(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】無線通信装置、および、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20241106BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20241106BHJP
H04W 4/48 20180101ALI20241106BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20241106BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241106BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W16/26
H04W4/48
H04W88/04
H04W64/00
(21)【出願番号】P 2020210970
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】國方 翔太
(72)【発明者】
【氏名】木村 恒人
(72)【発明者】
【氏名】古橋 杏子
(72)【発明者】
【氏名】松下 健治
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002390(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038822(WO,A1)
【文献】特開2020-164097(JP,A)
【文献】特開2013-046388(JP,A)
【文献】特開2006-014047(JP,A)
【文献】特開2018-074192(JP,A)
【文献】特開2017-134792(JP,A)
【文献】特開2020-162120(JP,A)
【文献】特開2008-103821(JP,A)
【文献】特開2012-114833(JP,A)
【文献】特開2008-195228(JP,A)
【文献】特開2008-042577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波の送受信方向の指向性を複数設定可能な無線通信装置において、
前記無線通信装置と無線通信を実行すべき、前記無線通信装置が設置される移動体の内部に存在するユーザ端末を利用するユーザの位置情報を取得するユーザ位置情報取得部と、
前記ユーザ端末が受信すべき、前記移動体の外部に設置された基地局から放射される電波の電波強度に関する電波強度情報を取得する電波強度情報取得部と、
前記電波強度情報があらかじめ定められた閾値以下の場合に、前記指向性を前記ユーザの位置方向に設定する指向性制御部と、
前記ユーザ端末と無線通信を実行するための送受信処理部と、を含み、
前記電波強度情報が前記あらかじめ定められた閾値を超える場合に、前記ユーザ端末と無線通信するための指向性制御部および送受信処理部の動作を停止させ
、
前記ユーザ位置情報取得部は、前記移動体に設けられたシートベルトを含む座席に前記ユーザが着座したか否かを示す着座判定装置、または、前記移動体に設けられた撮像装置であり、
前記電波強度情報取得部は、前記着座判定装置によって前記ユーザが着座していると判定された場合、または、前記撮像装置によって前記移動体の内部に前記ユーザが存在すると判定された場合に前記電波強度情報を取得し、
前記ユーザの位置情報の変化、または、割り当てられた無線通信処理期間ごとに、前記電波強度情報取得部は前記電波強度情報を更新する無線通信装置。
【請求項2】
前記電波強度情報取得部が、前記移動体の外部に設置された基地局から放射される電波の電波強度に関する
前記電波強度情報を取得する場合には、前記無線通信装置が設置される移動体の内部に存在するすべての前記ユーザ端末と前記無線通信装置との無線通信を停止する動作制御部を含む請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記電波強度情報取得部は、前記電波強度情報が、前記電波強度情報取得部において受信した電波の受信強度を示す場合には、前記ユーザ端末が使用する周波数帯域において、前記受信した電波の受信強度が最も大きい値と、前記あらかじめ定められた閾値とを比較する請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記電波強度情報取得部は、前記ユーザがシートベルトを利用する場合には、前記シートベルトのウェビング、バックル、および、巻き取り装置の少なくとも1か所以上に取り付けられ、前記ウェビングに取り付けられる場合には前記ウェビングの少なくとも1か所以上に具備される請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記指向性制御部は、アンテナ素子に入力される位相の制御、または、アンテナ素子に入力される前記位相の制御および振幅の制御によって、
前記指向性を制御する請求項1から
4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれかに記載の無線通信装置と、
前記無線通信装置の前記指向性制御部によって
前記指向性が制御されるアンテナ部と、を含む無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、および、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のコネクテッドカー化の進展に伴い、スマートフォン等のユーザ端末と車両に搭載された無線通信装置との間で無線通信が実行されることが発生してきた。この場合、5GやWiFi(IEEE802.ad)のような高周波数帯(準ミリ波帯やミリ波帯)を使用する通信方式が利用される場合がある。当該高周波数帯における通信では、低周波数帯を使用する通信方式に比較して空間伝播損失が増大するため、通信品質を向上させるように、アンテナに鋭い指向性を持たせ、アンテナ利得を向上させる技術が用いられている。この場合に、アンテナ利得を向上させることによって犠牲となる通信カバレッジを確保するために、アンテナの指向性の方向を制御する指向性制御技術が使用される場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1の車両における無線通信装置は、各座席位置に分けて指向性を切り替えることができる複数の無線アンテナを持ったブルートゥース(登録商標)通信部50を含む。携帯電話機の位置を探索するときは、各指向性アンテナを順に切り替えて携帯電話機と通信を試み、携帯電話機からの信号が最もよく感知された指向性アンテナに対応する領域に携帯電話機が位置していると特定する。運転席方向で信号が最もよく検知されたときはハンズフリー通話に自動的に設定される。また、その他の座席方向で信号が最もよく検知されたときはハンドセット通話に自動的に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、車内無線通信装置から放射される電波と車外の基地局から放射される電波が混在する場合には、車内無線通信装置から放射される電波が干渉波として作用し、ユーザ端末の通信不良の原因となる場合がある。例えば、基地局から放射される電波が充分な強度を有している場合には、車内無線通信装置から放射される電波は、いわば不要な電波であり、車内無線通信装置は電波放射によって電力を浪費することになる。また、従来技術の指向性制御技術では、乗員が着座していない座席に対しても、電波の放射処理を実行するので、消費電力が浪費されてしまうことになる。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、通信品質を維持しながら、不要な電波の放射処理を抑制することによって、消費電力の浪費を抑制することが可能な無線通信装置および無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係わる、電波の送受信方向の指向性を複数設定可能な無線通信装置において、前記無線通信装置と無線通信を実行すべき、前記無線通信装置が設置される移動体の内部に存在するユーザ端末を利用するユーザの位置情報を取得するユーザ位置情報取得部と、前記ユーザ端末が受信すべき、前記移動体の外部に設置された基地局から放射される電波の電波強度に関する電波強度情報を取得する電波強度情報取得部と、前記電波強度情報があらかじめ定められた閾値以下の場合に、前記指向性を前記ユーザの位置方向に設定する指向性制御部と、前記ユーザ端末と無線通信を実行するための送受信処理部と、を含み、前記電波強度情報が前記あらかじめ定められた閾値を超える場合に、前記ユーザ端末と無線通信するための指向性制御部および送受信処理部の動作を停止させることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信品質を維持しながら、不要な電波の放射処理を抑制することによって、消費電力の浪費を抑制することが可能な無線通信装置および無線通信システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係わる無線通信装置を含む無線通信システムの実装の一例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係わる
図1の後部左側座席の周辺を拡大した模式図である。
【
図3】本実施形態に係わる無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係わる無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】比較例に係わる全体構成の要部の一例を示す図である。
【
図6】比較例に係わる動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】比較例に係わる動作の一例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係わる無線通信装置、および、無線通信システムの一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
(無線通信システムの概要)
図1~
図4を参照して本実施形態に係わる車内無線通信装置としての無線通信装置100を含む無線通信システム1000の動作例について説明する。なお、以下の説明において無線通信装置をノードと称する場合がある。
【0012】
図1は、無線通信装置100であるノードが移動体としての車両内のルーフ部分に設置される場合のイメージを示す模式図である。ノードは移動体内のユーザ端末200と無線通信を実行するばかりではなく、移動体外の基地局300とも無線通信を実行することが可能である。さらに、ユーザ端末200は移動体外の基地局300とも無線通信を実行することが可能である。
【0013】
一例として、ノードと移動体内のユーザ端末200は、映像情報、音楽情報、通話情報等のデータを送受信可能であり、いわゆるスマートフォンの機能をユーザ端末200は備えることが可能である。これらのデータは、移動体外の基地局300からノードが、一旦受信し、ノードからユーザ端末200にこれらのデータを再放射する場合がある。また、移動体内のユーザ端末200は、これらのデータを移動体外の基地局300と直接送受信することも可能である。
【0014】
車両に搭載された車内無線装置としての無線通信装置100とユーザ端末200とが無線通信する場合に、車両に搭載されたシートベルトリマインダ等のユーザ位置情報取得センサから取得されるユーザ位置情報を無線通信装置のアンテナの指向性制御に利用する。この構成によって、乗員が着座していない座席に対しては、電波の放射処理を実行することがないので、消費電力の浪費を抑制することが可能になる。
【0015】
さらに、シートベルトのウェビング等にデータの無線通信に使用される電波の強度を測定できる電波強度取得部を取り付け、移動体外の基地局300からの電波強度を測定し、あらかじめ定められた電波強度と比較する。なお、本明細書ではウェビングをベルトと称する場合がある。移動体外の基地局300からの電波強度が、あらかじめ定められた閾値である電波強度よりも強い場合には、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信を実行しない。すなわち、基地局300から放射される電波が充分な強度を有している場合には、無線通信装置100から放射される電波は、いわば不要な電波であるので、無線通信装置100が電波放射を止めることによって電力浪費を抑制可能となる。
【0016】
また、移動体外の基地局300からの電波強度が、あらかじめ定められた閾値である電波強度よりも小さい場合には、無線通信装置100はユーザ位置に応じた指向性制御を実行し、ユーザ端末200との無線通信を開始または継続し、通信品質を維持する。
【0017】
さらに、ユーザ位置情報取得部から新たなユーザ位置情報が取得される場合には、無線通信装置100はユーザ位置に応じた指向性制御を実行し、ユーザ端末200との無線通信を開始または継続し、通信品質を維持する。また、ユーザ位置情報取得部から新たなユーザ位置情報が取得されていない場合においても、あらかじめ定められた時間間隔またはあらかじめ定められたタイミングで、電波強度取得部において電波強度の測定を実行する。この場合に、基地局300からの電波強度が、あらかじめ定められた閾値である電波強度よりも大きい場合には、無線通信装置100の代わりに基地局300とユーザ端末200との無線通信に切り替える場合がある。無線通信の切り替え技術については既知の技術であるため、本明細書では詳細な説明を省略する。そして、基地局300からの電波強度が、あらかじめ定められた閾値である電波強度よりも小さい場合には、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信を実行する。
【0018】
なお、電波強度取得部が電波強度の測定を実行する場合には、一時的に、無線通信装置の機能を停止、または、スリープ状態とし、無線通信装置から放射される電波をストップさせ、車外の基地局300からの放射電波の判別を容易にさせる場合がある。なお、車外の基地局300の識別は実行しなくともよいが、車外の基地局300の識別を制限するものではない。
【0019】
(ユーザが後部左側座席に着座した状態の説明)
図2は、
図1における後部左側座席に着座しているユーザ20を中心に、後部左側座席位置周辺を拡大した模式図である。
【0020】
後部左側座席に着座しているユーザ20は、シートベルト30を装着してユーザ端末200を操作している。ユーザ端末200は、
図2において図示しない基地局300または移動体に搭載された無線通信装置100と無線通信を実行することが可能である。
【0021】
ユーザ位置情報取得部160は、シートベルトリマインダと一体に形成されることが可能である。また後述するように、ユーザ位置情報取得部160は、シートベルトリマインダと分離して形成されることも可能である。一例として、ユーザ位置情報取得部160は、シートベルトリマインダ等に含まれる着座センサシステムによって実現することが可能である。例えば、着座センサシステムは座席に荷重が加わっていることをセンサで検知し、さらにシートベルト30がバックルに固定されると、当該シートベルト30が具備された座席にユーザが着座したことを示す情報をユーザ位置情報として出力する。当該情報には、座席の識別情報が含まれる場合と含まれない場合がある。また、当該情報には、移動体におけるユーザの座標情報が含まれるように構成されてもよい。
【0022】
ユーザ位置情報を取得した無線通信装置100は、無線通信装置100の初期の電波ビーム方向B1を、ユーザ20が着座している後部左側座席に向かう電波ビーム方向B2に制御する。このように、無線通信装置100が電波ビームの指向性を制御することによって、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信の通信品質を良好に維持することが可能になる。しかし、この場合に、基地局300がユーザ端末200と無線通信を実行している場合には、無線通信装置100からの電波は干渉波ともなり得るので、無線通信装置100は電波のユーザ端末200への放射を止める必要がある。
【0023】
そこで、無線通信装置100は、ユーザ端末200に近い位置で基地局300からの電波強度を測定する電波強度情報取得部170を動作させ、電波強度情報を取得する。この場合に、無線通信装置100から放射された電波を電波強度情報取得部170が測定しないように、無線通信装置100は電波の放射を停止させる。無線通信装置100は、取得した電波強度情報によって示される電波強度の値と、ユーザ端末200と基地局300との無線通信の品質を良好に維持可能なあらかじめ定められた閾値とを比較する。電波強度の値があらかじめ定められ閾値よりも大きい場合には、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信を実行しない。すなわち、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信を開始しない、または、中断する。電波強度の値があらかじめ定められ閾値よりも大きい場合には、無線通信装置100は、ユーザ位置情報から電波ビームの指向性を制御し、ユーザ端末200との無線通信を開始、再開、または、継続する。
【0024】
なお、後に詳述する電波強度を測定する電波強度情報取得部170は、シートベルト30と一体に形成されている。例えば、電波強度情報取得部170はシートベルト30の中に埋め込まれている。アンテナ材料に銅箔とフッ素樹脂を用いたアンテナは小型でフレキシブルな構造を有することが可能である。また、測定や伝送動作を実行する電子回路はマイクロチップ等の集積回路で実現することも可能である。このような、フレキシビリティを有する電波強度情報取得部170は、ウェビングと一体となって巻き取られることも可能である。なお、電波強度情報取得部170は、本実施形態においては、基地局300からの電波強度を測定するように構成される。
【0025】
なお、電波強度情報取得部170はシートベルトリマインダに含まれる構成とすることも可能である。例えば、上述したように電波強度情報取得部170はウェビングの中に含まれる構成とすることも可能である。この場合に、電波強度情報取得部170は電池駆動でもよいし、シートベルトリマインダシステムから電源が供給される構成であってもよい。また、電波強度情報取得部170は、シートベルトを着用したユーザの胸部に位置するように、ウェビングに含まれることも可能である。また、電波強度情報取得部170は、少なくともシートベルトを着用したユーザの前方のユーザ端末200と対向する体表面とユーザ端末200との間に位置するようにウェビング等に取り付け、または、含まれるように配置可能である。また、電波強度情報取得部170はシートベルトに複数含まれるように配置することも可能である。電波強度情報取得部170が複数含まれる場合には、電波強度情報制御部133は、受信した複数の電波強度情報の最大値、平均値、最小値等の処理情報を演算処理によって算出し、算出された処理情報のいずれか、または、組み合わせを使用することも可能である。例えば、電波強度情報に電波強度情報取得部170の位置情報が含まれる場合には、電波強度情報制御部133は、ユーザの周囲の電波強度を補完して推定し、ユーザ端末200が受信する電波強度を推定することも可能である。ユーザ端末200の位置は、着座位置に対応してあらかじめ定められた位置であってもよいし、無線通信装置100がユーザ端末200から受信した電波から推定する構成とすることも可能である。
【0026】
また、電波強度情報取得部170の計測部の受信可能周波数範囲は、ユーザ端末200の受信可能周波数範囲をカバーし、当該受信可能周波数範囲で利得が平坦になるように周波数補正部が含まれていてもよい。
【0027】
(無線通信装置の構成)
上記概要において説明した機能を有する無線通信装置100の構成の一例について、
図3を参照して説明する。
【0028】
無線通信装置100は、送受信処理部110、指向性制御部120、制御部130、記憶部140、I/F部150、ユーザ位置情報取得部160および電波強度情報取得部170を含む(I/F:InterFace)。指向性アンテナを構成するアンテナ部ANTおよび電子機器180は無線通信装置100に含まれる場合と含まれない場合があるオプションである。なお、ユーザ位置情報取得部160および電波強度情報取得部170は、I/F部150と有線または無線にて各種情報の送受信を実行することが可能である。
【0029】
無線通信装置100は以上のブロックを含む一般的なコンピュータであり得る。一般的なコンピュータが制御プログラムを実行することにより、
図3に示す機能を実現することが可能となる。以下、本実施形態における特徴に関連する部分についてのみ説明する。従って、無線通信装置100は、本実施形態における特徴に直接関係しない他の機能ブロックを備えることは勿論である。また、無線通信装置100は移動体の内部に位置するユーザ端末200と通信環境が良好、例えば、見通し線の確保が容易となる位置に配置されることが可能である。ユーザ端末200と通信環境が良好な位置の一例には、移動体の天井部分、車両であればルーフ部分が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0030】
なお、記憶部140は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、ハードディスク等であり得る。記憶部140は、無線通信装置100が処理を実行するための入力データ、出力データおよび中間データなどの各種データを記憶することも可能である。なお、無線通信装置100の一部の機能は、CPU(Central Processing Unit)で実行されることが可能である。
【0031】
アンテナ部ANTは、複数の指向性を形成可能なアンテナであり、複数のアンテナ素子によって任意の方向に電波ビームを設定可能なアレーアンテナであってもよい。また、指向性を有する複数のアンテナの集合体であってもよい。アレーアンテナでは、複数のアンテナ素子から電波が同相で加わりあうように各アンテナの電流位相を調整することによって、アンテナ素子を固定した状態で、電波ビームの指向性を任意の方向に向けることが可能になる。なお、アンテナ部ANTの上記の説明は、ユーザ端末200と無線通信を実行する部分について説明したが、基地局300と無線通信するためのアンテナがアンテナ部ANTに含まれる場合もある。基地局300と無線通信するための当該アンテナは移動体の外部にアンテナだけで設けられてもよいし、アンテナカバーを伴って、移動体の外部に設けられてもよい。また、移動体の窓部分等の伝播損失が小さい部分に取り付けられる構成であってもよい。
【0032】
送受信処理部110は、情報を電波に乗せてアンテナ部ANTから送信するための変調処理、または、アンテナ部ANTにおいて受信した電波の復調処理等の処理を実行し、PHYフレームの生成、解析等の処理を実行する。変復調等の処理を実行するためのパラメータは記憶部140の送受信処理情報記憶部141に記憶されることが可能である。なお、送受信処理部110は、通信プロトコル(通信規約)を階層化したモデルにおける階層の物理層に該当する機能を実行することが可能である。
【0033】
指向性制御部120は、アンテナ部ANTのアンテナの種類に対応して、アンテナの指向性を制御するための指向性制御信号を生成する。例えば、アンテナ部ANTがアレーアンテナである場合には、指向性制御部120は、アンテナ素子毎に送信電波または受信電波の位相を設定する指向性制御位相信号を生成する。また、必要に応じて、指向性制御部120は、アレーアンテナのアンテナ素子毎に送信電波または受信電波の振幅を設定する指向性制御振幅信号を生成する。これらの指向性制御位相信号、および、必要に応じて生成される指向性制御振幅信号は、ユーザ位置情報制御部132から伝送される電波ビームの方向情報に対応して指向性制御部120が生成することが可能である。また、移動体内に複数のユーザが存在し、複数の電波ビームの方向情報が伝送される場合には、同時または伝送された順番に、指向性制御部120は複数の指向性制御信号を生成可能である。したがって、無線通信装置100は複数のユーザ端末200と同時に通信することも、順番に通信することも可能である。ユーザ端末200と同時または順番に通信する制御は、送受信制御部131において実行することが可能である。
【0034】
また、アンテナ部ANTが相互に異なる指向性を有する複数のアンテナを含む場合には、指向性制御部120は、当該アンテナのいずれを使用するかを示す指向性制御選択信号を生成する。なお、位相器を使用しないその他の指向性制御方式については変形例において詳述する。
【0035】
また、無線通信装置100はユーザ端末200と無線通信を実行するので、最初に生成した指向性制御信号によって生成される方向の電波ビームを微調整してユーザ端末200との無線通信が最良となる方向の電波ビームを生成することも可能である。
【0036】
制御部130は、送受信制御部131、ユーザ位置情報制御部132、電波強度情報制御部133および動作制御部134を含む。
【0037】
送受信制御部131は、無線通信装置100と複数のユーザ端末200間において伝送媒体となる電波を共有するための多元接続制御等の処理を実行する。多元接続制御等の処理を実行するためのパラメータは記憶部140の送受信処理情報記憶部141に記憶されることが可能である。なお、送受信制御部131は、通信プロトコルを階層化したモデルにおける階層のMAC層に該当する機能を実行することが可能である。
【0038】
ユーザ位置情報制御部132は、ユーザ位置情報取得部160において取得されたユーザ位置情報をユーザ位置情報記憶部142に記憶し、ユーザ位置情報に基づいて指向性制御部120を制御する動作を実行する。例えば、ユーザ位置情報取得部160が、ユーザが移動体内の座席に着座したことを検出すると、ユーザ位置情報取得部160はユーザが着座した座席の位置情報をユーザ位置情報制御部132に有線または無線によって送信する。ユーザが着座した座席の位置情報を受信したユーザ位置情報制御部132は、当該位置情報をユーザ位置情報としてユーザ位置情報記憶部142に記憶する。なお、当該位置情報は、移動体内を既知の任意の座標系で区分することによって特定される位置を示す情報であってもよい。この場合には、当該座標系で示される無線通信装置100の位置情報も記憶部140に記憶されていることが可能である。したがって、ユーザ位置情報制御部132は、無線通信装置100の位置情報とユーザ位置情報とから無線通信装置100から放出される電波ビームの方向を決定し、決定された電波ビームの方向情報を指向性制御部120に伝送することが可能である。
【0039】
なお、ユーザ位置情報取得部160から伝送されたユーザ位置情報が、ユーザ位置情報記憶部142に記憶されたユーザ位置情報が異なる場合には、ユーザ位置情報制御部132は最新のユーザ位置情報をユーザ位置情報記憶部142に記憶する。そして、ユーザ位置情報制御部132は最新の電波ビームの方向情報を指向性制御部120に伝送することが可能である。
【0040】
また、複数のユーザが移動体内で着座する場合には、複数のユーザのそれぞれのユーザ位置情報がユーザ位置情報制御部132に伝送され、ユーザ位置情報記憶部142に記憶される。
【0041】
また、当該位置情報は、移動体内の特定の位置または領域を示す情報と対応付けられていてもよい。例えば、運転席を示す情報が「zaseki1」によって示される場合に、ユーザが運転席に着座すると、ユーザ位置情報が「zaseki1」として、ユーザ位置情報記憶部142に記憶されることも可能である。この場合には、座席識別情報である「zaseki1」に対応付けられて、電波ビームの方向情報がユーザ位置情報記憶部142に記憶されることも可能である。この場合には、一例として、ユーザ位置情報制御部132から座席識別情報が指向性制御部120に伝送されると、指向性制御部120はユーザ位置情報記憶部142から対応する電波ビームの方向情報を抽出することが可能である。
【0042】
電波強度情報制御部133は、電波強度情報取得部170において取得された電波強度情報を電波強度関連情報記憶部143に記憶された、あらかじめ定められた電波強度情報に対応する情報の閾値と比較する。また、電波強度情報制御部133が電波強度情報取得部170から電波強度情報を取得する前に、動作制御部134はアンテナ部ANTから電波を放射しないように送受信処理部110および指向性制御部120を制御する。そのために、電波強度情報制御部133が電波強度情報取得部170から電波強度情報を取得する前に、電波強度情報制御部133は動作制御部134に電波強度情報の取得開始信号を伝送する。取得開始信号を受信した動作制御部134は、アンテナ部ANTから電波を放射しないように送受信処理部110および指向性制御部120を制御する。また、電波強度情報制御部133が電波強度情報取得部170から電波強度情報を取得した後に、電波強度情報制御部133は動作制御部134に電波強度情報の取得終了信号を伝送する。取得終了信号を受信した動作制御部134は、アンテナ部ANTから電波を放射または受信するように送受信処理部110および指向性制御部120を制御する。このように、電波強度情報取得部170が動作中は、無線通信装置100から不要な電波を放射しない構成とすることによって、電波強度情報取得部170が無線通信装置100からの電波強度情報を取得しないように構成することが可能になる。
【0043】
電波強度情報制御部133が取得した電波強度情報があらかじめ定められた閾値よりも大きい場合には、移動体の外部の基地局300から良好な通信品質を有する電波がユーザ端末200に送信されていると電波強度情報制御部133が推定する。電波強度情報制御部133が良好な通信品質を有する電波が基地局300からユーザ端末200に送信されていると推定すると、無線通信装置100は当該ユーザ端末200との無線通信を中断する。
【0044】
また、電波強度情報制御部133が取得した電波強度情報があらかじめ定められた閾値以下である場合には、移動体の外部の基地局300から良好な通信品質を有する電波がユーザ端末200に送信されてはいないと電波強度情報制御部133が推定する。電波強度情報制御部133が良好な通信品質を有しない電波が基地局300からユーザ端末200に送信されていないと推定すると、無線通信装置100は当該ユーザ端末200との無線通信を開始または再開する。例えば、ユーザ端末200が同一のコンテンツまたは通話を無線通信装置100または基地局300と送受信している場合には、通信品質をより良好に維持できる無線通信装置100または基地局300が選択されることが可能になる。
【0045】
記憶部140は、送受信処理情報記憶部141、ユーザ位置情報記憶部142および電波強度関連情報記憶部143を含む。
【0046】
送受信処理情報記憶部141には、無線通信に必要な制御パラメータ値、無線通信装置100の識別情報、無線通信装置100の位置情報、無線通信の経路情報等の情報が記憶される。送受信処理部110および送受信制御部131は、送受信処理情報記憶部141を参照して、変復調処理、通信フレーム形成処理、多重通信処理等の処理を実行することが可能になる。
【0047】
ユーザ位置情報記憶部142には、ユーザ位置情報取得部160が取得したユーザ位置情報が記憶される。上述したように、ユーザ位置情報は、ユーザが乗車している移動体の座標情報である場合、ユーザが乗車している移動体の座席の識別情報等の情報である場合がある。また、ユーザ位置情報が、ユーザが乗車している移動体の座標情報ではない場合には、ユーザ位置情報に電波ビームの方向情報が対応付けられて記憶されていてもよい。また、ユーザ位置情報記憶部142には、無線通信装置100または無線通信装置100のアンテナ部ANTの座標情報が記憶されていてもよい。
【0048】
電波強度関連情報記憶部143には、電波強度情報取得部170が取得した電波強度情報および電波強度情報に対するあらかじめ定められた閾値または閾値情報が記憶される。なお、取得される電波強度情報は、受信された電波の強度をRSSI(Received Signal Strength Indicator)等の情報に変換された情報であってもよい。なお、電波強度情報が通信品質情報として表現される場合には、BER(bit error rate)、PER(Packet Error Rate)等の情報が含まれてもよい。さらに、通信品質情報には、SNR(Signal to Noise Ration)、RCPI(Received Channel Power Indicator)等の情報が含まれてもよい。さらに、通信品質情報には通信遅延時間情報、遮蔽損失情報が含まれてもよい。また、通信品質情報は上記の各種の通信品質情報のいずれか一つであってもよい。ただし、電波強度情報を受信された電波の強度とすることによって、電波強度情報取得部170の構成を簡易、小型、低価格で実現することも可能になる。あらかじめ定められた閾値または閾値情報は、電波強度情報取得部170において、基地局300からの無線品質が良好となるレベルを示す数値または数値を示す情報である。
【0049】
I/F部150は、送受信される通信データおよび各種データの入出力インターフェースであり、無線通信装置100と接続されるセンサ等のデバイス、または、電子機器とのインターフェースである場合がある。なお、I/F部150に接続されるデバイス、または、電子機器によって、ECU(Electronic Control Unit)が構成されてもよい。電子機器には、車載機器としての車両制御機器、車両センシング機器、車両周辺情報取得機器、および、エンタテイメント機器等の電子機器が含まれてもよい。なお、車両制御機器にはナビゲーション機器や自動運転制御機器が含まれてもよい。
【0050】
ユーザ位置情報取得部160は、ユーザ位置情報を取得可能な任意のセンサによって実現することが可能である。一例として、ユーザ位置情報取得部160は、シートベルトリマインダ等に含まれる着座センサシステムによって実現することが可能である。例えば、着座センサシステムは座席に荷重が加わっていることをセンサで検知し、さらにウェビングがバックルに固定されると、当該シートベルトが具備された座席にユーザが着座したことを示す情報を出力する。当該情報に座席の識別情報が含まれる場合には、当該情報をユーザ位置情報として、ユーザ位置情報記憶部142に記憶することが可能である。また、当該情報に座席の識別情報が含まれない場合には、当該情報に座席の識別情報が含ませてユーザ位置情報として、ユーザ位置情報記憶部142に記憶することが可能である。また、当該情報が座標情報として表現される場合には、当該座標情報をユーザ位置情報として、ユーザ位置情報記憶部142に記憶することが可能である。なお、ユーザ位置情報取得部160の他の形態については、変形例において詳述する。
【0051】
電波強度情報取得部170は、電波を受信する図示しないアンテナと、受信した電波の強度を計測する図示しない計測部によって実現することが可能である。アンテナは、無線通信装置100のアンテナ部ANTと受信可能範囲が同一、または、アンテナ部ANTの受信可能範囲を含むアンテナであることが好ましい。したがって、当該受信可能範囲を持つ任意の構造・指向性を有するアンテナであってもよい。なお、電波強度情報取得部170が移動体の座席に隣接して設置される場合には、座席の下方半球面、および、座席後方を受信可能範囲としないことも可能である。
【0052】
なお、電波強度情報取得部170はシートベルトリマインダに含まれる構成とすることも可能である。例えば、電波強度情報取得部170はシートベルトの中に含まれる構成とすることも可能である。この場合に、電波強度情報取得部170は電池駆動でもよいし、シートベルトリマインダシステムから電源が供給される構成であってもよい。また、電波強度情報取得部170は、ウェビングを着用したユーザの胸部に位置するように、ウェビングに含まれることも可能である。また、電波強度情報取得部170は、少なくともウェビングを着用したユーザの前方のユーザ端末200と対向する体表面とユーザ端末200との間に位置するようにウェビングに取り付け、または、含まれるように配置可能である。また、電波強度情報取得部170はシートベルトに複数含まれるように配置することも可能である。電波強度情報取得部170が複数含まれる場合には、電波強度情報制御部133は、受信した複数の電波強度情報の最大値、平均値、最小値等の処理情報を演算処理によって算出し、算出された処理情報のいずれか、または、組み合わせを使用することも可能である。例えば、電波強度情報に電波強度情報取得部170の位置情報が含まれる場合には、電波強度情報制御部133は、ユーザの周囲の電波強度を補完して推定し、ユーザ端末200が受信する電波強度を推定することも可能である。ユーザ端末200の位置は、着座位置に対応してあらかじめ定められた位置であってもよいし、無線通信装置100がユーザ端末200から受信した電波から推定する構成とすることも可能である。
【0053】
また、電波強度情報取得部170の計測部の受信可能周波数範囲は、ユーザ端末200の受信可能周波数範囲をカバーし、当該受信可能周波数範囲で利得が平坦になるように周波数補正部が含まれていてもよい。また、計測部は上述したように、受信された電波の強度をRSSI等の情報に変換してもよい。さらに、電波強度情報が通信品質情報として表現される場合には、BER、PER等の情報が計測される構成とすることがあってもよい。さらに、計測対象の通信品質情報には、SNR、RCPI、通信遅延時間情報、遮蔽損失情報が含まれてもよい。これらの情報を測定するために、電波強度情報取得部170は送受信処理情報記憶部141にアクセスすることが可能な構成であってもよい。
【0054】
上記のような構成によれば、ユーザ端末の通信品質を維持しながら、無線通信装置100からの不要な電波の放射処理を抑制することによって、無線通信装置100の消費電力の浪費を抑制することが可能となる。
【0055】
(乗員が搭乗している場合を考慮した無線通信装置の動作例)
図4は、乗員が搭乗している場合を考慮した無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS401において、無線通信装置100のユーザ位置情報取得部160は、ユーザ位置情報を取得し、取得されたユーザ位置情報をユーザ位置情報制御部132に送信する。次に、無線通信装置100はステップS402に進む。
【0057】
ステップS402において、無線通信装置100の動作制御部134は、電波強度情報制御部133から電波強度情報の取得開始信号を受信する。取得開始信号を受信した動作制御部134は、アンテナ部ANTから電波を放射しないように送受信処理部110および指向性制御部120を制御する。次に、無線通信装置100はステップS403に進む。
【0058】
ステップS403において、無線通信装置100の電波強度情報取得部170は、電波強度情報制御部133から電波強度情報の取得開始信号を受信し、電波強度を測定し、電波強度情報を生成し、生成された電波強度情報を電波強度情報制御部133に送信する。次に、無線通信装置100はステップS404に進む。
【0059】
ステップS404において、電波強度情報制御部133は、受信した電波強度情報によって示される電波強度の値が、電波強度関連情報記憶部143に記憶されていたあらかじめ定められていた閾値と比較する。電波強度情報によって示される電波強度の値が、あらかじめ定められていた閾値以上の場合(ステップS404:YES)には、無線通信装置100はステップS402に進む。すなわち、ユーザ端末200に基地局300から通信品質を良好に維持可能な電波が届いていると推定されるので、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信を停止する。電波強度情報によって示される電波強度の値が、あらかじめ定められていた閾値よりも小さい場合(ステップS404:NO)には、無線通信装置100はステップS405に進む。すなわち、ユーザ端末200に基地局300から通信品質を良好に維持可能な電波が届いていないと推定されるので、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信を開始または再開する。
【0060】
ステップS405において、動作制御部134は、送受信処理部110および指向性制御部120の動作を開始させるように制御する。次に、無線通信装置100はステップS406に進む。
【0061】
ステップS406において、指向性制御部120は、ユーザ位置情報制御部132が生成した電波ビームの方向情報からアンテナ部ANTのアンテナの種類に適合する指向性制御情報を生成し、生成された指向性制御情報を出力する。次に、無線通信装置100はステップS407に進む。
【0062】
ステップS407において、無線通信装置100のユーザ位置情報取得部160は、ユーザ位置情報を取得し、取得されたユーザ位置情報をユーザ位置情報制御部132に送信する。次に、無線通信装置100はステップS408に進む。
【0063】
ステップS408において、ユーザ位置情報制御部132は、ステップS401において取得したユーザ位置情報と、ステップS407において取得したユーザ位置情報とを比較し、ユーザ位置に変化があるか否かを判定する。ユーザ位置に変化がある場合(ステップS408:YES)には、無線通信装置100はステップS402に進む。ユーザ位置に変化がない場合(ステップS408:NO)には、無線通信装置100はステップS409に進む。
【0064】
ステップS409において、無線通信装置100はユーザ端末200との無線通信処理を実行する。無線通信処理はセグメント、パケット、フレーム等の最小単位ごとに実行されてもよいし、複数の最小単位ごとに無線通信処理が実行されてもよい。次に、無線通信装置100はステップS401に戻る。
【0065】
上記のような構成によれば、ユーザ端末の通信品質を維持しながら、無線通信装置100からの不要な電波の放射処理を抑制することによって、無線通信装置100の消費電力の浪費を抑制することが可能となる。
【0066】
(変形例1)
上記実施形態における説明では、移動体として自動車を中心に説明した。そして移動体に設置された無線通信システム1000によって構築されるネットワークを一例として説明している。しかし、実施形態の移動体は自動車に限定されるものではなく、列車、飛行機、船舶等の移動体、家屋、工場等の構造体の内部などに構築されたネットワーク全般に適用することが可能である。
【0067】
(変形例2)
上記の実施形態において、指向性制御部120は、アンテナ素子に入力される位相の制御によって、指向性を制御することを中心に説明した。しかし、指向性制御部120がアンテナ素子に入力される位相および振幅の制御によって、指向性が制御されるアダプティブアレーアンテナをアンテナ部ANTに採用することも可能である。
【0068】
(変形例3)
上記の実施形態において、指向性制御部120には、位相器を使用して指向性を制御する場合を中心に説明した。しかし、指向性制御部120に、ロットマンレンズやバトラーマトリックス等のスイッチ回路を設けて、指向性制御信号を生成することも可能である。
【0069】
(変形例4)
上記の実施形態において、移動体のユーザの乗車状況に関する情報は、図示しないシートベルトリマインダシステムを利用することを中心に説明したが、エアバッグシステムの乗員検知センサをユーザ位置情報取得部160として採用することも可能である。また、ユーザ位置情報取得部160に撮像装置を含ませ、撮像情報から移動体内のユーザの有無およびユーザの位置をユーザ位置情報取得部160が推定するように構成することも可能である。また、電波強度情報取得部170がシートベルトに具備される場合に、電波強度情報取得部170はユーザの胸部付近に位置することに限定されず、ユーザの体表面に対向するいずれかの位置に具備される場合があり得る。
【0070】
(変形例5)
上記実施形態における説明では、無線通信装置100は、車両のボディ等の車両内の周辺に設置する場合があるが、無線通信装置100の設置位置はこれらの位置に限定されるわけではない。例えば、車両のユーザ位置の影響を受けにくい電波環境を有する車両の床下、天井、窓ガラス等などに設置されてもよい。また、当該床下、当該天井は、ボディを構成する構成部材の車両内部の部材であることが可能である。
【0071】
(変形例6)
指向性制御部120に図示しない電波到来方向推定部を含ませて、ユーザ位置情報によって指向性を制御するのではなく、推定された電波到来方向に指向性を制御し、ユーザ端末200と無線通信装置100とが無線通信を実行する構成とすることも可能である。このような構成とすることによって、より正確に指向性を制御し、通信品質を良好に維持することが可能になる場合がある。
【0072】
(変形例7)
上記実施形態における説明では、無線通信装置100とユーザ端末200は見通し環境がよい無線通信によって、通信品質が良好に維持されることを想定していた。しかし、当該無線通信は、他の電波環境によって通信品質を良好に維持させることが可能になる場合があり得る。例えば、移動体の側面の少なくとも一部に、無線通信装置100からユーザの着座方向に電波が反射し易い電波反射板を設置し、無線通信装置100とユーザ端末200との通信品質を良好に維持する構成とすることも可能である。すなわち、例えば、無線通信装置100から電波反射板への電波入射角度と、電波反射板からユーザ端末200への電波放射角度とを誤差数パーセント以内で一致させることで、通信品質を良好に維持することも可能である。この場合に、電波反射板の表面は平坦であってもよいし、斜面を有する構造であってもよい。
【0073】
(変形例8)
以上の実施形態の説明では、基地局300と無線通信装置100との通信データとして特定のデータについて説明していないが、アプリケーションについては限定されるわけではない。例えば、通信データは基地局300とユーザ端末200との間で無線通信される映像データ、音声データ、ゲーム等のアプリケーションデータ、ニュース情報等のデータであってもよい。この場合には、無線通信装置100は中継端末として動作することも可能である。また、基地局300とユーザ端末200との通信データと、無線通信装置100とユーザ端末200の通信データとは異なる通信データであってもよい。
【0074】
(比較例)
指向性が固定された指向性アンテナと接続されるハンズフリー装置400を含むハンズフリー通話システムである比較例について、
図5から
図7を用いて説明する。
【0075】
図5に示すように、指向性アンテナ61は運転席51の方向に指向性が固定され、指向性アンテナ62は後部右側座席52の方向に指向性が固定され、指向性アンテナ63は後部左側座席53の方向に指向性が固定されている。また、指向性アンテナ64は助手席54の方向に指向性が固定されている。指向性アンテナ61、62、63、64を含む無線アンテナを車両の中心に配置すれば車両全域に対して無線エリアを確保できるので車室内の携帯電話機の有無を調べることができる。また、各指向性アンテナに受信される信号強度を比較することにより携帯電話機がどの座席に有るのかを特定することができる。
【0076】
以下に比較例におけるハンズフリー通話システムの動作を
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0077】
まずステップS610において携帯電話機の位置を探索する。探索方法については、指向性アンテナごとに携帯電話機との通信を試みることにより位置を特定する。そして、ステップS620において携帯電話機が検出されなかったときはハンズフリー通話に設定すべき携帯電話機が車室内に持ち込まれなかったと判断する。一方、携帯電話機を検出したときは、ステップS630へ処理を進める。
【0078】
ステップS630では、携帯電話機とハンズフリー装置400との間でブルートゥース(登録商標)接続を行う。以降、ハンズフリー装置400は、携帯電話機と1対1で通信を行うために携帯電話機の位置に対応する指向性アンテナを用いる。なお、ブルートゥース(登録商標)通信機能を有する携帯電話機が複数車室内に持ち込まれたときは、その中から一つの携帯電話機が選択されて接続されることになる。なお、当該選択方法としては、例えば、複数の携帯電話機が検出された旨を、スピーカ等を介して報知し、選択しない携帯電話機の電源をオフするようユーザに指示する。これにより、ハンズフリー装置400は、電源が継続して投入されている携帯電話機をユーザが選択したと認識できる。
【0079】
ステップS640では、ステップS630でブルートゥース(登録商標)接続した携帯電話機が運転席に有るか否かを判定する。各指向性アンテナ61、62、63、64への受信信号の強度を比較することにより判断する。そして、携帯電話機が運転席に無いと判定されると、ステップS660へ処理を進め、通常のハンドセット通話・ハンズフリー通話のどちらでも使用可能とする。ハンドセット・ハンズフリーのどちらで通話するかを選択する方法として以下の方法が挙げられる。例えば、携帯電話機で電話するときは普段どおりにハンドセットですることができるようにする。携帯電話機に電話の呼び出しがあるときは、ハンズフリー装置400に表示部及びハンズフリー開始スイッチ等を設け、携帯電話機への着信を表示部で知らせる。ハンズフリー開始スイッチをユーザが押したときはハンズフリー通話をし、携帯電話機に備え付けられている通話開始スイッチ等をユーザが押したときはハンドセットで通話する。
【0080】
これにより、例えば、ドライバー以外の乗員が携帯電話機を持ち込んだ場合であっても、その乗員はいつもどおりにその携帯電話機を使うことができる。また、運転席以外で携帯電話機が検出された場合であってもあえてハンズフリーで通話をすることもできる。例えば、他の乗員がいない場合にドライバーが携帯電話機を助手席に置いて運転するようなときであってもハンズフリーで通話することができる。一方、ステップS640において携帯電話機が運転席に有ると判定される場合は、ステップS650へ処理を進める。
【0081】
ステップS650では、車両が走行中であるか否かが判定される。判定方法としては、エンジン始動で車両走行中であるとし、又は、実際に車速センサを検知して判定する方法などがある。車両走行中ではないと判定される場合は、ステップS660へ処理を進め通常のハンドセット通話・ハンズフリー通話のどちらでも使用可能となる。どちらで通話するかを選択する方法は前述と同様に携帯電話機への着信ごとにユーザがどちらのモードで通話するのか選択する方法などがある。これにより、運転席に携帯電話が持ち込まれた場合であっても、車両が動いていないときには通常のハンドセット通話が可能となる。また、車両が動いていないときであってもあえてハンズフリーで通話することもできる。例えば、交差点の信号待ちで一時的に車両が止まっているときに電話の呼び出しがある場合には、ドライバーはハンズフリーで通話をするこができる。一方、ステップS650において車両が走行中であると判定される場合は、ステップS670へ処理を進め、図示しない制御部は携帯電話機をハンズフリーでしか通話できなくする。
【0082】
ステップS680では、携帯電話機の位置を再探索するか否かを判定する。再探索するタイミングとしては、タイマーを設定して定期的に自動で再探索を行なわせても良い。再探索を行わないときは、ステップS640へ戻り、携帯電話機が運転席に有るか否かが判定される。なお、このステップS640では、携帯電話機の再探索を行っていないので前に探索した携帯電話機の位置情報が維持される。つまり、前に携帯電話機が運転席に有ると判定されたときはこのステップS640においても携帯電話機は運転席に有ると判定される。逆に前に運転席にはいないと判定されたときはこのステップS640においても運転席にいないとされる。これにより、一度携帯電話機が運転席以外に持ち込まれてハンドセット通話・ハンズフリー通話のどちらでも使用可能に設定されたときは、携帯電話機を再探索するまではこの状態が維持される。一方携帯電話機が運転席に持ち込まれてかつ車両走行中であるとしてハンズフリー通話に設定された場合であっても、その後車両を停止したときはステップS660の処理によりハンドセットで通話が可能となる。
【0083】
ステップS680において、携帯電話機の位置を再探索するときは、ステップS610に戻る。例えばタイマーを設定し定期的に再探索する。この場合には、最初に携帯電話機が運転席に持ち込まれてハンズフリー通話に設定された場合でも(ステップS670)、他の乗員がその携帯電話機を使うために位置を移動させたときは、自動的にハンドセット通話が可能となる(ステップS660)。また、ブルートゥース(登録商標)通信機能を備えた携帯電話機が複数車室内に持ち込まれた場合に、一つの携帯電話機をハンズフリー通話に設定しても、ステップS680で携帯電話機を再探索することにより、別の携帯電話機をハンズフリー通話に設定し直すことができる。
【0084】
図5は、携帯電話機の位置を検出するために複数の指向性アンテナ61、62、63、64を有する無線アンテナを用い、携帯電話機の位置を検出する状況を示す模式図である。運転席51の方向に指向性が固定された指向性アンテナ61が選択され、次に、後部右側座席52の方向に指向性が固定された指向性アンテナ62が選択される。次に、後部左側座席53の方向に指向性が固定された指向性アンテナ63が選択され、助手席54の方向に指向性が固定された指向性アンテナ64が選択される。各座席の方向に携帯電話機がある場合に、電波受信強度が大きくなることが
図7から理解することが可能である。
【0085】
しかし、上記比較例によれば、ユーザがいない座席も探索対象となっているために、不要な処理が実行され、処理時間が増大し、また、消費電力も増大する可能性が高くなってしまう。
【0086】
以下に、本実施形態の無線通信装置100および無線通信システム1000の特徴について記載する。
【0087】
本開示の第1の態様に係わる、電波の送受信方向の指向性を複数設定可能な無線通信装置100は、ユーザ端末200を利用するユーザの位置情報を取得するユーザ位置情報取得部160を含むことが好ましい。ユーザ端末200は、無線通信装置100と無線通信を実行し、無線通信装置100が設置される移動体10の内部に存在することが好ましい。また、無線通信装置100は、ユーザ端末200が受信すべき、移動体10の外部に設置された基地局300から放射される電波の電波強度に関する電波強度情報を取得する電波強度情報取得部170を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、電波強度情報があらかじめ定められた閾値以下の場合に、指向性をユーザの位置方向に設定する指向性制御部120と、ユーザ端末200と無線通信を実行するための送受信処理部110と、を含むことが好ましい。また電波強度情報が前記あらかじめ定められた閾値を超える場合に、ユーザ端末200と無線通信するための指向性制御部120および送受信処理部110の動作を停止させることが好ましい。
【0088】
上記構成によれば、通信品質を維持しながら、不要な電波の放射処理を抑制することによって、消費電力の浪費を抑制することが可能になる。
【0089】
本開示の第2の態様に係わる無線通信装置100の電波強度情報取得部170は、移動体の外部に設置された基地局から放射される電波の電波強度に関する電波強度情報を取得することが好ましい。この場合に、無線通信装置100は、無線通信装置が設置される移動体10の内部に存在するすべてのユーザ端末200と無線通信装置100との無線通信を停止する動作制御部134を含むことが好ましい。
【0090】
上記構成によれば、電波強度情報取得部170は、無線通信装置100からの不要な電波による電波強度を測定することがなくなるので、基地局300からの電波を適切に測定することが可能になる。
【0091】
本開示の第3の態様に係わる無線通信装置100の電波強度情報取得部170は、ユーザ端末200が使用する周波数帯域において、受信した電波の受信強度が最も大きい値と、あらかじめ定められた閾値とを比較することが好ましい。この場合に、電波強度情報は、電波強度情報取得部170において受信した電波の受信強度を示すことが好ましい。
【0092】
上記構成によれば、電波強度情報取得部170は、ユーザ端末200が使用する周波数帯域と同等の周波数帯域を有するので、基地局300からの電波を適切に測定することが可能になる。
【0093】
本開示の第4の態様に係わる無線通信装置100のユーザ位置情報取得部160は、移動体に設けられたシートベルト30を含む座席にユーザが着座したか否かを示す着座判定装置、または、移動体に設けられた撮像装置であることが好ましい。
【0094】
上記構成によれば、ユーザ位置情報取得部160は、既設の着座判定装置によって、低コストかつ容易に実現可能になる。また、ユーザ位置情報取得部160は、既設または新たな撮像装置によって、ユーザ位置情報をリアルタイムに、より正確に把握することが可能になる。
【0095】
本開示の第5の態様に係わる無線通信装置100の電波強度情報取得部170は、着座判定装置が、ユーザが着座していると判定した場合、または、撮像装置によって移動体の内部にユーザが存在すると判定された場合に電波強度情報を取得することが好ましい。また、電波強度情報取得部170は、ユーザの位置情報の変化、または、割り当てられた無線通信処理期間ごとに、電波強度情報を更新することが好ましい。
【0096】
上記構成によれば、電波強度情報を取得するタイミングを規定することによって、無線通信装置100とユーザ端末200との通信を不必要に頻繁に遮断することなく、適切に電波強度情報を取得または更新することが可能になる。
【0097】
本開示の態様に係わる無線通信装置100の電波強度情報取得部170は、ユーザ端末200を所持するユーザのユーザ端末200と対向する体表面と、ユーザ端末200との間に設けられることが好ましい。
【0098】
上記構成によれば、電波強度情報取得部170を適切な位置に取り付け、または、含ませることによって、基地局300からユーザ端末200への電波強度を適切に測定可能となる。
【0099】
本開示の第6の態様に係わる無線通信装置100の電波強度情報取得部170は、ユーザがシートベルトを利用する場合には、シートベルトのウェビング、バックル、および、巻き取り装置の少なくとも1か所以上に取り付けられることが好ましい。電波強度情報取得部170がウェビングに取り付けられる場合にはウェビングの少なくとも1か所以上に電波強度情報取得部170が具備されることが好ましい。
【0100】
上記構成によれば、電波強度情報取得部170を適切な位置に取り付け、または、含ませることによって、基地局300からユーザ端末200への電波強度を適切に測定可能となる。また、複数の電波強度情報取得部170の電波強度情報を組み合わせることによって、さらに、基地局300からユーザ端末200への電波強度を適切に測定可能となる場合がある。
【0101】
本開示の第7の態様に係わる無線通信装置100の指向性制御部120は、アンテナ素子に入力される位相の制御、または、アンテナ素子に入力される位相の制御および振幅の制御によって、指向性を制御することが好ましい。
【0102】
上記構成によれば、フェーズドアレーアンテナだけではなく、アダプティブアレーアンテナによっても。通信品質を維持しながら、不要な電波の放射処理を抑制することによって、消費電力の浪費を抑制する構成を実現することが可能になる。
【0103】
本開示の第8の態様に係わる無線通信システム1000は、第1の態様から第8の態様のいずれかの無線通信装置100と、無線通信装置100の指向性制御部120によって指向性が制御されるアンテナ部ANTと、を含むことが好ましい。
【0104】
上記構成によれば、アンテナの種類を適切に選択し、通信品質を維持しながら、不要な電波の放射処理を抑制することによって、消費電力の浪費を抑制することが可能になる。
【0105】
本開示の態様に係わる無線通信システム1000は移動体10をさらに含み、無線通信装置100と、ユーザ端末200と通信するアンテナ部ANTは移動体10に搭載されることが好ましい。
【0106】
上記構成によれば、移動体内においても、ユーザ端末200は通信品質を維持することが可能であり、移動体内の無線通信装置は不要な電波の放射処理を抑制することによって、消費電力の浪費を抑制することが可能になる。
【0107】
上述した実施形態の説明に用いた
図3のブロック構成図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックを実現する方法は、特に限定されない。例えば、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、1つの装置または複数の装置に、ソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0108】
無線通信装置100が、複数のハードウェア要素で構成される場合、各機能ブロックは、何れかのハードウェア要素、又は当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。ハードウェア要素として、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置、バスなどが挙げられる。
【0109】
また、この場合、無線通信装置100の各機能は、プロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェアまたはプログラムを読み込ませることによって実現される。具体的には、各機能は、ハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、プロセッサが演算を行い、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みを制御することによって実現される。
【0110】
実施形態につき、図面を参照して詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0111】
10 移動体
100 無線通信装置
110 送受信処理部
120 指向性制御部
130 制御部
131 送受信制御部
132 ユーザ位置情報制御部
133 電波強度情報制御部
134 動作制御部
140 記憶部
141 送受信処理情報記憶部
142 ユーザ位置情報記憶部
143 電波強度関連情報記憶部
150 I/F部
160 ユーザ位置情報取得部
170 電波強度情報取得部
180 電子機器
200 ユーザ端末
300 基地局
1000 無線通信システム
ANT アンテナ部