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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】被搬送物分離搬出機構
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20241106BHJP
   B65H 1/14 20060101ALI20241106BHJP
   B65H 1/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65B43/18
B65H1/14 320D
B65H1/02 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020180828
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071721
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】相川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】篠原 春之
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03953020(US,A)
【文献】実開昭52-118779(JP,U)
【文献】特開2005-119725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/18
B65H 1/14
B65H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状被搬送物の下端縁及び片側縁を夫々規制する下端縁規制面及び片側縁規制面を有する搬送経路規定手段、該搬送経路規定手段上に積層状態で搬入された多数の被搬送物を搬出端に向けて強制する強制手段、該搬送経路規定手段の搬出端に配設され最前端の被搬送物の前面下端部が当接される下端縁部規制部材、最前端の被搬送物の前面所定高さ部が当接される所定高さ部支持部材、及び最前端の被搬送物を次の被搬送物から分離し該下端縁部規制部材及び該所定高さ部支持部材を超えて前方に搬出する分離搬出手段を具備し、
該強制手段は、被搬送物の搬送方向に前進及び後退自在に装着された可動支持体と、幅方向に延びる旋回中心軸線を中心として旋回自在に該可動支持体に装着された、平坦な押圧前面を有する押圧部材と、該可動支持体を前進及び後退動するための駆動手段とを含む被搬送物分離搬出機構において、
該強制手段は、該押圧前面が該搬送経路規定手段の該下端縁規制面に対して垂直な状態から該押圧前面の上端が搬送方向下流側に変位する方向に旋回された該押圧部材を該押圧前面の上端が搬送方向上流側に変位する方向に旋回させる後方旋回手段と、該後方旋回手段によって旋回せしめられた該押圧部材を該押圧前面が該搬送経路規定手段の該下端縁規制面に対して垂直な状態に戻す押圧部材復帰手段とを含み、
該強制手段が被搬送物を搬出端に向けて強制する際、該押圧前面は上端が該旋回中心軸線よりも搬送方向下流側に変位する方向に旋回せしめられる、
ことを特徴とする被搬送物分離搬出機構。
【請求項2】
被搬送物は、高さが8乃至40cmで幅が5乃至30cmで且つ下端部がそれ以外の部分に比べて厚い、内容物未充填スタンディングパウチであり、正立状態で該搬送経路規定手段上に搬入される、請求項記載の被搬送物分離搬出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された多数の平板状被搬送物から最前端の被搬送物を次の被搬送物から分離搬出する被搬送物分離搬出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、平板状被搬送物の下端縁及び片側縁を夫々規制する下端縁規制面及び片側縁規制面を有する搬送経路規定手段、搬送経路規定手段上に積層状態で搬入された多数の被搬送物を搬出端に向けて強制する強制手段、搬送経路規定手段の搬出端に配設され最前端の被搬送物の前面下端部が当接される下端縁部規制部材、及び最前端の被搬送物を次の被搬送物から分離し下端縁部規制部材を超えて前方に搬出する分離搬出手段を具備する被搬送物分離搬出機構が開示されている。
【0003】
特許文献1で開示された被搬送物分離搬出機構ではさらに、分離搬出手段は搬送方向に対して垂直つまり最前端の被搬送物の前面と対向する吸着保持具を備えている。吸着保持具は最前端の被搬送物の前面に当接する前進位置とこの前進位置から後方に後退した後退位置との間を被搬送物の搬送方向に前進及び後退自在であり、前進位置にて最前端の被搬送物の前面を吸着保持する。また、強制手段は、被搬送物の搬送方向に前進及び後退自在に装着された可動支持体と、幅方向に延びる旋回中心軸線を中心として旋回自在に可動支持体に装着された、平坦な押圧前面を有する押圧部材と、可動支持体を前進及び後退動するための駆動手段とを含んでいる。押圧部材は下方に垂下する板状片であり、これは多数の被搬送物を搬出端に向けて強制すると共に、吸着保持具が前進位置まで前進してこれが最前端の被搬送物と当接した際にその衝撃で押圧部材よりも前方に位置する被搬送物が後方(搬送方向上流側)に倒れることを防止すべく支持する。押圧部材は上記衝撃を緩和する等の目的から、上端において幅方向に延びる旋回中心軸線を中心として前面の下端が搬送方向上流側に変位する方向に幾分旋回可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-188159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示された被搬送物分離搬出機構にあっては、押圧部材は上端において幅方向に延びる旋回中心軸線を中心として前面の下端が搬送方向上流側に変位する方向に幾分旋回可能となっており、上記衝撃は押圧部材が旋回することで幾分緩和されるものの、押圧部材が旋回したことでこれよりも前方に位置する被搬送物が後方に倒れることを防止する観点から押圧部材の旋回角度を大きくすることはできず、従って上記衝撃を充分に緩和することができない。上記衝撃が大きい場合には、これが付加されると押圧部材よりも前方に位置する多数の被搬送物のいずれかが上方に移動してしまい、被搬送物が転倒したり或いは上方に移動した被搬送物が最前端に到達して搬出不良を起こす虞がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、分離搬出手段の作動によって押圧部材よりも前方に位置する被搬送物に衝撃が付加された場合であっても、被搬送物が上方に移動してしまうことが防止される新規の被搬送物分離搬出機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討の結果、強制手段が被搬送物を搬出端に向けて強制する際に、押圧部材の押圧前面をその上端が旋回中心軸線よりも搬送方向下流側に変位する方向に旋回させることで、上記主たる技術的課題を解決することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決することができる機構として、平板状被搬送物の下端縁及び片側縁を夫々規制する下端縁規制面及び片側縁規制面を有する搬送経路規定手段、該搬送経路規定手段上に積層状態で搬入された多数の被搬送物を搬出端に向けて強制する強制手段、該搬送経路規定手段の搬出端に配設され最前端の被搬送物の前面下端部が当接される下端縁部規制部材、最前端の被搬送物の前面所定高さ部が当接される所定高さ部支持部材、及び最前端の被搬送物を次の被搬送物から分離し該下端縁部規制部材及び該所定高さ部支持部材を超えて前方に搬出する分離搬出手段を具備し、
該強制手段は、被搬送物の搬送方向に前進及び後退自在に装着された可動支持体と、幅方向に延びる旋回中心軸線を中心として旋回自在に該可動支持体に装着された、平坦な押圧前面を有する押圧部材と、該可動支持体を前進及び後退動するための駆動手段とを含む被搬送物分離搬出機構において、
該強制手段は、該押圧前面が該搬送経路規定手段の該下端縁規制面に対して垂直な状態から該押圧前面の上端が搬送方向下流側に変位する方向に旋回された該押圧部材を該押圧前面の上端が搬送方向上流側に変位する方向に旋回させる後方旋回手段と、該後方旋回手段によって旋回せしめられた該押圧部材を該押圧前面が該搬送経路規定手段の該下端縁規制面に対して垂直な状態に戻す押圧部材復帰手段とを含み、
該強制手段が被搬送物を搬出端に向けて強制する際、該押圧前面は上端が該旋回中心軸線よりも搬送方向下流側に変位する方向に旋回せしめられる、
ことを特徴とする被搬送物分離搬出機構が提供される。
【0009】
好ましくは、搬送物は、高さが8乃至40cmで幅が5乃至30cmで且つ下端部がそれ以外の部分に比べて厚い、内容物未充填スタンディングパウチであり、正立状態で該搬送経路規定手段上に搬入される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の被搬送物分離搬出機構においては、強制手段が被搬送物を搬出端に向けて強制する際、押圧前面は上端が旋回中心軸線よりも搬送方向下流側に変位する方向に旋回せしめられる故に、分離搬出手段の作動によって押圧部材よりも前方に位置する被搬送物に衝撃が付加されても被搬送物が上方へ移動することは効果的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された被搬送分離搬出機構を含む被搬送物搬出・搬送装置の正面図。
図2図1に示す被搬送物搬出・搬送装置の平面図。
図3-1】図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における強制手段の作動を説明するための図。
図3-2】図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における強制手段の作動を説明するための図。
図4-1】図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における分離搬出手段の作動を説明するための図。
図4-2】図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における分離搬出手段の作動を説明するための図。
図5-1】図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における引き出しアームの作動を説明するための図。
図5-2】図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における引き出しアームの作動を説明するための図。
図6図1に示す被搬送物搬出・搬送装置における被搬送物打ち出し機構の作動を説明するための図。
図7図1に示す被搬送物搬出・搬送装置によって搬出・搬送される被搬送物の一例である内容物未充填スタンディングパウチを単体で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された被搬送物分離搬出機構の好適実施形態について、更に詳述する。
【0013】
図1及び図2には、積層された多数の平板状被搬送物から被搬送物100を1枚ずつ搬出・搬送する被搬送物搬出・搬送装置2が示されている。
【0014】
便宜上、被搬送物搬出・搬送装置2に先立ってこれによって搬出・搬送される被搬送物100について説明すると、これは例えば液体状洗剤或いはレトルト食品等を収容するためのパウチと称される周知の包装体であり、図示の実施形態においては、図7に示すとおりの内容物未充填スタンディングパウチである。かかるスタンディングパウチは正面視において端縁102(幅方向、図7にあっては左右方向に延びる縁)が側縁104(高さ方向、図7にあっては上下方向に延びる縁)よりも短い矩形形状である。被搬送物100の下端縁部には底壁106が設けられており、これに起因して、被搬送物100の下端縁部は4枚重ね合わせ構成で比較的厚い。一方、被搬送物100の下端縁部以外は2枚重ね合わせ構成で比較的薄く、被搬送物100の上端縁102aは開放せしめられている。被搬送物100は、高さが8乃至40cmで幅が5乃至30cmで重量が1乃至100gであるのが良い。
【0015】
図1及び図2に戻って説明すると、被搬送物搬出・搬送装置2は実質上水平な設置基台4の上面に設置され、被搬送物分離搬出機構6と被搬送物打ち出し機構8とを具備している。被搬送物分離搬出機構6は更に、搬送経路規定手段10(図2を参照されたい)、強制手段12、下端縁部規制部材14(図3-1及び図4-1も参照されたい)、所定高さ部支持部材16、及び分離搬出手段18を具備している。以下では、図1及び図2において紙面の左から右に向かう方向を(被搬送物の)搬送方向とし、左側を搬送方向の上流側、右側を搬送方向の下流側という。なお、搬送方向を前後方向として規定することもある。また、図1においては紙面の奥行方向を、図2においては紙面の上下方向を夫々(被搬送物の)幅方向ということとする。従って、搬送方向及び幅方向は共に実質上水平であって、幅方向は搬送方向に対して垂直である。
【0016】
図1及び図2と共に図4-1(a)を参照して説明すると、搬送経路規定手段10は平板状被搬送物100の下端縁102及び片側縁104を夫々規制する下端縁規制面20及び片側縁規制面22を有している。図示の実施形態においては、下端縁規制面20は設置基台4の上面に規定されている。設置基台4の上面には搬送方向に直線状に延びる片側縁規制壁24が立設されており、片側縁規制面22は片側縁規制壁24の幅方向内側面つまり搬送方向に見て左側の側面に規定されている。
【0017】
下端縁部規制部材14は幅方向に直線状に延びる棒状部材であって、設置基台4の上面に固定されている。後述するとおり、下端縁部規制部材14には最前端の被搬送物の前面下端縁部が当接せしめられることから、下端縁部規制部材14の搬送方向上流側面に搬出端が規定される。図示の実施形態においては、上記搬出端の搬送方向位置は片側縁規制壁24の搬送方向下流端位置と整合している。
【0018】
所定高さ部支持部材16は幅方向に直線状に延びる棒状部材であって、これは搬送方向に見て下端縁部規制部材14と整合して設けられている。図示の実施形態においては、搬送方向において下端縁部規制部材14と整合した位置における設置基台4の上面には上方に延びる一対の支持柱26が幅方向に間隔をおいて立設されており、断面円形の所定高さ部支持部材16は一対の支持柱26の上端部に幅方向に延在する回転中心軸線28を中心に回転自在に装着されている。一対の支持柱26の各々の間を被搬送物100は通過する。図示の実施形態においては更に、所定高さ部支持部材16は所定高さ部支持部材回転手段30によって図1において反時計方向に選択的に回転可能である。所定高さ部支持部材回転手段30は圧縮空気を駆動源とするのが好ましい。後述するとおり、所定高さ部支持部材16には最前端の被搬送物の前面所定高さ部が当接され、所定高さ部支持部材16は最前端の被搬送物の前面所定高さ部を支持する。
【0019】
図1及び図2を参照して説明すると、強制手段12は下端縁部規制部材14よりも搬送方向上流側に位置し、被搬送物の搬送方向に前進及び後退自在に装着された可動支持体32と、可動支持体32に装着された押圧部材34と、可動支持体32を前進及び後退動するための駆動手段36とを含んでいる。可動支持体32は幅方向に直線状に延びる断面矩形の板状部材であり、これは設置基台4の上面若しくはこれよりも幾分上方に離隔して位置している。可動支持体32の幅方向両端部の上面には夫々搬送方向に直線状に延びる溝37が形成されており、この溝37には可動支持体32の搬送方向下流側面を越えて搬送方向下流側に向かって延びるヒンジ取付片38が固定されている。ヒンジ取付片38の高さ位置は比較的低く、これは分離搬出手段18の後述する片側縁部規制部材と同高程度である。
【0020】
押圧部材34は略矩形の平板であって搬送方向下流側を向く押圧前面40を備えている。押圧部材34は可動支持体32の幅方向両端部に設けられた2つのヒンジ取付片38の間にて2つのヒンジ取付片38の各々の搬送方向下流端部にピン42で旋回自在に固定されている。これにより、押圧部材34は幅方向に延びる旋回中心軸線44を中心として旋回自在に可動支持体32に装着される。押圧部材34の後面の下端部には、幅方向全体に亘って延びる矩形形状の切欠き45が設けられている。切欠き45の存在に起因して、後に図3-1(b)を参照して説明するとおり、押圧部材34が旋回中心軸線44を中心として旋回する際に、押圧前面40が搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態から押圧前面40の上端が搬送方向下流側に変位する方向に旋回することが可能な旋回角度が増大せしめられる。
【0021】
駆動手段36は可動支持体32の幅方向両端部に接続された一対の駆動アクチュエータ46を備えている。一対の駆動アクチュエータ46は搬送方向に実質上水平に進退するシリンダであり圧縮空気の如き駆動源によって同時に駆動し、可動支持体32を図3-1(c)に示す前進位置と図3-1(a)及び図3-2(e)に示す後退位置との間で移動自在にする。
【0022】
図示の実施形態においては、強制手段12は更に、押圧部材34を押圧前面40の上端が搬送方向上流側に変位する方向に旋回させる後方旋回手段48を含んでいる。後方旋回手段48は押圧部材34の後面における幅方向の中央であって且つ上下方向の中間部に接続されており、押圧部材34の後面から法線方向の後方に向かって直線状に延出している。後方旋回手段48の延出端部には搬送方向に回転可能な転動体50も設けられている。従って、押圧部材34は、後に図3-2(d)を参照して説明するとおり、押圧前面40が被搬送物を押圧する際に押圧前面40が搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態から押圧前面40の上端が搬送方向下流側に変位する方向に旋回されても、押圧前面40が被搬送物を押圧することを解除すれば、後方旋回手段48の重さにより、押圧前面40は搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態から押圧前面40の上端が搬送方向上流側に変位にする方向に旋回せしめられ、後面が可動支持体32と当接した位置で姿勢が保持される。
【0023】
強制手段12は更に、後方旋回手段48によって後方に旋回せしめられた押圧部材34を押圧前面40が搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態に戻す押圧部材復帰手段52をも含んでいる。押圧部材復帰手段52は、搬送方向の所定位置において搬送経路規定手段10の下端縁規制面20から後方(搬送方向上流側)に向かって上方に傾斜して延びており、これは幅方向において転動体50と整合する。押圧部材復帰手段52は、後に図3-2(e)を参照して説明するとおり、可動支持体32が前進位置から後退位置に向かって後退する際に可動支持体32が後退位置に到達するよりも先に転動体50と協働を開始し、転動体50が押圧部材復帰手段52上を後方に移動することで押圧部材34を押圧前面40の上端が搬送方向下流側に変位する方向に旋回せしめ、可動支持体32が後退位置に到達すると、押圧部材34は押圧前面40が搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態となる。
【0024】
図1及び図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態の被搬送物分離搬出機構6は、保持片54a及び54bも備えている。後に図3-1及び図3-2を参照して説明するとおり、保持片54a及び54bは、押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16との間に残留する積層された少量の被搬送物100を押圧部材34に代わって下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16と協働して一時的に保持する。図1及び図2では、保持片54a及び54bは共に後述する作用位置にある状態が示されている。保持片54aは、図示しない支持手段によって、搬出端から幾分搬送方向上流側において搬送経路規定手段10の下端縁規制面20から上方に離隔して支持されている。そして、保持片54aは、搬送方向に見て被搬送経路規定手段10の片側縁規制面20から左側に突出した作用位置と片側縁規制面20よりも右側に退去した非作用位置との間を幅方向に進退自在である。保持片54bは保持片54aよりも幾分搬送方向上流側に配置されており、搬送経路規定手段10の下端縁規制面20から上方に突出した作用位置と下端縁規制面20よりも下方に退去した非作用位置との間を上下方向に進退自在である。保持片54a及び54bは図示しない駆動手段によって一体的に作動せしめられ、かかる駆動手段は例えば圧縮空気を駆動源とすることができる。
【0025】
図1及び図2と共に図4-1(a)を参照して説明すると、分離搬出手段18は片側縁部規制部材56を含んでいる。片側縁部規制部材56は搬送方向に見て下端縁部規制部材14と整合してつまり搬出端において、下端縁部規制部材14よりも上方に設けられている。図示の実施形態においては、片側縁部規制部材56は片側縁規制壁24の搬送方向下流端面の上端部に固定されている。片側縁部規制部材56は搬送方向に見て右側から左側に(図4-1(a)右側図にあっては左側から右側に)片側縁規制面22を超えて幅方向に突出しており、最前端の被搬送物の前面片側縁部を局部的に規制する。片側縁部規制部材56の突出端部の形状は、突出端に向かって先細り形状であり、図示の実施形態においては略半円形状である。
【0026】
分離搬出手段18は吸着保持部材58をも含んでいる。吸着保持部材58は搬出端よりも搬送方向下流側に設けられており、一対の吸着保持具60a及び60bと共に一対の追加吸着保持具62a及び62bを含んでいる。一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは共にエラストマーの如き比較的軟質合成樹脂製の腕状であり、これらは共通の支持部材64に装着されている。夫々の配置については後述する。一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは夫々支持部材64を介して図示しない負圧発生源に接続されており、この負圧発生源を制御することで一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bの内側に負圧を適宜発生させることができ、かくして一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは夫々被搬送物を吸着保持する作動状態と被搬送物を解放する非作動状態に切り替え自在となる。
【0027】
支持部材64は図示しない駆動手段により一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bの装着位置よりも下方を幅方向に延在する旋回中心軸線66(図4-1(a)を参照されたい)を中心として旋回自在であり、支持部材64が旋回中心軸線66を中心として往復旋回動されることによって、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは、最前端の被搬送物の前面に当接する前進位置(図4-1(a)左側図)と前進位置から後方に後退した後退位置(図4-2(d)左側図)との間を移動自在である。上記駆動手段は例えば圧縮空気を駆動源とすることができる。図4-1(a)右側図に示すとおり、前進位置において吸着保持具60aは片側縁部規制部材56よりも上方に位置し、吸着保持具60bは片側縁部規制部材56よりも下方で且つ下端縁部規制部材14よりも上方に位置する。このとき、追加吸着保持具62aは吸着保持具60aに対して同一高さで且つ幅方向内側に位置し、追加吸着保持具62bは吸着保持具60bに対して同一高さで且つ幅方向内側に位置する。
【0028】
図示の実施形態にあっては、被搬送物分離搬出機構6は引き出しアームをも備えているがこれについては後述する。
【0029】
続いて、図1及び図2を参照して被搬送物打ち出し機構8について説明する。被搬送物打ち出し機構8は下端縁部規制部材14よりも搬送方向下流側に位置し、受部材68及びこの受部材68を昇降動せしめる昇降動手段70を具備している。受部材68は断面がL字形状で幅方向に直線状に延在しており、平面視において矩形である。受部材68は上方に向かって後方に傾斜して延在する主受面72とこの主受面72の下端縁から前方に突出する底受面74とを備えている。主受面72は上方に向かって後方に傾斜角度θ(θは30乃至50度であるのが好ましい)で傾斜している。主受面72の延在長さは比較的長く6乃至50cmである。図2を参照することによって明確に理解されるとおり、主受面72には搬送方向に直線状に延びる長円形状の2つの貫通溝76が幅方向に間隔をおいて平行に形成されており、図1及び図2に示す状態にあっては、2つの貫通溝76の一方には一対の吸着保持具60a及び60bが、他方には一対の追加吸着保持具62a及び62bが夫々配置されている。図1及び図2においては、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは共に後退位置にあり、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが後退位置にあるときは、夫々の開口端は主受面72よりも下方に位置する。底受面74は主受面72に対して垂直であって、その延在長さは比較的短く1乃至5cmである。主受面72及び底受面74の幅は5乃至40cmであり、これは被搬送物の幅方向長さ(端縁長さ)よりも長い。
【0030】
昇降動手段70は受部材68を図6(a)に示される下降位置と主受面72の延在方向に所定距離だけ上昇された図6(b)に示される上昇位置との間で移動させる。昇降動手段70は例えば圧縮空気を駆動源とするのがよく、受部材68を20乃至200cm/秒の高速で下降位置から上昇位置に上昇させ、同じ速度で上昇位置から下降位置まで下降させる。上記所定距離は1乃至10cmである。
【0031】
図1及び図2と共に図5-1及び図5-2を参照して説明すると、主受面72の上流側には被搬送物分離搬出機構6の一部である引き出しアーム78が配設されている。引き出しアーム78は、圧縮空気を駆動源とする上下方向駆動手段80aにより、主受面72の片側縁(搬送方向に見た右側側縁)に沿って図5-1(a)、図5-2(d)及び(e)に示される上昇位置と図5-1(c)に示される下降位置との間で昇降動自在であると共に、同じく圧縮空気を駆動源とする旋回駆動手段80bにより主受面72の片側縁に沿ってその外側を延びる垂下位置と主受面の上流側を幅方向に延びる旋回位置との間を旋回動自在である。図5-1(a)左側図に示すとおり、所定高さ部支持部材16よりも幾分上方には、被搬送物の高さが高い場合に最前端の被搬送物の前面が当接する接触スイッチ82が配置されており、被搬送物の高さが高くその前面が接触スイッチ82当接すると引き出しアーム78は作動可能となる。引き出しアーム78の作動については後述する。
【0032】
図1及び図2には、被搬送物打ち出し機構8よりも搬送方向下流側に位置する下流側搬送手段84も示されている。下流側搬送手段84は図示しない支持手段によって設置基台4の上方に支持されている。下流側搬送手段84は、搬送方向に向かって一旦上昇した後に降下するへの字状の傾斜板86を備えており、傾斜板86は幅方向に延在している。図6(b)も参照して説明すると、傾斜板86の上流端縁は、受部材68が上昇位置にあるときの受部材68の上端縁よりも搬送方向下流側においてこれと近接し且つこれよりも幾分下方に位置する。後述するとおり、被搬送物打ち出し機構8から打ち出された被搬送物は傾斜板86の上面に着陸して傾斜板86の傾斜によって更に搬送方向下流側に搬送される。傾斜板86の幅方向両端縁には上方に起立するサイドガード88が設けられており、被搬送物打ち出し機構8から打ち出された被搬送物が傾斜板86から幅方向に落下することを防止する。
【0033】
続いて、被搬送物搬出・搬送装置2の作動について説明する。
まず、被搬送物分離搬出機構6における強制手段12の作動について、図3-1及び図3-2を参照して説明する。被搬送物・搬出装置2にあっては、図3-1(a)に示すとおり、強制手段12の可動支持体32が後退位置にあるときに、押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16との間に積層された多数の被搬送物100が搬入される。積層された多数の被搬送物100は正立状態で同時に搬送経路規定手段10上に搬入され、被搬送物100の下端縁102は下端縁規制面20によって、片側縁104は片側縁規制面22によって夫々規制される。このとき、保持片54a及び54bは共に非作用位置に位置する。
【0034】
図3-1(a)に示す状態から駆動手段36によって可動支持体32が前進せしめられると、図3-1(b)に示すとおり、押圧部材34の押圧前面40が最後端に位置する被搬送物100-fの後面に当接してこれを前方に押圧し、最前端に位置する被搬送物100-1の前面下端部は下端縁部規制部材14と、所定高さ部は所定高さ部支持部材16と夫々当接し、積層された多数の被搬送物100は押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16とによって挾持される。このとき、上述したとおり被搬送物100は下端縁部が比較的厚いものの下端縁部以外は比較的薄く正立状態で搬送経路規定手段10上に搬入されることから、図3-1(b)に示すとおり積層された多数の被搬送物100の各々は鉛直上方に起立して整列することなく搬送方向下流から上流に向かって漸次搬送方向下流側に傾斜して整列することとなり、積層された多数の被搬送物100全体の下端部は上端部よりも搬送方向に長くなる。そのため、押圧部材34が最後端の被搬送物100-fの後面を押圧すると、押圧部材34は幅方向に延びる旋回中心軸線44を中心として旋回自在に可動支持体32に装着されていることに起因して、押圧前面40は上端が旋回中心軸線44よりも搬送方向下流側に変位する方向に旋回せしめられて被搬送物100-fの後面を押圧することとなる。
【0035】
積層された多数の被搬送物100は押圧部材34(及び可動支持体32)と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16とによって挾持された状態で、最前端に位置する被搬送物100-1から順次分離搬出手段18の作動によって分離搬出される。このとき、本発明に従って構成された被搬送物分離搬出機構6にあっては、押圧部材34の押圧前面40は上端が旋回中心軸線44よりも搬送方向下流側に変位する方向に旋回せしめられている故に、分離搬出手段18の後述する作動によって積層された多数の被搬送物100に衝撃が付加された場合であっても被搬送物100が上方へ移動することは効果的に抑制され、押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16との間に存在する多数の被搬送物100が転倒したり、或いは分離搬出手段18が最前端の被搬送物100-1を適切に搬出することができなくなることは防止される。
【0036】
分離搬出手段18によって被搬送物100が順次分離搬出されるに従い可動支持体32は駆動手段36によって前進せしめられ、従って押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16との間に位置する積層された被搬送物100は常に押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16とによって挾持される。このとき、押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16との間に存在する被搬送物100の数が減少するに従い、最後端の被搬物100-fの搬送方向への傾斜は緩和されて被搬送物100-fの後面は漸次起立することから押圧部材34の押圧前面40も上端が旋回中心軸線44を中心に搬送方向上流側に変位する方向に漸次旋回せしめられる。そして、可動支持体32が図3-1(c)に示す前進位置に到達すると、図3-2(d)に示すとおり、可動支持体32は駆動手段36によって後退位置に向かって後退移動せしめられる。このとき、同図に示すとおり、可動支持体32が前進位置から後退移動を開始するのと同時に保持片54a及び54bは非作用位置から作用位置に進出し、保持片54a及び54bよりも搬送方向下流側に位置する全ての被搬送物100の姿勢を押圧部材34に代わって一時的に保持する。可動支持体32が後退移動する際には、押圧部材34は後方旋回手段48によって、押圧前面40が搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態から押圧前面40の上端が搬送方向下流側に変位する方向に旋回された状態から、押圧前面40の上端が搬送方向上流側に変位する方向に旋回せしめられる。そして、可動支持体32が後退位置に到達したときには、図3-2(e)に示すとおり、後方旋回手段48によって旋回せしめられた押圧部材34は押圧部材復帰手段52によって押圧前面40が搬送経路規定手段10の下端縁規制面20に対して垂直な状態に戻される。図3-2(e)に示す状態で、押圧部材34と下端縁部規制部材14及び所定高さ部支持部材16との間に再び積層された多数の被搬送物100が搬入される。さらに詳しくは、積層された多数の被搬送物100は搬送方向に見て押圧部材34の押圧前面40と保持片54a及び54bとの間に搬入せしめられ、かかる搬入が完了した後に保持片54a及び54bは夫々作用位置から非作用位置に退去せしめられ、図3-1(a)に示す状態となる。かくして、強制手段12は連続的に搬送経路規定手段10上に積層状態で搬入された多数の被搬送物100を搬出端に向けて強制せしめる。
【0037】
次に、図4-1及び図4-2を参照して分離搬出手段18の作動について説明する。一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは図4-1(a)に示す前進位置にあるときに最前端の被搬送物100-1の前面に当接し、かかる位置で作動状態となると最前端の被搬送物100-1の前面を吸着保持する。このとき、上述したとおり、吸着保持具60aは片側縁部規制部材56よりも上方に位置し、吸着保持具60bは片側縁部規制部材56よりも下方で且つ下端縁部規制部材14よりも上方に位置する。そして、追加吸着保持具60aは吸着保持具60aに対して同一高さで且つ幅方向内側に位置し、追加吸着保持具62bは吸着保持具60bに対して同一高さで且つ幅方向内側に位置する。
【0038】
図4-1(a)に示す状態から支持部材64が旋回中心軸線66を中心に旋回して一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが前進位置から後方に後退移動すると、吸着保持された被搬送物100-1の下端縁部が搬送方向下流側に向かって引き出されて下端縁は上方に上端縁は下方に夫々変位せしめられる。この際には、所定高さ支持部材16が所定高さ支持部材回転手段30によって同左側図において反時計方向に回転駆動するのがよい。所定高さ支持部材16が回転駆動することで被搬送物100-1の上端縁の下方への変位が促進せしめられるためである。上記後退移動の初期段階にあっては更に、図4-1(b)に示すとおり、一対の吸着保持具60a及び60bに吸着せしめられた最前端の被搬送物100-1は、一対の吸着保持具60a及び60bの各々の間に位置する片側縁部規制部材56の存在に起因して最前端100-1の被搬送物の片側縁部が3次元的に湾曲せしめられて次の被搬送物100-2から分離される。
【0039】
図4-1(b)に示す状態から一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが更に後退移動すると、図4-2(c)に示されるとおり、吸着保持された被搬送物100-1の片側縁部は片側縁部規制部材56を通過し、片側縁部規制部材56には次の被搬送物100-2の前面の片側縁部が当接することとなる。そして、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが更に後退移動すると、被搬送物100-1の下端縁部は下端縁部規制部材14を上方に乗り越えて、上端縁部は所定高さ支持部材16を下方にくぐって夫々搬送方向下流側へ変位せしめられ、被搬送物100-1は分離搬出される。
【0040】
そして、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが図4(d)に示す後退位置に到達すると、これらは作動状態から非作動状態に切り替えられて被搬送物100-1の吸着保持を解除し被搬送物100-1は被搬送物打ち出し機構8における受部材68の主受面72上に搬出される。被搬送物打ち出し機構8の作動については後述するが、被搬送物100-1が被搬送物打ち出し機構8の作動によって打ち出されると、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは後退位置から前進位置へ前進移動すると共に非作動状態から作動状態に切り替えられ、再び図4(a)に示す状態となる。従って、被搬送物分離搬出機構6によれば、一対の吸着保持具60a及び60bは複雑な作動をすることなく充分確実に最前端の被搬送物100-1を次の被搬送物100-2から分離搬出することができる。
【0041】
ここで、被搬送物100の高さが高い(上下方向長さつまり側縁の長さが長い)場合には、吸着保持部材58つまり一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが最前端の被搬送物100-1を吸着保持して前進位置から後退位置まで後退移動した際に、図5-1(a)に示すとおり、被搬送物100-1の下半部は受部材68の主受面72上に搬出されるが、上端部は未だ所定高さ支持部材16に当接されている場合がある。この場合には、被搬送物分離搬出機構6の一部である引き出しアーム78が以下のように作動して、被搬送物100-1の上端部を所定高さ維持部材16から引き出す。引き出しアーム78は、最前端の被搬送物100-1(又は次の被搬送物100-2)の前面が所定高さ支持部材16の上方に位置する接触スイッチ82と当接することで作動可能となる。
【0042】
図5-1(a)に示す状態、つまり一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bが後退位置に到達して吸着保持された被搬送物100-1の下半部は受部材68の主受面72上に搬出されたが上端部は未だ所定高さ支持部材16に当接されている状態にあっては、引き出しアーム78は上昇位置において垂下位置にある。このとき、一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは作動状態のままである。この状態から、引き出しアーム78は上下方向駆動手段80aによって図5-1(b)に示すとおり、上昇位置から下降位置に向かって降下すると共に旋回駆動手段80bによって垂下位置から旋回位置に向かって旋回せしめられ、図5-1(c)に示すとおり、下降位置において旋回位置となる。その後に、図5-2(d)に示すとおり、引き出しアーム78は旋回位置を保持したまま上下方向駆動手段80aによって下降位置から上昇位置に向かって上昇せしめられる。かくすると、図5-1(c)の左側図と図5-2(d)の左側図とを比較参照することによって理解されるとおり、被搬送物100-1の上端部は引き出しアーム78の作動によって所定高さ支持部材16の下方から引き出されて受部材68の主受面72上に搬出される。その後に一対の吸着保持具60a及び60b並びに一対の追加吸着保持具62a及び62bは作動状態から非作動状態に切り替えられ、被搬送物100-1は被搬送物打ち出し機構8の後述する作動によって打ち出される。引き出しアーム78が旋回位置を保持したまま下降位置から上昇位置に向かって上昇せしめられる際には、所定高さ支持部材16は自由回転又は所定高さ支持部材回転手段30によって図5-1及び図5-2の左側図において反時計方向に回転駆動せしめられるのが良い。引き出しアーム78は上昇位置にて図5-2(e)に示すとおり、旋回駆動手段80bによって旋回位置から垂下位置に旋回せしめられ、図5-1(a)に示す状態に戻る。
【0043】
次に、図6を参照して被搬送物打ち出し機構8の作動について説明する。
被搬送物打ち出し機構8は、受部材68が図6(a)に示す下降位置に位置している時に被搬送物分離搬出機構6によって分離搬出された被搬送物100-1を底受面74上に位置する下縁から主受面72に沿って延在する状態で受け取る。次いで昇降動手段70によって受部材68が高速で図6(b)に示される上昇位置に上昇されることによって、被搬送物100-1を上方及び後方に向かって且つ受部材68の上端縁を超えて下流側搬送手段84上に打ち出す。下流側搬送手段84上に打ち出された被搬送物100-1(これを図6(b)において二点鎖線で示す)は傾斜板86の上面を滑って搬送方向下流側に向かって搬出される。従って、被搬送物打ち出し機構8によれば、被搬送物100-1は受部材68によって上方及び後方に向かって打ち出されることから、被搬送物100は変形されることも噛み込みを生じて装置全体を停止させることもなく下流側搬送手段84に搬出される。上昇位置に上昇した受部材68は昇降動手段70によって上昇位置から下降位置へ降下せしめられて被搬送物分離搬出機構6によって次の被搬送物が分離搬出されるのを待機する。
【0044】
以上、本発明に従って構成された被搬送物分離搬出機構を含む被搬送物搬出・搬送装置について添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。例えば、図示の実施形態においては、可動支持体32を前進及び後退動するための駆動手段36は圧縮空気を駆動源とするものであったが、駆動源は電動モーター等であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
2:被搬送物搬出・搬送装置
6:被搬送物分離搬出機構
8:被搬送物打ち出し機構
10:搬送経路規定手段
12:強制手段
14:下端縁部規制部材
16:所定高さ部支持部材
18:分離搬出手段
32:可動支持体
34:押圧部材
36:駆動手段
40:押圧前面
44:(押圧部材の)旋回中心軸線
48:後方旋回手段
52:押圧部材復帰手段
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7