(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】現場支援装置、及び現場支援装置システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241106BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020101088
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】印藤 正裕
(72)【発明者】
【氏名】仲林 清文
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-164741(JP,A)
【文献】特開2015-195451(JP,A)
【文献】特開2016-201074(JP,A)
【文献】特開2014-146169(JP,A)
【文献】特開2018-055463(JP,A)
【文献】特開2020-039052(JP,A)
【文献】大成建設株式会社,既存建物内を効率的に図面化する「T-Siteview<R>Draw」を開発 [online],2019年03月18日,[令和6年6月20日検索], インターネット<URL : https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/190318_4598.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60L 15/20
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場に電力を供給する分電盤に接続される現場支援装置であって、
表示部と、
建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報であって、少なくとも前記分電盤による使用電力量を含む状態情報を収集し、収集した前記状態情報を情報記憶部に記憶させる収集処理部と、
前記建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を取得する情報取得部と、
前記収集処理部が収集した前記状態情報に基づく管理情報と、前記情報取得部が取得した前記作業情報とを前記表示部に表示させる表示制御部と
を備え、
前記状態情報には、前記建設現場
を巡回する巡回ロボットの巡回経路
上の各ノードにおいて周囲環境の状態を撮像した撮像画像データを画面分割して得られた展開画像データが含まれ、
前記表示制御部は、前記展開画像データに基づいて
前記巡回経路上のノード毎における作業の進捗を診断し生成された前記建設現場における作業の進捗状況を示す進捗情報を、前記管理情報として前記表示部に表示させ
、
前記収集処理部は、前記巡回経路上の各ノードにおいて収集した前記状態情報を、前記ノード毎に前記情報記憶部に記憶させる、
ことを特徴とする現場支援装置。
【請求項2】
前記収集処理部が収集した前記使用電力量を集計する集計処理部と、
前記集計処理部が集計した集計結果に基づいて、使用電力を監視する電力監視部と
を備え、
前記表示制御部は、前記集計結果、及び前記電力監視部が監視する監視結果を、前記管理情報として、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の現場支援装置。
【請求項3】
前記展開画像データに基づいて、作業者の作業状況を示す作業者情報を生成する作業者管理部を備え、
前記表示制御部は、前記作業者管理部が生成した前記作業者情報を、前記管理情報として、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現場支援装置。
【請求項4】
前記状態情報には、温度、湿度、風速情報、騒音情報、又は振動情報が含まれ、
前記表示制御部は、前記温度、前記湿度、前記風速情報、前記騒音情報、又は前記振動情報に基づく前記管理情報を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の現場支援装置。
【請求項5】
前記作業情報には、前記建設現場における安全基準に関する情報が含まれ、
前記表示制御部は、前記安全基準に関する情報を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の現場支援装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の現場支援装置と、
前記分電盤と、
前記状態情報を検出する検出部と、
前記撮像画像データを画面分割して前記展開画像データを得る展開処理部と、
前記展開画像データに基づいて前記建設現場
の巡回経路上のノード毎における作業の進捗
を診断し、進捗状況を示す前記進捗情報を生成する進捗管理部と
を備えることを特徴とする現場支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場支援装置、及び現場支援装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設現場の周囲環境の状態を示す計測情報を収集する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。上述した従来技術では、建設現場内を移動する工事関係者に携帯させた携帯端末を利用して、建設現場の所定の場所に配置されたセンサ装置が計測した計測情報を収集していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、建設現場の係員が巡回して、例えば、進捗管理、職人管理、品質管理、及び安全管理などの管理情報を収集したり、上述した技術により、建設現場の所定の場所に配置されたセンサ装置が計測した一部の計測情報を収集するものであり、建設現場で利用する様々な情報を統合して収集及び管理することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、建設現場において、建設現場で利用する様々な情報を統合して収集及び管理することができる現場支援装置、及び現場支援装置システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、建設現場に電力を供給する分電盤に接続される現場支援装置であって、表示部と、建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報であって、少なくとも前記分電盤による使用電力量を含む状態情報を収集し、収集した前記状態情報を情報記憶部に記憶させる収集処理部と、前記建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を取得する情報取得部と、前記収集処理部が収集した前記状態情報に基づく管理情報と、前記情報取得部が取得した前記作業情報とを前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記状態情報には、前記建設現場を巡回する巡回ロボットの巡回経路上の各ノードにおいて周囲環境の状態を撮像した撮像画像データを画面分割して得られた展開画像データが含まれ、前記表示制御部は、前記展開画像データに基づいて前記巡回経路上のノード毎における作業の進捗を診断し生成された前記建設現場における作業の進捗状況を示す進捗情報を、前記管理情報として前記表示部に表示させ、前記収集処理部は、前記巡回経路上の各ノードにおいて収集した前記状態情報を、前記ノード毎に前記情報記憶部に記憶させる、ことを特徴とする現場支援装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記に記載の現場支援装置と、前記分電盤と、前記状態情報を検出する検出部と、前記撮像画像データを画面分割して前記展開画像データを得る展開処理部と、前記展開画像データに基づいて前記建設現場の巡回経路上のノード毎における作業の進捗を診断し、進捗状況を示す前記進捗情報を生成する進捗管理部とを備えることを特徴とする現場支援システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、建設現場において、建設現場で利用する様々な情報を統合して収集及び管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態による現場支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態によるスマートステーションの設置例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態による現場支援システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】第1の実施形態における地図情報及び巡回経路の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態における360度画像の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態における展開画像の一例を説明する図である。
【
図7】第1の実施形態における進捗管理表の一例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における進捗状況マップの一例を示す図である。
【
図9】第1の実施形態による巡回ロボットの情報収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態による現場支援システムの進捗管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第2の実施形態による現場支援システムの一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による巡回ロボット、現場支援装置、及び現場支援システムについて、図面を参照して説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
第1の実施形態による現場支援システム1は、建設現場に設置されるシステムであり、建設現場の各種情報を収集する情報収集システムであるとともに、建設現場の作業に関する様々の情報を管理し、表示部23に表示する。現場支援システム1は、建設現場において、様々な情報を提供して、建設作業を支援する支援システムである。
【0012】
図1は、本実施形態による現場支援システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、現場支援システム1は、巡回ロボット10と、スマートステーション20と、スマート分電盤30(30-1、30-2、30-3、30-4)と、現場サーバ40と、外部サーバ50とを備える。
【0013】
なお、本実施形態において、スマート分電盤30-1、スマート分電盤30-2、スマート分電盤30-3、及び、スマート分電盤30-4のそれぞれは、同一の構成であり、現場支援システム1が備える任意のスマート分電盤を示す場合、又は特に区別しない場合には、スマート分電盤30として説明する。
【0014】
巡回ロボット10は、建設現場を自動で巡回して、建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報を収集する。状態情報は、例えば、建設現場を撮像した撮像画像データや、各種センサーの検出情報などである。巡回ロボット10は、定期的(例えば、2時間ごと)に、巡回して撮像画像データなどの状態情報を収集するとともに、巡回後にスマートステーション20と接続して、収集した状態情報を記憶させる。また、巡回ロボット10は、利用者の指示に応じて、検査巡回や臨時の巡回を行い、各種状態の確認、検査を行う。
【0015】
また、巡回ロボット10は、スマートステーション20に接続されている際に、自動巡回するための動力源として使用する不図示のバッテリがスマートステーション20によって充電されるようにしてもよい。
【0016】
スマートステーション20(現場支援装置の一例)は、巡回ロボット10が取得した状態情報を収集して記憶する情報収集装置である。また、スマートステーション20は、建設現場に電力を供給するスマート分電盤30(30-1~30-4)に接続され、少なくともスマート分電盤30による使用電力量、巡回ロボット10が収集した撮像画像データなどを含む状態情報を収集する。
【0017】
また、スマートステーション20は、建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を、現場サーバ40又は外部サーバ50から取得する。スマートステーション20は、状態情報に基づく管理情報や、現場サーバ40又は外部サーバ50から取得した作業情報を、表示部23に表示させる。
【0018】
スマート分電盤30(分電盤の一例)は、建設現場に設置され、例えば、建設現場で電動工具や照明などを使用するために、建設現場に電力を供給する。スマート分電盤30は、例えば、建設中の建物の各フロアに所定の台数(例えば、4台、等)設置される。スマート分電盤30は、使用電力量を検出する機能や、例えば、無線LANなどの無線通信を利用して、各種状態情報を取得する機能を有している。
【0019】
現場サーバ40は、建設現場に設置された情報サーバ装置であり、例えば、建設現場内に構築されたローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)を介して、設計図面及び作業指示書などの各種作業情報をスマートステーション20に提供する。現場サーバ40は、例えば、建設現場の現場事務所OF1に設置されている。
【0020】
外部サーバ50は、建設現場の外に設置された、例えば、クラウドサーバなどのサーバ装置である。外部サーバ50は、公衆ネットワークNW1(WAN:Wide Area Network)に接続されており、現場サーバ40を経由して、設計図面及び作業指示書などの各種作業情報をスマートステーション20に提供する。
【0021】
図2は、本実施形態によるスマートステーション20の設置例を示す図である。
図2に示すように、現場サーバ40には、複数のスマートステーション20が接続されており、複数のスマートステーション20は、例えば、建設中のビルBLDの各フロアに系統毎(例えば、系統K1毎、系統K2毎)に配置されている。また、複数のスマートステーション20は、系統毎(例えば、系統K1毎、系統K2毎)に、キュービクル80から電力を供給される。
【0022】
キュービクル80は、キュービクル式高圧受変電設備であり、発電所から変電所を通して送られてくる高電圧の電気を100Vや200Vに降圧する受電設備である。キュービクル80は、スマートステーション20及びスマート分電盤30に電力を供給する。
【0023】
次に、
図3を参照して、本実施形態による現場支援システム1の各構成の詳細について説明する。
図3は、本実施形態による現場支援システム1の一例を示す機能ブロック図である。
【0024】
図3に示すように、現場支援システム1は、巡回ロボット10と、スマートステーション20と、スマート分電盤30と、現場サーバ40と、外部サーバ50と、センサー部60と、携帯端末70とを備える。
また、巡回ロボット10は、カメラ11と、無線通信部12と、駆動部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0025】
カメラ11(撮像部の一例)は、例えば、360度の画像を撮像可能なカメラであり、巡回ロボット10の周辺の360度の画像(撮像画像データ)を撮像可能な位置に配置されている。カメラ11は、例えば、巡回ロボット10が建設現場を巡回した際に、360度の画像を撮像する。
【0026】
無線通信部12は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線などの無線通信により、例えば、センサー部60などとの間で通信を行う。無線通信部12は、例えば、巡回ロボット10が建設現場を巡回した際に、例えば、センサー部60が検出した各種状態情報を取得する。
【0027】
駆動部13は、巡回ロボット10を建設現場を自立移動可能な駆動装置であり、例えば、駆動用のモータ、バッテリ、及び位置検出や障害物を検出するための各種センサー等を含んでいる。
【0028】
記憶部14は、巡回ロボット10が利用する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば、地図情報記憶部141と、巡回経路記憶部142と、収集情報記憶部143とを備える。
【0029】
地図情報記憶部141は、巡回ロボット10が巡回する建設現場の地図情報を記憶する。地図情報記憶部141は、例えば、
図4に示すような地図情報MAPを記憶する。
図4は、本実施形態における地図情報及び巡回経路の一例を示す図である。
図4に示す例では、地図情報MAPは、例えば、建設中の建物のフロアの地図を示している。すなわち、地図情報記憶部141は、建設中の建物のフロアごとの地図情報を記憶するようにしてもよい。
【0030】
図3の説明に戻り、巡回経路記憶部142は、巡回ロボット10が巡回する巡回経路を記憶する。巡回経路記憶部142は、例えば、
図4に示すように、複数のノード(ノードND)を含む予め定められた巡回経路RTを記憶する。ここで、ノードNDは、
図4に示す巡回経路RT上の黒丸であり、建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報を取得する地点である。
【0031】
再び、
図3の説明に戻り、収集情報記憶部143は、巡回ロボット10が収集した状態情報を、ノードごとに記憶する。収集情報記憶部143は、状態情報として、例えば、360度の画像データ、センサー部60や携帯端末70から収集した各種情報、等を記憶する。なお、収集情報記憶部143は、ノードごとの状態情報と取得した日時情報とを対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0032】
制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、巡回ロボット10を統括的に制御する。制御部15は、例えば、巡回処理部151と、収集処理部152とを備える。
【0033】
巡回処理部151は、建設現場の地図情報と、巡回経路とに基づいて、駆動部13によって自立移動させるとともに、ノードに到達した場合に、カメラ11による360度の画像を撮像させて、少なくとも360度の画像を含む状態情報を取得する。巡回処理部151は、定期的(例えば、2時間ごと)に、例えば、地図情報記憶部141が記憶する地図情報と、巡回経路記憶部142が記憶する巡回経路とに基づいて、駆動部13を用いて、巡回経路に沿って巡回ロボット10を移動させる。
また、巡回処理部151は、検査巡回や臨時の巡回をする場合などには、例えば、スマートステーション20が受け付けた利用者の指示に応じて、駆動部13を用いて、指示された巡回経路に沿って巡回ロボット10を移動させる巡回処理を実行する。
【0034】
巡回処理部151は、巡回経路上のノードに到達した場合に、例えば、
図5に示す画像G1のような、各ノードにおける360度の撮像画像データを、状態情報として、カメラ11により取得する。また、巡回処理部151は、ノードにおけるセンサー部60が検出した検出情報や、ノードの周辺にいる作業者が所持する携帯端末からの情報などを、状態情報として、無線通信部12のより取得する。
また、巡回処理部151は、取得した状態情報をノードごとに、収集情報記憶部143に記憶させる。
【0035】
収集処理部152は、巡回処理部151が取得した状態情報をスマートステーション20に記憶させる。収集処理部152は、定期的な巡回が完了して、スマートステーション20に接続された場合に、収集情報記憶部143が記憶する状態情報を、スマートステーション20に送信して、スマートステーション20の収集情報記憶部242に状態情報を記憶させる。
【0036】
現場サーバ40は、展開処理部41と、進捗管理部42と、制御指示部43とを備えている。
展開処理部41(分割処理部の一例)は、巡回処理部151が取得した360度の画像を、所定の範囲の部分画像に分割する。展開処理部41は、例えば、
図6に示すように、360度の画像データから展開画像データ(部分画像)を生成する。ここで、
図6を参照して、展開処理部41による展開画像データの生成処理の詳細について説明する。
【0037】
図6は、本実施形態における展開画像の一例を説明する図である。
展開処理部41は、スマートステーション20の収集情報記憶部242から360度の画像を取得し、
図6(a)に示すように、360度の画像を、前後左右及び上面(天井)の5つに分割して、展開画像データを生成する。展開処理部41は、例えば、展開画像SG1~展開画像SG4と、天井の展開画像SG0とを生成する。
【0038】
図6(b)は、
図5に示す360度の画像G1を、展開画像SG0~展開画像SG4の5つの部分画像に分割した一例を示している。展開処理部41は、生成(分割)した展開画像SG0~展開画像SG4を、状態情報として、ノードごとに、後述するスマートステーション20の収集情報記憶部242に追加で記憶させる。
【0039】
再び、
図3の説明に戻り、進捗管理部42は、巡回ロボット10か取得した撮像画像データに基づいて、建設現場における作業の進捗状況を示す進捗情報を生成する。進捗管理部42は、例えば、展開処理部41が分割した展開画像データ(部分画像)に基づいて、ノードごとに作業の進捗状況を示す進捗情報を生成する。進捗管理部42は、分割した展開画像データごとに進捗を診断して、進捗情報を生成する。進捗管理部42は、例えば、収集情報記憶部242が記憶するノードごとの展開画像データを、日時情報の示す日時で比較して、ノードごと進捗情報を生成する。進捗管理部42は、生成した進捗情報をスマートステーション20の管理情報記憶部243に記憶させる。
【0040】
また、進捗管理部42は、作業の種類ごとに進捗情報を生成し、作業の種類ごとの進捗情報を表にした進捗管理表を生成する。進捗管理部42は、例えば、
図7に示すような進捗管理表を生成する。
図7は、本実施形態における進捗管理表の一例を示す図である。
図7に示すように、進捗管理部42は、各作業工程に対応した進捗情報を0%~100%で表し、例えば、建設現場の階数及び室名ごとに表にまとめた進捗管理表を生成する。進捗管理部42は、生成した進捗管理表をスマートステーション20の管理情報記憶部243に記憶させる。
【0041】
また、進捗管理部42は、進捗情報に基づいて、地図情報に、作業の進捗状況を視覚化して重畳した進捗状況マップを生成する。進捗管理部42は、例えば、
図8に示すような進捗状況マップを生成する。
図8は、本実施形態における進捗状況マップの一例を示す図である。
【0042】
図8に示すように、進捗管理部42は、進捗情報に基づいて、上述した
図4に示す地図情報MAPを、進捗情報に応じて、“範囲外”、“~60%”(60%未満)、“~80%”(60%以上80%未満)、“~100%”(80%以上100%以下)に、視覚的に区別できるようにして、進捗状況マップを生成する。進捗管理部42は、生成した進捗状況マップをスマートステーション20の管理情報記憶部243に記憶させる。
【0043】
制御指示部43は、現場事務所OF1の利用者からの各種指示を受け付けて、各種指示をスマートステーション20に送信して、各種制御を実行させる。制御指示部43は、例えば、電源供給をリモートで停止させるなど、現場事務所OF1からスマート分電盤30を制御する指示を、スマートステーション20に送信して、スマートステーション20に実行させる。
【0044】
センサー部60(検出部の一例)は、各種状態情報を検出する。センサー部60は、例えば、温度、湿度、風速情報、騒音情報、及び振動情報などを状態情報として検出する。センサー部60は、例えば、無線通信機能を有し、巡回ロボット10がセンサー部60の周辺に近づいた場合に、検出した状態情報を巡回ロボット10に送信する。
【0045】
携帯端末70は、例えば、作業者が所持する携帯電話、スマートフォンなどであり、巡回ロボット10がセンサー部60の周辺に近づいた場合に、作業者に関する情報(例えば、作業者を識別する識別情報、作業者のバイタル情報や作業内容など)を、状態情報として、無線通信により巡回ロボット10に送信する。
【0046】
なお、センサー部60と携帯端末70とは、例えば、現場内ネットワークNW2に接続可能であり、現場内ネットワークNW2を介して、状態情報をスマートステーション20に送信して、スマートステーション20の収集情報記憶部242に記憶させるようにしてもよい。
【0047】
スマートステーション20は、NW(ネットワーク)通信部21と、入力部22と、表示部23と、装置記憶部24と、装置制御部25とを備える。
NW通信部21は、例えば、有線LANや無線LANなどにより通信する通信部であり、現場サーバ40に接続可能である。また、NW通信部21は、現場サーバ40を介して、公衆ネットワークNW1に接続可能である。NW通信部21は、例えば、現場サーバ40又は外部サーバ50から作業情報を受信する。
【0048】
入力部22は、例えば、タッチパネルなどの入力装置であり、利用者からの各種入力を受け付ける。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置であり、スマートステーション20が収集した状態情報に基づく管理情報や、現場サーバ40又は外部サーバ50から取得した作業情報などを表示する。
【0049】
装置記憶部24は、スマートステーション20が利用する各種情報を記憶する。装置記憶部24は、例えば、作業情報記憶部241と、収集情報記憶部242と、管理情報記憶部243とを備える。
【0050】
作業情報記憶部241は、例えば、建設現場における設計図面及び作業指示書などの作業に関連する作業情報を記憶する。作業情報記憶部241は、後述する情報取得部252が取得した作業情報を記憶する。
【0051】
収集情報記憶部242(情報記憶部の一例)は、巡回ロボット10、スマート分電盤30、センサー部60、及び携帯端末70などにより収集した状態情報を記憶する。収集情報記憶部242は、例えば、巡回ロボット10が収集した状態情報をノードごとに日時情報と対応付けて記憶する。
【0052】
管理情報記憶部243は、収集した状態情報に基づいて生成した各種管理情報を記憶する。管理情報には、例えば、進捗管理表や進捗状況マップなどの進捗情報、電力監視情報、作業者情報などが含まれる。
【0053】
装置制御部25は、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、スマートステーション20を統括的に制御する。装置制御部25は、例えば、収集処理部251と、情報取得部252と、集計処理部253と、電力監視部254と、作業者管理部255と、資機材管理部256と、表示制御部257とを備える。
【0054】
収集処理部251は、上述した状態情報を収集し、収集した状態情報を収集情報記憶部242に記憶させる。収集処理部251は、例えば、巡回ロボット10やスマート分電盤30を経由して取得された状態情報を、収集情報記憶部242に記憶させる。なお、収集処理部251は、例えば、巡回ロボット10によって収集された状態情報(例えば、360度の撮像画像データや展開画像データなど)を、ノードごとに、日時情報と対応付けて、収集情報記憶部242に記憶させる。
また、収集処理部251は、例えば、スマート分電盤30による使用電力量を、状態情報としてを収集し、収集した状態情報を収集情報記憶部242に記憶させる。
【0055】
情報取得部252は、建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を取得する。作業情報は、例えば、建設現場において、閲覧する設計図面、作業指示書、建設現場における安全基準に関する情報などであり、情報取得部252は、作業情報を、NW通信部21を介して、例えば、現場サーバ40又は外部サーバ50から取得する。情報取得部252は、取得した作業情報を作業情報記憶部241に記憶させる。
【0056】
集計処理部253は、収集処理部251が収集した使用電力量を集計する。集計処理部253は、例えば、スマート分電盤30から収集した、建設現場における使用電力量を集計して、当該集計結果を、管理情報記憶部243に記憶させる。
【0057】
電力監視部254は、集計処理部253が集計した集計結果に基づいて、使用電力を監視する。電力監視部254は、例えば、日にちごと、及び時間ごとの使用電力量と、計画電力量と比較して、使用電力を監視する。電力監視部254は、使用電力量が計画電力量を上回った場合、又は上回る可能性がある場合に、後述する表示制御部257を介して、表示部23に警告を示すメッセージを表示させるようにしてもよい。また、電力監視部254は、例えば、使用電力量の集計結果と計画電力量との比較結果(例えば、グラフ、表)などを管理情報記憶部243に記憶させる。
【0058】
作業者管理部255は、展開処理部41が分割した展開画像データ(部分画像)に基づいて、作業者の作業状況(例えば、予定された作業を行っているか、等)を示す作業者情報を生成する。作業者管理部255は、例えば、既存の画像認識技術を用いて、展開画像データに含まれる作業者を識別し、作業者の作業状況を判定する。
【0059】
なお、作業者管理部255は、作業者が所持する携帯端末70から収集した情報(例えば、作業者の識別情報など)により、作業者の作業状況を示す作業者情報を生成するようにしてもよい。作業者情報は、例えば、作業者の人数、作業内容などの情報や、当該作業者情報を表やグラフにまとめた管理情報である。作業者管理部255は、生成した作業者情報を管理情報記憶部243に記憶させる。
【0060】
資機材管理部256は、建設現場において使用する資機材の数量などを管理する。資機材管理部256は、例えば、建設現場への資機材の搬入、及び資機材の使用に応じて、管理情報記憶部243が記憶する資機材管理情報を変更する。
【0061】
表示制御部257は、収集処理部251が収集した状態情報に基づく管理情報と、情報取得部252が取得した作業情報とを表示部23に表示させる。表示制御部257は、例えば、入力部22が利用者の操作により受け付けた操作情報に応じて、表示する情報を切り替えて、表示部23に表示させる。
【0062】
表示制御部257は、例えば、集計処理部253が集計した使用電力量の集計結果、及び電力監視部254が監視する監視結果を、管理情報として、表示部23に表示させる。
また、表示制御部257は、例えば、進捗管理部42が生成した進捗情報(例えば、進捗管理表や進捗状況マップなど)を、管理情報として、表示部23に表示させる。
【0063】
また、表示制御部257は、例えば、作業者管理部255が生成した作業者情報を、管理情報として、表示部23に表示させる。
また、表示制御部257は、例えば、資機材管理部256が変更及び管理している資機材管理情報を、管理情報として、表示部23に表示させる。
このように、表示制御部257は、利用者の操作に応じて、管理情報記憶部243が記憶する管理情報を選択して、表示部23に表示させる。
【0064】
なお、状態情報には、温度、湿度、風速情報、騒音情報、又は振動情報が含まれ、表示制御部257は、例えば、温度、湿度、風速情報、騒音情報、又は振動情報に基づく管理情報を、表示部23に表示させる。
また、作業情報には、例えば、建設現場における設計図面及び作業指示書、建設現場における安全基準に関する情報などが含まれ、表示制御部257は、利用者の操作に応じて、例えば、設計図面及び作業指示書、及び安全基準に関する情報などを、作業情報として選択して、表示部23に表示させる。すなわち、表示制御部257は、利用者の操作に応じて、作業情報記憶部241が記憶する作業情報を選択して、表示部23に表示させる。
【0065】
なお、表示制御部257は、利用者の操作に応じて、上記の情報の他に、例えば、TC(タワークレーン)/ELV(エレベータ)の揚重・稼働状況の確認情報、立入禁止などデジタルサイネージ情報、鉄骨の状況や車両の入退場、検査状況、及び、作業者の入退出管理情報、等の様々な情報を表示部23に表示させるようにしてもよい。
【0066】
次に、図面を参照して、本実施形態による現場支援システム1の動作について説明する。
図9は、本実施形態による巡回ロボット10の情報収集処理の一例を示すフローチャートである。なお、巡回ロボット10は、通常時に、スマートステーション20の位置に配置されており、スマートステーション20と接続されているものとする。
【0067】
図9に示すように、巡回ロボット10は、まず、巡回時刻になったか否かを判定する(ステップS101)。巡回ロボット10の巡回処理部151は、例えば、2時間おきの巡回時刻に達したか否かを判定する。巡回処理部151は、巡回時刻になった場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進め、巡回ロボット10は、スマートステーション20の位置から自立移動を開始する。また、巡回処理部151は、巡回時刻になっていない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
なお、
図9に示す例では、巡回ロボット10が、2時間おきに巡回する例であり、利用者の指示に応じて、検査巡回や臨時の巡回をする場合にも、巡回処理部151は、同様に、処理をステップS102に進める。
【0068】
ステップS102において、巡回処理部151は、地図情報と、巡回経路とに基づいて、ノードの位置に移動させる。巡回処理部151は、例えば、地図情報記憶部141が記憶する地図情報と、巡回経路記憶部142が記憶する巡回経路とに基づいて、駆動部13を用いて、巡回経路に沿って巡回ロボット10を次のノードの位置に移動させる。
【0069】
次に、巡回処理部151は、360度の画像を撮像するとともに各種状態情報を取得する(ステップS103)。巡回処理部151は、カメラ11に、ノードの位置における360度の画像を撮像させて、当該360度の画像データを取得するとともに、例えば、センサー部60などから各種状態情報(例えば、温度、湿度、風速情報、騒音情報、又は振動情報など)を取得する。巡回処理部151は、取得した360度の画像データを含む各種状態情報を収集情報記憶部143に記憶させる。
【0070】
次に、巡回処理部151は、現在のノードが、巡回経路上の最後のノードであるか否かを判定する(ステップS104)。巡回処理部151は、現在のノードが、最後のノードである場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、巡回処理部151は、現在のノードが、最後のノードでない場合(ステップS104:NO)に、処理をステップS102に戻し、次のノードの位置に巡回ロボット10を移動させる。
【0071】
ステップS105において、巡回処理部151は、スマートステーションの位置に戻って、スマートステーション20と接続する。巡回処理部151は、駆動部13を用いて、巡回経路に沿って巡回ロボット10をスマートステーション20の位置に移動させ、スマートステーション20と巡回ロボット10とを接続させる。
【0072】
次に、巡回ロボット10の収集処理部152は、スマートステーション20に状態情報を送信して記憶させる(ステップS106)。収集処理部152は、収集情報記憶部143が記憶する各種状態情報を、スマートステーション20に送信し、スマートステーション20の収集情報記憶部242に記憶させる。ステップS106の処理後に、収集処理部152は、処理をステップS101に戻し、巡回ロボット10を次の巡回時刻までスマートステーション20の位置に待機させる。
【0073】
次に、
図10を参照して、本実施形態による現場支援システム1の進捗管理処理について説明する。
図10は、本実施形態による現場支援システム1の進捗管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
図10に示すように、現場支援システム1のスマートステーション20は、まず、状態情報の記憶要求を受信したか否かを判定する(ステップS201)。スマートステーション20の収集処理部251は、巡回ロボット10か接続され、巡回ロボット10の収集処理部152からの状態情報の記憶要求を受信したか否かを判定する。収集処理部251は、記憶要求を受信した場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、収集処理部251は、記憶要求を受信していない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0075】
ステップS202において、収集処理部251は、状態情報を収集情報記憶部242に記憶させる。収集処理部251は、巡回ロボット10が巡回により収集した状態情報(例えば、360度の画像データ)を受信し、当該状態情報を収集情報記憶部242に記憶させる。
【0076】
次に、現場サーバ40の展開処理部41は、360度の画像から展開画像を生成する(ステップS203)。展開処理部41は、装置制御部25からの指示により、360度の画像データを分割して、
図6に示すような5つの展開画像(例えば、画像SG0~画像SG4)を生成する。展開処理部41は、生成した展開画像データを、状態情報の一部として、スマートステーション20の収集情報記憶部242に記憶させる。
【0077】
次に、現場サーバ40の進捗管理部42は、状態情報から進捗情報を生成する(ステップS204)。進捗管理部42は、装置制御部25からの指示により、例えば、収集情報記憶部242が記憶するノードごとの展開画像データを、日時情報の示す日時で比較して、ノードごと進捗情報を生成する。進捗管理部42は、生成した進捗情報を管理情報記憶部243に記憶させる。
【0078】
次に、進捗管理部42は、進捗情報から進捗管理表及び進捗状況マップを生成する(ステップS205)。進捗管理部42は、生成した進捗情報に基づいて、例えば、
図7に示すような進捗管理表を生成するとともに、
図8に示すような進捗状況マップを生成する。
【0079】
次に、進捗管理部42は、進捗管理表及び進捗状況マップを管理情報記憶部243に記憶させる(ステップS206)。ステップS206の処理後に、進捗管理部42は、処理をステップS201に戻す。
【0080】
次に、本実施形態によるスマートステーション20の各種情報の表示処理について説明する。
スマートステーション20の表示制御部257は、入力部22による利用者の操作に応じて、作業情報記憶部241が記憶する作業情報、管理情報記憶部243が記憶する管理情報などの各種情報を、選択して、表示部23に表示させる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態による巡回ロボット10は、建設現場を自立移動可能な駆動部13と、画像(例えば、360度の画像)を撮像可能なカメラ11(撮像部)と、巡回処理部151とを備える。巡回処理部151は、建設現場の地図情報(例えば、
図4の地図情報MAP)と、建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報を取得する地点であるノードを含む予め定められた巡回経路(例えば、
図4の巡回経路RT)とに基づいて、駆動部13によって自立移動させる。また、巡回処理部151は、巡回ロボット10がノードに到達した場合に、カメラ11による画像を撮像させて、少なくとも画像を含む状態情報を取得する。
【0082】
これにより、本実施形態による巡回ロボット10は、建設現場を自立して巡回して状態情報を収集するため、例えば、作業者などの工事関係者の移動に依存せずに、適切な情報を効率良く収集することができる。よって、本実施形態による巡回ロボット10は、建設現場において、利便性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態による巡回ロボット10は、巡回処理部151が取得した状態情報をスマートステーション20(情報収集装置)に記憶させる収集処理部152を備える。
これにより、本実施形態による巡回ロボット10は、収集した状態情報を自動でスマートステーション20(情報収集装置)に記憶させることができるため、建設現場において、適切な情報をさらに効率良く収集することができる。
【0084】
また、本実施形態による巡回ロボット10は、巡回処理部151が取得した画像(例えば、360度の画像)を、所定の範囲の部分画像(例えば、上述した展開画像)に分割する展開処理部41(分割処理部)を備えるようにしてもよい。この場合、収集処理部152は、部分画像(例えば、上述した展開画像)を状態情報に含めて、ノードごとにスマートステーション20に記憶させる。
これにより、本実施形態による巡回ロボット10は、画像(例えば、360度の画像)を分割することで、例えば、作業の進捗などを効率良く判定することができる。
【0085】
また、本実施形態による現場支援システム1(情報収集システム)は、上述した巡回ロボット10と、巡回ロボット10が取得した状態情報を収集して記憶するスマートステーション20とを備える。
これにより、本実施形態による現場支援システム1は、上述した巡回ロボット10と同様の効果を奏し、建設現場において、適切な情報をさらに効率良く収集することができる。
【0086】
また、本実施形態による現場支援システム1は、展開処理部41と、進捗管理部42とを備える。展開処理部41は、巡回処理部151が取得した360度の画像を、所定の範囲の部分画像(例えば、上述した展開画像)に分割する。進捗管理部42は、展開処理部41が分割した部分画像(例えば、上述した展開画像)に基づいて、ノードごとに作業の進捗状況を示す進捗情報を生成する。
【0087】
これにより、本実施形態による現場支援システム1は、建設現場において、進捗情報を把握することができるため、建設現場を適切に管理できるとともに、利便性を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、進捗管理部42は、作業の種類ごとに進捗情報を生成し、作業の種類ごとの進捗情報を表にした進捗管理表(例えば、
図7参照)を生成する。
これにより、本実施形態による現場支援システム1は、作業の種類ごと進捗状況を簡単に把握することができるため、建設現場を適切に管理できるとともに、利便性を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、進捗管理部42は、進捗情報に基づいて、地図情報に、作業の進捗状況を視覚化して重畳した進捗状況マップを生成する。
これにより、本実施形態による現場支援システム1は、作業の進捗状況を地図情報に重ねて視覚的に把握することができるため、建設現場を適切に管理できるとともに、利便性を向上させることができる。
【0090】
また、本実施形態による現場支援システム1は、展開処理部41が分割した部分画像(例えば、上述した展開画像)に基づいて、作業者の作業状況を示す作業者情報を生成する作業者管理部255を備える。
これにより、本実施形態による現場支援システム1は、作業者の作業状況を簡単に把握することができるため、建設現場を適切に管理できるとともに、利便性を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態による現場支援システム1では、情報収集装置は、例えば、スマートステーション20である。スマートステーション20は、建設現場に電力を供給するスマート分電盤30(分電盤)に接続され、表示部23と、収集処理部251と、情報取得部252と、表示制御部257とを備える。収集処理部251は、少なくともスマート分電盤30による使用電力量を含む状態情報を収集し、収集した状態情報を収集情報記憶部242(情報記憶部)に記憶させる。情報取得部252は、建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を取得する。表示制御部257は、収集処理部251が収集した状態情報と、情報取得部252が取得した作業情報とを表示部23に表示させる。
【0092】
これにより、本実施形態による現場支援システム1では、スマートステーション20を利用して、建設現場で利用する様々な情報を統合して収集及び集中管理することができるため、効率性及び利便性をさらに向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態による情報収集方法は、巡回処理ステップと、収集ステップとを含む。巡回処理ステップにおいて、上述した巡回ロボット10が、建設現場の地図情報と、建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報を取得する地点であるノードを含む予め定められた巡回経路とに基づいて、駆動部13によって自立移動させるとともに、ノードに到達した場合に、カメラ11による画像(例えば、360度の画像)を撮像させて、少なくとも画像を含む状態情報を取得する。ここで、巡回ロボット10は、建設現場を自立移動可能な駆動部13と、画像を撮像可能なカメラ11とを備える。また、収集ステップにおいて、スマートステーション20(情報収集装置)が、巡回処理ステップによって取得された状態情報を収集して記憶する。
【0094】
これにより、本実施形態による情報収集方法は、上述した巡回ロボット10及び現場支援システム1(情報収集システム)と同様の効果を奏し、建設現場において、適切な情報を効率良く収集することができる。
【0095】
また、本実施形態によるスマートステーション20(現場支援装置)は、建設現場に電力を供給するスマート分電盤30(分電盤)に接続される現場支援装置であって、表示部23と、収集処理部251と、情報取得部252と、表示制御部257とを備える。収集処理部251は、建設現場の周囲環境の状態を示す状態情報であって、少なくともスマート分電盤30による使用電力量を含む状態情報を収集し、収集した状態情報を収集情報記憶部242(情報記憶部)に記憶させる。情報取得部252は、建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を取得する。表示制御部257は、収集処理部251が収集した状態情報に基づく管理情報と、情報取得部252が取得した作業情報とを表示部23に表示させる。
【0096】
これにより、本実施形態によるスマートステーション20は、建設現場で利用する様々な情報(例えば、状態情報、状態情報に基づく管理情報、作業情報など)を統合して収集及び集中管理することができる。よって、本実施形態によるスマートステーション20は、建設現場において、利便性を向上させることができる。
【0097】
本実施形態によるスマートステーション20は、例えば、以下の点に利点があり、建設現場において、利便性を向上させることができる。
(1)スマートステーション20は、建設現場における電力の管理が可能である。すなわち、スマートステーション20は、建設現場における漏電の管理や使用電力の管理を行うことができる。
(2)スマートステーション20は、建設現場における情報を収集する端末として機能を有している。また、スマートステーション20は、無線LANなどの通信ステーションとして機能可能である。
(3)スマートステーション20は、巡回ロボット10のステーションとして機能する。
【0098】
また、本実施形態によるスマートステーション20は、例えば、作業指示書の閲覧や、作業者向け図面の確認、建設現場での分割朝礼及びKY(危険予知)ミーティングの際の各種情報の連絡及び共有化、建設現場で問題が発生した際の対策会議における各種情報の閲覧及び確認などに利用することが可能である。また、本実施形態によるスマートステーション20は、例えば、電力量の監視、スマート分電盤30(分電盤)の監視及び管理、人(作業者)の管理、残火確認、等を効率良く行うことができ、利便性を向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態によるスマートステーション20は、収集処理部251が収集した使用電力量を集計する集計処理部253と、集計処理部253が集計した集計結果に基づいて、使用電力を監視する電力監視部254とを備える。そして、表示制御部257は、集計結果、及び電力監視部254が監視する監視結果を、管理情報として、表示部23に表示させる。
【0100】
これにより、本実施形態によるスマートステーション20は、使用電力の集計結果及び使用電力の監視結果を表示部23に表示するため、建設現場において、スマート分電盤30(分電盤)における使用電力の把握及び管理を適切に行うことができ、さらに利便性を向上させることができる。
【0101】
また、状態情報には、建設現場において周囲環境の状態を撮像した撮像画像データが含まれる。表示制御部257は、撮像画像データに基づいて生成された建設現場における作業の進捗状況を示す進捗情報を、管理情報として、表示部23に表示させる。なお、スマートステーション20は、撮像画像データに基づいて、建設現場における作業の進捗状況を示す進捗情報を生成する進捗管理部42を備え、表示制御部257は、進捗管理部42が生成した進捗情報を、管理情報として、表示部23に表示させるようにしてもよい。
【0102】
これにより、本実施形態によるスマートステーション20は、進捗情報を表示部23に表示するため、建設現場において、作業の進捗状況を適切に把握することができ、利便性をさらに向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態によるスマートステーション20は、撮像画像データに基づいて、作業者の作業状況を示す作業者情報を生成する作業者管理部255を備える。表示制御部257は、作業者管理部255が生成した作業者情報を、管理情報として、表示部23に表示させる。
これにより、本実施形態によるスマートステーション20は、作業者の作業状況を適切に把握することができ、建設現場において、利便性をさらに向上させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、状態情報には、温度、湿度、風速情報、騒音情報、又は振動情報が含まれる。表示制御部257は、温度、湿度、風速情報、騒音情報、又は振動情報に基づく管理情報を、表示部23に表示させる。なお、状態情報には、温度及び湿度の代わりに、暑さを示す暑さ指数情報(WBGT)を含めてもよい。
これにより、本実施形態によるスマートステーション20は、様々な状態情報を統合して収集及び集中管理することができる。
【0105】
また、本実施形態では、作業情報には、建設現場における安全基準に関する情報が含まれる。表示制御部257は、安全基準に関する情報を、表示部23に表示させる。
これにより、本実施形態によるスマートステーション20は、安全基準などの様々な作業情報を表示することができ、利便性をさらに向上させることができる。
【0106】
また、本実施形態による現場支援システム1は、上述したスマートステーション20と、スマート分電盤30と、状態情報を検出するセンサー部60(検出部)とを備える。なお、上述したセンサー部60、携帯端末70、及びカメラ11は、検出部の一例である。
これにより、本実施形態による現場支援システム1は、上述したスマートステーション20と同様の効果を奏し、建設現場で利用する様々な情報を統合して収集及び集中管理することができる。
【0107】
[第2の実施形態]
次に、
図11を参照して、第2の実施形態による現場支援システム1aについて、説明する。
本実施形態による現場支援システム1aは、上述した第1の実施形態における巡回ロボット10を含まない変形例について説明する。
【0108】
図11は、第2の実施形態による現場支援システム1aの一例を示す機能ブロック図である。
図11に示すように、現場支援システム1aは、スマートステーション20aと、スマート分電盤30と、現場サーバ40aと、外部サーバ50と、センサー部60と、携帯端末70とを備える。
【0109】
この図において、上述した
図3と同一の構成には、同一の符号を付与してその説明を省略する。
本実施形態による現場支援システム1aでは、巡回ロボット10を備えない点を除いて、基本的な機能及び処理は、第1の実施形態の現場支援システム1aと同様である。
【0110】
現場サーバ40aは、建設現場に設置された情報サーバ装置であり、例えば、建設現場内に構築されたローカルエリアネットワークを介して、設計図面及び作業指示書などの各種作業情報をスマートステーション20aに提供する。現場サーバ40aは、例えば、建設現場の現場事務所OF1に設置されている。また、現場サーバ40aは、現場事務所OF1の利用者からの各種指示を受け付けて、各種指示をスマートステーション20aに送信して、各種制御を実行させる。現場サーバ40aは、例えば、電源供給をリモートで停止させるなど、現場事務所OF1からスマート分電盤30を制御する指示を、スマートステーション20aに送信して、スマートステーション20に実行させる。
【0111】
スマートステーション20a(現場支援装置の一例)は、建設現場に電力を供給するスマート分電盤30(30-1~30-4)に接続され、スマート分電盤30による無線ネットワークなどを介して状態情報を収集して記憶する情報収集装置である。スマートステーション20aは、スマート分電盤30による使用電力量を収集する。
【0112】
また、スマートステーション20aは、建設現場における設計図面及び作業指示書を少なくとも含む作業に関連する作業情報を、現場サーバ40a又は外部サーバ50から取得する。スマートステーション20aは、状態情報に基づく管理情報や、現場サーバ40a又は外部サーバ50から取得した作業情報を、表示部23に表示させる。
【0113】
スマートステーション20aは、NW通信部21と、入力部22と、表示部23と、装置記憶部24と、装置制御部25aとを備える。
【0114】
装置制御部25aは、例えば、CPUなどを含むプロセッサであり、スマートステーション20aを統括的に制御する。装置制御部25aは、例えば、収集処理部251と、情報取得部252と、集計処理部253と、電力監視部254と、作業者管理部255aと、資機材管理部256と、表示制御部257とを備える。
【0115】
作業者管理部255aは、作業者が所持する携帯端末70から収集した情報(例えば、作業者の識別情報など)により、作業者の作業状況を示す作業者情報を生成する。作業者管理部255aは、生成した作業者情報を管理情報記憶部243に記憶させる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によるスマートステーション20aは、使用電力量を含む状態情報を、巡回ロボット10の代わりに、スマート分電盤30を介して収集する。これにより、本実施形態によるスマートステーション20aは、上述した第1の実施形態によるスマートステーション20と同様の効果を奏し、建設現場で利用する様々な情報(例えば、状態情報、状態情報に基づく管理情報、作業情報など)を統合して収集及び集中管理することができる。よって、本実施形態によるスマートステーション20aは、建設現場において、利便性を向上させることができる。
【0117】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、巡回ロボット10が巡回により収集した状態情報を記憶する情報収集装置として、スマートステーション20を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、スマートステーション20の代わりに、情報収集装置として現場サーバ40や外部サーバ50などの他の装置を用いるようにしてもよい。
【0118】
また、上記の実施形態において、現場サーバ40が展開処理部41及び進捗管理部42を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、スマートステーション20又は巡回ロボット10が、展開処理部41及び進捗管理部42の機能を備えるようにしてもよい。
【0119】
また、上記の実施形態において、スマートステーション20が備える機能の一部を、巡回ロボット10又は現場サーバ40が備えるようにしてもよい。例えば、作業者管理部255の一部又は全部の機能を、巡回ロボット10又は現場サーバ40が備えるようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、巡回ロボット10は、カメラ11とともに、照明装置を備えるようにしてもよい。
【0120】
また、上記の実施形態において、地図情報が、
図4に示すように2次元マップであり、巡回経路も2次元経路である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、巡回ロボット10の駆動部13が、階段を移動可能な機能を有する場合など、地図情報及び巡回経路は、3次元に対応した情報であってもよい。
【0121】
また、上記の実施形態において、スマートステーション20は、巡回ロボット10が撮像した撮像画像データに基づいて、作業の進捗管理及び作業者管理を行う例を説明したが、これに限定されるものではなく、撮像画像データに基づいて、例えば、工程管理、職人管理、安全管理、機材管理などの他の管理を行うようにしてもよい。
【0122】
なお、上述した現場支援システム1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した現場支援システム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した現場支援システム1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0123】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0124】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に現場支援システム1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0125】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1、1a 現場支援システム
10 巡回ロボット
11 カメラ
12 無線通信部
13 駆動部
14 記憶部
15 制御部
20、20a スマートステーション
21 NW通信部
22 入力部
23 表示部
24 装置記憶部
25、25a 装置制御部
30、30-1、30-2、30-3、30-4 スマート分電盤
40、40a 現場サーバ
41 展開処理部
42 進捗管理部
43 制御指示部
50 外部サーバ
60 センサー部
70 携帯端末
80 キュービクル
141 地図情報記憶部
142 巡回経路記憶部
143、242 収集情報記憶部
151 巡回処理部
152、251 収集処理部
241 作業情報記憶部
243 管理情報記憶部
252 情報取得部
253 集計処理部
254 電力監視部
255、255a 作業者管理部
256 資機材管理部
257 表示制御部
NW1 公衆ネットワーク
NW2 現場内ネットワーク
OF1 現場事務所