉じる閉弁工程と、前記閉弁工程の後、前記取出容器内に流入した全ての磁気粘性流体をデバイスに注入する注入工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、毎回同じ規定量のMR流体を容器から取り出してMRデバイスに注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るMR流体の注入装置を示す断面図である。
図2】上記MR流体の注入装置を用いてMR流体をMRデバイスに注入する方法の工程図である。
図3】他の形態に係る流入促進手段を採用したMR流体の注入装置を用いてMR流体をMRデバイスに注入する方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るMR流体の定量抜き取り装置、MR流体の注入装置、およびMR流体の注入方法について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、MR流体の定量抜き取り装置は、MR流体の注入装置の一部を構成している。また、MR流体の注入方法は、MR流体の注入装置を用いて実施される。
【0019】
図1に示すように、MR流体の注入装置1(以下、単に「注入装置1」という。)は、定量抜き取り装置2と、注入手段3とで主に構成されている。定量抜き取り装置2は、容器6、取出容器7、弁8、流入促進手段9、撹拌装置10および圧力調整装置11を備えている。
【0020】
容器6には、MR流体が入っている。容器6の形状は特に限定されないが、例えば図1に示すように、有底筒状とすることができる。この容器6には、排出穴13が形成されている。容器6内のMR流体は、排出穴13から流出し、後述する取出容器7内に流入可能になっている。本実施形態では、排出穴13は、容器6の側部に形成されているが、排出穴13が形成される位置は側部に限定されず、容器6の別の位置の側部や、容器6の下部に形成されていてもよい。図1に例示する容器6は、上端部にフランジ部6aが形成されている。フランジ部6aの上面に蓋材14が密着固定され、容器6の内外で空気が出入りしないようにシールされる。なお、容器6は、保持具15上に保持されている。
【0021】
取出容器7は、容器6の排出穴13から排出されるMR流体が流入するように設置されている。取出容器7には、一定量(MRデバイス24に注入すべきMR流体の規定量)だけMR流体が流入する。本実施形態では、取出容器7は、筒部7aを有する。具体的には、取出容器7は、有底円筒形に形成されている。図1に例示する取出容器7は、容器6の側部から水平方向に延出しているが、延出方向はこれに限定されず、斜め上方又は斜め下方に延出していてもよい。また、容器6の下部に排出穴13が形成されている場合は、取出容器7は、容器6の下部から下方に延出していてもよい。
【0022】
弁8は、排出穴13から取出容器7への流路を開閉する。なお、図1および図2では、理解し易いように模式化した長方形の弁体が上下動する様子を描いているが、この弁8が、特定の種類や構造のものに限定される訳ではない。
【0023】
流入促進手段9は、容器6内のMR流体16が取出容器7内に流入することを促すものである。本実施形態における流入促進手段9は、筒部7a内に移動可能に嵌め込まれたピストン18を用いて構成されている。ピストン18は、所定の2つの位置の間で移動可能である。ピストン18は、容器6から離れる方向に移動するとき、その移動量に応じて容器6内のMR流体16が取出容器7内に流入する。ピストン18が最も容器6に近い位置から最も容器6から離れる位置まで移動するとき、MRデバイス24に注入すべき規定量のMR流体16が容器6から取出容器7内に流入する。ピストン18を移動させる力の種類、形態等は特に限定されないが、本実施形態ではピストン18にロッド23が連結されており、ロッド23に外力が付与されることでピストン18が移動される。なお、流入促進手段9がピストン18等を用いて構成される場合、ピストン18の移動を円滑にするために、ピストン18の背面側の圧力を大気圧とする通気孔7bを取出容器7に設けることが望ましい。
【0024】
撹拌装置10は、図1に示すように、容器6内に配設された撹拌翼19と、この撹拌翼19をシャフト20を介して回転させるモータ21とで構成されている。
【0025】
圧力調整装置11は、容器6と蓋材14とで囲まれた空間の圧力を調整する。本実施形態では、圧力調整装置11は、蓋材14を貫通して設けられた空気配管22を介して容器6内の空気圧を加減圧することにより、容器6内の圧力を調整する。
【0026】
注入手段3は、取出容器7内に流入した規定量のMR流体16をMRデバイス24に注入するために設けられている。本実施形態では、注入手段3として、基端部が取出容器7内に連通した注入配管25と、注入配管25内の流路を開閉する開閉弁26と、取出容器7内に圧縮空気を送給する圧縮空気送給手段27とが設けられている。なお、注入手段3は、取出容器7内に流入した規定量のMR流体16をMRデバイス24に注入するものであればよく、上記注入配管25、開閉弁26および圧縮空気送給手段27からなるものに限定されない。
【0027】
次に、上記構成を備える注入装置1(定量抜き取り装置2)を用いて、容器6から規定量のMR流体16を取り出してMRデバイス24に注入する方法について説明する。なお、容器6には予め磁性粒子含有率が規定値(MRデバイス24の設計上の要求値)のMR流体16が充填されているものとする。
【0028】
先ず、準備工程として、図1および図2(a)に示すように、弁8および開閉弁26が閉鎖し、ピストン18が最も容器6に近い位置に配置された状態で、撹拌装置10を駆動して容器6内のMR流体16を撹拌する。この撹拌により、磁性粒子の沈降が防止され、容器6内の何れの場所でも均一な密度が形成される。また、圧力調整装置11によって容器6の上部の空気溜まりを加圧して大気圧より若干高圧にすることが望ましい。容器6内を加圧しておくことで、後に行われる容器6内から取出容器7へのMR流体16の流れを促進することができる。
【0029】
次に、図2(b)に示すように、弁8を開いて排出穴13から取出容器7への流路を開放し、図2(c)に示すように、流入促進手段9を用いて容器6内からMR流体16を取出容器7内に流入させる。具体的には、最も容器6に近い位置にあるピストン18を最も容器6から離れる位置まで移動させることにより、容器6内からMR流体16を取出容器7内に流入させる。
【0030】
次に、図2(d)に示すように、弁8を閉じて排出穴13から取出容器7への流路を閉塞し、取出容器7内に上記規定量のMR流体16を閉じ込める。
【0031】
最後に、注入手段3を用いて、取出容器7内に閉じ込めた全ての(上記規定量の)MR流体16をMRデバイス24に注入する。本実施形態では、開閉弁26を開き、圧縮空気送給手段27により、取出容器7内に圧縮空気を送給することで、取出容器7内の全てのMR流体16が注入配管25から排出され、排出された規定量のMR流体16がMRデバイス24に注入されることとなる。
【0032】
<流入促進手段の他の形態>
図3に流入促進手段9の他の形態を示す。同図に示す流入促進手段9は、筒部7a内に回転可能に挿入された螺旋羽根31を用いて構成されている。螺旋羽根31が一方に回転するとき、その回転量に応じて容器6内のMR流体16が取出容器7内に流入する。螺旋羽根31が一方に所定の回転量以上回転すると、MRデバイス24に注入すべき規定量のMR流体16が取出容器7内に流入する。なお、螺旋羽根31を回転させる力の種類、形態等は特に限定されないが、本実施形態では螺旋羽根31は、回転軸32の周囲に設けられており、回転軸32に回転外力が付与されることで螺旋羽根31が回転される。流入促進手段9が上記のように螺旋羽根31等を用いて構成される場合、既述した通気孔7bを設ける代わりに、取出容器7内に連通した通気管33と通気管33内の流路を開閉する通気開閉弁34を設けることが望ましい。
【0033】
上記他の形態に係る流入促進手段9を備える注入装置1(定量抜き取り装置2)を用いて、容器6から規定量のMR流体16を取り出してMRデバイス24に注入する場合、先ず、準備工程として、図3(a)に示すように、弁8および開閉弁26を閉鎖し、通気開閉弁34を開いた状態で、撹拌装置10を駆動して容器6内のMR流体16を撹拌する。また、圧力調整装置11によって容器6の上部の空気溜まりを加圧して大気圧より若干高圧にすることが望ましい。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、弁8を開いて排出穴13から取出容器7への流路を開放し、螺旋羽根31を一方に回転させることで、容器6内からMR流体16を取出容器7内に流入させる。螺旋羽根31が一方に所定回転量以上回転すると、図3(c)に示すように、取出容器7内がMR流体16で満たされる。そして、図3(d)に示すように、弁8を閉じて排出穴13を閉塞し、取出容器7内に上記規定量のMR流体16を閉じ込める。
【0035】
最後に、注入手段3を用いて、取出容器7内に閉じ込めた全ての(上記規定量の)MR流体16をMRデバイス24に注入する。本実施形態では、開閉弁26を開き、通気開閉弁34を閉じ、圧縮空気送給手段27により取出容器7内に圧縮空気を送給することで、取出容器7内の全てのMR流体16が注入配管25から排出され、排出された規定量のMR流体16がMRデバイス24に注入されることとなる。
【0036】
以上に説明した注入装置1および該装置1を用いた注入方法によれば、常に一定量のMR流体16を容器6から取出容器7内に抜き取り、抜き取ったMR流体16をMRデバイス24に注入することで、常に同じ規定量のMR流体16をMRデバイス24に注入することができる。
【0037】
また、撹拌装置10によって、磁性粒子の沈降を防止するために、容器6内のMR流体を撹拌しながら、容器6から取出容器7へのMR流体の抜き取りが行われるため、容器6に入れられたMR流体の磁性粒子含有率と、MRデバイス24に注入されたMR流体の磁性粒子含有率とが一致し、MRデバイス24に適した磁性粒子含有率のMR流体16を注入することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 磁気粘性流体の注入装置
2 磁気粘性流体の定量抜き取り装置
3 注入手段
6 容器
7 取出容器
7a 筒部
8 弁
9 流入促進手段
10 撹拌装置
13 排出穴
16 磁気粘性流体(MR流体)
18 ピストン
24 磁気粘性流体を用いるデバイス(MRデバイス)
31 螺旋羽根
図1
図2
図3