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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20241106BHJP
【FI】
G06Q40/03
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020074553
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021174039
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博基
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-009226(JP,A)
【文献】特開2017-146900(JP,A)
【文献】特開2018-045570(JP,A)
【文献】特開2018-108869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動を示す行動情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記行動情報に基づいて、将来の前記ユーザの融資に対する返済能力に関する信用度を判定する信用度判定部と、
前記信用度に応じて、前記ユーザに融資を行う場合の利用限度額及び金利を設定する金利判定部と、
を備え、
前記ユーザ情報取得部は、前記ユーザが希望する希望融資額及び希望返済期間を取得し、
前記信用度判定部は、現時点から先の複数のタイミングでの前記ユーザの前記信用度を前記現時点で判定し、
前記金利判定部は、前記複数のタイミングでの前記信用度に基づいて、前記複数のタイミングでの利用限度額を前記現時点で判定し、前記希望返済期間に対応するタイミングでの前記利用限度額と、前記希望融資額とに基づいて前記現時点の融資の可否を判定する、ことを特徴とする判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置において、
前記ユーザ情報取得部は、前記行動情報と、前記ユーザの行動が実施された行動日時とを対応付けて行動履歴として蓄積し、さらに、前記ユーザの現在の資産状況を含む資産情報を取得し、
過去の前記行動履歴と、前記資産情報とを教師データとして、前記行動履歴を入力とし将来の前記ユーザの前記信用度を出力とする信用判定モデルを生成するモデル生成部をさらに備え、
前記信用度判定部は、前記ユーザの前記行動履歴を前記信用判定モデルに入力することで、将来の前記ユーザの前記信用度を判定する
ことを特徴とする判定装置。
【請求項3】
コンピュータにより融資対象のユーザの信用度を判定する判定方法であって、
前記コンピュータは、ユーザ情報取得部、信用度判定部、及び金利判定部を備え、
前記ユーザ情報取得部が、前記ユーザの行動を示す行動情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
前記信用度判定部が、前記行動情報に基づいて、将来の前記ユーザの融資に対する返済能力に関する信用度を判定する信用度判定ステップと、
前記金利判定部が、前記信用度に応じて、前記ユーザに融資を行う場合の利用限度額及び金利を設定する金利判定ステップと、を実施し、
前記ユーザ情報取得ステップにおいて、前記ユーザが希望する希望融資額及び希望返済期間を取得し、
前記信用度判定ステップにおいて、現時点から先の複数のタイミングでの前記ユーザの前記信用度を前記現時点で判定し、
前記金利判定ステップにおいて、前記複数のタイミングでの前記信用度に基づいて、前記複数のタイミングでの利用限度額を前記現時点で判定し、前記希望返済期間に対応するタイミングでの前記利用限度額と、前記希望融資額とに基づいて前記現時点での融資の可否を判定する、
ことを特徴とする判定方法。
【請求項4】
コンピュータにより読み取り実行可能な判定プログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1または請求項2に記載の判定装置として機能させる
ことを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金銭の貸付対象のユーザの信用度を判定する判定装置、判定方法、及び判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに対して融資等を行う金融サービスでは、ユーザの信用度合を審査し、その審査結果に基づいて、ユーザに対する金銭の貸与等の金融サービスを提供するか否かを判定する。
近年、このような金融サービスにおいて、ユーザの操作履歴を取得し、その操作履歴に基づいて、ユーザの信用度を判定する判定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の判定装置は、ユーザが、融資の申込みページに諸情報を入力する際の、申込みページに滞在する滞在時間、申込みページをスクロールするスクロール速度、入力開始から終了前の経過時間を操作履歴として取得する。そして、操作履歴を、学習モデルに入力することで、学習モデルから当該操作履歴のユーザの信用度が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-160168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の判定装置では、ユーザの現在の信用度の判定を行うが、当該ユーザが将来に亘って、滞りなく返済が可能か否かまでは判定できない。例えば、融資の申し込み時点で、ユーザの健康状態が良好であり、収入も安定している場合でも、将来、当該ユーザが病気を患い、収入も減る可能がある。特に、融資の返済計画として、例えば住宅ローンなどの長期ローン契約を行う場合では、上記のような将来の返済能力を適正に判定しなければ、融資したユーザが債務不履行となる可能性もあり、融資を行う金融業者に不利益が発生する。
【0005】
本発明は、融資におけるユーザの返済能力を適正に判定可能な判定装置、判定方法、及び判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の判定装置は、ユーザの行動を示す行動情報を取得するユーザ情報取得部と、前記行動情報に基づいて、将来の前記ユーザの融資に対する返済能力に関する信用度を判定する信用度判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ユーザの将来の信用度を適正に判定することができ、これにより、将来におけるユーザの返済能力の有無を審査することができる。よって、返済期間が長期となる場合でも、金融業者が不利益を受けるリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の融資システムの概略構成を示す概略図。
図2】本実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
図3】金利判定情報の一例を示す図。
図4】本実施形態の融資における判定方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る融資システムについて説明する。
[融資システムの概要]
図1は、本実施形態の融資システムの概要を示す概略図である。
図1に示すように、融資システムは、ユーザ機器10と、判定装置であるサーバ装置20と、を備え、これらのユーザ機器10及びサーバ装置20がインターネットを介して通信可能に接続されている。
この融資システムでは、サーバ装置20は、ユーザ機器10からユーザの行動情報を取得し、その行動情報に基づいてユーザの信用度を判定し、信用度に基づいて、サーバ装置20は、ユーザに対して融資を行う場合の金利や利用限度額等を設定する。また、融資システムは、サーバ装置20と通信可能に接続され、ユーザへの融資に係る各種処理を実施する融資管理サーバを備えていてもよい。この場合、サーバ装置20での判定結果を有し管理サーバに送信することで、融資管理サーバがユーザに対して融資サービスを提供する。
以下、このような融資システムの各構成について詳細に説明する。
【0010】
[ユーザ機器10の概略]
ユーザ機器10は、ユーザが所有するスマートデバイスであり、図1に示すように、携帯端末10Aや、車両管理装置10B、家電10C(家庭用電気機器)等が含まれる。
【0011】
携帯端末10Aは、例えばスマートフォンやタブレット端末、スマートウォッチ等のウェアラブル機器等の携帯型のコンピュータである。携帯端末10Aは、自機の現在位置を測定する測位センサー、自機に係る加速度を計測する加速度センサー、自機に係る傾斜姿勢を計測するジャイロセンサー等を備える。
【0012】
車両管理装置10Bは、例えば、自動車や自動二輪等の移動体に搭載されるコンピュータである。車両管理装置10Bは、例えば、移動体に組み込まれた制御コンピュータであってもよく、移動体に搭載され、制御コンピュータと通信可能なカーナビゲーション装置であってもよい。
また、移動体には、移動体の各種移動動作を計測する複数の移動計測センサーが設けられている。このような移動計測センサーとしては、例えば、車速センサー、トルクセンサー、ブレーキセンサー、ヨー軸角速度センサー、Gセンサー、タイヤ空気圧センサー等が挙げられる。車両管理装置10Bは、これらの移動計測センサーと通信可能であり、各移動計測センサーからのセンサー値を取得する。
【0013】
家電10Cは、いわゆるスマート家電であり、例えば、テレビ、冷蔵庫、エアコン、照明器具等の他、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノートブック型パーソナルコンピュータ等も含む。これらの家電10Cは、インターネットを介してサーバ装置20等の他の機器と通信可能に設けられていてもよく、例えばBluetooth(登録商標)や無線LAN等の近距離通信手段を介して携帯端末10Aと通信可能に設けられていてもよい。
【0014】
上記のようなユーザ機器10は、一般的なコンピュータを構成するハードウェアを備えており、インターネットや近距離通信手段等を用いて他の機器と通信する通信装置、情報を記憶する記憶装置、各種情報の演算処理を行うプロセッサを備えて構成されている。
そして、ユーザ機器10のプロセッサは、記憶装置に記憶された各種プログラムを実施することで、ユーザの行動に基づいた行動情報を検出し、当該行動情報と行動が実施された日時とを含む行動履歴をサーバ装置20に送信する。
【0015】
例えば、携帯端末10Aでは、測位センサーにより検出されるユーザの移動履歴を取得する。また、加速度センサー及びジャイロセンサーのセンサー値により推定されるユーザの運動状態(徒歩、ランニング、車両乗車中等)を取得でき、測位センサーと加速度センサーとジャイロセンサーとのセンサー値に基づいて推測される移動先まで移動方法(電車、バス、徒歩等)も取得できる。これらの運動状態や移動方法を移動履歴に関連付けてもよい。
さらに、携帯端末10Aは、ユーザのアプリケーションの実行履歴を取得できる。例えば、ユーザにより実施されたアプリケーションの種類や、移動中でのアプリケーションの実行履歴(歩きスマホの検出)などを行える。さらには、携帯端末10Aにより、所定のヘルスケアアプリケーションを実行することで、ユーザの運動や食事を検出することも可能である。このようなヘルスケアアプリケーションでは、例えば、携帯端末10Aに搭載されたカメラにより、ユーザが1回の食事で摂取する料理を撮像するものもあり、その画像に基づいてユーザの摂取カロリーや摂取栄養を検出することも可能である。
【0016】
また、車両管理装置10Bでは、ユーザが車両により移動する際の車両運転履歴を検出できる。例えば、車速、加速度、曲がり角での減速などを検出できる。また、これらの車両管理装置10Bは、これらの車両運転状態から、ユーザが乗車する車両の安全運転レベルを判定して車両運転履歴に含めてもよい。カーナビゲーション装置として機能する場合では、ユーザが携帯端末10Aを所有していない場合でも、ユーザの位置履歴を取得することができる。
【0017】
さらに、家電10Cでは、ユーザが各種電気製品の使用履歴を検出できる。例えば、ユーザのパーソナルコンピュータの使用時間、テレビの視聴時間等を検出できる。また、スマート冷蔵庫等では、ユーザが購入した食材の管理、1回の食事で調理される食材の量等を検出することも可能である。
【0018】
また、これらのユーザ機器10には、それぞれユーザを特定するユーザIDが記録されている。ユーザ機器10からサーバ装置20に行動履歴を送信する場合、当該ユーザIDを同時に送信する。これにより、サーバ装置20は、送信された行動履歴に対応するユーザを特定できる。
【0019】
[サーバ装置20の概略]
サーバ装置20は、本発明の判定装置に相当し、例えば融資システムを用いて金融サービスを提供する金融業者等が管理する。
サーバ装置20は、金融業者が所有するコンピュータであってもよく、例えば、ポータブルサイトを管理するサイトオーナーがサーバ装置20を所有し、サイトオーナーと提携する金融業者が所有する融資管理サーバに、ユーザの信用度の判定結果等を送信してもよい。
【0020】
図2は、サーバ装置20の概略構成を示すブロック図である。
サーバ装置20は、コンピュータにより構成され、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、等を含んで構成されている。なお、サーバ装置20を構成するコンピュータの数は特に限定されない。本実施形態では、説明の簡略化のため、1台のコンピュータによってサーバ装置20が構成される例を示すが、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバをサーバ装置20としてもよい。
通信部21は、例えばLAN等を介してネットワーク(インターネット)に接続されており、ユーザ機器10等と通信する。
【0021】
[記憶部22に記録される情報]
記憶部22は、例えばメモリ、ハードディスク等により構成されたデータ記録装置である。この記憶部22は、ユーザ情報記録部221、金利判定記録部222、及びモデル記録部223を備える。また、記憶部22には、サーバ装置20を制御するためのプログラム(ソフトウェア)が記録されており、当該プログラムには、本発明の判定プログラムも含まれる。
なお、ここでは、サーバ装置20の記憶部22に、ユーザ情報記録部221、金利判定記録部222、モデル記録部223等の各種データベースが設けられる例を示すが、サーバ装置20とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらの情報が記録される構成としてもよい。
【0022】
ユーザ情報記録部221は、複数のユーザ情報が記録されている。ユーザ情報は、融資システムを利用するユーザに関する情報であり、ユーザID、ユーザ属性、資産情報、及び行動履歴情報が記録される。
ユーザIDは、ユーザを識別するための識別情報である。
ユーザ属性は、ユーザの性別や年齢層等の個人情報、ユーザの趣味、特技、職業等のユーザの様々な詳細な情報である。
資産情報は、ユーザの現状の資産状況に関する情報であり、例えば年収や貯金額、ローンの残額等が記録される。この資産情報は、例えばユーザが融資を申し込む際に、サーバ装置20が公開する申込コンテンツにアクセスし、資産入力欄に資産を入力する等により取得できる。
【0023】
行動履歴は、ユーザ機器10で検出されるユーザの行動履歴(行動情報及び行動日時)が記録される。
すなわち、上述したような、ユーザの移動履歴、アプリケーション等の実行履歴、車両走行時の車両運転履歴、各種電気製品の使用履歴、カロリーや栄養の摂取履歴等が記録される。
【0024】
金利判定記録部222は、ユーザの信用度に対する金利を示す金利判定情報を記録する。
図3は、金利判定情報の一例を示す図である。
この金利判定情報は、例えば、将来の信用度に対する金利や融資可能な利用限度額を記録する情報である。
例えば、図3に示すように、金利判定情報は、現時点からの経過時間に対して、信用度に応じた金利と利用限度額とを対応付けて記録する。
将来の信用度は、融資の返済期間によって異なり、例えば、1年後の信用度が高いが5年後の信用度が低いと判定される場合、1年の返済期間の融資に関して金利は低いが、5年の返済期間の融資に関して金利は高くなる。
【0025】
モデル記録部223は、機械学習により生成された信用予測モデルを記録する。この信用予測モデルは、ユーザの行動履歴を入力することで、当該ユーザの将来の信用度を出力するモデルである。
この返済能力予測モデルは、例えば、過去のユーザの行動履歴、及び当該ユーザの現状の返済能力に関する信用度を教師データとして、ディープラーニング等の機械学習によって生成される。
すなわち、ユーザの行動履歴に含まれる、食生活の履歴、バイタルデータ計測履歴、歩数計測履歴、移動履歴、携帯端末10Aの利用時間に基づく睡眠時間等は、食生活や運動に起因した将来の病気のかかりやすさと関連し、自動車等の運転履歴には、事故による怪我を負う確率を推定できる。また、投資実績履歴には、ユーザの投資経験、長期投資、短期投機、信用取引の頻度等が含まれ、移動履歴から、パチンコ店や競馬場等の賭博施設の利用頻度を判定でき、決済履歴や売買履歴から、高額商品等に対する購買傾向を判定できる。さらに、SNS等への入稿内容によって、ユーザが企業において出世できる人間性を有しているか否か、移動履歴に基づくユーザの職場の位置の変化からユーザの転職頻度や、勤務先企業の業界動向等も推定できる。
したがって、ユーザから取得される行動履歴は、将来における健康、資産運用、収入等の視点から、ユーザに融資を行った際の将来の返済能力と相関があり、上記のように、過去の行動履歴と、現状の返済能力に関する信用度(又は、現在の資産状況)とを、複数のユーザから取得することで、信用予測モデルを生成することができる。
この信用判定モデルは、将来のユーザの信用度として、現時点より先の複数のタイミングでのユーザの信用度を出力する。例えば、将来の1年間隔の信用度を出力してもよく、1ヶ月後、1年後、3年後、5年後、10年後の信用度を出力してもよい。また、より短い間隔、例えば、1週間後、1ヶ月後の信用度を出力してもよい。さらに、将来の信用度に加え、現時点での信用度をさらに出力してもよい。
【0026】
[制御部23の機能構成]
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路、RAM(Random Access Memory)等の記録回路により構成される。制御部23は、記憶部22等に記録されているプログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働により各種処理を実行する。そして、制御部23は、記憶部22に記録された判定プログラムを読み込み実行することで、図2に示すように、ユーザ情報取得部231、モデル生成部232、信用度判定部233、金利判定部234、及び通知部235として機能する。
【0027】
ユーザ情報取得部231は、ユーザ機器10からユーザの行動履歴を取得する。また、ユーザ情報取得部231は、携帯端末10Aやパーソナルコンピュータ等の家電10Cからユーザ属性等のその他のユーザ情報を取得する。
【0028】
モデル生成部232は、蓄積された行動履歴と、資産情報とに基づいて、信用判定モデルを生成する。
信用度判定部233は、ユーザから融資の申し込みがあった場合に、ユーザの行動履歴を信用判定モデルに入力することで、当該ユーザの信用度を取得する。
金利判定部234は、信用判定モデルから出力された信用度に基づいて、ユーザに融資を行う際に金利や、融資限度額を設定する。
通知部235は、設定された金利及び利用限度額をユーザに通知する。また、通知部235は、サーバ装置20と通信可能に接続され、ユーザに対する融資に係る各種処理を実施する融資管理サーバや対象ユーザのユーザ機器10に送信する。
【0029】
[融資システムにおけるユーザの信用度の判定方法]
次に、本実施形態の融資システムにおいて、ユーザの信用度を判定する判定方法について説明する。
図4は、本実施形態のユーザの信用度の判定方法を示すフローチャートである。
本実施形態の保険管理システムでは、サーバ装置20のユーザ情報取得部231は、ユーザが所有するユーザ機器10(携帯端末10A、車両管理装置10B、家電10C等)から、行動情報及び行動日時を含む行動履歴を取得する(ステップS1:ユーザ情報取得ステップ)。
このステップS1では、ユーザ機器10において、各種センサーのセンサー値が取得される毎、アプリケーションが実施される毎に、行動情報が生成されてサーバ装置20に送信され、ユーザ情報取得部231が、行動情報と行動情報を取得した行動日時とを対応付けて行動履歴として記録する。または、ユーザ機器10において行動履歴が蓄積され、一定周期でユーザ機器10からサーバ装置20に送信されてもよく、この場合、ユーザ情報取得部231は、取得した行動履歴を、対応するユーザ情報に記録して蓄積すればよい。
【0030】
この後、ユーザが、例えば携帯端末10A等のユーザ機器10から、サーバ装置20が公開する融資コンテンツ(例えばウェブページ)にアクセスする。
この融資コンテンツは、融資の申し込みを行うための諸情報を入力するコンテンツである。このような融資コンテンツには、融資を申し込むユーザの現在の資産状況である、貯金額、年収、他の金融業者からの借り入れの有無やその支払い残高等、融資を受ける際にユーザの信用を判断する上で必要となる諸情報を入力する入力欄が設けられている。また、融資コンテンツには、ユーザが希望する融資額と返済期間とを入力する入力欄が設けられている。ユーザが当該入力欄に必要な情報を入力することで、ユーザの現在の資産状況を示す資産状況情報、融資希望額や返済期間を含む融資希望額情報、及びユーザを特定するユーザIDを含む申込情報が、ユーザ機器10からサーバ装置20に送信される。
【0031】
これにより、サーバ装置20のユーザ情報取得部231は、ユーザ機器10から、資産情報、融資希望額情報、及びユーザIDを含む申込情報を受信する(ステップS2)。ユーザ情報取得部231は、取得した申込情報に含まれる資産情報をユーザ情報に記録する。
【0032】
ステップS2で、ユーザ機器10から融資の申込情報を受信すると、信用度判定部233は、申込情報に含まれるユーザIDに対応したユーザ情報から、行動履歴を読み出し、当該行動履歴を信用判定モデルに入力し、信用判定モデルからユーザの将来の信用度を取得する(ステップS3:信用度判定ステップ)。なお、上述したように、信用判定モデルは、現時点から先の複数のタイミングでのユーザの信用度を出力する。例えば、1ヶ月後の信用度が5、1年後の信用度が5、3年後の信用度が4、5年後の信用後が3等の各時点での信用度が、信用判定モデルから出力される。
【0033】
次に、金利判定部234は、ステップS3で取得された各時点での信用度に対応する利用限度額及び金利を、金利判定情報に基づいて判定する(ステップS4)。
そして、金利判定部234は、ステップS4で判定した各時点での利用限度額と、申込情報に含まれる希望額情報とを比較し、希望額が利用限度額以内であるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、融資額を200万円とした希望額情報では、返済期間が1ヶ月の場合、ユーザの信用度が4以上であればYES、3以下であればNOと判定され、返済期間が1年の場合、ユーザの1年後の信用度が3以上であればYESと判定され、信用度が2以下であればNOと判定される。また、希望額情報として、希望返済期間が1ヶ月と指定されている場合では、返済期間が1ヶ月の場合のみを判定すればよい。
【0034】
ステップS5でNOと判定される場合、金利判定部234は、ユーザに対する融資が不可と判定し、判定結果を示す通知情報を生成する(ステップS6)。なお、希望返済期間での希望額の融資が不可であるが、他の返済期間(より短い期間又は長い期間)での希望額の融資が可能である場合、当該返済期間と金利とを含む通知情報を生成してもよい。
ステップS5でYESと判定される場合、金利判定部234は、ユーザに対する融資が可能である旨と、融資を行う場合の返済期間と金利とを含む通知情報を生成する(ステップS7)。
そして、通知部235は、ステップS6又はステップS7で生成した通知情報を、申込情報を送信したユーザ機器10に対して送信、つまり、金利の判定結果を通知する(ステップS8)。
なお、通知部235は、さらに、実際に融資に係る各種処理や各種手続きを行う融資管理サーバに対して、融資対象の対象ユーザと、判定結果とを送信してもよい。
【0035】
[モデル生成処理]
モデル生成部232は、図4に示すステップS1によって取得されるユーザの行動履歴と、ステップS2で取得されるユーザの現在の資産状況を示す資産情報とを用いて、信用判定モデルを生成するモデル生成処理を実施する。
このモデル生成処理は、例えば一定周期(月末、週末等)に実施されてもよく、サーバ装置20の管理者が指定したタイミングで実施されてもよく、ステップS2が実施される毎に実施されてもよい。
このモデル生成処理では、モデル生成部232は、まず、ステップS2で取得する現在の資産情報に基づくユーザの現在の資産状況(貯金額や収入、借金の有無やその残高)から、当該ユーザの信用度を判定する。現在の資産状況は、現在におけるユーザの信用度を示すパラメータであり、従来、融資を行う場合のユーザの信用度は、通常、このような資産状況に基づいて判定されている。例えば、モデル生成部232は、資産情報に含まれる貯金額、収入、借金残高等の各種パラメータに対して、所定の重み値や係数をかけ合わせて加減算することで、現状の資産状況に対する信用度を算出する。
【0036】
そして、モデル生成部232は、判定されたユーザの信用度と、当該ユーザの過去の行動履歴とを1つの教師データとし、複数のユーザから得られる多数の教師データを用いた機械学習により、行動履歴を入力とし、信用度を出力とする信用判定モデルを生成する。
【0037】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、サーバ装置20は、記憶部22と制御部23とを備え、制御部23は、記憶部22に記憶される判定プログラムを読み込み実行することで、ユーザ情報取得部231、及び信用度判定部233として機能する。ユーザ情報取得部231は、ユーザの行動を示す行動情報を取得する。信用度判定部前記行動情報に基づいて、将来のユーザの融資に対する返済能力に関する信用度を判定する。
これにより、ユーザの将来の返済能力を考慮し、融資を行うに足る信用性を有するユーザであるか否かを適正に判定できる。例えば、行動履歴として食生活に偏りがあるユーザや、運動不足のユーザ等では、将来病気にかかる可能性が高くなり、将来における信用度が低いと判定することができる。このため、金融業者は、当該判定結果に基づいて、ユーザに対して融資を行うか否かの審査を適正に行うことができ、融資元金を回収できなくなるリスクを低減することができる。
【0038】
本実施形態では、制御部23は、金利判定部234として機能し、将来の信用度に応じて、ユーザに融資を行う場合の金利を設定する。
これにより、ユーザの将来の信用度に基づいた適切な金利を設定することができ、融資を行う金融業者が元金を回収できなくなるリスクを回避できる。例えば、将来病気にかかる可能性が高く、将来の返済能力に関する信用度が低いユーザが、長期ローンを組みたいと望む場合、将来の信用度が高いユーザに比べて、金利が高く設定されることで、元金の早期回収を図ることができる。
また、ユーザにとっては、高い金利が通知されることで、自身の生活を見直す契機となり、生活改善の支援を行うことができる。
【0039】
本実施形態では、ユーザ情報取得部231は、行動情報と、ユーザの行動が実施された行動日時とを対応付けて行動履歴として蓄積し、さらに、ユーザの現在の資産状況を含む資産情報を取得する。また、制御部23は、モデル生成部232として機能し、過去の行動履歴と、資産情報とを教師データとして、行動履歴を入力とし将来のユーザの信用度を出力とする信用判定モデルを生成する。そして、信用度判定部233は、ユーザの行動履歴を信用判定モデルに入力することで、将来のユーザの信用度を判定する。
これにより、ユーザの将来の信用度を容易に判定することができる。また、多数のユーザに関する過去の行動履歴と資産情報とを収集することで、信用判定モデルの精度、つまり、信用度の判定精度も高めることができる。
【0040】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0041】
[変形例1]
上記実施形態において、モデル生成部232は、複数のユーザの過去の行動履歴と資産情報とを用いて、行動履歴を入力することで信用度を出力する信用判定モデルを生成したが、これに限定されない。
例えば、モデル生成部232は、過去の行動履歴に基づいた、健康障害が発生する確率に基づいた健康視点パラメータ、資産運用に対する能力に関する運用視点パラメータ、将来の収入増の確率に基づいた収入視点パラメータ等、信用度を判定するための複数のパラメータを出力するモデルを生成してもよい。この場合、信用度判定部233は、例えば、各パラメータに対して所定の重み値をかけ合わせて加減算し、ユーザに対する信用度を算出してもよい。
また、通知部235は、ユーザに対して、融資可否の通知情報を送信する際に、これらの各パラメータをユーザに通知してもよく、ユーザは、当該通知情報を得ることで、どのような視点で生活を改善すべきかを知ることができる。
【0042】
[変形例2]
上記実施形態では、信用度判定部233は、ユーザの過去から現在まで蓄積された行動履歴を信用判定モデルに入力することで、ユーザの信用度を判定した。
これに対して、信用度判定部233は、行動履歴を複数の期間で区分し、各区分の行動履歴に対する信用度を判定する際の重み値を、現在に近くなるに従って大きくしてもよい。この場合、直近の行動履歴が信用度に大きく作用するように、信用判定モデルを生成する。例えば、過去に賭博施設の利用履歴が多数あり、直近の行動履歴に当該賭博施設の利用履歴がないユーザに比べ、過去に賭博施設の利用履歴がないユーザが、直近の行動履歴に当該賭博施設の利用履歴が頻繁にあるユーザの信用度が低下するように、信用判定モデルを生成してもよい。
また、この場合、通知部235は、信用度が低下する直近の行動を含めた通知情報を送信してもよい。例えば、「1週間パチンコをしなければ、金利が0.1%下がります」等の通知を行うことで、ユーザが融資を受ける上でどのように行動すべきかを知ることができる。
【符号の説明】
【0043】
10…ユーザ機器、10A…携帯端末、10B…車両管理装置、10C…家電、20…サーバ装置(判定装置)、21…通信部、22…記憶部、23…制御部、221…ユーザ情報記録部、222…金利判定記録部、223…モデル記録部、231…ユーザ情報取得部、232…モデル生成部、233…信用度判定部、234…金利判定部、235…通知部。
図1
図2
図3
図4