(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】パルスウォータージェット加工装置および加工方法
(51)【国際特許分類】
B24C 5/02 20060101AFI20241106BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20241106BHJP
B24C 7/00 20060101ALI20241106BHJP
B24C 1/00 20060101ALI20241106BHJP
B23P 17/00 20060101ALI20241106BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B24C5/02 C
B24C5/02 B
B24C9/00 G
B24C7/00 D
B24C1/00 Z
B23P17/00 A
B26F3/00 R
(21)【出願番号】P 2021057396
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(72)【発明者】
【氏名】水上 峻一
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-202618(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110404701(CN,A)
【文献】特開2018-083287(JP,A)
【文献】特開2005-230921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/00 - 11/00
B23P 17/00
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノズルから
前記第1のノズルの下方に載置されるワークに対して第1の高圧流体を噴射する第1のノズルユニットと、第2のノズルから
前記第1の高圧流体に対して第2の高圧流体を噴射する第2のノズルユニットと、を備え、
前記第2のノズルユニットは、
前記第1のノズルユニットの周囲に配置され、
前記第2のノズルに噴射孔が形成された回転体を有し、
前記噴射孔は周方向に均一な間隔で複数配置され、前記噴射孔から噴射される前記第2の高圧流体が前記第1の高圧流体方向に
等間隔で噴射されることで生成される断続的な高圧流体を前記ワークに対して噴射する、パルスウォータージェット加工装置。
【請求項2】
前記第2の高圧流体の流量Q2および圧力P2は、前記第1の高圧流体の流量Q1および圧力P1よりも大きい、請求項1記載のパルスウォータージェット加工装置。
【請求項3】
前記第1のノズルユニットと前記第2のノズルユニットの少なくとも一方
には、前記ワーク表面からの高さを調整する高さ調整部
を有する、請求項1または請求項2記載のパルスウォータージェット加工装置。
【請求項4】
前記第1のノズルユニットと前記第2のノズルユニットの間隔を調整する間隔調整部
を有する、請求項1~3のいずれか1項記載のパルスウォータージェット加工装置。
【請求項5】
前記第1のノズルユニットと前記第2のノズルユニットの少なくとも一方に、前記第1の高圧流体または前記第2の高圧流体の圧力を調整する圧力調整部を有する、請求項1~4のいずれか1項記載のパルスウォータージェット加工装置。
【請求項6】
前記第1のノズルユニットに研磨剤を供給する研磨剤供給部を有する、請求項1~5のいずれか1項記載のパルスウォータージェット加工装置。
【請求項7】
前記第1の高圧流体および前記第2の高圧流体の周囲の水蒸気や空気を吸引する吸引部
を有する、請求項1~6のいずれか1項記載のパルスウォータージェット加工装置。
【請求項8】
前記請求項1~7のいずれか
1項記載のパルスウォータージェット加工装置を用いて、
前記第1のノズルから前記第1の高圧流体を噴射する工程と、
前記第2のノズルから
前記第1の高圧流体に対して前記第2の高圧流体を噴射する工程と、
前記断続的な高圧流体を前記ワークに対して噴射する工程を含む、加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスウォータージェット加工装置および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルから、高圧ポンプで生成される高圧流体(ウォータージェット)をワークに対して噴射することによって、ワークを加工するウォータージェット加工装置が存在する。しかし、アルミやステンレス等の金属材料を加工する場合、高圧流体だけでは加工することができないため、高圧流体に研磨剤を混入させることによって、切断能力を維持していることが多い。
【0003】
また、高圧流体の衝撃力を最大限引き出すために、超音波発信器から発生させた超音波によって液滴化した超音波ウォータージェットを用いた装置が開示されていた。
【0004】
例えば、特許第4718327号公報(以下、「特許文献1」)に記載の超音波ウォータージェット装置は、高周波電気パルスを発生する発電モジュールと、高周波電気パルスを伝達する超音波発電機と、超音波発電機を制御するための制御ユニットと、高圧水の供給源に結合された高圧水入口と、高圧水入口に結合された高圧水出口と、を備える。
さらに、高圧水出口には高圧水ホースを介してガンを備えており、ガン(超音波ノズル)内部において、トランスデューサで電気パルスを振動へ変換し、パルス化された弾丸状のウォータージェットを創り出し、目的物の表面にウォーターハンマーの圧力を加えられるようになっている。
【0005】
また、周辺技術として、特許第3003072号(以下、「特許文献2」)に記載の洗浄ノズル装置には、遮蔽部材が本体部の公転に同期して、回転検知用ノズルから噴射される流体の噴射流を周期的に遮断/通過させる構造が開示されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4718327号公報
【文献】特許第3003072号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ウォータージェットの衝撃力を向上させるためには、高圧ポンプやノズル等の構造を改良する必要があり、実現性の難易度が高かった。
【0008】
また、特許文献1のように、超音波ウォータージェットの衝撃力を改善するために超音波を組み合わせる場合、ウォータージェットと超音波が連動するタイミングを合わせることや衝撃力をコントロールすることは、技術的に困難であった。
【0009】
また、特許文献2のように、遮蔽部材を利用して、パルス状のウォータージェットを生成することも想定できるが、その場合、遮蔽部材の摩耗や損傷によって、部品交換やメンテナンスが必要であり、より効率的な装置が求められていた。
【0010】
本発明は、衝撃力が高く断続的な(パルス状の)ウォータージェットを安定的に生成することのできるパルスウォータージェット加工装置および加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のパルスウォータージェット加工装置は、第1のノズルから前記第1のノズルの下方に載置されるワークに対して第1の高圧流体を噴射する第1のノズルユニットと、第2のノズルから前記第1の高圧流体に対して第2の高圧流体を噴射する第2のノズルユニットと、を備え、前記第2のノズルユニットは、前記第1のノズルユニットの周囲に配置され、前記第2のノズルに噴射孔が形成された回転体を有し、前記噴射孔は周方向に均一な間隔で複数配置され、前記噴射孔から噴射される前記第2の高圧流体が前記第1の高圧流体方向に等間隔で噴射されることで生成される断続的な高圧流体を前記ワークに対して噴射する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、衝撃力が高く断続的な(パルス状の)ウォータージェットを安定的に生成することのできるパルスウォータージェット加工装置および加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る実施形態のパルスウォータージェット加工装置を示す斜視図
【
図2】本発明に係る第2の実施形態のパルスウォータージェット加工装置を示す斜視図
【
図3】(a)本発明に係る実施形態のパルスウォータージェット加工装置のノズルヘッドの詳細を示す断面図、(b)本発明に係る実施形態のパルスウォータージェット加工装置の第2のノズルの詳細を示す断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0015】
(パルスウォータージェット加工装置の構成)
本実施形態のパルスウォータージェット加工装置1は、
図1および
図2に示すように、高圧水Lを加工対象のワークWに噴射して加工する装置である。
パルスウォータージェット加工装置1は、ノズルヘッド2と、第1のノズルユニット3と、第2のノズルユニット4と、高さ調整部5と、間隔調整部6と、圧力調整部7と、研磨剤供給部8と、吸引部9と、を有する。
なお、
図1に示すパルスウォータージェット加工装置の場合は、研磨剤供給部8を備えておらず、
図2に示す研磨剤を用いる形態のパルスウォータージェット加工装置の場合は研磨剤供給部8を備えている。
【0016】
ノズルヘッド2は、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4を固定する固定部である。ノズルヘッド2は、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4を同時に固定する場合や、
図1に示すように、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4を別々に固定する場合(ノズルヘッド2を、第1のノズルユニット3を固定する第1のノズルヘッド2aと、第2のノズルユニット4を固定する第2のノズルヘッド2bと、に分割する場合)等がある。
【0017】
高圧ポンプPから供給される高圧流体Lは、第1のノズルヘッド2a内に形成される第1の流路F1を通過し、第1のノズルユニット3(第1のノズル3a)から第1の高圧流体L1を噴射するとともに、第2のノズルヘッド2b内に形成される第2の流路F2を通過し、第2のノズルユニット4(第2のノズル4a)から第2の高圧流体L2を噴射する。
【0018】
また、第1の流路F1と第2の流路F2に対する高圧流体Lの供給経路としては、第1のノズルヘッド2aと第2のノズルヘッド2bそれぞれに上流で供給する場合や、
図3に示すような、第1の流路F1と第2の流路F2を連結する連結流路F3を介して、高圧流体Lの分岐する場合等がある。
【0019】
また、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の振動を抑制するために、ノズルヘッド2を第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の上方に形成する場合や下方に形成する場合等がある。
【0020】
第1のノズルユニット3は、第1のノズル3aから高圧ポンプPから供給される第1の高圧流体L1をワークWに対して噴射する。第1のノズルユニット3は、第1の高圧流体L1を直射や平射で噴射するものであり、ワークWに噴射するための高圧流体Lの根幹を生成する。
第1のノズル3aは、第1の高圧流体L1(水等)を噴射するためのオリフィスを有しており、穴の大きさ、個数等は、適宜選択できる。なお、高圧ポンプPから供給される第1の高圧流体L1は、70~500MPaの範囲で用いる。
【0021】
第2のノズルユニット4は、第2のノズル4aから高圧ポンプPから供給される第2の高圧流体L2を第1の高圧流体L1に対して噴射する。
第2のノズルユニット4は、第2の高圧流体L2を直射や平射で噴射するものであり、第1のノズルユニット3とは異なり、回転ノズルである。
第2の高圧流体L2を第1の高圧流体L1に対して噴射することで、より効果的に断続的な(パルス状の)高圧流体L3を生成するための補助的な役割を果たす。
回転ノズルの形態としては、断続的に第2の高圧流体L2を噴射できるものであればよく、本実施形態で説明するような回転体4c自ら回転する構成に限られるものではない。
【0022】
ノズル4aは、第2のノズルユニット4の先端に配置される。ノズル4aは、ノズル本体4bと、回転体4cと、噴射孔4dと、キャップ4eと、空洞4fを有する。
第2のノズルユニット4は、ノズル本体4bの周囲に配置され、噴射孔4dが形成された回転体4cを有し、第2の高圧流体L2が第1の高圧流体L1方向に所定の周期で噴射され、ワークWに対して、断続的な高圧流体L3を噴射する。なお、高圧ポンプPから供給される第2の高圧流体L2は、70~500MPaの範囲で用いる。
【0023】
ノズル本体4bは、高圧ポンプPから供給される第2の高圧流体L2を通過させる流路を有している。回転体4cは、ノズル本体4bの周囲に配置され、第2の高圧流体L2が噴射孔4dから噴射される際に、360°回転する。
【0024】
噴射孔4dは、第2の高圧流体L2を噴射するための孔である。噴射孔4dの個数は、2~8つ等、複数選択することができる。また、噴射孔4dの大きさ、角度等は適宜変更することができる。さらに、噴射孔4dの位置としては、周方向に均一な間隔で配置することが望ましい。
図3(b)に示すように、噴射孔4dの位置を均等にずらしておくことによって、回転体4cのための回転を強制的に行う駆動源が不要で、第2の高圧流体L2の噴射に伴って、回転体4c自ら回転する構成が望ましい。
【0025】
キャップ4eは、回転体4cが脱落することを防ぎ、ノズル本体4bの先端に固定される。回転体4cの脱落を防ぐことのできる素材であればよく、ノズル本体4bとキャップ4eにネジ等の溝を形成し、螺合させることによって固定する。
【0026】
空洞4fは、ノズル本体4bの先端に形成する切欠け部によって、ノズル本体4bと回転体4cの間に形成される空洞であり、第2の高圧流体L2がノズル先端で一時的に滞留することで、噴射孔4dから第2の高圧流体L2が安定的に噴射することができる。
【0027】
高さ調整部5は、ノズルヘッド2に配置される上下方向の高さを調整できる機構であり、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の少なくとも一方のワークW表面からの高さHを調整する。例えば、
図1や
図2に示すような、第1のノズルユニット3を固定する第1のノズルヘッド2aと、第2のノズルユニット4を固定する第2のノズルヘッド2bの上下方向の高さを調整できる機構であり、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の少なくとも一方の高さHを調整する。ボールねじ等の直動的な機構、スライド機構、その他、シリンダ機構と組み合わせたもの等である。
【0028】
また、高さ調整部5は、第1のノズルヘッド2aを上下方向に移動させるための第1の高さ調整部5a(不図示)と、第2のノズルヘッド2bを上下方向に移動させるための第2の高さ調整部5b(不図示)に分割し、第1の高さ調整部5aと第2の高さ調整部5bを連結することで高さを調整する形態や、それぞれを独立した機構として機能させることもできる。
【0029】
高さ調整部5で第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の少なくとも一方を上下方向に高さ調整することによって、ワークWに対して噴射する高圧流体Lの衝撃力を調整できる。
【0030】
ノズルヘッド2における第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の両方について、高さ調整部5の上下方向の高さを調整した場合は、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4のワークW表面からの高さHを調整できる。第1のノズルユニット3の位置を調整するということは、第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2によって生成される断続的な高圧流体L3とワークWとの間隔を調整するということになり、ワークWに対する衝撃力を調整する。この場合、ノズルヘッド2は、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4を同時に固定する構成が望ましい。
【0031】
ノズルヘッド2における第1のノズルユニット3のみについて、高さ調整部5の上下方向の高さを調整した場合は、第1のノズルユニット3のワークW表面からの高さHを調整できる。第1のノズルユニット3の位置を調整するということは、第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2によって生成される断続的な高圧流体L3とワークWとの間隔を調整するということになり、ワークWに対する衝撃力を調整する。この場合、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4を別々に固定する(ノズルヘッド2を分割する)構成が望ましい。
【0032】
ノズルヘッド2における第2のノズルユニット4のみについて、高さ調整部5の上下方向の高さを調整した場合は、第2のノズルユニット4のワークW表面からの高さHを調整できる。第2のノズルユニット4の位置を調整するということは、第1の高圧流体L1に対して噴射する第2の高圧流体L2の位置を変更することであり、断続的な高圧流体L3の衝撃力を調整する。この場合、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4を別々に固定する(ノズルヘッド2を分割する)構成が望ましい。
【0033】
間隔調整部6は、
図1や
図2に示すような、第1のノズルユニット3を固定する第1のノズルヘッド2aと、第2のノズルユニット4を固定する第2のノズルヘッド2bの左右方向の間隔を調整できる機構であり、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の間隔を調整する。ボールねじ等の直動的な機構、スライド機構、その他、シリンダ機構と組み合わせたもの等である。
【0034】
また、間隔調整部6は、第1のノズルヘッド2aを左右方向に移動させるための第1の間隔調整部6a(不図示)と、第2のノズルヘッド2bを左右方向に移動させるための第2の間隔調整部6b(不図示)に分割し、第1の間隔調整部6aと第2の間隔調整部6bを連結することで間隔調整する形態や、それぞれを独立した機構として機能させることもできる。
【0035】
圧力調整部7は、
図3(a)に示すように、第1のノズルユニット3と第2のノズルユニット4の少なくとも一方に、第1の高圧流体L1または第2の高圧流体L2の圧力を調整する。圧力調整部7は、圧力調整弁や圧力調整バルブである。
図3(a)に示すように、第1のノズル3aと第2のノズル4aに対して、それぞれ第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2を供給するノズルヘッド2内の流路内に配置する。
図3(a)においては、2か所配置したが、第1のノズル3aと第2のノズル4aのどちらか一方のみに配置することもできる。
【0036】
研磨剤供給部8は、
図2に示すように、第1のノズルユニット3に研磨剤を供給する。研磨剤供給部8は、タンク(不図示)内に研磨剤を保有しており、第1のノズルユニット3に研磨剤を適宜供給する箇所である。研磨剤としては、ガーネット、サファイヤ、超硬合金等、一般的なものを使用できる。
【0037】
吸引部9は、第1の高圧流体L1および第2の高圧流体L2の周囲の水蒸気や空気を吸引する。第1の高圧流体L1と、第2の高圧流体L2は、流体同士であり、衝突した際に水蒸気状に飛散することがあり、飛散した状態のままでワークWを加工すると、ワークWの加工精度に悪影響を及ぼす可能性もあることから、吸引部9によって、そうした周囲の水蒸気や空気を吸い込み、作業環境を調整する。水蒸気や空気の吸引量については、第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2の衝突の状況によって、変化することから、適宜、調整する。
【0038】
また、第2の高圧流体L2の流量Q2および圧力P2は、第1の高圧流体L1の流量Q1および圧力P1よりも大きくすることによって、より効果的に断続的な(パルス状の)高圧流体LをワークWに対して噴射できる。
ワークWに対する最適な衝撃力を得るためには、最適な断続的な高圧流体L3を形成する必要がある。第1の高圧流体L1の流量Q1および圧力P1と、第2の高圧流体L2の流量Q2および圧力P2がお互いにエネルギーを損失しないように組み合わせる必要があるが、第2の高圧流体L2は、第1の高圧流体L1を分断し、パルス状にする必要があるため、第2の高圧流体L2のエネルギーが高くすることで、確実な分断を行うことができる。
【0039】
また、制御装置10を用いて、高圧ポンプPから供給される第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2の圧力や流量、圧力調整部7の切り換え、研磨剤供給部8の研磨剤供給量、吸引部9の吸引量、高さ調整部5の位置(高さ)、間隔調整部6の位置(間隔)等を制御できる。
具体的には、例えば、制御装置10と連動して操作を行うことのできる操作端末を用いて、高圧ポンプPから供給される第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2の圧力や流量、圧力調整部7の切り換え、研磨剤供給部8の研磨剤供給量、吸引部9の吸引量、高さ調整部5の位置(高さ)、間隔調整部6の位置(間隔)等の数値を遠隔で適宜調整することによって、ワークWに対して、最適な加工を施すことができる。
【0040】
次に、本実施形態のパルスウォータージェット加工方法について説明する。
【0041】
高圧ポンプPから70~500MPaの範囲で指定した高圧流体Lをノズルヘッド2に供給する。次に、第1のノズル3aから第1の高圧流体L1を噴射した後、第2のノズル4aから第2の高圧流体L2を第1の高圧流体L1方向に所定の周期で噴射し、断続的な高圧流体L3を形成する。ワークWの位置まで断続的な高圧流体L3を移動させて、所定時間、所定の作業が完了するまで加工を行う。
【0042】
なお、加工時に、第1の高圧流体L1と第2の高圧流体L2の衝突によって発生する水蒸気や空気を吸引部9によって吸引しながら加工を行うこともできる。
【0043】
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1 パルスウォータージェット加工装置
2 ノズルヘッド
2a 第1のノズルヘッド
2b 第2のノズルヘッド
3 第1のノズルユニット
3a 第1のノズル
4 第2のノズルユニット
4a 第2のノズル
4b ノズル
4c 回転体
4d 噴射孔
4e キャップ
4f 空洞
5 高さ調整部
6 間隔調整部
7 圧力調整部
7a 第1の圧力調整部
7b 第2の圧力調整部
8 研磨剤供給部
9 吸引部
10 制御装置
P 高圧ポンプ
L 高圧流体
L1 第1の高圧流体
L2 第2の高圧流体
L3 断続的な高圧流体
W ワーク
H ワーク表面からの高さ