(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241106BHJP
A63F 5/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 301C
A63F7/02 334
A63F5/04 601C
A63F5/04 699
(21)【出願番号】P 2020205673
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】永田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】富永 信介
【審査官】木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166004(JP,A)
【文献】特開2007-275239(JP,A)
【文献】特開2015-167743(JP,A)
【文献】特開2016-059617(JP,A)
【文献】特開2018-019924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値としての遊技点に関する情報を管理し、遊技点により遊技が可能な遊技機であって、
遊技点の加算を指示する信号を送信する第1制御基板と、
前記信号にもとづいて遊技点を加算する第2制御基板と、
異常を判定する異常判定手段と、
を備え、
前記第1制御基板と前記第2制御基板との間の信号線を複数系統に分割し、
前記複数系統に分割された前記信号線は、シリアル通信による信号線とパラレル通信による信号線とを含み、
前記異常判定手段は、
同じ送信タイミングにて送信される前記複数系統の信号線からのそれぞれの信号に基づいて前記異常を判定可能である、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を内部に封入した封入式パチンコ遊技機や、メダル等の遊技媒体の代わりに遊技点(データ)を用いて遊技を行うスロットマシン(メダルレススロット)等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗内設備(補給設備、揚送装置、研磨装置)の削減、店員の作業軽減(球箱運搬作業、メンテナンス作業等の軽減)のため、遊技球を内部に封入した封入式パチンコ遊技機(例えば、特許文献1)や、メダル等の遊技媒体の代わりに遊技点(データ)を用いて遊技を行うスロットマシン(メダルレススロット)(例えば、特許文献2)が開発されている。遊技により得た遊技価値(出玉)は、遊技点としてデータ化され、カード等の記憶媒体に記憶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-166002号公報
【文献】特開2020-116297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実物の球(メダル等)の払い出しがある従前の遊技機の場合には、不正に信号を発生させ出玉を増加させた場合には、見た目にも異常な数の遊技球等が払い出されるため、早期に発見が容易であったが、特許文献1や2の遊技機は、実物の球(メダル等)の払い出しが無いため、不正行為により遊技点(データ)が増加した場合に発見しにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、不正に信号を発生させ、遊技点(データ)を増加させる不正行為を防止する遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
手段Aの遊技機は、
遊技価値としての遊技点に関する情報を管理し、遊技点により遊技が可能な遊技機であって、
遊技点の加算を指示する信号を送信する第1制御基板と、
前記信号にもとづいて遊技点を加算する第2制御基板と、
異常を判定する異常判定手段と、
を備え、
前記第1制御基板と前記第2制御基板との間の信号線を複数系統に分割し、
前記複数系統に分割された前記信号線は、シリアル通信による信号線とパラレル通信による信号線とを含み、
前記異常判定手段は、同じ送信タイミングにて送信される前記複数系統の信号線からのそれぞれの信号に基づいて前記異常を判定可能である。
(1)遊技価値としての遊技点に関する情報を管理し、遊技点により遊技が可能な遊技機(封入式パチンコ遊技機1)であって、 遊技点の加算を指示する信号を送信する第1制御基板(主制御基板21)と、
前記信号にもとづいて遊技点を加算する第2制御基板(枠制御基板34)と、を備え、
前記第1制御基板と前記第2制御基板との間の信号線(配線L1、L2、L3)を複数系統に分割し、少なくとも1の系統の配線(配線L1)について裏面側から視認可能とした。
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。不正基板を作成する場合には、複数系統の信号線について通信を行う必要があるため、入出力回路等やプログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させ、不正基板の作成を困難にすることができる。また、不正基板の取り付け作業には、複数系統の信号線の取り外しが必要になるため、取り付け作業に手間(時間)がかかり、取り付け作業の発見が容易になる。また、少なくとも1の系統の信号線が裏面側から視認可能であるため、不正基板が取り付けられた場合に発見が容易になる。
(2)遊技価値としての遊技点に関する情報を管理し、遊技点により遊技が可能な遊技機(封入式パチンコ遊技機1)であって、
遊技点の加算を指示する信号を送信する第1制御手段(主制御基板21、または、主制御CPU)と、
前記信号にもとづいて遊技点を加算する第2制御手段(枠制御基板34、または、枠制御CPU)と、
前記第1制御手段と前記第2制御手段とを収容する収容体(基板収容ボックス)と、を備え
一部を破壊しない限り開封できない封止手段(封止部品)を前記収容体に設け、前記第1制御手段と前記第2制御手段とを封止した。
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。不正基板を接続するには、収容体を開封しなければならず、取り付け作業に手間(時間)がかかり、取り付け作業の発見が容易になる。また、開封の痕跡が残るため不正基板が取り付けられた場合に発見が容易になる。
(3)遊技価値としての遊技点に関する情報を管理し、遊技点により遊技が可能なスロットマシン(メダルレススロットS1)であって、
遊技点の加算を指示する信号を送信する第1制御基板(PS主制御基板S21)と、
前記信号にもとづいて遊技点を加算する第2制御基板(PSメダル数制御基板S34)と、を備え、
前記第1制御基板と前記第2制御基板との間の信号線(配線SL1、SL2)を複数系統に分割し、少なくとも1の系統の配線(配線SL1)について前面扉(前面扉S3F)を開放した状態にて視認可能とした。
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。不正基板を作成する場合には、複数系統の信号線について通信を行う必要になるため、入出力回路等やプログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させ、不正基板の作成を困難にすることができる。また、不正基板の取り付け作業には、複数系統の信号線の取り外しが必要になるため、取り付け作業に手間(時間)がかかり、取り付け作業の発見が容易になる。また、少なくとも1の系統の信号線が前面扉を開放した状態にて視認可能であるため、不正基板が取り付けられた場合に発見が容易になる。
(4)遊技価値としての遊技点に関する情報を管理し、遊技点により遊技が可能なスロットマシン(メダルレススロットS1)であって、
遊技点の加算を指示する信号を送信する第1制御手段(PS主制御基板S21、または、PS主制御CPU)と、
前記信号にもとづいて遊技点を加算する第2制御手段(PSメダル数制御基板S34、または、PSメダル数制御CPU)と、
前記第1制御手段と前記第2制御手段とを収容する収容体(基板収容ボックス)と、を備え
一部を破壊しない限り開封できない封止手段(封止部品)を前記収容体に設け、前記第1制御手段と前記第2制御手段とを封止した。
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。不正基板を接続するには、収容体を開封しなければならず、取り付け作業に手間(時間)がかかり、取り付け作業の発見が容易になる。また、開封の痕跡が残るため不正基板が取り付けられた場合に発見が容易になる。
【0007】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであって良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態Pの封入式パチンコ遊技機及びカードユニットを示す正面図である。
【
図2】実施形態Pの封入式パチンコ遊技機を示す裏面図である。
【
図3】実施形態Pの封入式パチンコ遊技機の主制御基板と枠制御基板との間の配線系統の模式図及び信号の一覧表である。
【
図4】変形例P1の封入式パチンコ遊技機の主制御基板と枠制御基板を示す図である。
【
図5】変形例P2の封入式パチンコ遊技機の主制御/枠制御基板を示す図である。
【
図6】実施形態Sのメダルレススロット及びカードユニットを示す正面図である。
【
図7】実施形態Sのメダルレススロットの前面扉を開放した状態を示す図である。
【
図8】実施形態SのメダルレススロットのPS主制御基板とPSメダル数制御基板との間の配線系統の模式図及び信号の一覧表である。
【
図9】変形例S1のメダルレススロットのPS主制御基板とPSメダル数制御基板を示す図である。
【
図10】変形例S2のメダルレススロットのPS主制御/PSメダル数制御基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照し、封入式パチンコ遊技機1、カードユニット4について説明する。
【0010】
遊技者が遊技を開始する際には、紙幣投入口41へ紙幣を投入する。投入金額に応じたプリペイド残高(金額)が表示器43に表示される。貸出ボタン44を1回押すと、プリペイド残高から500円分が差し引かれ、500円に相当する遊技点(125P)が封入式パチンコ遊技機1側の持玉表示器32に表示(加算)され遊技可能な状態となる。
なお、遊技点とは発射できる遊技球数と同数である。次にハンドル31を操作し発射装置により遊技球を発射する。発射された遊技球が、釘が植設された遊技領域を流下し、始動入賞口24に入賞すると、乱数抽選を行い、抽選結果を液晶表示器23に表示し、大当りとなった場合には大入賞口25が開放され、大入賞口25に遊技球が入賞することで多くの遊技点を得ることが可能となっている。
【0011】
遊技点は持玉表示器32に表示され随時更新(加算、減算)される。遊技点は、遊技球の発射により減算され、遊技領域の各入賞口への入賞により加算される。
遊技を終了したいときは、計数ボタン33を操作すると遊技点がカードユニット4へ送信され、持玉表示器32の数値は0となり、代わりにカードユニット4側の表示器43に遊技点が新たに表示される(データが移行される)。
さらに返却ボタン45を押すと遊技点が記録されたカードがカード挿入口42から返却される。なお、プリペイド残高が残っている場合には同じカードに記憶されて返却される。
【0012】
また、遊技点が無い状態でも、プリペイド残高が残っている場合は、返却ボタン45を押せば、プリペイド残高が記録されたカードが返却される。
獲得した遊技点を用いて再度遊技する場合には、カード挿入口42にカードを挿入し、再プレイボタン46を押すことで、遊技点が封入式パチンコ遊技機1側にデータ移行され、再度遊技を実行可能となる。
【0013】
図1、
図2を参照し、封入式パチンコ遊技機1の構成について説明する。
【0014】
封入式パチンコ遊技機1は本体枠3に対して遊技盤2が着脱可能に構成されている。遊技盤2には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶表示器23が搭載され、遊技球が流下する遊技領域には、始動入賞口24、大入賞口25等の各入賞口が設けられている。本体枠3には、持玉表示器32、枠制御基板34、IF基板35が搭載され、ハンドル31、計数ボタン33が設けられている。内部には50~100個程度の遊技球が封入され、発射→流下→回収→揚送→研磨→待機→発射という行程を繰り返す循環構造となっており、遊技者は遊技球に触れることなく遊技を行う。遊技球は磁石による不正を防止するため、ステンレス球が使用される。鉄の球が混入した場合にはそれを検出する検出部を備える。
【0015】
主制御基板21は、パチンコ遊技の制御を行うための基板であり、主制御CPUや、他基板との通信に必要な回路、センサ等の電子部品からの入力に必要な回路、ソレノイド等の電子部品への出力に必要な回路、コネクタ等が搭載された基板である。各入賞口に設けられたセンサが接続され、センサの検出に応じて予め定められた遊技点の加算を指示するコマンドを枠制御基板34に送信する(例、始動入賞口24への入賞は3P、大入賞口25への入賞は15Pの加算を指示するコマンドを送信する)。また、始動入賞口24への入賞を検出した場合には、乱数により、大当りとするか否かの抽選を行い、抽選結果や図柄の変動パターン(リーチ、予告)等の演出について指示するコマンドを演出制御基板22へ送信する。さらに、各種異常を検知した場合には、所定の異常時処理(例えば、異常報知を指示するコマンドを演出制御基板22へ送信する)を実行する。また、大当り、始動入賞の発生等の各種遊技情報を枠制御基板34に送信する。
【0016】
演出制御基板22は、演出部品を制御する基板であり、演出制御CPUや、他基板との通信に必要な回路、センサ等の電子部品からの入力に必要な回路、ソレノイド等の電子部品への出力に必要な回路、コネクタ等が搭載された基板である。主制御基板21から送信されたコマンドにより、液晶表示器23や各演出部品(可動ギミック、装飾LED、スピーカ)を制御し、各種演出と、異常報知を行う。
【0017】
枠制御基板34は、封入された遊技球の循環制御(発射、揚送、研磨、各装置の制御)及び遊技点の記憶管理を行う基板であり、枠制御CPUや、他基板との通信に必要な回路、センサ等の電子部品からの入力に必要な回路、ソレノイド等の電子部品への出力に必要な回路、コネクタ等が搭載された基板である。主制御基板21から送信されたコマンドにより、遊技点の記憶データの加算更新を行う。また、発射検出センサ(発射位置へ球を送出したことを検出するセンサでも良い)により遊技球の発射が検出されると遊技点の減算更新を行う。さらに、発射されたが遊技領域に到達せずに戻ってきたファール球を検出した場合には遊技点の加算更新を行う。また、カードユニット4からの貸出指示があった場合には遊技点の加算更新を行う。さらに、計数ボタン33が押された場合には遊技点をカードユニット4へ移行させる。また、遊技点の更新に応じて持玉表示器32の数値表示の更新を行う。さらに、主制御基板21から送信された大当り、始動入賞の発生等の各種遊技情報をカードユニット4へ送信する。各種遊技情報はカードユニット4を経由して店外のセキュリティセンターサーバや店内のホールコンピュータへ送信される。なお、枠制御基板34とカードユニット4との間の通信はIF基板35を介して行われる。
【0018】
IF基板35は、封入式パチンコ遊技機1とカードユニット4とを接続するために基板であり、枠制御基板34とカードユニット4との間に接続され、双方からの信号を安全に中継するのに必要なフォトカプラ等の電子部品、コネクタ等が搭載された基板である。
【0019】
主制御基板21と枠制御基板34とは、各々別の基板収容ボックスに収容されている。基板収容ボックスは透明な樹脂製であり、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)となっている。一度開封するとその痕跡が残るため、不正な開封が発見可能となっている。
IF基板35は封止構造のない透明カバーに覆われているだけであるが、IF基板35についても、主制御基板21、枠制御基板34と同様に、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)を有する基板収容ボックスに収容しても良い。
【0020】
本発明にて防止しようとする不正行為は、正規の制御基板に不正基板を接続させ、信号を出力し出玉(遊技点)を得るという行為であり、所謂「ぶら下げ基板」と呼ばれる不正行為である。「不正基板」を用いた不正の防止(抑止)対策として主なものを以下に示す。「不正基板」の作成(開発)の手間(コスト)を増大させて作成自体を諦めさせることを目的とする対策(以下、対策Aと呼ぶ)。「不正基板」を遊技機に取り付ける際の作業の手間(時間)をかけさせることで取り付ける行為の発見を容易にする、または取り付け作業を諦めさせることを目的とする対策(以下、対策Bと呼ぶ)。「不正基板」が取り付けられたことを発見し易くするための対策(以下、対策Cと呼ぶ)。「不正基板」が取り付けられ不正行為が実行された場合に発見し易くするための対策(以下、対策Dと呼ぶ)。不正行為を未然に防止するには上記の対策A~Cにて防止できることが望ましい。
本実施形態Pの封入式パチンコ遊技機においては、主制御基板21と枠制御基板34との間の配線に不正基板を介在させ、入賞口に入賞が無いにも関わらず不正に遊技点の加算を指示するコマンドを枠制御基板34に入力し、遊技点を加算させるという不正行為が想定される。
【0021】
上記の不正行為に対し、本発明では、主制御基板21と枠制御基板34との間の信号線(配線及びコネクタ)を複数系統(2系統)に分割し、
図2、
図3に示すように少なくとも1の系統の信号線(配線L1、コネクタCN1、CN2)について裏面側から視認可能とした。これにより、不正基板を作成する場合には、複数系統の信号線について通信を行う必要になるため、入出力回路等やプログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させることができる(上記対策A)。また、不正基板の取り付け作業には、複数系統の信号線の取り外しが必要になるため、取り付け作業に手間(時間)がかかる(上記対策B)。また、少なくとも1の系統の信号線(配線L1、コネクタCN1、CN2)が裏面側から視認可能であるため、不正基板を取り付けられた場合には目視により容易に発見可能となる(上記対策C)。
【0022】
図3は主制御基板21と枠制御基板34との間の信号線(配線及びコネクタ)を模式的に表した図である。配線L2、L3の系統の信号線は、遊技盤2が本体枠3に取り付けられる際に接続されるドロワコネクタDCN1、DCN2により接続されているため、一部が裏面側から視認困難(破線で囲まれた部分)となっている。遊技盤2の交換作業時のコネクタ接続回数を軽減するためにこのような構成にしているが、これに限らず、配線L2、L3の系統の信号線についても配線L1の系統と同様に裏面側から視認可能な構成としても良い。そうすることによりさらに不正基板の発見を容易にすることができる(上記対策C)。
【0023】
なお、
図3では図示省略しているが、ドロワコネクタDCN1、DCN2により接続される配線は、配線L2、L3だけではなく、遊技盤2に搭載される演出制御基板22と本体枠3に設けられる電気部品(LED、操作ボタン、スピーカ等)との間の配線も別途存在する。
また、配線L1、L2、L3の配線により送信される信号(コマンド)の詳細(
図3の表を参照)を説明する。また、表では省略しているが、GND(0V)の配線も別途設けられている。
【0024】
配線L2、L3の系統の信号線から送信される信号はシリアル通信により主制御基板21から枠制御基板34へ送信される信号(No.1)である。送信される内容は、例えば、電源投入時に送信されるイニシャル時の信号(遊技機種類、主制御チップID番号、制御チップメーカコード、主制御チップメーカコード、主制御チップ製品コード)や、常時108ms毎に送信される信号(大当り、時短、確変、エラー状態、不正検知、各入賞情報、各図柄確定回数、遊技点加算指示等)である。データに変化が無い場合には送信する必要が無いデータもあるため、1回に送信されるデータ長は一定ではなく要否に応じて変化する(可変長)。可変長とすることにより、正規の信号の内容を解析するのに時間がかかり、不正基板を作成する場合には、信号送信プログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させることができる(上記対策A)。なお、「チップ」とは「CPU」、「マイクロコンピュータ」と同義である。
【0025】
配線L1の系統の信号線から送信される信号はシリアル通信による信号(No.2)と、パラレル通信による信号(No.3~8)と両方が存在する。
シリアル通信による信号(No.2)は、上記した配線L2(L3)にて送信されるシリアル通信による信号(No.1)に対する応答信号であり、枠制御基板34から主制御基板21へ送信される。送信される内容は、信号(No.1)ののチェックサム値を送信するものである。これにより、主制御基板21側では、信号(コマンド)を送信するときに予め算出し、記憶しておいた信号(No.1)のチェックサム値と、枠制御基板34から返信された信号(No.2)のチェックサム値との一致判定を行い、一致しなかった場合には異常と判定し、所定の異常時処理(例えば、異常報知、遊技停止等)を実行する。これにより、不正基板により遊技点の加算指示等が不正に送信された場合に容易に発見が可能となる(上記対策C)。なお、異常時処理は電源再投入により解除可能となっている。
パラレル通信による信号(No.3~8)は、上記した配線L2(L3)にて送信されるシリアル通信による信号(No.1)と同時期(同じ送信契機)に送信される信号であり、主制御基板21から枠制御基板34へ送信される。送信される内容は、同時期(同じ送信契機)に送信する信号(No.1)のデータ長(コマンド数、バイト数)を送信するものである。これにより、枠制御基板34側では、主制御基板21から送信された信号(No.1)のデータ長(コマンド数、バイト数)をカウントし、別途、主制御基板21から送信された信号(No.3~8)によるデータ長(コマンド数、バイト数)との一致判定を行い、一致しなかった場合には異常と判定し、所定の異常時処理(例えば、遊技点の加算指示の破棄、異常報知、主制御基板21への遊技停止指示、カードユニット4への異常発生通知等)を実行する。これにより、不正基板により遊技点の加算指示等が不正に送信された場合に容易に発見が可能となる(上記対策C)。なお、異常時処理は電源再投入により解除可能となっている。
【0026】
実施形態Pでは、配線L1の系統内、あるいは複数系統の信号線(L1と、L2(L3))において異なる信号方式(シリアル通信、パラレル通信)にて通信を行っている。つまり、不正の対象となる主制御基板21と枠制御基板34との間の通信において異なる複数の通信方式により通信を行っている。これにより、不正基板を作成する場合には、入出力回路等やプログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させることができる(上記対策A)。なお、通信方式は、パラレル方式、シリアル方式に限らず、光通信や無線通信等の他の通信方式でも良い。
【0027】
また、主制御基板21と枠制御基板34との間の通信は一方向の通信ではなく、双方向通信としている。これにより、不正基板から枠制御基板34に加算を指示するコマンドを送信するだけではなく、枠制御基板34から主制御基板21への信号についてもブロックする必要や、改ざんを加える必要が生じる(上記対策A)。
【0028】
また、
図3に示す配線L1の両端のコネクタCN1、CN2について説明する。枠制御基板34側のコネクタCN2は、一旦差し込むと離脱不能(嵌め殺し構造)なコネクタにより接続されている。CN1は通常のコネクタであり、遊技盤交換時に着脱可能に構成されている。これにより、不正基板を取り付ける場合には、配線L1を流用することとなり、コネクタCN1を外し、不正基板のコネクタを接続することとなるため配線が不自然に長くなり、不正基板を取り付けられた場合には目視により容易に発見可能となる(上記対策C)。
【0029】
なお、コネクタCN2だけではなく、コネクタCN1についても一旦差し込むと離脱不能(嵌め殺し構造)なコネクタにより接続するようにしても良い。これにより、不正基板を取り付けるには、配線L1、コネクタCN1、CN2のいずれかを破壊する必要が生じるため、破壊の痕跡が残る(上記対策C)。
また、一旦差し込むと離脱不能な構造(嵌め殺し構造)とすることに代えて、基板収容ボックス(収容体)の封止構造のように、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)により、コネクタを封止しても良い。一部を破壊し、開封後、再度封止が可能な構造で着脱が可能となるが、開封の痕跡が残るので不正な開封を発見できる(上記対策C)。
【0030】
なお、主制御基板21と枠制御基板34との間の信号線(配線及びコネクタ)を2系統に分割するものを例示したが、2系統に限らず、3系統以上に分割しても良い。
【0031】
なお、主制御基板21と枠制御基板34との間の信号線(配線及びコネクタ)に対する対策について例示したが、これをIF基板35と枠制御基板34との間の信号線や、IF基板35とカードユニット4との間の信号線に適用しても良い。
【0032】
なお、不正基板の接続の対象となりうる配線や、コネクタについて、他の配線より目立つ色を採用しても良い。例えば、蛍光色(ピンク、黄色等)としても良い。これにより、目視確認するべき配線、コネクタの位置が目立つため、不正基板が取り付けられた場合の発見がさらに容易になる(上記対策C)。具体的には、主制御基板21と枠制御基板34との間の信号線(配線及びコネクタ)である、配線L1、コネクタCN1、CN2。または、配線L2、L3、コネクタCN3、CN4。または、IF基板35と枠制御基板34との間の信号線(配線及びコネクタ)に適用しても良い。
【0033】
上記の実施形態Pでは、基板間の信号線を複数系統に分割して不正対策を行うものを例示したが、以下の変形例P1では、通信を行う複数の基板を通信経路も含めて封止する構造を例示する。
図4に示す部分以外は上記の実施形態Pと同じであるため他の部分の説明は省略する。
上記の実施形態Pでは、主制御基板21と枠制御基板34とは、各々別の基板収容ボックスに収容されているものを例示したが、変形例P1では、
図4に示すように、主制御基板21と枠制御基板34は1つの基板収容ボックス(収容体)に収容されている。基板収容ボックス(収容体)は透明樹脂製である。
主制御基板21と枠制御基板34とは、ボードtoボード接続(配線ケーブルを使わず、各基板に搭載された接続部(コネクタ)同士による接続)部分にて接続されている。
【0034】
なお、ボードtoボード接続(配線ケーブルを使わず、各基板に搭載された接続部(コネクタ)同士による接続)の代わりに、基板収容ボックス内にてコネクタと配線ケーブルによる接続形式としても良いが、ボードtoボード接続とする方が効果は高い。なぜなら、ボードtoボード接続とすることで、配線ケーブルのように撓み箇所が無いため、不正基板を接続しようとすると接続方向(
図4の例では上下方向)にスペースが必要になり、主制御基板21の上辺と、枠制御基板34の下辺との距離が長くなり、基板収容ボックスの内壁に干渉し、基板収容ボックス内に収容することが困難になる。よっていずれかの基板を短くカットするか、基板収容ボックスを加工する必要が生じ、取り付け作業に手間(時間)がかかり(上記対策B)、加工の痕跡により発見も容易になる(上記対策C)。
【0035】
さらに、基板収容ボックスは、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)により封止されている。具体的には封止部品の根本部分を切断することにより開封が可能となるが、切断の痕跡が残る。
図4の例では、封止部品が2つあり、一度開封しても再度封止可能となっている。封止部品(封止構造)の詳細は周知の技術であるため説明は省略する。
【0036】
変形例P1の構造を採用することにより、不正基板を接続するには、基板収容ボックスを開封しなければならず、取り付け作業に手間(時間)がかかる(上記対策B)。また、開封の痕跡が残るため不正基板が容易に発見可能となる(上記対策C)。また、仮に不正基板を基板収容ボックス内に収容したとしても、透明樹脂製なので、不正基板を容易に発見可能である。
【0037】
なお、変形例P1では、主制御基板21と枠制御基板34とを1つの基板収容ボックス(収容体)に収容するものを例示したが、これに限らず、枠制御基板34とIF基板35の2つの基板に適用しても良いし、主制御基板21と枠制御基板34とIF基板35の3つの基板に適用しても良い。
【0038】
変形例P1では、主制御基板21と枠制御基板34を1つの基板収容ボックス(収容体)に収容するものを例示したが、以下の変形例P2では、主制御基板21と枠制御基板34を1枚の基板に集約するものを例示する。
図5に示す部分以外は上記の実施形態Pと同じであるため他の部分の説明は省略する。
【0039】
上記の実施形態Pでは、主制御基板21と枠制御基板34とは、各々別の基板収容ボックスに収容されているものを例示したが、変形例P2では、
図5に示すように、主制御基板21と枠制御基板34は1つの基板に集約されている。基板収容ボックス(収容体)は変形例P1と同様の構成であるので説明は省略する。
1枚の基板上に主制御CPUと、枠制御CPUとが搭載された主制御/枠制御基板として構成している。
主制御CPUと枠制御CPUとの間の通信ラインは基板上のプリント配線により接続されている。よって、不正基板を接続するためには、プリント配線を切断する加工、あるいは基板ごと切断する加工が必要になり、さらにコネクタのような接続手段が無いため、ハンダ付け加工、あるいはコネクタの追加加工が必要になる。これにより、取り付け作業に手間(時間)がかかり(上記対策B)、加工の痕跡により発見も容易になる(上記対策C)。
【0040】
さらに、変形例P1と同様に、基板収容ボックスは、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)により封止されている。よって、変形例P2の構造を採用することにより、不正基板を接続するには、基板収容ボックスを開封しなければならず、取り付け作業に手間(時間)がかかる(上記対策B)。また、開封の痕跡が残るため不正基板が容易に発見可能となる(上記対策C)。また、仮に不正基板を基板収容ボックス内に収容したとしても、透明樹脂製なので、不正基板を容易に発見可能である。
【0041】
なお、変形例P2では、主制御基板21(主制御CPU)と枠制御基板34(枠制御CPU)とを1枚の基板に集約するものを例示したが、これに限らず、枠制御基板34(枠制御CPU)とIF基板35(IF基板に搭載される枠制御CPUとカードユニットとの間の通信回路)の2つの基板(CPU、通信回路)に適用しても良いし、主制御基板21(主制御CPU)と枠制御基板34(枠制御CPU)とIF基板35(IF基板に搭載される枠制御CPUとカードユニットとの間の通信回路)の3つの基板(CPU、通信回路)に適用しても良い。
さらに、変形例P1と変形例P2を組み合わせたものでも良い。例えば、主制御基板21(主制御CPU)と枠制御基板34(枠制御CPU)とIF基板35(IF基板に搭載される枠制御CPUとカードユニットとの間の通信回路)の3つの基板(CPU、通信回路)のうち、2つを一枚の基板に集約し、残り1つを別基板で構成し、それらを1つの基板収容ボックス(収容体)に収容しても良い。
【0042】
上記した実施形態P、変形例P1、P2は、主に通信部分に関する不正基板対策を例示したが、これとは異なるプロセスの不正基板対策として、他の例P3を以下に例示する。
遊技盤2の遊技領域上に設けられた各入賞口には球検出センサが設けられ、検出信号が主制御基板21(主制御CPU)に入力され入賞の有無を判定している。仮に不正基板を取り付けられ、信号を入力され、不正に遊技点を増加させた場合には、実際には入賞が検出されていないにもかかわらず遊技点が増加する状況となる。
【0043】
そこで、遊技盤2の各入賞口に入球した遊技球(以下、セーフ球と呼ぶ)を集合させ、流下させるセーフ球経路を設け、その経路を流下するセーフ球を検出する手段(センサ)を設置し、枠制御基板34(枠制御CPU)に検出信号入力させる。枠制御基板34(枠制御CPU)は、「入賞により主制御基板21(主制御CPU)から送信される加算を指示するコマンドの受信により特定可能な入賞個数(判定値A)」と「セーフ球経路の球を検出する手段(センサ)による検出個数(判定値B)」とを比較し、判定値AとBとの差が所定値(閾値)に達したことを条件に異常(不正行為発生)と判定し、所定の異常時処理(後述)を実行する。
【0044】
これにより、不正基板を取り付けられ、信号を入力され、不正に遊技点を増加した場合でも、不正行為の発見を容易にすることができる(上記対策D)。
また、各入賞口すべてにセンサを追加して、枠制御基板34(枠制御CPU)に入力することも可能であるが、上記のように集合させて検出するほうが、少ない検出手段(センサ)の数で異常判定が可能となる。
【0045】
また、所定の異常時処理としては、例えば、枠制御基板34(枠制御CPU)にて主制御基板21を介さずに駆動可能な報知手段(LED、スピーカ等)にて異常を報知する、あるいは、枠制御基板34(枠制御CPU)から主制御基板21を介さずに演出制御基板22に異常報知を指示し、演出制御基板22の制御により報知手段(液晶表示器、LED、スピーカ等)にて異常を報知する。なお、演出制御基板22に限らず、外部のカードユニット4に異常発生を送信し、カードユニット4を含むその接続先(店内のホールコンピュータ、データ表示器、店外のセキュリティセンターサーバ等)に信号を送信し、報知(通知)を行わせても良い。
【0046】
これにより、不正基板に邪魔されず(信号をブロックされずに)に報知(通知)することが可能となる。なお、不正行為を実行している者は、報知されると逃走する可能性が高いため、あえて表立って報知をせず、身柄を確保するという手法をとる場合もある。
【0047】
なお、主制御基板21(主制御CPU)のセーフ球検出は入賞口の近傍であるが、枠制御基板34(枠制御CPU)のセーフ球検出は入賞後に集合させた後の経路における検出であるため、両者の検出タイミングにはタイムラグが生じる。よって、比較の対象となる判定値Aと判定値Bは、正常時でもリアルタイムに合致するものではない。したがって、異常の判定を行う場合には、両者の差が所定値(閾値)に達したときに、即異常と判定するのではなく、特定の時間が経過しても(特定の判定回数を実行して)所定値(閾値)を超えているときに異常(不正行為発生)と判定し、所定の異常時処理を実行するものでも良い。
【0048】
図6を参照し、メダル等の遊技媒体の代わりに遊技点(データ)を用いて遊技を行うスロットマシン(メダルレススロット)について説明する。なお、カードユニット4は封入式パチンコ遊技機と共通であるため、実施形態P等における符号も同じものを用いる。
【0049】
遊技者が遊技を開始する際には、紙幣投入口41へ紙幣を投入する。投入金額に応じたプリペイド残高(金額)が表示器43に表示される。貸出ボタン44を1回押すと、プリペイド残高から1000円分が差し引かれ、1000円に相当する遊技点(50P)がメダルレススロットS1側のPS持メダル表示器S32に表示(加算)され遊技可能な状態となる。なお、遊技点は1Pで賭数1(1ベット)可能である。
次にベットボタンS12を操作し賭数設定を行う。次に、スタートレバーS13を操作すると、各リールS11L、C、Rが回転する。ストップボタンS14を操作し、各リールS11L、C、Rを停止させ1ゲーム終了となる。各役に対応した図柄が停止する(入賞)と遊技点を得ることができる。なお、スタートレバーS13の操作に応じて、乱数抽選を行い、抽選結果に対応したリール制御を行い。役当選していない場合には役に対応した図柄が揃わないようにリール制御を行う。また、抽選結果にもとづいてPS液晶表示器S23にて演出表示を実行する。
【0050】
遊技点はPS持メダル表示器S32に表示され随時更新(加算、減算)される。遊技点は、賭数の設定により減算され、各役の入賞により加算される。
遊技を終了したいときは、PS計数ボタンS33を操作すると遊技点がカードユニット4へ送信され、PS持メダル表示器S32の数値は0となり、代わりにカードユニット4側の表示器43に遊技点が新たに表示される(データが移行される)。
さらに返却ボタン45を押すと遊技点が記録されたカードがカード挿入口42から返却される。なお、プリペイド残高が残っている場合には同じカードに記憶されて返却される。
また、遊技点が無い状態でも、プリペイド残高が残っている場合は、返却ボタン45を押せば、プリペイド残高が記録されたカードが返却される。
獲得した遊技点を用いて再度遊技する場合には、カード挿入口42にカードを挿入し、再プレイボタン46を押すことで、遊技点がメダルレススロットS1側にデータ移行され、再度遊技を実行可能となる。
【0051】
図6、
図7を参照し、メダルレススロットS1の構成について説明する。メダルレススロットS1はPS筐体S3に各種部品が取り付けられて構成されている。PS筐体S3は、遊技者側に面する前面扉S3Fと、前面扉S3Fが開放可能に軸支される箱側形状の本体ケースS3Bとから構成される。
図7は前面扉S3Fを開放した状態を示す図である。前面扉S3F側には、PS液晶表示器S23、ベットボタンS12、スタートレバーS13、ストップボタンS14、PS持メダル表示器S32、PS計数ボタンS33が設けられるとともに、各リールS11L、C、Rが視認可能な窓部が形成されている。本体ケースS3B側には、PS主制御基板S21、PS演出制御基板S22、リールユニットS11、PSメダル数制御基板S34、PSIF基板S35が設けられている。
上記した封入式パチンコ遊技機とは異なり、遊技媒体(遊技球、メダル等)を用いることは無いため、既存のスロットマシンのようなメダルの投入、払出のための部品は一切存在しない。
【0052】
PS主制御基板S21は、メダルレススロットS1のリール制御を行うための基板であり、PS主制御CPUや、他基板との通信に必要な回路、ボタン等の電子部品からの入力に必要な回路、モータ等の電子部品への出力に必要な回路、コネクタ等が搭載された基板である。賭数設定に応じて予め定められた遊技点の減算を指示するコマンドをPSメダル数制御基板S34に送信する(1~3P)。また、遊技の結果、役入賞が発生すると予め定められた遊技点の加算を指示するコマンドをPSメダル数制御基板S34に送信する(役入賞の例、チェリーは3P、ベルは6P、スイカは15Pの加算を指示するコマンドを送信する)。また、スタートレバーS12の操作を検出すると、乱数により、各役の抽選を行う。当該ゲームの抽選結果や、内部成立役に関する演出について演出を指示するコマンドをPS演出制御基板S22へ送信する。
さらに、各種異常を検知した場合には、所定の異常時処理(例えば、異常報知を指示するコマンドをPS演出制御基板S22へ送信する)を実行する。また、各役の入賞の発生等の各種遊技情報をPSメダル数制御基板S34に送信する。
【0053】
PS演出制御基板S22は、演出部品を制御する基板であり、PS演出制御CPUや、他基板との通信に必要な回路、演出ボタン等の電子部品からの入力に必要な回路、LED、スピーカ等の電子部品への出力に必要な回路、コネクタ等が搭載された基板である。PS主制御基板S21から送信されたコマンドにより、PS液晶表示器S23や各演出部品(可動ギミック、装飾LED、スピーカ)を制御し、各種演出と、異常報知を行う。
【0054】
PSメダル数制御基板S34は、遊技点の記憶管理を行う基板であり、PSメダル数制御CPUや、他基板との通信に必要な回路、PS計数ボタン等の電子部品からの入力に必要な回路、LED等の電子部品への出力に必要な回路、コネクタ等が搭載された基板である。PS主制御基板S21から送信されたコマンドにより、遊技点の記憶データの加算、減算更新を行う。
また、カードユニット4からの貸出指示があった場合には遊技点の加算更新を行う。さらに、PS計数ボタンS33が押された場合には遊技点をカードユニット4へ移行させる。また、遊技点の更新に応じてPS持メダル表示器S32の数値表示の更新を行う。さらに、PS主制御基板S21から送信された各役の入賞の発生等の各種遊技情報をカードユニット4へ送信する。各種遊技情報はカードユニット4を経由して店外のセキュリティセンターサーバや店内のホールコンピュータへ送信される。なお、PSメダル数制御基板S34とカードユニット4との間の通信はPSIF基板S35を介して行われる。
【0055】
PSIF基板S35は、メダルレススロットS1とカードユニット4とを接続するために基板であり、PSメダル数制御基板S34とカードユニット4との間に接続され、双方からの信号を安全に中継するのに必要なフォトカプラ等の電子部品、コネクタ等が搭載された基板である。
【0056】
PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34とは、各々別の基板収容ボックスに収容されている。基板収容ボックスは透明な樹脂製であり、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)となっている。一度開封するとその痕跡が残るため、不正な開封が発見可能となっている。
PSIF基板S35は封止構造のない透明カバーに覆われているだけであるが、PSIF基板S35についても、PS主制御基板S21、PSメダル数制御基板S34と同様に、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)を有する基板収容ボックスに収容しても良い。
【0057】
封入式パチンコ遊技機の実施形態Pにて説明した対策A~Dについてはメダルレススロットにも共通するものであるため説明を省略する。また上記説明に記載した対策A~Dは本実施形態Sにも引用して記載する。
本実施形態SのメダルレススロットS1においては、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の配線に不正基板を介在させ、役入賞が無いにも関わらず不正に遊技点の加算を指示するコマンドをPSメダル数制御基板S34に入力し、遊技点を加算させるという不正行為が想定される。
【0058】
上記の不正行為に対し、本発明では、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の信号線(配線及びコネクタ)を複数系統(2系統)に分割し、
図7、
図8に示すように少なくとも1の系統の信号線(配線SL1、コネクタSCN1、SCN2)について前面扉S3Fを開放した状態にて視認可能とした。これにより、不正基板を作成する場合には、複数系統の信号線について通信を行う必要があるため、入出力回路等やプログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させることができる(上記対策A)。また、不正基板の取り付け作業には、複数系統の信号線の取り外しが必要になるため、取り付け作業に手間(時間)がかかる(上記対策B)。また、少なくとも1の系統の信号線(配線SL1、コネクタSCN1、SCN2)が前面扉S3Fを開放した状態にて視認可能であるため、不正基板を取り付けられた場合には目視により容易に発見可能となる(上記対策C)。
【0059】
図8はPS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の信号線(配線及びコネクタ)を模式的に表した図である。配線SL2の系統の信号線は、前面扉S3Fを開放した状態では一部が視認困難(破線で囲まれた部分)となっている。なお、これに限らず、配線SL2の系統の信号線についても配線SL1の系統と同様に前面扉S3Fを開放した状態にて視認可能な構成としても良い。そうすることによりさらに不正基板の発見を容易にすることができる(上記対策C)。
また、配線SL1、SL2の配線により送信される信号(コマンド)の詳細(
図8の表を参照)を説明する。また、表では省略しているが、GND(0V)の配線も別途設けられている。
【0060】
配線SL2の系統の信号線から送信される信号はシリアル通信によりPS主制御基板S21からPSメダル数制御基板S34へ送信される信号(No.1)である。送信される内容は、例えば、電源投入時に送信されるイニシャル時の信号(遊技機種類、主制御チップID番号、制御チップメーカコード、主制御チップメーカコード、主制御チップ製品コード)や、常時108ms毎に送信される信号(BB、RB、AT、エラー状態、不正検知、各入賞情報、スタート回数、遊技点加算指示等)である。データに変化が無い場合には送信する必要が無いデータもあるため、1回に送信されるデータ長は一定ではなく要否に応じて変化する(可変長)。可変長とすることにより、正規の信号の内容を解析するのに時間がかかり、不正基板を作成する場合には、信号送信プログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させることができる(上記対策A)。なお、「チップ」とは「CPU」、「マイクロコンピュータ」と同義である。
配線SL1の系統の信号線から送信される信号はシリアル通信による信号(No.2)と、パラレル通信による信号(No.3~8)と両方が存在する。
シリアル通信による信号(No.2)は、上記した配線SL2にて送信されるシリアル通信による信号(No.1)に対する応答信号であり、PSメダル数制御基板S34からPS主制御基板S21へ送信される。送信される内容は、信号(No.1)のチェックサム値を送信するものである。これにより、PS主制御基板S21側では、信号(コマンド)を送信するときに予め算出し、記憶しておいた信号(No.1)のチェックサム値と、PSメダル数制御基板S34から返信された信号(No.2)のチェックサム値との一致判定を行い、一致しなかった場合には異常と判定し、所定の異常時処理(例えば、異常報知、遊技停止等)を実行する。これにより、不正基板により遊技点の加算指示等が不正に送信された場合に容易に発見が可能となる(上記対策C)。なお、異常時処理は電源再投入により解除可能となっている。
【0061】
パラレル通信による信号(No.3~8)は、上記した配線L2(L3)にて送信されるシリアル通信による信号(No.1)と同時期(同じ送信契機)に送信される信号であり、PS主制御基板S21からPSメダル数制御基板S34へ送信される。送信される内容は、同時期(同じ送信契機)に送信する信号(No.1)のデータ長(コマンド数、バイト数)を送信するものである。これにより、PSメダル数制御基板S34側では、PS主制御基板S21から送信された信号(No.1)のデータ長(コマンド数、バイト数)をカウントし、別途、PS主制御基板S21から送信された信号(No.3~8)によるデータ長(コマンド数、バイト数)との一致判定を行い、一致しなかった場合には異常と判定し、所定の異常時処理(例えば、遊技点の加算指示の破棄、異常報知、PS主制御基板S21への遊技停止指示、カードユニット4への異常発生通知等)を実行する。これにより、不正基板により遊技点の加算指示等が不正に送信された場合に容易に発見が可能となる(上記対策C)。なお、異常時処理は電源再投入により解除可能となっている。
【0062】
実施形態Sでは、配線SL1の系統内、あるいは複数系統の信号線(SL1と、SL2)において異なる信号方式(シリアル通信、パラレル通信)にて通信を行っている。つまり、不正の対象となるPS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の通信において異なる複数の通信方式により通信を行っている。これにより、不正基板を作成する場合には、入出力回路等やプログラムが複雑になり、不正基板の作成(開発)の手間(コスト)を増大させることができる(上記対策A)。なお、通信方式は、パラレル方式、シリアル方式に限らず、光通信や無線通信等の他の通信方式でも良い。
【0063】
また、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の通信は一方向の通信ではなく、双方向通信としている。これにより、不正基板からPSメダル数制御基板S34に加算を指示するコマンドを送信するだけではなく、PSメダル数制御基板S34からPS主制御基板S21への信号についてもブロックする必要や、改ざんを加える必要が生じる(上記対策A)。
【0064】
また、
図8に示す配線SL1の両端のコネクタSCN1、SCN2について説明する。PSメダル数制御基板S34側のコネクタSCN2は、一旦差し込むと離脱不能(嵌め殺し構造)なコネクタにより接続されている。SCN1は通常のコネクタであり、着脱可能に構成されている。これにより、不正基板を取り付ける場合には、配線SL1を流用することとなり、コネクタSCN1を外し、不正基板のコネクタを接続することとなるため配線が不自然に長くなり、不正基板を取り付けられた場合には目視により容易に発見可能となる(上記対策C)。
【0065】
なお、コネクタSCN2だけではなく、コネクタSCN1についても一旦差し込むと離脱不能(嵌め殺し構造)なコネクタにより接続するようにしても良い。これにより、不正基板を取り付けるには、配線SL1、コネクタSCN1、SCN2のいずれかを破壊する必要が生じるため、破壊の痕跡が残る(上記対策C)。
【0066】
また、一旦差し込むと離脱不能な構造(嵌め殺し構造)とすることに代えて、基板収容ボックス(収容体)の封止構造のように、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)により、コネクタを封止しても良い。一部を破壊し、開封後、再度封止が可能な構造で着脱が可能となるが、開封の痕跡が残るので不正な開封を発見できる(上記対策C)。
【0067】
なお、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の信号線(配線及びコネクタ)を2系統に分割するものを例示したが、2系統に限らず、3系統以上に分割しても良い。
【0068】
なお、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の信号線(配線及びコネクタ)に対する対策について例示したが、これをPSIF基板S35とPSメダル数制御基板S34との間の信号線や、PSIF基板S35とカードユニット4との間の信号線に適用しても良い。
【0069】
なお、不正基板の接続の対象となりうる配線や、コネクタについて、他の配線より目立つ色を採用しても良い。例えば、蛍光色(ピンク、黄色等)としても良い。これにより、目視確認するべき配線、コネクタの位置が目立つため、不正基板が取り付けられた場合の発見がさらに容易になる(上記対策C)。具体的には、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34との間の信号線(配線及びコネクタ)である、配線SL1、コネクタSCN1、SCN2。または、配線SL2、コネクタSCN3、SCN4。または、PSIF基板S35とPSメダル数制御基板S34との間の信号線(配線及びコネクタ)に適用しても良い。
【0070】
上記の実施形態Sでは、基板間の信号線を複数系統に分割して不正対策を行うものを例示したが、以下の変形例S1では、通信を行う複数の基板を通信経路も含めて封止する構造を例示する。
図9に示す部分以外は上記の実施形態Sと同じであるため他の部分の説明は省略する。
上記の実施形態Sでは、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34とは、各々別の基板収容ボックスに収容されているものを例示したが、変形例S1では、
図9に示すように、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34は1つの基板収容ボックス(収容体)に収容されている。基板収容ボックス(収容体)は透明樹脂製である。
PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34とは、ボードtoボード接続(配線ケーブルを使わず、各基板に搭載された接続部(コネクタ)同士による接続)部分にて接続されている。
【0071】
なお、ボードtoボード接続(配線ケーブルを使わず、各基板に搭載された接続部(コネクタ)同士による接続)の代わりに、基板収容ボックス内にてコネクタと配線ケーブルによる接続形式としても良いが、ボードtoボード接続とする方が効果は高い。なぜなら、ボードtoボード接続とすることで、配線ケーブルのように撓み箇所が無いため、不正基板を接続しようとすると接続方向(
図9の例では上下方向)にスペースが必要になり、PS主制御基板S21の上辺と、PSメダル数制御基板S34の下辺との距離が長くなり、基板収容ボックスの内壁に干渉し、基板収容ボックス内に収容することが困難になる。よっていずれかの基板を短くカットするか、基板収容ボックスを加工する必要が生じ、取り付け作業に手間(時間)がかかり(上記対策B)、加工の痕跡により発見も容易になる(上記対策C)。
【0072】
さらに、基板収容ボックスは、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)により封止されている。具体的には封止部品の根本部分を切断することにより開封が可能となるが、切断の痕跡が残る。
図9の例では、封止部品が2つあり、一度開封しても再度封止可能となっている。封止部品(封止構造)の詳細は周知の技術であるため説明は省略する。
変形例S1の構造を採用することにより、不正基板を接続するには、基板収容ボックスを開封しなければならず、取り付け作業に手間(時間)がかかる(上記対策B)。また、開封の痕跡が残るため不正基板が容易に発見可能となる(上記対策C)。また、仮に不正基板を基板収容ボックス内に収容したとしても、透明樹脂製なので、不正基板を容易に発見可能である。
【0073】
なお、変形例S1では、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34とを1つの基板収容ボックス(収容体)に収容するものを例示したが、これに限らず、PSメダル数制御基板S34とPSIF基板S35の2つの基板に適用しても良いし、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34とPSIF基板S35の3つの基板に適用しても良い。
【0074】
変形例S1では、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34を1つの基板収容ボックス(収容体)に収容するものを例示したが、以下の変形例S2では、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34を1枚の基板に集約するものを例示する。
図10に示す部分以外は上記の実施形態Sと同じであるため他の部分の説明は省略する。
上記の実施形態Sでは、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34とは、各々別の基板収容ボックスに収容されているものを例示したが、変形例S2では、
図10に示すように、PS主制御基板S21とPSメダル数制御基板S34は1つの基板に集約されている。基板収容ボックス(収容体)は変形例S1と同様の構成であるので説明は省略する。
【0075】
1枚の基板上にPS主制御CPUと、PSメダル数制御CPUとが搭載されたPS主制御/PSメダル数制御基板として構成している。
PS主制御CPUとPSメダル数制御CPUとの間の通信ラインは基板上のプリント配線により接続されている。よって、不正基板を接続するためには、プリント配線を切断する加工、あるいは基板ごと切断する加工が必要になり、さらにコネクタのような接続手段が無いため、ハンダ付け加工、あるいはコネクタの追加加工が必要になる。これにより、取り付け作業に手間(時間)がかかり(上記対策B)、加工の痕跡により発見も容易になる(上記対策C)。
さらに、変形例S1と同様に、基板収容ボックスは、一部を破壊しない限り開封できない封止構造(所謂、かしめ構造)により封止されている。よって、変形例S2の構造を採用することにより、不正基板を接続するには、基板収容ボックスを開封しなければならず、取り付け作業に手間(時間)がかかる(上記対策B)。また、開封の痕跡が残るため不正基板が容易に発見可能となる(上記対策C)。また、仮に不正基板を基板収容ボックス内に収容したとしても、透明樹脂製なので、不正基板を容易に発見可能である。
【0076】
なお、変形例S2では、PS主制御基板S21(PS主制御CPU)とPSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)とを1枚の基板に集約するものを例示したが、これに限らず、PSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)とPSIF基板S35(PSIF基板に搭載されるPSメダル数制御CPUとカードユニットとの間の通信回路)の2つの基板(CPU、通信回路)に適用しても良いし、PS主制御基板S21(PS主制御CPU)とPSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)とPSIF基板S35(PSIF基板に搭載されるPSメダル数制御CPUとカードユニットとの間の通信回路)の3つの基板(CPU、通信回路)に適用しても良い。
【0077】
さらに、変形例S1と変形例S2を組み合わせたものでも良い。例えば、PS主制御基板S21(PS主制御CPU)とPSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)とPSIF基板S35(PSIF基板に搭載されるPSメダル数制御CPUとカードユニットとの間の通信回路)の3つの基板(CPU、通信回路)のうち、2つを一枚の基板に集約し、残り1つを別基板で構成し、それらを1つの基板収容ボックス(収容体)に収容しても良い。
【0078】
上記した実施形態S、変形例S1、S2は、主に通信部分に関する不正基板対策を例示したが、これとは異なるプロセスの不正基板対策として、他の例S3を以下に例示する。
リールS11L、C、Rの停止位置を検出するための手段(センサ)はPS主制御基板S21(PS主制御CPU)に入力されている。
仮に不正基板を取り付けられ、信号を入力され、不正に遊技点を増加させた場合には、実際には入賞が発生していないにもかかわらず遊技点が増加する状況となる。
リールS11L、C、Rの停止位置を検出するための手段(センサ)を別途設置し、PSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)に検出信号を入力させる。PSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)は、「入賞によりPS主制御基板S21(PS主制御CPU)から送信される加算を指示するコマンドの受信により特定可能な入賞役(判定値A)」と「別途設置したリールS11L、C、Rの停止位置を検出するための手段(センサ)による特定される入賞役(判定値B)」とを比較し、判定値AとBとに齟齬(入賞役が異なる、あるいは入賞有と入賞無)が生じたことを条件に異常(不正行為発生)と判定し、所定の異常時処理を実行する。
これにより、不正基板を取り付けられ、信号を入力され、不正に遊技点を増加した場合でも、不正行為の発見を容易にすることができる(上記対策D)。
なお、入賞役で判定するものに限らず、入賞の回数の差にて判定するものでも良い。つまり、「入賞によりPS主制御基板S21(PS主制御CPU)から送信される加算を指示するコマンドの受信により特定可能な入賞回数(判定値A)」と「別途設置したリールS11L、C、Rの停止位置を検出するための手段(センサ)による特定される入賞回数(判定値B)」とを比較し、判定値AとBとの差が所定値(閾値)に達したことを条件に異常(不正行為発生)と判定し、所定の異常時処理を実行するものでも良い。
【0079】
なお、リールS11L、C、Rの停止位置を検出するための手段(センサ)にてリール回転の有無を判定しても良い。つまりリールが回転していない(ゲームが行われていない)にも関わらず、PS主制御基板S21(PS主制御CPU)から加算を指示するコマンドが送信されたことを条件に異常(不正行為発生)と判定し、所定の異常時処理を実行するものでも良い。その場合には、リールS11L、C、Rの停止位置を検出するための手段(センサ)ではなく、ベットボタンS12、スタートレバーS13、ストップボタンS14等の遊技を行う場合に必ず操作される操作手段(少なくともいずれか1)の操作を検出するための手段(センサ)を別途設置しPSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)に入力させる。
【0080】
また、所定の異常時処理としては、例えば、PSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)にてPS主制御基板S21を介さずに駆動可能な報知手段(LED、スピーカ等)にて異常を報知する、あるいは、PSメダル数制御基板S34(PSメダル数制御CPU)からPS主制御基板S21を介さずにPS演出制御基板S22に異常報知を指示し、PS演出制御基板S22の制御により報知手段(液晶表示器、LED、スピーカ等)にて異常を報知する。なお、PS演出制御基板S22に限らず、外部のカードユニット4に異常発生を送信し、カードユニット4を含むその接続先(店内のホールコンピュータ、データ表示器、店外のセキュリティセンターサーバ等)に信号を送信し、報知(通知)を行わせても良い。
これにより、不正基板に邪魔されず(信号をブロックされずに)に報知(通知)することが可能となる。なお、不正行為を実行している者は、報知されると逃走する可能性が高いため、あえて表立って報知をせず、身柄を確保するという手法をとる場合もある。
【0081】
実球(メダル)の払い出しのある従前のパチンコ遊技機、パチスロ(スロットマシン)では、大量の出玉(メダル)を獲得した際には、傍らにドル箱が積載されるため、周辺の遊技者からも、獲得した出玉量(メダル量)が容易に認識される。その認識が他の遊技者の遊技への参加意欲につながっているケースも少なくない。また遊技者本人の優越感にもつながる。
しかし、上記の実施形態P、S等において例示した封入式パチンコ遊技機1、メダルレススロットS1は、遊技点の表示を持玉表示器32、PS持メダル表示器PS32にて表示(7セグメント表示)するだけであるので、大量獲得が目立たない。そこで、単に遊技点の表示を行うだけではなく、遊技点の獲得を目立たせるような表示演出が必要になる。
例えば、持玉表示器32、PS持メダル表示器PS32の周辺に発光体(フルカラーLED)を複数配置し、遊技点の増加(遊技点の数値範囲)に対応して発光体の色彩や発光態様を変化させても良い。具体的には、遊技点が0~1999は白色、2000~4999は青色、5000~6999は緑色、7000~9999は赤色、10000~は虹色に発光させる。これに代えて、あるいは加えて、発光態様(パターン)として、PWM制御等を実施し、点滅周期を変更したり、発光明度を変更したりしても良い。また、既存の液晶表示器23、PS液晶表示器S23、あるいは別途設けられた大型の液晶表示器やセグメント表示器にて、持玉表示器32、PS持メダル表示器PS32よりも遊技点の数値をより大きく表示させても良い。
【0082】
封入式パチンコ遊技機の遊技については、既存のパチンコ遊技機と同じものが採用される。よって、上記した例に限定されない。
スペックとしては、確変ループ機、小当りラッシュ機、確変回数切(ST機)、1+2種混合機、セットもの、確変リミッタ付き、V入賞確変機、羽根物、一般電役、一発台、普通機、遊タイム付き、確率設定付き、等、様々な仕様の機種に適用可能な発明である。
メダルレススロットについても同様に、遊技については、既存のパチスロ機(スロットマシン)と同じものが採用される。よって、上記した例に限定されない。
スペックとしては、Aタイプ、AT機、ART機、RT機等、様々な仕様の機種に適用可能な発明である。
【0083】
また、上記例示における表示器(表示装置)としては液晶表示器、セグメント表示器、ドットマトリクス、EL、ドラム式、3D液晶等、様々な表示器(表示装置)とすることが考えられる。さらに演出を実行する表示器(表示装置)を搭載しない遊技機についても適用可能な発明である。
上記した記載の中で、CPUという文言を用いたが、CPUコア部分のみを限定するものではなく、ROM、RAM、入出力回路、セキュリティ回路等、他の回路も含めて1チップ化されたものをCPUと記載した。よってCPUについては「マイクロコンピュータ」、「チップ」「制御手段」と表現することもできる。また、各制御基板について基板上に搭載する形態のものに限らないため「制御基板」については「制御手段」と表現しても良い。
また、信号(配線)について「系統」という表現を用いたが、これに限らず、「グループ」「組」「束」とも表現できる。
【0084】
また、通信に関して、「信号」と記載している箇所と、「コマンド」と記載している箇所があるが、具体的な指示を含む信号を「コマンド」と表現している。よって「コマンド」は「信号」と表現することもできる。
また、「遊技価値」とは、例えば、遊技の結果得られる遊技点を示すデータや、カードユニットに紙幣を投入することにより変換されるプリペイド残高を示すデータを意味するものである。
【0085】
異常時の処理について、上記した各例示において「所定の異常時処理」として共通に記載した箇所について補足説明する。「所定の異常時処理」としては、以下のような処理が考えられる。
異常を検知(判定)した制御基板(あるいはCPU)が制御する報知手段から直接報知する(直接報知)。
異常を検知(判定)した制御基板(あるいはCPU)から他の制御基板に異常を通知し他の制御基板が制御する報知手段から報知する(間接報知)。
異常を検知(判定)した制御基板(あるいはCPU)がコマンドの破棄、制御処理の中止、遊技停止等の動作制限を行う(直接制限処理)。
異常を検知(判定)した制御基板(あるいはCPU)から他の制御基板に異常を通知し、他の制御基板へ、コマンドの破棄、制御処理の中止、遊技停止等の動作制限の指示を行う(間接制限処理)。
異常を検知(判定)した制御基板(あるいはCPU)から直接、あるいは他の制御基板を介して、店内あるいは店外の管理装置(センターサーバ)に異常を通知し、遊技者にわからないように管理者等へ報知を行う(秘匿通知)。
上記の処理パターンいずれか、あるいは複数を合わせて実施しても良い。なお、不正基板に関する異常の検知(判定)の場合には、不正基板が介在する側へ通知を行ってもブロックされる可能性があるので、上記した直接報知か、直接制限処理を実行することが望ましい。
また、異常時処理の解除は所定時間の経過により解除されるものでも良いが、不正基板に関する異常の検知(判定)の場合には、遊技者が操作できない位置にある解除スイッチの操作による解除や、電源の再投入による解除のように管理者の操作が必要な解除方法とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0086】
1 封入式パチンコ遊技機
2 遊技盤
3 本体枠
4 カードユニット
21 主制御基板
22 演出制御基板
23 液晶表示器
24 始動入賞口
25 大入賞口
31 ハンドル
32 持玉表示器
33 計数ボタン
34 枠制御基板
35 IF基板
41 紙幣投入口
42 カード挿入口
43 表示器
44 貸出ボタン
45 返却ボタン
46 再プレイボタン