(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】自車位置推定装置及び自車位置推定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241106BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241106BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20241106BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G06T7/00 650A
B60W40/04
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2020081398
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀川 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】森 大輝
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 豪軌
(72)【発明者】
【氏名】岡本 謙一
(72)【発明者】
【氏名】江副 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 こずえ
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/097943(WO,A1)
【文献】特開2008-276642(JP,A)
【文献】特開2020-042323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両で隊列走行中に、自車両の前方車両及び後方車両の各々から、自車両の相対的な位置を推定するために必要な情報である前方車両情報及び後方車両情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記前方車両情報及び前記後方車両情報を用いて、自車両の相対的な位置を推定する推定部と、
を備え、
前記前方車両情報は、
前記前方車両に搭載されているカメラによって撮影して得られた画像から算出される、前記前方車両の位置での第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差と、前記前方車両から見たときの前記前方車両と自車両との第1相対角度とを含み、
前記後方車両情報は、
前記後方車両に搭載されているカメラによって撮影して得られた画像から算出される、前記後方車両の位置での第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差と、前記後方車両から見たときの前記後方車両と自車両との第2相対角度とを含み、
前記推定部は、
前記第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差、並びに、前記第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差を用いて、前記後方車両を基準としたリファレンス位置であって、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置である前記リファレンス位置での前記後方車両のヨー角及び座標と、前記後方車両を基準とした自車両のリファレンス位置であって、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置である前記自車両のリファレンス位置での自車両のヨー角及び座標と、前記後方車両を基準とした前記前方車両のリファレンス位置であって、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置である前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両のヨー角及び座標と、を含むリファレンス情報を算出し、
自車両から見たときの自車両と前記前方車両との第3相対角度及び自車両と前記前方車両との第1距離と、自車両から見たときの自車両と前記後方車両との第4相対角度及び
自車両と前記後方車両との第2距離と、を含む相対関係情報を算出し、
前記第1相対角度、前記第2相対角度、前記リファレンス情報、及び前記相対関係情報に基づいて、自車両の曲率、ヨー角偏差、及び横位置偏差を推定
し、
自車両の前記曲率は、前記第1曲率と前記第2曲率との平均値とされ、
自車両の前記ヨー角偏差は、第3ヨー角偏差と第4ヨー角偏差との平均値、又は、前記第3ヨー角偏差及び前記第4ヨー角偏差の何れか一方とされ、
前記第3ヨー角偏差は、前記自車両のリファレンス位置での自車両のヨー角、前記後方車両のリファレンス位置と前記後方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第2相対角度、前記第2距離、及び前記第4相対角度から求められ、
前記第4ヨー角偏差は、前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両のヨー角、前記前方車両のリファレンス位置と前記前方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第1相対角度、前記第1距離、及び前記第3相対角度から求められ、
自車両の前記横位置偏差は、第3横位置偏差と第4横位置偏差との平均値、又は、前記第3横位置偏差及び前記第4横位置偏差の何れか一方とされ、
前記第3横位置偏差は、前記自車両のリファレンス位置での自車両の座標、前記後方車両のリファレンス位置と前記後方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第2相対角度、前記第2距離、及び前記第4相対角度から求められ、
前記第4横位置偏差は、前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両の座標、前記前方車両のリファレンス位置と前記前方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第1相対角度、前記第1距離、及び前記第3相対角度から求められ、
前記後方車両の実際の位置及び前記前方車両の実際の位置は、前記後方車両のリファレンス位置及び前記前方車両のリファレンス位置から算出され、
前記自車両の実際の位置は、前記前方車両と前記自車両との相対的な位置関係と、前記自車両と前記後方車両との相対的な位置関係とから算出され、
前記後方車両の実際の位置及び前記前方車両の実際の位置は、前記自車両の実際の位置と前記自車両のリファレンス位置とを比較することで算出される、
自車位置推定装置。
【請求項2】
自車両の前方画像及び後方画像の少なくとも一方に基づいて、白線を認識する白線認識部を更に備え、
前記取得部は、前記白線認識部により白線が認識できない場合に、前記前方車両及び前記後方車両の各々から前記前方車両情報及び前記後方車両情報を取得する
請求項1に記載の自車位置推定装置。
【請求項3】
前記前方車両を撮影する前方カメラと、
前記後方車両を撮影する後方カメラと、
前記前方車両及び前記後方車両の各々を検出するレーダと、
を更に備え、
前記推定部は、前記前方カメラにより前記前方車両を撮影して得られた前方画像から、前記第3相対角度を算出し、前記後方カメラにより前記後方車両を撮影して得られた後方画像から、前記第4相対角度を算出し、前記レーダの検出結果から、前記第1距離及び前記第2距離を算出する
請求項1又は請求項2に記載の自車位置推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記取得部により前記前方車両情報及び前記後方車両情報のいずれか一方が取得された場合に、前記取得された前記前方車両情報及び前記後方車両情報のいずれか一方を用いて、自車両の相対的な位置を推定する
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の自車位置推定装置。
【請求項5】
複数の車両で隊列走行中に、自車両の前方車両及び後方車両の各々から、自車両の相対的な位置を推定するために必要な情報である前方車両情報及び後方車両情報を取得し、
前記取得された前記前方車両情報及び前記後方車両情報を用いて、自車両の相対的な位置を推定し、
前記前方車両情報は、
前記前方車両に搭載されているカメラによって撮影して得られた画像から算出される、前記前方車両の位置での第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差と、前記前方車両から見たときの前記前方車両と自車両との第1相対角度とを含み、
前記後方車両情報は、
前記後方車両に搭載されているカメラによって撮影して得られた画像から算出される、前記後方車両の位置での第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差と、前記後方車両から見たときの前記後方車両と自車両との第2相対角度とを含み、
前記自車両の相対的な位置を推定する際に、
前記第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差、並びに、前記第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差を用いて、前記後方車両を基準としたリファレンス位置であって、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置である前記リファレンス位置での前記後方車両のヨー角及び座標と、前記後方車両を基準とした自車両のリファレンス位置であって、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置である前記自車両のリファレンス位置での自車両のヨー角及び座標と、前記後方車両を基準とした前記前方車両のリファレンス位置であって、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置である前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両のヨー角及び座標と、を含むリファレンス情報を算出し、
自車両から見たときの自車両と前記前方車両との第3相対角度及び自車両と前記前方車両との第1距離と、自車両から見たときの自車両と前記後方車両との第4相対角度及び自車両と前記後方車両との第2距離と、を含む相対関係情報を算出し、
前記第1相対角度、前記第2相対角度、前記リファレンス情報、及び前記相対関係情報に基づいて、自車両の曲率、ヨー角偏差、及び横位置偏差を推定
し、
自車両の前記曲率は、前記第1曲率と前記第2曲率との平均値とされ、
自車両の前記ヨー角偏差は、第3ヨー角偏差と第4ヨー角偏差との平均値、又は、前記第3ヨー角偏差及び前記第4ヨー角偏差の何れか一方とされ、
前記第3ヨー角偏差は、前記自車両のリファレンス位置での自車両のヨー角、前記後方車両のリファレンス位置と前記後方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第2相対角度、前記第2距離、及び前記第4相対角度から求められ、
前記第4ヨー角偏差は、前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両のヨー角、前記前方車両のリファレンス位置と前記前方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第1相対角度、前記第1距離、及び前記第3相対角度から求められ、
自車両の前記横位置偏差は、第3横位置偏差と第4横位置偏差との平均値、又は、前記第3横位置偏差及び前記第4横位置偏差の何れか一方とされ、
前記第3横位置偏差は、前記自車両のリファレンス位置での自車両の座標、前記後方車両のリファレンス位置と前記後方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第2相対角度、前記第2距離、及び前記第4相対角度から求められ、
前記第4横位置偏差は、前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両の座標、前記前方車両のリファレンス位置と前記前方車両の実際の位置とのヨー角偏差、前記第1相対角度、前記第1距離、及び前記第3相対角度から求められ、
前記後方車両の実際の位置及び前記前方車両の実際の位置は、前記後方車両のリファレンス位置及び前記前方車両のリファレンス位置から算出され、
前記自車両の実際の位置は、前記前方車両と前記自車両との相対的な位置関係と、前記自車両と前記後方車両との相対的な位置関係とから算出され、
前記後方車両の実際の位置及び前記前方車両の実際の位置は、前記自車両の実際の位置と前記自車両のリファレンス位置とを比較することで算出されることを、
コンピュータに実行させるための自車位置推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車位置推定装置及び自車位置推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車間距離を短くして隊列走行を行う自動隊列走行システムが開発されている。隊列走行を行うことにより、車間距離を短くして交通量を増加させる、車両に作用する空気抵抗を抑制して燃費の向上を図ることが可能とされる。この自動隊列走行システムでは、認識された白線に基づいて、車線内の自車両の横位置を検出することが行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、白線を検出できる範囲を拡大することで、自車両の車線に対する横位置を検出する白線認識装置が記載されている。この白線認識装置は、自車両の前方を撮影した画像から横位置を検出する際に、前方車両の前方を撮影した画像を組み合わせて横位置を検出する。また、この白線認識装置は、自車両で白線を認識できなかった場合には、前方車両から白線認識結果を受け取り、受け取った前方車両の白線認識結果から白線を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、自車両の位置を推定する際に、前方車両から得られる情報のみを用いているため、前方車両からの情報が遅延したり、欠落したりする場合に、自車両の位置を精度良く推定することができない。このため、複数の車両で隊列走行を行うことが困難となる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、複数の車両で隊列走行中に、自車両の位置を精度良く推定することができる自車位置推定装置及び自車位置推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1態様に係る自車位置推定装置は、複数の車両で隊列走行中に、自車両の前方車両及び後方車両の各々から、自車両の相対的な位置を推定するために必要な情報である前方車両情報及び後方車両情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記前方車両情報及び前記後方車両情報を用いて、自車両の相対的な位置を推定する推定部と、を備えている。
【0008】
また、第2態様に係る自車位置推定装置は、第1態様に係る自車位置推定装置において、自車両の前方画像及び後方画像の少なくとも一方に基づいて、白線を認識する白線認識部を更に備え、前記取得部が、前記白線認識部により白線が認識できない場合に、前記前方車両及び前記後方車両の各々から前記前方車両情報及び前記後方車両情報を取得する。
【0009】
また、第3態様に係る自車位置推定装置は、第1態様又は第2態様に係る自車位置推定装置において、前記前方車両情報が、前記前方車両の位置での第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差と、前記前方車両から見たときの前記前方車両と自車両との第1相対角度とを含み、前記後方車両情報が、前記後方車両の位置での第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差と、前記後方車両から見たときの前記後方車両と自車両との第2相対角度とを含む。
【0010】
また、第4態様に係る自車位置推定装置は、第3態様に係る自車位置推定装置において、前記推定部が、前記第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差、並びに、前記第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差を用いて、前記後方車両を基準とした、ヨー角偏差及び横位置偏差のないリファレンス位置での前記後方車両のヨー角及び座標と、前記後方車両を基準とした、ヨー角偏差及び横位置偏差のない自車両のリファレンス位置での自車両のヨー角及び座標と、前記後方車両を基準とした、ヨー角偏差及び横位置偏差のない前記前方車両のリファレンス位置での前記前方車両のヨー角及び座標と、を含むリファレンス情報を算出し、自車両から見たときの自車両と前記前方車両との第3相対角度及び自車両と前記前方車両との第1距離と、自車両から見たときの自車両と前記後方車両との第4相対角度及び自車両と前記後方車両との第2距離と、を含む相対関係情報を算出し、前記第1相対角度、前記第2相対角度、前記リファレンス情報、及び前記相対関係情報に基づいて、自車両の曲率、ヨー角偏差、及び横位置偏差を推定する。
【0011】
また、第5態様に係る自車位置推定装置は、第4態様に係る自車位置推定装置において、前記前方車両を撮影する前方カメラと、前記後方車両を撮影する後方カメラと、前記前方車両及び前記後方車両の各々を検出するレーダと、を更に備え、前記推定部が、前記前方カメラにより前記前方車両を撮影して得られた前方画像から、前記第3相対角度を算出し、前記後方カメラにより前記後方車両を撮影して得られた後方画像から、前記第4相対角度を算出し、前記レーダの検出結果から、前記第1距離及び前記第2距離を算出する。
【0012】
また、第6態様に係る自車位置推定装置は、第1態様~第5態様のいずれか1の態様に係る自車位置推定装置において、前記推定部が、前記取得部により前記前方車両情報及び前記後方車両情報のいずれか一方が取得された場合に、前記取得された前記前方車両情報及び前記後方車両情報のいずれか一方を用いて、自車両の相対的な位置を推定する。
【0013】
更に、上記目的を達成するために、第7態様に係る自車位置推定プログラムは、複数の車両で隊列走行中に、自車両の前方車両及び後方車両の各々から、自車両の相対的な位置を推定するために必要な情報である前方車両情報及び後方車両情報を取得し、前記取得された前記前方車両情報及び前記後方車両情報を用いて、自車両の相対的な位置を推定することを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の車両で隊列走行中に、自車両の位置を精度良く推定することができる。
【0015】
また、前方車両だけでなく、後方車両からも情報を受け取ることで、前方車両からの情報及び後方車両からの情報が同時に途絶しない限り、自車両の位置を精度が劣化することなく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る複数の車両による隊列走行の様子を示す平面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る自車位置推定装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る自車位置推定装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る前方車両情報、後方車両情報、リファレンス情報、及び相対関係情報の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る自車位置推定プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係るクロソイド曲線の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る曲線道路での隊列走行の様子の一例を示す平面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る相対関係情報算出方法の説明に供する図である。
【
図9】第1の実施形態に係る自車両の横位置偏差推定方法の説明に供する図である。
【
図10】第2の実施形態に係る直線道路での隊列走行の様子の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る複数の車両30、40、50による隊列走行の様子を示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、白線L1及び白線L2によって区画された車線90内を、複数の車両30、40、50が隊列走行している。車両30には、本実施形態に係る自車位置推定装置10が搭載されている。車両40及び車両50の各々にも自車位置推定装置10(図示省略)が搭載されている。なお、本実施形態では、車両30を自車両30とし、車両40を自車両30の前方を走行する前方車両40とし、車両50を自車両30の後方を走行する後方車両50として説明する。
【0020】
本実施形態に係る車線90には、曲率を有する曲線道路が適用される。なお、本実施形態では、3台の車両の場合について示しているが、車両の台数は3台以上であればよく、特に限定されるものではない。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る自車位置推定装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態に係る自車位置推定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、入出力インターフェース(I/O)14と、記憶部15と、前方カメラ16と、後方カメラ17と、ミリ波レーダ18と、車輪速センサ19と、通信部20と、を備えている。
【0023】
本実施形態に係る自車位置推定装置10は、車両制御用コンピュータであるECU(Electronic Control Unit)の一部として実現してもよいし、ECUとは別の車載コンピュータとして実現してもよい。
【0024】
CPU11、ROM12、RAM13、及びI/O14の各部は、バスを介して各々接続されている。I/O14には、記憶部15と、前方カメラ16と、後方カメラ17と、ミリ波レーダ18と、車輪速センサ19と、通信部20と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O14を介して、CPU11と相互に通信可能とされる。これらCPU11、ROM12、RAM13、及びI/O14により制御部が構成される。
【0025】
制御部は、自車位置推定装置10の一部の動作を制御するサブ制御部として構成されてもよいし、自車位置推定装置10の全体の動作を制御するメイン制御部の一部として構成されてもよい。制御部の各ブロックの一部又は全部には、例えば、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路又はIC(Integrated Circuit)チップセットが用いられる。上記各ブロックに個別の回路を用いてもよいし、一部又は全部を集積した回路を用いてもよい。上記各ブロック同士が一体として設けられてもよいし、一部のブロックが別に設けられてもよい。また、上記各ブロックのそれぞれにおいて、その一部が別に設けられてもよい。制御部の集積化には、LSIに限らず、専用回路又は汎用プロセッサを用いてもよい。
【0026】
記憶部15としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部15には、本実施形態に係る自車位置推定を行うための自車位置推定プログラム15Aが記憶される。なお、この自車位置推定プログラム15Aは、ROM12に記憶されていてもよい。
【0027】
自車位置推定プログラム15Aは、例えば、自車位置推定装置10に予めインストールされていてもよい。自車位置推定プログラム15Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、自車位置推定装置10に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0028】
前方カメラ16は、例えば、自車両30の車室前方中央に配置され、前方車両40を含む前方領域を撮影して前方画像を取得する。この前方画像には、前方車両40が含まれている。
【0029】
後方カメラ17は、例えば、自車両30の車室後方中央に配置され、後方車両50を含む後方領域を撮影して後方画像を取得する。この後方画像には、後方車両50が含まれている。
【0030】
ミリ波レーダ18は、自車両30の前面及び後面の各々に設けられている。ミリ波レーダ18は、ミリ波を用いて、自車両30の前方を走行する前方車両40を検出し、自車両30の後方を走行する後方車両50を検出する。ミリ波レーダ18は、レーダの一例である。
【0031】
車輪速センサ19は、自車両30の4輪にそれぞれ設けられている。車輪速センサ19は、自車両30の車輪の回転速度(車輪の回転に応じたパルス数)を検出する。
【0032】
通信部20は、車両間通信用アンテナ(図示省略)を介して、前方車両40及び後方車両50の各々と通信する。
【0033】
ところで、上述したように、自車両30の位置を推定する際に、前方車両40から得られる情報のみを用いると、前方車両40からの情報が遅延したり、欠落したりする場合に、自車両30の位置を精度良く推定することができない。このため、複数の車両で隊列走行を行うことが困難となる。
【0034】
本実施形態に係る自車位置推定装置10のCPU11は、記憶部15に記憶されている自車位置推定プログラム15AをRAM13に書き込んで実行することにより、
図3に示す各部として機能する。
【0035】
図3は、第1の実施形態に係る自車位置推定装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図3に示すように、本実施形態に係る自車位置推定装置10のCPU11は、白線認識部11A、取得部11B、及び推定部11Cとして機能する。
【0037】
本実施形態に係る白線認識部11Aは、前方カメラ16により撮影して得られた前方画像及び後方カメラ17により撮影して得られた後方画像の少なくとも一方に基づいて、白線L1及び白線L2を認識する。なお、撮影画像から白線を認識する技術には、例えば、従来公知の手法が用いられる。ここでいう「白線」とは、道路に描かれた白線、黄色線、道路上に配置されたブロック等の道路区画線等を含むものである。
【0038】
本実施形態では、例えば、白線認識部11Aにより白線が認識されない場合、取得部11Bにより前方車両40及び後方車両50の各々から情報が取得される。但し、前方車両40では前方の白線を認識しており、後方車両50では後方の白線を認識しているものとする。なお、白線認識部11Aにより白線が認識された場合であっても、取得部11Bにより前方車両40及び後方車両50の各々から情報を取得するようにしてもよい。
【0039】
本実施形態に係る取得部11Bは、自車両30、前方車両40、及び後方車両50が隊列走行中に、前方車両40及び後方車両50の各々から、自車両30の相対的な位置を推定するために必要な情報を取得する。以下、前方車両40から得られる必要な情報を前方車両情報とし、後方車両50から得られる必要な情報を後方車両情報として区別する。
【0040】
本実施形態に係る推定部11Cは、取得部11Bにより取得された前方車両情報及び後方車両情報を用いて、自車両30の相対的な位置を推定する。
【0041】
なお、推定部11Cは、取得部11Bにより前方車両情報及び後方車両情報のいずれか一方が取得された場合に、取得された前方車両情報及び後方車両情報のいずれか一方を用いて、自車両の相対的な位置を推定するようにしてもよい。
【0042】
次に、
図4を参照して、自車両30の相対的な位置の推定に必要とされる、前方車両情報、後方車両情報、リファレンス情報、及び相対関係情報について説明する。
【0043】
図4は、第1の実施形態に係る前方車両情報、後方車両情報、リファレンス情報、及び相対関係情報の一例を示す図である。
【0044】
図4に示すように、前方車両情報は、[1]前方車両40の位置での第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差と、[3]前方車両40から見たときの前方車両40と自車両30との第1相対角度と、を含んでいる。なお、第1曲率、第1ヨー角偏差、第1横位置偏差、及び第1相対角度は、前方車両40に搭載されているカメラによって撮影して得られた画像から算出される。
【0045】
また、後方車両情報は、[1]後方車両50の位置での第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差と、[3]後方車両50から見たときの後方車両50と自車両との第2相対角度と、を含んでいる。なお、第2曲率、第2ヨー角偏差、第2横位置偏差、及び第2相対角度は、後方車両50に搭載されているカメラによって撮影して得られた画像から算出される。
【0046】
推定部11Cは、第1曲率、第1ヨー角偏差、及び第1横位置偏差、並びに、第2曲率、第2ヨー角偏差、及び第2横位置偏差を用いて、[2]リファレンス情報を算出する。このリファレンス情報は、後方車両50を基準としたリファレンス位置での後方車両50のヨー角及び座標と、後方車両50を基準とした自車両30のリファレンス位置での自車両30のヨー角及び座標と、後方車両50を基準とした前方車両40のリファレンス位置での前方車両40のヨー角及び座標と、を含んでいる。なお、リファレンス位置とは、ヨー角偏差及び横位置偏差のない理想的な位置を表している。
【0047】
更に、推定部11Cは、[3]相対関係情報を算出する。この相対関係情報は、前方車両40と自車両30との第3相対角度と、前方車両40と自車両30との第1距離と、自車両30と後方車両50との第4相対角度と、自車両30と後方車両50との第2距離と、を含んでいる。第3相対角度は、前方カメラ16によって前方車両40を撮影して得られた前方画像から算出され、第4相対角度は、後方カメラ17によって後方車両50を撮影して得られた後方画像から算出される。第1距離及び第2距離は、自車両30に設けられたミリ波レーダ18の検出結果から算出される。
【0048】
更に、推定部11Cは、上記で得られた第1相対角度、第2相対角度、リファレンス情報、及び相対関係情報に基づいて、自車両30の曲率、ヨー角偏差、及び横位置偏差を推定する。
【0049】
自車両30の曲率は、一例として、前方車両40の位置での第1曲率と、後方車両50の位置での第2曲率との平均値として求められる。
【0050】
自車両30のヨー角偏差は、一例として、第3ヨー角偏差と、第4ヨー角偏差との平均値として求められる。但し、第3ヨー角偏差は、リファレンス位置での自車両30のヨー角と、撮影画像から得られる自車両30と後方車両50との相対的な位置関係と、から求められる。第4ヨー角偏差は、リファレンス位置での前方車両40のヨー角と、撮影画像から得られる自車両30と前方車両40との相対的な位置関係と、から求められる。なお、第3ヨー角偏差及び第4ヨー角偏差のいずれか一方のみしか算出できない場合には、算出できたヨー角偏差を、自車両30のヨー角偏差とする。
【0051】
自車両30の横位置偏差は、一例として、第3横位置偏差と、第4横位置偏差との平均値として求められる。但し、第3横位置偏差は、リファレンス位置での自車両30の座標と、撮影画像から得られる自車両30と後方車両50との相対的な位置関係と、から求められる。第4横位置偏差は、リファレンス位置での前方車両40の座標と、自車両30と前方車両40との相対的な位置関係と、から求められる。なお、第3横位置偏差及び第4横位置偏差のいずれか一方のみしか算出できない場合には、算出できた横位置偏差を、自車両30の横位置偏差とする。
【0052】
次に、
図5を参照して、第1の実施形態に係る自車位置推定装置10の作用について説明する。
【0053】
図5は、第1の実施形態に係る自車位置推定プログラム15Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0054】
まず、自車位置推定装置10が自車位置推定処理の開始の指示を受け付けると、CPU11が自車位置推定プログラム15Aを読み出して実行する。
【0055】
図5のステップ100では、CPU11が、前方カメラ16によって撮影された前方画像及び後方カメラ17によって撮影された後方画像を取得する。
【0056】
ステップ101では、CPU11が、ステップ100で取得した前方画像及び後方画像に基づいて、白線を認識したか否かを判定する。白線を認識していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ102に移行し、白線を認識したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ107に移行する。
【0057】
ステップ102では、CPU11が、上述の
図4に示すように、前方車両40から前方車両情報を取得し、後方車両50から後方車両情報を取得する。
【0058】
ステップ103では、CPU11が、ステップ102で取得した前方車両情報及び後方車両情報を用いて、上述の
図4に示すリファレンス情報を算出する。ここで、
図6及び
図7を参照して、リファレンス情報、つまり、各車両における目標軌跡上の理想的なリファレンス位置でのヨー角及び座標を算出する方法について具体的に説明する。
【0059】
図6は、第1の実施形態に係るクロソイド曲線の一例を示す図である。
【0060】
クロソイド曲線は、車両が一定速度で走行しているときにハンドルを一定の割合(角速度)でゆっくり回したときに車両が描く軌跡を表している。曲率半径をR、クロソイド始点からの曲線長をLとしたとき、両者の積が一定となる。つまり、クロソイド曲線では、R×L=A2(Aは定数)、の関係が成立する。
【0061】
各車両の目標軌跡が
図6に示すクロソイド曲線であると仮定した場合、下記の式(1)~式(3)が導出される。但し、Rは曲率半径を示し、ρは定数を示し、δlは曲線長を示す。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
図7は、第1の実施形態に係る曲線道路での隊列走行の様子の一例を示す平面図である。
【0066】
図7に示すリファレンス位置1~3を結ぶ曲線は、
図6に示すクロソイド曲線を構成している。リファレンス位置1は後方車両50のリファレンス位置を示し、リファレンス位置2は自車両30のリファレンス位置を示し、リファレンス位置3は前方車両40のリファレンス位置を示す。車両位置1’は後方車両50の実際の位置を示し、車両位置2’は自車両30の実際の位置を示し、車両位置3’は前方車両40の実際の位置を示す。
【0067】
また、角度α1は基準軸(xy軸)からリファレンス位置2へのヨー角変化を示し、角度α2は基準軸からリファレンス位置3へのヨー角変化を示す。角度φ1は基準軸から車両位置1’へのヨー角変化を示し、角度φ2は基準軸から車両位置2’へのヨー角変化を示し、角度φ3は基準軸から車両位置3’へのヨー角変化を示す。
【0068】
また、角度θ1はリファレンス位置1と車両位置1’とのヨー角偏差を示し、角度θ2はリファレンス位置2と車両位置2’とのヨー角偏差を示し、角度θ3はリファレンス位置3と車両位置3’とのヨー角偏差を示す。
【0069】
また、角度β1は後方車両50から見たときの自車両30への第2相対角度を示し、角度β2aは自車両30から見たときの後方車両50への第4相対角度を示し、角度β2bは自車両30から見たときの前方車両40への第3相対角度を示し、角度β3は前方車両40から見たときの自車両30への第1相対角度を示す。
【0070】
上述の式(1)~式(3)に基づいて、自車両30のリファレンス位置2でのヨー角α1は、下記の式(4)により導出される。但し、Lは曲線長を示す。
【0071】
【0072】
上述の式(1)~式(3)に基づいて、前方車両40のリファレンス位置3でのヨー角α2は、下記の式(5)により導出される。但し、Lは曲線長を示す。
【0073】
【0074】
また、クロソイド曲線上の自車両30及び前方車両40の各々のリファレンス位置を表す座標(x,y)は、下記の式により定義される。
【0075】
【0076】
すなわち、数値積分によりある地点{座標(x,y)、速度(vx,vy)}から曲率半径R=1/ρで曲がったときの、距離dLだけ進んだ時点の変化量を算出し、足し合わせていくことで求める。なお、速度(vx,vy)は、車輪速センサ19により取得される。
【0077】
ステップ104では、CPU11が、上述の
図4に示す相対関係情報、つまり、第3相対角度、第1距離、第4相対角度、及び第2距離を算出する。ここで、
図8を参照して、相対関係情報算出方法について具体的に説明する。
【0078】
図8は、第1の実施形態に係る相対関係情報算出方法の説明に供する図である。
【0079】
(S1)では、自車両30から後方車両50を撮影して得られた画像から、自車両30から見たときの自車両30と後方車両50との第4相対角度(=β2a)が算出される。
【0080】
(S2)では、後方車両50から自車両30を撮影して得られた画像から、後方車両50から見たときの後方車両50と自車両30との第2相対角度(=β1)が算出される。
【0081】
(S3)では、前方車両40から自車両30を撮影して得られた画像から、前方車両40から見たときの前方車両40と自車両30との第1相対角度(=β3)が算出される。
【0082】
(S4)では、自車両30から前方車両40を撮影して得られた画像から、自車両30から見たときの自車両30と前方車両40との第3相対角度(=β2b)が算出される。
【0083】
また、各車両間の距離である第1距離及び第2距離は、上述したように、自車両30に設けられたミリ波レーダ18の検出結果から算出される。
【0084】
ステップ105では、CPU11が、上述した第1相対角度、第2相対角度、リファレンス情報、及び相対関係情報に基づいて、自車両30の曲率、ヨー角偏差、及び横位置偏差を推定する。
【0085】
自車両30の曲率は、一例として、上述したように、前方車両40の位置での第1曲率と、後方車両50の位置での第2曲率との平均値として求められる。
【0086】
CPU11は、自車両30の第3ヨー角偏差及び第4ヨー角偏差を求める。まず、上述の式(4)で求めたリファレンス位置2での自車両30のヨー角α1と、自車両30と後方車両50との相対的な位置関係とから、自車両30の第3ヨー角偏差θ2を求める。具体的には、下記の式(6)により求められる。
【0087】
【0088】
【0089】
次に、上述の式(5)で求めたリファレンス位置3での前方車両40のヨー角α2と、自車両30と前方車両40との相対的な位置関係とから、自車両30の第4ヨー角偏差θ'2を求める。具体的には、下記の式(7)により求められる。
【0090】
【0091】
【0092】
この場合、一例として、上記式(6)で求めた第3ヨー角偏差θ2と、上記式(7)で求めた第4ヨー角偏差θ'2との平均値を、自車両30のヨー角偏差とする。
【0093】
CPU11は、自車両30の第3横位置偏差及び第4横位置偏差を求める。第3横位置偏差は、リファレンス位置2での自車両30の座標と、自車両30と後方車両50との相対的な位置関係とから求められる。また、第4横位置偏差は、リファレンス位置3での前方車両40の座標と、自車両30と前方車両40との相対的な位置関係とから求められる。
【0094】
図9は、第1の実施形態に係る自車両30の横位置偏差推定方法の説明に供する図である。
【0095】
リファレンス位置1及びリファレンス位置3から、
図9に示す後方車両50の車両位置1’の座標と、前方車両40の車両位置3’の座標とが算出される。つまり、前方車両40と自車両30との相対的な位置関係と、自車両30と後方車両50との相対的な位置関係とが分かっているため、自車両30の車両位置2’を算出することができる。そして、自車両30の車両位置2’とリファレンス位置2とを比較することで、後方車両50の車両位置1’の座標と、前方車両40の車両位置3’の座標とを算出することができる。
【0096】
ステップ106では、CPU11が、自車位置推定処理の終了タイミングが到来したか否かを判定する。終了タイミングが到来していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ100に戻り処理を繰り返し、終了タイミングが到来したと判定した場合(肯定判定の場合)、本自車位置推定プログラム15Aによる一連の処理を終了する。
【0097】
一方、ステップ107では、CPU11が、ステップ101で認識した白線認識結果から、自車両30の相対的な位置を推定し、ステップ106に移行する。
【0098】
このように本実施形態によれば、曲線道路において、前方車両だけでなく、後方車両からも情報を受け取ることで、前方車両からの情報及び後方車両からの情報が同時に途絶しない限り、自車両の位置を精度が劣化することなく推定することができる。
【0099】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、曲線道路において隊列走行を行う形態について説明した。本実施形態では、直線道路において隊列走行を行う形態について説明する。
【0100】
図10は、第2の実施形態に係る直線道路での隊列走行の様子の一例を示す平面図である。
【0101】
図10に示す直線道路の場合、前方車両40のヨー角偏差及び横位置偏差と、後方車両50のヨー角偏差及び横位置偏差とは、各車両のセンシングによって取得される。また、直線道路であるため、曲線道路の場合と異なり、リファレンス位置は直線上に位置する。曲線道路の場合と同様に、カメラ及びレーダを用いることで、自車両30のヨー角偏差及び横位置偏差を求めることができる。
【0102】
このように本実施形態によれば、直線道路の場合でも、前方車両だけでなく、後方車両からも情報を受け取ることで、前方車両からの情報及び後方車両からの情報が同時に途絶しない限り、自車両の位置を精度が劣化することなく推定することができる。
【0103】
なお、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0104】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0105】
以上、実施形態として自車位置推定装置を例示して説明した。実施形態は、コンピュータを、自車位置推定装置が備える各部として機能させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、このプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
【0106】
その他、上記実施形態で説明した自車位置推定装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0107】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 自車位置推定装置
11 CPU
11A 白線認識部
11B 取得部
11C 推定部
12 ROM
13 RAM
14 I/O
15 記憶部
15A 自車位置推定プログラム
16 前方カメラ
17 後方カメラ
18 ミリ波レーダ
19 車輪速センサ
20 通信部
30 自車両
40 前方車両
50 後方車両
90 車線