IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェルルブリカンツジャパン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20241106BHJP
   C10M 101/02 20060101ALI20241106BHJP
   C10M 145/14 20060101ALI20241106BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20241106BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20241106BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20241106BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20241106BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20241106BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20241106BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M101/02
C10M145/14
C10N20:02
C10N20:04
C10N20:00 A
C10N40:04
C10N30:02
C10N30:00 Z
C10N30:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020148917
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043579
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】517436615
【氏名又は名称】シェルルブリカンツジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 建吾
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真二
(72)【発明者】
【氏名】篠田 憲明
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/021570(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/128748(WO,A1)
【文献】特開2014-098090(JP,A)
【文献】国際公開第2010/140562(WO,A1)
【文献】特開2018-039943(JP,A)
【文献】特開2014-070155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油と、粘度指数向上剤と、を含む潤滑油組成物であって、
前記基油は、
100℃における動粘度が500~1000mm /sの合成油と、
100℃における動粘度が6.5mm/s超9.5mm/s以下の第1の鉱物油と、
100℃における動粘度が3.5mm/s超6.5mm/s以下の第2の鉱物油と、
を含み、
前記粘度指数向上剤は、数平均分子量が20,000以上のPMAを含むことを特徴とする、潤滑油組成物。
【請求項2】
前記第1の鉱物油及び前記第2の鉱物油がAPI(American Petroleum Institute,米国石油協会)基油カテゴリーでグループ2~3に属する基油である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記第1の鉱物油及び前記第2の鉱物油がフィッシャー・トロプシュ由来である、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
組成物の全質量に対して、前記合成油の含有量が3.00質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
組成物の全質量に対して、前記第1の鉱物油の含有量が35.00~60.00質量%であり、前記第2の鉱物油の含有量が15.00~40.00質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記合成油の100℃における動粘度が550~650mm/sである、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
粘度指数が190以上であり、-40℃のブルックフィールド粘度が150,000mPa・s以下であり、引火点が200℃以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
自動車のギヤ用である、請求項1~7のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、自動車用のギヤ油に要求される耐荷重性能は、自動車の高出力化に伴いAPIのギヤ油タイプのGL-4からGL-5のレベルが必要となってきている。また、様々な道路状況に対応して運転される自動車用ギヤユニットは、油膜が形成されにくい低速条件での駆動を想定する必要がある。更に、ユニットの小型化に伴うギヤ油充填量の減少による発熱によりギヤ油温度が上昇し、粘度低下に起因する油膜破断も発生しやすい傾向にもあるため、ギヤ油にはさらなる耐久性が求められている。
【0002】
このような耐久性を求められるギヤ油はギヤ歯面上の油膜形成を保持するためSAEの粘度番号90(13.5~18.5mm/s(100℃))を採用するのが一般的であった。
【0003】
しかし、一方では省燃費性も求められており、これを実現するためには、攪拌抵抗を低減させ、これに対処するために低粘度化が必要となる。更には、寒冷地等での低温時のギヤ油の流動性の低下によるギヤ歯面に潤滑油が行き渡らないことによるギヤ歯面の破損を防ぐため、SAEの粘度番号75W、又は、80Wが要求される場合もある。
【0004】
こうした、ギヤ歯面の保護、低粘度化、低温時の流動性の向上等の要求を満足するために、比較的低粘度の基油に対して、粘度指数向上剤を添加しつつ、極圧添加剤の添加量を調整した組成物が使用される場合がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-117854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記組成物によれば、極圧添加剤として用いられるリン・硫黄系添加剤が、銅成分を含む部品への腐食性の悪影響を高め、装置寿命の短命化を招来する危険性が多い。加えて、低粘度基油を主として含有する場合、低粘度基油を構成する軽質な成分が蒸発しやすいことに伴う、引火点の低下、取り扱い安全性の低下が懸念される。
【0007】
そこで本発明は、高い粘度指数を有し、省燃費性、安全性、酸化安定性、低温流動性に優れた潤滑油組成物であり、ギヤ(変速機)用として好適に使用可能な潤滑油組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を行い、潤滑油組成物の成分として、所定の基油及び添加剤を使用することによって上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
【0009】
本発明は、
基油と、粘度指数向上剤と、を含む潤滑油組成物であって、
前記基油は、
100℃における動粘度が40mm/s超の合成油と、
100℃における動粘度が6.5mm/s超9.5mm/s以下の第1の鉱物油と、
100℃における動粘度が3.5mm/s超6.5mm/s以下の第2の鉱物油と、
を含み、
前記粘度指数向上剤は、数平均分子量が20,000以上のPMAを含むことを特徴とする、潤滑油組成物である。
【0010】
前記第1の鉱物油及び前記第2の鉱物油がAPI(American Petroleum Institute,米国石油協会)基油カテゴリーでグループ2~3に属する基油であってもよい。
前記第1の鉱物油及び前記第2の鉱物油がフィッシャー・トロプシュ由来の鉱物油であってもよい。
組成物の全質量に対して、前記合成油の含有量が3.00質量%以上であってもよい。
組成物の全質量に対して、前記第1の鉱物油の含有量が35.00~60.00質量%であり、前記第2の鉱物油の含有量が15.00~40.00質量%であってもよい。
前記合成油の100℃における動粘度が550~650mm/sであってもよい。
前記潤滑油組成物は、粘度指数が190以上であり、-40℃のブルックフィールド粘度が150,000mPa・s以下であり、引火点が200℃以上であってもよい。
前記潤滑油組成物は、自動車のギヤ用であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い粘度指数を有し、省燃費性、安全性、酸化安定性、低温流動性に優れ、ギヤ(変速機)用として好適に使用可能な潤滑油組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る潤滑油組成物の、成分、物性/性質、製造方法、用途等について説明する。
【0013】
以下において、ある数値範囲の上限値と下限値とが別々に記載されている場合、それらを組み合わせた全ての数値範囲が開示されているものとする。また、以下において、「以上」、「以下」と記載されている数値範囲を、各々、「超」、「未満」に読み替えることができる。
【0014】
本発明における動粘度は、JIS K2283:2000に準じて測定された値である。
【0015】
<<<成分>>>
潤滑油組成物は、基油と、粘度指数向上剤と、を含む。潤滑油組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。
【0016】
<<基油>>
基油は、好ましくは、比較的高粘度の合成油(以下、所定合成油とする。)と、比較的高粘度の第1の鉱物油と、比較的低粘度の第2の鉱物油と、を含む。
【0017】
所定合成油の100℃における動粘度は、40mm/s超(上限は、例えば1100mm/s以下)であり、好ましくは150~1100mm/sであり、より好ましくは500~1000mm/sであり、特に好ましくは550~650mm/sである。
第1の鉱物油の100℃における動粘度は、6.5mm/s超9.5mm/s以下であり、好ましくは7.5~8.5mm/sである。
第2の鉱物油の100℃における動粘度は、3.5mm/s超6.5mm/s以下であり、好ましくは4.0~6.0mm/sである。
【0018】
合成油の種類としては、特に限定されないが、例えば、ポリα-オレフィン(PAO)、α-オレフィンコポリマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ヒンダードエステル、シリコーンオイル等を挙げることができる。合成油は、単独種で又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
潤滑油組成物全量基準における所定合成油の含有量は、1.90質量%超、2.00質量%以上、2.50質量%以上、又は、3.00質量%以上であることが好ましく、また、15.00質量%以下、10.00質量%以下、又は、8.00質量%以下であることが好ましい。
【0020】
鉱油は、原油、天然ガス、石炭などの天然資源に由来する炭化水素化合物から精製された基油であり、精製の度合いにより不純物を含有する場合がある。鉱油としては特に限定されないが、例えば、液体石油、及び溶媒処理又は酸処理したパラフィン系、ナフテン系、又はパラフィン系とナフテン系の混合タイプの鉱物潤滑油等が挙げられる。また、これらは水素化仕上げプロセス及び/又は脱ろうによってさらに精製されていてもよい。
鉱油は、API(American Petroleum Institute,米国石油協会)基油カテゴリーでグループ2~3に属する基油であることが好ましい。グループ2に属する鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろう等の精製手段を適宜組み合わせて適用することにより製造されるパラフィン系鉱油等が挙げられる。グループ3に属する鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油等が挙げられる。鉱油は、API基油カテゴリーでグループ3に属する、天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成された基油(いわゆる、GTL)であることが特に好ましい。GTLは、通常、全硫黄分が10質量ppm未満であることが好適であり、また、全窒素分が1質量ppm未満であることが好適である。
第1の鉱物油と第2の鉱物油とは、同種の鉱油であってもよいし、別種の鉱油であってもよい。例えば、第1の鉱物油及び第2の鉱物油の、両方を上記好ましい鉱油としてもよいし、いずれか一方のみを上記好ましい鉱油としてもよい。
【0021】
潤滑油組成物全量基準における第1の鉱物油と第2の鉱物油との合計の含有量は、50.00~95.00質量%、55.00~90.00質量%、又は、60.00~85.00質量%であることが好ましい。
【0022】
潤滑油組成物全量基準における第1の鉱物油の含有量は、20.00質量%以上、30.00質量%以上、又は、35.00質量%とすることが好ましく、また、80.00質量%以下、70.00質量%以下、又は、60.00質量%以下とすることが好ましい。
【0023】
潤滑油組成物が第2の鉱物油を含む場合、潤滑油組成物全量基準において、第2の鉱物油の含有量は、10.00質量%以上、12.50質量%以上、又は、15.00質量%以上とすることが好ましく、また、50.00質量%以下、55.00質量%以下、又は、40.00質量%以下とすることが好ましい。また、潤滑油組成物が第2の鉱物油を含む場合、第1の鉱物油の含有量に対する第2の鉱物油の含有量の比((第2の鉱物油の含有量)/(第1の鉱物油の含有量))は、0.1以上1.3未満又は、0.2以上1.2未満であることが好ましい。
【0024】
所定合成油、第1の鉱物油、第2の鉱物油、後述する粘度指数向上剤を組み合わせて使用することにより、高い粘度指数かつ高い引火点を有する省燃費性に優れた潤滑油組成物を実現するため、本発明の効果(省燃費性、安全性、酸化安定性、低温流動性等の改善効果)を高めることが可能となる。
【0025】
また、少なくとも第1の鉱物油、所定合成油、後述する粘度指数向上剤等を組み合わせた上で所定合成油の含有量をこのような範囲とすることで、本発明の効果(省燃費性、安全性、酸化安定性、低温流動性等の改善効果)を高めることが可能となる。
【0026】
潤滑油組成物は、上述した基油以外の基油を含有してもよい。他の基油としては、鉱油等を使用可能であり、APIでの基油分類であるグループI~Vのいずれも使用可能である。またこれらを混合したものも使用可能である。
【0027】
ただし、潤滑油組成物は、安全性を向上させるために、100℃における動粘度が3.5mm/s以下(下限値は特に限定されないが、例えば2.0mm/s)である基油を含まないことが好ましい。具体的には、潤滑油組成物全量基準におけるこのような基油の含有量が、5.00質量%以下、1.00質量%以下、0.50質量%以下、0.10質量%以下、又は0.01質量%以下であることが好ましい。
【0028】
<<粘度指数向上剤>>
粘度指数向上剤は、数平均分子量が20,000以上のPMA(ポリメタクリレート)を含む。以下、この数平均分子量が20,000以上のPMAのことを、PMA-Aと表記する場合がある。
【0029】
PMA-Aは、数平均分子量が、20,000以上であり、25,000以上、又は、30,000以上であることが好ましく、200,000以下、100,000以下又は50,000以下であることが好ましい。
【0030】
また、PMA-Aは、重量平均分子量が、30,000以上、40,000以上、50,000以上であることが好ましく、300,000以下、200,000以下、150,000以下であることが好ましい。
【0031】
ここで、平均分子量は、例えば、昭和電工株式会社製、高速液体クロマトグラフィーのShodex GPC-101を使用し、測定条件は、温度は40℃、検出器は示差屈折率検出器(RI)、キャリア流量はTHF-1.0ml/min(Ref 0.3ml/min)、試料注入量は100μl、カラムは{KF-G(Shodex)×1、KF-805L(Shodex×2)}、とし、ピークの分子量に相当する範囲を使用して、平均分子量(ポリスチレン換算における重量平均分子量、数平均分子量)を解析(算出)することができる。
【0032】
潤滑油組成物全量基準におけるPMA-Aの含有量は、1.00質量%以上、3.00質量%以上、又は、5.00質量%以上であることが好ましく、また、20.00質量%以下、15.00質量%以下、又は、10.00質量%以下であることが好ましい。
【0033】
潤滑油組成物は、粘度指数向上剤として、その他の成分、例えば、PMA-A以外のPMAや、OCP(オレフィンコポリマー)、SCP(スチレンジエンコポリマー)等を含んでいてもよい。
【0034】
<<その他の成分>>
潤滑油組成物は、使用目的に応じて上述した成分以外の公知の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、流動点降下剤、消泡剤、清浄剤、分散剤、耐摩耗剤、金属不活性剤、酸化防止剤などの添加剤が挙げられる。
【0035】
このような添加剤は、潤滑油組成物全量基準において、例えば、1質量%以上、3質量%以上、又は、5質量%以上とすることができ、また、25質量%以下、20質量%以下、又は、15質量%以下とすることができる。
【0036】
<<物性/性質>>
<粘度指数(省燃費性)>
潤滑油組成物は、VI(粘度指数)が、170以上であることが好ましく、180以上であることがより好ましい。粘度指数は、JIS K2283に準拠して測定される粘度より算出される。粘度指数向上剤の配合量を増加させることで、粘度指数が高まる傾向にある。
【0037】
<低温始動性>
潤滑油組成物は、ブルックフィールド粘度計によって測定される-40℃における粘度が、170,000cP以下であることが好ましく、150,000cP以下であることがより好ましい。このように、潤滑油組成物は、SAE粘度グレードにて、75Wを充足することが好ましい。粘度は、JPI-5S-26-2010に準拠して測定される。第2の鉱物油の配合量を増加させると、-40℃における粘度が低下する傾向にある。
【0038】
<酸化安定性>
潤滑油組成物は、酸化安定性試験前後の酸価の増加分が4.0mgKOH/g以下であることが好ましく、2.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0039】
<安全性>
潤滑油組成物は、引火点が、190℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。引火点は、JIS K2265に準拠してクリーブランド開放法引火点試験器を用いて測定される。第2の鉱物油の配合量を減少させると、引火点が向上する傾向にある。
【0040】
<<製造方法>>
潤滑油組成物の製造方法は、公知の方法に従って製造することができ、各成分(基油、粘度指数向上剤、及び必要に応じて添加する添加剤等)を適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるものではない。添加剤は、複数種が混合されたパッケージ品として添加されてもよい。また、添加剤は、液体媒体と混合された溶液乃至分散液として添加されてもよい。
【0041】
<<用途>>
潤滑油組成物は、高い粘度指数を有し、省燃費性、安全性、酸化安定性、低温流動性に優れることから、種々の用途に使用することができ、特に、自動車のギヤ用(例えば、ディファレンシャルギヤ用)として好適に使用することができる。
【実施例
【0042】
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0043】
<<<原料>>>
<<基油>>
<合成油>
100℃における動粘度が600mm/sであるエチレン-αオレフィン共重合体
<第1の鉱物油>
100℃における動粘度が7.6mm/sであるフィッシャー・トロプシュ由来基油(GTL)
<第2の鉱物油>
100℃における動粘度が4.1mm/sであるフィッシャー・トロプシュ由来基油(GTL)
<他の鉱物油A>
100℃における動粘度が2.7mm/sであるフィッシャー・トロプシュ由来基油(GTL)
<他の鉱物油B>
100℃における動粘度が31.0mm/sであるAPI基油カテゴリーのグループIに分類される鉱物油
【0044】
<<粘度指数向上剤(PMA)>>
<粘度指数向上剤1>
Mn:1.4万及びMw:2.2万である非分散型ポリメタクリレート
<粘度指数向上剤2>
Mn:4.1万及びMw:8.3万である分散型ポリメタクリレート
【0045】
<<添加剤>>
<流動点降下剤>
結晶化ピーク温度が-29℃であるポリメタクリレート系流動点降下剤
<添加剤パッケージ>
SP系GL-5 添加剤パッケージ
<消泡剤>
シリコン系消泡剤
【0046】
<<潤滑油組成物>>
上記した各原料を、表に示す割合にて混合し、各実施例及び比較例に係る潤滑油組成物を製造した。
【0047】
<<評価>>
潤滑油組成物の動粘度(40℃、100℃)、省燃費性、低温始動性、安全性、酸化安定性について評価を行った。各評価結果を表に示す。
【0048】
<省燃費性>
各潤滑油組成物の40℃動粘度及び100℃動粘度から、VI(粘度指数)を算出した。
VIが、170以上のものを省燃費性に優れる(評価:〇)と評価した。
【0049】
<低温始動性>
JPI-5S-26-2010に準拠して測定される-40℃における粘度を測定した。
粘度が150,000cP以下のものを低温始動性に優れる(評価:〇)と評価し、粘度が170,000cP以下のものを低温始動性に比較的優れる(評価:△)と評価した。
【0050】
<安全性>
JIS K2265に準拠してクリーブランド開放法引火点試験器を用いて評価した。
引火点が200℃以上のものを安全性に優れる(評価:〇)と評価した。
【0051】
<酸化安定性>
試験時間、及び、温度をそれぞれ165℃、96時間に変更してJIS K2514に準拠して評価した。試験前後の酸価の増加分については、JIS K2501に準拠して評価した。
試験前後の酸価の増加分が2.5以下のものを酸化安定性に優れる(評価:〇)と評価し、試験前後の酸価の増加分が4.0以下のものを酸化安定性に比較的優れる(評価:△)と評価した。
【0052】
なお、各実施例及び参考例についてASTM D2783に準拠して評価したところ、十分な潤滑性が得られることが確認された。
【0053】
【表1】